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武田賢一 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成20年2月

武田賢一 学位論文審査要旨

主 査 村 脇 義 和 副主査 渡 邊 達 生 同 清 水 英 治

主論文

Sequential treatment with SN-38 followed by 5-fluorouracil (5-FU) shows synergistic cytotoxic activity in small cell lung cancer cells

(小細胞肺癌細胞株に対するSN-38と5-fluorouracil (5-FU)逐次併用による相乗効果)

(著者:武田賢一、陶山久司、井岸正、重岡靖、松本慎吾、山崎章、橋本潔、澄川崇、

森田正人、上田康仁、清水英治)

平成20年 Oncology Reports 掲載予定

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学 位 論 文 要 旨

Sequential treatment with SN-38 followed by 5-fluorouracil (5-FU) shows synergistic cytotoxic activity in small cell lung cancer cells

(小細胞肺癌細胞株に対するSN-38と5-fluorouracil (5-FU)逐次併用による相乗効果)

進展型小細胞肺癌患者の標準的治療としてcisplatinを含む併用療法は高い奏効率を示 すものの生存への寄与は不十分であり新しい治療法の開発が望まれている。vinorelbine と5-fluorouracil (5-FU)の併用はthymidylate synthase (TS)抑制により非小細胞肺癌に 対して相乗的な抗腫瘍効果を示すことが明らかにされている。現在、5-FUとその分解酵素 であるdihydropyrimidine dehydrogenase (DPD)阻害剤との合剤であるUFTやS-1は非小細胞 肺癌の有効な薬剤として頻用されているが、小細胞肺癌に対しては無効とされている。5-FU の小細胞肺癌への臨床応用を目的として、各種の抗癌剤との併用効果をTS抑制の面から検 討した。

方 法

小細胞肺癌細胞株はH69、H209、87-5、Lu139、Lu135を用いた。小細胞肺癌の標準的治療 薬cisplatin、etoposide、irinotecan(活性型;SN-38)、amrubicinと5-FUとの併用効果 をMTT assayで検討した。5-FUと標準的治療薬との同時併用(72時間)、標準的治療薬(24 時間) → 5-FU(72時間)、5-FU(72時間) → 標準的治療薬(24時間)の3通りの処理方 法を検討し、併用効果はIsobologram法を用いて解析した。細胞周期とアポトーシスの評価 はフローサイトメトリーで、癌細胞のTS蛋白の発現量はウェスタンブロット法により行っ た。

結 果 と 考 察

H69細胞をSN-38で処理後に5-FU処理した場合にのみ相乗的な抗腫瘍効果を認めた。細胞 周期の検討では、SN-38前処理後に5-FUで逐次処理したときにsubG1期の細胞が増加してお りアポトーシスの増強が示唆された。他の小細胞肺癌細胞株(H209、87-5、Lu139、Lu135)

を同様に処理したところ、5株中4株で相乗効果を認めた。次に、相乗効果の機序を明らか にする目的で5-FUの感受性に重要な役割をもつTS蛋白発現への抗癌剤の影響を検討した。

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H69細胞では5 μMの5-FUで24時間処理するとTS蛋白は増加した。一方、1 nMのSN-38で24時 間処理するとTS蛋白の発現は抑制され、その効果は少なくとも72時間持続した。SN-38前処 理後に5-FU処理を行うと、5-FU単独処理で認められたTS蛋白増加は抑制された。以上から 小細胞肺癌細胞株においてSN-38と5-FUの逐次併用で認められる相乗効果の機序はSN-38前 処理によるTS蛋白の増加抑制であると考えられた。最後に、経口fluoropyrimidineである UFTやS-1で使用されているDPD阻害剤(uracil、5-chloro-2,4-hydroxypyridine)を用いて 5-FU単独処理とDPD阻害剤併用処理の比較を行った。H69細胞を5-FUとDPD阻害剤で併用処理 すると5-FU単独処理と比較してより強い増殖抑制効果を認めた。

本研究では5-FUと標準的治療薬の小細胞肺癌細胞株に対する併用効果を検討した。5-FU は小細胞肺癌細胞5株中4株に対してSN-38との逐次併用を行うことにより相乗的な抗腫瘍 効果を示した。その機序はSN-38処理によりTS蛋白の増加抑制が起こり5-FUの感受性を高め たためと考えられた。大腸癌細胞株でも同様の相乗効果を示すことがすでに報告されてい る。進行大腸癌に対してirinotecanと5-FUの併用療法が臨床応用されており標準的治療法 の一つとして確立されている。肺癌についてはfluoropyrimidine系抗癌剤であるUFTやS-1 が非小細胞肺癌患者の術後補助化学療法などに臨床応用されているが、小細胞肺癌には使 用されていない。本研究の結果から小細胞肺癌患者においてirinotecan先行投与後に fluoropyrimidineを併用することにより高い抗腫瘍効果が得られる可能性が示唆された。

結 語

SN-38と5-FUの逐次併用は小細胞肺癌細胞株に対して相乗効果を示した。本研究結果から 小細胞肺癌患者に対してirinotecan先行投与後にfluoropyrimidine系抗癌剤を逐次併用す る新しい併用療法開発が期待される。

参照

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