怪我予防や運動後の疲労回復効果が
ある。さらにパフォーマンスアップ
を狙うなら、ピラティスを試したい。
ピラティスは1920年代にドイツ
人のジョセフ・ピラティスが開発し
たメソッド。最近ではピラティスを
取り入れるアスリートも増えた。
「ストレッチやマッサージが痛みや
凝りに対する対症療法だとしたら、
ピラティスでは痛みや凝りが生じに
くいボディを作ることができます」
そう語るのは、リン・ロビンソン
さん。サッカー・プレミアリーグの
名門チェルシーFCでも指導してい
る英国ピラティスの第一人者である。
運動選手のピラティスというと、
怪我や故障からのリハビリ向けとい
うイメージが強いけれど、彼女によ
ると「ピラティスはもともとアスリ
ートのパフォーマンスアップのため
のプログラム。それがのちにリハビ
リに応用された」のだという。
そこでロンドン五輪の最中に緊急
来日した彼女に、本誌読者のために
スペシャルプログラムを作ってもら
った。メニューは朝、夜、週末とシ
ーン別に3つ。それぞれ前・後ろ・
横への屈曲、ひねりで背骨をバラン
スよく動かし、朝夕は各30分、週末
は60分。欠かさず続けると快適に動
けてパフォーマンスもアップする!
トレッチ&マッサージは
アスリートやスポーツ愛
好者にも必須のメソッド。
ス
INDEX
タイミングよくカラダを整える。
……エネルギッシュ
朝……リラックス
夜……チャレンジ
週末Athlete
Pilates
パフォーマンスアップから怪我予防まで
アスリートのための
ピラティス特別講座
英国のピラティス・クイーンが『ターザン』のために特別監修。
これで、ストレッチ&マッサージ知らずのカラダになれる!?
取材・文/井上健二 撮影/千葉 諭 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓(plastic) 監修/リン・ロビンソン(Body Control Pilates) 協力/ロハス・インターナショナルby Lynne Robinson
The Morning
ENERGISING
Workout
[朝のエネルギッシュ・ワークアウト]
頭の下にタオルを敷き、仰向けで膝を曲げる。 両足を腰幅に広げて平行に。骨盤はニュート ラル(前傾も後傾もしない自然な状態)、背骨 は自然なS字カーブを保つ。両腕を体側で伸 ばし、手のひらを床に向ける。数回呼吸して 背中や胸郭の隅々まで息を吹き込む。 ACTION ❶胸郭まで深く息を吸い込む。❷息を吐き、腹筋の下部が少し震えるくらい、ジッパーを 下から上げるように肛門のまわりにある骨盤 底筋群を引き上げる。❸息を吸い、ジッパー を開けるようにコアを緩める。 体幹のセンターに力を引き上げる際、ジッパ ーの動きをイメージする POINT基本ポジションを
学ぶ。
●リラックスポジション START リラックスポジションを取る。 頭を支えるように両手を後ろで組む。息を深 く吸って準備。 ACTION ❶息を吐きながら、うなずくように頭を優しく上げる。❷床から上半身を曲げて起こし、 そのカーブを維持するために胸郭の後ろに息 を吸う。❸上体を床に下ろしながら、息を吐 く。8回行う。 頭は重いので手で支える。骨盤が下がらない ようにニュートラルを保つ。 POINT3
腹部を少しずつ
動かして強くする。
●カール・アップ START1
脊柱を一つひとつ動かし、
行動的に整える。
●スパイン・カール START リラックスポジションを取る。両足を床にしっかりつけ、背中もアーチができないように 床につけておく。胸郭まで深く息を吸い込む。 アライメント(姿勢)と動きをコントロール するためにコアを適切に使う(以下同じ)。 START ACTION ❶息を吐き、尾骨から上へ、肩甲骨のレベルまで背骨を一つひとつ床から引き剥がしなが ら、ゆっくり骨盤を引き上げる。引き上げた ら息を吸う。❷息を吐きながら、背骨を一つ ひとつマットに戻し、骨盤がニュートラルに なるまで脊柱を長く伸ばす。8回繰り返す。 体重は左右の足に均等にかける。足が内側や 外側に向かないようにする。 POINT2
寝ている間に固まった筋肉をウェイクアップ!
