1.緒言
“SUR/FIN”の略称で知られている、「金属表面 技 術 の 技 術 展 示 会(Exhibition)と 技 術 講 演 会
(Conference)の同時開催行事」が毎年6月にアメリカ表 面技術協会(NASF)の主催で行われている。本年6月に ラスベガスで開催される技術講演会を紹介する(図1)。
2.NASF と日本の金属表面技術の歴史
“INTERFINISH(世界金属表面処理会議)”と同様に、金 属表面技術の主要情報源の一つである“SUR/FIN”
に親しみを持っていただくために“NASF”について 紹介させていただく。
大阪府鍍金工業組合ホームページの「めっきの本」を クリックすると、「大阪府鍍金工業組合図書室」のページ が現れる。100 冊以上の書籍の目録がある。この目録表の 最後に図2の「外国雑誌」のリストがある。
リ ス ト の 最 初 の 外 国 雑 誌、“Plating &
Surface Finishing”がアメリカ表面技術 協会(NASF)の前身である AESF の協会誌 である。
アメリカ表面技術協会の正式名称は、
“The National Association for Surface Finishing ”であるが、“NASF”の略 称が広く普及している。“NASF”の前 身が、“ AESF( American Electroplators and Surface Finishers Society ) ”で、
“AESF”の前身が、”AES( American Electroplators Society ) ”であった。
太平洋戦争後にアメリカから、「プラス
チック上へのめっき技術」などの斬新な技術情報が前述の Plating & Surface Finishing 誌など
一方、“NASF”から表彰された日本人もいた。(1)米国ベル研究所の沖中裕は「金めっき」
の研究でアメリカ表面技術協会賞を受賞している。この研究は沖中裕自身によって、「金めっき に関する最近の話題」、金属表面技術 32(10), 500-508, 1981 に発表されている。沖中裕は、「金 めっきの実験をしている時にガラス製の温度計を使うと、良好な金めっき皮膜が形成することに 気付いた。そこで、ガラス製温度計を砕いて詳細に研究したところ、ガラスに含まれている“鉛”
が良好な金めっき皮膜の原因」であることを確認した。(2)大阪府立大学の故林忠夫はオハイ オ州立大学に留学し、めっき研究が評価されて、AESFから学会賞を受賞している。なお、前 述の“SUR/FIN視察団”が渡米する時、故林忠夫は何回も団長をしていた。(3)国立鈴 鹿工業高等専門学校教授の兼松秀行は、2012 年 6 月にアメリカ表面技術協会・科学功績賞を受 賞している。
3.3日間に、12 会場で開催される講演の主題
表1に示す講演主題別の講演が行われる。なお、誤訳防止のために、英文を併記した。
● Session 1 では、主に無電解ニッケルめっき技術に関連する6件の講演がリスト・アップさ れている。
● Session 2 では金属部品のバレル研摩など6件の講演である。
● Session 3 では空軍でのクロム・フリー前処理や有害金属削減計画など6件の講演が行われ る。なお、「国防省での6価クロムとカドミウムの削減に対する5年戦略とロード・マップ」
の講演題名は、日本では見掛けない題名なので印象に残った。
● Session 4 では「医療機器への低摩擦ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)のコーテ ィング」の講演題名に感心させられた。一部の医療機器は精密機械なので低摩擦性能の需要 があるのだろうと思った。潤滑アルマイトの出番はあるだろうか?
● Session 5 では、「アルマイト皮膜厚さの均一性をより良く制御するためのコンピュータ支援 技術」の講演がある。なお、この講演の概要は本稿の第5節で紹介する。その他に、「シミュ レーション工学によるめっき効率の向上」など5件の講演がある。
● Session 6 では、「めっき会社が排水処理設備に対する経済的な代替法を発見した(費用節約 と環境についてのケース・スタディ)」の1件の講演だけである。
● Session 7 では、「低摩擦でスーパー耐久性のタングステンー鉄めっき」や「めっき欠陥での トラブル・シューティング」など7件の講演が行われる。
● Session 8 では、「硬質クロムめっき代替技術としての環境に優しい Fe-P 皮膜」など大半が クロムめっき関連の講演で、講演件数は7件である。
● Session 9 で は、「New Anodizing Solutions for Unpainted Parts with SAA Next Gen and TSA Long Cycle」の講演がある。この講演の概要は本稿の第 5 節で紹介する。その他に 6 件 の講演が行われる。
本節の結論として、「Session に関係なくクロムめっき関連の講演が多かった」が感想である。
「環境問題との調和を考えなければならない」との課題を抱えているからである。
表1 12 会場の講演主題
表2 Session 12 での8件の講演題名
4.Session 12 で発表された軽金属表面処理の概要紹介
Systems.(講演概要)「アルマイト浴に対する効果的な添加剤を開発した」が講演の主旨で、 2000/7000 系アルミニウム合金や Type IC, Ⅱ and Ⅲ の各アルマイト処理や硬質アルマイト処 理にも弊社が開発した添加剤は効果的であると報告している。なお、同社ホームページには長文 の技術論文が掲載されている。
★ 講 演 番 号( 12-2 )Improved Anodic Coating Properties Through New Processing Techniques.
(日本語訳の講演題名)新しい処理技術により改良された陽極酸化皮膜の性質。(講演者)Joshua Cloakey.(所属)Analytical Specialties Inc.
(講演概要)新しいアルマイト法を開発した。ASTM B-117 塩水噴霧試験で 5,000 時間以上に耐えた。 耐摩耗性も良好で、皮膜生成速度も速い。この皮膜はペンシルベニヤ州立の応用研究研究所
(Penn State’s Applied Research Laboratory)で分析してもらっている。
★ 講演番号( 12-3 )Hardanodizing – Higher Electrolyte Temperatures Will Save Energy.
(日本語訳の講演題名)硬質アルマイトー高い浴 温は省エネである。(講演者)Stefan Koelle.(所 属)Fraunhofer Institute for Manufacturing Engineering and Automation.
(講演概要)硬質アルマイト電解はエネルギー消 費が非常に大きい。硬質アルマイト電解でのエ ネルギーの 70%はジュール熱で失われる。通常 は0℃前後の浴温で硬質アルマイト電解が行わ れ る が、Fraunhofer Institute for Manu- facturing Engineering and Automation IPA
研究所での研究によると、高温浴でも良い硬質アルマイト皮膜が得られた。詳細は講演発表の会 場で述べる。なお、同研究所が日本語でホームページ上に紹介されている(図3)。図3の下部 に書いてある小さい文字の文章は、「フラウンホーファー IPA(生産技術・オートメーション研 究所)では、製造業・サービス業における組織的・技術的課題に解決策を見出すことを最重要課 題として研究開発に取り組んでいます。」である。日本語ウィキペディアでも紹介されている巨 大研究所である。
★ 講演番号( 12-4 )Study of Nanoporous Alumina Membranes by Electrochemical Surface Engineering.(日本語訳の講演題名)電気化学的表面工学によるマイクロポーラスアルミナ・メ ンブレンに関する研究。(講演者)Xavier Albort Ventura.(所属)University Politecnic of Barcelona.
(講演概要)多孔質のアルマイトは最もポピュラーなナノマテリアルで、分子や粒子の分離や触媒、 エネルギーの生産と貯蔵に使える。ナノマテリアルとしてのアルミナ皮膜の特徴は孔のサイズや
(講演概要)「PEO」と略称される「プラズマ電解 酸化法」を詳細に解説する。そして、幾つかの応 用事例も紹介する。(佐藤敏彦の補足)講演者の 会社のホームページでは各種表面処理の詳細な報 告 が あ る。特 に、「Plasma Electrolytic Stripping」と言う全く斬新な技術も紹介されて いる(図 4)。
★ 講演番号( 12-6 )Non-Chromate Conversion Coating for Aluminum Alloy. (日 本 語 訳 の 講 演 題名)アルミニウム合金に対するノン・クロム化 成 処 理 皮 膜。(講 演 者)Toku Yasuda.(所 属) Okuno Chemical Industries Co., Ltd.
