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博士論文審査報告書

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学大学院理工学研究科. 博士論文審査報告書. 論. 文. 題. 目. 幾何的 Newton 法の同次化に関する研究 A study of homogenized geometric Newton-Raphson method. 申 氏. 名. 木村. 請. 者. 雅紀. MASANORI KIMURA. 専攻・研究指導 (課程内のみ). 機械工学専攻. CAD 工学研究. 2006 年 2 月.

(2) C A D 分 野 に お い て ,自 由 曲 線 ・ 曲 面 の 干 渉 処 理 は 非 常 に 重 要 な 問 題 で あ る . こ の 処 理 に お い て , 交 点 の 算 出 に は 幾 何 的 Newton 法 を 用 い る の が 一 般 的 で ある. と こ ろ で 近 年 , 自 由 曲 線 ・曲 面 の 記 述 の た め に そ の 表 現 能 力 の 豊 か さ を 求 めて,通常多項式曲線・曲面のみならず有理多項式曲線・曲面も用いられる ようになってきた.これは一方では新たな幾何処理の困難さをもたらすこと と な っ た . す な わ ち 幾 何 的 Newton 法 に お い て は , 少 な か ら ぬ 初 期 値 に 対 し 発散現象が現れ,遂にアルゴリズムが停止し,解が求まらないという致命的 な事態となる. 本論文は,有理曲線・曲面に特有な上記発散現象のみならず,複素解が存 在することにより現れる振動現象をも解消し,また初期値に対応しない解が 得られる局所一意性問題を改善するために,座標およびパラメータを同次化 す る 同 次 幾 何 的 Newton 法 を 提 唱 し , 従 来 法 と 比 べ 格 段 に 優 れ た 頑 健 性 と 局 所一意性とを得ることに成功している. 本論文は7章より成る.各章の概要は以下の通りである. 第1章. 研究背景・研究目的. 幾 何 的 Newton 法 に は , 頑 健 性 と 局 所 一 意 性 が 要 求 さ れ る . 頑 健 性 と は , 演算が途中で破綻することなく正常に終了する性質である.また局所一意性 とは初期パラメータと収束解との関係が連続的となる性質であり,予測され 得る解に収束するために必要な性質である. 有 理 曲 線 ・ 曲 面 を 対 象 と す る 幾 何 的 Newton 法 の ア ル ゴ リ ズ ム に は , 頑 健 性 と 局 所 一 意 性 に 問 題 が 存 在 す る . 幾 何 的 Newton 法 に 関 連 す る 過 去 の 研 究 は 主 と し て 収 束 性 の 改 善 に つ い て 扱 っ て お り ,有 理 曲 線 ・ 曲 面 を 対 象 と し た 場 合の有理式特有の頑健性に対する問題に言及したものは見当たらない. 本 論 文 は 幾 何 的 N e w t o n 法 に 同 次 処 理 を 導 入 す る こ と に よ っ て ,発 散 問 題 , 振動問題,局所一意性問題を解決または改善する手法を提案する. 第2章. 問題提起. 従来法であるユークリッド幾何的. Newton 法 ( CE 法. Conventional. Euclidean method)は ,有 理 曲 線 ・ 曲 面 を 対 象 と す る 場 合 に 、そ の 定 義 空 間 であるユークリッド空間で直接的に扱う手法である. C E 法 は 発 散 現 象 を 生 じ や す い .実 際 に C E 法 を 用 い て ,有 理 曲 線 と 直 線 と の交点算出を行うと,多くの初期パラメータにおいてパラメータ値が発散す る.有理曲線を対象とする演算処理は,有理式表現に起因する問題を持つか らである. ま た , CE 法 は 初 期 パ ラ メ ー タ と 収 束 解 と の 連 続 的 関 係 が き わ め て 悪 く , 局所一意性にも大きな問題がある..

