• 検索結果がありません。

無信号交差点における交差点環境と車両挙動の因果構造分析

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "無信号交差点における交差点環境と車両挙動の因果構造分析"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)IV-032. 無信号交差点における交差点環境と車両挙動の因果構造分析 豊橋技術科学大学 学生会員 工藤慎司 豊橋技術科学大学 正会員 1.はじめに. 廣畠康裕. ① 車両挙動の計測項目の定義. 信号設置の困難な無信号交差点は事故の危険性が. ● 停止の有無:車両が交差点に進入する際に. 高くドライバーが慎重を要する地点である。特に細. 安全確認のために停止するか否か. 街路交差点は駐車車両・建物の角地・樹木等に視界. ● 安全確認時間:車両が停止線付近で停止す. を制限され見通しが悪くなる。事故多発地点ではこ. るか減速し、安全確認してから再加速する. のように交差点環境が悪いために出合頭事故等の交. までの時間. 通事故が発生していることも少なくない。そこで本. ● 進入速度:停止線の手前30m区間の速度. 研究では、無信号交差点における交通安全対策のた めの基礎的研究として、複数の無信号交差点におけ. ②車両挙動に影響を与える交差点環境. る様々な交差点環境特性とそこを通過する車両の挙. ● 観測時間帯における対象車両の進行側、対. 動に着目し、両者の因果構造を知るために共分散構. 向車線側、交差道路側それぞれの自動車交. 造モデルを用いて分析を試みた。. 通量、歩行者(自転車を含む)交通量 ● 道路幅員. 2.観測調査方法. ● 角地建物の有無(建物位置により左右区別). (1) 対象交差点. ● ミラーの有無(見える方向により左右区別). 本研究では、対象交差点として豊橋市内の 27 地. ● 各種交通規制の有無(一方通行など). 点の無信号交差点をとりあげた。いずれの交差点も 住宅地内の細街路交差点であり、信号の設置が困難. 3.分析に関する仮説 ここでは、交差点環境と車両挙動の相互関係の中. であるという点で共通している。. で発生していると考えられる交通事故について仮定. (2) 観測方法 観測調査についてはビデオカメラを使用して、優 先側道路と一時停止側道路のそれぞれについて車両 の交差点進入状況を現地で撮影しておき、後にモニ. を設定しモデルを用いた定量的分析のための基礎と する。 本研究ではまず、各交差点が道路の幅員や障害物、. ター上で通行車両の挙動と特性値を計測する方法を. ミラーや交通規制から「交差点環境」なる特性を形. とった。ただし、車両挙動の計測対象は先頭車のみ. 成していると考え、交差点ごとにその特性が異なっ. とした。これは、車両が車群を構成して交差点に進. ていると考える。またそれは交差点の方向によって. 入する場合には、後続車の挙動計測が困難であるこ. も異なり、優先側からのものと一時停止側からのも. とによる。また、交通量以外の交差点環境特性につ. のが存在すると考える。 次に交差点を走行するドライバーは交差点環境か. いては現地調査を行い集計した。. ら何らかの影響を受け、危険を認知し、様々な運転. (3) 計測対象項目 本研究では、分析対象とする挙動特性として無信. 挙動をとると考えられる。そしてその「挙動特性」. 号交差点における交通事故発生に関係すると思われ. を構成するものが、停止の有無や安全確認時間、進. る停止の有無、安全確認時間、進入速度を取りあげ. 入速度であると考えられる。そして、交差点の各方. た。車両挙動の計測項目の定義および影響要因は次. 向の交差点環境と車両挙動特性が相互に関係する結. の通りである。. 果として事故が発生していると考える。. キーワード:交通安全、無信号交差点、交差点環境、車両挙動、共分散構造モデル 連絡先:豊橋技術科学大学建設工学系:℡:0532-44-6833. -64-. Fax:0532-44-6831. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

