地域経済動向を記述する常微分方程式の 数値シミュレーション
伊 藤 昭 夫 角 谷 敦 * * 白 川 健 山
N u m e r i c a l S i m u l a t i o n s o f O r d i n a r y D i f f e r e n t i a l E q u a t i o n s D e s c r i b i n g t h e R e g i o n a l Economic Tr e n d s
Akio ITO
, ・
Atsushi KADOYA** and Ken SHIRAKAWA***1.序
地域間の経済格差や経済政策による経済的な効果を調べることは非常に重要な問題で ある.特に,近年,市町村といった非常に小さい規模での地域経済の動向を予測するこ とが必要不可欠な状況になってきている.そのような要請に対して,マンキュー,ロー マー,ワイルは論文[1],我々は論文[2]においてそれぞれ地域経済の動向を予測するた めのモデルとして常微分方程式系を提案している.このモデルに従えば.過去のデータ を利用して常微分方程式系における適当な定数を決定し,その定数をもとに考察の対象 としている地域の未来の経済動向を数値シミュレーションすることが出来る.本報告で は,このモデルの妥当性を検証するために実際に行った数値シミュレーションについて
*
近畿大学工学部電子情報工学科Department of Electronic Engineering組 dComputer Science
,
School of Engineering,
Kinki University料 広島修道大学経済科学部経済情報学科 Department of Economic Informatics
,
Faculty of Economic Sciences
,
Hiroshima Shudo University事 牢 牢 東京電機大学情報環境学部情報環境デザイン学科
Department of Environment Integration and Design
,
School of Information Environment,
Tokyo Denki Universityの結果を述べる.
2.数理モデル
論文[2Jにおいて提案された地域経済動向を記述する(非線形)常微分方程式系(RETM) :=((2.1)ー(2.7)}(Regional Economic Trend Model)は次で与えられる.
t か d 仇
1(ωtt吋)一
町仰州p以仰州榊(ωt州tの ) +ιMωd 仇 州
巾1削
((収t)=
寸寸f 五
1'(ωttの
a.e.i泊ntEε引(附 ρ2.1り
)t シ か ぬ 似
2(肋t吟)一句仰州p以仰例州(収州例tの ) + ω d
dゐ
2d仇 似
22以削
山μ (
俳tt
か H
仰削t)一
向W
州州州H
仰削(μtの寸)味3 ( 0
附ld1 (0)
=ぬれ の
(0)=
do2,
l(O) = 10
,
p(O)=
拘・ここで,未知関数d1,d2, l, pはそれぞれ
d1 社会資本密度(関数),
d2 民間資本密度(関数),
労働力密度(関数),
p 生産量密度(関数)
を表し,与えられたデータ!t,
1 2
, /3, do1, do2, 10,拘 は そ れ ぞ れ!t 社会資本に対する政策(公共事業など),
1 2
民間資本に対する政策(民間による設備投資など),I a
労働力に対する政策(労働者の派遣など),do1 初期社会資本密度,
do2 初期民間資本密度,
lo 初期労働力密度,
向 : 初期生産量密度
(2
め
(2.5) (2.6) (2.7)を表す.更に, 81, 82, d11 d2, nOはすべて経済的な効果を表す正のパラメータである.
注意2.1.(1)経済動向を考察する際,重要な概念として fフローjが存在する.[3Jによ れば,rフローjとは「一定期間の聞に生じる量jであり,その代表的な例として rGDP, 消費支出,投資,政府支出,政府財政赤字,経常収支,資本収支,総支出jを上げてい る . そ こ で フ ロ ーjとは「一定期間の間に取引される貨幣の総量jであると我々は解 釈した. しかし,
r
フローJを取り扱っていたのでは,我々が目指しているリアル・タイ ムでの経済動向のシミュレーションと経済予測は不可能であるという結論に達し,論文[2]において「フローJに代わる新しい概念として「密度関数jを導入した.簡単に説明 すれば,我々が提案した「密度関数Jとは「瞬間瞬間に流れる貨幣の量(実測不可能)J であり,
r
フローJ と「密度関数J との関係を述べると fフローは一定期間上の密度関数 の積分(実測可能)で与えられる Jである.厳密な定義は,論文[1]に委ねるとする.( 2 )
局所経済動向モデル( R E T M )
におけるそれぞれの常微分方程式が表現する経済的 な位置付けや正のパラメータ 81,82, d1, d2, nOが表現する経済的な効果については論文
[2]に委ねることとする.
