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第3期アライグマ防除実施計画(被害金額修正版).docx

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第3期大阪府アライグマ防除実施計画

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目 次

1 . 計 画 策 定 の 背 景 と 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 ( 1 ) 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 ( 2 ) 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 2 . 特 定 外 来 生 物 の 種 類 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 3 . 防 除 を 行 う 区 域 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 4 . 防 除 を 行 う 期 間 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 5 . 現 状 と こ れ ま で の 取 組 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 ( 1 ) 生 息 状 況 ・ 分 布 状 況 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 ( 2 ) 分 布 状 況 の 変 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 ( 3 ) 個 体 群 の 動 向 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 6 . 被 害 の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 ( 1 ) 農 業 被 害 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 ( 2 ) 生 活 環 境 被 害 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7 ( 3 ) 人 へ の 生 命 及 び 身 体 へ の 被 害 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7 ( 4 ) 生 態 系 へ の 影 響 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 7 . こ れ ま で の 取 り 組 み と 評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・8 ( 1 ) 外 来 生 物 法 に 基 づ く 取 り 組 み ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 ( 2 ) 第 一 期 計 画 の 評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 ( 3 ) 第 2 期 計 画 の 評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 8 . 今 後 の ア ラ イ グ マ 被 害 対 策 に つ い て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・9 ( 1 ) ア ラ イ グ マ 問 題 へ の 基 本 的 な 考 え 方 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 ( 2 ) 防 除 の 目 標 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 ( 3 ) 計 画 的 な 目 標 設 定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 ( 4 ) 防 除 の 実 施 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 0 9 . 捕 獲 の 実 施 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 2 ( 1 ) 捕 獲 体 制 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 2 ( 2 ) 捕 獲 と 台 帳 に よ る 管 理 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 3 ( 3 ) 捕 獲 個 体 の 取 扱 い ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 3 1 0 . 合 意 形 成 等 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 4 11.モニタリング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 12.普及啓発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 13.推進体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

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1.計画策定の背景と目的 (1)背景 ①アライグマが『特定外来生物』に指定されるまで アライグマは北米原産の動物で、本来日本には生息していなかったが、1977 年にアライグマを題材にしたテ レビアニメが放送されたことを期にペットとしての人気が高まり、多くの個体が輸入された。しかし、アライ グマは本来野生動物であり、飼いきれなくなって野外に放されたり、また手先が器用なため飼育檻から逃亡し、 野生化するケースが全国各地で相次いだ。 アライグマは雑食性で小型の哺乳類、野鳥やその卵、魚類、両生類、は虫類、昆虫類、果実、野菜、穀類な ど幅広い食性を持つ。また繁殖力が旺盛で、かつ日本には天敵がいないことから生息分布域を拡大している。 野生化したアライグマは、農作物への食害や、家屋侵入等による生活環境汚染を引き起こすほか、動物由来 感染症媒介の危険性、さらに生態系への悪影響が懸念されている。 このような状況を受け、環境省は平成 17 年 6 月に施行された『特定外来生物による生態系等に係る被害の防 止に関する法律』(以下『外来生物法』という。)において、アライグマを『特定外来生物』(生態系、人の 生命・身体、農林水産業に悪影響を与えるもの、与えるおそれのある侵略的な外来生物)に指定し、飼育・運 搬・販売・譲渡・輸入などを規制し、また、すでに定着している場合は、積極的な防除をすることとした。 ②大阪府におけるアライグマ 大阪府では、平成 13 年度に初めて、『鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律』(現『鳥獣の保護及び管 理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成 26 年 5 月改正)』以下、鳥獣保護管理法とする)に基づく有害鳥獣 捕獲許可が茨木市から申請された(この時は捕獲されず)。平成 14 年度に最初の有害鳥獣捕獲により茨木市と 河内長野市で各 4 頭ずつ、合計 8 頭の捕獲実績があった。その後、野生化したアライグマの生息分布拡大にと もない、農作物の食害等による経済的被害や、家屋侵入等による生活環境汚染が深刻化し、その対策が急務と なり、また動物由来感染症の防止、生態系への悪影響の防止の観点からも対策が必須となった。 拡大するアライグマの被害に対処するため、従来の有害鳥獣捕獲許可と併せて平成 18 年 5 月に外来生物法に 基づく「防除に係る運搬に関する確認申請」を提出し、平成 19 年度からは捕獲に関しても外来生物法に基づき 実施できるよう申請内容を変更し、積極的な捕獲に努めてきたところである。これにより捕獲頭数は急激に増 加し、平成 18 年度は 812 頭が捕獲され、平成 22 年度には 1,000 頭を超え、平成 26 年度は過去最高の 1,590 頭 となった。 (2)目的 アライグマ問題を解決するためには、野外からの完全排除を目指し、迅速かつ科学的・計画的な対策により、 自然増加以上に個体数を減らすことが必要である。対策が遅れるほど個体数が爆発的に増加し、過重な捕獲努 力や経費が発生するだけでなく、安楽死措置する個体数を増やすことにもつながる。 このような事態を回避するため、『外来生物法』に基づく「大阪府アライグマ防除実施計画(以下第1期計 画)」を策定し、市町村と連携して科学的・計画的な防除を行ってきた。しかし、第1期計画でもアライグマ の生息域の拡大は止めることは出来ず、依然として被害は継続し、目標である野外からの根絶には至っていな い。よって、このまま放置することは更なる農業・生活環境・生態系への影響が危惧されることから、種々の 被害を防止し、在来生物の保護等、生物多様性(※)の保全を目的に、引き続き「第2期大阪府アライグマ防除実