(講演概要)MnO4- で新しいノン・クロム化成処理法の開発に成功した。この化成処理皮膜の組 成は主に MnO2 である。この黄色の皮膜は、MIL規格の耐食性と塗料密着性を満たしている。な お、講演者の会社は奥野製薬工業株式会社である。
★ 講演番号( 12-7 )Non-chromated Conversion Coating for Corrosion Protection of Aluminum Alloys.(日本語訳の講演題名)アルミニウム合金の耐食性の為のノン・クロメート化成処理皮 膜(講演者)Alp Manavbasi.(所属)CHEMEON Surface Technology.
(講演概要)3 価クロムによる新しく開発された表面処理法は特殊な活性化処理が必要なく、MI L規格の要求項目を満たしている。
★ 講演番号( 12-8 )Improve Your Non-Ferrous Metal Surface Preparation.(日本語訳の 講演題名)貴方の非鉄金属表面前処理法を進歩させましょう(講演者)Mike Valenti.(所属) Hubbard-Hall Inc.(講演概要)新しく開発した化学薬品は洗浄、光沢処理、廃液処理、装置の メンテナンスを含むすべての操作に対して、ポシティブな衝撃をもたらす。更に、良好な処理の ために伝統的に必要と考えられていたある種の処理を省くこともできる。
5.Session 12 以外の Session 会場で発表される軽金属表面処理の概要紹介 Session 5 で 1 件と Session 9 で 3 件のアルマイト関連の講演がある。
★( Session5 で の 講 演 題 名) Computer Aided Engineering for Achieving a Better Control of Anodized Porous Layer Thickness Distributions.(日本語訳の講演題名)アルマイト皮膜 厚さ分布をより良く制御する為のコンピュータ支援技術。(講演者)Bart Van den Bossche.(所属) Elsyca NV.(講演概要)「CAE」でこの課題を検討する。(佐藤敏彦の補足説明)ウィキペディア では「CAE」について以下のように解説している。「CAE(英 : computer aided engineering)とは、 コンピュータ技術を活用して製品の設計、製造や工程設計の事前検討の支援を行うこと、または
どのようなスキームを採用すべきかを説明する予定である。
★ Session9(2)で の 講 演 題 名、Trivalent chrome: Relevance of Post Treatment in Both Conversion and Sealing After Anodizing of Aluminum.(日本語訳の講演題名)3価クローム: 化成処理とアルマイト処理後の封孔処理の両者での後処理の関連(講演者)Juliana Garcia.(所 属)COVENTYA Holding SAS.(講演概要)Socomore 社は後処理用の Cr(III) に準拠した表面処理 液を開発した。得られた化成皮膜の後処理ありの場合と後処理無しの場合の morphological differences を説明する。
★ Session9(3)での講演題名、The LumiShield Process: Electroplated Aluminum Coatings from Existing Equipment.(日本語訳の講演題名)The LumiShield Process: 現存の設備でのア ルミニウムの電気めっき。(講演者)Hunaid Nulwala.(所属)LumiShield Technologies.(講演概要) LumiShield 社のアルミニウムの電気めっき技術は大気圧下での open vessels で行える。AlCl3 systems 法よりも電気めっきが良好である。同社ホームページの図が講演概要を強く印象付けて いる(図5)。
図5 The LumiShield Process の図
6.結言
”CoatingMedia ONLINE ニュース”に以下の情報があった。
「3 月 10 日に開催された軽金属製品協会主催の講演会で、アルミニウム塗装品質規格認証シス テム「クオリコート」本部の専務理事である Josef Schoppig 氏が EU における 6 価クロム規制に ついて述べた。同氏によると、REACH 規制により 2017 年 9 月から EU 市場での 6 価クロムの使用 及び持ち込みが禁止される。硬質クロムのような代替品のないものはその規制から免除されるが、 塗装で使用される化成処理剤では完全禁止となる。」
佐藤 敏彦 1)
図1 “SUR/FIN” の会告
図2 大阪府鍍金組合図書室のリスト
1.緒言
“SUR/FIN”の略称で知られている、「金属表面 技 術 の 技 術 展 示 会(Exhibition)と 技 術 講 演 会
(Conference)の同時開催行事」が毎年6月にアメリカ表 面技術協会(NASF)の主催で行われている。本年6月に ラスベガスで開催される技術講演会を紹介する(図1)。
2.NASF と日本の金属表面技術の歴史
“INTERFINISH(世界金属表面処理会議)”と同様に、金 属表面技術の主要情報源の一つである“SUR/FIN”
に親しみを持っていただくために“NASF”について 紹介させていただく。
大阪府鍍金工業組合ホームページの「めっきの本」を クリックすると、「大阪府鍍金工業組合図書室」のページ が現れる。100 冊以上の書籍の目録がある。この目録表の 最後に図2の「外国雑誌」のリストがある。
リ ス ト の 最 初 の 外 国 雑 誌、“Plating &
Surface Finishing”がアメリカ表面技術 協会(NASF)の前身である AESF の協会誌 である。
アメリカ表面技術協会の正式名称は、
“The National Association for Surface Finishing ”であるが、“NASF”の略 称が広く普及している。“NASF”の前 身が、“ AESF( American Electroplators and Surface Finishers Society ) ”で、
“AESF”の前身が、”AES( American
めっきの実験をしている時にガラス製の温度計を使うと、良好な金めっき皮膜が形成することに 気付いた。そこで、ガラス製温度計を砕いて詳細に研究したところ、ガラスに含まれている“鉛”
が良好な金めっき皮膜の原因」であることを確認した。(2)大阪府立大学の故林忠夫はオハイ オ州立大学に留学し、めっき研究が評価されて、AESFから学会賞を受賞している。なお、前 述の“SUR/FIN視察団”が渡米する時、故林忠夫は何回も団長をしていた。(3)国立鈴 鹿工業高等専門学校教授の兼松秀行は、2012 年 6 月にアメリカ表面技術協会・科学功績賞を受 賞している。
3.3日間に、12 会場で開催される講演の主題
表1に示す講演主題別の講演が行われる。なお、誤訳防止のために、英文を併記した。
● Session 1 では、主に無電解ニッケルめっき技術に関連する6件の講演がリスト・アップさ れている。
● Session 2 では金属部品のバレル研摩など6件の講演である。
● Session 3 では空軍でのクロム・フリー前処理や有害金属削減計画など6件の講演が行われ る。なお、「国防省での6価クロムとカドミウムの削減に対する5年戦略とロード・マップ」
の講演題名は、日本では見掛けない題名なので印象に残った。
● Session 4 では「医療機器への低摩擦ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)のコーテ ィング」の講演題名に感心させられた。一部の医療機器は精密機械なので低摩擦性能の需要 があるのだろうと思った。潤滑アルマイトの出番はあるだろうか?
● Session 5 では、「アルマイト皮膜厚さの均一性をより良く制御するためのコンピュータ支援 技術」の講演がある。なお、この講演の概要は本稿の第5節で紹介する。その他に、「シミュ レーション工学によるめっき効率の向上」など5件の講演がある。
● Session 6 では、「めっき会社が排水処理設備に対する経済的な代替法を発見した(費用節約 と環境についてのケース・スタディ)」の1件の講演だけである。
● Session 7 では、「低摩擦でスーパー耐久性のタングステンー鉄めっき」や「めっき欠陥での トラブル・シューティング」など7件の講演が行われる。
● Session 8 では、「硬質クロムめっき代替技術としての環境に優しい Fe-P 皮膜」など大半が クロムめっき関連の講演で、講演件数は7件である。
表1 12 会場の講演主題
表2 Session 12 での8件の講演題名
の技術論文が掲載されている。
★ 講 演 番 号( 12-2 )Improved Anodic Coating Properties Through New Processing Techniques.
(日本語訳の講演題名)新しい処理技術により改良された陽極酸化皮膜の性質。(講演者)Joshua Cloakey.(所属)Analytical Specialties Inc.
(講演概要)新しいアルマイト法を開発した。ASTM B-117 塩水噴霧試験で 5,000 時間以上に耐えた。 耐摩耗性も良好で、皮膜生成速度も速い。この皮膜はペンシルベニヤ州立の応用研究研究所
(Penn State’s Applied Research Laboratory)で分析してもらっている。
★ 講演番号( 12-3 )Hardanodizing – Higher Electrolyte Temperatures Will Save Energy.
(日本語訳の講演題名)硬質アルマイトー高い浴 温は省エネである。(講演者)Stefan Koelle.(所 属)Fraunhofer Institute for Manufacturing Engineering and Automation.
