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秋田応用微生物研究会

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(1)

秋田応用微生物研究会

第1回 総会・講演会

要旨集

平成14年5月10日(金) 13:00−

(2)

◎プログラム

<総会> 司会 高橋砂織 (秋田県総合食品研究所 主席研究員) 13:00-13:30 発起人代表あいさつ 発起人紹介、あいさつ 意見交換 <講演会> 講演15分、討論5分 座長 坂本賢二 ((株)坂本バイオ 代表取締役) 13:30-13:50 Pseudomonas aeruginosa の細胞間情報伝達と遺伝子発現制御 ○福島淳、志村洋一郎、稲元民夫(秋田県立大・生物資源) 13:50-14:10 アグロバクテリウム:秋田県産株の分離と最先端研究 ○我彦広悦、垣内康孝、工藤恵利子(秋田県立大・生物工学研) 14:10-14:30 Bacillus polymyxa KT551 の生産するマンナナーゼの精製と諸性質 ○戸枝一喜、戸松誠、川端康之*(秋田総食研、*(現)大阪樟蔭女大・食物) 14:30-14:50 休憩 座長 我彦広悦 (秋田県立大学生物工学研究所 教授) 14:50-15:10 肝臓幹様細胞の分化誘導機構と肝臓再生医工学 ⃝杉山俊博、亀田 隆、寺田邦彦(秋田大・医) 15:10-15:30 低MOIバキュロウイルス感染昆虫細胞培養における溶存酸素濃度の影響 ○後藤 猛、宮崎良徳、菊地賢一(秋田大・工資) 15:30-15:50 放線菌 Streptomyces kasugaensis における RNA ポリメラーゼ ωサブユニット

をコードする rpoZ 遺伝子のカスガマイシン生産と気菌糸形成への関与 ○小嶋郁夫、春日和、有澤章*、深澤明**、水野左敏**、赤川久義** (秋田県立大・生物資源、*メルシャン・生物資源研、**国立感染症研) 座長 菊地賢一 (秋田大学工学資源学部 教授) 15:50-16:10 鹿角霊芝(Ganoderma lucidum)に含まれるメラニン合成抑制物質 ⃝向山俊之、三浦直子、畠恵司*、堀一之*、高橋砂織*、坂本賢二 (坂本バイオ、*秋田総食研) 16:10-16:30 バイオリアクターを用いた清酒の連続醸造 ⃝進藤昌(秋田総食研) 16:30-16:50 「あきたこまち」1粒DNA鑑定技術の開発と実用化 ⃝小笠原博信、高橋砂織(秋田総食研)

(3)

Pseudomonas aeruginosa

の細胞間情報伝達と遺伝子発現制御

○福島 淳、志村洋一郎、稲元民夫 (秋田県大微生物) 【目的】 Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)は多様な環境で生活することができるグラム 陰性の好気性桿菌である。この緑膿菌はすでにゲノムが解析され、その配列上か らも多様な外部環境に対応した遺伝子発現制御を行っていることがうかがわれた。 一方、緑膿菌には細胞間の情報伝達機構が存在することが知られている。これは、 培地中に低分子物質を生産し、その物質が蓄積することにより菌集団全体で遺伝 子発現を誘導する機構である。すでに緑膿菌が産生するエラスターゼについて、 その転写制御と細胞間情報伝達機構について解析してきた。一方、もう一つのプ ロテアーゼであるアルカリプロテアーゼについても、その発現制御機構について 調べ、低鉄環境下での増殖への関与について研究を行った。 【方法】 緑膿菌アルカリプロテアーゼについて培地中への発現は特異抗体を利用し、ELISA の方法で定量した。また、その遺伝子発現量は mRNA を Northern 法および、Primer extension 法により定量した。さらに、抑制タンパク質を調べるために、Gel-shift 実験を 行った。トランスフェリンからの鉄獲得に関する実験では、合成培地中に鉄を含むホロ トランスフェリンを加え、アルカリプロテアーゼ産生および非産生緑膿菌の増殖能を調 べることにより行った。 【結果と考察】 アルカリプロテアーゼの培地中への産生は対数増殖後期から見られ、細胞間情 報伝達機構による制御が存在することが示唆された。また、培地中の鉄イオンに も強く影響され、10 µM の硫酸第二鉄が含まれるとその発現はほとんど見られず、 1 µM では産生が見られた。この鉄による発現制御がアルカリプロテアーゼ遺伝子 の転写レベルでおこることを確認した。また、発現抑制は精製 Fur タンパク質によ る実験から、Fur がアルカリプロテアーゼ遺伝子上流域へ結合して起こることを確 認した。さらに、アルカリプロテアーゼが生体内で鉄を獲得するのに寄与している かどうかを調べるために、生体での主要な鉄結合性タンパク質であるトランスフェ リンを分解し、緑膿菌が鉄を獲得できるかどうかを調べた。その結果アルカリプロ テアーゼは試験管内でトランスフェリンを分解し、また、トランスフェリンを唯一の 鉄源とした培地で鉄獲得に寄与していることが分かった。