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ライグマによる種々の被害の防止」と「在来生物の保護等生物多様性の保全」に加え、「生息分布域の縮小」 を目標に積極的な防除を継続する。 (※)生物多様性とは、ありとあらゆる場所で、その地域に育まれた生物が、相互の関係を保ちながら存続し ている状態を指し、人為的に持ち込まれた外来生物は、生物多様性をかく乱する最大の要因となっている。 2.特定外来生物の種類 アライグマ(プロキュオン・ロトル Procyon lotor) カニクイアライグマ(プロキュオン・カンクリヴォルス Procyon cancrivorus) 3.防除を行う区域 大阪府内全域を対象(大阪市を除く) 4.防除を行う期間 平成 28 年 4 月 1 日から平成 33 年 3 月 31 日 5.アライグマの生息状況 (1)捕獲頭数 ①経年変化 アライグマ捕獲頭数は徐々に増加しており、平成 14 年度に 8 頭であった捕獲頭数は平成 22 年度に 1,000 頭 を突破し、平成 26 年度には前年から大きく増加して 1,590 頭となった(図1)。捕獲効率などのアライグマの 密度指標の変化が把握できていないためはっきりとした議論は難しいものの、個体数が増加していることが示 唆される。 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 捕 獲 頭 数 ( 頭 ) 泉州 南河内 中部 北部

図1 アライグマ捕獲頭数の経年変化(地域別)

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②月別変化 月別にみると、アライグマの捕獲は 6 月、7 月を中心に夏期に集中しており、12 月や 1 月など冬期の捕獲頭 数が少ない傾向が一貫してみられた(図2)。捕獲頭数を月別に見ると、府域全体では繁殖後の 6、7 月に多く、 12 月、1 月には少ない。次に成獣の捕獲個体の雌雄比は、年間の合計ではオスの方がやや多く、月別に見ると、 春は成獣メスの捕獲割合が低く、その後成獣メスは成獣オスとほぼ同じ捕獲割合になる傾向が見られた。仔(体 重 3.5kg 以下の個体)の捕獲は 4 月~10 月にあり、特に 5 月~9 月に多かった。3 月に新生児(体重 500g 以下) の捕獲がなかったことから、出産期は 3 月下旬以降と推定される。通常、妊娠期間は 2 ヶ月強(63~65 日)と されることから逆算すると、交尾期は 1 月中旬以降と推定される。 ↑ 平成22 年度 ↑ 平成23 年度 ↑ 平成24 年度

図2 H22~26 年度大阪府における成獣仔・雌雄別アライグマ捕獲実績推移

↑ 平成25 年度 ↑ 平成26 年度 ※体重3.5kg 以下を仔、うち 500g 以下を新生児とした

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(2)分布状況の変化 アライグマの捕獲場所は平成 17 年度頃には北摂地域や、泉南市から河内長野市にかけての地域が中心であっ たが、平成 20 年度以降は北河内や中河内地域へと捕獲場所が拡大している。加えて、平成 26 年度にかけては堺 市から岸和田市にかけて捕獲場所が周辺の山間部から沿岸域や都心部に求心的に広がっているほか、多個体が捕 獲される場所が南河内や泉州地域を中心に増加していることから、大阪府南部地域でのアライグマ分布拡大に加 えて頭数増加による被害拡大にも注意すべきであろう。(図3)。 (3)個体群の動向 ①経産率 乳頭の所見から推測される経産率※は 66~87%と高い値で推移しており(図4)、アライグマの繁殖状況が良好 なまま保たれていることが示唆される。 ※経産率:出産をしたことがある個体の割合