(3) 第3章. 発散問題への対応. C E 法 の 発 散 問 題 を 解 決 す る た め に ,座 標 を 同 次 化 し た 同 次 幾 何 的 N e w t o n 法 ( SH 法 : Singly Homogenized method) を 提 案 し て い る . SH 法 は 同 次 ベ ク ト ル 空 間 に お い て 定 義 さ れ る 同 次 曲 線 を 対 象 と す る , CE 法 と 等 価 な 幾 何 的 Newton 法 で あ る . 同 次 曲 線 は 有 理 曲 線 の 分 母 を も う 一 つ の ベ ク ト ル 成 分 とする非有理式表現された曲線であり,有理式表現に起因する問題が同次曲 線には存在しない. 同 次 曲 線 を 対 象 と す る SH 法 で は 有 理 式 表 現 に 起 因 す る 発 散 現 象 が 生 じ ず , 頑 健 で あ る . SH 法 で は , す べ て の 初 期 パ ラ メ ー タ に 対 し 演 算 を 破 綻 な く 行 うことができる. 交点を求める幾何的処理と等価な関数を等価関数という.発散問題は,幾 何 的 Newton 法 の 等 価 関 数 が 横 方 向 の 漸 近 線 を 持 つ 場 合 に 発 散 現 象 が 現 れ る . 有 理 曲 線 を 対 象 と す る 場 合 ,C E 法 の 等 価 関 数 に は 必 ず 漸 近 線 が 存 在 す る . いったんパラメータが漸近線近傍の値をとると,以後は微分値が一方的に減 小し,増分値は加速度的に増大し,遂には発散する. こ れ に 対 し ,SH 法 で は 非 有 理 曲 線 を 対 象 と す る の で ,SH 法 の 等 価 関 数 に は漸近線が存在せず,演算は頑健である. 第4章. 局所一意性問題への対応. SH 法 で は 頑 健 性 は 向 上 し た が , 局 所 一 意 性 は 不 十 分 で あ る . 局 所 一 意 性 を 向 上 さ せ る た め に 同 次 パ ラ メ ー タ 同 次 幾 何 的 Newton 法 ( DH 法 : Doubly Homogenized method) を 提 案 し て い る . DH 法 で は , 座 標 だ け で な く パ ラ メ ー タ も 同 次 化 す る こ と に よ り , 幾 何 的 Newton 法 の パ ラ メ ー タ 増 分 値 を 制 御 で き る 新 し い 自 由 度 が 得 ら れ る . 本 論 文では,同次パラメータ成分の二乗和を最小化する制御法を提案している. この制御法では,演算回数を従来法と変えることなく増分値を従来法より小 さく制御することができる. DH 法 で は , 発 散 現 象 が 現 れ な い だ け で な く , 初 期 パ ラ メ ー タ と 収 束 解 と の関係が連続的となり,局所一意性が飛躍的に向上する. 第5章. 振動問題への対応. 複素解の存在する交点算出問題においては,振動現象が発生する場合があ る.この問題を解決するために,同次パラメータを複素数化した複素同次パ ラ メ ー タ 同 次 幾 何 的 Newton 法 ( DHC 法 : Doubly Homogenized Complex method) を 提 案 し て い る . D H C 法 で は ,座 標 が 同 次 化 さ れ て い る の で 発 散 性 は な く ,演 算 は 頑 健 で あ る.また,パラメータも同次化され,複素同次パラメータ成分の二乗和を最 小 に 制 御 す る .こ れ に よ り ,D H C 法 は 優 れ た 局 所 一 意 性 も 実 現 し て い る .さ.

