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てんかん児の知能障害

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Academic year: 2021

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(1)て. か. ん. ん 児の. 小. 村. Intellectual. 知能障害 欣. Disorders. 司 of. Epileptics. By. Kinji. KoMURA*. 序. 請. 多くのてんかん患者ほ,てんかん自体が軽度でも乏しい記憶を嘆いているし43),てんかん の発作が長期化すれば,知能に悪影響を及ぼすのではないかという疑念も懐いている。そ こで,知能とその維持がてんかん患者の最も重要な課題の1つとなる。今日までてんかん に苦しんだ者ほ数多くいるが,そうした中にほ知的に優れ,死して後世に名を残した人も いるo. モ-メット(宗教家),ソクラテス(哲学者),シーザー(政治家),ドフトニフスキ. ー(小説家),バイロン(詩人),ナポレオン(軍人),ベル1)オーズ(音楽家)など各界 において,個人の持てる資質を充分に発揮した人たちで,例外的な存在であろうか。 一般に,てんかんの発作それ自体ほ,抗てんかん剤によって抑制可能なことが多いが, てんかんに伴う知能障害を抑制する薬剤はなく,また,てんかんの発作それ自体よりも, 合併する知能障害,性格変化,行動異常などの問題で家庭や学校等社会的な場において, 悲惨な事故を起こすことがあり,それがしばしば問題となり,特に知能に関しては多くの 人の関心をよんでいる。そこで,発作間軟時にみられる知能障害の現状を文献によって検 討し,てんかん児指導の一助にしたいo Ⅱ. 非てんかん児と知能障害. 知能の発達ほ,古くから遺伝と環境の要因が指摘されてきたが,現段階でほ,極端な生 得説や経験説の立場をとるものほ少ない。知能は現在でほ,. WISC. やビネーなどの知能. 検査具を用い,その測定結果を,知能指数100からの隔たりによって,個人の知能とし, 知能指数が低い捻ど異常な知能とみなされているo知能低下を導く要因の多くほ脳損傷に よるものであるが,障害児の知能は個人の障害が原因となって発達が阻害されているもの だろうか。障害別に概観してみる。 1)視覚障害51) *. 弓寺殊教育教室(Dept.. of. Special. Education).

(2) 1 28. 村. (ト. 政. 司. 視覚障害児の知能指数は,育児で平均96から103の範囲にあるとみてよい。その分布状 況ほ中央の頻度が少なく,優と劣の両端の人数が多い。しかも,劣,最劣の比率は普通児 よりかなり多い。それほ採点で半解答が正答に比べて著しく多いことによる。弱視児の平 均知能指数では,正眼児と同じだが,動作性検査では平均指数86.7で正眼児よりやや低く なっているo以上の点を考慮すると,視覚の障害は知能に影響するものと思われる。 2)聴覚障害 聾難聴者の知能は,. Myklebust,. H・. R・. (1964)によると,聾児の平均知能指数が39人. を対象として94・7,難聴者の平均知能指数が36人を対象として97.3で,難聴者の方がやや よいが,いずれも普通児よりやや低い.しかし,動作性検査では,普通児とに差が経とん どみられないと中野51'(1973)は述べている。聴力障害は重度である場合知能への影響が あるものと考えられる。. 3)肢体不自由児 肢体不自由児の知能についてほ,中野1'(1973)によると,非脳損傷性肢体不自由児に ついての問題は認められないが,脳性まひのような脳損傷性肢体不自由児では,知能障害 が比較的多く見出され,非脳損傷児では平均知能指数94.3-104.4であり,脳性まひでは 平均知能指数61.7-90・4ぐらいの範囲に分布している51)とみてよい。 4)精神薄弱児 精神薄弱児にWISC知能検査を実施したStacey,. C. L., Sloan,. W.,. Vanderhost,. L.. および狩野広之の調査結果から,言語性知能指数の平均は56. 6-70. 25,動作性知能指数の 平均は61・1-73・2の範囲にあり, 4氏とも動作性知能指数が言語性知能指数より高かった と報告していることからこのような指数をとるものと思われるが,中川25). (1974)による と,より軽度の精薄児である特殊学級児の知能指数ほ57,より重度の精薄児である養護学 校児のそれは44であったという。また,. Thompson,C.. W.とMargaret,. A.の行なった. スタンフォード・ビネ一法検査の結果から,普通児より精神薄弱児に優位の課題があり, 伊藤52)は検討の結果精神薄弱児ほ言語を用いる問寝で劣り,また対面的方法をとるテスト 場面での成績が悪いと推定されると述べている。 5)病. 弱. 児. 病弱児でほ教育が不十分になるために学習が障害される可能性があり,一般の健康児よ り多少低くても当然であろうが, Kaushik23)がKaravation 読-12歳). Saran児童病院の子供(6. 200名に対して行なった知能検査では平均知能指数は99.2で,健康児と遜色な. い値が得られている.同じ病弱児でも進行性筋ジストロフィーのような行動障害が増悪す る病気でほ知能低下がある。. Ⅲ. 1. てんかん児の知的能力. 1)全般的な知能. てんかん児と知能障害.