(4)

アグロバクテリウム:秋田県産株の分離と最先端研究

○我彦広悦、垣内康孝、工藤恵利子(秋田県立大、生物工学研) 【目的】 アグロバクテリウム Agrobacterium tumefaciens は多くの植物に感染して腫瘍(根 頭癌腫病、別名クラウンゴール)を形成する。これは、菌が持つ Ti プラスミド の一部、T-DNA が植物ゲノムに挿入されるためである。T-DNA 上には植物ホル モンであるサイトカイニンやオーキシンを合成する遺伝子やその働きを調節す る遺伝子群があり、その発現によって植物組織はカルス化し、腫瘍となる。そ こで、T-DNA 上のホルモン合成遺伝子を利用して内生的、遺伝的に細胞内の植 物ホルモンレベルを調節し、その生理作用が研究されてきた。一方、T-DNA の 腫瘍遺伝子を有用遺伝子に置き換えるように改変して植物への遺伝子導入のベ クター系が開発、利用されてきた。我々はこれまで植物ホルモン研究に役立ち、 形質転換が困難な植物にも感染し、遺伝子導入可能な株を分離することを目的 とし、新規な A. tumefaciens を分離、性格付けを行ってきた。 【方法】 秋田県に存在する野外のクラウンゴールを採取し、懸濁液を作り、適当な選択 培地にまいて、候補となる菌を分離し、生化学的、生理学的性質を調べて A. tumefaciens としての同定、分類を行った。Ti プラスミドを分離し、既知の T-DNA をプローブとしてサザンハ法により T-DNA を同定し、クローニングした。植物 ホルモンの作用を高める6 b 遺伝子をタバコに導入した。6 b 遺伝子と相互作 用するタバコ遺伝子を酵母の Two Hybrid 法により探索した。また、AKE10 株を イネ、ナシへの遺伝子導入に用いた。 【結果と考察】 A. tumefaciens の候補として約90株を分離し、6つのグループに分類した。そ のうちリンゴから得られた AKE10 株を用いて形質転換が困難なナシ、イネへの 遺伝子導入に成功した。AKE10 の6 b 遺伝子をタバコに導入した組織はホルモ ンを含まない培地で増殖した。茎葉分化も促進された。これはオーキシンやサ イトカイニンの働きを高めていることによるものと思われる。また、6 b 遺伝 子は植物およびヒトの細胞内での転写を促進することが明らかとなった。これ らも含め、アグロバクテリウムのゲノム研究、種を超えた遺伝子導入について の世界の研究動向も紹介したい。 【参考文献】

Wabiko H, Kagaya M, Kodama I, Masuda K, Kodama Y, Yamamoto H, Shibano Y, and Sano H. (1989) Isolation and characterization of diverse nopaline typeTi plasmids of Agrobacterium

(5)

