伝統音楽の推進に関する研究
伝 統 音 楽 の 扱 い と 実 践 方 法 ( 長 唄 を 視 点 と し て 〉
教 科 ・ 領 域 教 育 専 攻 芸 術 系 ( 音 楽 ) コ ー ス 丸 岡 安 弥 乃
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問題の所在伝統音楽は,古来日本の風土や習慣など生活 に根付し、て生まれた音楽であるが,今日では生 活様式や価値観の変化に伴って,人々が主体的 に伝統音楽に関わる機会は減少しており,伝統 音楽は自国の文化であるにも拘らす哩角終調し みを得られてない。しかし,我々は国際社会に 生きる人間として,自国の伝統文化に関する無 知とし、う現実に危澱感を抱かずにはいられな川 特に,日本の将来を担う子どもたちにおいては,
今後さらに国際化する社会の中で生きていくた めにも,異文化に対する理解を一層深める必要 があるだろう。従って,伝統音楽の学習とは,
単に自国の文化を学ぶというものではなく〈世 界の中の日本〉と言う観保から捉え,伝統音楽 の学習を通して,自国及び世界中の多様な文化 や音楽に輸事を深め,愛好する心を育成するこ
とが重要だと考える。
しかし,伝統音楽が現代の学校や社会におい て実践されるには様々な問題があると思われる。
そこで,拙子の専門領域である長唄(三味線音 楽)を視座した,長唄における実践学習上の問 題点を掲げるとともに,伝統音楽の〈伝統〉た る所以である,それらの要素を,一般に受け入 れられ理解される為には,どう実践し指導する
指 導 教 員 草 下 賞
か,さらに伝統音楽の価髄と意義について再考 する必要があるのではないかと考える。
2.研究の質的
以上のような諸問題を鑑み,本研究では伝統 音楽の推進に関わる問題を解決し,さらに社会 や学校教育において,その櫛隼カたるより適切 な指導内容や指導方法の検討を含め探究する。
3.論文内霧
第一章において,伝統音楽に視座した音楽表 現実践の意義とあり方について述べたo
第二章と三章では,長唄の歴史及び長唄の特 性や三味線の概要について究明し,その性格や 特性を認識した。
第四章において,学校教育に携わる教師と伝 統音楽に携わるプロの演奏家における((学校・
地域・社会における伝統音楽に関する鶴哉や認 i
掛)にっし、て理解する目的で,両者においてア ンケート及びインタピ、ューを行い,分析・検討 し伝統音楽の学習における問題点と解決の方 法を探ると共に,各々の立場から考えるく和楽 器教育〉と〈イ云統音楽の伝承〉に対する認識を 得ることができた。
第五章においては,学校における伝統音楽の 鑑賞活動や実践活動の事例をあげ,子どもの反 応、や失施後のアンケートを基に分析・検討し,
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伝統音楽の学習における問題点と解決の方法を 探った。
第六章においては,より具体的に長唄を視点 とした伝統音楽の扱い方や実践方法を提示した。
伝統音楽の学習における問題点としては,大 きく分けて二つが考えられた。
第一の伝統音楽の性質的側面から生じる問題 としては,多様に存在する種目や流派によって,
楽曲,奏法,楽譜,などが統一されていないこ とや,流儀や作法などを重視する伝統音楽の性 質があげられた白これらは,一見すると一般へ の普及の妨げのようにも思えるが,これを日本 文化そのものと捉え,伝統故に生じる〈日本の 美〉として意識することにより,自国の文化と
して守らなければいけないという結論に至った。
しかし,一方では国際化が進む社会において,
今後, 日本の将来を担う子どもたちが, (世界 の中の日本〉という観点から伝統音楽を学習す る上においては,明確な指導理論を背景に持ち,
より分かりゃすく適切な指導や学習内容が必要 であると考え, (本物の体験), <副次的要素へ の探究), (日本の伝統的要素(伝統美)への認 識〉という考えの基,学校における伝統音楽の 学習に適した指導内容や教材を提示した。
第二の社会や教育界の諸事情による仮'J面から 生じる問題としては,これまでの西洋音楽中心 の教育を受けてきた教師と,和楽器の浸透して いない現状,そして確密たる指導法や指導内容 のマニュアノレが確立できていないことがあげら れた。しかし,これらは学校や教師だけの責任 ではなく,教育行政や政府機関がより積樹切こ 対策を講じる必要があると考える。
また,専門女婿裁を有する伝統音楽の学習にお
互いの経験と知識を生かした寿国議作りとシステ ムの構築を行う必要があるということが明らか になった。
そして,小・中学生を対象にした鑑賞活動と 実践活動からは,子どもは年齢を関わず伝統音 楽に大きな興味や関心を示すことがわかった。
日本の文化に慣れ親しみ,理解するとしづ観点 から考えれば低年齢から段階を経て伝統音楽 の鑑賞及び学習を行う方がより効尉句であり,
特に実践活動においては,子どもはある程度の 成果がみられるようになると,その面白さや楽 しさを実感するようになる。従って,子どもの 実践活動においては, (体験した・知った〉と いうものに留まるのではなく,そこから一歩鱗 み出した学習をさせることが,子どもの関心を 倍増させ, (自我の掬化的実現〉にも繋がるこ
とが確認されたむ 4.おわりに
本研究によって,多くの人々から興味や関心 を得ていることもわかり,伝統音楽は,今後一 層の発展を遂げるであろうと考える。そこで,
伝統音楽に携わる者の一人として,さらなる伝 統音楽の発展を願い,伝統音楽の性質的側面や 社会的及ひ敬育界の諸事情による側面から生じ る問題など,残された課題を解決し,一人でも 多くの人々が自国の文化として伝統音楽に愛着 を持ち,理解をできるような,システ、ムやプロ グラムの構築を今後の課題としたいと考える岳
関連演奏 長唄《繁明》
昭和 7年作詞:中内蝶二作曲:山田抄太郎
《演奏>)
いては,学校と伝統音楽の専門家が相互に協力 長唄 東音松浦麻矢
し,協働することが必要不可欠で、あり,また, 長唄三味線 丸岡安弥乃東音三木千佳子
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