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博士(地球環境科学)松波成行

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Academic year: 2021

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博士(地球環境科学)松波成行      学位論文題名

Synthesis and Characterization of Poly      ( 4 ‑ethynylbenzo‑15‑crown‑5)as     Electroconductive Materials

( ポ1J(4 − エチ ニ ル ベ ンゾ −15一ク ラ ウ ン ―5)の

  合 成 、 構 造 お よ び 電 気 伝 導 性 に 関 す る 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の要 旨

  近年、 化石燃 料の消 費によ る大気汚 染や地 球温暖化など、環境の悪化が懸念されており、クリーン なエネ ルギー 源の開発 や効率 よいエ ネルギ ーの貯蔵や輸送などが要求されている。特に、工ネルギー の多く は電気 エネルギ ーに変 換され て使わ れるため、電気エネルギーの蓄電や送電などの改良は重要 な課題であり、様々な取り組みがなされている。材料科学から色々な機能性材料が検討され、例えば、

共役系 高分子 は導電性 素材と して注 目され ている。高分子は金属に比べて軽くてしなやかであり、ま た、用 途に応 じフィル ムや繊 維など に加工 することが可能である。従って、導電性高分子は太陽電池 や蓄電 池の電 極や電線 などの 伝導材 料、セ ンサーやオプトエレクト口二クスなどの機能性材料として 幅広い応用が見込まれている。

  置 換 ポ ルア セ チ レン である ポルフ ェニル アセチレ ン(PPA)は 共役系 高分子 の中で も溶媒に 対する 溶解性や空気安定性に優れてり、その伝導度は10.4 S/cmとポリアセチレンに比べて小さいが、ドーピ ングに より伝 導度が10桁以上 の増加を 示す。 従って、置換ポルアセチレンは適切な機能設計により高 い電気 伝導性 材料とし ての可 能性を 有して いる。そこで、ポリアセチレンの側鎖ヘカチオン捕捉能を 有する クラウ ンエーテ ルの導 入はド ーバン トであるカチオン種の安定化や、カチオン捕捉による静電 的 相 互 作 用 が 共 役 主 鎖 の 電 子 状 態 に 作 用 し 、 電 気 伝 導 へ 寄 与 す る こ と が 期 待 さ れ る 。   本研究の目的はクラウンェーテルを有する共役系高分子としてポル(ギ‐エチニルベンゾ・15‑クラウン ー5)(PEB15C5)を合成 し、ア ルカリ 金属カチ オン捕 捉と導 電性と の関係 を分子 構造お よび分 子運動 から明らかにすることである。本論文は以下の6章から構成されている。

第1章 は序論であり、本研究の背景および目的について述べた。

  第2章で はPEB15C5の 合成、 熱的性 質およ びその アルカ ル金属捕 捉能に ついて 検討さ れた。メタセ シス触媒であるMoClsやWCl6は4 ーエチニルベンゾ‑15―クラウン‐5の重合活性を示さなかったが、Rh 錯 体触 媒 は 高 分子 量 のPEB15C5を高 収 率で 与えた 。PEB15C5は ぐに対 して最 も高い錯 体形成 性能を 示し、アルカリ金属カチオンに対する選択性はK十冫Rb゛冫Cs゛〉Nr〉冫Li゛の順序であった。PEB15C5 を熱処 理する と、180℃ 付近で の発熱 反応と180℃前後 での構 造変化 が確認 された 。また、熱処理後 のPEB15C5の電気伝導度は熱処理前よりも低下した。

第3章 は 固 体NMR法 お よ び 半経 験 的 分 子軌 道 法 を 用い たPEB15C5お よ びPEB15C5の モ デル ポリマ

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ーで あ るPPAの 主鎖 構造 解析 であ る 。固 体IH NMR法に よ る直 接的IH‑IH間 の双 極子 相 互作用 解析か ら、180℃付近の発熱反応は*cis−trans異性化に起因し、熱処理前のPEB15C5の主鎖構造がcis‑transoidal 型、熱処理後は700‑(bnectedf珊かtransoi制型であることを明らかにした。異性化反応によるdenected r册かtransoi制型 への主鎖の構造変化は、主鎖 のプ口卜ンが重水素化されたポル(フェニルアセチレン 甜I)(PPA‐dl) を用いた HNMR解析における 重水素核の四重極相互作用 と分子鎖の内部回転角との 理 論 的 関 係 か ら も 確 証 さ れ た 。 異 性 化 に よ るPEB15C5お よ びPPAの 固 体高 分解 能13CCP′MASNMR スベクトルの変化 はポリ(アセチレン)のcis型からtrans型へ異性化する ことによる低磁場シフトと 異なり、主鎖シグ ナルの高磁場シフトが観測さ れた。半経験的分子軌道法(」`Ml)より、この高磁場 シフ卜は共役系主 鎖へのフェニル基の導入が主 鎖の電子密度を増加させることに起因していた。dざ‐

transoi制型からden鰍edf珊1ざ−t珊msoi制型への熱異性化は、UVスベクトルでは主鎖に起因する冗一兀*遷 移の低波長シフトとして観測され、実効共役鎖長の減少を示していた。

