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Aloe vera (L.) Burm. f. ゲル中のエタノール抽出 における有用な有機化合物の検索

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(1)

Aloe vera (L.) Burm. f. ゲル中のエタノール抽出 における有用な有機化合物の検索

著者 加藤 真紀

雑誌名 東京家政大学研究紀要 2 自然科学

巻 38

ページ 45‑49

発行年 1998

出版者 東京家政大学

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010623/

(2)

〔東京家政大学研究紀要 第38集 (2),p.45〜4g,1gg8〕

Aloe verα(L.)Burm. f.ゲル中のエタノール

   抽出における有用な有機化合物の検索

  加藤 真紀

(平成9年10月2日受理)

The Detection of Bioactive Components of the Gel of

  Aloe verα(L.)Burm. f. in the Ethanol Extract

   Maki KATO

(Received on October 2,1997)

緒  言

 既報の通り,筆者らはこれまでアロエベラゲル中に含 まれている有機化合物の検索をこれまで一貫して行って きた.1)−4)それらのデータ分析から多数の化合物を同 定してきたが,それらは種々の有効な効果を持っ化合物 あるいはその類縁体であることを示した.今回は,これ までの抽出溶媒の中で最も極性の高いエタノールおよび 含水エタノール溶媒でそのゲル中に含まれている成分を 抽出し,抽出された成分をGC−MS装置を用いて検索し た.したがって,この画分では今までに行った溶媒抽出 では未抽出であったアロエベラゲル中の有効成分が抽出 できるのではないかと期待され,数十個の化合物の同定 を行ったのでここに報告する.

実験方法

(1)試料の抽出および調整

 凍結乾燥したAloe veraゲル87.5 gを72の蒸留n一ヘ キサン,ベンゼン,クロロホルム,アセトンにより順次 20日間抽出した後,同様にエタノールおよび80%エタノー ルにより抽出した.それぞれの画分を濃縮し,エタノー ル画分#1(5.31g)および80%エタノール画分#2(6.5 g)

が得られた.

 エタノール画分#1(5.31g)は,さらに二画分に分別 して分析を行った.一方は画分#1をエタノール:クロ ロホルム:アセトン=20:5:5(v/v/v),50℃で溶解さ せ,この中の10mlに酸化カルシウム約109を加え4℃

で一晩放置して溶液を乾燥させた後,濾過,濃縮を行っ た(#1−a3.4 g).他方は,同画分を水10mlに溶解し,

うち3mlを濃縮後,アセトンに再溶解した.これを4℃

で一晩放置した後,濾過,濃縮した(#1−b2g)(図1).

Freeze−dried、Aloe vera Gel 87.5g

図1

r−Hexane   8.3Cg

Benzene   5.41g

Chlorofom 2.61g Acetone 3.399

Ethano璽    5。319 《#1,1.

Ace匂ゾ重ated

  EtOH,Chloro,Acetone   Mix solution  3,709{#1.a}

  aq. sol面on 1・749倒・b,

80%Ethanol 6.509 (#2⊃

Acetylated M99

 アロエベラゲル成分抽出法

栄養学科 生化学第一研究室

② 試料のアセチル化

 得られた試料をGC−MS測定で解析を行ったが満足な 結果が得られなかったため,全ての試料をアセチル化し た.試料は10倍容の1%塩化亜鉛一無水酢酸に溶解し,

順次0℃で4−5時間,室温で1時間,50℃で2時間撹搾し た.そして,試料の100倍容の氷水を加え2時間撹搾した

(3)

Max

2

1

O

︵門h一Und

n

Max∩h四Und 1 四  ︒

n 2

加藤 真紀

    100 R.T. ,   ma9.

Max A b u nd a n

      *1.〔ヨ   20②2        402〔ヨ     tt  6ZZZ        822〕2        12旧0〔ヨ   Scan

図2 エタノール・クロロホルム・アセトン混合抽出画分のTIC

      R,T.

       5臼       10Z      150      magL

 4②②2        62②〔ヨ

図3 水溶性抽出画分のTIC

*1.O

Scan

§.軽

    4ZZ2       6200        8Z〔ヨ3

図4 80%エタノール抽出画分のTIC

R.T,

   ma9.

*1.〔ヨ

Scan

(4)

Aloe(L.)Burm. f.ゲル中のエタノール抽出における有用な有機化合物の検索

後,炭酸水素ナトリウムで中和した.次いで,5倍容の クロロホルムで抽出し,3回水洗を行い,無水硫酸ナト リウムで乾燥した後,濃縮し以下のものが得られた.ア セチル化後の試料重量は#1−a(3.70g),#1−b(1.74g),

#2(0.49g)であった(図1).