(講演概要)硬質アルマイト電解はエネルギー消 費が非常に大きい。硬質アルマイト電解でのエ ネルギーの 70%はジュール熱で失われる。通常 は0℃前後の浴温で硬質アルマイト電解が行わ れ る が、Fraunhofer Institute for Manu- facturing Engineering and Automation IPA
研究所での研究によると、高温浴でも良い硬質アルマイト皮膜が得られた。詳細は講演発表の会 場で述べる。なお、同研究所が日本語でホームページ上に紹介されている(図3)。図3の下部 に書いてある小さい文字の文章は、「フラウンホーファー IPA(生産技術・オートメーション研 究所)では、製造業・サービス業における組織的・技術的課題に解決策を見出すことを最重要課 題として研究開発に取り組んでいます。」である。日本語ウィキペディアでも紹介されている巨 大研究所である。
★ 講演番号( 12-4 )Study of Nanoporous Alumina Membranes by Electrochemical Surface Engineering.(日本語訳の講演題名)電気化学的表面工学によるマイクロポーラスアルミナ・メ ンブレンに関する研究。(講演者)Xavier Albort Ventura.(所属)University Politecnic of
会社のホームページでは各種表面処理の詳細な報 告 が あ る。特 に、「Plasma Electrolytic Stripping」と言う全く斬新な技術も紹介されて いる(図 4)。
★ 講演番号( 12-6 )Non-Chromate Conversion Coating for Aluminum Alloy. (日 本 語 訳 の 講 演 題名)アルミニウム合金に対するノン・クロム化 成 処 理 皮 膜。(講 演 者)Toku Yasuda.(所 属) Okuno Chemical Industries Co., Ltd.
(講演概要)MnO4- で新しいノン・クロム化成処理法の開発に成功した。この化成処理皮膜の組 成は主に MnO2 である。この黄色の皮膜は、MIL規格の耐食性と塗料密着性を満たしている。な お、講演者の会社は奥野製薬工業株式会社である。
★ 講演番号( 12-7 )Non-chromated Conversion Coating for Corrosion Protection of Aluminum Alloys.(日本語訳の講演題名)アルミニウム合金の耐食性の為のノン・クロメート化成処理皮 膜(講演者)Alp Manavbasi.(所属)CHEMEON Surface Technology.
(講演概要)3 価クロムによる新しく開発された表面処理法は特殊な活性化処理が必要なく、MI L規格の要求項目を満たしている。
★ 講演番号( 12-8 )Improve Your Non-Ferrous Metal Surface Preparation.(日本語訳の 講演題名)貴方の非鉄金属表面前処理法を進歩させましょう(講演者)Mike Valenti.(所属) Hubbard-Hall Inc.(講演概要)新しく開発した化学薬品は洗浄、光沢処理、廃液処理、装置の メンテナンスを含むすべての操作に対して、ポシティブな衝撃をもたらす。更に、良好な処理の ために伝統的に必要と考えられていたある種の処理を省くこともできる。
5.Session 12 以外の Session 会場で発表される軽金属表面処理の概要紹介 Session 5 で 1 件と Session 9 で 3 件のアルマイト関連の講演がある。
★( Session5 で の 講 演 題 名) Computer Aided Engineering for Achieving a Better Control of Anodized Porous Layer Thickness Distributions.(日本語訳の講演題名)アルマイト皮膜 厚さ分布をより良く制御する為のコンピュータ支援技術。(講演者)Bart Van den Bossche.(所属)
化成処理とアルマイト処理後の封孔処理の両者での後処理の関連(講演者)Juliana Garcia.(所 属)COVENTYA Holding SAS.(講演概要)Socomore 社は後処理用の Cr(III) に準拠した表面処理 液を開発した。得られた化成皮膜の後処理ありの場合と後処理無しの場合の morphological differences を説明する。
★ Session9(3)での講演題名、The LumiShield Process: Electroplated Aluminum Coatings from Existing Equipment.(日本語訳の講演題名)The LumiShield Process: 現存の設備でのア ルミニウムの電気めっき。(講演者)Hunaid Nulwala.(所属)LumiShield Technologies.(講演概要) LumiShield 社のアルミニウムの電気めっき技術は大気圧下での open vessels で行える。AlCl3 systems 法よりも電気めっきが良好である。同社ホームページの図が講演概要を強く印象付けて いる(図5)。
図5 The LumiShield Process の図
6.結言
”CoatingMedia ONLINE ニュース”に以下の情報があった。
「3 月 10 日に開催された軽金属製品協会主催の講演会で、アルミニウム塗装品質規格認証シス テム「クオリコート」本部の専務理事である Josef Schoppig 氏が EU における 6 価クロム規制に ついて述べた。同氏によると、REACH 規制により 2017 年 9 月から EU 市場での 6 価クロムの使用 及び持ち込みが禁止される。硬質クロムのような代替品のないものはその規制から免除されるが、 塗装で使用される化成処理剤では完全禁止となる。」
1.緒言
“SUR/FIN”の略称で知られている、「金属表面 技 術 の 技 術 展 示 会(Exhibition)と 技 術 講 演 会
(Conference)の同時開催行事」が毎年6月にアメリカ表 面技術協会(NASF)の主催で行われている。本年6月に ラスベガスで開催される技術講演会を紹介する(図1)。
2.NASF と日本の金属表面技術の歴史
“INTERFINISH(世界金属表面処理会議)”と同様に、金 属表面技術の主要情報源の一つである“SUR/FIN”
に親しみを持っていただくために“NASF”について 紹介させていただく。
大阪府鍍金工業組合ホームページの「めっきの本」を クリックすると、「大阪府鍍金工業組合図書室」のページ が現れる。100 冊以上の書籍の目録がある。この目録表の 最後に図2の「外国雑誌」のリストがある。
リ ス ト の 最 初 の 外 国 雑 誌、“Plating &
Surface Finishing”がアメリカ表面技術 協会(NASF)の前身である AESF の協会誌 である。
アメリカ表面技術協会の正式名称は、
“The National Association for Surface Finishing ”であるが、“NASF”の略 称が広く普及している。“NASF”の前 身が、“ AESF( American Electroplators and Surface Finishers Society ) ”で、
“AESF”の前身が、”AES( American Electroplators Society ) ”であった。
太平洋戦争後にアメリカから、「プラス
チック上へのめっき技術」などの斬新な技術情報が前述の Plating & Surface Finishing 誌など
一方、“NASF”から表彰された日本人もいた。(1)米国ベル研究所の沖中裕は「金めっき」
の研究でアメリカ表面技術協会賞を受賞している。この研究は沖中裕自身によって、「金めっき に関する最近の話題」、金属表面技術 32(10), 500-508, 1981 に発表されている。沖中裕は、「金 めっきの実験をしている時にガラス製の温度計を使うと、良好な金めっき皮膜が形成することに 気付いた。そこで、ガラス製温度計を砕いて詳細に研究したところ、ガラスに含まれている“鉛”
が良好な金めっき皮膜の原因」であることを確認した。(2)大阪府立大学の故林忠夫はオハイ オ州立大学に留学し、めっき研究が評価されて、AESFから学会賞を受賞している。なお、前 述の“SUR/FIN視察団”が渡米する時、故林忠夫は何回も団長をしていた。(3)国立鈴 鹿工業高等専門学校教授の兼松秀行は、2012 年 6 月にアメリカ表面技術協会・科学功績賞を受 賞している。
3.3日間に、12 会場で開催される講演の主題
表1に示す講演主題別の講演が行われる。なお、誤訳防止のために、英文を併記した。
● Session 1 では、主に無電解ニッケルめっき技術に関連する6件の講演がリスト・アップさ れている。
● Session 2 では金属部品のバレル研摩など6件の講演である。
● Session 3 では空軍でのクロム・フリー前処理や有害金属削減計画など6件の講演が行われ る。なお、「国防省での6価クロムとカドミウムの削減に対する5年戦略とロード・マップ」
の講演題名は、日本では見掛けない題名なので印象に残った。
● Session 4 では「医療機器への低摩擦ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)のコーテ ィング」の講演題名に感心させられた。一部の医療機器は精密機械なので低摩擦性能の需要 があるのだろうと思った。潤滑アルマイトの出番はあるだろうか?