Bacillus polymyxa

KT551 の生産するマンナナーゼの精製と

諸性質

○ 戸 枝 一 喜 、 戸 松 誠 、*川端康之 ( 秋 田 総 食 研 、(*現)大阪樟蔭女大食物) 【 目 的 】 マ ン ノ ー ス 、マ ン ノ オ リ ゴ 糖 を 鶏 に 給 餌 す る こ と に よ り 鶏 体 内 よ り サ ル モ ネ ラ 菌 が 排 除 さ れ る こ と が 知 ら れ て い る 。そ こ で 、マ ン ノ ー ス 、マ ン ノ オ リ ゴ 糖 を 生 産 す る こ と を 目 的 と し て マ ン ナ ナ ー ゼ 生 産 菌 を 自 然 界 よ り 探 索 し た 。 そ の 結 果 マ ン ナ ナ ー ゼ 生 産 菌 Bacillus polymyxa KT551 を見出した。今回は本菌の生産するマンナナーゼの精 製 と 諸 性 質 に つ い て 検 討 し た 。 【 方 法・結 果 】 Bacillus polymyxa KT551 の培養上澄液を減圧濃縮後、 Toyopearl Super Q, EAH-Sepharose 4B, Toyopearl HW-50 の順に精製 す る こ と に よ り 電 気 泳 動 的 に 単 一 に 精 製 で き た 。分 子 量 は 34,000(SDS PAEGE)であった。本マンナナーゼの N 末端配列を分析し、既報のマ ン ナ ナ ー ゼ と 比 較 し た と こ ろ Bacillus circulans の酵素と相同性が高く 20 アミノ酸残基中 17 残基が一致していた。しかし、Bacillus circulans の 酵 素 の pI 値が 5.4 から 6.2(6種アイソザイム)であるのに対し、本 マ ン ナ ナ ー ゼ は 8.6 と大きく異なっていた。このことから本酵素は新規 酵 素 と 考 え ら れ る 。 酵 素 の 至 適 温 度 は 40℃、至適 pH は 7.0 であった。 金 属 イ オ ン 等 の 添 加 効 果 を 調 べ た 結 果 、Ag+, Cu2+, Mn2+, Fe3+ の 金 属 イ オ ン に 阻 害 さ れ た 。そ の 他 SDS、N-ブロモスクシイミドにも阻害作用が 認 め ら れ た 。 本 酵 素 は β-1,4 マンナンのみに作用し、 グルコマンナン 、 ス ピ ノ ガ ム に 良 く 作 用 し た 。

(6)

肝臓幹様細胞の分化誘導機構と肝臓再生医工学

Ο杉山俊博・亀田 隆・寺田邦彦(秋田大・医・1生化) 【目的】銅異常蓄積のために生後3−4カ月において劇症肝炎を起こしたLE Cラット肝臓からコラ−ゲナ−ゼ灌流法を用いて oval cell を分離し、胆管上皮 細胞と肝細胞の両方の性質を有する多分化能を有している未分化細胞であるこ とを明らかにした。同様な手法で正常ラットより肝臓幹様細胞を分離した。最 新の分子発生生物学の知見と組織医工学的技術を組み合わせて、in vivo にお いてラット肝臓幹細胞の分化誘導し、肝臓以外の場所(脾臓・腹腔内など)で 肝臓を形成させるための基礎的研究を試みた。

【方法】種々の培養条件下で oval cell を培養して、albumin などの肝機能マ− カ−の発現を検索した。肝臓非実質細胞の共培養系において、oval cell が肝細 胞・胆管のいずれに分化するかをそれぞれのマ−カ−を用いて検索し、また同 時に、分化誘導された oval cell に発現している肝特異的転写因子を同定した。 最後に組織医工学的技術を用いた肝臓幹細胞を細胞源とする異所性肝臓の再構 築を行なった。 【結果】1)LECラット肝臓からコラ−ゲナ−ゼ灌流法を用いて oval cell を分離する方法を開発した。分離した oval cell は、現在まで1年間以上細胞 培養が可能であり、また凍結保存できた。2)免疫組織化学的検討の結果、oval cell はγ-GTP, GST-P, AFP, cytokeratin18 と 19 は陽性であったが、albumin は陰性であった。分離した肝臓幹様細胞 oval cell を in vivo で肝臓に移植す ると、移植された細胞は形態学的に肝細胞に分化し、アルブミンを産生した。 3)正常ラットより分離した肝臓幹様細胞を腹腔内に移植すると、肝細胞に分 化した。 【考案】未分化な oval cell を正常肝臓に移植すると、肝細胞に分化することを 見出した。また、oval cell や正常ラット幹様細胞は三次元細胞培養系で、形態 学的に管様構造を形成した。このことは、我々が樹立した oval cell や肝臓幹様 細胞は、肝細胞にも胆管上皮細胞にも分化するように運命づけられた肝細胞の 最終分化の前の状態にあることを示唆している。

