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定 期 傭 船 者 に よ る 最 終 航 海 の 指 図 に つ い て

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(1)説. 定期傭船者による最終航海の指図について. 野 村. 修 也. 不適法な最終航海の指図と船主の救済処置 おわりに. 三五九. ている場合には︑その対立は深刻である︒なぜなら︑返船後ただちに新たな傭船契約を締結することによって︑よ. 論. 定期傭船者による最終航海の指図について. はじめに. はじめに. 五四. 定期傭船者による最終航海の指図は︑しばしば船主と傭船者の利害を衝突させる︒とりわけ傭船料市況が急騰し. 一. 最終航海の指図が適法であった場合の法律関係. 指図の適法性の判断基準. 三 二 ].

(2) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三六〇. り高額な傭船料を獲得したい船主側は︑返船すべき最終期日︵浮巴叶R巨惹こ讐①︶の厳守を強く求めるのに対し︑. 自己に許された傭船期間を最大限に活用することで傭船料を節約したいと願う定期傭船者側は︑時間的余裕の乏し. い最終航海を計画しがちだからである︒そのため︑定期傭船者が行った最終航海の指図については︑はたしてそれ. が適法であるのか否か︑また︑仮に不適法であったならば︑船主にはどのような救済措置が認められるのかなどを めぐって︑当事者間に紛争が生ずることも少なくない︒. ︵1︶. 一九九〇年代に入り︑イギリスの裁判所は︑この種の紛争に関する重要な判決を相次いで下してきた︒すなわ ︵2︶. ち︑﹇1﹈国賓⊆Pα巴困R畠鋤旨竃巽ぼΦOO■■巳.鉾08貫一〇げ餌詳R営閃OO●﹇巳●︵日箒評自芭︑﹇2﹈O匡ω名巴一. ︵3︶. ω霞薯一轟■巳︒鉾2豊・昌m二轟艮き証爵霞Oo︒︵穿①ミ︒ま琢旨9・昌俸ミ・ま菊8︒葦︶︑﹇3﹂↓・同く巴α困餌く窪Φωω. ︵4︶. ︾\ω斧︾﹃巳冨貰置B①○○∈o鋸ロ9︵↓ぎ9紹8︶がそれである︒このうち一部については︑すでにわが国で. も詳細な紹介がなされており︑本稿もそれに多くを負っているのであるが︑以下では︑できる限り問題点の全貌を. 見据えながら︑筆者なりにイギリス法の現状を整理してみたいと思う︒ ︵5︶ 本稿は︑以上の点に主眼を置きながら︑併せて船舶引揚権︵↓ぎ空讐叶9∈酵α轟妻Φ一︶に関する拙稿を補完する. ことを企図するものであるが︑それに加えて︑大学院生の頃より研究会等を通じてご指導を賜ってきた中村眞澄先. OUO﹂おおよびω9冨88巳oωロ8呂じ. 生がめでたく古稀をお迎えになられたことを心よりお祝しつつ︑さらなるご教示を仰ぐために︑その手がかりを得 ることを目的とするものである︒. 困匿OUのミOを参照︒. ︵1︶ ロ3昌一口○琶︑ω菊8﹂OO︵○︾ご本件については︑幻の旨o匡ω﹇お箪﹈い尾.

(3) ロ$出藤≧一国勇■80︒旧本件の控訴審判決︵ロ03﹈N口○旨︑ω勾8ω誤︶についてはU麩Φ月○詳俸≦画帯﹇お漣﹈い■竃︒Or. ︒寄p一一㎝︵○>︶ ︵2︶﹇一︒露﹈Nロ︒琶︑︒. ︵3︶. 安藤誠二﹁定期傭船契約の最終航海︵一霧叶9睦轟一<oる篶︶について﹂海事法研究会誌ごご一号二一頁以下︵一九九四年︶︑. O霧営霧ωい曽毛8︒が︑それぞれ評釈を加えている︒ ρ一望が︑また︑貴族院判決については℃○≦一Φωロ8巴じ. 同﹁定期傭船契約の最終航海についての補遺ーグレゴス号事件の貴族院判決を受けて﹂海事法研究会誌二一四号二頁︵一九九五︶︒. ︵4︶. 指図の適法性の判断基準. ︵5︶ 拙稿﹁船舶引揚権に関する﹈考察﹂高窪利一先生還暦記念・現代企業法の理論と実務六九二頁以下.. 二. ︵1︶最終期日︵浮巴憲B言巴3旦の定めと猶予期間︵B巽四昌震豊・名き8︶. 最終航海をめぐる紛争において︑まず最初に問題となるのは︑定期傭船者による最終航海の指図が適法であるか 否か︑という点である.. 傭船期間内に最終航海が完了することを合理的に予測しうるかどうかが︑適法な最終航海︵一畠蕎簿魯Φご暮ぎイ ︵6︶. 謎①︶と不適法な最終航海︵田Φ讐冒簿巴霧け<2鋤鷺︶とを区別するメルクマールであることは︑U魯巳鑛卿が︑. ﹁4﹂↓冨>目餌浮ぢ冨鑛OO∈○鍔江99尾o員o<ご鉾困四算○轟議︵↓箒豊・器︶事件で明確に述べているところ. であるが︑かかるメルクマールを具体的事件に適用する際には︑まず第一に︑その傭船期間とりわけ最終期日. 三六一. ︵旨巴辞R巨畠一匿旦をどのように理解するかが問われなければならない︒言うまでもなく︑これは︑約定された 定期傭船者による最終航海の指図について.

(4) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三六二. 期日の解釈問題であるから︑それを文言通り適用するならば議論の余地は少ないはずである︒しかしながら︑実際. の事件では︑船主または傭船者の側から︑明示された期日に加えて何らかの猶予期間︵巳貰閃言曾毘・≦き8︶が認 められるべきではないか︑との疑問が提起されることが多い︒ ︵7︶. ︵8︶. この問題に関しては︑後に詳述する﹇5﹈艮BげRω圧薯一鑛○ρψ>鉾Uo巳op俸○<R器霧零虫讐審お﹇巳︒. ︵↓訂8且9国巻巨旦事件の貴族院判決において︑裁判官の見解に対立がみられたが︑﹇4﹂↓箒≧B餌浮ぢ風轟. ○○壱○声江目9冨o畦〇三蝉鉾目き8轟巳︵↓冨臣○器︶においてU窪三轟卿のフォーミュラが示されて以降は︑裁. 判所は概ねそれに従っているものと評することができる︒. 判例﹇4﹈は︑ボールタイムの一九三九年書式に基づく定期傭船契約のケースであった︒∪一〇器号の船主は︑傭船者. の選択により二〇日間の短縮または延長を認める形で︑同船を六ヶ月間の定期傭船に出した︒その約定を文言通り適用. いことになっていた︒各々約七三日間ずつを要した二度の航海を終えた後︑定期傭船者は︑九月二八日まで五七日間を. するとすれば︑丁度六ヶ月目は九月八日であるから︑仮に二〇日間延長しても︑九月二八日には返船しなければならな. 残すにすぎない八月二日の時点で︑三度目の航海を指図した︒船主の異議申し立てにもかかわらず︑結果的に遂行され. た三度目の航海は六六日間で完了し︑U一〇器号は一〇月七日に返船された︒すなわち︑厳密に言えば九月二八日から. 八・四一六日間遅れての返船であった︒当時︑傭船料市況は堅調であった︒そこで船主は︑この八・四一六日間分の傭. 船料については︑本来ならば市場レートに従った金額を収受できたはずであるから︑約定レートと市場レートとの差額. である六︑〇五八ポンドを︑損害賠償として支払うよう求めた︒それに対し︑定期傭船者は︑八日余りの延長は契約上 許容されているとして︑賠償金の支払を拒んだ︒.

