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Ⅰ 離島観光の現状 1. 離島観光の推移日本では 約 40 年前の昭和 40 年代後半に離島ブームがありました この時期 離島への観光客数は 12,000 千人を超えましたが ピークを迎えた離島への観光客も次第に減少していき 平成 20 年にはピーク時の 55 % になっています 現在でも日本全体の

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天売島・焼尻島の観光

平成

29 年度

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Ⅰ 離島観光の現状

1.離島観光の推移 日本では、約 40 年前の昭和 40 年代後半に離島ブームがありました。この時期、離島へ の 観 光 客 数 は 12,000 千人を超 えましたが、ピ ークを迎えた離 島への観光客も 次第に減少 していき、平成 20 年にはピーク時の 55 %になっています。現在でも日本全体の傾向とし て、離島への観光客数及び宿泊客数は年々減少しています。 離島の観光客の推移 国土交通省:離島の現状について(平成24 年) 2.人気の離島 日本には6,852 の島があります(総務省:日本統計 人気の離島ベスト10 年鑑平成24 年・ただし、有人離島は全国に 305 島)。 順位 島 名 所在県 こ の 中 か ら 注 目 を 浴 び る 離 島 を 阪 急 交 通 社 の 「 全 国 1 利尻島・礼文島 北海道 の離島ランキング」で見てみます。 2 壱 岐 島 長崎県 1 位は北海道の利尻島・礼文島、2 位は長崎県の壱 3 小 豆 島 香川県 岐 島 、3 位 は 香 川 県 の 小 豆 島 と な っ て い ま す 。 ベ ス 4 屋 久 島 鹿児島県 ト10 位を見てみると、鹿児島県や沖縄県の離島など、 5 佐 渡 島 新潟県 日 本 の 南 に あ る 離 島 が 半 数 以 上 を 占 め ま し た が 、1 6 淡 路 島 兵庫県 位は利尻島・礼文島という結果になっています。 7 久 米 島 沖縄県 本 土 か ら 離 れ る こ と か ら 、「 行 き づ ら そ う 」 と い 8 奄美大島 鹿児島県 う イ ー ジ も あ る 離 島 で す が 、 人 気 の 離 島 は ア ク セ ス 9 石 垣 島 沖縄県 も 良 い 傾 向 に あ り ま す 。1 位 に な っ た 利 尻 島 ・ 礼 文 10 宮 古 島 沖縄県 島 も 、 羽 田 ・ 伊 丹 ・ 中 部 の 各 空 港 か ら 航 空 機 で 乗 り 注)平成 28 年 6 月 1 日~ 29 年 5 月 31 日 継 い で 新 千 歳 → 利 尻 と い う ア ク セ ス も 可 能 で 、 両 島 阪 急 交 通 社 催 行 ツ ア ー で 、 離 島 が 含 を合わせて訪れる人が多くなっています。 まれるツアーの申込者数を集計