(3)GC−MS分析

 試料は,次の溶媒に溶解した.すなわち,#1−a(3.70 g)はエーテル:クロロホルム(2:1)30m1,#1−b(1.74 g)はエーテル:クロロホルム(2:1)30ml,#2(0.49 g)クロロホルム10mlにそれぞれ溶解し,各試料溶解 液の1μgをGC−M S装置(DX−30型,日本電子製)に 注入しEI法(70 eV)で分析した.カラムはFFS−ULB ON HR−1(信和化工社製30 m×O.25 mm(i.d.))を 用い,注入温度200℃,オーブン温度は150℃から250℃

まで1℃/minで昇温した.キャリアーガスはヘリウム を使用し,流量2.1ml/min,スプリット比30:1で測

定した.

 得られたマススペクトラムデータはパソコンにより,

標準マススペクトルデータ(Wiley/NBS社製)との比

較により同定した5).

表1 80%エタノール抽出中の糖類

Scan No.  M   formula Compound

639    288  C12H1608

1643   390  C16H22011 1744   390  C16H22011 1764    390  C16H22011 1BOO    390  C16H22011

1,3,4−・tri−o−acetyl−2,6−anhydro−

1−D−fruct。furan。se

a−D−maBnopyranose pentaacetate β一D−man・ユopyranose pentaacetate a−D−glucopyranose pentaacetate β一D−qluc。pyran。se pentaaceta七e

表2 80%エタノール抽出液中のブチロフェノン

184    164   C10H1202    2−hydroxybutyrophenone

表3 80%エタノール抽出中のピペコリン酸

252   199 CIOHI703 1−acety1−−2−−piperidinecarboxylic acid ethγ]・ ester

結  果

 それぞれのTotal Ion Chromatogram(TIC)を 図2,3,4に示した.今回は二種のエタノール系溶媒で抽 出を行ったが両画分ともほぼ同様な化合物が同定された.

エタノールおよび80%エタノール抽出画分を比較すると 極性の高い80%エタノール画分の方がより多くの化合物 を含んでおり,これまで用いた溶媒で抽出されていない 化合物が数種同定された.各画分のScan No.1750前後 にみられるTICの高いピークは糖質を示していた.この ほか,多数の抽出物が得られた80%工タノール画分

(#2)では主に,ブチロフェノン,ピペコリン酸,フタ ル化合物などが新たに同定された(表1−8).

表4 80%エタノール抽出中のフラン化合物

159    168  C8H804 5−formy1−2−furfur:ylethanoate

表5 80%エタノール抽出中のフタル酸エステル

考  察

1357    278  C16H2204   dibutyl phthaユate 3908   502  C32H5404   didodecyl phthalate

表6 80%エタノール抽出中のその他の化合物

 糖類はアロエベラ中に多量に含まれる化合物であり,

その中でもグルコースとマンノースの含有量は特に多 い6).今回はアセチル化されたそれら共に,フルクトー ス,キシロースが同定された.アロエは糖類の含有量が 多いにもかかわらず,これまでの溶媒では一度も抽出さ れなかったことから,エタノールは糖類の抽出に有効で あったと考えられる.

147

161 174 290

190  C8H14Q5 176  C7H1205 218  CgH1406 218  C15H220

341    166  CIOH1402

diethyl hydτoxybutandioate 1,2,3,−propanetriol,diacetate 1,2、3,−propanetriol,triacetate 2,6−di−t−buty1−4−methylene−2,5

_cyclohexadiene−1−one

3−methyl−5−pentylidene−2−furanone

(5)

加藤 真紀

表7 エタノール・クロロホルム・アセトン混合抽出液    中の化合物

Scan No,  Md    Formula Compovnd

157     168    C8H804

184    164   CIOH1202 249     199    C10H1703

633     288    C12H1608

1342    278   Cl6H2204

1398     390    C16H22011 1511    362   ClsH22010

1フ45     39U    C16H22011

5−formyl−2−furturylethano己te 1。(2−hydroxypheハy1)−1−butanone l−acety1−2−pipetldlnecarboxyllc ethyユ e5しeτ