図4 春期に捕獲された成獣メスの推定経産率

11頭~ 6~10頭 1~5頭 捕獲なし H26 H23 H20 H17

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

図3 年度ごとのアライグマ捕獲場所の空間分布図

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②捕獲個体の体重の変化 捕獲個体の体重は成獣を中心に減少傾向にあり、捕獲個体が全体的に小型化してきている状況にある。(図5) 齢構成の情報がないため詳しい議論は難しいものの、アライグマ個体群が若齢化してきていることや、大きな個 体が学習して捕獲されにくくなってきている等の可能性が考えられる。 アライグマ捕獲個体の平均体重は、幼獣ではほぼ一定であるのに対して、成獣オスや成獣メスでは徐々に減少 する傾向がみられた(図5)。捕獲個体の体重頻度分布を見ると、8 kg を上回るような大きな個体の割合が減少 し、4 kg 未満の個体が捕獲される割合が高くなっていた。6~7 kg であったピークも徐々に低体重に推移するな ど、捕獲される個体が全体的に小型化しているようすが明らかになった(図6)。

図5 成幼獣雌雄別のアライグマ捕獲個体の平均体重の経年変化

図6 2 年ごとに集計したアライグマ捕獲個体の体重頻度分布

1.5

2.5

5.5

6.5

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

~

~

kg

成獣オス 成獣メス 幼獣

H17-18

H19-20

05 0 150 0 100 250 0 150 350

H21-22

0 2 4 6 8 10 12 14 0 1 50 300 0 2 4 6 8 10 12 14 0 200 500

H23-24

H25-26

体重 (kg)

体重 (kg)

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6.被害の現状 (1)農業被害 ①被害作物と農業被害金額・面積の推移 家庭菜園や自家消費の作物など、被害金額では表れない潜在的な被害もあると推測されるが、報告される農 業被害は近年増加傾向にあり(表1)、平成 25 年度の農業被害は 24,411 千円となっている。この結果には、 アライグマ被害に対する認知が上がっていることが影響している可能性もあるものの、実際の個体数の増加を 反映していると推測される。 アライグマは甘みのある作物を好む。主な被害発生時期にあたる夏は、すいかやとうもろこしやいちごの被 害割合が高くぶどう、ももなども被害にあっており(表2)、市町村での被害面積の集計においてもこれらを 含む野菜、果樹が大部分を占めている(図7)。 0% 20% 40% 60% 80% 100% 面積(ha) 金額(千円) 割合 果樹 野菜 その他 年 度 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 農業被害金額(千円) 7,890 7,080 9,020 9,822 10,753 11,228 11,896 21,092 21,266 26,086 22,392 22,654 地域名 主な被害作物(被害額 30 万円以上) 北部 いちご、ぶどう、とうもろこし、水稲、 いちじく 中部 ぶどう 泉州 とうもろこし、すいか、トマト、白菜 みかん、もも (市町村農林業被害報告とりまとめ) ※平成 21 年度より被害の算定方法を見直したため金額が増加

表1 農業被害金額の推移

図7 平成 25 年度農業被害金額と面積(%) 表2 平成 25 年度アライグマによる農業作物被害 ※野菜:すいか、いちご、とうもろこし、トマト、白菜 果実:ぶどう、みかん、もも、いちじく その他:稲、いも類