● Session 5 では、「アルマイト皮膜厚さの均一性をより良く制御するためのコンピュータ支援 技術」の講演がある。なお、この講演の概要は本稿の第5節で紹介する。その他に、「シミュ レーション工学によるめっき効率の向上」など5件の講演がある。
● Session 6 では、「めっき会社が排水処理設備に対する経済的な代替法を発見した(費用節約 と環境についてのケース・スタディ)」の1件の講演だけである。
● Session 7 では、「低摩擦でスーパー耐久性のタングステンー鉄めっき」や「めっき欠陥での トラブル・シューティング」など7件の講演が行われる。
● Session 8 では、「硬質クロムめっき代替技術としての環境に優しい Fe-P 皮膜」など大半が クロムめっき関連の講演で、講演件数は7件である。
● Session 9 で は、「New Anodizing Solutions for Unpainted Parts with SAA Next Gen and TSA Long Cycle」の講演がある。この講演の概要は本稿の第 5 節で紹介する。その他に 6 件 の講演が行われる。
本節の結論として、「Session に関係なくクロムめっき関連の講演が多かった」が感想である。
「環境問題との調和を考えなければならない」との課題を抱えているからである。
表1 12 会場の講演主題
表2 Session 12 での8件の講演題名
4.Session 12 で発表された軽金属表面処理の概要紹介
Systems.(講演概要)「アルマイト浴に対する効果的な添加剤を開発した」が講演の主旨で、
2000/7000 系アルミニウム合金や Type IC, Ⅱ and Ⅲ の各アルマイト処理や硬質アルマイト処 理にも弊社が開発した添加剤は効果的であると報告している。なお、同社ホームページには長文 の技術論文が掲載されている。
★ 講 演 番 号( 12-2 )Improved Anodic Coating Properties Through New Processing Techniques.
(日本語訳の講演題名)新しい処理技術により改良された陽極酸化皮膜の性質。(講演者)Joshua Cloakey.(所属)Analytical Specialties Inc.
(講演概要)新しいアルマイト法を開発した。ASTM B-117 塩水噴霧試験で 5,000 時間以上に耐えた。
耐摩耗性も良好で、皮膜生成速度も速い。この皮膜はペンシルベニヤ州立の応用研究研究所
(Penn State’s Applied Research Laboratory)で分析してもらっている。
★ 講演番号( 12-3 )Hardanodizing – Higher Electrolyte Temperatures Will Save Energy.
(日本語訳の講演題名)硬質アルマイトー高い浴 温は省エネである。(講演者)Stefan Koelle.(所 属)Fraunhofer Institute for Manufacturing Engineering and Automation.
(講演概要)硬質アルマイト電解はエネルギー消 費が非常に大きい。硬質アルマイト電解でのエ ネルギーの 70%はジュール熱で失われる。通常 は0℃前後の浴温で硬質アルマイト電解が行わ れ る が、Fraunhofer Institute for Manu- facturing Engineering and Automation IPA
研究所での研究によると、高温浴でも良い硬質アルマイト皮膜が得られた。詳細は講演発表の会 場で述べる。なお、同研究所が日本語でホームページ上に紹介されている(図3)。図3の下部 に書いてある小さい文字の文章は、「フラウンホーファー IPA(生産技術・オートメーション研 究所)では、製造業・サービス業における組織的・技術的課題に解決策を見出すことを最重要課 題として研究開発に取り組んでいます。」である。日本語ウィキペディアでも紹介されている巨 大研究所である。
★ 講演番号( 12-4 )Study of Nanoporous Alumina Membranes by Electrochemical Surface Engineering.(日本語訳の講演題名)電気化学的表面工学によるマイクロポーラスアルミナ・メ ンブレンに関する研究。(講演者)Xavier Albort Ventura.(所属)University Politecnic of Barcelona.
(講演概要)多孔質のアルマイトは最もポピュラーなナノマテリアルで、分子や粒子の分離や触媒、
エネルギーの生産と貯蔵に使える。ナノマテリアルとしてのアルミナ皮膜の特徴は孔のサイズや
(講演概要)「PEO」と略称される「プラズマ電解 酸化法」を詳細に解説する。そして、幾つかの応 用事例も紹介する。(佐藤敏彦の補足)講演者の 会社のホームページでは各種表面処理の詳細な報 告 が あ る。特 に、「Plasma Electrolytic Stripping」と言う全く斬新な技術も紹介されて いる(図 4)。
★ 講演番号( 12-6 )Non-Chromate Conversion Coating for Aluminum Alloy. (日 本 語 訳 の 講 演 題名)アルミニウム合金に対するノン・クロム化 成 処 理 皮 膜。(講 演 者)Toku Yasuda.(所 属) Okuno Chemical Industries Co., Ltd.
(講演概要)MnO4- で新しいノン・クロム化成処理法の開発に成功した。この化成処理皮膜の組 成は主に MnO2 である。この黄色の皮膜は、MIL規格の耐食性と塗料密着性を満たしている。な お、講演者の会社は奥野製薬工業株式会社である。
★ 講演番号( 12-7 )Non-chromated Conversion Coating for Corrosion Protection of Aluminum Alloys.(日本語訳の講演題名)アルミニウム合金の耐食性の為のノン・クロメート化成処理皮 膜(講演者)Alp Manavbasi.(所属)CHEMEON Surface Technology.
(講演概要)3 価クロムによる新しく開発された表面処理法は特殊な活性化処理が必要なく、MI L規格の要求項目を満たしている。
★ 講演番号( 12-8 )Improve Your Non-Ferrous Metal Surface Preparation.(日本語訳の 講演題名)貴方の非鉄金属表面前処理法を進歩させましょう(講演者)Mike Valenti.(所属) Hubbard-Hall Inc.(講演概要)新しく開発した化学薬品は洗浄、光沢処理、廃液処理、装置の メンテナンスを含むすべての操作に対して、ポシティブな衝撃をもたらす。更に、良好な処理の ために伝統的に必要と考えられていたある種の処理を省くこともできる。
5.Session 12 以外の Session 会場で発表される軽金属表面処理の概要紹介 Session 5 で 1 件と Session 9 で 3 件のアルマイト関連の講演がある。
★( Session5 で の 講 演 題 名) Computer Aided Engineering for Achieving a Better Control of Anodized Porous Layer Thickness Distributions.(日本語訳の講演題名)アルマイト皮膜 厚さ分布をより良く制御する為のコンピュータ支援技術。(講演者)Bart Van den Bossche.(所属) Elsyca NV.(講演概要)「CAE」でこの課題を検討する。(佐藤敏彦の補足説明)ウィキペディア では「CAE」について以下のように解説している。「CAE(英 : computer aided engineering)とは、 コンピュータ技術を活用して製品の設計、製造や工程設計の事前検討の支援を行うこと、または
どのようなスキームを採用すべきかを説明する予定である。
★ Session9(2)で の 講 演 題 名、Trivalent chrome: Relevance of Post Treatment in Both Conversion and Sealing After Anodizing of Aluminum.(日本語訳の講演題名)3価クローム: 化成処理とアルマイト処理後の封孔処理の両者での後処理の関連(講演者)Juliana Garcia.(所 属)COVENTYA Holding SAS.(講演概要)Socomore 社は後処理用の Cr(III) に準拠した表面処理 液を開発した。得られた化成皮膜の後処理ありの場合と後処理無しの場合の morphological differences を説明する。
★ Session9(3)での講演題名、The LumiShield Process: Electroplated Aluminum Coatings from Existing Equipment.(日本語訳の講演題名)The LumiShield Process: 現存の設備でのア ルミニウムの電気めっき。(講演者)Hunaid Nulwala.(所属)LumiShield Technologies.(講演概要) LumiShield 社のアルミニウムの電気めっき技術は大気圧下での open vessels で行える。AlCl3 systems 法よりも電気めっきが良好である。同社ホームページの図が講演概要を強く印象付けて いる(図5)。
図5 The LumiShield Process の図
6.結言
”CoatingMedia ONLINE ニュース”に以下の情報があった。