(3) 129. てんかん児の知能障害 表1. てんかん老の知能指数 Q. 118 110. 63. H.,. 一般人ロの成績(%). 127. 1.9. 2.1. ・-. 126. 2.9. 6.72. -. 117. 8.7. 109. 32. 6. 50. 0. 16. 13. ・-. 90. 19.9. 16. 13. ・一. 78. 19.4. 6.72. <. 62. 14.6. 2.2. 100. 0. 99. 91. 合. 計. 1971). WISCによる. >. 91一79. Jてんかん(%). (Gebelt.. 一般の人の知能分布に対するてんかん患者の分布状況について206名(14歳-19歳の小 (1971)の論文に基づいて,中川1)は知能指 児神経外来患者)を対象に調査したGebelt 数78以下のてんかん児は34%で,一般人ロの知能指数78以下の精神薄弱児8.. 92%に対して. 3.8倍もの知能障害が現われているし,知能曲線全体が低い方に移動して分布していると いう.知能低下の傾向ほ,同じ青年期を対象としても,外来患者か施設患者か,また成人 か子供かによっても異なるようである。 Tarter15) (1972)ほ17名の研究者の結果を蓑に まとめている。それによると,成人では施設老の平均知能指数が78.0,外来患者のそれが 95.4,それに対して子供ではそれぞれ69.1と89.3であった。子供の方が大人より,また施. 設患者の方が外来患者より重度の精神遅滞がある。 知能の低い暑が多い債向は,. Keith3)ら(1955)についてもいえるo彼らは296名のてん. かん患者を調査し,普通又はそれ以上の者48.0%,下知14.5%,明らかな知能障害を有す る者37.5%という結果を得ている。年齢の高い子供についてのこの償向が幼少児について も指摘できるものであろうか。 鴇田ら4) (1955)ほ,幼少児てんかん143名を調査し,その45%(64名)に知能低下を認めて いる。大田原5). (1962)も生後3カ月から15歳までを対象に進行性脳病変が原因となる症例 Q90以上),下知(Ⅰ. を除いた427名を,普通又ほ上知(I 以下)の3群に分けて検討した結果, そして27%. 57%. Q76-89),知能障害(IQ75. (243名)が普通以上,. (115名)に知能障害がみられた。松本ら7). 16%. (69名)が下知,. (1976)も精神科外来を最低6カ月. 以上の長期間通院した幼稚園児から高校生までの70名を対象にしたものについて南棟の債 向が得られている。彼らは,知能指数を教師の判断にゆだねているが,おおむね知能指数 75以下と査定されたものほ30%. (幼稚園28.6%,小学低学年35.3%,小学高学年41.2%,. 中学27.8%,高校9.1%)であったという。しかし,. Collinsら6). (1947)の数値は異にし. ているように思う.彼らは主に通院患者で15歳以下の小児てんかんaOO】名について調査し たが,知能指数121以上の優秀知能が18.5%,知能指数71以下の知能欠陥が5%,知能指 Riikonen17) (1981)の場合は, 数100以上が56%に対して100以下が43.5%あったという。 1960年から10年間に生まれたもののうち乳児発作をもつ214名(男128名)紅ついて,. 3歳.