  第4章 で は 、IHNMRと1℃CP′MASNMR法 に よ るPEB15C5の 主 鎖 と 側 鎖 の 分 子 運 動 様 式 の 解 明 と 熱異 性 化の 影響 が検 討さ れ た。lHNMRの 線幅 の温 度測 定 とそ の二 次能率解析から、軸まわり の側鎖 束縛 運 動( ア) と主 鎖の 運 動` (ロ 、a)が決定された。CP/MAS法による固体高分解能13CNMRスベ クトルでは、1℃磁 化の接触時間依存性から得 られる各13C部位の回転系の 交差緩和時間1Hとスピン・

格子緩和時間TI。 (めの温度依存性から、主に 主鎖の振動回転のp狭化過程が微視的な1℃部位の緩和機 構から考察され、denectedf′弸J.transoi制型の分子運動はds―t瑚msoi制型に比べより低温で起きること が確かめられた。 この運動性の違いは、固相中 における主鎖の回転に対す るパッキングの自由空間が 反映されていた。

  第5章 で はPEB15C5と アル カリ 金属 カ チオ ンと の錯体構造の 決定、および錯体形成の電 気伝導度ヘ 与 える 効果 につ い て検 討が 行わ れた 。UV分 光法 およ び13C CP/MAS NMR法 よ り錯 体形 成は 主鎖 の 共 役鎖長 と側鎖および主鎖の電子密 度の増加を誘起することが示 された。電子密度の増加は 側鎖の極性 共鳴構 造によるエーテル部位から フェニル基および共役主鎖へ の電子供与に起因していた 。最も高い 捕 捉能 を示 すK゛と 錯形 成したPEB15C5(PEB15C5/KI)はヨウ素 ドーピングにより5桁以上の 電気伝導度 の増加 が見られ、かつアルカリ金 属カチオンと錯形成した試料 の中で最大の電気伝導度を 示した。ま た 、PEB15C5/KIの 伝導 度はPEB15C5に比 ベ約100倍ほど大きい 値であった。PEB15C5‑KIの 元素分析、

固 体IH NMRの二 次 能率 解析 、お よび 固 体高 分解 能13C CP/MAS NMRス ベク 卜 ルに よる 緩和 時間 の 温 度依存性から 、K゛は側鎖の隣接するクラ ウンェーテル2分子に捕捉さ れる2:1錯体を形成しており、側 鎖の分 子運動をより束縛し主鎖の 共役平面性の増加に寄与して いることが確認された。以 上のことか ら、K゛の錯 形成による伝導度の増加は2:1錯体形成による主鎖の電子密度の増加に起因しており、主鎖 型電子伝導に 重要な役割をしていること が示された.

第6章は総括であり、本研究で得 られた結果と電気伝導材料への適用についてまとめた。

これらの成果はクラ ウンエーテルの活用が共役高 分子の機能性の向上に有用 であることを示し、導電 性 の み な ら ず 非 線 形 光 学 特 性 な ど の 機 能 物 性 に 対 し て 応 用 が 広 が る こ と が 期 待 で き る 。

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学位論文審査の要旨

     学位論文題.名

Synthesis and Characterization of Poly      ( 4 ‑ethynylbenzo‑15‑crown‑5)as     Electroconductive Materials

( ポ リ (4 − エ チ ニ ル ベ ン ゾ ―15― クラ ウン ―5)の   合 成 、 構 造 お よ び 電 気 伝 導 性 に 関 す る 研 究 )

  近年、化石燃料の消費による 大気汚染や地球温暖化など、環境の悪化が懸念されており、クリ ー ンなエネルギー源の開発や効 率よいエネルギーの貯蔵や輸送などが要求されている。特に、エ ネ ルギーの多くは電気エネルギ ーに変換されて使われるため、電気エネルギーの蓄電や送電など の 改良は重要な課題であり、様 々な取り組みがなきれている。材料科学から色々な機能性材料が 検 討され、例えば、共役系高分 子は導電性素材として注目されている。高分子は金属に比べて軽 く てしなやかであり、また、用 途に応じフイルムや繊維などに加工することが可能である。従っ て 、導電性高分子は太陽電池や 蓄電池の電極や電線などの伝導材料、センサーやオプトエレクト ロ ニクスなどの機能性材料とし て幅広い応用が見込まれて いる。