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3.北海道の離島観光客入込数 北海道には離島振興対策実施地域の指定が 6 島あります。そのうち、観光客の入込があ る天売島・焼尻島・利尻島・礼文島・奥尻島5 島の観光客入込数をみてみます。 平成 27 年度、5 島には年間約 338 千人ありました。季節的には夏季の入込が 60 %と圧 倒的になっています。各島の入込数は、天売島・焼尻島が 7.5 千人程度に対して、先に示 したように人気のある礼文島・利尻島は 150 千人、奥尻島も 30 千人となっており、桁違 いの圧倒的な差があります。離島観光が必ずしも人気を博していない状況の中で、北海道 の同じ離島にあっても天売島と焼尻島の認知度や実際に来島する観光客の少なさが実態と してあります。 北海道の離島観光客入込状況 (千人) 春 夏 秋 冬 25.3 25.6 25.9 25.12 計 ~ 25.5 ~ 25.8 ~25.11 ~ 26.2 天 売 島 0.8 5.6 0.8 0.2 7.4 焼 尻 島 0.9 5.7 0.8 0.2 7.6 利 尻 島 23.5 90.0 37.5 4.4 155.4 礼 文 島 20.0 82.3 30.7 2.5 135.5 奥 尻 島 5.0 17.5 7.6 2.2 32.3 北海道計 50.2 201.1 77.4 9.5 338.2 離島統計年報2015:日本離島センター(平成 27 年) ※利尻 島は、利尻 町と利尻富 士町の観光 客入込数 が同じこと から、 この同一の入込数を利尻島の入込数としている。 4.北海道の離島観光の現状 5 島を比較してみると、天売島・焼尻島の 2 島と他の 3 島とでは島の規模や観光インフ ラに大きな差があることがわかります。 天売島・焼尻島の面積が 5 ㎦程度なのに対し、最大の利尻島は 182 ㎦と 36 倍も大きく、 3 島の内 で一番小 さい礼 文島でも 81 ㎦あります。この島の規模の違いが、観光に対する圧倒的 な潜 在 力 の 相 違 に なっ て い る よ う です 。 こ の 大 き な 利 尻 島 ・ 礼 文 島 ・ 奥 尻 島 に は 、 天 売 島 ・ 焼 尻 島と比 べて離島 としての 豊富な自 然条件に加え、島内観光を満足させる観光施設、温泉施設等 を数 多く有しています。各島 が有する観光資源の ボリュームや観光 客の受け入 れなどの差が 端 的に現れています。 加えて、交通インフラの差があります。離島への交通は船が主体となりますが、就航船の大き さもさることながら、利尻島・礼文島・奥尻島の 3 島には空港が設置されています。空からのアク セスも可能である 心理的効果は大きなものがあり、先の離島人気の要素に交通アクセスの便利 さがあることからも理解できるます。また、 3 島には路線バスの運行も行われて、島内移動の足 の 便 が 確 保 さ れ て い る こ とも 大 き な違 い で す 。天 売 島 ・ 焼 尻 島 に と っ て 、 交 通 イン フ ラ の 差 が 観 光客の入込に大きい影響を与えていることも伺えます。