1. Kameda T., Hatakeyama S., Terada K., Sugiyama T. Acceleration of the formation of cultured epithelium using the Sonic hedgehog expressing feeder cells. Tissue Eng., 5, 7, 545-555 (2001)/

2. Yasui O., Miura N., Terada K., Kawarada Y., Koyama K., and Sugiyama T. Isolation of oval cells from Long-Evans Cinnamon rats and their transformation into hepatocytes in vivo in the rat liver. Hepatology 25, 329-334 (1997).

(7)

低MOIバキュロウイルス感染昆虫細胞培養における溶存酸素

濃度の影響

⃝後藤 猛・宮崎良徳・菊地賢一 (秋田大・工資) 【目的】 昆虫細胞-バキュロウイルス発現系は哺乳動物タンパク質の高効率な代替生産方法として 注目されている。本発現系において溶存酸素(DO)は非常に重要な制御因子の一つであるが 1),そ の詳細な研究は少なく,特に低 MOI 感染培養におけるものは無い。低 MOI 感染培養は,1 次感染 によりウイルスを複製して未感染細胞の 2 次感染を行うことから使用するウイルス量が少なく済み,工 業的な生産プロセスへの展開に有利である。本研究では,低 MOI 感染昆虫細胞培養による組換え タンパク質生産に及ぼす DO の影響を調べ,その最適条件を探ることを目的とする。 【方法】 昆虫細胞としては Spodoptera frugiperda (Sf-9) を,バキュロウイルスとしてはβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を 導入した組換え体 AcNPV を用いた。無血清培地 SF-900 II に懸濁させた Sf-9 細胞 (3×105 cells/ml) をスピナーフラ スコ型培養器 (稼動体積 1 L, BCP-S01, Able) に入れて 28 ℃, 100 rpm で 培養を開始し ,指数増殖期前期に MOI=0.1 でウイルス感染させた。β-ガラクトシダーゼ発現 量は ONPG 法により,また,ウイルスタイターは限界希釈 法により求めた。 0 4 8 104 106 108 1010

Time post infection (dpi)

Ti te r 1 0 2 4 6 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 DO (ppm) S p e c ifi c ox y g e n c ons um pt io n r a te ( m o l/ 1 0 6 ce lls /h ) µ : un–infected Sf–9

: virus–infected Sf–9 (at 12 hpi) : virus–infected Sf–9 (at 24 hpi) : calculation by eq. (1) ― 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 β –gal ac to s idas e ( U /m l)

Time post infection (dpi) : 5 DO

: 25 DO : 45 DO

Fig.2. Time course of virus produced by virus-infected Sf-9 culture (MOI 0.1) under varied DO conditions. Symbols are the same as in Fig.1.

Fig.1. Time course of β-galactosidase accumulated in medium of virus-infected Sf-9 culture (MOI 0.1) under varied DO conditions. 2 【結果と考察】 Fig.1 は細胞外に蓄積するβ-ガラクトシダ ーゼの経時変化を示す。β-ガラクトシダーゼは感染後 2 日目から増加して 8 日目に最大となるが,その値は空気飽 和の 5%DO で著しく高く, 25%および 45%DO の 5 倍以 上となった。しかし,1.3%DO では細胞は殆ど増殖せず、 ウイルス感染を行うことができなかった。ウイルス力価も 5%DO で高い値となったが,培養時間の延長によって大 きく減少した(Fig.2)。これはウイルスが好気的環境で不活 性化し易いためと考えられる。一方,Sf-9 細胞の呼吸速度 の DO 依存性は Monod 型の式(1)でよく表わされることが 分かった(Fig.3)。さらに,これより求めたウイルス感染 Sf-9 細胞の臨界溶存酸素濃度(3KS)は約 3.5%DO であった。 ] [ ] [ max , 2 2 DO K DO q q S O O + = (1) qO2,max = 最大比呼吸速度 KS = 飽和定数 以上より,低 MOI ウイルス感染培養における最適 DO は空気飽和の 5%付近であることが示唆された。 【参考文献】

1. Gotoh, T. et al., Biochem. Eng. J. 7, 69 (2001). 2. Gotoh, T. et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 56,

742-749 (2001).