(4) か. 130. 表2. 村. 司. 欣. 3歳以後まで生きている129名の知能(Riikonen,. 知. 能. l. IQ. 常. 正 や. や. 68. 軽度精神遅. 滞. 52. 中度精. 滞. 36. 低 神遅. 重・貴重度精神遅滞. %. N. 85以上. い. 1982). 23. 12. 85. 20. 10.4. 一-. 67. 10. 5.2. ・-. 51. 54. 28. 85. 44.3. 192. 99.9. -. 36以下. 以後まで生きた192名の知能を表2のようにまとめている。この調査対象は入院患者であ ったことによるものと思われるが,中度,重度の比率が高い。 Collins の知能指数71以下が5%と少なく,優秀なものがかなりいることとRiikonen の77. 5%の知能欠陥を除桝i.,大方30%前後である。てんかん児の30%前後の範囲で知能 障害があると思われる。 2)知能構造 知能を構成している下位項目についてはどうであろうか。 (13歳-63歳までの男女,平均年齢24.. Collins48). (1951)は400名. 8歳)の知能検査を実施した結果,平均得点の優れ. ていた下位検査項目が,理解(ll.88),類似(ll.30),積木模様(ll.21),単語(ll.08) ゐであり,最も低い得点の下位項目ほ算数(9.66)と数唱(9.17)であった。. Tarter15). (1972)も数名の研究成果から同様の傾向が得られたとしているが,知能検査の下位境目 にてんかん児個有の知能構造が存在するかどうかにほ,さらに研究を要する。 3)特定障害の知能分布 (1)点頭てんかんについて. てんかんの病型の中でも特に知能障害が生じがちであると考えられている点頭てんか 蓑3. 発達状況. 知. (田村しのぶ他, 1982) 常. 0. 害. 2. 害 能 障 害 高度知能障害+身体障害. 5. 4. 歳以上まで観察し得た10名の就学状況で. 死. 亡. 3. は,普通学級1名,特殊学級1名,養護. 不. 明. 4. 学校3名,施設通園1名,施設入所2名,. 能 度. 軽. 知. 中 等度知 高 度 知. 合. 正. んについては,田村ら14) (1982)の調査 結果が参考になろう。田村らは, 11か月. 能. 障. 能障. 計. 3. 21. から15歳までのてんかん児21名の発達状. 況を調査した結果,知能正常例ほなく, 障害の重い方に片寄っている。また,. 5. 在宅2名となっており,いわゆる学校教 育の対象となるものは極めて少なかった。. なお,この調査中に死亡した3例は,いずれも1歳4か月, により死亡している.予後不良の病塑として指摘されようo (2)精神薄弱児について. 2歳,. 3歳2カ月の時,肺炎.

(5) てんかん児の知能障害. 131. 一般人口に対する精神薄弱児の出現率ほ8・92%前後1'と考えられているが,てんかん児 にみられる精神遅滞は, 2,378名の調査対象のうち410名, 17.2%であったと大田原27' (1982)は述べている。この出現率ほ全体の平均値であって発作塑別にほさらに暗がある ことも事実であるが,全体の分布状況ほ,山内9'(1980)によって知ることができる。山 内は精神薄弱児収容施設の児童83名のうちてんかんをもつ53名(61.45%)の知能分布を 調べたところ知能の重い者にてんかんが多くみられた。同様の傍向がOkumaら46'(1981) の調査でもいわれており,発作のあるものの割合は,知能欠陥のない着で35%,軽度知能 障害で59%,重度障害で64%の者にみられている。この傾向ほ同じ精神薄弱児を対象とし て教育している場の特殊学級と養護学校との問についてもいえる。 表4. 知能レベル別にみたてんかん児の分布. 軽. 度 >51. IQ. 中. 度. I Q36-50. 重. (山内和子他, 1980) 最. 度. 重. 度. 判定不能. ∫ Q21-35. 計. <20. IQ. 6. 10. 13. 19. 3. 51. (ll. 8). (19.6). (25.5). (37.3). (5. 9). (100.1). ( )内の数字は%を示す. 4)学業成績 3歳以後まで生きた192名の子供達の教育可能性を調査したRiikonen17). (1982)は, 普通学校において教育可能のもの22名11.46%,異常児のための学校を適当とされたもの 14名7・3%,訓練センターを適当とされたもの13名6.8%,残りは施設又は在宅児の123名 64・. 1%で教育可能性のないものと処置されている。この調査対象児ほ乳児けいれんを経験. した老で追跡期間中に調査対象児214名中42名19.. 6. %の者が伝染病等で死亡し,死体解剖. された32名中13名には脳の奇形がみられたという。入院中の重症児の多さが教育可能性の 数を減少させたもので,調査対象が代わると, (1951)は400名(男性178名, 表5. 人 上. 0. 中 の上 中 中 の下 下 不. 明. 門学校及び大学と普通の人の期待よりよかった. (浅木昭文, 1977). 数. Collins18). 13歳-63歳の着で平均年齢24.8歳)のうち,教育水準は全 体の4分の3が高校水準, 4分の1が短大,専. てんかん児の学業成績 ,. Co11insのような結果が得られる。. という。 Matthewsら24). (1983)紘,てんかん. %. 児集団15名(男性7名,. 0. 年齢9:95歳)と年齢,性,病気の長さ,発病年 齢の等しい15名の糖尿病児をコントロール群と. 3. 2.4. 59. 46.8. 37. 29.. して,家庭訪問し, 4. 9. 7.1. 18. 14.3. 8歳-12歳の者で平均. 3-4時間2人の調査者が. 88・4%一致した項目についてみたところ,知能. 水準ほ平均を示しながら,発作障害児の学業成 績は低かったし,積極性が減少していたという。. 126. 100. 0. 疾患に伴う二次的な障害,あるいほ精神的な影.