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北 海 道 の 離 島 観 光

5 島 比 較

天 売 島 焼 尻 島 利 尻 島 礼 文 島 奥 尻 島 総 面 積 5.05 ㎦ 5.21 ㎦ 182.15 ㎦ 81.33 ㎦ 142.73 ㎦ 人 口 (H22 国 調 ) 366 人 273 人 5,627 人 3,078 人 3,033 人 運 航 会 社 羽 幌 沿 海 フ ェ リ ー ( 株 ) 資 本 金 2,500 万 円 ハ ー ト ラ ン ド フ ェ リ ー ( 株 ) 資 本 金 :1 億 円 航 路 就 航 都 市 羽 幌 町 稚 内 市 江 差 町 瀬 棚 町 就 就 航 船 排 水 量 高 速 船 122㌧ フ ェ リ ー 489 ㌧ 3,551 ㌧ 3,555 ㌧ 3,578 ㌧ 3,631 ㌧ 航 定 員 高 速 船 130 人 フ ェ リ ー 300 人 500 ~ 550人 475 ~ 550人 500 ~ 550人 460 人 状 便 数 1 ~ 6往 復 / 日 2 ~ 4 往 復 / 日 2 ~ 5 往 復 / 日 1~2 往 復 / 日 0~2 往 復 / 日 況 航 路 距 離 35 ㎞ 24 ㎞ 52 ㎞ 59 ㎞ 61 ㎞ 43㎞ 乗 船 時 間 高 速 船 1:00 フ ェ リ ー 1:35 高 速 船 0:35 フ ェ リ ー 1:00 1:40 ~ 1:50 1:55 2:10 1:35 運 賃(2 等 : 円 ) 高 速 船 4,100 フ ェ リ ー 2,290 高 速 船 2,780 フ ェ リ ー 1,570 2,140 円 2,370 円 2,370円 1,810 円 空 空 港 有 無 な し な し 利 尻 空 港 ( 第 3 種 空 港 ) 礼 文 空 港 ( 第 3 種 空 港 ) 奥 尻 空 港 ( 第 3 種 空 港 ) 港 滑 走 路 距 離 - - 1,800 m 800 m 1,500 m 乗 降 客 数 (H27) - - 38,183 人 - 10,995 人 路 線 バ ス 有 無 な し な し あ り あ り あ り 営 業 - - 宗 谷 バ ス 2路 線 宗 谷 バ ス 4 路 線 町 営 2路 線 ホ テ ル 旅 館 軒/収 容 力 5 軒 293人 2 軒 150 人 28軒 1,712人 9軒 836 人 6 軒 423人 民 宿 軒/収 容 力 6 軒 135人 2 軒 45人 6 軒 110人 15 軒 383 人 19軒 460 人 年 間 宿 泊 者 収 容 力 156.2 千 人 71.2 千 人 665.0 千 人 444.9 千 人 322.3 千 人 年 間 宿 泊 者 数 4.3 千 人 3.9千 人 101.9 千 人 54.2 千 人 32.1 千 人 年 間 稼 働 率 2.8% 5.5% 15.3% 12.2% 10.0% 自 然 海 鳥 : 世 界 最 大 ウ ト ウ の 繁 殖 地 オ ン コ の 荘 利 尻 山 ・ ポ ン 山 ・ ペ シ 岬 ・ 沓 形 岬 ス コ ト ン 岬 ・ ゴ ロ タ 岬 ・ 澄 海 岬 球 島 山 ・ 賽 の 河 原 ・長 浜 海 岸 ・ 無 縁 島 オ ロ ロ ン 鳥 他 ウ グ イ ス 谷 神 居 海 岸 ・ 姫 沼 ・ オ タ ト マ リ 沼 地 蔵 岩 鍋 釣 岩 ・ ホ ヤ 岩 ・ モ ッ 立 岩 ・ カ ブ ト 岩 赤 岩 甘 露 泉 水 ・ 麗 峰 湧 水 礼 文 岳 ・ 礼 文 滝 ・ 久 種 湖 西 海 岸 の 奇 岩 群 沼 浦 湿 原 ・ 南 浜 湿 原 ・ 種 富 湿 原 レ ブ ン ア ツ モ リ ソ ウ 群 生 地 観 顔 面 岩 ・ 寝 熊 岩 景 勝 地 観 音 岬 展 望 台 鷹 の 巣 園 地 白 い 恋 人 の 丘 ・ 夕 陽 ヶ 丘 展 望 台 桃 台 猫 台 ・ 桃 岩 展 望 台 野 塚 展 望 台 ・ 見 返 台 園 地 光 公 園 雲 雀 ヶ 丘 公 園 沓 形 岬 公 園 仙 法 志 御 崎 公 園 歴 史 ・ 記 念 碑 焼 尻 郷 土 館 ( 旧 小 納 家 ) 利 尻 島 郷 土 資 料 館 ・ 会 津 藩 士 の 墓 日 食 観 測 記 念 碑 宮 津 弁 天 宮 資 マ ク ド ナ ル ド 上 陸 の 地 北 の い つ く し ま 弁 天 宮 マ ク ド ナ ル ド 上 陸 記 念 碑 施 設 天 売 島 パ ー ク ゴ ル フ 場 め ん 羊 牧 場 利 尻 町 立 博 物 館 北 の カ ナ リ ア パ ー ク 奥 尻 島 津 波 館 ・ 奥 尻 ワ イ ナ リ ー 源 海 の 宇 宙 館 カ ル チ ャ ー セ ン タ ー & リ ッ プ 館 高 山 植 物 園 う に ま る モ ニ ュ メ ン ト ・ 時 空 翔 高 山 植 物 展 示 園 ・ 利 尻 島 の 駅 佐 藤 義 則 野 球 展 示 室 温 泉 利 尻 ふ れ あ い 温 泉 ・ 利 尻 富 士 温 泉 礼 文 島 温 泉 う す ゆ き の 湯