(5) この事件で示されたU窪巳渥卿のフォーミュラは︑次の通りである︒すなわち︑①傭船契約において明示ない ︵9︶. し黙示の猶予期間を定めることなく︑確定的な期日︵例えば︑﹁三ヶ月間﹂など︶が定められている場合には︑裁判 ︵10︶. 所によって︑相当な猶予期間が認められるが︑②当事者が︑傭船契約において明示もしくは黙示的に猶予期間を排. 除している場合には︑傭船者は︑予定された返船期日を守らなければならず︑また︑③当事者が︑傭船契約におい ︵11︶. て明示的に猶予期間を定めている場合には︑傭船者は︑その猶予期間満了時までに返船すべきであって︑さらなる. 猶予は認められない︑というものである︒O窪巳轟卿は︑判例﹇4﹂の事案を︑このうち③に当たるものと判示 し︑船主の訴を認容した︒. この∪①目一鑛卿のフォーミュラは︑﹁約四から六ヶ月﹂という形で範囲を設けた傭船期間もまた類型①に属する ︵12︶ と判示した﹁6﹂寓胃獣窪800BB巳鋤Z薯一①声§守段○ω蜜巴>φ︵↓冨浮目︒鼠8ω︶などによって︑次第に明. 確さを増しながら︑今日なお維持されている︒例えば︑近時の貴族院判例である﹇1﹂=旨且巴竃Ro富筥 ︵13︶. 冨巽営ΦOρ■巳.§O霧畦一〇冨辞R一轟09導ρ︵↓箒評○巳蝉︶においても︑匪轟冨B卿は︑イギリス法の現状を 次のように整理している︒. ﹁定期傭船契約が︑何らかの明示的な猶予ないしは許容期間︵目9︒おぎe8一Rき8︶を設けずに︑傭船期間の終期と. して限定的な期日を定めている場合には︑裁判所は︑海運事業における緊急事態を樹酌して︑合理的な猶予ないしは許. 容期間︵日畦ひq汐8琶Rき8︶を読み込む︒当事者が︑︵傭船の最短期間︵巨駄B餌ヨB︶と最長期間︵ヨ9︒嵐日鋤ヨヨ︶を合意. 三六三. したり︑﹁プラスマイナス︵BOおoユ霧ω︶﹂規定を合意したりすることにより︶猶予ないしは許容期間︵B口彊ぎ○諄9段き8︶. を明示的に約定している場合には︑そうした読み込みはなされない︒﹂ 定期傭船者による最終航海の指図について.

(6) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三六四. 現在の海運実務においては︑最短期間︵巨巳B簿Bヨ︾最長期間︵簿四図昼餌Bヨ︶や﹁プラスマイナス︵日oお霞. 一Φωω︶﹂といった文言で傭船期間の伸縮を定めるのが一般的であるが︑右の説示によれば︑これらの文言は︑許容. 期間の限度を示すものであって︑さらなる猶予は認められないことになる︒. ︵2︶判定の基準日︵8R魯話9邑. 最終航海の指図が適法であるか否かを判断するにあたっては︑第二に︑いつの時点をその判定の基準日︵○罵声. 牙①9量とするかが問題となる︒なぜなら︑指図の時点では期限内の返船を予想できた場合でも︑その後の事情. の変化によって︑最終航海の着手時には︑それが到底不可能であると予測される場合も少なくないからである︒後. に詳述するように︑定期傭船者による最終航海の指図が適法であると判断された場合には︑船主は︑それに従うこ. とが義務づけられるのであるから︑あまりに早い時点で指図の適法性が判断されることは︑船主にとって不利であ. ると言わなければならない︒冒頭に掲げた判例﹇3﹂↓o箋巴α困零窪8ω>\ω斧︾導一竃巽宣BΦOO壱○鍔賦自 ︵↓ぽ9紹8︶では︑まさにこの点が問題になった︒. 判例﹇3﹈の事実関係は次の通りである︒↓ぼ9詔8号の船主は︑一九八八年一月八日に︑同船をニューヨータ・. プロデュース・フォームに基づいて︑定期傭船に出した︒傭船契約書の四条には︑﹁傭船料は︑返船日の返船時刻まで. 継続する﹂と規定されていた︒また︑その傭船期間は﹁約五〇日間で︑傭船者の選択により最長七〇日間﹂と定められ. ていたので︑最長でも一九八八年三月一八日には返船されなければならなかった︒↓冨Oお讐ω号は︑積荷であるボー. キサイトをベネゼイラの冒讐きN霧港で荷揚げするために航海していたところ︑その完了前の二月九日に︑竃讐窪墨ω.

(7) 港の近くにある勺巴轟港で鉄鉱石を船積みし︑それを返船前にイタリアの男oω港に運ぶよう最終航海の指図を受けた.. この時点では︑最終期日までに返船することが可能であると予測されたが︑二月一二日に他の船舶が航路を妨げる形で. は最終期日までに返船できない事態が生じていた︒そこで︑船主は︑船積みを拒否し︑新たな最終航海の指図を求め. 座礁したために︑↓冨9畠8号が評一轟港に到着した二月二五日の時点では︑このまま鉄鉱石を船積みしていたので. た︒ところが︑定期傭船者は︑二月二九日になっても従前の指図に固執したため︑船主は︑傭船者の一連の行為を﹁履. 行期前の履行拒絶︵8∈&呂8︶﹂にあたるとみなして︑その拒絶を受け入れ︑船舶の引揚げを迫った.こうした対立. が続く中︑船主は︑他の海運業者との間で︑従前よりも高い傭船料で↓訂9畠oω号を傭船に出すための交渉に入っ. た︒結局は︑船主と傭船者との問で︑後に仲裁で船主の拒絶が正当であったと判断されたならば︑すでに他の海運業者. から提示を受けている有利な契約条件との差額である三〇万ポンドを支払う旨の請求権留保協定が締結され︑6箒. 9畠8号は鉄鉱石を積んで司oω港までの最終航海を行った︒その結果︑↓箒9紹8号は︑最終期日を八日遅れて︑ 三月二六日に返船された︒. そこで︑定期傭船者は︑最終航海の指図の適法性を判定する基準日︵8R毘話鼠邑は︑それが発せられた日︑. すなわち二月九日でなければならず︑したがって︑本件における船主の拒絶は不当であったと主張した︒それに対. し︑船主は︑船舶が最終航海に出航する時ないしその直前を基準日︵8R慧話量量とすべきであって︑本件では ︵14︶. 二月二五日がそれに当たるので︑定期傭船者の指図は不適法であり︑船主がそれを拒絶したのは正当であったと主 ︵15︶. 張した︒この点に関する従来の裁判例は二つに分かれていたが︑それらはいずれも傍論にとどまっていた︒第︼審. の国轟霧判事は︑船主の主張を認容したが︑控訴審の霞おけ卿は︑仮に船主の主張を採用すれば︑最終航海の実. 三六五. 施を前提に事前の準備を行っている傭船者がその計画を挫かれ︑ひいては荷主等に対する契約違反を犯さざるをえ 定期傭船者 に よ る 最 終 航 海 の 指 図 に つ い て.