(2) IV-032. 4.共分散構造モデルによる分析. 通流の有無・右からの交通流の有無から構成される. ここでは3.で示した仮説に基づき交差点環境と. ことより、 「左右の交通流の有無」とした。第 4 因. 車両挙動との関係を定量的に分析するため、共分散. 子は進行方向交通量、対向方向交通量、一方通行ダ. 構造モデルを用いる。本研究では道路幅員・視界・. ミー、時間ダミーから構成されることから「進行方. 角地の有無・ミラーの有無などから構成される「交. 向の交通状況」とした。第 5 因子は交差交通量・歩. 差点環境」という外生的な潜在変数を規定し、それ. 行者交通量などから構成されることより、 「交差側の. が停止率や安全確認時間・進入速度から構成される. 交通状況」とした。. 内生的潜在変数「車両挙動特性」に与える影響を調. これらと車両挙動の関係をパス図で構成していく. べ、交差点環境がドライバーの運転挙動に与える影. と優先側・一時停止側ともに図2・図 3 に示すよう. 響を把握する。. な同様のモデルを作成することができた。各パスの. 共分散構造モデルによる分析で一般的に用いられ. 解釈は紙面の関係上記さないが、全体的には GFI. ているモデルの形状は因子分析モデルを組合せた多. を見ると、優先側では多変量データの 92%がこのモ. 重指標モデルであるが、このモデルを使用すると解. デルで説明されたことを表している。同様に一時停. 釈や操作可能性において問題が生じる。例えば本研. 止側も 91%がこのモデルで説明されている。. 究で扱う特性の一つである道路幅員、ミラーの有無 などは外生的に存在するものであり、それ自体の存 在を規定するような潜在要因が存在するとは考えが たい。そこで、本研究では、モデルの解釈や操作可 能性を考えて、主成分分析モデルと因子分析モデル を組合せた PLS モデル (Partial. Least. Squares). モデルを用いて分析を試みることとする。図1に. 1.00. d1. 279.13 -3.64 -2.30 -26.05 .16 2.22 .01 .36 .00-.52 -1.39 .04 .01 -1.10 .01 .03-3.69 -1.31 .03 .09 -1.53 -5.33 -.07 .02 -.84 .12 -5.90 -.21 -.07 -.23 .00 .65 -.33-.142.56 .02 -.07 .10 .02-.26 2.86 -.08 .06 -1.50 -.02 .077.43 -.15-.02 -.06 -1.36 -.25 .05 .00 -2.13 .07 .00 .25 .06 .05 .93 .06 .05 .09 -.07 -.07 .05 1.64-.01 .00 .01 -.12 -.03 1.23 .02 .00 .04 -.28 .76 1.94 -.08 .04 .00 .061.07 -.02-.04 -.02 -.01 -.163.81 .02 .03 .04 .08 -.26 -.03 -.05 -.01 .24 -.53 .00 .03 -.17 .27 .08 .18 -.11 -.03 .29 .24 -.04 .35 -.14 .01 .00 .16 .02 .21 -.02 -.01. PLS モデルのパス図を示す。. lsikyo. .00. .24. lkakuti. -.56. .25 .37. rsikyo. .24. .01. .20. 1.00. d3 -.21. fac3. 1.00. .05 1.88. .22. .19 -1.25. .25 1.00. jikand. .35 1.38. hokou. .31. 1. -.08. sinkou 5.23. kousa. 3.06. fac6. 1. e2. teisi. 1. e1. -4.32. .00. 1.00. d7. 1.00 1.00. .02. 1. -.03. 1.00 -4.00. fac7. 1. sokudo. .00. e3. 1.00. d4. 1.00. 1 -5.06. fac4. 1.00. -.18 .37 .12 .07. fukuin2. .32. kakunin 1.00. -.06. fac2. rkisei .38 fukuin1 3.66 taikou ittuud. 1. .52. -1.55. lkisei. 1. 1.00. d2. rkakuti .24 .16. d6. fac1. 1.00. lmiller 217.88. rmiller. 1.00. 1. d5 1. Chi-square=397.91 GFI=.92 AIC=717.91. fac5. 図2. 優先側のモデル 1.00. d1. 256.38. 図1. PLS モデルのパス図. 5.分析結果 まず、各観測変数間の関係を知るために探索的因 子分析を優先側・一時停止側にわけ、原因側につい て行った。