Fig.3. Effect of DO on specific oxygen consumption rate of Sf-9 insect cells.

(8)

放線菌

Streptomyces kasugaensis

における RNA ポリメラーゼ

ωサブユニットをコードする

rpoZ

遺伝子のカスガマイシン生

産と気菌糸形成への関与

○ 小 嶋 郁 夫 , 春 日 和 , 有 澤 章*, 深 澤 明* *, 水 野 左 敏* *, 赤 川 久 義* * ( 秋 田 県 立 大 ・ 生 物 資 源 ,* メ ル シ ャ ン ・ 生 物 資 源 研 ,* * 国 立 感 染 症 研 ) 【 目 的 】 抗 カ ビ 抗 生 物 質 カ ス ガ マ イ シ ン ( KSM ) を 生 産 す る 放 線 菌 Streptomyces kasugaensis A1R6 株 よ り , KSM 生 産 能 と 気 菌 糸 形 成 能 を 消 失 し た 多 面 変 異 株 KSB を 得 た 。 さ ら に , KSB 株 を 宿 主 と し て , A1R6 株 の 染 色 体 か ら 多 面 変 異 を 相 補 す る 約 9.3kb の DNA を ク ロ ー ン 化 し た 。 本 研 究 は こ の 多 面 変 異 を 相 補 す る 遺 伝 子 の 解 明 を 目 的 と し た 。 【 方 法 お よ び 結 果 】 ク ロ ー ン 化 断 片 の 欠 失 プ ラ ス ミ ド を 構 築 し , KSB 株 を 形 質 転 換 し て 多 面 変 異 形 質 の 相 補 性 を 検 討 し た 。 さ ら に , 相 補 DNA 領 域 の 塩 基 配 列 決 定 と FramePlot 解 析 に よ り ,多 面 変 異 相 補 遺 伝 子 を 決 定 し た 。そ の 結 果 ,本 遺 伝 子 は 90 ア ミ ノ 酸 を コ ー ド し , BLAST ホ モ ロ ジ ー 検 索 か ら バ ク テ リ ア の RNA ポ リ メ ラ ー ゼ ( RNAP) の ω サ ブ ユ ニ ッ ト を コ ー ド し て い る rpoZ で あ る こ と が 判 明 し た 。Streptomyces coelicolor,Mycobacterium属 の 結 核 菌 や レ プ ラ 菌 の rpoZ に 高 い 相 同 性 を 示 し , 特 に ,S. coelicolor の ω と は 1 ア ミ ノ 酸 を 除 き 全 て 同 一 で あ っ た 。

さ ら に ,野 生 型 株 A1R6 の rpoZ 領 域 に Tn5由 来 の カ ナ マ イ シ ン 耐 性 遺 伝 子 を 導 入 た rpoZ破 壊 株 R6D4 は , 多 面 変 異 株 KSB と 同 様 に KSM を 生 産 せ ず , 気 菌 糸 を 形 成 し な か っ た 。S. kasugaensis お よ び S. coelicolor の rpoZ を プ ラ ス ミ ド に よ り R6D4 株 に 導 入 す る と , こ れ ら 2 種 の 形 質 転 換 株 は 野 生 型 株 A1R6 と 同 レ ベ ル の KSM を 生 産 し , ま た 気 菌 糸 形 成 を 回 復 し た 。