(8) 早法七三巻三号︵一九九八︶. ︵16︶. ︵17︶. 三六六. ない事態が生ずるのであって︑これでは海運実務にそぐわないとの理由から︑第一審とは異なり定期傭船者の主張. を認める判断を下した︒これを受けて︑貴族院の冨仁ω巳H卿は︑次のように述べて︑再び結論を覆し︑船主の主張 を認容した︒. ﹁これまで審理が混迷してきたのは︑あまりにも指図に注目しすぎて︑契約の内容である本船役務の提供に関する船. 主の約束を軽視しすぎたことに起因するものと思われる︒約束の実質的な意味内容は︑傭船者が将来的に本船の使用を. どのように決するかにかかっているため︑始めのうちは特定されていない︒しかし︑それは無制限ではなく︑当初よ. り︑期間・性質・範囲については︑︵例えば︑運送されるべき積荷の種類や航路の地理的制限に関する︶傭船契約上の明示的. よる船舶使用の指図によって︑↓連の具体的な義務に変えられる.ただし︑当初の契約で傭船者が明示的ないし黙示的. 条項や重要な黙示的条項によって制約されている︒後に︑履行の時が到来したとき︑この大ざっぱな約束は︑傭船者に. に引き受けた制約は︑引き続き適用される︒傭船者が何を指図しようとも︑船主による当初の約束によって線引きされ. た範囲の外にあるサービスは︑船主が履行を強要されうるものではない︒このことは︑単に傭船サービスの期間だけで. はなく︑傭船契約によって課された傭船者の自由な選択に対するあらゆる制約に当てはまる︒このように︑要求された. サービスを︑約束されたサービスに照らして評価することが︑なされなければならない︒常識的には︑そうした評価の. 竃二の匹一卿は︑. 最終航海の適法性を判定すべき基準日︵8R毘語量邑を︑履行期到来の時に求め. 時点は︑少なくとも第一次的には︑履行期到来の時であると思われる︒﹂. このように︑. たのであるが︑ そのテーゼに ﹁少なくとも第一次的には﹂という限定を付した︒その理由を︑匡qω注一卿は︑次の.

(9) ︵18︶. ように説明してい る ︒. ﹁なぜなら︑実務上︑両当事者の利益は︑履行期に先だって指図をなす権限を傭船者に付与することを求めるからで. ある.そして︑このことは︑少なくとも︑指図の有効性に関する暫定的な判断を伴わざるをえない︒もしも︑この早い. 段階で︑それに応諾することが船主の引き受けていないサービスを必要とするように思われるならば︑船主は︑ただち. にその旨を伝えて︑指図を拒絶することができる.また︑たとえ指図が外観上有効であるとしても︑その有効性は不確. 定なものにすぎない︒なぜなら︑そのサービスを︑サービス提供の約束と照合する時期は︑サービスの性質が確定的に. 知られるまで到来しないからである︒そして︑このことは︑サービスが開始されるべき時まで︑あるいは︑場合によっ. てはそれがすでに進行中である時までは︑ありえないのが通常である︒かくして︑要求されたサービスが︑あらかじめ. 船主がその提供を約したサービスに合致する場合には︑その限りで︑特定の指図は︑履行期が到来した時点で︑特定の. 履行義務を形成する.ただし︑それは情勢に変化がない場合に限られる.もしも状況が変わって︑指図に従うことが︑. もともとの契約で船主がまったく引き受けなかったサービスを要求するならば︑それに従う義務は消滅しなければなら. ない.私の見るところでは︑傭船者による事前の指図は︑継続的要求そのものであって︑その有効性は時の経過ととも に変化するのである︒﹂. 要するに︑冨臣匹一卿の見解によれば︑指図がなされてからその履行期までの間に︑指図の内容が船主の負担す. る契約上の義務を逸脱するものと判断された場合には︑その時点で指図は違法であると認定されるのであり︑他方. 三六七. において︑かかる事態が生じないまま履行期を迎えた場合には︑その時点で指図が適法であると認定されることに なる︒. 定期傭船者による最終航海の指図について.