「3 月 10 日に開催された軽金属製品協会主催の講演会で、アルミニウム塗装品質規格認証シス テム「クオリコート」本部の専務理事である Josef Schoppig 氏が EU における 6 価クロム規制に ついて述べた。同氏によると、REACH 規制により 2017 年 9 月から EU 市場での 6 価クロムの使用 及び持ち込みが禁止される。硬質クロムのような代替品のないものはその規制から免除されるが、 塗装で使用される化成処理剤では完全禁止となる。」
講演会場 講演主題
Session 1 電子関連と自己触媒的反応、Electronics and Autocatalytic Applications Session 2 機械的表面処理、Mechanical Mass Finishing
Session 3 航空/防衛(1)危険物の削減、Aerospace/Defense I Hazmat Reduction Session 4 表面処理技術の進歩(1) 、Advances in Surface Finishing I
Session 5 ソフトウエアでの進歩、Software Innovations for Design and Manufacture Session 6 規制、Regulatory
Session 7 自動車(1) 、Automotive Ⅰ
Session 8 表面処理技術の進歩(2) 、Advances in Surface Finishing Ⅱ
Session 9 航空/防衛(2)6価クロムとカドミウムの代替、Aerospace/Defense Ⅱ Hex Chrome and Cadmium Alternatives
Session 10 自動車(2) 、Automotive Ⅱ
Session 11 生産性を高めるための革新、Innovations Improving Productivity Session 12 軽金属の表面処理、Light Materials Finishing
暗号 講演題名
12-1 硫酸/有機酸混合アルマイト浴と、現在/将来のアルマイト処理に対する要求に対 応するトータル品質向上(TQI) 、
12-2 新しい処理技術により改良された陽極酸化皮膜の性質 12-3 硬質アルマイトー高い浴温は省エネである、
12-4 電気化学的表面工学によるマイクロポーラスアルミナ・メンブレンに関する研究、
12-5 プラズマ電解酸化皮膜による軽金属合金の優れた耐摩耗性と耐食性 12-6 アルミニウム合金に対するノン・クロム化成処理皮膜
12-7 アルミニウム合金の耐食性の為のノン・クロメート化成処理皮膜
12-8 貴方の非鉄金属表面前処理法を進歩させましょう
1.緒言
“SUR/FIN”の略称で知られている、「金属表面 技 術 の 技 術 展 示 会(Exhibition)と 技 術 講 演 会
(Conference)の同時開催行事」が毎年6月にアメリカ表 面技術協会(NASF)の主催で行われている。本年6月に ラスベガスで開催される技術講演会を紹介する(図1)。
2.NASF と日本の金属表面技術の歴史
“INTERFINISH(世界金属表面処理会議)”と同様に、金 属表面技術の主要情報源の一つである“SUR/FIN”
に親しみを持っていただくために“NASF”について 紹介させていただく。
大阪府鍍金工業組合ホームページの「めっきの本」を クリックすると、「大阪府鍍金工業組合図書室」のページ が現れる。100 冊以上の書籍の目録がある。この目録表の 最後に図2の「外国雑誌」のリストがある。
リ ス ト の 最 初 の 外 国 雑 誌、“Plating &
Surface Finishing”がアメリカ表面技術 協会(NASF)の前身である AESF の協会誌 である。
アメリカ表面技術協会の正式名称は、
“The National Association for Surface Finishing ”であるが、“NASF”の略 称が広く普及している。“NASF”の前 身が、“ AESF( American Electroplators and Surface Finishers Society ) ”で、
“AESF”の前身が、”AES( American
めっきの実験をしている時にガラス製の温度計を使うと、良好な金めっき皮膜が形成することに 気付いた。そこで、ガラス製温度計を砕いて詳細に研究したところ、ガラスに含まれている“鉛”
が良好な金めっき皮膜の原因」であることを確認した。(2)大阪府立大学の故林忠夫はオハイ オ州立大学に留学し、めっき研究が評価されて、AESFから学会賞を受賞している。なお、前 述の“SUR/FIN視察団”が渡米する時、故林忠夫は何回も団長をしていた。(3)国立鈴 鹿工業高等専門学校教授の兼松秀行は、2012 年 6 月にアメリカ表面技術協会・科学功績賞を受 賞している。
3.3日間に、12 会場で開催される講演の主題
表1に示す講演主題別の講演が行われる。なお、誤訳防止のために、英文を併記した。
● Session 1 では、主に無電解ニッケルめっき技術に関連する6件の講演がリスト・アップさ れている。
● Session 2 では金属部品のバレル研摩など6件の講演である。
● Session 3 では空軍でのクロム・フリー前処理や有害金属削減計画など6件の講演が行われ る。なお、「国防省での6価クロムとカドミウムの削減に対する5年戦略とロード・マップ」
の講演題名は、日本では見掛けない題名なので印象に残った。
● Session 4 では「医療機器への低摩擦ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)のコーテ ィング」の講演題名に感心させられた。一部の医療機器は精密機械なので低摩擦性能の需要 があるのだろうと思った。潤滑アルマイトの出番はあるだろうか?
● Session 5 では、「アルマイト皮膜厚さの均一性をより良く制御するためのコンピュータ支援 技術」の講演がある。なお、この講演の概要は本稿の第5節で紹介する。その他に、「シミュ レーション工学によるめっき効率の向上」など5件の講演がある。
● Session 6 では、「めっき会社が排水処理設備に対する経済的な代替法を発見した(費用節約 と環境についてのケース・スタディ)」の1件の講演だけである。
● Session 7 では、「低摩擦でスーパー耐久性のタングステンー鉄めっき」や「めっき欠陥での トラブル・シューティング」など7件の講演が行われる。
● Session 8 では、「硬質クロムめっき代替技術としての環境に優しい Fe-P 皮膜」など大半が クロムめっき関連の講演で、講演件数は7件である。
表1 12 会場の講演主題
表2 Session 12 での8件の講演題名
の技術論文が掲載されている。
★ 講 演 番 号( 12-2 )Improved Anodic Coating Properties Through New Processing Techniques.
(日本語訳の講演題名)新しい処理技術により改良された陽極酸化皮膜の性質。(講演者)Joshua Cloakey.(所属)Analytical Specialties Inc.
(講演概要)新しいアルマイト法を開発した。ASTM B-117 塩水噴霧試験で 5,000 時間以上に耐えた。
耐摩耗性も良好で、皮膜生成速度も速い。この皮膜はペンシルベニヤ州立の応用研究研究所
(Penn State’s Applied Research Laboratory)で分析してもらっている。
★ 講演番号( 12-3 )Hardanodizing – Higher Electrolyte Temperatures Will Save Energy.
(日本語訳の講演題名)硬質アルマイトー高い浴 温は省エネである。(講演者)Stefan Koelle.(所 属)Fraunhofer Institute for Manufacturing Engineering and Automation.
(講演概要)硬質アルマイト電解はエネルギー消 費が非常に大きい。硬質アルマイト電解でのエ ネルギーの 70%はジュール熱で失われる。通常 は0℃前後の浴温で硬質アルマイト電解が行わ れ る が、Fraunhofer Institute for Manu- facturing Engineering and Automation IPA
研究所での研究によると、高温浴でも良い硬質アルマイト皮膜が得られた。詳細は講演発表の会 場で述べる。なお、同研究所が日本語でホームページ上に紹介されている(図3)。図3の下部 に書いてある小さい文字の文章は、「フラウンホーファー IPA(生産技術・オートメーション研 究所)では、製造業・サービス業における組織的・技術的課題に解決策を見出すことを最重要課 題として研究開発に取り組んでいます。」である。日本語ウィキペディアでも紹介されている巨 大研究所である。
★ 講演番号( 12-4 )Study of Nanoporous Alumina Membranes by Electrochemical Surface Engineering.(日本語訳の講演題名)電気化学的表面工学によるマイクロポーラスアルミナ・メ ンブレンに関する研究。(講演者)Xavier Albort Ventura.(所属)University Politecnic of
会社のホームページでは各種表面処理の詳細な報 告 が あ る。特 に、「Plasma Electrolytic Stripping」と言う全く斬新な技術も紹介されて いる(図 4)。
★ 講演番号( 12-6 )Non-Chromate Conversion Coating for Aluminum Alloy. (日 本 語 訳 の 講 演 題名)アルミニウム合金に対するノン・クロム化 成 処 理 皮 膜。(講 演 者)Toku Yasuda.(所 属)
Okuno Chemical Industries Co., Ltd.