元気に働き、ハードな運動をこなす準備を行う。
まずはリラックスポジションから覚えよう。
5
猫背を正し、背すじを
伸ばして強くする。
●ダート→レストポジション START うつ伏せになり、額に畳んだタオルを当てる。両腕を体側で伸ばし、手のひらを太腿につけ る。両脚を伸ばし、足を平行に揃える。息を 深く吸って準備。 ACTION ❶息を吐き、頭から引っ張られるように頭、首、上背をマットから持ち上げる。同時に内 腿を絞る。足は床に下ろしたままで。高く上 がりすぎないこと。❷息を吸い、爪先から頭 の先までカラダを長く保つ。❸息を吐きなが ら、頭、首、上背をコントロールしながら下 ろす。内腿の緊張を解く。顔は終始下に向け て床を見続ける。6回。❹両腕を前方に伸ば し、手のひらを床に向ける。息を吸ったら、 吐きながら腰を曲げて骨盤を起こし、正座を するように坐骨を踵、胸を太腿、額を床に乗 せる。❺息を吸い、腹部と骨盤底筋群を完全 にリラックスさせる。息を腹部と骨盤底筋群 に入れるように数回呼吸する。❻自然に呼吸 をしながら、骨盤をカラダの真下に巻き込み、 その上に背骨を一つひとつ積み上げ、正座し て上体を床と垂直に保つ。両肩を下げる。 ❹〜❻のレストポジションで❶〜❸で使った コアの筋肉を解放してやる。 POINTスポーツで多用される
回転動作を鍛える。
●ヒップ・ロール START リラックスポジションを取る。両脚を揃えて内腿をつける。手のひらを上に向け、ハの字 を描くように体側で腕を広げる。息を深く吸 って準備。 ACTION ❶息を吐きながら、膝と足をつけたまま骨盤と脚を左にひねる。骨盤の右側と肋骨の右下 は床から少し離れる。❷息を吸い、ひねった 姿勢を保つ。頭はまっすぐにキープ。❸息を 吐きながら、骨盤と脚をスタート姿勢に戻す。 反対も同様に。左右各5回。 左右の腰の高さは一直線上に保つ。胸と肩を 開き、首まわりが緊張しないようにする。 POINT4
働く準備のために
ストレッチする。
●スタンディング・サイドリーチ START 背を高く保つ意識でまっすぐ腰幅で立つ。両腕を体側に下げる。息を吸って準備。 ACTION ❶左腕を体側から広げ、頭上にまっすぐ伸ばす。その際、肩甲骨の広がりを感じ、肩がす ぼまらないように注意。❷息を吐き、天井へ 頭からカラダを伸ばし、脊柱を左側へ曲げる。 頭を脊柱の延長線に保ち、大きくひねりすぎ ない。骨盤は左右水平に保つ。❸ストレッチ している右体側に集中し、胸郭まで息を深く 吸い込む。❹息を吐きながら肋骨を閉め、頭 を高く保ちながらまっすぐ戻る。❺息を吸い、 腕を下ろす。左右各4回。 前後2枚のガラス板に挟まれたように必ず平 面で動き、前や後ろに倒れない。腰が落ちな いように上体を上げて行う。まっすぐ前を見 つめて行う。 POINT6
コンプレッションスリーブレスモックT3,360円、コ ンプレッションレギングス5,460円、共にUNDER ARMOUR、問ドーム。The Evening
RELAXING
Workout
[夜のリラックス・ワークアウト]
左向きに横たわり、頭の下にタオルを敷く。 両膝を重ね、膝と腰が90度になるよう前方に 曲げる。両腕を肩の高さで長く伸ばし、手の ひらを向き合わせる。 ACTION ❶息を吸いながら、右腕を天井へまっすぐ上げる。頭と首も回転させる。❷息を吐きなが ら頭と脊柱上部をさらに右側へ回し、右腕と 一緒に大きく開く。膝と骨盤はスタート時の そのまま。❸息を吸いながら、頭と脊柱を左 へ回し、肩の上まで戻す。❹息を吐きながら スタート姿勢に戻す。左右各●回。 スタート姿勢で肩、腰、膝、足を上下でブラ さず重ねる。骨盤を安定させて長く保つ。背 中を反らせたり、ウェストを絞ったりしない。 POINT2
スポーツブラ3,990円、コンプレ ッションカプリ5,565円、共に UNDER ARMOR、問ドーム。デスクワークやトレーニングでこわばった背骨と骨盤を動かしてやる。
それが緊張や凝りをリセットして疲れを翌日に持ち越さない秘訣。
頭の下にタオルを敷き、リラックスポジショ ン(84ページ参照)を取る。手のひらを向か い合わせにして、両腕を肩幅で肩の真上に上 げる。アライメントと動きをコントロールす るためにコアを適切に使う(以下同じ)。 ACTION ❶息を吸いながら片腕を天井に向けて上げる。肩甲骨を床から引き剝がす。❷息を吐きなが ら上げた腕の力を抜き、肩甲骨をマットに戻 す。交互に左右各10回行う。 骨盤と脊柱を安定させ、固定する。頭を安定 させ、重く保つ。首を長く、かつ緊張させな いで保つ。 POINTマッサージのような効果
で肩の緊張をほぐす。
●ショルダードロップ START上半身を開き脊柱を回転。
ゴルファーに最適!