(10) 早法七三巻三号︵一九九八︶ ︵6︶﹇一︒琶一ロo琶.ω力8■に㎝減①<①邑鑛ロ︒屋一ロ︒且︑ω寄p︒︒① ︵7︶冨刈一﹈一ロo旨︑ω窓P認ω. Bo旨房 嶺. 三六八. ︵8︶ 勾①こ卿︵およびそれに賛成した90器卿︶は︑﹁傭船者の選択により二一ヶ月間プラスマイナス一五日間︵冨. この結論を示唆する古い判例として︑O同鎚m且09鉾○ぼ一駐Φ俸○ρ︵一〇・︒ ︒ O︶㎝日r国㎝刈刈がある︒この事件では︑傭船期. のに対し︑竃〇三ω卿︵およびそれに賛成したの奉簿卿とUo8<き卿︶は︑さらなる延長を許容するものと解した︒. 鼠鴇Boお〇二霧ωぎ9巽けR︑ω8ぼ8︶﹂という傭船期間の定めは︑プラス一五日間以上の延長を認めない趣旨であると理解した ︵9︶. の傭船料を収受する権利しか認められないと判示している︒. 間が﹁三ヶ月間﹂と定められていたが︑冒緯訂毒判事は︑傭船契約の真正な解釈によれば︑三ヶ月経過後も船主には約定レート. 件では︑返船期日がコO月一五日から一三日まで﹂と定められていたが︑それとは別に︑当事者間で﹁本傭船契約は︑::一〇. ︵10︶ この類型に属する裁判例として︑詣讐ω9望$ヨ警ぢOO運・寓Φ肖気薫8跨R俸OP︵お屋︶一︒︒○OB・○霧N漣がある︒この事. 月一五日から三一日までの間に︑船主に返船されるまで継続する︒﹂旨の文書が取り交わされていたことから︑>鱒ぎ判事は︑一 〇月三一日を越えてなされた返船を契約違反と判示した︒. ︵12︶. ロ︒刈︒﹈N口o琶︑ω園8■に9畦時巨おロ︒刈㎝﹈一¢○旨︑ω力ΦPω︒︒①. ︵U︶Q■甲Φぴ①房窪8評ヨ冨巴σωωΦ一ωざび①け>\ω鉾ζ目ω8ψω︐い幕︵一︒邑謡︒︒問Φ阜甲認刈. 指図を発した時点を基準とするものとして︑=Φ99望8ヨ昏ぢOo曼あo︿砕碧算︵お臨︶記口﹇勾8﹄胡における︾爵ぎω3. ︵13︶ ロ8二一口○琶︑ω肉8■一︒︒讐一︒刈. 判事の見解︑判例﹇4﹈︵↓冨臣○器号事件︶の第一審判決︵﹇お謹﹈一口○琶.ω幻8︒︒︒︒︶における竃08叶$判事の見解︑冒貰Φ茜. ︵14︶. ︒における囚R判事の見解がみられた︒ Z騨く蒔讐一80ρ§○き貰壁>目B区鍔ψ>︵↓箒﹈≦貰Φ奉>・ω・︶﹇おミ﹈一口o覧︑ω勾8﹄︒・. 菊8﹂お︶と判例﹇4﹈︵↓訂90濤号事件︶の控訴審判決︵ロO謡﹈一口o琶︑ω菊8﹂ま︶とにおいて示された∪窪巳轟卿の見解. 他方︑最終航海に着手した時点を基準とするものとして︑判例﹇6﹈︵↓冨OのヨoR詳○ω号事件︶の控訴審判決︵﹇這ま﹈N口○覧︑ω. があった︒. ︵16︶ ロ8ω﹈N=○琶︑ω勾8.︒︒ω㎝. ︵焉︶ ロ︒旨﹈い︒こo琶︑ω幻8﹂︒.

(11) ロ︒譲﹈. 餌>=国ー菊. 瞬>=閃︐勾・OOOO鋤叶一〇〇①. 最終航海の指図が適法であった場合の法律関係. OOOO簿け一〇〇①. ロ8出. 三. ︵1︶問題の所在. 定期傭船者による最終航海の指図について. 三六九. 海の指図によるものであっても︑結果的に最終期日を超過した以上︑定期傭船者は傭船契約に違反したことになる. 払うべきなのか︑それとも市場レ!トで支払うべきなのかが問題となる︒法律構成としては︑たとえ適法な最終航. が最終期日を徒過してしまった場合である︒この場合︑定期傭船者は︑超過した期間中の傭船料を約定レ!トで支. ないこともまた当然だからである.問題は︑当事者のいずれにも過失が認められないもかかわらず︑結果的に返船. た︑逆に定期傭船者側に過失がある場合には︑最終期日を超過した期間について︑定期傭船者が損害賠償を免れえ. い︒なぜなら︑船主の側に過失がある場合には︑船主が最終期日以後の傭船料を収受できない点に争いはなく︑ま. 主ないし定期傭船者のいずれか一方または双方の過失に基づくものであるならば︑特に議論の余地は認められな. 合には︑何ら問題は生じない︒また︑当初の予測に反して︑実際の返船が最終期日を徒過した場合でも︑それが船. は︑それに従うことを義務づけられる︒その結果として︑最終航海が︑当初の予測通り最終期日までに完了した場. 以上の基準に照らして︑定期傭船者による具体的な最終航海の指図が適法であると判断された場合には︑船主. 1817.

(12) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三七〇. のか否かが検討されなければならない︒この問題については︑冒頭に掲げた﹁1﹈鵠賓仁pα巴寓Ro訂旨竃巽営Φ. Oo●暮R斧○霧貫一〇冨ほR一づ閃Oρ一巳只↓冨寄8§において︑重大な判例変更がなされた︒ここでは︑従来の. 判例の流れを跡づけた上で︑判例﹁1﹈の意義を考えてみることにしたい︒. ︵2︶従来の判例. 判例﹇1﹂が示されるまでの間︑当面の問題に関する先例と目されてきたのは︑前述した﹁5﹈目ヨげR ω匡ワ. ℃ぎ閃○○あ.︾斧■o&9俸○<R器霧閃お蒔巨Rω一箆●︵↓箒8&象国捲δσ︶である︒この判決は︑次のような紛. 争に関するものであった︒. 一〇且8国×巳o一R号は︑アメリカン・ガバメント・フォームに基づいて定期傭船に出された︒その傭船期間について. は︑﹁約︵ぎo葺︶﹂という印刷文字を削除した上で︑﹁傭船者の選択により二一ヶ月間プラスマイナス一五日間︵一N. 船舶の返船時まで傭船料が支払われる旨の条項が設けられていた︒■o&自国捲巨R号は︑一九六七年一二月二九日に. B・9房5鼠冨ヨ・お・二①ωω営︒冨旨R︑ω︒冨9︶﹂と約定されており︑また︑定期傭船契約書の第四条︵五四行目︶には︑. 引き渡されたので︑その一二ヶ月後は一九六八年=一月二九日であり︑それに一五日間を加えた日は︑一九六九年一月. 一三日であった︒一九六八年一〇月に︑定期傭船者は最終航海の指図を行ったが︑当時の予測では︑最終期日までに返. 船することが可能であった︒ところが︑ニカ所の仕向港でストライキが発生したために︑荷揚げの予定が大幅に遅れ︑. 最終的に返船されたのは一九六九年四月二四日であった︒一九六九年初頭における定期傭船料の市場レートは︑本件で. 約定されていたレートよりも低かったが︑船主は︑定期傭船契約第四条に基づき︑返船時までの傭船料は約定レートで. 支払われるべきであると主張した︒それに対し︑定期傭船者は︑一九六八年一二月一一九日の時点で契約に違反したこと.

(13) になるから︑それ以降は従前の傭船契約は終了しており︑ それゆえ︑その後の超過期間については︑損害賠償として市. 場レiトに基づく傭船料を支払えば足りると反論した︒. この貴族院判決では︑主として二人の判事が意見を述べている︒両者はいずれも︑結論的には︑傭船契約第四条. を根拠として船主の主張を支持したが︑適法な最終航海が期せずして最終期日を徒過した場合における法律関係の 理解に違いがあったために︑同条の位置づけに相違がみられた︒ ︵19︶. ︵20︶. まず︑国①こ卿は︑適法な最終航海が期せずして最終期日を徒過した場合における法律関係を︑指図の適法性の 問題と明確に区別した上で︑前者について︑次のように判示した︒. ﹁もちろん遅延につき当事者のいずれもが責を負わないことを前提とした場合であるが︑傭船契約は︑適法な最終航. 海の終結時まで効力を有し続けるものとして企図されるのが実際的であるから︑当事者が別段の定めをなさない限り︑ そのように推定されなければならないものと思われる︒﹂. すなわち︑肉の一α卿によれば︑最終期日までに返船することを怠ったとしても︑それによって傭船者が必然的に. 契約違反におちいるわけではなく︑適法な最終航海の予期せぬ遅延によって返船が最終期日を徒過した場合には︑. 航海の終結時まで傭船契約は効力を有し続けるものと推定され︑それゆえ︑反証がない限り︑超過期間中の傭船料. 三七一. は約定レートに従うことになる.菊①一α卿は︑こうした理解を前提として︑定期傭船契約の第四条を︑右の推定を 裏付けるものと判示した︒ 定期傭船者による最終航海の指図について.