(講演概要)MnO4- で新しいノン・クロム化成処理法の開発に成功した。この化成処理皮膜の組 成は主に MnO2 である。この黄色の皮膜は、MIL規格の耐食性と塗料密着性を満たしている。な お、講演者の会社は奥野製薬工業株式会社である。
★ 講演番号( 12-7 )Non-chromated Conversion Coating for Corrosion Protection of Aluminum Alloys. (日本語訳の講演題名)アルミニウム合金の耐食性の為のノン・クロメート化成処理皮 膜(講演者)Alp Manavbasi.(所属)CHEMEON Surface Technology.
(講演概要)3 価クロムによる新しく開発された表面処理法は特殊な活性化処理が必要なく、MI L規格の要求項目を満たしている。
★ 講演番号( 12-8 )Improve Your Non-Ferrous Metal Surface Preparation.(日本語訳の 講演題名)貴方の非鉄金属表面前処理法を進歩させましょう(講演者)Mike Valenti.(所属)
Hubbard-Hall Inc.(講演概要)新しく開発した化学薬品は洗浄、光沢処理、廃液処理、装置の メンテナンスを含むすべての操作に対して、ポシティブな衝撃をもたらす。更に、良好な処理の ために伝統的に必要と考えられていたある種の処理を省くこともできる。
5.Session 12 以外の Session 会場で発表される軽金属表面処理の概要紹介 Session 5 で 1 件と Session 9 で 3 件のアルマイト関連の講演がある。
★( Session5 で の 講 演 題 名) Computer Aided Engineering for Achieving a Better Control of Anodized Porous Layer Thickness Distributions.(日本語訳の講演題名)アルマイト皮膜 厚さ分布をより良く制御する為のコンピュータ支援技術。(講演者)Bart Van den Bossche.(所属)
化成処理とアルマイト処理後の封孔処理の両者での後処理の関連(講演者)Juliana Garcia.(所 属)COVENTYA Holding SAS.(講演概要)Socomore 社は後処理用の Cr(III) に準拠した表面処理 液を開発した。得られた化成皮膜の後処理ありの場合と後処理無しの場合の morphological differences を説明する。
★ Session9(3)での講演題名、The LumiShield Process: Electroplated Aluminum Coatings from Existing Equipment.(日本語訳の講演題名)The LumiShield Process: 現存の設備でのア ルミニウムの電気めっき。(講演者)Hunaid Nulwala.(所属)LumiShield Technologies.(講演概要) LumiShield 社のアルミニウムの電気めっき技術は大気圧下での open vessels で行える。AlCl3 systems 法よりも電気めっきが良好である。同社ホームページの図が講演概要を強く印象付けて いる(図5)。
図5 The LumiShield Process の図
6.結言
”CoatingMedia ONLINE ニュース”に以下の情報があった。
「3 月 10 日に開催された軽金属製品協会主催の講演会で、アルミニウム塗装品質規格認証シス テム「クオリコート」本部の専務理事である Josef Schoppig 氏が EU における 6 価クロム規制に ついて述べた。同氏によると、REACH 規制により 2017 年 9 月から EU 市場での 6 価クロムの使用 及び持ち込みが禁止される。硬質クロムのような代替品のないものはその規制から免除されるが、 塗装で使用される化成処理剤では完全禁止となる。」
図3 フラウンホーファー IPA 研究所
1.緒言
“SUR/FIN”の略称で知られている、「金属表面 技 術 の 技 術 展 示 会(Exhibition)と 技 術 講 演 会
(Conference)の同時開催行事」が毎年6月にアメリカ表 面技術協会(NASF)の主催で行われている。本年6月に ラスベガスで開催される技術講演会を紹介する(図1)。
2.NASF と日本の金属表面技術の歴史
“INTERFINISH(世界金属表面処理会議)”と同様に、金 属表面技術の主要情報源の一つである“SUR/FIN”
に親しみを持っていただくために“NASF”について 紹介させていただく。
大阪府鍍金工業組合ホームページの「めっきの本」を クリックすると、「大阪府鍍金工業組合図書室」のページ が現れる。100 冊以上の書籍の目録がある。この目録表の 最後に図2の「外国雑誌」のリストがある。
リ ス ト の 最 初 の 外 国 雑 誌、“Plating &
Surface Finishing”がアメリカ表面技術 協会(NASF)の前身である AESF の協会誌 である。
アメリカ表面技術協会の正式名称は、
“The National Association for Surface Finishing ”であるが、“NASF”の略 称が広く普及している。“NASF”の前 身が、“ AESF( American Electroplators and Surface Finishers Society ) ”で、
“AESF”の前身が、”AES( American Electroplators Society ) ”であった。
太平洋戦争後にアメリカから、「プラス
チック上へのめっき技術」などの斬新な技術情報が前述の Plating & Surface Finishing 誌など
一方、“NASF”から表彰された日本人もいた。(1)米国ベル研究所の沖中裕は「金めっき」
の研究でアメリカ表面技術協会賞を受賞している。この研究は沖中裕自身によって、「金めっき に関する最近の話題」、金属表面技術 32(10), 500-508, 1981 に発表されている。沖中裕は、「金 めっきの実験をしている時にガラス製の温度計を使うと、良好な金めっき皮膜が形成することに 気付いた。そこで、ガラス製温度計を砕いて詳細に研究したところ、ガラスに含まれている“鉛”
が良好な金めっき皮膜の原因」であることを確認した。(2)大阪府立大学の故林忠夫はオハイ オ州立大学に留学し、めっき研究が評価されて、AESFから学会賞を受賞している。なお、前 述の“SUR/FIN視察団”が渡米する時、故林忠夫は何回も団長をしていた。(3)国立鈴 鹿工業高等専門学校教授の兼松秀行は、2012 年 6 月にアメリカ表面技術協会・科学功績賞を受 賞している。
3.3日間に、12 会場で開催される講演の主題
表1に示す講演主題別の講演が行われる。なお、誤訳防止のために、英文を併記した。
● Session 1 では、主に無電解ニッケルめっき技術に関連する6件の講演がリスト・アップさ れている。
● Session 2 では金属部品のバレル研摩など6件の講演である。
● Session 3 では空軍でのクロム・フリー前処理や有害金属削減計画など6件の講演が行われ る。なお、「国防省での6価クロムとカドミウムの削減に対する5年戦略とロード・マップ」
の講演題名は、日本では見掛けない題名なので印象に残った。
● Session 4 では「医療機器への低摩擦ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)のコーテ ィング」の講演題名に感心させられた。一部の医療機器は精密機械なので低摩擦性能の需要 があるのだろうと思った。潤滑アルマイトの出番はあるだろうか?
● Session 5 では、「アルマイト皮膜厚さの均一性をより良く制御するためのコンピュータ支援 技術」の講演がある。なお、この講演の概要は本稿の第5節で紹介する。その他に、「シミュ レーション工学によるめっき効率の向上」など5件の講演がある。
● Session 6 では、「めっき会社が排水処理設備に対する経済的な代替法を発見した(費用節約 と環境についてのケース・スタディ)」の1件の講演だけである。
● Session 7 では、「低摩擦でスーパー耐久性のタングステンー鉄めっき」や「めっき欠陥での トラブル・シューティング」など7件の講演が行われる。
● Session 8 では、「硬質クロムめっき代替技術としての環境に優しい Fe-P 皮膜」など大半が クロムめっき関連の講演で、講演件数は7件である。
● Session 9 で は、「New Anodizing Solutions for Unpainted Parts with SAA Next Gen and TSA Long Cycle」の講演がある。この講演の概要は本稿の第 5 節で紹介する。その他に 6 件 の講演が行われる。
本節の結論として、「Session に関係なくクロムめっき関連の講演が多かった」が感想である。
「環境問題との調和を考えなければならない」との課題を抱えているからである。
表1 12 会場の講演主題
表2 Session 12 での8件の講演題名
4.Session 12 で発表された軽金属表面処理の概要紹介
Systems.(講演概要)「アルマイト浴に対する効果的な添加剤を開発した」が講演の主旨で、
2000/7000 系アルミニウム合金や Type IC, Ⅱ and Ⅲ の各アルマイト処理や硬質アルマイト処 理にも弊社が開発した添加剤は効果的であると報告している。なお、同社ホームページには長文 の技術論文が掲載されている。
★ 講 演 番 号( 12-2 )Improved Anodic Coating Properties Through New Processing Techniques.
