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デジタルカメラを利用した輝度分布測定システムに関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)デジタルカメラを利用した輝度分布測定システムに関する研究 林 洋一. (1) 使用デジタルカメラの諸特性の把握. 1.はじめに 光環境の評価に、照度分布のみの検討では不十分であり、. 広範囲の輝度幅を測定する際、デジタルカメラで撮影した. 光の分布状態を空間的に捉えるため、輝度分布を把握する必. 画像の各画素は 256 段階のデータしかなく、1 枚の画像では. 要がある。室内における照明の配置計画、照明器具の選定、. 対応できない。広範囲の輝度幅に対応させるためには、輝度. 窓からの採光計画を行う場合、まず用途や目的に応じた、光. 幅をいくつかに区切り、各輝度幅において、CCDに入射する. 環境計画の方針がたてられ、これに基づいて光の分布や、バ. 光量をシャッタースピードや絞りを変えることで調節し、適. ランスなどが組み立てられる。また、視環境の評価にあたっ. 正な露出条件を決定する必要がある。測定範囲の輝度幅を区. ても、その視野における目への光刺激と直接的に対応する輝. 切る際、デジタルカメラの機種ごとに CCDダイナミックレン. 度の分布を把握することが必須である。従来の輝度測定では、 ジが異なるため、区切る輝度幅は機種ごとに決定しなければ 対象空間に測定点を設定し、輝度計で逐点的に測定していた。 ならない。そのため、使用するデジタルカメラ、測定目標の しかし、輝度計による測定では、多数の測定点について短時 [ 1]. 間に輝度分布を得ることができない。そのため、中村 は写. 輝度範囲に応じて、露出条件を決定する必要がある。 (2) 輝度変換特性. 真測光法を開発した。しかし、撮影した画像はアナログのデ. デジタルカメラによる画像から輝度値を算出するには、画. ータで、輝度値の取得は手作業であり、また、その処理方法. 像の階調値と実際の輝度値との関係を調べ、その変換特性を. も特殊であるため、多大な時間と労力が必要であった。. 検討する必要がある。. 近年、デジタルカメラの普及と発展とともに、これを利用. 目標とする測定輝度範囲内で調光可能な測定面を作成し、. した輝度分布測定システムが開発されている。デジタルカメ. ( 1) で決定した露出条件ごとに、測定面が画像の中心に位置. ラで撮影した画像から輝度値が得られれば、容易に光の空間. するように撮影を行う。同時に、輝度計を用いて測定面の輝. 的分布を把握でき、視環境評価の大きな一助となる。. 度を計測する。撮影した画像がカラー画像である場合、各画. 本研究の目的は、画像を用いて光環境の印象評価や視環境. 素のデータは、 RGBそれぞれに 256段階のデータがあるため、. 評価に応用できる、実用的な輝度分布測定システムを確立す. 明暗情報のみの 256段階のデータ( 以降、ピクセル値と呼ぶ). ることである。本稿では、デジタルカメラを利用した輝度分. であるグレースケールに変換する。各露出条件において、測. 布測定システム構築までの一般的なプロセスを提案し、また、 定面のピクセル値と実測の輝度値との関係を調べ、輝度算出 魚眼レンズが装着可能で、露出条件がマニュアル操作でき、. 式を求める。. 比較的安価で入手しやすい Ni kon COOLPI X990 を用いて輝度. (3) 使用レンズの諸特性の把握. 分布測定システムの開発に関する検討を行う。上記の応用を. 光環境や視環境を評価する際、視点から前方にある輝度分. 視野に入れ、 標準装備レンズ( 3倍ズームニッコールの標準状. 布状態を把握することが重要なため、撮影には魚眼レンズを. 態) を用いる場合の輝度測定システムについても述べる。. 使用することが有用である。市販の魚眼レンズは等距離射影 形式の物が多いが、その特徴にレンズの周辺における光量が. 2.輝度分布測定システム構築のプロセス. 減衰するということが挙げられる。画像の周辺部において正. デジタルカメラで撮影した画像を利用して、輝度分布測定. 確な輝度値を求めるためには、どの程度の減衰がなされてい. を行うには、使用カメラ、レンズの諸特性を把握し、出力画. るかを確認し、補正をかけるか否かを決めなければならない。. 像と実測の輝度値の関係について検討しなくてはならない。. また、等立体角射影形式に変換をすることも必要である。. そこで、デジタルカメラ、デジタル画像の諸特性を踏まえ、. (4) 輝度分布状態の視覚的把握. 一般的に、デジタルカメラを利用して輝度分布測定が行える. 輝度の分布状態を視覚的に把握するために、撮影した画像. ように、システム構築までに必要な測定、検討事項などの大. の各ピクセル値から輝度を算出し、ヒストグラム処理、疑似. まかな流れを検討した。. カラー表現などが行えるプログラムを作成する。. 41- 1.