(14) 早法七三巻三号︵一九九八︶. ︵21︶. 三七二. これに対し︑冒o霞け卿は︑最終期日までに返船することができなかった場合には︑たとえその最終航海が適法. な指図に基づくものであったとしても︑定期傭船者は契約に違反したことになるとの見解を示した︒ただし︑定期. 傭船契約の第四条は︑返船の遅滞につき定期傭船者に契約違反があったか否かにかかわらず適用されるものである. から︑実際に返船されるまでの傭船料については︑少なくとも約定レートに基づく金額が支払われることになり︑. ︵22︶. ただ市場レートが約定レートを上回っている場合には︑その差額が損害賠償として支払われることになると判示 した︒. これら二つのうち︑その後の裁判において先例とされたのは︑勾o一α卿の見解であった︒例えば︑前述した﹇4﹂. ↓冨≧ヨ餌ω霞署﹃閃Oo∈o目象一89言o目○<貯鉾寓き什o話巳︵↓幕90器︶において︑UΦ目ぼ閃卿は︑判例﹁5﹈ ︵23︶ ︵↓箒一9α9国×筥9R号事件︶を引用しながら次のように判示している︒. ﹁傭船者が︑船舶を︑適法な最終航海1すなわち︑傭船期間の終わりまでに完了することが合理的にみて予期される. 航海1に就かせる場合には︑船主はその指図に従わなければならない︒その後︑いずれの当事者にも帰責性のない事柄. によって船舶が遅れるときは︑傭船契約は︑たとえそれが傭船期間を超過する場合であっても︑傭船契約は︑その航海. の終結時まで効力を有し続けるものと推定される︒傭船料は︑たとえ市場レートが上昇または下降しているとしても︑ 返船まで傭船契約上のレートで支払われうる︒﹂. ︵24︶. 他方︑学説においても︑判例﹇5﹈︵日ぎ8且9国巻巨①ぺ号事件︶ における竃〇三ω卿の見解は︑適法な最終航. 海に関する通説と矛盾するものと解されていた︒.

(15) ︵2︶↓ぽ評9寅号事件. ところが︑控訴院は︑すでに述べたように︑判例﹇1﹂缶旨且巴目Ro冨旨竃胃一冨OO︒■鼠蔓︒O霧貫一〇冨旨9鑛. 09岸件︵↓冨評8芭において︑その立場を変更した︒この事件の争点は次の通りである︒. 管理船主︵良眉89日︒・≦めR︶である寓旨民鉱目Ro﹃旨ζ醇ぎΦOo■犀Fは︑ニューヨーク・プロデュース・フオ. ームに基づいて︑O①ω貫一〇冨辞R一鑛Oo●い痒に対し︑寄8ご号を定期傭船に出した.定期傭船契約書の一四行目に. は︑傭船期間として﹁おおよそ最短で一〇ヶ月最長で二芳月の定期傭船︑厳密な期間は傭船者の任意︵菩o鱒菖畦. ヨqヨεヨo旨房目貰旨qヨ旨ヨ︒旨房ユB①3畦叶9穿碧&ξ讐一巳昌9胃8お毎・言8︶﹂との定めがあり︑また︑その一. 五行目には﹁傭船者は︑最終航海を完了するために︑下記に定める航路定限の範囲内で︑さらなる選択権を有する︒﹂. と定められていた︒勺Φ9冨号は︑一九八七年六月二日に傭船者に引き渡されたので︑一〇ヶ月目は四月一一日に︑. 一二ヶ月目は一九八八年六月一一日に到来する予定であった︒一九八八年五月六日に︑傭船者は︑再傭船契約を締結し. たが︑仮にその日程をこなしていたならば︑勺Φ2冨号は︑一九八八年七月一九日ごろより前に返船されることはなか. ったはずである︒五月一一日に︑船主は︑予定されている航海は不適法であると抗議した上で︑傭船契約書の一四行目. にみられる︑.号○旨︑︑という表現に意味を持たせて︑四五日以内すなわち六月二五日までに℃Φ○巳四号を返船できるよう. な航海を指図するよう求めた︒さらに五月一七日に︑船主は︑傭船期問内に勺①自ご号を返船できるような航海を指図. するか︑さもなくば︑傭船期間外の航海については割増傭船料を支払うことを定期傭船者に求めた︒傭船者がいずれの. 三七三. そこで︑こうした船主による船舶引揚げの妥当性が︑問題となった︒争点は︑定期傭船者による最終航海の指図が︑. 条件をも受諾しなかったので︑℃①8む号は︑船主によって傭船者の業務から引き揚げられた︒. 定期傭船者による最終航海の指図について.

(16) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三七四. 傭船契約書の一五行目に定められた選択権の行使といえるかどうかであった︒船主は︑この選択権は︑適法な指図に基. づく最終航海が期せずして返船期日を徒過した場合に適用されるものであって︑当面の事件のごとき違法な最終航海の. 指図を正当化するものではないと主張した︒言うまでもなく︑この議論は︑返船が最終期日を徒過したときは︑たとえ. 最終航海が適法な指図に基づくものであって︑しかも︑その遅滞につき定期傭船者の側に過失が認められない場合であ. っても︑契約違反に変わりはなく︑それゆえ︑本来ならば定期傭船者は船主に対し遅延した期間中の損害︵傭船料の市. 場レートが約定レートを上回っている場合には︑得べかりし市場レートの傭船料︶を賠償しなければならない︑という考え方. を前提としている︒すなわち︑傭船契約書の一五行目の規定は︑まさにこのような場合を想定しつつ︑定期傭船者を免. 責する機能を持つものであり︑不適法な最終航海の指図を正当化するものではないと主張したわけである︒それに対. し︑定期傭船者は︑適法な指図に基づく最終航海が定期傭船者の過失によらずに最終期日を徒過した場合には︑もとよ. り契約違反は問題にならないのであるから︑この場面で定期傭船契約書の一五行目の規定を適用する必要はないはずで. ある︑と反論した︒つまり︑同条は︑不適法な最終航海の指図を正当化するための規定であると考えたわけである︒. これを受けて︑霞轟冨B卿は︑先例をつぶさに検討した上で︑そこでの多数意見は︑むしろ本件において船主. 側が主張している見解を支持するものであるとの判断を下した︒すなわち︑返船が最終期日を徒過したときは︑た. とえ最終航海が適法な指図に基づくものであって︑しかも︑その遅滞につき定期傭船者の側に過失が認められない. 場合であっても︑契約違反に変わりはなく︑それゆえ︑本来ならば定期傭船者は船主に対し遅延した期間中の損害. ︵傭船料の市場レートが約定レートを上回っている場合には︑得べかりし市場レ!トの傭船料︶を賠償しなければならな. いはずであるが︑まさにそのような場合における定期傭船者の免責を図ったのが︑定期傭船契約書の一五行目の規.