(6) 132. /ト. 欣. 村. 司. 響は避け得ないが, 126名の学業成績を調査した浅木8). (1977)の,. 「下+と評価された者. が7.1%で,全体的にやや低い傾向にあったことと符号するように思う。 学業成蹟は単に精神的要因,あるいはいわゆる環境要因によるばかりではなく,脳の生 Storesら45). 長段階や損傷状態によっても異なることを考慮する必要がある.. (1976)によ. ると,普通の小中学校通学児童・生徒100名(7歳-15歳)を対象に,学力の一部である 読書の正確さを評価した得点では,大発作群と非てんかん児群との間に有意差はなかった が,焦点性発作群ほ対照群より有意に悪く,焦点群の低能力は,左半球焦点スパイクの子 供に大いに依存し,男性が多かったのであるo Collinsを除き他の調査結果でほ,てんかん児群の成蹟ほ低く,特に長期間の入院児を 対象とした場合には成績が悪いとみてよい。 2. 発作頻度と知能障奮 発作問歌時障害の一つであるてんかん児の知能障害が発作の頻度により影響されるもの. と考え,知能水準と発作の頻度との関係を積極的に認める老と反対に認めない老とある。 1)全般的な傾向 EllenberglO). (1978)によると,熱性けいれんの数が増大したとき,それぞれの発作群. 〔発作数1の群のI Qは93.2. (SD13.6),発作. (SD14.0),発作数≧3の群のIQほ913. 数≧2の群のIQほ92.7 群〔IQ93.4. (SD13.9),発作数2の群のIQほ94.2. (SD12.9). -94.6. (SD14.2)〕と対照. (SD13.3)〕との間で平均知能の差が増大するような. 統計的な有意差はないし,また,臨床的にも放射線学的にも脳傷害を認められない17歳か ら59歳までのてんかん24名について調査したScottら(1967)ち,発作頻度と非言語性 知能指数との関係から頻度と知能とほ無関係と結論したと石川ら20)も述べている。 しかし,発作の有無だけでみても知能正常児群の35%,軽度知能障害児群の59%,重度 知能障害児群の64%に発作がみられた調査46)もあり,てんかん児200を1年間の発作頻数 によって5回まで(平均知能指数96.05),. 10-19回. 6-9回まで(平均知能指数94.90),. まで(平均知能指数93.25), 20回以上(平均知能指数89.2)の4群に分けて平均知能指数 を比較したKaushik23) (1982)も発作回数の多い子供ほど知能指数が低下しているとい うし,発作型別に発作頻度を定義した大田原5). (1962)の例でも,知能障害が時たま群に. 16%,たびたび群に25%,極めて頻繁の群に51%,認められたように発作原皮に比例して 表6. (大田原, 1968). 原因別発作頻度別知能障害出現率 原因別 総数. 発作頻度 稀. 発 発. 頻 非常に頻発 計. 特. 発. 103. 遅滞ある者. 性. 症. %. 候. 総数. 遅滞ある者. 性. 遺 %. 総数. 伝 遅滞ある者. 性 %. 6. 5. 8. 75. 25. 33. 3. 32. 3. 9.4. 54. 11. 20. 4. 49. 15. 30. 3. 11. 2. 18.2. 42. 23. 54. 8. 43. 23. 53. 6. 18. 7. 38. 9. 40. 20・11167. 63. 37・7I61. I199. 12. 19・7.

(7) てんかん児の知能障害. 133. 知能障害を示す懐向がみられ,ことに精神薄弱児に極めて繁度な暑が多い結果が得られて いるo小児てんかんの原因別調査30). (1968)でも,平均して特発性20%,症候性38%,逮. 伝性20%と症候性に多いが,表6から推定できるように発作頻度との関係をみると,原因 ほ何であれ,どれも発作が頻発するにつれ知能障害が高率にみられる。 (1901)の記載 一般に発作頻度が多い縁ど知能障害が多いという指摘は既にGowers12) したところであるが,発作頻度に比例して知能障害が発現しないこともあり,発作頻度が 少なくても著明な知能障害をきたす例もある。 こうしたことからTarter15). (1972)も述べているように,発作の頻度や発作の全数は. 知能にとって重要であるが,発作のひどさ托ど重大ではないと指摘することもできよう. 2)特定障害の債向 (1)精神薄弱児について てんかんの発作が知能に悪影響を及ぼすとすれば,類繋な発作がある者にほ,時たま発 作がある者よりもことさらに知的な弱さを助長させないよう留意しなければならないが, Waggonerら11). (1944)ほ精神薄弱を白痴,痴愚,軽愚,その他と分類し,それぞれの. けいれん発生を検討したところ,けいれん発生率が知能に影響を及ぼすことは認められな かったという。このことは発作そのものについて神経質になるには及ばないということを 示唆しているのである。. 3. 経年と知能障事 1)全般の僚向 年齢の変化とともに知能障害の現われ方に相違がみられるであろうか,この問題に関し. Fetterman16)(1934)紘, 46名のてんかん患者に対し, 12年後に再度ビネ-テストを施 行したが,知能の退化を示す有意差ほ示さなかったし, Falkら18) (1945)も85名の知能 て,. 障害を有するてんかん患者を10年間追跡したが,知能指数の進行性低下を示す材料ほ得ら れなかったというoこれらの論文は縦断的研究によるものであり,貴重な判断材料になるが, 横断的研究になるKaushikら23'(1982)は次のように述べている.てんかん児200名(男 性107名,. 6歳-12歳)のてんかん期間別知能指数からは,期間が長くなるにつれ,明ら. かに知能指数が低下している。加齢とともにてんかん発作に伴う二次的な脳障害によるこ ともあれば,適切な学習の場が得られず教育経験が乏しくなったためにおきた学力の低下 も含まれよう。てんかんの状態と本人や家族の,てんかんに対する受止め方いかんによっ 蓑7 疾. 疾病期間別平均知能指数 病. 期. 間. 症例数. (Eaushik, 平均IQ. 1982) sD. 6カ月以下. 23. 99.82. 9.6. 6カ月-1年6カ月. 76. 96. 12. 6. 15. 1年6カ月-3年 3年以上. 71. 92. 62. 8. 78. 30. 89. 23. 12. 26.