(2) 表 1 デジタルカメラの設定. 3.魚眼レンズ装着時の測定 3-1 輝度変換特性. 機種 測光方式 露出モード 絞り値 露出補正値 スピードライトモード 階調補正 感度 ホワイトバランス 輪郭強調. 測定は暗室にて行い、COOLPI X990 に魚眼レンズ( 等距離射 影形式のニコン FC- E8) を装着して撮影した。 図 1に測定に用 いた機材の配置を示す。カメラの各設定については表 1に示 す。光源には 100W形又は 150W形ハイビーム電球を使用し、 すりガラスとファイバークラフト紙を重ねたものを照射し、 測定面とする。デジタルカメラの出力画像は、圧縮による影 響を避けるため、TI FF形式のファイルである。. E990V1. 1 マルチ マニュアル F4. 4 0. 7 発光禁止モード コントラストI SO 100 曇天モード OFF. 測定面の輝度値を、調光器により 1∼10000cd/㎡の間で変 化させ、デジタルカメラで撮影する。同時に輝度計で、測定. 1200. 件として、大井[ 2] の測定を倣い、絞りを F4. 4 で固定とし、 シャッタースピードを、 測定面の輝度が 1∼10cd/㎡の場合は 1 秒、10∼100cd/㎡の場合は 1/8 秒、100∼1000cd/㎡の場合 は1/60秒、 1000∼10000cd/㎡の場合は1/500秒に設定した。. 輝度値[ cd/ ㎡]. 面中心の輝度を測定する。このときデジタルカメラの露出条. 撮影した画像は、パソコンに取り込み、画像処理ソフトで. 1000 800. 0. 0167x. y = 33. 884e R2 = 0. 9945. 600 400 200 0 0. グレースケール画像に変換する。輝度計の計測範囲約 1°の. 50. 円形照準内にあるピクセル値の平均を、画像のピクセル値と し、輝度計で計測した実測の輝度値との関係を求める。図 2. 100 150 ピクセル値. 200. 250. 図 2 輝度変換特性(F4. 4、シャッタースピード 1/500秒). に、シャッタースピード 1/500秒における、ピクセル値と輝 度値との関係を示す。また、デジタルカメラで撮影した画像. 表 2 露出条件ごとの係数. シャッタースピード 1/ 500秒 1/ 60秒 1/ 8秒 1秒. のピクセル値から、輝度値を算出するための輝度推定式は以 下である。. L = a × exp ( bL' ). 係数a 245. 09 33. 884 2. 7555 0. 2652. 係数b 0. 0181 0. 0167 0. 0201 0. 0212. ここで、. L:輝度 [ cd/㎡]. 3-2 魚眼レンズの周辺光量の減衰. L' :ピクセル値 [ - ]. 測定に使用した魚眼レンズは、等距離射影形式であり、レ. a, b:係数(表 2). ンズの周辺部において光量の減衰が予想される。そこで、魚 眼レンズの周辺光量の減衰特性について検討した。 各機材の配置は、前述の条件と同じである。測定面は、シ. ファイバークラフト. すりガラス. すりガラスに、 ファイバークラフト紙を. ャッタースピードが 1/60 秒、輝度値が、130cd/㎡となる場. 貼り付ける. 合と、シャッタースピードが 1/500 秒、輝度値が 1150cd/㎡ となる場合、2 種類の条件を設定した。このとき、測定面が 画像の中心に位置する時のレンズの角度を 0°、測定面が画. ハイビーム電球 ( 100W又は 150W ). 像の円周部に位置する時のレンズの角度を 90°として、カ. 測定面. メラのレンズ部分を 90°の角度幅で 0°∼40°までは 10° 間隔、40°∼90°までは 5°間隔で回転させて、撮影を行っ. 1. 5m. 1. 0m. た。撮影した画像は、グレースケールに変換し、ピクセル値 を読み取った。魚眼レンズの位置が 0°の画像のピクセル値 を 1として、回転させて撮影した画像のピクセル値を相対値 で表し、魚眼レンズの周辺光量の減衰特性を検証した。図 3 図 1 機材の配置. に、減衰特性のグラフを示す。. 41- 2.