(17) ︵25︶. 定であると解したわけである︒その上で︑定期傭船契約書の一五行目に定められた定期傭船者の選択権は︑﹁定期. 傭船契約に基づく﹂最終航海を完了させるための権利であって︑定期傭船契約に違反するような最終航海への着手. ︵一︒ ︒︒. ︒︒︶㎝臼い菊㎝ミでは︑これら二つの問題が明確に区別され. を船主に要求する権利を意味するものではない︑との結論に至った︒. 口O刈昌一口o﹃α︑の肉8.躍ω讐認刈. ていなかったことを指摘している︒. ︵19︶勾Φ箆卿は︑先例と目される9昌餌&Oρく6ぼ巨冨俸○ρ. ︵20︶. ︒簿器O 口O謡﹈一口o賓α︑ω勾8D器し. OOひq巨一P旨囚一ヨσ巴だ目ヨΦOげ貰9﹃ω︾簿o︒O ︵ω巳Φ斜お○︒O︶. 不適法な最終航海の指図と船主の救済処置. 口OO一﹈一 こ o 閲 α ︑ ω 勾 8 ﹂ O O 緯 一 一 ω ﹂ 一 〇. ≦まo巳︶↓. 口O謡﹈一ご○蜜α︑ω菊8﹂一切緯一嵩. 口箋昌H口 o ﹃ α ︑ ω 勾 8 . 躍 ω 讐 認 P 器 O. ︵21︶. 霞. ︵23︶. ︵22︶. ︵ 2︶ 4. ︵25︶. 四. ︵1︶超過期問中の傭船料. 三七五. 次に︑定期傭船者による最終航海の指図が不適法であると判断された場合の効果を考えてみたい︒この場合︑ 定期傭船者による最終航海の指図について. 船.

(18) 早法七三巻三号︵﹃九九八︶. 三七六. 主は︑不適法な指図を拒否し︑適法な代替航海の指図を傭船者に要求できるほか︑不適法であることを承知の上. で︑あえて傭船者の指図に従うことも可能である︒後者の道を選ぶ場合には︑将来の損害賠償の処理方法について. 当事者間で合意を交わすことも少なくないが︑仮にそのような約定がなされなくとも︑船主は︑違法な最終航海の. 指図に従った結果として損害を被っている限り︑定期傭船者に対してその賠償を請求できることになる︒問題は︑. その損害の範囲および算定基準をどのように考えるかという点にある︒具体的には︑超過期間中の傭船料は約定レ. ートによるべきなのか︑それとも市場レートによるべきなのかという点が︑ここでもまた問題となる︒前述した. ﹇4﹂↓箒>一B四ω獣O風⇒閃Oo苔9簿δロ9ζo霞○<冨斧冨簿旨o<餌昌︵↓箒90器︶において︑U窪ぎ口閃卿は︑この ︵26︶. 点について次のように判示している︒. ﹁船主が指図を受け入れて︑引き続き不適法な最終航海に出るならば︑彼は︑超過期間につき︑約定レートではな. く︑その時点の市場レートで支払を受ける権利を有する︵ミ趣ミ黛90§魯お§ス這5器臼い塑合︒︒参照︶︒傭船料は︑. 傭船期間の終了時までは約定レートで支払われるべきであり︑それ以後の超過期問については︑その時点の市場レート で支払われるべきである︒﹂. 超過期間中の傭船料の支払は︑傭船契約に基づくものではなく︑あくまでも損害賠償であるとの立場を貫く限. り︑U窪ぎ轟卿は︑ごく当たり前のことを述べたにすぎない︒しかしながら︑市場レートが約定レートを下回っ. ω露亨. ︵↓冨8&自司捲巨包は︑適法な指図に基づくケースであ. ている場合でも︑この見解を維持できるかどうかについては︑検討の余地がある︒前述した﹇5﹂目日げR 口轟Oo●ψ︾鉾い○&9俸○<R器霧牢①蒔拝Rω■巳.

(19) ったが︑. ︵27︶. そこで示された竃〇三ω卿による次の説示は︑ 当面の問題に関する一つの解決策を示唆していた︒. ﹁私見によると︑傭船契約第四条の文言は︑返船日の返船時刻までは傭船料を約定レートで支払う義務を傭船者に課. した︒その時まで︑傭船は継続した︒返船すべき時点でそれを怠ったことにつき傭船者に契約違反があろうとなかろう と︑第四条に基 づ く 義 務 は 存 在 し た ︒ ﹂. ﹁おそらく︑第四条のような規定があるならば︑傭船者は︑実際に返船するまで約定レートで傭船料を支払うことを. 義務付けられるとともに︑それに加えて︵もしも現時のレートが約定レートを超えていたならば︶︑合理的な時間内での返. 船を怠ったことに関する損害を賠償する義務を負うだろう︒仮に︑そうした損害賠償がなされたならば︑・:傭船者が契. 約条件に基づいて本船を使用し続けることを当事者が黙示的に合意していたかどうか︑あるいは︑契約条件が依然とし. て適用されることを前提として当事者が互いにその業務を行っていたかどうか︑という問題が提起されるだろう︒﹂. 要するに︑竃o霞彷卿によれば︑ニューヨーク・プロデュース・フォーム第四条のごとき規定は︑返船が最終期. 限を徒過したことについて傭船者に帰責性が認められる場合︵不適法な指図をした場合も︑おそらくそれに含まれるだ. ろう︒︶であっても適用されるのであるから︑仮に超過期間中における傭船料の市場レートが約定レートを下回っ. ているとしても︑現実に返船されるまでは約定レートに従った傭船料が支払われることになる︒言い換えれば︑損. 害賠償が問題になるのは︑市場レートが約定レートを上回っているときに限られることになる︒ ︵28︶. 三七七. そして︑この見解は︑﹇1﹂=﹃巨α巴冒Ro冨導冨畳器OO一巳◎︒08昌一〇訂旨豊轟○○■&︵↓訂評8芭に. おける鯉轟冨ヨ卿の説示の中でも︑傍論ではあるが︑繰り返し言及されている︒ 定期傭船者による最終航海の指図について.