3.数値シミュレーション結果 3.1.外力項の取り扱い
経済活動の中には必ず経済政策が働いている.つまり,
( R E T M )
における経済政策の 効果(外力)を表すデータ !I,h
,Jsは次の条件を一般には満たす.ヨ
hε [O, T 1
S.t. !I(t1)#0 , ヨ
t2ε[0,T 1
S.t. h(t2)#
0,ヨ
t3ε[0,
T] S.t. fa(t3)#
O. 数学的に言い換えれば,( R E T M )
は非自励系である.しかし,本報告では無政策(経済政策なし),つまり,
h
三0,h
三0,f a
三o
on [O,T]という条件のもとで数値シミュレーションを実行する.数学的には,自励系の微分方程 式系を数値シミュレーション実施の対象とする.従って,数値シミュレーションの結果 が実在するデータとは一致しないであろうことが容易に予想される.
にもかかわらず,我々が自励系の
( R E T M )
を数値計算しようと考えた背景には,経済 政策の働きは(1)生産量が増加傾向にあるときには,その増加率を加速させる.
(2)生産量が減少傾向にある場合には,その減少率を減速させる.
であり,基本的には経済政策によって生産量を増加傾向から減少傾向へ,逆に,減少傾 向から増加傾向へ変化させることは難しいのではないかと考えたからである.そこで,
我々は生産量の増加傾向や減少傾向が自励形の
( R E T M )
で再現できるのかどうかによっ て我々のモデルの妥当性についてまず検討することとした.3.2.初期データの取り扱い
生産量密度については、 Cob‑Douglas型の生産関数を採用する.実際,初期値の段階 で等号が成立する,つまり,等式
内
= c d o 1
dg 2
lJ
が成立するように定数Cを定め,
p ( t ) =
cd1( t Y " d
2( t )
βl ( t
)'Yと定義する.ここで, α,
s
,γはすべて正の定数で,条件α+s+
γ=1を満たす.フローは密度関数の積分なので、線形近似を考えれば,フローは密度の平均とみなす ことができる.そこで,数値計算を実施する初年度の社会資本(フロー)・民間資本(フ ロー)・労働量・生産量の統計データ[4]の値をd1.d2, 1, Pの初期値dOl,do2, 10,向 と して採用する.
3.3.パラメーターの基本設定
パラメータは,次のように設定する.
do1 do2
no=
一, 151=
0.013, 512=
0.0438, 81 =一一, 82=一一内 向 拘
(3.1)
とする.ただし、地域ごとの経済成長の傾向によって修正する必要があるためno,151.ゐ,81, 82を何倍かしている.修正するためにそれぞれのパラメータを何倍したかをグラフの表 題の部分に表示する.実際,nO, 151, 152, 81, 82をそれぞれ α,b, c, d, e倍したときに は, α‑b‑c‑d‑eと表現する.
3.4.数値シミュレーションの具体例 グラフの見方を説明する.
(1) 1番目のグラフは, 1975年を初年とする10年間の数値シュミレーション結果 (d1, d2, 1, p)と実在の統計データ [4]の値(社会資本,民間資本,労働,生産)を表
している.
(2) 2番目のグラフは, 1975年を初年とする5年間の数値シュミレーション結果と実在 の統計デー夕刊の値を表している.数値シミュレーション結果を表す.
(3) 3番目のグラフは, 1980年を初年とする5年間の数値シュミレーション結果と実在 の統計デー夕刊の値を表している.