(3) 魚眼レンズの周辺光量は、輝度値が異なる( 撮影時のシャ. は、標準装備レンズで撮影した画像を用いることがある。こ. ッタースピードが異なる) 場合でも、周辺部において 1 割程. こで、標準装備レンズで撮影した画像について、魚眼レンズ. 度減衰することが確認できた。また、減衰を表す関数の近似. の場合に求めた輝度推定式が適用できるかを検討した。 標準装備レンズで撮影した画像のピクセル値と輝度値と. 式はどちらの場合においても同じであることが分かった。つ. まり、魚眼レンズで撮影した画像から輝度値を算出するには、 の関係を見るために、発光面を作成し、デジタルカメラによ 輝度推定式だけでは不十分であり、より正確な輝度値を得る. る撮影と輝度計による輝度測定を行った。また、魚眼レンズ. には、補正をかける必要がある。また、その補正関数は、露. で撮影した画像のピクセル値との比較を行うため、魚眼レン. 出条件に関係なく同じである。補正関数は、図 3のグラフを. ズを装着して同発光面の撮影も行った。デジタルカメラの各. Y=1で線対称にした関数である。補正式は以下である。. 設定は、魚眼レンズ使用時と同条件とした。測定する発光面 は、 乳白色アクリル版を背後から光源( 25W形クリプトン電球. -5. 2. Y = 2×10 X - 0. 0011X + 1. 9 個) で照射し、9 点の測定範囲を作成した( 図 4) 。図 5 に各. ここで、. 機材の配置を示す。. Y:補正係数. 撮影した画像はパソコンに取り込み、グレースケールに変. X:レンズ中心からの角度. 換し、ピクセル値を抽出した。輝度推定式が標準装備レンズ. 光量の減衰(相対値). 使用時に適用できるかを検討するため、標準装備レンズの画 1.2 1.1 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0. 像のピクセル値と、魚眼レンズの画像のピクセル値を比較し た( 表 3) 。また、その精度を確認するために、それぞれのピ クセル値から輝度算出式を用いて得られる輝度値( 算出輝度 値) と、輝度計を用いて測定した輝度値( 実測輝度値) との差 を検討した( 表 4) 。その際、魚眼レンズ装着時の画像におい 0. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90. ては周辺光量の減衰も考慮し、測定位置によって周辺光量の 減衰補正式をかけ輝度値を算出した。. レンズの中心からの角度(度). 図 3 周辺光量の減衰特性(輝度値 1150cd/㎡) 25W形クリプトン電球. 電球固定用の箱 3-3 射影形式 使用した魚眼レンズは、等距離射影形式である。この形式. 3. は、光の入射角と画像の中心からの距離が比例するものであ 2. る。そのため、角度の挿入が容易であるという特徴がある。 しかし、光環境や視環境の輝度分布測定を行う場合、ある範. 1. 囲の輝度分布を把握するためには、その範囲内の面積が重要. 6. 9. 5. 8. 4. 7. 測定範囲. であり、等立体角射影形式に変換する必要がある。等立体角 射影形式は、画像上の面積が立体角に比例する形式である。. アクリル板を背後から照射し、. 乳白色アクリル板. 光を透過させる. 以下に変換式を示す。 図 4 測定用発光面. r =. 2 R si n( 45°× r / R). ここで、. 手前:デジタルカメラ. r :等立体角射影形式における画像の中心からの距離. 測定面. 奥:輝度計. r :等距離射影形式における画像の中心からの距離. 1. 5m. R :円形画像の半径 4.標準装備レンズの測定. 1. 0m. 4-1 標準装備レンズ使用時の推定式の精度 魚眼レンズを利用して撮影した画像は、周辺部が歪んでし まうため、デジタル画像を利用した光環境の印象評価実験で. 図 5 機材の配置. 41- 3.