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Ⅱ 離島振興計画における位置づけ

こ こ で は 、「 北 海 道 離 島 振 興 計画 」 と 「 羽 幌 町離 島 振興 計 画」 か ら、 天 売島 ・ 焼尻 島 に おけ る 観 光 に 対 す る 考 え 方を 示 す と と も に 、 (一 社 )寒 地 港 湾 技 術 研究 セ ンタ ー が行 っ た 「離島観光客の入り込み構造の分析と制約要因 への対応に関する調査研究(平成 27 年)」 についてみてみます。 1.北海道離島振興計画 北海道離島振興計画(平成 25 年 4 月)の対象地域は、離島振興法第2条第1項に基づ き 指 定 さ れ た 、 礼 文 島 ( 礼 文 町 )、 利 尻 島 ( 利 尻 町 、 利 尻 富 士 町 )、 天 売 ・ 焼 尻 島 ( 羽 幌 町)、奥尻島(奥尻町)、小島(厚岸町)の5地域6島(6町)で、 計画期間を平成 25 年 度~平成 34 年度の 10 か年間としています。 このうち、天売島・焼尻島の観光の現状と 対策についてみてみます。 【観光の現況】 本地域は、天売島の海鳥や焼尻島のオンコ自然林などの豊かな自然環境を活かし、バ ードウォッチング等の自然体験型の特色ある観光に取り組んでいるほか、ウニやめん羊 などの地域資源を活かしたイベントを開催している。また、貴重な観光資源であるウミ ガラス(オロロン鳥)の絶滅を防ぐため、保護対策に取り組んでいる。観光客入込数に ついては、平成 13 年度が 27,974 人で、平成 23 年度が 15,320 人と 45.2%の減少となって お り 、 地 域 資 源 の P R や滞 在 交 流 型 観 光の 創 出 の ほ か 、 通 年 型観 光 の 創 出 が 課題 と な っている。 【観光振興対策】 天売島・焼尻島の振興に向けて基本方針を次のように示している。 「 活 力 と安 心 の あ る 幸 せ を 実 感 でき る 島 」 を 基 本 目 標 に、 そ の 実 現 に 向 け て 「1.魅 力 あ る 漁 業 が 営 め る 島 」「2.安心し て暮らせる島」「3.人がやって来る島」の 3 つの 柱を掲げている。 観光に関わる「3.人がやって来る島」については以下の通り想定しています。 ・海鳥保護対策 ・自然環境・景観の保全 ・エコアイランド構想推進 ・観光施設の整備 ・観光メニューの開発 ・情報通信基盤施設の計画的な整備 今後の天売島・焼尻島の観光の開発観光については、 ブロードバンド環境を活用したホームページやブログなどによる情報発信や、水産資 源や自然、文化財などの地域資源のPRを充実するとともに、滞在交流型観光メニュー の開発や地域産物を活かしたイベントを実施する。 また、リピーターの確保や新たな観光客の誘致など交流人口の拡大を図るほか、通年 型観光の検討を進める。本土との連携については、本土と離島間の周遊観光メニューの 開発を進めるほか、他離島との広域連携によるPRなど離島の魅力向上を図る。