これより 16 設けてあった観測変数から 優先側・一時停止側共に 6 つの因子が抽出された。. -2.78 -2.54 74.14.13 -2.54 -1.56 -2.42 .05 -.19 1.45 .06 .01 -.35-.01 .00 -3.93 .72-.02 .08 -3.79 -.51 .08 .021.04.15 .66 .00 .03 -.29 -.02 .15 .02.06 .57 .00 -.04 .35 -.04-.03-1.96-.03 .05 23.30 .02 .05-.70 .02-.04 -.02 -.23 -.36 .02-.02 .01.02 -.01 .03 -.04-.05 .33.02 .00 .03 -.01 27.96.00 .03 -.03-.01 .00 .03 -1.25.01 .06 -.03-.04 .05 -.16 2.37 -.04-.79 .02 .06 .00 -.12-.07 .43 .01-.10 .01 -.04 .05 .36 .03 .09 .07 .01 .74-.02 -.06 .07-.02-.38 -.01 .08 .09 -.23 -.01 -.01 .02-.19 -.01 .04 .60 .07 -.01 .063.27 2.02 .05. lsikyo .24. .00 -.20. fac1. lmiller214.18. d2. rsikyo .25 rkakuti .24. 1.00. -.07. rkisei. .31. 1.00. d3 -.46. taikou .25 ittuud .24. fac3. 1.00. -.28 -1.19 2.27. .52 1.00. jikand 51.62 kousa .82 hokou .38 fukuin2. .12 -.02 .00 .24. これを解釈できそうな変数の集まりと偶然の相関に 図3. よる集まりを判断し、偶然相関の変数を関連のあり そうな因子に振分けていった。この結果、原因側の. 1. .30. fukuin1.23 sinkou .09. d6 1. 1.00. 7.13. fac6 .00. d4. 2.78. kakunin. 1. e2. teisi. 1. e1. 1.00. 1.22. fac2. rmiller .13 .12. 1. .64. -1.67. lkisei. 1.00. 1. lkakuti .25 .42. .00. 1.00 1.00 1.00. d7. -.02. 1. .01. 1.00 -.85. fac7. sokudo. 1. .00. e3. 1.00 1.00. 1. fac4. 1.02. 1.00. d5 1. fac5. Chi-square=325.73 GFI=.91 AIC=645.73. 一時停止側のモデル. 6.おわりに. 因子は優先側・一時停止側共に5つに集約された。. ここでは紙面の関係上、詳しい説明は記すことは. 各因子は優先側・一時停止側共に同じ観測変数か. できなかったとしたが、それはまだこれらのモデル. ら構成されることから、同じ名前をつけた。第 1 因. に高い改善の余地が見込まれているためでもある。. 子は左側の見通し、左側の角地の有無、左側のミラ. データの 90%以上を説明することができたが、まだ. ー確認の可否などから形成されることから、 「左側の. AIC の指標が大きくなっており、より改善されたモ. 見通し」とした。第 2 因子は第 1 因子と同じ解釈か. デルを探索する必要がある。また、交通事故件数を. ら「右側の見通し」とした。第 3 因子は左からの交. モデルに組み込むことも課題である。. -65-. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

(3)

参照

関連したドキュメント

まず歩行者青 (PG) になる前に横断し始めるフライング 歩行者が挙げられる.矢野ら 2) が明らかにしているよ うに,歩行者青点滅( PF) の正確な意味を知っていた歩

信号制御方式と交差点構造の改良による交差点の交通渋滞緩和効果分析* The Traffic Congestion Relaxation Effect Analysis of the Crossing By the Improvement of the Signal Control Way

1.はじめに 平成 11 年〜平成 13 年の 3 ヶ年における名古屋市の主要交差点の交通事故件数は、約 1700 件であり、その うち約

今回の現示変更は横断歩行者と車両の完全分離をね らったものではないので,大きな錯綜回数の減少とは

改質手法のもう一つの視点として、 “成形体の構造”が考えられる。具体的に

射点であると考えられる。地層境界面がトンネル軸と垂直 に交わる場合、図‑3の直線 SPc はトンネル軸の延長線上に 存在することになる。このことから、直線 SPc がトンネル

また,時間交通量の平均が上記の範囲を超えると逆に 効果が小さくなる傾向がみられるが,これは交通量の大

はじめに 我が国では安全を見越してインターグリーン時間 が必要以上に長めに設定されており,円滑性を損な