(8) 小. 134. 村. 欣. 司. てをま後年知能検査の結果旺大きな変化がみられるほずであるo 2)特定てんかんをこちいて (1). ミオクロニー. 関ら53'(1981)ほ,ミオクロニー発作老20名について3-14年間の経過観察を行ない, 知能・発達障害の有無につき検討した。症例数が少なく,健向を予言することほ困難であ るが,ミオクロニー発作のみの経過をたどった老の知能は正常であったが,点頚てんかん ーミオクロニー発作±他の発作型の老でほ全例境界あるいは遅滞していた。従って,病型 により経年に伴う知能障害に相違がみられるものと思われる。 4. 初発発作時年齢と知能障書 1)初発発作時年齢. てんかんの初発発作時年齢が知能に影響を及ぼすのではないかという疑念に閲した調査 で, Tarterl与'(1972)ほ数編の文献から,「初発発作が低年齢ほど障害ほ大きく,初発発作時 年齢が高齢になるにつれ知能指数の増加が示されている。. 4歳の誕生日以前にてんかんを 負うた人の平均知能指数ほ87であった。最初の発作が9歳から35歳の間に起こった人の平. 均知能指数ほ92であった。10歳以後に初先発作をみた人の平均知能指数ほ98であった+こと 辛,. Lennox,. W・ら(1960)の「10歳以前の総てのてんかん者の知能は12%悪化したが,. 50歳以後初めて発作におそわれた人ではたった6%悪化しただけであった+ということな どから,. 「病気の始まりの年齢は大方個人の最終知能水準を示す一因となる+と結論して. KatlShikら23) いるように,知能と初発発作時年齢との相関が肯定される. >3歳-6歳(同92.6), いても,初発発作を0歳-3歳(平均知能指数84.′2),. 9歳(同97・6),. (1982)につ >6歳-. >9歳-12歳(同99.8)の4集団に分け200名の児童(6歳-12歳)の. 平均知能指数を出したところ,明らかに5%水準で有意相関がみられたという。このよう な初発発作年齢による知能差を支持する文献に, Dikmen21'(1977),大EBL軒'(1962), 及びLennox (1960)などがある。 Dikmenは0歳-5歳の初発発作年齢集団22名と, 読-25歳の初先発作年齢集団22名に対し,. WAIS知能検査を課した結果,言語性知能指. 敬,動作性知能指数および全知能指数のいずれも後発年齢集団が5 指数を得ている。その平均知能指数ほ78.5. 10. (SD. %の有意差で高い知能. :14.10)と99.36. (SD. :17.22)であ. 427名(男性232名)の初診 った。また,大田原ほ初診時年齢であり初発年齢でほないが, 時年齢を0歳-5歳, 6歳-10歳, 11歳-15歳の3年齢辞に分軌各群で知能障害の占め る率を調査したところ,. 0歳-5歳児群で37%,. 6歳-10歳児群で18%,. 11歳-15歳児群. で19%に知能障害を有することが認められ,初診時年齢の特に小さい老に知能障害を示す ものの多い懐向がうかがえる。平井によるLennox (1960)ち, 「0歳-9歳のてんかん 児101名および10歳-19歳のてんかん児417名の知能を調べ,前者でほ知能障害の著明な暑 が12%,軽度な者が17%,合計29%の老に知能障害があり,後者でほそれぞれ10.5%, 形,合計33・5%に及ぶoそして20歳を過ぎると著明な知能障害を呈する老は6%-8%に すぎない+と報告している。. 23.

