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泰恒・山崎 靖夫・教授 坪井

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Academic year: 2022

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全文

(1)

(書犠講53第齢48簿骨)

〔原 著〕

腹部手術後の Rehabilitation

阿部.

ア  ペ

   東京女子医科大学第二病院外科

泰恒・山崎 靖夫・教授 坪井

タイコウ  ヤマサキ  ヤスオ      ツボイ       長野国立病院整形外科

    吉  松  俊  一

    竃シ  マツ   シュン  .イチ

重雄

シゲ オ

(受付 昭和48年2月5日)

      Rehabi1丑tation of Patients after Abdominal Surgica10perat量on through

      Positive and Gradation訊1 Physical Excercise

       Taik6 ABE, Yasuo YAMAZAKI and SLigeo TSIJBOI        Department of surgery(Director: Pro艶ssor Shigeo TSUBOI)

       Tokyo Women s Medical College Second Hospital.

      Syunit五YOSHIMATSIJ

       Department of Orthopedic Surgery, National Nagano Hospital

    In our institute, we are applying eight stages of systemic physical excercises to postoperative patients 廿om亡he行rst day af託er their operation to the day of dlscharge.

    The main aims of this program are;

    (1) Prophylaxis of postoperative pulmonary complications.

    (2) Prophylaxis of intenstinal adhesion・

    (3) Earliest possible rehabilitation.

    MeasuremeHt was done as to a)the capacity of the lungs b)grasping power c)the muscular strength of back d)one leg standing time e)the number of bending and stretching times, etc. to critisize their emcacy.

    Measured one week a銑er the operation, the applied group showed 25%or less depression than in health as to the above−mentioned parameters, while the non−applied group showed 30−50%depression.

Moreover, one tQ two weeks earlier recovery was expericnced in the applied group on all measured items.

Although we made allowance fbr some negative ef琵cts at the beginning, we fbund no such a丘er−ef琵cts such as increase of pain, reopening of cuts, etc.

    We are convinced that this method ls a highly practicable one as we11 as ylelding remarkable results at any medical institution.

(2)

         L 緒  言

 消化器系術後患者に対して,早期離床の有効性 は古くから提唱されている.これを術後回復訓練

としてSystem化して実施している所は少ない。

 腹部手術後の回復訓練方法として体系づけられ たものとしては,John, H.c. colson1)による報 告があるが,これは訓練士として理学療法士を対 象としており,手技として複雑でもあり,簡単に 如何なる施設でも施行できる内容とは言し.・難い,

 私共は, (1) 術後肺合併症の予防, (2)腸 管癒着の防止,(3)術後患老のできるだけ早い 社会復帰を目的として,内容としては,誰にで も,どこでも施行できることを考慮して,8種類 から成る独自の回復訓練プログラムを作製して実 施している.

 実施結果は,期待していた以上の効果を上げ,

身体的効果の他にも,目的を持つた術後回復生活 が営まれるため,患者に与える心的効果も多大で

ある.

      IL 運動内容および目的  q) 胸式呼吸(図1)

る.また腹腔骨盤腔の静脈還流の促進により血栓々塞の

予防をする.

腹をふくらませて、一杯に息を吸う。次 に腹をへこませて一・杯に息を吐く。両手を 腹の上において確めながら行う。

(5回繰りテ聾し、 ユ日2−3回)

    図2 腹式呼吸

 (3) 下肢の自動運動(図3)

 腹式呼吸に併せて,下肢骨盤腔の静脈還流の促進によ り,血栓々塞を予防する.下肢の筋力(特に股関節の外 転筋および伸展筋)を維持する。

      イ 股開節の内外転

     両足を自分で・杯に開     いたり閉じたりする,

     (5111【繰ト,」区し、 Ill

     z−3回)

ロ 下肢の屈伸

 cレ_[メムコ

  ∫lr一つ つ膝を屈伸一弓一る、

  (5回繰り返して1日2〜

   3[[ID

 図3 一ド肢の自動運動

(4) 肘,膝,足関節抵抗運動(図4)