  置 換ポ リア セチ レン で ある ポリ フウ ニ ルア セチ レン(PPA)は 共役 系 高分 子の 巾でも溶 媒に 対 する溶解性や空気安定性に優 れてり、その伝導度はポリアセチレンに比べて小さいが、ドーピ ン グ によ り伝導度が10桁以上の増 加を示す。従って、置換ポ リアセチレンは適切な機能設 計に よ り高い電気伝導性材料として の可能性を有している。そこで、ポリアセチレンの側鎖ヘカチオ ン 捕捉能を有するクラウンエー テルの導入はドーパントであるカチオン種の安定化や、カチオン 捕 捉による静電的相互作JT亅が共役主鎖の電子状態に作用し、電気伝導ヘ寄与することが期待され る 。

  本研究の目的はクラウンエー テルを有する共役系高分子 としてポリ(4―エチニルベンゾ‑15− ク ラ ウン‑5)(PEB15C5) を合 成し 、ア ル カリ 金属 カチ オン 捕捉と導電性との関係を分子 構造 お よ び分 子運 動か ら明 ら かに する こと で ある 。本 論文 は以 下の6章から構成されている 。第1 章 は 序論 であ り、 本研 究 の背 景お よび目的について述ぺられ ている。第2章ではRh錯体触 媒が PEB.15C5の合 成に 有効 で ある こと を見 い だし た。PEB15C5のア ルカ リ 金属 カチ オンに対 する 選 択 性はK゛>Rb゛ 冫Cs゛>Na゛ 〉 〉Li゛の順序であった。PEB15C5を熱処理すると、180℃ 付近 で の 発 熱 反 応 と180℃ 前 後 で の 構 造 変 化 が 確 認 さ れ た 。 第3章 で は 固 体NMR法 を 用 い た

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則 清

豊 信

   

   

倉 知

西 戸

覚 坂

授 授

授 授

   

   

教 教

教 教

助 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

PEB15C5のi$lii構 造 の解 析か ら180℃ 付近 の発 熱 反応 はcis―trans異 性化 に起 囚し、熱処理 前 のPEB15C5の 主 鎖 構 造 がcisーtr ansoidal型 、 熱 処 理 後 は70。 ―deflected transー transoidal型 であ る こと を明 らか に した 。半 経験 的分 子軌道法より、cisからtransへ異性化 する ことによる 主鎖シグナルの高磁場シフ トは共役系主鎖へのフウニル 基の導入による主鎖の 電子 密度 の増 加に 起 因す るこ とを 明 らか にし た。 第4章で は1H NMRの 線幅 の温 度測定とその 二 次 能 率 解 析 か ら 、PEB15C5の 軸 ま わ りの 側鎖 束 縛運 動と 主鎖 の運 動 を決 定し た。CP/MAS 法に よる 固体 高分 解 能13CNMRスペ ク トル から 、deflected trans−transoidal型の分子運動 はcis―transoidal型に比ぺ より低温で起きることが確 かめられた。この運動性の違いは固相中 における主鎖の回転に対す るパッキングの自由空間の相 違に起因することを明らかにした。第5 章 で はK゛ と 錯 形成 し たPEB15C5(PEB15C5/KI)の電 気伝 導度 が ヨウ 素ド ーピ ン グに より5桁 以 上 増 加 し 、 ま た 、PEB15C5/KIの 伝 導 度 はPEB15;C5に 比べ 約100倍 ほ ど大 きぃ 値で ある こ と を 見 山 し た 。UV分 光 法 お よ び13CCP/MAS NMR法 よ りPEB15C5の 錯 体 形 成 は 主 鎖 の 共 役 鎖長 と側 鎖お よび 主 鎖の 電子 密度の増加を 誘起することを明らかにし た。PEB15C5ーKIの元素 分 析 、 固 体1H NMRの 二 次 能 率 解 析 、 お よ び 固 体 高 分 解 能13CCP/MAS NMRス ペ ク ト ル に よ る緩和時間の温度依存性か ら、K゛は側鎖の隣接する2つ のクラウンエーテル環に捕捉される2:1 錯体を形成しており、側鎖の分子運動をより束縛し主鎖の共役平面性の増カIlに寄与していること が確認された。以上のこと から、K゛の錯形成による伝 導度の増加は2:1錯体形成による主鎖の 電子密度の増加に起囚して おり、主鎖型電子伝導に重要な役割をしていることを明らかにした,

  第6章 は総 括で あり 、本 研 究で 得ら れた 結果 と 電気 伝導 材料 へ の適 用に つい てまとめた。

    このように 本論文は導電性高分子の分 野に大きく貢献するものと考 えられる。審査員一同 は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑚や単位取得なども併せ申請者が博士(地 球 環 境 科 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

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参照

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