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②農業被害意識の分布と変化 農業被害アンケート調査によると、アライグマによる農業被害強度には増加傾向が見られた。地域ごとに見 ると、泉州地域では高いまま推移しており、北摂地域では平成 24 年までほぼ一定であったものの平成 26 年に かけて急増していた。また、分布拡大が示唆される北河内地域では平成 22 年には限定的であった被害地域が平 成 26 年にかけて拡大していた。(図8) (2)生活環境被害 春から初夏にかけて、繁殖のため人家に侵入し屋根裏等を糞尿で汚染する被害が発生している。天井裏でのア ライグマの捕獲や、繁殖痕の清掃のため家屋の一部を取り壊し・修理が必要となったり、糞尿により天井が腐っ て落ちるといった事例が報告されている。 また最近は古い寺社へ侵入しているという調査結果も各地であり、糞尿や引っかき傷による文化財の被害も懸 念されている。 (3)人への生命及び身体への被害 アライグマの動物由来感染症については、レプトスピラ症、トキソプラズマ症、日本紅班熱、Q 熱、アライグマ 回虫についてサーベランス調査を実施している。(表3) 動物由来感染症の予防のためには、他の野生鳥獣と同様、肌の露出を避ける、手洗いの徹底、排泄物等に素手 で触れない、ダニ等の寄生虫に気を付けるなどの点に留意する。 特に、レプトスピラ症は犬にも感染し、主に感染動物の尿を含む土壌や水に存在する可能性があるため、野生 動物との接触をする機会が多い者は経皮感染を避けるために、十分注意する必要がある。また、犬ではワクチン 接種が感染予防に有効である。 分布なし ほとんどない 軽微 大きい 深刻 H22 H23 H24 H25 H26 図8 各年の IDW 法によるアライグマ被害強度の空間補間図(H26 年の泉南地域(赤囲い部は回答のなかった市町村)

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表3 動物由来感染症調査結果 年 度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24年度 平成 25 年度 平成 26 年度 調査個体数 陽 性 個 体 率(%) 調査個体数 陽性個体 率(%) 調査個体数 陽性個体 率(%) 調査個体数 陽性個体数 率(%) 調査個体数 陽 性 個 体 率(%) レプトスピラ症 130 25 19 29 5 17 90 9 10 77 7 9 88 7 9 アライグマ回虫 166 0 0 3 0 0 トキソプラズマ 100 7 7 100 6 6 100 5 5 日本紅班熱 109 7 6 103 12 12 100 4 4 100 6 6 Q熱 181 0 0 109 0 0 103 0 0 100 0 0 100 0 0 ※アライグマ回虫のサーベランスは陽性個体が 5 年間確認されなかったため、平成 23 年度に終了している。 参考:各感染症の症状 アライグマ回虫(経口感染):発育障害や神経系の後遺症、視力障害 レプトスピラ症(経皮、経口感染):悪寒・戦慄・高熱、筋肉痛、眼球結膜の充血 トキソプラズマ(経口感染):風邪様症状、胎児の先天性トキソプラズマ症 日本紅班熱(マダニ媒介性):頭痛、発熱、倦怠感、関節痛、筋肉痛 Q熱(経口感染):頭痛、悪寒、筋肉痛、咽頭痛、全身の倦怠感 (4)生態系への影響 府の周辺山系で実施されている生物調査等では、フクロウ等が利用していた樹洞を占拠した事例も発生してい ることから、個体数の増加や生息域の拡大に伴い、在来種のカエルや野鳥の卵・ヒナ等の捕食や、タヌキやキツ ネ、アナグマ等との競合が危惧される。 7.これまでの取り組みと評価 (1)外来生物法に基づく取組 ①農業者、地域住民等の取組 ・市町村に捕獲器の貸し出しを要請するとともに捕獲時の通報を行う。 ・市町村の指導のもと、捕獲器の設置や見回り等、捕獲に協力する。 ②市町村の取組 ・大阪府アライグマ防除実施計画に基づき、被害者への捕獲器の貸し出しや指導を行う。 ・府に対し、捕獲されたアライグマの安楽死措置を依頼するとともに、措置施設までの運搬を行う。 ③府の取組 ・学識者や各種団体で構成する大阪府アライグマ被害対策検討委員会を設立し、広域的な観点から被害防除 対策について議論・検討を進める。 ・市町村の依頼に基づき、安楽死措置の支援を行う。 ・市町村において適切な安楽死措置を実施できるよう指導する。 ・アライグマの捕獲を実施できるようにするため、各市町村を代表して国に外来生物法に基づく防除確認の 申請を行う。 ・捕獲状況や調査結果を取りまとめ、市町村へ情報提供する。 ・隣接府県とも連絡を取り、情報を共有する。 (2)第1期計画の評価 第1期計画期間においては、長期的には野外からの根絶を目指し、短期的には個体数の爆発的な増加を抑える ため、捕獲を推進してきた。捕獲の実施は、府民による捕獲器の設置・捕獲、市町村による捕獲個体の運搬、大 阪府による安楽死措置という役割分担により捕獲体制が構築された。 捕獲や被害状況により対応レベルを5段階設定(重点対応地域、要対応地域、要注意地域、準要注意地域、生 態系保護の観点から区分する地域)し、対策を進めた結果、集中的な捕獲により捕獲数が著しく減少した市もあ