   イ月寸』「莫1鋤i

助乎が、患者の両手を持って、他動的に 万オをさせる。患者はこの時、胸に一・杯息 を吸い込む、次に乎を下げて一杯に息をは き出す。

 (5匹1繰り」上し1日2−3回)

    図1 胸式呼吸

 他動的胸廓運動により,肺機能を維持することによっ て肺膨張不全のような合併症を防止する.また,肺機能 促進により,全身の筋組織への酸素欠乏を防ぎ筋線絨機

能低下を防ぐ。

 (2) 腹式呼吸(図2)

 胸式呼吸訓練に合せて,横隔膜運動の促進により呼吸 系合併症を予防する.腹式呼吸運動により腹腔内圧の変 化を導いて,胃,腸管運動を促進し,癒着防止を期待す

 自分で噛r路側の胴 を旧」時に曲げる。そ  れに対 して、助手はその反対方向に抵  抗を加える。肘を伸す時はその逆に行  う。

 (5i川繰返しユ日2−3回)

馬足関節

 自分で両足首を同時に屈伸し、助手 はその反対方向に抵抗を加える.

(51主rl繰1区し1ヒ!2〜3恒D

図4 肘足首の抵抗運動

(3)

 自分で万才をし、助手がこれが行われ ない様に、反対方向に抵抗を加える。

(5回繰り返し1日2〜3回)

       図5 肩の抵抗運動

 上肢筋(特に前腕および上腕諸筋)の筋維持強化によ って,日常生活動作を容易にする.大胸筋,僧帽筋,広 背筋等の等尺性収縮により,これら筋群の筋力維持,促

進を行なう.

 足関節底背屈筋群の等張性収縮および膝関節屈伸筋群 および腹部三筋の等尺素収縮により,これらの筋力維

持,促進を図る.

 (5) 肩の抵抗運動(図5)

 肩関節諸筋の筋力維持,促進により,日常生活動作へ

の準備をする.大胸筋,冒間筋,僧帽筋等の胸廓周囲筋 の筋力促進によって,負荷呼吸への準備をする.腹部筋

(特に腹直筋)の筋力維持,促進をする.

 (6)体幹ブリッジ運動(図6)

 起立筋群(特に股関節伸展筋群,脊柱起立筋群)の筋 力維持,増強を行なう.また足底の深部感覚(圧覚)の

再教育をする.

 (7)下肢の抵抗運動(図7)

 下肢の三筋(特に股関節内外転筋群,屈伸筋群および 膝関節屈伸筋群)および腹部筋の筋力増強をする.

 (8)起立位で両膝の屈伸運動(図8)

 両手を腰におき、

かかとをそろえ、両 膝を屈伸し、5回よ り始めて、順に回数 を増加し、20回位繰 り返す。初めふらつ く様ならば、片手を ベッド等につかまっ て行う。

      図8 起立位で葱膝屈伸運動

 起立バランスの再教育と安定性を図り,膝関節屈伸筋

群の筋力増強を図る.

両膝を:・とてて、腰を持ち1二げて、約3 秒間i擁止する。

(5団繰り返し1日2〜3回)

  図6 体幹ブリッヂ

イ 股関節の開閉

/.

 両足を自分で一杯に開閉 し、助手はその反対方向に 抵抗を加える。

〆5回繰り返し、

k1日2〜3[亘1ノ

ロ 膝関節の屈伸

  片足ずつ交互に自分で屈  伸し、助手はその反対方向  に抵抗を加える。

  〆5回繰り返し、

  k1日2〜3回ノ

図7 下肢の抵抗運動

運動プログラム nP 12345δIW 2W 3W

病  日

ゴ♂」。

胸式呼吸

?ョ呼吸 コ肢自動運動 ハ 足関節抵抗運動 シ肩抵抗運動 フ幹ブリッヂ運動 コ肢抵抗運動 N立位膝屈運動

煉孝馬繋鱒鞍・

・鵠」襟

JJβ・曾,

禰簾麟i灘羅概

図9 腹部手術後の運動プPグラム  運動実施プログラム(図9)

 訓練は別表のように,術後第1病日より開始し,術後 3〜4週で終了する.実施に当っては,術前より患者に 運動方法および目的を書いたパンフレットを渡して指導 しておき.術後は毎日の回診時に患者の容態により,そ の日のスケジュールを看護婦や,付添いの家族などに指 示している.運動回数は1日3〜4回を原則としている が,患者は自発的にもっと多く行なう者が多い.運動は できるだけゆっくりと行なう方が効果的である.