(20) 早法七三巻三号︵︼九九八︶. 三七八. ﹁船主は︑そのような指図︵不適法な指図ー筆者︶に従うことを一切合意していないのであるから︑それに従う必要. はない︒その一方で︑彼は︑義務付けられていないものの︑その指図に従ってもよい︒もしも本当に従うならば︑彼. は︑本船の返船までは傭船契約上のレートで傭船料の支払を受ける権利を与えられ︑また︑︵彼が傭船者の契約違反に関. する要求を放棄しない限り︶最終期日から返船までの期間については︑損害︵市場レートが約定レートより高いならば︑そ. れらの差額︶の賠償を求める権利を与えられる︒﹂. ︵2︶履行拒絶に基づく契約の解除. ︵29︶. コモンローの一般原則によれば︑契約違反は︑次の二つの類型に分けられる︒一つは︑履行時における不履行で. あり︑もう一つは︑履行期前における明示的な履行拒絶︵﹃8&§一8︶である︒後者の場合︑契約の相手方は︑履 ︵30︶. 行期前の履行拒絶を受認して契約を解除し︑もって契約違反に対する損害賠償を訴求するか︑さもなくば︑その受 認を拒んで契約を存続させることができることになる︒. では︑定期傭船者によって違法な最終航海の指図がなされた場合にも︑船主は︑それを履行期前の履行拒絶とみ. て船舶を引き揚げる︵契約を解除する︶ことができるのだろうか︒この問題を真正面から審理したのは︑前述の. ﹇3﹈↓○箋巴α困零窪8ω︾\ω◎■>旨凶冒貰置白Φ○○唇o量瓜9︵↓ぎ9畠oの︶が最初であった︒確かに︑﹇4﹈↓冨. ≧B四ω匡℃口轟○○∈9象一99竃o員o<冨鉾﹈≦き8<餌巳︵↓ぎ臣o器︶において︑U①目冒閃卿は︑違法な最終航海 ︵31︶. の指図が契約前の履行拒絶︵﹃8且凶呂8︶に当たることを示唆したが︑それは︑あくまでも傍論にすぎなかった︒.

(21) また︑﹁1﹂=く巨α巴竃Ro富葺冒四﹃ぎΦ09P阜斧08貫一〇げ巽房ユ轟09犀9︵↓冨頴o昌芭における匪轟富ヨ ︵32︶ 卿の説示では︑この点に関する明確な結論は回避されていた︒そのため︑判例﹇3﹈︵↓ぎ9濃8号事件︶におい ︵33︶ て貴族院は︑この問題に対して新鮮なアプロ!チをとることができた︒. ζ参践一卿は︑当面の問題を︑最終航海の指図に特有のものではなく︑船主に対して契約外サービス︵Φ図冨−. 09q8言巴器三8︶の履行を指図した事例の一つと位置づけた上で︑かかる指図に共通する理論構成を模索した︒. まず第一に︑無効な指図を行うことが︑それ自体︑履行期前の履行拒絶︵8薯象呂8︶になるといった考え方が取. り上げられた︒ζ仁ω岳一卿は︑こうした考え方をさらに厳密に分析した上で︑この命題を退けた︒なぜなら︑もし. も仮に︑この命題が︑およそ傭船者は無効な指図をしないよう義務づけられており︑しかも︑この義務は契約の作. 用にとって根本的であるがゆえに︑その違反は当然に契約の解除を基礎づけるとの意味に理解するならば︑﹁被違. 4︶. 反者の側にとって害のない違反︵拒絶すれば何ら損害を被らない違反−筆者︶を︑不利な契約から離脱するための手 ︵3 段として﹂利用することを認める結果になるからである︒そこで︑第二の理論構成として︑最終期日までに返船す. ることが契約の﹁条件︵8&置8︶﹂となっている以上︑指図の時点で︑かかる条件に違反することが予測される. ならば︑そうした指図は履行期前の履行拒絶を構成する︑との見解が吟味された︒しかしながら︑冨窃艶一卿は︑ ︵35︶. 期限内の返船を﹁条件﹂とみること自体を否定することによって︑この第二の考え方もまた退けた︒最終的に. 冒5岳一卿が支持したのは︑指図自体が履行拒絶を構成するのではなく︑指図が無効になった後もそれに固執した ︵36︶. 傭船者の行為が︑もはや傭船契約には拘束されないとの意思を表明したことになるのであって︑まさにこの点が履. 三七九. 行期前の履行拒絶を基礎づける︑との見解であった︒そして︑この立場は︑非安全港への航海の指図を履行期前の 定期傭船者による最終航海の指図について.

(22) 早法七三巻三号︵一九九八︶ ︵37︶. 履行拒絶として構成してきた従来の裁判例と一致するものであった︒. 三八O. かくして︑ここに次のような法理が確立した︒すなわち︑定期傭船者が不適法な最終航海の指図をなした場合に. おいて︑船主が拒んだにもかかわらず︑定期傭船者がその指図に固執し続けるときは︑船主は︑それを受認︵8−. Ω琶して船舶を引き揚げる︵定期傭船契約を解除する︶とともに︑それに伴う損害賠償を請求できる︑というもの. 27. 26 ). ). ). ロO謹﹈斜>=国●勾・80︒讐一〇一〇. ロ8一﹈一口○琶︑ω幻8﹂︒O讐一︒o. ロ︒誤﹈一口畠α︑ω肉8﹂嶺簿一一〇. 詳しくは︑安藤誠二﹁契約の履行期前違反の諸相﹂海事法研究会誌一三五号一頁以下︵一九九六年︶参照︒. ﹇一︒葦﹈一口o冠︑ω勾8●認ω讐認P器︒. ロO誤﹈一口○且︑ω勾8﹂a簿一一〇. 。. ≦露8俸O㊤旨段︵Oo毒色ω︶一巳鉾冒oO﹃紹9﹇お爵﹈>︒○﹄ω参照︒. ロ8一﹈一ご○覧︑ω菊8﹂O︒簿H︒G. 。. である︒. 28 〉. 。 。. 評鉱ωζ畳江ヨ①Oo壱︒﹃呂8eら豊・一8ωαΦ一霞①痒Φ霞き$︒ω●︾︒︵↓げΦω普ω︶ロ8︒﹈一ご・琶︑ω寄ワω臨. 竃○昌o吋=亀ω︵Ooユ旨げ︶即の団冨艮Φωψ>︒鉾ω匪署一鑛OO壱○轟ぼ80二且壁︵↓ぽ囚餌昌9窪甘轟9︒︶ロOo ︒︒﹈一ご○且.ω勾8︒. ロO謹﹈斜︾=中塑OOG︒緯一〇〇〇. 29 ). ロO虐﹈斜︾=中卑OOo︒讐一〇〇〇. 30 ). 口O漣﹈腿︾=中丙80︒讐一〇一〇. 31 ). 36. 35. 34. 32 ). 33 ). ) ) ) ㎝. 37 ω.

