様式8の1の1 別紙1
論 文 の 内 容 の 要 旨
NNoo..11専攻名 システム創成工学 専攻 氏 名 Pham Duc Quang
「測れないものは作れない」と言われるように,各種機器の部品製造現場において,計測技術 の恒常的な向上は極めて重要であり,計測技術の進歩が製造技術の進歩を支えていると言える.�
製造ライン上で製品計測を行うオンライン計測を目指した高い測定スループットに加えて,高い 精度と広いダイナミックレンジや,高い空間分解能と広い計測領域の相反する要求を同時に向上 するための,デバイスの進歩による連続的な性能向上と革新的手法の開発による非連続的な性能 向上が求められている.�
その中で,光計測技術は,情報媒体として光が本質的に有する性質である,非接触,非破壊,
並列性に加えて,画像処理技術と融合により処理の柔軟性を獲得し,工業製品の多くの製造現場 で用いられている.�特に,高い精度と広いダイナミックレンジを両立するような新しい表面形状 測定は,奥行き方向に大きな高低差のある物体を測定対象とし,高速・高精度な手法の開発が,
現場技術として求められている.�
本論文では,奥行き方向に大きな高低差のある物体を計測するための,2つの新しい手法につ いて記述される.�一つは,広いスペクトルを有する白色光と波長分散性位相シフト法を組み合わ せた計測手法である.�白色光で物体を照射し,波長毎の異なる位相変調により,物体の高低差の 情報とスペクトル情報を同時に取得すると共に,複数の波長情報を利用して,数1100マイクロメー トルの実効波長で計測を可能にした.�もう一つは,安定化モードロックフェムト秒レーザーによ り生成されたラジオ波周波数(RF: radio frequency)と,単一画素カメラによって,物体形状測定を実 行する手法である.�RRFFを利用することによって,実効波長をセンチメートルオーダーにすると共 に,光源の高い周波数安定性から,1100の--55乗以上のダイナミックレンジを実現した.�
本論文は,5章で構成されており,各章の概要は以下の通りである.�
第1章では,研究の背景と動機や意義について示した.�
第2章では,本研究の基礎となる回折理論,コヒーレントとインコヒーレント光学システム,
ディジタルホログラフィ,光周波数コム,圧縮センシングについて示した.�
第3章では,広いスペクトルを有する白色光と波長分散性位相シフト法を組み合わせた低コヒ ーレンスディジタルホログラフィの提案と実証を示した.�白色光を用いて干渉計を構成し,波長 分散性の位相シフトを行いながら,高速カメラを用いて多数枚の干渉像を取得する.�波長分散性 の位相シフトは,各スペクトルに対して異なる周波数変調を与えるので,各画素の時間変化を周 波数解析することにより,各スペクトルの複素振幅を取得できることを理論的および実験的に示 した.�この計測手法は,多波長の同時計測が実行できると共に,任意の波長を選択して計測でき ることを特徴としている.�スペクトル分解能は,イメージセンサーのサンプリング間隔と画像取 得枚数の積である時間窓の逆数で決まり,サンプリング間隔と画像取得枚数は,それぞれ,カメ ラのフレームレートと画像記録可能枚数を決める搭載メモリーで決まる.�一般に,フレームレー トを向上させると信号雑音比は低下するので,測定対象にあわせたカメラの選択は重要である.�
実験では,波長800nmで50Hzになるように変調を与え,傾斜させた鏡の形状を測定したところ,
波長800nmにおいて計測のRMS誤差は8.8 nmであった.�波長727nmと741nmの2つの波長での得ら れた複素振幅を利用して,合成波長40µmで2波長法を実行したところ,RMS誤差は24 nmであっ た.�
様式8の1の1 別紙1
論 文 の 内 容 の 要 旨
NNoo..22専攻名 システム創成工学 専攻 氏 名 Pham Duc Quang
第4章では,安定化モードロックフェムト秒レーザーにより生成されたRRFFを利用して単一 画素カメラを用いた物体形状測定の提案と実証について示した.�RRFFを利用することによって,
光干渉計測では難しいセンチメートルオーダーの段差の測定を可能にした.�さらに,レーザ ーの高い周波数安定性から,1100の--55乗以上のダイナミックレンジを実現した.�周波数コムを 用いた光計測における研究は,距離測定等の点計測が主で,物体形状測定のような面計測の 例はほとんどなかった.�実際,RRFFで動作するイメージセンサーはなく,面計測を行うために は,光スキャナー等で測定領域の機械的な走査を必要とした.�そこで,非機械的に物体の形 状測定を行うために,単一画素カメラを用いる方法を提案し,測定点より測定回数を減少さ せるための,2つの方法を提案した.�一つは,物体形状の複雑さ(スパース性)を利用した 圧縮センシングの利用であり,もう一つは,差分によって反転像の出力を得る差分反転像法 である.�本実験では,11GGHHzzのRRFFを使用し,反射物体を測定して,位相アンラッピングなしに 測定できる深さは,その波長の半分である115522mmmmであり,5500mmmm程度の高低差のある物体の 66..2244mmmm×66..2244mmmmの領域を,RRMMSS誤差88..22µmmで測定した.�
第5章では,本研究で得られた成果を総括し,今後の展�望や課題をまとめた.