また,数値シミュレーション結果における数値は,密度関数の値を特定の時間区間(1 年間)上で積分して得られたフローの値(民間資本・社会資本・労働量・生産量)を意 味する.
計算結果1(札幌市) 図1.札幌1‑8‑1‑0.1‑0.11
600
500
400
300
200
100
~
本 本 資 資
会問働産
め の 社民労生
土 十 一
一ー p
a::s=s司~ー骨戸==-- ~ヰ
O
1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984
図2.札幌1‑10 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
400 350 300 250 200
150 100 50 O
1975 1976
一← 社会資本
→← 民間資本 寸ー 労働
→ ← 生産 d1
‑ー p
1977 1978 1979
図3.札幌1‑1 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
6α3
500
4
∞
3
∞
2
∞
1
∞
O
1980 1 981 1982 1 983 1984
一← 社会資本
4一 民R輪 本 寸? 労働 一← 生 産
一ー p
計算結果2(川崎市) 図1.川崎1.3‑5 ‑1‑0.1 ‑0.1
5
∞
450 400 350 3
∞
250 200 150 100 50 O
1 975 1 976 1 977 1 978 1 979 1 980 1 981 1 982 1983 1 984
図2.川 崎1‑5 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
400 350 300 250 200 150 100
50
•
込. 品 目 国.1975 1976 1977 1978 1979
ー← 社会資本
4一民H園守資本 寸ー 労働 一一 生産 d)
p
一← 社会資本
4一 民間資本
一金 一 労働 一ー 生産 d)
p
図3.川崎0.8‑4 ‑1 ‑0.1 ‑0.12
500 450 400
350 ‑←生産
ー←社会資本 一合一民間資本 一一労働量
d)
‑ー p 300
250 200
n u n u n u n U
5 0 5 1 1
#手‑ ‑ ‑担割佐
・=宇=""'*
{占S手キ
1985 1986 1987 1988 1989
図4.)11崎1‑1 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
500 450 400
一← 社会資本
‑ー一 民間資本
→ー 労働 ー』ー 生産 350
n u n u n U
0 5 0
︒d内
L n L
150 100
p
50 O
1980 1 981 1982 1 983 1 984
計算結果3(横浜市) 図1.横浜1‑5 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
1000 900 800 700
600
r
500 400 300 200 100
t
壬 主
云 : ; : : ; ? "
一 一 三 : : : : ‑ ‑ r
一 一 一‑← 社会資本 一← 民間資本
‑&‑‑ 労 働 ート 生産 dl
‑ー p
O
。求訴状O;‑o".o,,''o<::J ,o,,<S‑,.jt'¥, ,o,,<t;'!>
析
、 、 ヘ ミ 、 、、、、、、、
図2‑1.横浜1‑8 ‑1.5 ‑0.1 ‑0.1
700
600
500
400
300
200
100
O 1975
本 本 資 資 会 問 働 産 ぬ
の
社 民 労 生
土 十 一
1976 1977 1978 1979
図2‑2.横浜1‑5 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
8
∞
400
本 本 資 資 一中 間一 加盟
・向 d l
十干十一
7
∞
600 500
300
200 100 O
1975 1976 1977 1978 1979
図3.横浜1‑1 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
1000 900 800 700
300 200 100 O
セー 600
500 400
一← 社会資本 一ー一 民間資本
‑..ー 労働
→」 生産 d)
一 一
p1 980 1 981 1 982 1 983 1 984
図1:横浜
0 21 ‑ 1 ‑ 1 ‑ 0 . 1 ‑ 0 . 1
計算結果4 (名古屋市) 図1.名古屋1.1‑10 ‑1 ‑0.1 ‑0.13
12
∞
1α)()
8
∞
6
∞
4α3
2
∞
-~ー~一ma_会=司令ーー?