多 面 変 異 株 KSB のrpoZ領 域 の 塩 基 配 列 を 決 定 し て A1R6 株 のrpoZと 比 較 し た と こ ろ KSB 株 で は 2 塩 基 対 が 欠 失 し ,そ の 結 果 47 ア ミ ノ 酸 の 不 完 全 な ω タ ン パ ク が 生 じ て い る こ と が 推 定 で き た 。 【 結 論 】 rpoZ( お よ び そ の 産 物 の ω ) は ,S. kasugaensis に お い て , KSM 生 産 と 気 菌 糸 形 成 に 関 与 し て い る 。 バ ク テ リ ア の ω に 関 す る 生 理 的 役 割 に つ い て は , 大 腸 菌 の ω 欠 失 変 異 株 の 生 育 が 遅 れ る こ と が 報 告 さ れ て い る の み で あ る 。 し た が っ て , 本 研 究 は バ ク テ リ ア の rpoZさ ら に は ω の 新 た な 機 能 解 明 に つ な が る と 考 え て い る 。

(9)

鹿角霊芝

(

Ganoderma lucidum

)に含まれるメラニン合成抑制物質

⃝向山俊之1、三浦直子1、畠恵司2、堀一之2、高橋砂織2、坂本賢二1 (1(株)坂本バイオ、2秋田県総食研) 【目的】 鹿角霊芝は、ある一定の生育条件下で「鹿の角」状の独特な形状の子実体を 形成した霊芝である。天然発生が稀であることもあり、古くから霊芝の中で も貴重なものとされていた。霊芝には数多くの伝承効能があり、近年、血圧 降下、血糖上昇抑制、免疫賦活等いくつかの作用について科学的に検証・報 告されている。我々は(株)坂本バイオが栽培条件を確立し生産した鹿角霊 芝について、種々の生理活性を検索した結果、同キノコ子実体のメタノール 抽出物にメラニン合成抑制活性が認められたので1)、同活性を指標に活性物質 の単離並びに構造解析を行った。 【方法】 鹿角霊芝由来メラニン合成抑制物質は、メタノール抽出物より各種カラム クロマトグラフィーにより単離した。メラニン合成抑制活性は市販 B16 マウ スメラノーマ細胞より単離した高メラニン色素生産株 B16 10F7 2)を用い、細 胞内のメラニン量を定量することにより評価した。 【結果と考察】 鹿角霊芝メタノール抽出物からメラニン合成抑制活性を指標に、活性物質の 単離を行い構造解析の結果、活性物質はergosterol peroxide (1)であることが 判明した。1 は B16 10F7 細胞の増殖に影響を与えない 1 µg/ml の濃度でメラ ニンの生合成を顕著に抑制した。1 と構造類似化合物である ergosterol (2)は 同濃度域ではほとんどメラニン合成抑制活性を示さなかったことから、1 の活 性発現にはペルオキシ構造が重要な役割を担っていると推察される。

1) N. Miura et al. Res. Commun. Pharmacol. Toxicol., 5, 175-178, 2000 2) K. Hata et al. Natl. Med. 54, 144-147, 2000

(10)

バイオリアクターを用いた清酒の連続醸造

進藤 昌(秋田県総合食品研究所) 【目的】 酒類醸造は一般に装置産業であり、大きな設備を必要とし醸造期間も非常に長い。こ のような醸造システムにバイオリアクター技術を導入することができれば製造コスト の低下及び小さな設備で大工場並の製造を行うことが可能となる。特に清酒業界におい ては醸造工程の合理化を行うことができれば、製造コストの低下並びに杜氏に頼ってい る発酵工程の自動化が期待される。本研究では、マルトトリオース以上のグルコース鎖 長を持った糖組成率の高い米液化を作製し、固定化麹菌によって生産された糖化酵素を 含む米液化液と固定化酵母による併行複発酵式の高濃度エタノール生産のためのバイ オリアクターシステムを構築し、清酒の連続醸造を試みた。 【方法及び結果】 固定化麹菌による糖化酵素の連続生産 連続的に糖化酵素を低コストで得るには、麹菌を固定化して酵素を連続的に抽出する ことが最も望ましい。そこで、麹菌の固定化方法を検討したところ、プロテアーゼで処 理した米液化液をウレタンフォームに湿潤させた担体に麹菌を固定化することによっ て、繰り返し糖化酵素を連続生産させることができた。固定化麹菌による酵素生産能は、 同量の米麹の6倍以上の生産能を示した。さらに、30日間以上にわたり連続的に糖化 酵素を生産することができた。また、本研究の過程で米の成分に麹菌の糖化酵素生産を 促進する物質があることが判明し、この物質による固定化麹菌の糖化酵素生産能の増強 が認められた。 固定化酵母を用いた流動層型リアクターによる平行複発酵 バイオリアクターで物質生産をさせる場合には、目的の生産物によって使用するバイ オリアクターの形態が違ってくる。米液化液を用いてアルコール飲料を生産させる場合 には、発酵中に産生する炭酸ガスの排出効果の高い、流動層型バイオリアクターが最も 適していると考えられる。そこでガラスビーズに酵母を固定化して固定化麹菌から得ら れた糖化酵素を含む米液化液を用いて流動層型リアクターによる清酒醸造を行ったと ころ、40日間にわたって連続的に清酒を得ることができた。 【参考文献】