(9) てんかん児の知能障害. 135. しかし,明らかな脳器質障害を伴わない50名のうち,点頭てんかん及びその既往歴者を 除き出産時佼死を認めず,精神遅滞の先行がなく,. CT異常の見られなかった30名について,. 石川20) (1981)紘,初発発作時年齢と精神遅滞の有無を調べたが,統計学的に差が出てな. いというo石川の資料は本態性てんかんで軽度のものでほなかろうか.一般には上記の資 料からわかることであるが,後藤22) (1959)も述べているように,知能低下ほ,発病時年 齢が若い縁ど高率に発現しているといえようQ 2)原因別発病時年齢 初発年齢と知能との関係を推定原因,即ち,外国を有する辞,遺伝性と考えられる群, および原因不明群に大別してみたのが図1である。いずれの群でも初発時年齢の小さいも のほど知能障害の占める率が大きい。全体としては外因群の166名中63名38%,遺伝群の 61名中12名20%,不明群の199名中40名20割こ知能障害を認めている5).外国群の比率が 高いのは,外因群には脳損傷があるからで当然の結果といえよううが,病因の種類に拘ら ず初発時年齢の知能に及ぼす影響は大きいといえよう。. SymFtOTnaB. Age. ⅡereditaLri. :Re也rdeJ. atOTLSet -6rrL 6甘l-1y. CaBe!No. %. 23. 18 78. 23. ll. 48. yptoge由滋(jTolal Retarded. :RetzLZ・ded. CA肝. Tl. 6. aSe. No. 7 64. 20. ll. 2. 27. 14. No. 形. 33. % ,55 52. 1y∼.2y. 17. 8. 47. 1,1 ■1. 9 18. 4 22. 2-4. 29. 8. 28. ll. 9. 32. 5. 4-6. 19. 4 21. 6. 28. 1. 4・. 6-1B. 34. 4. 12. ll. 43. 3. 7. ■10-15. 13. 4 31. 5. 1. 5. liotStated Total. 9. 6. 67. 167 63. 38. 1. 1. 9. .22. 61. 12. 28. flI. 隠寒雲塁蚕雷67% 闘48% EL+1T+++128% 隠20■%. 15. 1. ll. 139 40. 20. 9. 255C75Case5. 因9% 9% 団13% 39%. ⊂=コ鮎甘tallyN。由l 団ⅩeぬIly蝕t3rhea 図1初発年齢及び推定原田と知能障害(大田原俊輔飽,. 1962). 3)性差別初発時年齢 発作初発時年齢と知能との関係が性によって相違するかどうかについて大田原5). (1962). 紘,. 427名(男232名)の初診時年齢を3群に分け,各群における知能障害の占める率を男 女別に調査した結果,知能障害の発現率ほ男性25%,女性30%で女性に高率に認められた が,有意差と思われないと述べ性差を否定している.この問題に関してはさら亨こ研究する ことが期待される。.

(10) 小. 136. 5. 村. 欣. 司. 原因よりみた知能障書. てんかんの原田となる障害と知能との関係をみると,ほとんどの報告で知能障害は外因 性(症供性,続発性)患者に高率で,しかも,障害の重度者が多くみられる。 Tarter15). (1972)紘,. 「特発性と症供性または器官疾患性てんかん患者の知能を調査し. た9つの研究すべてにおいて本態性塑が症俵性型より知能指数で-11点差でよいこと,し かも,これらの差は子供と大人の両方に,また施設サンプルと非施設サンプルの両方にお Collins ら6) (1947)ち, 100名のてんかん児のうち いて維持されている+と述べている。 本態性てんかん児の平均知能指数は,症侯性てんかん児の平均知能指数は106. 5,症候性. てんかん児の平均知能指数は96.7であり,. 200名の成人てんかん著の知能指数ほ,それぞ. れ113.9と103.1で,どちらも症供性てんかん者の平均知能指数は遺伝性てんかん者より10 点低い結果が示されているo. さらに,発作型のうち大発作型における外因の有無によって. 知能障害合併率をみると,. 「外因あり+. 28.0%と「外因なし+ 9.5%との間に0.001%の有 意差がある26) (1983)ことが認められるo このように原因別知能障害でほ明らかに外因性 疾患者は不利な状態におかれている。 6. 発作型による知能障害 知能障害ほ個々の子供にみられる発作型によって相違することがあるが,一般的に発作. 型による相違があるととらえてよいものであろうか.