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ったが、危険レベルの低い地域での対策の遅れにより捕獲数が増加するなど、ほとんどの地域で捕獲数の増加が 見られ、分布拡大への対応が十分ではなかった。 (3)第2期計画の評価 第2期計画では、第1期計画に引き続き積極的な防除を実施し、アライグマの捕獲数は増えているが、全体的 な農業被害が減少していないことから個体数の減少には至っていないと考えられる。この原因として、被害が発 生した住宅や農地中心の捕獲であり、緑地などの被害がない場所での捕獲が行われにくいこと、また農閑期やア ライグマの妊娠期である春期は農業被害が少ないため、捕獲意欲が減退したためと考えられる。また、生息状況 は、捕獲報告や目撃情報に基づいているため、被害がない地域での把握が難しいことから、捕獲による生息域拡 大を防止できなかった。 8.今後のアライグマ被害対策について (1) アライグマ問題への基本的な考え方 アライグマ問題は、安易にペットにされ、飼いきれずに捨てられたアライグマなどが野生化し、繁殖して様々 な問題を生じさせたことに起因しており、いわば人間の身勝手が引き起こしたものである。アライグマによる 種々の被害を受けている人たちだけでなく、日本に連れて来られ、有害動物として捕獲されているアライグマ も被害者といえる。 私たちは、この問題をできる限り早期に解決するため、野外からの完全排除を目指した行動を起こすととも に、この問題を通して、野生動物を輸入・販売、飼育する人間の責任や、動物の命についてよく考え、今後同 じようなあやまちをくり返さないようにしなければならない。 (2)防除の目標 平成 13 年度以降、捕獲頭数が急激に増加しているが、府内のアライグマによる被害は軽減・解消には至って おらず、対処療法的な捕獲では個体数の増加を抑制することは困難である。一般にアライグマへの捕獲圧が増加 率を上回らなければ個体数の減少につながらないため、引き続き積極的な捕獲を続ける。 アライグマの旺盛な繁殖力や、食性の幅広さ、日本に天敵がいないことなどを考慮すると、捕獲により一旦個 体数が減っても、野外に残存している限り、再び個体数の増加が予想されるため、根絶に向けて個体数を出来る だけ減らし、生息域の拡大を抑制する必要がある。防除の最終的な目標は、アライグマの完全排除であるが、本 計画期間中の府においては、生息分布域の縮小により、被害の低減及び生息数の減少を目標とする。 また、生息密度の指標として捕獲効率(11.モニタリングに記載)をモニタリングすることにより、現在の 捕獲による効果の検証を行う。 (3)計画的な目標設定 ①短期目標 アライグマはすでに府域に広く分布しており、平成 13 年度以降、捕獲頭数が爆発的に増加していることから 相当数の生息が予想され、短期間での完全排除は非常に困難と推測されることから、個体数の増大や分布拡大 を阻止し、アライグマによって引き起こされる諸被害の低減化を図ることを短期目標とする。