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2.羽幌町離島振興計画 離島振興法の改正および北海道離島振興計画の策定に合わせて、長期的かつ総合的な視 点から島の再生への道筋と将来像を明らかにするものとして「羽幌町離島振興計画(平成 25 ~ 34 年度)」を策定しました。この計画では道の計画にある「魅力ある漁業が営める 島」、「安心して暮らせる島」、「人がやって来る島」と同様に、3 つの基本目標を達成する ため、15 の施策項目を定めて島づくりを進めることを示しています。 【観光振興の現状と課題】 本地域は、ウミガラスの繁殖地で知られ、暑寒別天売焼尻国定公園に指定されており、 天売島の海鳥や焼尻島のオンコ自然林などの豊かな自然環境を活かし、バードウォッチ ング等の自然体験型の特色ある観光に取り組んでいます。しかし、離島を訪れる観光入 込数は横ばいか減少傾向にあり、飲食業や旅館業、運送業などの幅広い業種に影響する ことから、地域の情報発信や地域のブランド力の向上を図るほか、リピーターの確保に 向けた取組や新たな観光客の誘致など交流人口の拡大を図る必要があります。また、水 産資源や文化財などの地域資源を有効に活用するとともに、滞在交流型観光の充実や冬 期間の観光メニューの創出が求められています。 【重点的な取組と方向性】 [施策1 観光施設の適切な維持管理を進めます] 計画的な観光施設の整備及び修繕を進めていきます [施策2 観光に関する取組を支援します ] 非営利団体等によるイベントやPR、交流などの観光に関する取組を支援していき ます。 [施策3 特産品や土産品の開発、研究を支援します] 地域資源を活用した料理や土産品等の開発、研究を支援していきます。 3.寒地港湾技術研究センター調査研究 平成 20 ~ 24 年度に実施した同所の「北海道の離島観光における港湾利活用に関する 調査研究」の結果を踏まえ、天売島・焼尻島の観光振興に向けた検討材料を示してます。 【現 状】 ・天 売 島 は 海 鳥や ウ ニ 、 焼 尻 島 は め ん 羊牧 場 や オ ン コ の 原 生 林が 知 ら れ て お り、 観 光 入込客 数は昭和 49 年をピークに減少傾向である。平成 21 年度以降は 18,000 人前 後(2島合算)で推移し、入込の大半は夏期に集中している。 ・人 口 減 少 や 高齢 化 は 道 内 離 島 の 中 で も著 し い 。 地 域 の 現 状 を踏 ま え 、 基 幹 産業 で あ る水産業と、その他地域資源を活かし、観光入込の維持増加・観光振興を目指した 取組(フェリー・高速船運賃の割引サービス、イベントの実施等)を進めている。 【課 題】 ・観光振興上、個人型観光客の量的維持・拡大は重要な課題である。しかし、天売島 焼尻島の観光資源は量的に限られており、視点を変えてみることも必要。 ・ウニやサフォークラム肉などを生かした食シーンの構築。 ・国内に留まらず、外国人観光客を対象とした誘客プランと情報発信方法の検討。 ・観光振興を担う人的資源の確保。

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Ⅲ 天売島・焼尻島観光の方向性

1.観光受入の限界 天売島・焼尻島が有する条件として島の絶 対的な狭小性があります。両島共にその面積 は 5 ㎢程度にすぎず、他の利尻島・礼文島・ 奥 尻 島 に 比 べ て 圧 倒 的 に 小 規 模 で す 。 こ の た め 、 両 島 に 暮 ら す 島 民 の 数 も 600人 程 度 で 観 光 天売島 対応が非常に限られています。 こ の 狭 小 性 は 、 天 売 島 ・焼 尻 島 に と っ て 次 のような種々の条件に限界を来すことが考え られます。 ・観光資源(質量)の限界 ・宿泊施設の限界 ・観光対応人員の限界 など 焼 尻 島 観 光 振 興 を 掲 げ る 上 で は 、 観 光 客 の 増 加 を 見 込 む こ と が 意 図 さ れ な け れ ば な り ま せ ん が 、

離島の大きさ比較

(同一縮尺) 観 光 客 の 増 加 に 対 す る 種 々 の 受 入 条 件 が 充 た さ れ な け れ ば 、 来 島 す る 観 光 客 へ の 満 足 度 は