O
1 975 1 976 1977 1 978 1979 1 980 1 981 1 982 1983 1984
一← 孝士会資本
‑‑‑民r.:稲本
法 11一 合 一 労働 一← 笠産 Ja
一 一
P図2.名古屋1‑10 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
9
∞
800 7
∞
6
∞
500 400 300 200 100
o L 二
1975 1976 1977 1978 1979
本 本 舗 附 働 産 向
山
i p
社民間力生
++十一一
図3.名古屋1‑1 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
1200
1000
800
600
400
200
‑ 4一旬・一ーーー‑‑ー‑ーーベー
O
1 980 1 981 1982 1 983 1 984
一← 社会資本
‑‑‑民間資本
一合一 労働 ート 生産 d1
計算結果5(京都市) 図1.京都1‑10 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
600
500
" 画p俗
:;.,I<i'l口 ご石 蚕資本
400│ー ー二ム~町-ン出-/~ぜd、占 二│1‑ーー 民間資本
寸ー 労働
300
卜 I~ ー ← 十一
生産dPh h'i; う
100
図2ー 1 京都0.8‑13 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
450 400 350
一+ー 社会資本 ー← 民間資本 寸ー 労働
→← 生産 d] d2
150 '一←ー
一
p100 50 O
1975 1976 1977 1978 1979
図2‑2.京都1‑10 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
450 400
350 300
250 200 150 1
∞
50 O
一← 社会資本
4一 民
r . :
守資本 一← 労働 一← 生産 dlr l2 p
1975 1 976 1 977 1 979 1 979
図3.京都 1‑1‑1ー0.1‑0.1
600
500
400
300
200
100
O
1990 1 991 1992 1 993 1 994
一←・ 社会資本
‑‑‑民間資本 寸ー 労働
→← 生産 dl
一ー p
計算結果6(大阪市) 図1.大阪1‑6 ‑1 ‑0.1 ‑0.13
25
∞
2000
1500
1000
500
O
1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984
図2.大阪1‑10 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
1800 1600 1400
1200 1000 800 600 400 200 O
1975
...<¥
+
1976 1977 1978 1979
一← 社会資本
4ー 民
r . :
守資本 寸ー 労働 一←ー 生 産 d) . 12一ー p
一← 社会資本
4一 民間資本
→ー 労働
→」 生 産 d)
一 ー p
図3.大阪1‑1 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
500
O
計算結果7(神戸市) 図1.神戸1‑10‑2‑0.1‑0.1
600
500
400
300
200
O
~~.~~.~.~~~~.~~.$.~~~~折
、、、、、、、、、為、
図2.神戸1‑10 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
450 400 350
300 250 200 150 100
50 O
→一 社 会 資 本
4一 民間資本
一会ー 労 働
→← 生 産 d]
‑ ・
d2一ー p
一← 社会資本
4← 民間資本 一← 労働
→← 生産
ーー p
1975 1976 1977 1978 1979
図3.神戸1‑1 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
6
∞
J ι 戸 F f
400
300
200
100
ヒ
1980 1981 1982 1983 1984
本 本 資 資 会 問 働 産 の ふ・ 社 民 労 生
+干十十
一ー p
計算結果 8 (広島市) 図1.広島 1‑6 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
450 400 350 3
∞
250 200 150 100 50 O
1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984
図2.広島1.3ー10‑1.8 ‑0.1 ‑0.1
350 300 250
200
150 100 50
O
1975 1976 1977
‑ d晶
・一 一,
1978 1979
一←・社会資本
4 一民
r . :
晴 本 寸ー 労働 一← 生産 d1 d2一ー p
一+聞社会資本
→← 民間資本
→ー 労働 一← 生産 d1
一ー p
図3.広島1‑1 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