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生息域の縮小、個体数の減少を長期目標とする。 ③最終目標 抜本的な問題解決のため、アライグマの野外からの完全排除を最終目標とする。よって、捕獲がほとんどな くなっても、野外に残存している個体を完全に排除するまで、捕獲努力を続ける。 (4)防除の実施 ①防除の進め方 第1期計画においては、アライグマは府内全域に生息していなかったため、捕獲状況や被害状況により5つ の地域区分を行い、それぞれの区分について対応のレベルを設定していた。しかし、ほぼ全域に生息してきた ため、第2期計画では府全域を重点対応地域と考えアライグマ対策を進めてきた。第3期計画においても、引 き続き捕獲状況や被害状況のモニタリング結果により、防除計画の変更や修正を行いながら、対策を効果的・ 効率的に進める。 現状では被害が発生していない、もしくは軽微な地域であっても、周辺に被害が甚大で、捕獲数が多い地域 があれば、急激な被害拡大が懸念され、注意喚起と捕獲の働きかけが重要である。そのためには、今後、その ような地域でも、広報誌やホームページによりアライグマ被害問題に対して啓発を行い、住民からの幅広い情 報の収集・共有を図ることができるようにする。 さらに、 突発的な出没等により人に危害を与えるおそれがある場合や希少な野生生物への被害が発生するお それがある場合、またはその他の事由により緊急的に対応する必要がある場合には、緊急的な防除を実施する。 なお、緊急的な防除を実施する際にも、捕獲方法や捕獲個体の取扱いについては、原則として9(1)③及び(3) に従うこととする ②効果的な捕獲 妊娠期である 2 月から 4 月に捕獲することは、出産による個体数の増加を未然に防ぐことにつながる。また、 授乳期である 4 月から 6 月に母親を捕獲すると、自立する前の子供の生存率が著しく低下する。 特に 2 月後半以降は活動性と餌への要求が高まるが、野外に食べ物が少ないため、エサによる誘引効果が高 いことから捕獲に適した時期といえる。以上のことから、捕獲数の少ない時期、妊娠期、授乳期である 2 月か ら 6 月の捕獲圧を強化することは効果的に個体数を減少させるために効率的と考えられる。 また、農作物被害発生時期に農作物を防衛することは、野外の食べ物を減らすことになり、捕獲器の中の餌 の誘引効果を高め、捕獲の効率化につながると考えられる。 ③生息地ごとの被害防除対策 a.農村地域 現状、被害が最も報告されている地域であり、アライグマ被害の認識も高くなっており、関係者が連携して 捕獲に取組んでいる。今後は被害の多い夏場だけでなく個体数の減少に重要な冬場の捕獲を推進するなど年間 を通じた捕獲を推進する。 また、スイカやトウモロコシ等、甘みのある作物を好み、主にその収穫期に食害することから、これらの作 物について収穫時期の少し前から収穫が終わるまでの期間に、電気柵や網囲い、トタン囲いの設置など、集中 して対策を講じることで被害を防ぎ、さらに農作物の未収穫物や落果実等を農地に放置しないようにすること により誘引を防ぐ。さらに、田畑周辺の民家や寺社は、ねぐらや繁殖場所として利用されることが多いため、 侵入防止措置を講じる。

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農業被害アンケート調査によると、アライグマに対する被害対策は、被害強度が高い方が被害対策の実施率 も高い傾向がみられる(図10)が、被害対策の実施率は防護柵、捕獲共に地域差がみられ、防護柵では北摂 地域の実施率がやや低く、泉州地域がやや高い傾向がある。また外来生物法による捕獲では河内地域の実施率 がやや低く、泉州地域での実施率がやや高かった。(図11)防護柵は、北摂に比べて泉州で効果ありとする 回答が多かった。(図12) 60 345 271 50 255 419 101 10 ほとんどない 軽微 大きい 深刻 39 371 259 40 282 440 116 19 ほとんどない 軽微 大きい 深刻

なし

あり

防護柵

捕獲

100 80 60 40 20 0 59 97 114 39 67 48 47 54 50 57 67 61 33 50 44 29 22 43 54 77 50 95 117 104

北摂

河内

泉州

北摂

河内

泉州

無回答

なし

不明

あり

100

80

60

40

20

0

図10 被害強度ごとの各被害対策の実施率(各対策の実施の有無の回答のあったデータ 5 年分を合算して集計した) 図11 地域ごとの各被害対策の実施状況(各対策の実施の有無の回答のあったデータ 5 年分を合算して集計した) 193 278 258 219 270 255 298 332 250 251 325 228

北摂

河内

泉州

北摂

河内

泉州

防護柵

捕獲

なし

あり

100

80

60

40

20

0

(14)