天 売 島

焼尻島

得られません。むやみに数的な観光振興を考え るのでは、受 入側 と観光客 との間 に均衡が保 て な く な り 、 ど こ か に ほ こ ろ び が 生 じ 、 そ の ほ こ ろ びが徐々に拡大する可能性もあります。 このた め、天売島・焼尻島が持つべき観光の 質や受入可能な観光客数を十分に理解し見据 えた観光振興計画を立てることが重要になり ます。 一方でこの狭小性は、離島が持つ価値観そ のものです。この離島の価値観を取り入れ、 上手に観光資源の整備や受入体制を整えるこ とで、他島と差別化されることが期待できる のではないでしょうか。小さい島だからこそ 持っている距離感の近い対応や限定されるこ とでのステータス感などは、観光振興として の大きな武器になると考えます。 これらのことを考えて、天売島・焼尻島の 観光を、観光客の数だけを追わない限定的な 観光を考慮しながら、この価値観を最大化す ることが重要と考えます。

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天売島・焼尻島の観光を考える構図

離島振興計画における課題 離島振興計画における取組・対策 観光受入れの限界 [地域資源の有効活用とPR] [海鳥保護対策][自然環境・景観の保全] [地域の情報発信][交流人口の拡大] [エコアイランド構想推進] 観光資源の限界・宿泊施設の限界・対応人員の限界 [地域ブランド力向上][食シーン構築] [観光施設の整備][観光メニュー開発] [通年型観光の創出] [情報通信基盤施設整備] 受入規模をどうするか [滞在交流型観光の充実] [非営利団体等によるイベントやPR、交流] [個人型観光客の量的維持拡大] [地域資源活用の料理や土産品研究開発] 価値観の最大化 [外国人観光客誘客プラン検討] 出典)北海道離島振興計画・羽幌町離島振興計画 [観光振興を担う人的資源確保] 寒地港湾技術研究センター調査 [要素] [内 容 例] 観光振興の指針として [視点] ○ 自 然 全周展望・日の出、日の入→宿泊需要等 離島観光の現状 資源の活用 ○ 【目的】 ○ 海 鳥 オリエンティーション強化・見学の足、施設整備等 観光客の減少 【離島の価値観】 天

天売島

売 南高北低の人気 環 海 性 資源の補強 めん羊 放牧ショー化・羊肉料理提供・オーベルジュ゙等 (南の島への人気大) 狭 小 性 隔 絶 性 焼 外国人観光客の増加

焼尻島

漁 業 漁参加・競り参加・調理参加・漁師飯等 資源の発掘創造 ○ 島 観光客受入の貧弱化 (少子高齢化人口減少) 人 材 天売高校生の観光参画・離島人材育成等 天売島・焼尻島の現状 光 観光客の減少 資源の連携 ○ 振 他島との観光客差 ○ 他観光地 ルート観光確立・オロロントライアングルの設定等 興 小 規 模 性 強 (面積・人口・観光対応等) 交通アクセスのひ弱さ 情 報 情報付加価値化・IT 活用・発信多様化等 観光資源の少なさ 知 名 度 差 集 客 ○