(日本語訳の講演題名)新しい処理技術により改良された陽極酸化皮膜の性質。(講演者)Joshua Cloakey.(所属)Analytical Specialties Inc.
(講演概要)新しいアルマイト法を開発した。ASTM B-117 塩水噴霧試験で 5,000 時間以上に耐えた。
耐摩耗性も良好で、皮膜生成速度も速い。この皮膜はペンシルベニヤ州立の応用研究研究所
(Penn State’s Applied Research Laboratory)で分析してもらっている。
★ 講演番号( 12-3 )Hardanodizing – Higher Electrolyte Temperatures Will Save Energy.
(日本語訳の講演題名)硬質アルマイトー高い浴 温は省エネである。(講演者)Stefan Koelle.(所 属)Fraunhofer Institute for Manufacturing Engineering and Automation.
(講演概要)硬質アルマイト電解はエネルギー消 費が非常に大きい。硬質アルマイト電解でのエ ネルギーの 70%はジュール熱で失われる。通常 は0℃前後の浴温で硬質アルマイト電解が行わ れ る が、Fraunhofer Institute for Manu- facturing Engineering and Automation IPA
研究所での研究によると、高温浴でも良い硬質アルマイト皮膜が得られた。詳細は講演発表の会 場で述べる。なお、同研究所が日本語でホームページ上に紹介されている(図3)。図3の下部 に書いてある小さい文字の文章は、「フラウンホーファー IPA(生産技術・オートメーション研 究所)では、製造業・サービス業における組織的・技術的課題に解決策を見出すことを最重要課 題として研究開発に取り組んでいます。」である。日本語ウィキペディアでも紹介されている巨 大研究所である。
★ 講演番号( 12-4 )Study of Nanoporous Alumina Membranes by Electrochemical Surface Engineering.(日本語訳の講演題名)電気化学的表面工学によるマイクロポーラスアルミナ・メ ンブレンに関する研究。(講演者)Xavier Albort Ventura.(所属)University Politecnic of Barcelona.
(講演概要)多孔質のアルマイトは最もポピュラーなナノマテリアルで、分子や粒子の分離や触媒、
エネルギーの生産と貯蔵に使える。ナノマテリアルとしてのアルミナ皮膜の特徴は孔のサイズや
(講演概要)「PEO」と略称される「プラズマ電解 酸化法」を詳細に解説する。そして、幾つかの応 用事例も紹介する。(佐藤敏彦の補足)講演者の 会社のホームページでは各種表面処理の詳細な報 告 が あ る。特 に、「Plasma Electrolytic Stripping」と言う全く斬新な技術も紹介されて いる(図 4)。
★ 講演番号( 12-6 )Non-Chromate Conversion Coating for Aluminum Alloy. (日 本 語 訳 の 講 演 題名)アルミニウム合金に対するノン・クロム化 成 処 理 皮 膜。(講 演 者)Toku Yasuda.(所 属)
Okuno Chemical Industries Co., Ltd.
(講演概要)MnO4- で新しいノン・クロム化成処理法の開発に成功した。この化成処理皮膜の組 成は主に MnO2 である。この黄色の皮膜は、MIL規格の耐食性と塗料密着性を満たしている。な お、講演者の会社は奥野製薬工業株式会社である。
★ 講演番号( 12-7 )Non-chromated Conversion Coating for Corrosion Protection of Aluminum Alloys. (日本語訳の講演題名)アルミニウム合金の耐食性の為のノン・クロメート化成処理皮 膜(講演者)Alp Manavbasi.(所属)CHEMEON Surface Technology.
(講演概要)3 価クロムによる新しく開発された表面処理法は特殊な活性化処理が必要なく、MI L規格の要求項目を満たしている。
★ 講演番号( 12-8 )Improve Your Non-Ferrous Metal Surface Preparation.(日本語訳の 講演題名)貴方の非鉄金属表面前処理法を進歩させましょう(講演者)Mike Valenti.(所属)
Hubbard-Hall Inc.(講演概要)新しく開発した化学薬品は洗浄、光沢処理、廃液処理、装置の メンテナンスを含むすべての操作に対して、ポシティブな衝撃をもたらす。更に、良好な処理の ために伝統的に必要と考えられていたある種の処理を省くこともできる。
5.Session 12 以外の Session 会場で発表される軽金属表面処理の概要紹介 Session 5 で 1 件と Session 9 で 3 件のアルマイト関連の講演がある。
★( Session5 で の 講 演 題 名) Computer Aided Engineering for Achieving a Better Control of Anodized Porous Layer Thickness Distributions.(日本語訳の講演題名)アルマイト皮膜 厚さ分布をより良く制御する為のコンピュータ支援技術。(講演者)Bart Van den Bossche.(所属)
Elsyca NV.(講演概要)「CAE」でこの課題を検討する。(佐藤敏彦の補足説明)ウィキペディア では「CAE」について以下のように解説している。「CAE(英 : computer aided engineering)とは、
コンピュータ技術を活用して製品の設計、製造や工程設計の事前検討の支援を行うこと、または
どのようなスキームを採用すべきかを説明する予定である。
★ Session9(2)で の 講 演 題 名、Trivalent chrome: Relevance of Post Treatment in Both Conversion and Sealing After Anodizing of Aluminum.(日本語訳の講演題名)3価クローム:
化成処理とアルマイト処理後の封孔処理の両者での後処理の関連(講演者)Juliana Garcia.(所 属)COVENTYA Holding SAS.(講演概要)Socomore 社は後処理用の Cr(III) に準拠した表面処理 液を開発した。得られた化成皮膜の後処理ありの場合と後処理無しの場合の morphological differences を説明する。
★ Session9(3)での講演題名、The LumiShield Process: Electroplated Aluminum Coatings from Existing Equipment.(日本語訳の講演題名)The LumiShield Process: 現存の設備でのア ルミニウムの電気めっき。(講演者)Hunaid Nulwala.(所属)LumiShield Technologies.(講演概要)
LumiShield 社のアルミニウムの電気めっき技術は大気圧下での open vessels で行える。AlCl3 systems 法よりも電気めっきが良好である。同社ホームページの図が講演概要を強く印象付けて いる(図5)。
図5 The LumiShield Process の図
6.結言
”CoatingMedia ONLINE ニュース”に以下の情報があった。
「3 月 10 日に開催された軽金属製品協会主催の講演会で、アルミニウム塗装品質規格認証シス テム「クオリコート」本部の専務理事である Josef Schoppig 氏が EU における 6 価クロム規制に ついて述べた。同氏によると、REACH 規制により 2017 年 9 月から EU 市場での 6 価クロムの使用 及び持ち込みが禁止される。硬質クロムのような代替品のないものはその規制から免除されるが、
塗装で使用される化成処理剤では完全禁止となる。」 図 4 プラズマ電解剥離法
1.緒言
“SUR/FIN”の略称で知られている、「金属表面 技 術 の 技 術 展 示 会(Exhibition)と 技 術 講 演 会
(Conference)の同時開催行事」が毎年6月にアメリカ表 面技術協会(NASF)の主催で行われている。本年6月に ラスベガスで開催される技術講演会を紹介する(図1)。
2.NASF と日本の金属表面技術の歴史
“INTERFINISH(世界金属表面処理会議)”と同様に、金 属表面技術の主要情報源の一つである“SUR/FIN”
に親しみを持っていただくために“NASF”について 紹介させていただく。
大阪府鍍金工業組合ホームページの「めっきの本」を クリックすると、「大阪府鍍金工業組合図書室」のページ が現れる。100 冊以上の書籍の目録がある。この目録表の 最後に図2の「外国雑誌」のリストがある。
リ ス ト の 最 初 の 外 国 雑 誌、“Plating &
Surface Finishing”がアメリカ表面技術 協会(NASF)の前身である AESF の協会誌 である。
アメリカ表面技術協会の正式名称は、
“The National Association for Surface Finishing ”であるが、“NASF”の略 称が広く普及している。“NASF”の前 身が、“ AESF( American Electroplators and Surface Finishers Society ) ”で、
“AESF”の前身が、”AES( American
めっきの実験をしている時にガラス製の温度計を使うと、良好な金めっき皮膜が形成することに 気付いた。そこで、ガラス製温度計を砕いて詳細に研究したところ、ガラスに含まれている“鉛”
が良好な金めっき皮膜の原因」であることを確認した。(2)大阪府立大学の故林忠夫はオハイ オ州立大学に留学し、めっき研究が評価されて、AESFから学会賞を受賞している。なお、前 述の“SUR/FIN視察団”が渡米する時、故林忠夫は何回も団長をしていた。(3)国立鈴 鹿工業高等専門学校教授の兼松秀行は、2012 年 6 月にアメリカ表面技術協会・科学功績賞を受 賞している。
3.3日間に、12 会場で開催される講演の主題
表1に示す講演主題別の講演が行われる。なお、誤訳防止のために、英文を併記した。
● Session 1 では、主に無電解ニッケルめっき技術に関連する6件の講演がリスト・アップさ れている。
● Session 2 では金属部品のバレル研摩など6件の講演である。
● Session 3 では空軍でのクロム・フリー前処理や有害金属削減計画など6件の講演が行われ る。なお、「国防省での6価クロムとカドミウムの削減に対する5年戦略とロード・マップ」
の講演題名は、日本では見掛けない題名なので印象に残った。
● Session 4 では「医療機器への低摩擦ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)のコーテ ィング」の講演題名に感心させられた。一部の医療機器は精密機械なので低摩擦性能の需要 があるのだろうと思った。潤滑アルマイトの出番はあるだろうか?