1,3,4−tri−O−acetyl・2,6−anhydr。一 β一D−furuct。furan。se

1,2−benzenedicarboxyltc acid dibutyl ester

e−D−fruごtopyranose pentaacetate P−D−mann。pyran。side methyユ ヒe亡raacetate

e−D−glucopyranose pentaacetate

表8 水溶性抽出画分中の化合物

Scan No,  M[    Fo【mula Corrしpound

650     288    C12H1608

1404     290    C12H1808

1720     390    C16H22011

1711    390   C15}{22011 177フ    390   C16H22011

1975    432    C18H24012

1,3,4−tl1−O−acety1−2,6−anhydro−

1。D−fuructofuran。se 2,3,4−trtacety1一殿ethyl−g−D・

xylopyranosユde

β一D−glucopyranose pentaacetate β一D−mannopyranose pentaacetate

−D−91ucopyranose penta6cetate 田yo−inositol hexaacetate

 ピリジンの2位にカルボキシル基を有するピペコリン 酸は自然界では豆科植物に存在し,ホップ,大麦,キノ コ類にも少量含まれている化合物である7).ラットの大 脳のリシン代謝経路でのサッカロピンを中間体とする代 謝産物としてこの化合物が大脳皮質内のシナプトソーム へ取り込まれ,リシン代謝に関与していることが報告さ

れている8).

 今回抽出された5一ホルミルー2一フルフリルエタノエー トの基本骨格である2一フランカルボン酸は,ヒトおよび 数種の動物中にフルフラールの新陳代謝物として存在し ている9).そして,フラン化合物の生理作用は,マウス においてカルシウムチャンネル拮抗体として働き,皮膚

       10)

      .抗炎症作用に対する抗炎症作用が認められている はアロエの薬効として知られるものであり,フラン化合 物もその一成分と考えられる.

 ジブチルフタレートの薬理作用については不明である が,その類似化合物としてブチル基から炭素数がそれぞ れ一個少ないジエチルフタレートは,一般に薬剤のコー ティング,化粧品,プラスチックフィルムから食品のラッ プなどに広く使用されている.しかし,その性質は粘膜 を刺激し,高濃度では麻酔作用示すことが知られ,その 使用には注意が必要とされる11).フタル酸エステルに 関する生理活性試験によると,ラットにおいてペルオキ シゾーム増殖に関連し,肝腫瘍発生率の増加を示す化合        12)

      .また,これらの基本物に属しているとされている 骨格であるフタル酸は,ヒトおよび動物における性ホル モンのエステロゲンおよびテストステロンを撹乱するこ とが報告されている13).これらの化合物は健康に害を 及ぼす可能性があり,体内への摂取はできるだけ避ける べきであると考えられる.

 アロエの薬効に関しては火傷の治療,抗腫瘍作用,L DL減少作用,下剤作用など多数知られている.これま でにわれわれが実験で同定した化合物はどのようにヒト 対しに有効であるか現在のところ明らかとされていない が,今後これらのアロエベラ成分の薬効が解明されさら に医薬品の開発に応用されることを期待している.

要  約

 凍結乾燥アロエベラゲルをエタノールおよび80%エタ ノール溶媒で抽出し,アセチル化処理後GC−MS分析で 有機化合物を同定した.これらエタノール系画分は,既 に抽出したn一ヘキサン,ベンゼン,クロロホルム,アセ トン溶媒では未抽出であった化合物が数種同定された.

それらは,糖類,ブチロフェノン,ピペコリン酸,フラ ン化合物およびその他の化合物であった.

 同定されたアロエベラ中の有機化合物は,アロエの薬 効成分の解明に役立っと期待される.

謝  辞

 本稿作成にあたりご指導いただいた山口功教授に感謝 致します.また,実験にご協力いただいた栄養学科秋葉 京子,鎌田亜紀子,中村祐子さんに御礼申し上げます.

(6)

Aloe(L.)Burm. f.ゲル中のエタノール抽出における有用な有機化合物の検索

参考文献

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  20 (1990).

2)1.Yamaguchi, N. Mega and H.Sanada:Biosci.

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3)加藤真紀,山口功:東京家政大学紀要,37(2),39−

  42 (1997).

4)山口功,白石ゆり江,加藤真紀:東京家政大学

  紀要,37(2),115−120(1997).

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11)M.Windholz ed.:The Merch Index,10ih,

  1993,p.7261

12)R.Okita and J.Okita:Phαrmαceuticαl Reserch,

   12(9) 1648−1653 (1992).

13)M.Warhurst:Introduction to hormone dis−

  rupting chemicαls 1997, http://easyweb.easy   net.co.uk//mwarhurst/oestrogenic.html.

参照

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