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鈴木さゆり 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成25年1月

鈴木さゆり 学位論文審査要旨

主 査 難 波 栄 二 副主査 山 本 一 博

同 久 留 一 郎

主論文

Stabilization of Kv1.5 channel protein by bepridil through its action as a chemical chaperone

(化学シャペロン作用によるベプリジルのKv1.5チャネルタンパク安定化)

(著者:鈴木さゆり、倉田康孝、李佩俐、野津智美、長谷川輝、池田信人、加藤克、

三明淳一朗、坂田晋史、汐田剛史、吉田明雄、二宮治明、檜垣克美、山本一博、

白吉安昭、久留一郎)

平成24年 European Journal of Pharmacology 696巻 28頁~34頁

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学 位 論 文 要 旨

Stabilization of Kv1.5 channel protein by bepridil through its action as a chemical chaperone

(化学シャペロン作用によるベプリジルのKv1.5チャネルタンパク安定化)

電位依存性Kチャネルファミリーに属するKv1.5は心房筋に強い活性を有するIKurを形成 して活動電位の再分極に重要な役割を演じ、抗不整脈薬の標的分子として臨床的に極めて 重要なイオンチャネルである。持続性心房細動ではタンパク分解により心房筋でのKv1.5 チャネルタンパクが不安定となり減少するために電気的リモデリングが発生する。冠拡張 作用を有するCa拮抗薬であるベプリジルは、種々のイオンチャネルに作用し心室頻拍や持 続性心房細動に有効である。近年、臨床的にベプリジルは電気的リモデリングを抑制する ことが明らかになった。そこで本研究では心房筋の電気的リモデリングの原因であるKv1.5 チャネルタンパクの安定性に対するベプリジルの効果を検討した。

方 法

C末端にFLAGを持つKv1.5チャネルのcDNAを発現ベクターに組み込み、このベクターを COS7細胞に導入した。この細胞に対し用量依存的に(0.3~30μM)ベプリジルを作用させ た後に、細胞内のKv1.5チャネルタンパク発現量を抗FLAG抗体によるウエスタンブロット法 により検出した。つぎに、タンパク合成阻害剤を添加したのちに、このタンパクの分解過 程を検討した。また小胞体、ゴルジ体、細胞膜のマーカーと共発現させて、共焦点レーザ ー顕微鏡を用いて細胞内局在を検討した。同時に、分画実験による局在も検討した。さら にプロテアソーム活性の影響を検討した。最後にKv1.5チャネル阻害薬を用い、化学シャペ ロン作用の検討を行った。

結 果

COS7細胞にKv1.5を発現させ、0.3~30μMの濃度のベプリジルを12時間作用させると、濃 度依存的にKv1.5タンパク量が増加した。プロテアソーム阻害薬であるMG132によっても同 様のKv1.5タンパクの増加が起こることを確認し、ベプリジルによるKv1.5増加はタンパク 分解抑制によることを明らかにした。Kv1.5のシグナルはゴルジ体、小胞体ならびに細胞膜 に局在しており、いずれの部位のシグナルもベプリジルにより増加した。またベプリジル

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3 はKv1.5で制御されるIKur電流を増加させた。

ベプリジルは10μMでは20Sプロテアソームに影響せず、100μMという高濃度で抑制する ことから、ベプリジルの作用はKv1.5タンパクを直接安定化する化学シャペロンの可能性が 推測された。化学シャペロンはタンパク阻害と関係する。そこで、まずIKur電流の阻害薬 である4APが用量依存的(10~1000μM)にKv1.5タンパクを増加させることを確認した。ベ プリジルのKv1.5タンパクの安定化は100μMの4APで阻害されることが明らかとなり、化学 シャペロンの可能性が示された。

考 察

本研究では、ベプリジルはCOS7細胞におけるKv1.5チャネルタンパクの発現を濃度依存的 に増加させた。ベプリジルは、プロテアソーム阻害薬であるMG132と同様に、タンパクの分 解速度が著しく遅延したことから、Kv1.5タンパクを安定化することが判明した。免疫染色 法により、Kv1.5チャネルはゴルジ体ならびに小胞体にシグナルが局在していた。さらに、

細胞内でのKv1.5の動態はベプリジルの投与によりシグナルの増加がみられた。ベプリジル はKv1.5の分解を抑制し、小胞体、ゴルジ体でのKv1.5タンパクを増加させ、最終的に細胞 膜でのKv1.5タンパク及びIKur電流を増加する作用があると考えられた。Kv1.5タンパクは 小胞体で折りたたまれ、多量体を形成した後にゴルジ体を経て細胞膜に輸送されイオンチ ャネルとして働き、IKur電流を発生させる。小胞体での折りたたみや多量体の形成に支障 をきたすと、細胞質へ逆輸送され、ポリユビチキン化を受けた後にプロテアソームにより 分解される。しかし、本研究ではベプリジルによるプロテアソーム抑制作用は、100μMと いう高濃度が必要であり、ベプリジルのKv1.5タンパクの安定化は、プロテアソーム阻害と は独立した作用であることを解明した。ベプリジルのKv1.5チャネル安定作用はその阻害薬 である4アミノピリジンにより減弱することから本薬剤は化学シャペロン作用によりKv1.5 チャネルタンパクを安定化する。本研究から、ベプリジルによるKv1.5増加作用は薬剤抵抗 性心房細動の治療に有望であることが期待される。

結 論

ベプリジルはその化学シャペロン効果によって小胞体におけるkv1.5チャネルタンパク を安定化させることによって、最終的に細胞膜におけるタンパクの安定化に重要であると 考えられる。

参照

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