        皿1・施行結果   (1) 虫垂切除術施行例

目的とする一般上腹部開腹症例に先立って,運動

(4)

表1

訓練群

非訓練群

男 9 5 14

女 6 10 16

10〜  19

9

3 12

20〜  29

1

5

6

30〜  39

0 3

3

40〜  49

4

5

50〜  59

0 3

3 60〜

1

0 1

15 15 30

表2 訓練日程

運 動

実 施 病 日

1. 胸式呼吸 2. 腹式呼吸

3,下肢自動運動

4. 月寸足自負行ま藪嵜うt運動

5. 両肩抵抗運動

日日より3日目まで 1〜3日目まで

!日〜7日目まで

ノ/

一訓練群

一一一一 訓練群

6.体幹ブリッヂ 7. 下肢抵抗運動

8. 膝1罵イ申運重力

3日〜2週目まで

内容,副作用を検討するために,急性虫垂炎術 後患者30例(表3)に対して,15例を対照群とし て,前述プログラムを短縮化したもの(表2)を 実施した.

 効果については,第3半日,第7病倒,第10病 中,第14病日に,握力,肺活量,片隅起立時間,

膝屈伸回数の4項目について測定して比較した.

但し三脚起立時間1分以上,膝屈伸回数20回以上 は測定しなかった.

 測定結果は,術後2週目より見た各評価日の測 定値の低下率を平均して比較した(図10).

 いずれの測定値も訓練群が非訓練群より良好な 結果を認めるが,握力,肺活:量は第10病日にほぼ 有意差がなくなっている.しかし片足起立時間で

をま,3日目1訓1練君羊8.8%,1非:1訓i糸幽幽羊68.3タ6,7日

目訓練群1.7%,非訓練群2.5%,と明らかな差 異があり,10日目においても非訓練群には6.8%

の低下が見られる.同様に,膝屈伸回数も非訓練 群が10日目にも術前に回復していない.

 肺活:量については,虫垂切除術が腰麻で施行さ れる関係上,両群に差が生じなかったものと考え

られるが,体バランスを示すと考えられる片脚起 立保持時間,膝屈伸回数では明らかに有意の差を

屈 10

、、@、@ 、 回 5 @ 、 、、@、@ 、

、 、@、  、@  、  馬  、 、 、  、  、

片 70

ォ 60起  50

、、 、  、  、

  40保 、、

持 30

?20ヤ 10

30

、、

  20 @、、、

@、@ 、

@ 、

@  、   、

lo 、、 、@ 、@  、   、

、 、

@、@ 、

@  、@   、

20

、、@、@ 、   、

  10

、、 隔

@ 、 、

@   、 、     唱 、       、        、        、         、

、、

低下率

? 二日 3      7    /0     !4

図10 2週目より見た機能低下率(急性虫垂炎)

100 90 80 70

60 50

40 30 20 10

、●、

_訓練群

一一一一 訓練群

b

%病  印

3 7 10 14

図11歩行時手術創部劇痛のある比率 もつて訓練の有効性が証明された.

 次に副作用を検討する目的で手術創部の疹痛残 有率を調べた(図11).

 第3病日訓練群80%,非非訓練群85.7%とあま

(5)

り差はないが,一般に退院日となる第7病日,訓 練群33.3%に対して非訓練群50%と差がひらぎ,

2週目訓練群0%に対してなお非訓練群には20%

の疹痛罵有率が残り,訓練の有効性が評価され た.他に創の移開,縫合不全等の副作用は全く認 められなかった.測定値の評価および疹訓導有率 からみて,訓練群は2〜7倍の有効率を認めた.