●アーム・オープニング START 床でうつ伏せになり、タオルに額をつける。 両脚をまっすぐ腰幅で伸ばし、踵を内側に向 けて爪先を伸ばす。手のひらを床に向け、肘 を曲げ、肩幅よりやや広く開いて顔の横で構 える。息を吸って準備。 ACTION ❶息を吐きながら首の前を長く伸ばし、胸がマットから離れるまで首を持ち上げる。肋骨 の下部を床につけたまま、胸を広げてまっす ぐ前に向ける。❷息を吸いながら、起き上が ったポーズを長く保つ。❸息を吐きながら、 崩れ落ちないようにカラダを長くコントロー ルして胸と頭の順に床に戻す。腕もスタート 姿勢まで戻す。10回。 起き上がるとき、脊柱下部(腰椎)を圧迫し ないように肋骨の下部を床につけておく。腕 はカラダを軽く支えるだけ。腕の力で上体を 上げない。 POINT3
デスクワークによる
猫背をリセット。
●コブラ・プレップ START1
肩の下に手を、腰の下に膝を置いて四つん這 いになる。脊柱は、自然なカーブを描いて長 く保つ。息を吸って準備。 ACTION ❶息を吐きながら、尾骨を膝の間に入れるように骨盤を後傾。背中の下部、上部の順に丸 め、続いて首、最後にうなずくように頭が丸 まるまで続ける。❷胸郭下部に息を吸い込む。 ❸息を吐きながら同時に脊柱をゆるめはじめ、 尾骨を後ろへ動かして骨盤をニュートラルに 戻し、頭と脊柱上部を伸ばし、スタート姿勢 に戻る。10回。❹両腕を前方に伸ばし、手の ひらを床に向ける。息を吸って吐きながら腰 を曲げて骨盤を起こし、正座をするように坐 骨を踵、胸を太腿、額を床に乗せる。❺息を 吸い、腹部と骨盤底筋群を完全にリラックス させる。息を腹部と骨盤底筋群に入れるよう に数回呼吸する。❻自然に呼吸をしながら、 骨盤をカラダの真下に巻き込み、その上に背 骨を一つひとつ積み上げ、正座して上体を床 と垂直に保つ。両肩を下げる。 1〜3では肩をすくませないように肩と耳の 距離を保つ。手と膝に加わる体重は均等に。 POINT
4
両膝を床についてまっすぐに立つ。両膝は腰 幅。骨盤をまっすぐ正面を向けて、腕は体側 に垂らす。息を吸って準備をする。 ACTION ❶右腕を体側から広げ、肩上に上げる。その際、肩甲骨が動いているのを感じ、肩がすぼ まらないように注意。❷息を吐き、天井へ頭 からカラダを伸ばし、脊柱を左側へ曲げる。 頭を脊柱の延長線上に保ち、大きくひねりす ぎない。❸骨盤を正しく保ち、左右の腰に均 等に荷重する。❹ストレッチしている右側に 意識を集中しながら胸郭にまで息を吸い込む。 ❺息を吐きながら肋骨を閉め、頭を高く保ち ながらまっすぐに戻る。❻息を吸い、腕を下 ろす。左右各4回。 前後2枚のガラス板に挟まれたように必ず平 面で動き、前や後ろに倒れない。腰が落ちな いように上体を上げて行う。まっすぐ前を見 つめて行う。 POINT5
背骨を1個ずつ
コントロールする。
●キャット→レストポジション START一日の疲れを取る
もうひとつの方法。
●ハイニーリング・サイドリーチ START 背すじを伸ばし、上体を高く保ち、まっすぐ 立つ。両足は腰幅に開いて、膝を少し曲げる。 両腕は体側に垂らして力を抜く ACTION ❶息を吸いながら首の後ろを伸ばし、頭が前を向くくらい顎を引く。❷息を吐きながら上 から背骨を1個ずつ曲げて上体を丸め、膝を 軽く曲げながらさらに心地良い範囲まで上体 を丸める。両腕はだらりと垂らす。❸息を吸 いながら骨盤を後傾し、戻り始める。❹息を 吐きながら背骨を1個ずつ積み上げるように 上体を巻き起こし、膝を伸ばしてスタート姿 勢に戻る。8回繰り返す。 すべての背骨を滑らかに曲げ伸ばしする。 POINT6
肩や腰などの
緊張をほぐしてやる。
●ロールダウン STARTThe Weekend
CHALLENGING
Workout
[週末のチャレンジ・ワークアウト]