1. Shindo,S., Yutaka,K., and Shiinoki, S.,(1998). Sake brewing from liquefied-rice with immobilized fungal mycelia and immobilized yeast cells. J. Inst. Brew.,104, 277-281

2. Shindo, S., and Takahashi, S.,(2001) Stimulation of saccharifying enzyme production with immobilized fungal mycelia by liquefied rice-treated with protease. J. Biosci. and Bioeng. 93, 256-26

(11)

「あきたこまち」1粒DNA鑑定技術の開発と実用化

⃝小笠原博信,高橋砂織 (秋田県総食研・生物機能) 【目的】 新食糧法施行等の規制緩和にともない米流通の多様化が進む中,品質と食味が一 層重視されるようになった.米の品質保持の観点から,秋田県においても県産米の品 種判別は重要な課題である.先に、PCR法を用いたDNA鑑定法を応用し,「あきたこ まち」をはじめとする県奨励7品種について,パターン判別による品種判定技術を開発 した1).さらに,流通現場での実用化を目的に,DNA配列決定等,県産米の遺伝子解 析を行うことにより,判定をより簡便,迅速かつ高精度に行える「あきたこまち」特異的 判定技術の開発を行った.また,「あきたこまち」等の良食味米における品種特異的遺 伝子の検索と解析を行うことは,高品質に寄与する要因を解明することにつながり,育 種に及ぼす効果は大きいと思われる. 【方法】 1)5種類のRAPDマーカーARIF1∼5の判別用フラグメントをアガロー スゲルから精製した.フラグメントをpGEM−Tベクター(プロメガ社)に挿 入し塩基配列を決定した.2)得られた配列情報をもとに上流端,下流端を含む 14merないし20merのSTSプライマーを設計した.3) 判別用試料米は 「あきたこまち」をはじめとする秋田県奨励7品種(秋田農試より)と参考品種 として「コシヒカリ」,「日本晴」の2種,計9品種を用いた.また,平成9年度 より奨励品種となった「ひとめぼれ」,および平成12年度新奨励品種「めんこい な」についても同様に判別を行った. 【結果と考察】 1)5種のRAPDマーカーがSTS化され単一バンドとして増幅された2) 2)「ひとめぼれ」,および新奨励品種「めんこいな」についても判別可能となった. 3)判別フラグメントがそれぞれ単一のPCRバンドとして得られることにより 「あきたこまち」と他の秋田県産奨励品種とのより明確な判別が可能となった. 4)STS−PCRではアニーリング温度を高く(57℃)設定できるため,RA PD(37℃)より冷却・加熱にかかるPCRサイクル時間を短縮できた. 5)「あきたこまち」1粒DNA鑑定技術をJA秋田経済連に技術移転を行い,現 在,DNA鑑定マーク付きのパッケージで出荷・販売されている. 【参考文献】 1)小笠原博信:ジャパンフードサイエンス,37,(8),27−32(1998) 2)小笠原博信・高橋砂織:日本食品科学工学会誌,47,(8),632−637(2000)

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