 (2) 上腹部手術施行例

 胃切除術,胆嚢切除術等の上腹部開腹手術を施 行した59例について,27例に図9のプログラムを 原則とした回復訓練を実施し,32例を非訓練群と

表3 運動プログラム

運動プログラム

nP 1234561W 2W 3W 4W

柄  日

胸式呼吸

?ョ呼吸 コ肢自動運動 I足関節抵抗運動 シ肩抵抗運動 フ幹ブリッヂ運動 コ肢抵抗運動 N立位膝屈伸運動

疾       患 訓  練  群 非  訓  練  群

20オ 一59才 60才以ヒ 20オー59才 60才以上 計

胃、十二指腸潰瘍 ン       草

?  石    症 ー  閉  塞  帰

?  腸   癌 サ   の    他

463202 5105223 10

R4310

2   12

T1012 85322

計 27 32

して比較した.一群共ベッドでの体位変換,起 座,離床時期は同一の扱いをしている.検査項目 は握力,肺活量,背筋力,片足起立保持時間,膝 屈伸回数を,術前,術後1週,2週,3週,4週

目に測定し,術前値の測定不能例は術後2ヵ月目 の測定値を術前値と同等の扱いとした.

 術前値もしくは術後2ヵ月目の測定値を0とし た各機能減退率を示したのが(図12)である.

 結果はいずれの機能においても非訓練群が訓練 群に較べて回復が遅れているが,訓練群が2週目 より機能回復傾向にあるのに対して,非訓練群は

1〜2週遷延している。

 患者が退院しはじめる術後3週目,非訓練での 片足起立保持発問76%,背筋力22%,膝屈伸回数 25%の減退はそのまま社会復帰を考えるには不十 分な値である.それに対して,訓練群は片足起立 保持時間の25%減退以外は術前値に比し10%以下

一 訓[練君羊  (32fダ唖)

一一一一一@非訓糸東群(27f列)

20

ノ       、 、

10

 !       、、 、匠       、

40 呪!   、 、

30 ノ         、 、

I       、 、

20         、@!       、、

10

20         @                、Q        一 一 一 ¶ 一 一 一 噌 、       、 、

@      !      、 、       !       、

10

  ノ

@ 片持

ォ時

75  、 起間

ァ保

50 Q5

  〆       、

@!      、

屈伸 75

T0

    A

@      、

回数 25

f! @         、㍉一一一㌔、_

検一% 月町       ユ        2        3        4

査 W    W    W    W

図12 各機能減退率平均

の減退にまで回復を認めており,有意の差をもつ て訓練群の有効性が評価された.

 術後合併症については,訓練群の胃癌症例1例 に,術後第2白日に手術創移心を起こした以外に は特記する合併症は認めなかった.手術創移開の 原因は強い咳漱によるもので,回復訓練の内容と 直接の関連性は認められない.

 腸管ゆ着防止に対する効果は,今後長期の経過 観察をみないと結論は出せない.

         結  語

 私共は,腹部手術患者に対して,8種目の回復 訓練法をプ・グラム化して施行し,握力,肺活 量,背筋力,片足起立保持時間,膝屈伸回数を,

非訓練群と比較し,回復訓練の有効1生を認めた.

 各機能回復は,訓練群が1〜2週間非訓練群よ

り早い.

 手術創部の疹;痛残有率も,訓練群が早く消失 し,回復訓練が有効であった.

 運動方法は簡便であり,誰れにでも施行できる ので,各施設での実施を期待したい.

 (本稿の内容は第7回日本理学療法士学会,第34回

臨床外科学会で口演発表した.)

(6)

        文  献

1)John, H.c・CoLon著:池田亀夫・他訳Pr−

 ogressive Exeユcise Therapy.,医歯薬出版(1966)

2)山岸三木雄・他:虫垂炎とのぞ後遺症.外科24

 1049 (1962)

3)綿貫詰・他;開腹術困難症の問題.日本医事

 新幸艮 No.2209 3 (1、966)

4)木村忠司:虫垂切除後遺症.外科診療7775

 (1965)

5)松倉三郎・他:虫垂手術の後遺症,外科治療14

 448 (1966)

6)木村忠司:術後性腹部神経症.診断と治療41

 727 (1953)

7)綿貫 詰:現代外科大系36B中LLI書店(!970)

 266, 273頁二

参照

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