(4) らに,初期パラメータ近傍に複素解が存在する場合には,振動現象無しに複 素解に収束させることができる. D H C 法 は 発 散 的 お よ び 振 動 的 問 題 の 双 方 を 解 決 す る と と も に ,優 れ た 局 所 一意性を有している. 第6章. 有 理 曲 面 を 対 象 と す る 幾 何 的 Newton 法 の 頑 健 性. 曲面/曲面相互の交線を交線追跡法により求める際の,交線上の 1 点を幾 何 的 Newton 法 に よ り 決 定 す る 場 合 の 頑 健 化 に つ い て 論 じ て い る . 曲 線 / 直 線 の 幾 何 的 Newton 法 に 対 す る 同 次 化 の 手 法 を , 有 理 曲 面 間 相 互 の 干 渉 処 理 に応用している. 従 来 法 で あ る CE 法 は , 有 理 曲 面 を 対 象 と し て お り , 有 理 式 表 現 に 起 因 す る問題により,発散現象を生じやすい.これに対し,同次曲面を対象とした SH 法 は 頑 健 で あ る . 同 次 曲 面 が 非 有 理 式 で 定 義 さ れ る 曲 面 だ か ら で あ る . 発 散 問 題 は , 幾 何 的 Newton 法 の 等 価 関 数 の 形 状 に 依 存 し て お り , 等 価 関 数が横方向の漸近線を持つ場合に演算は発散する.曲面間相互の干渉処理で は等価関数が多変数を持つ複雑な形状であるため,変数の幾つかを固定し, 等価関数曲面の断面によって頑健性が説明される. 有 理 曲 面 を 対 象 と す る 場 合 , CE 法 の 等 価 関 数 は 有 理 式 と な り , そ の 曲 面 の断面は必ず横方向の漸近線を持つ.この場合、いったんパラメータが漸近 線近傍の値をとると,以後は微分値が一方的に減小し,増分値は加速度的に 増大し、発散する. 同 次 座 標 を 用 い て 有 理 曲 面 を 同 次 曲 面 と し て 扱 う の が , 曲 面 に 対 す る SH 法 で あ る . 同 次 曲 面 は 非 有 理 式 で あ る か ら , 同 次 曲 面 を 対 象 と す る SH 法 の 等 価 関 数 に は 漸 近 線 が 存 在 せ ず , SH 法 で は 演 算 を 破 綻 な く 行 う こ と が で き る. 第7章. 結. 論. 本 論 文 で は , 従 来 の 幾 何 的 Newton 法 の 持 つ 発 散 問 題 , 振 動 問 題 , 局 所 一 意性問題に対しての解決方法を提案している. 有 理 曲 線 / 直 線 の 交 点 算 出 に 対 す る 幾 何 的 Newton 法 に お け る 研 究 成 果 は 以下の通りである. 1.. 発散問題への対応として,座標を同次化することにより演算の頑健性を 向上させ,また考察において頑健性と等価関数の漸近線との関係を明確 にしている.. 2.. 局所一意性問題への対応として,パラメータを同次化し,かつ,同次座 標成分の二乗和を最小に制御することにより,局所一意性を格段に向上 させている.. 3.. 振動問題への対応として,パラメータの複素数化を行い,複素解に収束 させることにより振動現象を回避している.複素数化と同次化を併用す.

(5) る こ と に よ り 頑 健 性 と 局 所 一 意 性 を 両 立 し た DHC 法 を 提 案 し て い る . 有 理 曲 面 を 対 象 と す る 幾 何 的 Newton 法 に お け る 研 究 成 果 は 以 下 の 通 り で ある.. 4. 曲 面 の 干 渉 処 理 に お い て も , 座 標 の 同 次 化 に よ っ て 演 算 の 頑 健 性 を 向 上 さ せ る 方 法 を 提 案 し 、ま た 有 理 曲 面 を 対 象 と し た 幾 何 的 N e w t o n 法 の 頑 健 性と等価関数の漸近線との関係を明確にしている. 以 上 を 要 す る に 本 論 文 は ,C A D 工 学 を 支 え る 形 状 処 理 技 術 の 工 学 的 体 系 化 に 大 い に 貢 献 す る の み な ら ず ,工 業 的 貢 献 も 誠 に 大 き い も の が あ る .よ っ て 本 論 文 は 博 士 (工 学 )の 学 位 論 文 と し て 価 値 あ る も の と 認 め る . 2006年2月 審査員 (主査). 早稲田大学教授. 工学博士(早稲田大学). 山口富士夫. 早稲田大学教授. 工学博士(早稲田大学). 山本. 勝弘. 早稲田大学教授. 工学博士(早稲田大学). 山川. 宏. 早稲田大学教授. 工学博士(東京工業大学). 川本. 広行. 早稲田大学教授. 工学博士(早稲田大学). 富岡. 淳.

(6) ここから.

(7) ここから. このページまでにおさめてください。.

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