(23) 五. おわりに. 以上の考察により︑当面の問題に関するイギリス法の現状が一応明らかになったものと思われる︒ここでは︑改. めてイギリス法の立場を整理した上で︑それに対する若干の疑問点を明らかにしてみたいと思う︒. まず︑定期傭船者が最終航海の指図をした場合において︑その時点で︑最終期日︵当事者間であらかじめ一定の猶. 予期間が合意されている場合には︑さらなる猶予は認められない︒︶までに返船することが不可能であると予想される. ならば︑船主は︑それを拒絶することができる︒一方︑その時点で︑最終期日までの返船が可能であると予想され. るならば︑船主は︑その適法な指図に従わなければならない︒ただし︑そうした指図の適法性は︑最終航海に着手. する直前までの間はいわば暫定的なものにすぎず︑仮にその間の事情の変化によって期限内の返船が不可能となっ たならば︑その時点で︑従前の指図が不適法なものと評価されることになる︒. 適法な指図に従ったにもかかわらず︑当初の予測に反して︑実際の返船が最終期日を徒過した場合には︑それが. 誰の過失に起因するかによって処理の仕方が異なる︒それが船主側の過失によるものであれば︑当然のことなが. ら︑船主は︑最終期日以後の傭船料を収受できない︒逆に定期傭船者側に過失がある場合には︑最終期日を超過し. た期間について︑定期傭船者が損害賠償を免れえないこともまた当然である︒そこで︑当事者のいずれにも過失が. 認められないもかかわらず︑結果的に返船が最終期日を徒過してしまった場合が問題となるが︑この場合には︑実. 三八一. 際に返船されるまで︑傭船者は︑仮に市場レートが約定レートを下回っている場合でも︑約定レートに基づく傭船 定期傭船者による最終航海の指図について.

(24) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三八二. 料を支払わなければならないことになる︒逆に市場レートが約定レートを上回っている場合には︑傭船者は︑原則 として︑その差額分を損害賠償として支払わなければならない︒. 違法な最終航海の指図がなされた場合には︑船主は︑それを拒んで︑代替航海の指図を求めることができる︒そ. れでもなお︑傭船者が従前の指図に固執する場合には︑船主は︑かかる﹁履行期前の履行拒絶︵同8&壁瓜曾︶﹂を. 受認して︑船舶を引き揚げることができるとともに︑それに伴う損害賠償を請求できる︒もちろん船舶を引き揚げ. ずに︑違法な指図に従うことも可能であるが︑その結果として実際の返船が最終期日を超過した場合には︑傭船者. の損害賠償が問題となる︒この場合︑傭船者は︑市場レートが約定レートを下回っている場合でも︑約定レートに. 基づく傭船料を支払わなければならず︑逆に市場レートが約定レートを上回っている場合には︑その差額分を損害. 賠償として支払わなければならない︒そのほか︑船主としては︑定期傭船者による不適法な指図を最終期日まで拒. み続けることによって︑予定通り最終期日に返船を受けることも不可能ではない︒この場合︑船主は︑当然のこと ながら︑約定レートに基づく傭船料を収受できることになる︒. 以上がイギリス法の現状であるが︑これに対しては︑いくつかの点で疑問が残されている︒まず第一に︑指図の. 適法性を判定する基準時︵8R畳話量旦を最終航海に着手する直前に求めることは︑最終航海の実施を前提とし. て前広に準備を進めざるをない定期傭船者を︑極めて不安定な立場に追い込む点で疑問がある︒この基準時. ︵8R呂お量邑の解釈にあたっては︑適法な最終航海の指図に対してどの程度の法的効果を付与するかによって. その価値判断が左右されることになるが︑いったん適法な指図と認定されてしまえば︑実際の返船が予想に反して. 最終期日を徒過した場合であっても︑船主は︑その超過期間中につき約定レートに基づく傭船料しか収受できない.

(25) という考え方−私見としては︑これが合理的であると思うがーをとるならば︑その基準時を出航直前まで遅らせる. ことにそれなりの合理性が見いだされるものの︑適法な指図に基づく場合でも︑原則として定期傭船者が超過期間. 中につき損害賠償を免れないとの立場をとる以上︑その基準時は︑定期傭船者が最終航海の準備を進めるのに必要 な相当期間だけ繰り上げるのが合理的であるように思われる︒. 第二の疑問は︑不適法な最終航海の指図に対する定期傭船者の固執を履行期前の履行拒絶とみて︑それを受認し. た船主に対し船舶引揚権と損害賠償請求権とを付与することが︑はたして必要なのかという点にある︒船主として. は︑不適法な最終航海の指図がなされた場合であっても︑あえてそれに従った上で実際に返船されるまでの傭船料. ︵超過期間については︑さらに損害賠償︶を確保する方法や︑その指図を最終期日まで拒み続けることによって予定. 通りの傭船料を確保する方法をとることが可能なのであるから︑履行期前の履行拒絶を受認して船舶を引き揚げる. のは︑より有利な条件で傭船契約を締結できる場合に限られるのが通常であろう︒このような場合︑最終航海の実. 施を前提として前広に準備を進めている定期傭船者にとっては︑出航直前に1基準時︵8R壁ぎ量旦の問題はこ. こにも影響を及ぼすi船主が船舶の引揚げを通知してくれば︑事実上︑当該船主との間で最終航海の実施に向けた. 何らかの契約交渉に入らざるを得えず︑結局は︑予定通り最終航海を実施してもらうために︑予想外に高額な支払. を約定せざるをえない可能性が高い︒事実︑﹇3﹈↓○署巴α国一鋤く窪窃ω>\ω >ヨ一三畦庄BΦOo壱o轟江9︵↓箒. 9畠︒ω︶では︑傭船者に対し︑仮に不適法な最終航海がそのまま実施されたならば支払われたであろう損害賠償額. のおよそ一〇倍に上る高額な支払が︑最終航海の実施のために約定された︒控訴審の霞毎叶卿は︑これを﹁たなぼ. 三八三. た的損害︵a区眺巴一塗ヨ鎚旦﹂と呼んで︑その高額さゆえに︑履行拒絶の法理の適用を回避したのであるが︑貴族 定期傭船者による最終航海の指図について.

(26) 早法七三巻三号︵一九九八︶. 三八四. 院の匡⊆ω匹一卿は︑この問題を︑損害賠償ではなく︑あくまでも当事者間で交わされた﹁請求権留保協定﹂の効果. として位置づけることで︑その支払を命じた︒そうだとすれば︑ほとんどの場合︑実際には船舶の引揚げは行われ. ず︑最終航海が実施されることになるにもかかわらず︑不適法な最終航海の指図への固執を履行期前の履行拒絶と. みることは︑船主に対し︑定期傭船者側の差し迫った状況に乗じて︑本来の損害賠償額をはるかに上回る金額を収 受する可能性を開く結果となる点で︑不合理なのではないだろうか︒.

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