(4) 撮影した画像はパソコンに取り込み、グレースケールに変. 表 3 魚眼レンズと標準装備レンズのピクセル値 ピクセル値 ピクセル値 測定位置 ( 標準装備レンズ) ( 魚眼レンズ) 1 154. 17 146. 44 2 160. 08 152. 00 3 157. 00 153. 17 4 174. 00 171. 83 5 168. 50 164. 67 6 161. 50 160. 33 7 143. 00 139. 67 8 150. 75 150. 33 9 163. 92 159. 50. 換し、それぞれの画像のピクセル値を抽出した。測定対象範 囲が撮影範囲の中心に位置する場合の画像のピクセル値を 基準として、光源部分が画像中心より離れる場合の画像のピ クセル値と比較した。表 5に結果を示す。 レンズの中心から垂直方向、水平方向、対角線方向ともに、 基準ピクセル値と他の画像のピクセル値は大差がなく、標準 装備レンズでは周辺光量の減衰がないことが分かった。. b. h. 測定対象範囲. g. 表 4 実測輝度値と算出輝度値の差 測定 位置. 実測輝度値 ( cd/ ㎡). 1 2 3 4 5 6 7 8. 3630 4060 4240 5460 4710 4450 3380 4130. 算出輝度値 差 ( 標準) ( 標準) ( cd/ ㎡) ( %) 3992 10 4443 9. 4 4202 0. 9 5716 4. 7 5174 9. 9 4558 2. 4 3261 3. 5 3752 9. 1. a. 算出輝度値 差 ( 魚眼) ( 魚眼) ( cd/ ㎡) ( %) 3470 4. 4 3838 5. 5 3920 7. 5 5495 0. 6 4827 2. 5 4463 0. 3 3015 9. 2 3675 9. 8. 1. f c. d. e. 撮影範囲. 標準装備レンズで撮影した画像のピクセル値と、魚眼レン. 図 6 光源の軌跡の位置. ズで撮影した画像のピクセル値を比較すると、測定位置に関 わらず、ほぼ同じであることが分かる。また、両レンズにお. 表 5 標準装備レンズの周辺減衰特性 光源位置 中心① 周辺a 周辺b 周辺c 周辺d 周辺e 周辺f 周辺g 周辺h. ける算出輝度値と実測輝度値との差を求めたが、両レンズと も実測輝度値との差は 1割程度であった。よって、レンズの 種類に関わらず、同一の推定式を使用できると考える。 4-2 標準装備レンズの周辺光量の減衰確認 標準装備レンズ (3倍ズームレンズの標準状態) について、 その周辺光量の減衰特性を検討した。. ピクセル値 114. 0 115. 0 113. 5 114. 3 113. 7 114. 0 114. 7 113. 6 114. 9. 相対値 ---1. 009 0. 996 1. 003 0. 997 1. 000 1. 006 0. 996 1. 008. 機材の配置、デジタルカメラの設定は、輝度推定式の精度 確認の測定時と同じである。ただし、光源として利用する電. 5.総括. 球は、クリプトン電球 1個のみである。標準装備レンズにお. 輝度分布測定システム構築のためのプロセスを提案し、. ける周辺光量の減衰確認は、撮影範囲内の中心から垂直方向、 COOLPI X990を利用した測定システムを検討したが、輝度推定 水平方向、対角線方向について検討した。垂直方向、水平方. 式とレンズの種類による補正式を利用して、画像から輝度を. 向については、光源を撮影範囲内の中心に固定し、乳白色ア. 算出することが可能となった。今後、視覚的に輝度の分布状. クリル板を照射し光を透過させ測定面として、デジタルカメ. 態を把握するためには、擬似カラー表現などが行えるプログ. ラのレンズ部分を段階的に回転させながら、撮影した。対角. ラムの作成が必要である。また、圧縮ファイル形式を利用し. 線方向については、レンズ方向を正位置に固定し、光源位置. た輝度測定についても検討する必要がある。. を段階的に移動させて、測定面を作成し、撮影を行った。い ずれの場合も、光源で照射された測定対象範囲の輝度値は、 1890cd/㎡で固定させている。撮影範囲内において、レンズ 方向の回転、光源の移動による測定対象面が辿る軌跡の範囲. 参考文献 [ 1]. [ 2]. を図 6に示す。. 41- 4. 中村洋:正射影カメラによる輝度および輝度分布の測定 その 1. 写真測光法と正射影カメラ・感光材料、日本建築学会論文報告集第 243号、1976 大井尚行:普及型デジタルスチルカメラを用いた輝度分布計測シス テムの構築、日本建築学会学術講演梗概集、D- 1、pp. 409- 410、2000.

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