この点に関してCollins. ら6)(1947). は,知能指数が最高な発作塑は臨床的に小発作をもつ患者であり,最低指数ほ大発作型と 精神運動発作型の両方を合併した患者であった(表8)といい,石川ら20) (1981)も全般 発作では合併例が多く,部分発作では精神遅滞のない例が多かったとして,発作塾と精神 (1962)も427名の小児. 遅滞の有無には関係があることを示唆している。また,大田原5). 患者の臨未発作型と知能障害の頻度との関係を表9のように示している。それによると, 乳幼児期,特に生後6か月-1歳に好発し,幼児期以降にほ見られない特殊型てんかんと ≡.つづいてJackson性発作塑患者の約30%に知能 いわれている点頭てんかん患者の94%, (1958) 障害がみられたことを指摘しており,点頭てんかんについてはLivingstonら28) も満1歳時の知能検査でほ,点頭てんかん児の95%が中等度,またほ重度の知能障害を有 していたといい,水谷29) 表8. (1969)の例でも高率にみられた。点頭てんかんは「発作の発現. 発作塑別平均知能指数. (Collins, 1947). 子. 供(Stan 数. 発. の. 人(Bellevue). 平均IQ. 数. l. 平均IQ. 113.2. 38. 114. 0. 108. 6. 21. 112.2. 36. 105. 3. 114. 112.0. 大発作+小発作. 25. 102. 7. 79. 112.8. 大発作+精神運動発作. ll. 102. 2. 42. 105. 9. 作. 精神運動発作のみ 大. 発. 作. の. み. 18. 成. 8. 小. み. f. ford).

(11) 137. てんかん児の知能障害 蓑9. &; 発. (岡大小児科, 1968). 臨床発作塑と知能障害の類度 作. 型. E 9 4.1%. 点頭てんかん. 34. 32. JaclこSOn性発作. 27. 8. 2 9.6. 大 焦. 点. 発. 作. 221. 49. 2 2.2. 性. 発 作. 22. 3. 1 3.6. 31. 3. 9.7. 精神運動発作 純 粋 小 発 作 そ. の. 他. 15. 1. 6.7. 77. 19. 2 4.7. とともに急激な知能荒廃をきたし,これを放置すると4歳-7歳の間に点頭てんかん自体 は終臆するが,あとに重篤な知能障害,運動障害と大発作,矢立発作,焦点性発作,精神 運動発作など他種のてんかん発作を残すのが常である30)+といわれているo 3歳-4歳頃に発症 っぎに,点頭てんかんより少し遅く発作の発症がみられ,しかも, Gastaut31'(1966)による症例の80%が痴愚で のピークを有するLennox症候群でほ, あり, Chevrie32'(1972)でほ発症前から頭囲異常や神経症状などの問題があった著の 72%に重症な知能障害が,発症前に異常を認めなかった症例の22%に重症な知能障害を生 じているo福島ら28'(1983)では,総症例数1868名について発作塑と知能障害との相関を Westの58.1%, Lennoxの71.2,その他の全汎発作の49・2%,に高率であったo みると, また,大発作での知能障害は13・7%であったというo West症候群,小児におけるJackson性発作,焦点性発作,大発作など このように, 紘,多くの場合粗大器質的脳損傷を基盤とするものであるから合併する知能障害の比率も 高いことは当然想像される30)が,それに対して純粋小発作は,知能障害の原因にならない という研究結果が多い。大田原叫(1968)紘,純粋小発作で知能障害を伴う例は15名中1 名6.7%VLすぎないし,その後の研究33'(1967)でも純粋小発作の知能障害は64名中2名 3.1%であり,平井34'(1968)が東大分院神経科外来において4年から10年にわたる治療 と経過観察を可能にした小発作てんかん8名(小発作自動症1名15歳,欠神発作7名9歳 -17歳)の知能ほ1名が知能指数87であったほか,他の7名の知能指数の範囲は147-112で あり,対照群であるけいれん大発作群の知能指数137-65よりよいことが示されているし・ Livingston35'(1965)も5.1%であったという。しかし,小発作重環状態は,知能障害の 原因となりうがさ)し,小発作重穂状態でなくとも,小発作の発症頻度が増大し,長期化す れば,それが知識の獲得に障害となり,遅れの原因なとると考えてよいo 7. 脳波よりみた知能障書 1)全体的な所見 知能と脳波との関係は,これまでの研究結果の中には相互関係の有無を決めかねる結果. が得られているが,大田蘇5'(1962)紘,脳波を記録した374名について脳波所見の総合 判定と知能障害との関係を検討し「脳波所見をabnormal,. borderline,およびwitbin.