b.都市地域 今後、生息拡大が懸念されている地域で、ねぐらや繁殖場所として家屋の侵入、池の観賞魚の食害や、ペッ トフードの食害が発生している。これらの食害の放置は、アライグマへの無意識な餌付けとなっていることや、 ペットとアライグマが同じ餌場を利用することによる接触により、結果として動物由来感染症の感染が危惧さ れており、前述のレプトスピラ症が見つかっている。 また、農村地域と比べ、起こっている被害がアライグマによるものであることに気づいていないことが多い ため、アライグマに対する情報の周知を徹底するとともに、自治会等、住民の協力を得て積極的な捕獲を推進 する。 近年、都心部へと生息域が広がっていることから、今後は農業被害のみならず生活環境被害にも対応できる よう、パンフレットや、インターネットによる普及・啓発が必要である。 ●屋根裏への侵入阻止 アライグマは 10cm 程度の隙間でも侵入する可能性があるため、侵入口となりそうな壁や床下、屋根付近の隙 間等はふさいでおく。また、屋根にかかる木の枝や、壁に立てかけた資材などを伝って屋根に登り、屋根裏に 侵入された例があることから、これらをなくすよう努める。 ●屋根裏からの追い出し 忌避剤、燻煙剤等でアライグマを追い出した後、侵入口をふさぐ。 c.森林地域 当初、アライグマが遺棄された地域と考えられ、現在でも樹洞などを繁殖の場所として、また山系の森林は 分布拡大のための移動場所として利用していると考えられる。森林地域での主な被害は捕食等による生態系へ の被害であると考えられるが、実態はほとんどわかっていないため、対策が進んでいない。 このため各種の情報から生息実態の把握に努めるとともに、オオタカの営巣など希少な野生鳥獣が生息する 森林では、希少種が利用していると思われる樹洞を有する木の幹に鉄板やトタンを巻きアライグマが上れない ようにするなど対策を検討する。 ④生息環境管理(放置野菜の撤去等、適正な環境管理) アライグマに人為的な採餌場所や繁殖場所を提供しないようにするため、生息環境の管理を行うよう、関係 機関や地域住民に対し普及啓発する。アライグマによる農作物への食害を防ぐことはもちろん、圃場に廃棄作 物や未収穫作物を放置しない、お墓のお供え物、ペットの食べ残しを屋外に放置しないなど、無意識な餌付け を防ぐ。また、安全な繁殖場所を提供しないことにより個体の増加を防ぐ。 9.捕獲の実施 (1)捕獲体制 ①関係法令 アライグマの捕獲にあたっては「鳥獣保護管理法」に基づく『有害鳥獣捕獲許可』もしくは、「外来生物法」 に基づく『防除の確認申請』のいずれかの手続きが必要である。 なお、「外来生物法」は、自然環境関連法令の中では最も重い罰則を定めており、違法に飼養等した場合に ついては、個人なら 100 万円以下の罰金又は懲役1年以下、法人なら 5,000 万円以下の罰金が定められている。

(15)

②大阪府内において実施している捕獲の体制 アライグマの個体数や被害を低減するため、大阪府が市町村(大阪市を除く)を代表して「外来生物法」に もとづく防除の確認申請をおこなう。 捕獲体制は、市町村、住民、農家が協力し、捕獲器の設置・捕獲・運搬を行い、安楽死措置の支援を大阪府 が実施する。(図13)

図13 捕獲の体制と関係法令

③役割分担 大阪府及び市町村は連携して、住民、農業者、関係団体等の協力を得て捕獲を行う。 府は市町村の取組に対し、技術指導を行うとともに、市町村、関係者、関係団体等に情報提供を行う。また、 市町村が独自で積極的な防除活動を実施できるよう、必要に応じて市町村防除実施計画の策定を支援する。 ④捕獲器の保有数 市町村の捕獲器の保有数は、平成 17 年度は 218 基であったが、各市町村による積極的な捕獲器の購入や、農 協・集落での共同購入により平成 27 年 4 月時点では 1,095 基が保有されている。 しかし、被害の大きい夏期においては依然として貸し出し数が不足しており、今後も捕獲器の数を増やした り、貸し出し期間等を考慮する。 (2)捕獲と台帳による管理 ①捕獲の方法 錯誤捕獲の防止、捕獲体制、捕獲時の安全性を勘案し、原則として捕獲器を使用することとし、鳥獣保護管 理法によるわな猟免許を持たない者でも、適切な捕獲と安全に関する知識及び技術の指導により捕獲できるも のとする。 錯誤捕獲されたイヌ・ネコ・その他の鳥獣はすみやかに放獣する。 ②台帳の作成 市町村は、台帳を作成し捕獲の実施状況を管理する。 (3)捕獲個体の取扱い 捕獲した個体は、原則市町村からの依頼に基づき府が安楽死措置の支援を行う。措置の方法は、環境省の「ア

(16)