ニー・フォールズ・シングルの❶から❷を行 う。 ACTION ❶息を吸い、ジッパーを引き上げるようにコアに力を集め、左膝を上げて右膝に揃える。 爪先を軽く合わせ、膝は腰幅に離す。❷息を ゆっくり吐きながら、左足を床に戻す。腹筋 が緩んだり、骨盤が緩んだりしないように。 ❸息をゆっくり吸い、右足を元に戻す。6回。 最初に上げる足を変えて6回。 腹筋下部を使って姿勢を安定させる。他の部 位を使わないように、首と肩をリラックスさ せる。骨盤のニュートラルポジションを妨げ ない位置まで膝をなるべく深く曲げる。 POINT3
リラックスポジションで頭を支えるために頭 の下で軽く手を組む。準備のために息を吸う。 ACTION ❶息を吐きながら優しく顎を引き、頭、首をマットから巻き上げる。骨盤をニュートラル にする。❷このカーブを維持するために胸郭 の後ろまで息を深く吸い込む。❸息を吐き、 骨盤を固定した左脚の膝を体側に開く。❹息 を吸いながら膝を元に戻す。続いて右膝も同 様に開く。❺息を吐きながら、頭、首、上背 の動きをコントロールしながら戻る。5回。 上がるときと戻るときは背骨を1個ずつ動か す。脱力して頭を重くし、手で支える。膝を 開くときに爪先も一緒に開く。膝だけの動き にならないように。 POINT4
リラックスポジションを取る。アラインメン トと動きをコントロールするためにコアを適 切に使う(以下同じ)。 ACTION ❶息を吸い、手のひらを前に向けて両腕を肩の真上まで上げる。❷息を吐きながら耳まで 頭上を超えて腕を回す。肋骨は下げ、背骨は 安定させたまま。❸息を吸いながら肩の真上 まで腕を戻す。胸を開いたまま。❹息を吐き、 腕をさらに下ろし、スタート姿勢に戻る。10 回。 腕は無理に床までつけなくていい。腕が頭を 超えるときに背骨が曲がらないように注意。 息を吐きながら胸郭を閉じ、柔らかくするこ とに集中。 POINT1
時間に余裕がある週末には60分プログラムにチャレンジ。
平日のエクササイズにはない多彩な動きでコアを安定させる。
コアの上部に
挑戦するための準備運動。
●リブケージ・クロージャー START腹筋を働かせ、
コアに挑戦する。
●カールアップス+ニー・オープニング START リラックスポジションで頭を支えるために頭 の下で軽く手を組む。準備のために息を吸う。 ACTION ❶息を吐き、徐々に顎を引き、右肩が左足首を向いて床から上がるまで頭、首、上背を斜 めに巻き上げる。同時に左足を床で滑らせて まっすぐ伸ばす。骨盤を固定してニュートラ ルに保つ。❷このカーブを維持するために胸 郭の後ろまで息を深く吸い込む。❸息を吐き ながら巻き戻る。足もスタート姿勢までスラ イドさせる。左右各5回。 頭、首、上背を巻き起こすときに肋骨が反対 の腰を向くように意識する。 POINT5
骨盤の安定性と
脊柱の運動性のための
エクササイズ。
●オブリーク・カールアップ+ レッグスライド STARTコアの結合を
高める。
●ニー・フォールズ・ダブル START リラックスポジション。息を深く大きく吸い 込んで準備する。 ACTION ❶息を吐き、右膝を曲げたまま股関節の真上まで上げる。大腿骨が真下に落ち込むように 意識する。骨盤はニュートラルに固定。❷息 を吸い、ポーズをキープする。❸息を吐きな がらゆっくり右足を床に戻す。左右各5回。 骨盤と背骨をセンターに保つ。他のカラダの 部分から切り離し、足だけを動かす。 POINT2
コアの安定性のために
重要エクササイズ。
●ニー・フォールズ・シングル STARTうつ伏せで、額の下に畳んだタオルを置く。 両腕を体側で伸ばし、手のひらを太腿につけ る。両脚を真っすぐ伸ばし、爪先を伸ばして 足を平行に揃える。息を深く吸って準備。 ACTION ❶息を吐き、頭から引っ張られるように頭、首、上背を床から上げる。同時に内腿を絞る。 足は床に下ろしたまま。❷息を吸い、爪先か ら頭の先までカラダを長く保つ。❸息を吐き、 右手を体側で下方へ滑らせる。上半身が右に 滑るに従い、胸は床から浮かせる。❹息を吸 い、真ん中に戻る。❺左側も同様に行ったら、 息を吐きながら頭、首、上背の動きをコント ロールしながら下ろす。脚の力を抜いて解放 する。3回。 上体を高く上げすぎない。両側のウェストを 長く伸ばす。視線はずっと床を見続ける。横 に曲がるとき、顔は下を見続ながら背骨と一 緒に動く。 POINT