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植村佑介 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成23年3月

植村佑介 学位論文審査要旨

主 査 中 込 和 幸 副主査 渡 辺 高 志 同 中 島 健 二

主論文

Mild parkinsonian signs in a community-dwelling elderly population sample in Japan

(日本の地域在住高齢者における軽度パーキンソン徴候)

(著者:植村佑介、和田健二、中下聡子、中島健二)

平成23年 Journal of the Neurological Sciences 掲載予定

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学 位 論 文 要 旨

Mild parkinsonian signs in a community-dwelling elderly population sample in Japan

(日本の地域在住高齢者における軽度パーキンソン徴候)

軽度パーキンソン徴候(mild parkinsonian signs: MPS)は、パーキンソン病

(Parkinson’s disease: PD)やアルツハイマー病など神経変性疾患の前駆段階である可 能性が示唆され、注目されてきている。欧米からは有病率についての報告があるが、本邦 での調査は行われていない。また、MPSの定義は操作的であり、臨床的意義については明ら かにされていない。本研究では、地域におけるMPSの有病率について悉皆調査を行った。さ らに、自覚的うつについてのアンケート調査やアクチグラフィーを用いた活動量測定を行 って、MPSの臨床的意義や、スクリーニング方法についても検討を行った。

方 法

島根県海士町(人口2,427名)内の60歳以上の住民1,129名(74.6±9.1歳、男性479名)

を対象とした。幻覚の有無、嗅覚障害の有無、便秘や立ちくらみといった自律神経症状の 有無についての質問に加えて、自覚的うつを診断するための老年うつスコア(Gediatric depression score: GDS)、運動障害をスクリーニングするためのTannerの質問票、睡眠障 害を評価するためのピッツバーグの質問票(Pittsburgh sleep quality index: PSQI)と レム睡眠行動異常症スクリーニングを用いてアンケート調査を行った。神経内科専門医が 海士町に訪問し、神経学的診察を行ってUnified Parkinson’s disease rating scale

(UPDRS)を計測した。Louisらの提唱している診断基準を用い、UPDRS運動スコアの1点が2 つ以上ある場合、2点が1つ以上ある場合、振戦が1点以上ある場合をMPSと診断した。さら に、運動スコアの2点が1つ以上あるいは振戦が1点以上ある場合はMPS-severe、それ以外は MPS-mildとして、MPSを重症度で2群に分類した。また、振戦、筋強剛、無動症状のうち、

どの症状が主体かということで症状別の分類も行った。同意が得られた住民265名(74.2

±7.9歳、男性121名)に対しては、アクチグラフィーを用いて活動量の評価を行った。PD、

MPSについて、60歳以上の日本人口(2009年5月)を基準とした訂正有病率を算出した。

結 果

アンケートは968名から返送された(回収率85.7%)。神経診察は804名(受診率71.2%)

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に行い、MPSは178名(粗有病率22.1%、訂正有病率13.8%)に認められた。PDと診断され たのは14名で、65歳以上の住民における粗有病率は1.5%であった。活動量は、MPSの症状 で検討した場合、振戦や筋強剛の有無では有意な影響なく、無動症状の有無に最も影響さ れていた。重症度で検討した場合、MPS-mild群は健常対照群と活動量に差がなく、

MPS-severe群では対照群やMPS-mild群よりも総活動量が有意に低下していた。GDSを用いた 診断で、対照群に比べて、MPS-mild群では軽症うつが、MPS-severe群では重症うつが有意 に多かった。ロジスティック回帰分析の結果、MPS-severe群のスクリーニングには、自覚 的うつの存在とアクチグラフィーで測定した活動量低下の組み合わせが有用で、感度は 100%であった。

考 察

MPSの有病率は粗有病率が22.1%、訂正有病率が13.8%であり、海外の既報告と概ね一致 した結果が得られた。MPSの定義は操作的であり、健常高齢者との鑑別が問題となっている。

今回計測した活動量は無動症状の有無を反映している可能性が示唆された。MPS-mild群は 健常対照群と活動量に差がなく、MPS-severe群は健常対照群、MPS-mild群に比較して活動 量が低かったことから、MPSの定義として、UPDRSで2点の項目があることが重要と考えた。

MPSの重症度とうつの重症度に関連が認められたこと、MPS-severeのスクリーニングに自覚 的うつと活動量低下が有用であったことから、MPSとうつには相関関係があることが推察さ れた。MPSの臨床的意義を明らかにするために、今後MPSについての縦断研究が必要である。

結 論

地域に在住する60歳以上の高齢者におけるMPSの粗有病率は22.1%であった。MPS-severe のスクリーニングには自覚的うつの評価と、アクチグラフィーを用いた活動量測定が有用 であった。

参照

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