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2.観光の提案 離島の価値観は、「環海性」「狭小性」「隔絶性」であるといわれています。離島観光は、 この価値観を取り入れ喧伝することが重要になります。本土にはない「周りを海に囲まれ た小さな孤島」それ故に魅せられるのが離島です。この価値観の最大化が天売島・焼尻島 観光 の 目 指 す と こ ろ で あ り、「 小さ な 島 で し か でき な い距 離 感の 近 い観 光 」が 差 別化 と 特 別感をもたらすことになります。 しかし天売島・焼尻島は、小さな離島であるが故の問題や課題が観光振興の前に立ちは だかっています。観光振興に対する限界があるのも前述した現実です。これらのことを十 分に理解して、天売島・焼尻島の今持っている資源を如何に有効に活用するのはもちろん、 その特性を活かすことや逆転の発想をもって、さらなる振興につなげるかを考えてみます。 【天売島・焼尻島の観光を考える上での考慮点】 (1)離島観光の現状は停滞気味です。この状況で観光客へのアピールは差別化や特別 感が重要となります。 (2)離島観光の人気は、概して南高北低の傾向があります。このため、北の離島イメ ージをプラスとして定着させることが重要で、そのためのインパクトある資源づ くりが必要となります。 [冬・荒波・北の自然等の要素活用] など (3)天売島・焼尻島は、利尻島・礼文島と同じく観光流動は2島のペア観光です。このため、 両 島 往 来 の 便 利 さ の 確 保 や 両 島 と も 訪 れ た い と 思 わ れ る た め の 特 色 あ る 資 源 に よ る 差別化が課題となります。 ( 4 ) 小 さ な 離 島 故 に 観 光 資 源 や 対 応 で き る 人 員 の 少 な さ な ど 、 許 容 でき る 観 光 客 数 ・ 受 け入 れ対応 の限 界あり ます。この限 界を観光 客に特 別感としてプラスに作 用する感 覚に代えるような観光振興の全体像を考えます。 (5)観光資源のボリュームが少ない現実を見据えると、現在の資源に対する魅力の付 加 や 新 らた な資 源 の 開発 等 に 重 きを置 く必 要 性 が あり ます 。さら に 、時 間 消 費 型 観 光 への考慮を加味することも重要となります。 現在、いろいろなことが取り上げられ観光資源が個別多様化する環境の中にあっても、 観光の本質は観光客にとっての魅力ある各種資源の提供に他なりません。一過性のブーム づくりや一発の打ち上げ花火のような情報拡散で観光振興を考えるのではなく、天売島・ 焼尻島が保有する価値を魅力的に提供することで、それを十分に理解してくれる地道なフ ァンづくりが可能となってきます。観光客は資源が無い所若しくは希薄で魅力無い所には 来てくれません。 このような考え方に基づいて天売島・焼尻島の観光振興を、観光資源からの視点と集客 の視点から整理して、天売島・焼尻島が持つ観光要素と対応させることで、天売島・焼尻 島の観光について提案を試みます。