● Session 5 では、「アルマイト皮膜厚さの均一性をより良く制御するためのコンピュータ支援 技術」の講演がある。なお、この講演の概要は本稿の第5節で紹介する。その他に、「シミュ レーション工学によるめっき効率の向上」など5件の講演がある。
● Session 6 では、「めっき会社が排水処理設備に対する経済的な代替法を発見した(費用節約 と環境についてのケース・スタディ)」の1件の講演だけである。
● Session 7 では、「低摩擦でスーパー耐久性のタングステンー鉄めっき」や「めっき欠陥での トラブル・シューティング」など7件の講演が行われる。
● Session 8 では、「硬質クロムめっき代替技術としての環境に優しい Fe-P 皮膜」など大半が クロムめっき関連の講演で、講演件数は7件である。
表1 12 会場の講演主題
表2 Session 12 での8件の講演題名
の技術論文が掲載されている。
★ 講 演 番 号( 12-2 )Improved Anodic Coating Properties Through New Processing Techniques.
(日本語訳の講演題名)新しい処理技術により改良された陽極酸化皮膜の性質。(講演者)Joshua Cloakey.(所属)Analytical Specialties Inc.
(講演概要)新しいアルマイト法を開発した。ASTM B-117 塩水噴霧試験で 5,000 時間以上に耐えた。
耐摩耗性も良好で、皮膜生成速度も速い。この皮膜はペンシルベニヤ州立の応用研究研究所
(Penn State’s Applied Research Laboratory)で分析してもらっている。
★ 講演番号( 12-3 )Hardanodizing – Higher Electrolyte Temperatures Will Save Energy.
(日本語訳の講演題名)硬質アルマイトー高い浴 温は省エネである。(講演者)Stefan Koelle.(所 属)Fraunhofer Institute for Manufacturing Engineering and Automation.
(講演概要)硬質アルマイト電解はエネルギー消 費が非常に大きい。硬質アルマイト電解でのエ ネルギーの 70%はジュール熱で失われる。通常 は0℃前後の浴温で硬質アルマイト電解が行わ れ る が、Fraunhofer Institute for Manu- facturing Engineering and Automation IPA
研究所での研究によると、高温浴でも良い硬質アルマイト皮膜が得られた。詳細は講演発表の会 場で述べる。なお、同研究所が日本語でホームページ上に紹介されている(図3)。図3の下部 に書いてある小さい文字の文章は、「フラウンホーファー IPA(生産技術・オートメーション研 究所)では、製造業・サービス業における組織的・技術的課題に解決策を見出すことを最重要課 題として研究開発に取り組んでいます。」である。日本語ウィキペディアでも紹介されている巨 大研究所である。
★ 講演番号( 12-4 )Study of Nanoporous Alumina Membranes by Electrochemical Surface Engineering.(日本語訳の講演題名)電気化学的表面工学によるマイクロポーラスアルミナ・メ ンブレンに関する研究。(講演者)Xavier Albort Ventura.(所属)University Politecnic of
会社のホームページでは各種表面処理の詳細な報 告 が あ る。特 に、「Plasma Electrolytic Stripping」と言う全く斬新な技術も紹介されて いる(図 4)。
★ 講演番号( 12-6 )Non-Chromate Conversion Coating for Aluminum Alloy. (日 本 語 訳 の 講 演 題名)アルミニウム合金に対するノン・クロム化 成 処 理 皮 膜。(講 演 者)Toku Yasuda.(所 属)
Okuno Chemical Industries Co., Ltd.
(講演概要)MnO4- で新しいノン・クロム化成処理法の開発に成功した。この化成処理皮膜の組 成は主に MnO2 である。この黄色の皮膜は、MIL規格の耐食性と塗料密着性を満たしている。な お、講演者の会社は奥野製薬工業株式会社である。
★ 講演番号( 12-7 )Non-chromated Conversion Coating for Corrosion Protection of Aluminum Alloys.(日本語訳の講演題名)アルミニウム合金の耐食性の為のノン・クロメート化成処理皮 膜(講演者)Alp Manavbasi.(所属)CHEMEON Surface Technology.
(講演概要)3 価クロムによる新しく開発された表面処理法は特殊な活性化処理が必要なく、MI L規格の要求項目を満たしている。
★ 講演番号( 12-8 )Improve Your Non-Ferrous Metal Surface Preparation.(日本語訳の 講演題名)貴方の非鉄金属表面前処理法を進歩させましょう(講演者)Mike Valenti.(所属)
Hubbard-Hall Inc.(講演概要)新しく開発した化学薬品は洗浄、光沢処理、廃液処理、装置の メンテナンスを含むすべての操作に対して、ポシティブな衝撃をもたらす。更に、良好な処理の ために伝統的に必要と考えられていたある種の処理を省くこともできる。
5.Session 12 以外の Session 会場で発表される軽金属表面処理の概要紹介 Session 5 で 1 件と Session 9 で 3 件のアルマイト関連の講演がある。
★( Session5 で の 講 演 題 名) Computer Aided Engineering for Achieving a Better Control of Anodized Porous Layer Thickness Distributions.(日本語訳の講演題名)アルマイト皮膜 厚さ分布をより良く制御する為のコンピュータ支援技術。(講演者)Bart Van den Bossche.(所属)
化成処理とアルマイト処理後の封孔処理の両者での後処理の関連(講演者)Juliana Garcia.(所 属)COVENTYA Holding SAS.(講演概要)Socomore 社は後処理用の Cr(III) に準拠した表面処理 液を開発した。得られた化成皮膜の後処理ありの場合と後処理無しの場合の morphological differences を説明する。
★ Session9(3)での講演題名、The LumiShield Process: Electroplated Aluminum Coatings from Existing Equipment.(日本語訳の講演題名)The LumiShield Process: 現存の設備でのア ルミニウムの電気めっき。(講演者)Hunaid Nulwala.(所属)LumiShield Technologies.(講演概要)
LumiShield 社のアルミニウムの電気めっき技術は大気圧下での open vessels で行える。AlCl3 systems 法よりも電気めっきが良好である。同社ホームページの図が講演概要を強く印象付けて いる(図5)。
図5 The LumiShield Process の図
6.結言
”CoatingMedia ONLINE ニュース”に以下の情報があった。
「3 月 10 日に開催された軽金属製品協会主催の講演会で、アルミニウム塗装品質規格認証シス テム「クオリコート」本部の専務理事である Josef Schoppig 氏が EU における 6 価クロム規制に ついて述べた。同氏によると、REACH 規制により 2017 年 9 月から EU 市場での 6 価クロムの使用 及び持ち込みが禁止される。硬質クロムのような代替品のないものはその規制から免除されるが、
塗装で使用される化成処理剤では完全禁止となる。」