捕獲個体について、学術研究、展示、教育その他公益上の必要があると認められる目的で譲り受ける旨の求め があった場合は、外来生物法第 5 条第 1 項に基づく飼養等の許可を得ている者又は法第 4 条第 2 号の規定に基づ いて特定外来生物を適法に取り扱うことができる者に譲り渡すことができる。 なお、譲り渡す場合には、環境省に対し譲渡証明書を発行し、飼養等の目的を確認する。 10.合意形成等 (1)土地所有者・施設管理者等との防除に係る同意 防除の実施に際しては、防除を行う地域の土地所有者及び施設管理者等に対し、あらかじめ防除の内容につい て通知を行うとともに、必要な調整を行い、理解を得るよう努める。 (2)安楽死措置に係る合意形成 防除による捕獲個体については、できる限り苦痛を与えない方法により安楽死措置させることとし、その方法 については関係関連団体との合意形成に努める。 (3)連絡協議会等の開催 防除実施計画の策定・進行管理・見直し等に際しては、学識者など関係団体の意見を反映させるよう努める。 防除の実施に際しては、各市町村関係課、大阪府担当課及び各農と緑の総合事務所担当課からなる『大阪府ア ライグマ対策連絡協議会』において、情報交換、意見交換をしながら、共通認識のもと進める。 (4)府民への情報提供、意見募集 防除実施計画の策定にあたっては、本計画を広く府民に知らせ、府民から意見を収集するため、パブリックコ メントを実施し、計画の透明性を確保する。 11.モニタリング 生息状況(捕獲・被害等)についてモニタリングを行い、防除計画の進捗状況や効果の検証を行う。モニタリ ング方法として、捕獲従事者による生息状況の観察と被害状況に係る地域住民からのヒアリング等を活用する。 特に、子連れのメスの目撃情報は、個体数の急激な増加の前兆の可能性があるため、モニタリング結果によって 必要と判断された場合には、防除方法の見直しを行う。 (1)生態実態把握 効果的な防除に資するため、生息環境や繁殖状況、個体数推定等、生態に係る調査・研究を行う。 (2)被害実態把握 農林水産業被害(被害の対象、被害面積、被害金額、被害発生時期等)、生活環境被害(被害の対象、被害発 生時期等)、その他の被害(在来生物への影響等)について情報が得られた場合は、情報を収集する。

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(3)捕獲個体の措置支援にかかる個体調査 市町村より依頼を受け大阪府が措置支援を行う個体については、次のように個体情報を収集する。 ①基本データ 捕獲年月日、捕獲場所、捕獲理由(農作物被害、家屋侵入、生態系被害等)、性別、外部計測 ②動物由来感染症対策としての検査 トキソプラズマ症、レプトスピラ症等 ③繁殖状況 乳頭等の目視による観察 (4)効果的な防除手法 『捕獲実績報告書』より得られる情報(捕獲頭数、捕獲場所、捕獲効率:捕獲努力量あたりの捕獲数)を解析 するとともに、地域の実情に応じて、生息数の把握に必要なデータ収集を目的に計画的なわなかけを行い、より 効果的な防除手法の開発に努める。 (※)捕獲効率:捕獲器の設置台数と設置期間、設置場所、捕獲頭数の情報から算出し、生息密度の指標とな る。これにより、現在の捕獲圧により個体数削減できているかの検討、個体の高密度地域の 把握が可能となる。 図14は富田林市での捕獲効率のモニタリング例である。富田林市での捕獲頭数は徐々に増加しており、H22 年 度以降は 30 頭前後の捕獲が行われていた。一方で捕獲効率には増減傾向はみられず、0.3~0.4 と低い水準でほぼ 一定に保たれていた。地域ごとにみると、H20 年度までは中東部域のみで比較的高い値がみられたものの、その後 は全域的に 0.5 未満と低い値が維持されていた。これにより、富田林市では捕獲圧の強化によってアライグマの 増加を抑制できていると考えられる。

図14 富田林市におけるアライグマ捕獲頭数・捕獲効率の経年変化と分布状況

12.普及啓発 アライグマの被害対策の手引きを府のホームページに掲載するとともに必要に応じて随時改訂する。 0.3 0.4 0.3 0.4 0.3 0.3 5 15 13 36 26 31 0 10 20 30 40 50 60 70 80

0

2

4

6

8

H19 H20 H21 H22 H23 H24

( / H19 H20 H21 H22 H23 H24 捕獲頭数 捕獲効率

捕獲頭数と捕獲効率の経年変化

捕獲効率の分布

1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0~0.25 わな設置なし

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13.推進体制

防除実施計画の策定 モニタリング 『大阪府アライグマ被害対策検討委員会』 『大阪府アライグマ対策連絡協議会』 防除実施計画の実施 防 除 方 法 の 見 直 し モニタリング結果の 取りまとめ・解析による 計画の進捗状況、効果の検証 進行管理 指導・検討 図15 進行管理の流れ

参照

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