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天 売 島 ・ 焼 尻 島 の 観 光 提 案 要 素 活 用 素 材 活 用 内 容 関連・影響 対 象 ポ イ ン ト 整 備 例 ・小さな離島 ・日の出&日の入 ・ガラス張り展望施設 朝・夕の日の出と日の入をセット 自 然 離島の価値観を活用した360 度全周展望、全天展望 「北海道本土からの日の出」と「日本海に沈む日の入」をペアにした絶景堪能 小高い丘の上に建つガラス張り展望施設からの朝夕の超絶眺望 にすることで宿泊需要の拡大を見込める 焼尻島 ・お日様観光、お星様観光 満天の星の観察 ・海鳥 ・世界最大の繁殖地をアピール ・単に見るだけだなく、海鳥の生態理解と海 期間的偏りが大きいことから、期 ウトウ 研究施設もあり「見るだけの観光」から 鳥視線で環境を俯瞰する機能と施設 間外の集客要素の強化 (40 万羽世界最大のコロニー) 「学べる観光」へ ・オリエンテーション施設 北海道海鳥センター(羽幌)との 海 鳥 オロロン鳥の繁殖地 ・海鳥のラッシュアワー 見学前後スタディの実施 連携 天売島 5 月~ 7 月の期間 ・海鳥と対峙ができる島 ・見学交通の利便性確保 学術研究機関の観光への参加方法 ・見学施設・設備整備(観音岬) ・羽幌町営焼尻めん羊牧場 ・めん羊の積極的な観光資源化 ・めん羊の放牧ショー 宿泊者を限定した宿泊することへ 目 飼育頭数650 頭 孤島のめん羊放牧 ・羊肉料理(フルコースの提供) のステータス保持。小さいホテル めん羊 ブランドサフォーク肉 最高級サフォーク肉 「ここでしか」のステータス だからできる「おも てなし」を 焼尻島 地元でしか味わえない羊肉メインのフ ↓ 武器に ルコース料理の提供 宿泊施設整備(オーベルジュ) 経営維持のための戦略が必要 ・日本海の豊富な水産資源 ・漁業を動態で楽しむ ・遊魚漁船 北るもい漁協との連携 漁 業 甘えび,ホタテ,タコ,ウニ宗八ガレイ, 寒ビラメ 魚を流れの体感漁体験→競り体験→料理体験→食体験 ・水揚場(競り場)の整備・漁師飯レストラン 羽幌の日本海海の幸「食」の質量観光と漁業の融合方法あり方 天売島(羽幌) 鰊 等 日本海の新鮮な海の幸 イサバヤ食堂本店支店の展開 アップと拠点化 ・天売高校生 ・圧倒的に少ない島民 ・観光に携わる専業に近い人材の活用育成 観光に携われる人材の確保と将来 ・島民皆おもてなしびと 観光客を受け入れるにも対応人材の少な 天売高校生の観光の仕事化 的な人材養成 天売島 人 材 さをカバーすることで、観光対応の強化 観光公務員の常駐 天売高校に離島科や科観光科設置 焼尻島 を図る 島仕事の観光化→意識としての島民の観光 の検討 的 への参加し易さ配慮 ・日本海の栄華と食彩 ・ルート観光の拠点整備 ・「漁の歴史」「食の歴史」を体感できる観光 各拠点整備とルート周知の徹底 日本海を辿る 札幌を起点とした観光圏の確立をするこ ゾーンの整備と市場浸透 サロベツ原野・礼文利尻島、北寄 資 源 石狩→増毛→小平→羽幌 とでルート拠点の整備による立寄・集客 石狩:鮭の漁と料理観光 行への誘い 天売島 の連携 オロロントライアングル羽幌の観光強化・天売焼尻連携 ・「北の日本海の群像化」の強化を図る 雄冬:自然観光増毛:歴史の一頁と酒・海鮮・果実 日本海物語の創造 焼尻島 テーマの統一性を持った整備方針 小平:旧花田家番屋 ・時化の海 ・時化だからできる特別な「おもてなし」 ・時化の館(時化の時だけに開館する) 逆転の発想から生まれる価値観を 風雨で海が荒れ狂う日本海 観光時における「時化」は魔物。しかし、 「時化」の時、フェリー欠航で取り残され 観光客に提供することで、差別化

+α

の観光客への提供この時化を逆転の発想で活用する特別感 た観光客をもてなす施設風雨の外、中は良質な空間でゆっくりした と特別感を醸成する小さい離島だからできる特別な観 天売島 焼尻島 ・足止めされることの心地よさ 時間が流れ自分三昧の時を過ごす。 光おもてなし このときだけの特別な料理が提供される ・多様な情報源の提供 ・観光客の行動や情報の必要な場面を想定 ・計画時:雑誌、ガイドブック等の媒体活用 IT の活用が大きな影響力を持つ 情 報 ・IT の総合的活用 しそれに応じて必要な情報を適切な手 ウェッブサイトの提供 ただし、IT の開発メンテナンスに 手 段、方法で提供する ・移動時:カーナビに連携した「まちナビ」 は費用も掛かることを考慮 ・観光時:スマホ連動の情報提供システム 天売島 ・羽幌までの交通アクセス ・離島へのアクセスの利便性確保 ・公共交通(バス):ルート観光バスの運行 特別感を醸し出すためには 焼尻島 段 ・天売焼尻島へのフェリーアクセス ・中継拠点の魅力度アップ ・車のためのルート観光アクセス拠点の整備 クルーザーの就航やヘリコプター 交 通 ・アクセス方法の多様化 ・フェリーの増便、運賃の減額 の運航も考慮できるか

参照

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