450 400 350 300 250
ォ一 一 一」ム ー比 斗」ニJ 一 一 寸 +
200 "
150 100
50←品4
O
1980 1981 1982 1983 1984
→一 社 会 資 本
→ト 民間資本 寸ー 労働
→一 生産 d)
一ー p
計算結果9 (北九州市) 図1.北九州1‑8 ‑1.5 ‑0.1 ‑0.09
50
本 本 資 資
32
会 問 働 産 d・ι 社 民 労 生
+干十一
350 300 250 200 150 100
1 975 1 976 1 977 1 978 1 979 1 980 1 981 1 982 1983 1 984
図2.北九州 1‑10 ‑1.5 ‑0.1 ‑0.1
350 300 250 200 150 100
50 同:『強‑品 戸~
1975 1976 1977
一← 社会資本 ー← 民間資本 寸ー 労働 一← 生産 d1
‑ー p
会 『
1978 1979
図3.北九州 1‑8 ‑1.5 ‑0.1 ‑0.1
350 300 250 200 150 100 50
O
19日O 1981 1 982 1 983 1 984
一 ← 社 会 資 本
一・一民間資本 一← 労働
→ー 生産 d]
一一一 P
計算結果10 (福岡市) 図1.福岡1‑8 ‑1 ‑0.1 ‑0.13
400
300
200
100
1 975 1 976 1 977 1 978 1 979 1 980 1 981 1 982 1983 1984
図2‑1.福岡1.3‑10 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
450 400 350 300 250 200 150 100
50 O
1975 1976 1977 1978 1979
一 ← 社 会 資 本 一ー一 民間資本
‑ ‑労働 生産
d1
P
一 ← 社 会 資 本 +ー民間資本
→ー 労働 生産
d1
p
図2‑2.福岡1‑10 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
450 400 350 300
250 200 150 100 50 O
一 ← 社 会 資 本
→← 民間資本
→ー 労働 生産
d
,
p
1975 1976 1977 1978 1979
図3.福岡1‑1 ‑1 ‑0.1 ‑0.1
500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 O
1980 1 981 1982 1 983 1 984
一 ← 社 会 資 本 ーー一 民間資本
& 労働
生産 d,
4.結語
数値シミュレーション結果を総合的に判断すれば,本報告の主目的である生産量の動 向の再現は十分に達成できたと判断できる.従って,経済政策を適正に評価し,非自励 系の地域経済動向モデル
( R E T M )
で数値シミュレーションを実行すれば,かなりの精度 で市町村単位での経済動向を予測することが可能なのではないかと考えられる.しかし,その一方で,数値シミュレーションを実施する段階において様々な問題が生 じている.それを列記して結語に代える.
( 1 ) ( R E T M )
における正のパラメータ町 ,151, 152, 81, 82を決定する際に,我々は,まずその正定数を(3.1)で与え,その後,それぞれのパラメータをα,b, c, d, e 倍している.例えば,計算結果1(札幌市)図1ではそれぞれのパラメータを 1, 8, 1, 0.1, 0.11倍している.今後,この正のパラメータをどのように決定し,そ れが経済動向にどのような関連があるのかを明確にする必要がある.
( 2 ) ( R E T M )
に対する理論的な解析において,条件「町<l J
は必要不可欠である.そこで,この条件が
( R E T M )
の中でどのような役割を果たしているのかを明確に する必要がある.言い換えれば,条件 rno<l J
が実際の経済動向で妥当な仮定 であるのかどうかを検討する必要がある.( 3 ) ( R E T M )
では,各地点における経済動向を予測するに至っていない.つまり,空 間方向(市町村における土地方向の拡がり)での経済効果の波及を考察するに至っ ていない.今後,このようなレベルでの考察が可能なモデルを( R E T M )
を基礎方 程式として提案する必要がある.謝辞:本研究は,広島修道大学総合研究所調査研究費 (2003年度・2
∞
4年度)研究課題 fある種の経済モデルの構築とその解析Jの援助を受けて実施されたものであることを 明記するとともに,この場をお借りして心から感謝の意を表します.参考文献
1. N. G. Mankiw
,
D. Romer組 dD. N. Weil,
A contribution to the empirics of economic growth, Quarterly Journal of Economics, 107,407・437,1992. 2. A. Kadoya,
K. Shirakawa組 dA. Ito,
Mathematical models for d白cribingtheregional economic trend
,
in preparation.3.伊 藤 元 重 , 入 門 経 済 学 第2版,日本評論社.2∞1.
4.県民経済計算年報昭和62年度版,経済企画庁経済研究所.