(12) 138. 小. 村. 飲. 司. limitに三朝してみると,脳波正常辞5名の1OO%が正常知能であったが,境界域. normal. 群16名中の2名12・5%と異常脳波群353名中90名25・5%に知能障害が認められた+という. さらに彼ほpbotosensitivityという覚醒開眼状態で反復閃光刺激を与え,てんかん性異常 波が賦活されるか否かについてみた知能正常群103名と知能障害群23名のphotosensitiKaushikら23, vity出現頻度ほ,知能障害群で13%,知能正常群で3%であったという。 (1982)においても・脳波記録のとれた子供51名中20名に異常があり,これらの子供の平均知. 能指数は89・4,残り31名の正常脳波の平均知能指数は94・62であり,てんかん発作性脳波 を示したてんかん児(6歳-12歳)は正常脳波を示した者より低い知能指数であった。 これらのことから脳波正常群の知能は正常であるが,異常脳波群にほ正常知能暑がいる 反乱低い知能指数の者がより多くいるということがいえる。 2)脳波型別知能障害 てんかん脳波ほ基磯波とてんかんに特異的な発作波の二成分より構成されている。この 発作波について脳波型を表10のように分類すると, 「点頭てんかんに特異的なhypsarhyth・ miaをもったものほ,ほぼ全例に知能障害が認められるoついで, wave,. multiple. spike・and-. slow. spike・and-甲ave, multiple spikesなどを示すものに高率に知能障害が認めら れるoそして3c/s両側同期性vave-and-spikeでほ知能障害を伴うものが極めて少ない. (1957)ち,. のが特徴肝o)+のようであるo貯9). 「multiple. spikes又ほmultiple. spikes. &. waveを有する患者55名を検討した結果,これらの波型を有する患者ほ一般に知能が 低く,性格偏僑が大きい+として知能と脳波との相関を示唆している。 表10. 脳波型と知能障害の頻度. (岡大・小児科,. 1968). ===::==:::=:::=============:::::::::=::========. EEG. (例. Pattern.. Hypsarbytbmia Multiple. spike. and. 敬. spike. wave. and. Spike Paroxsysmal Sharp Atypical 3 per. HVS. waves. spike second. and wave. Total. 野ave. and. spike. 1. 度. 23. 22. 10. 6. 60.0. 9. 4. 44.4. Wave. M111tiple叩ike Slow. 義 95. 7%. 34. 15. 44.1. 105. 22. 21.0. 53. 8. 15.1. 58. 7. 12. 1. 35. 4. 1114. 13. 0. 0. 340. 88. 1. 25. 9. 3)精神薄弱児の脳波 精神薄弱児にみられる脳波所見の傾向として岩村6)紘,. 「汎発性殊徐汲・多蘇徐波を示 すものが最も多く43名37・4%で,・多焦点性聴波.蘇徐波を示すものも2昏名24.3%とかな りの頻度でみられるQ脳波上も皮質㌧皮質下・. *Jむ脳性の広汎な障害を示すものや,皮質 性であっても多焦点の広い障害を示すものが多いJことをあ晩精神薄爵児に特有の腐肉.

(13) 139. てんかん児の知能障害 表11. (岩本弘子, 1981). -セんかんを伴う障害児の脳波 脳波所見. 正. 校. 常. 境. 焦. 界. 点. 性. 帝波・稀徐波. 蘇波・頼徐波. 養護学校通学児. 19. 25. 特殊学級通学児. ll. 学. 計. %. 】. 1.7. 汎. 多焦点性. 発. 性. 計. 頼徐波・多額徐波 29. 83. 14. 32. 12. 1. 30. 28. 43. 115. 10.4. 1. 26.1. 24.3. 37. 4. 100. と思われる脳波が示されているが,知能程度と脳波構成要素との関係についてほさら甘こ研 究を要するものと思われる。. 4)脳波の変化 知能障害に関する多くの研究は横断的研究がほとんどで,継時的変化を追った報告は少 ないが,平野37). (1960)紘, 「経年的にみた場合に異常脳波から正常脳波-の改善率ほ,魯 (1981)も「正常脳波. 鈍群が最高で,白痴群が最低率であった+と報告している.宮内38). への改善率は,重度,中度,軽度の順に次第に高くなった+という.宮内の研究対象ほ知 能障害の軽度な組者に単純性精神薄弱が多いのに対して,中度,重度の症例に周産期・出 生後の障害,特殊型が多いことを考慮しなければならないが,単に知能障害の程度だけに 限定すれば,その程度と脳波異常改善率との問には相関がみられ,さらに脳波構成要素と の間にもかなりの特徴があり,しかも,検査時の精神状態によってもかなりの変化がみら れることがあることに留意すべきである. Tarter15) (1972)が,最近のいくつかの調査か ら,. 「電気的異常は休息中よりテスト中に抑制されることがわかったQ異常な電気放電が. 起ったとき,成績ほ著しく瓦解し,またある例ではspike. and. dischargeの出て. wave. しかし,放電と放電との問の成蹟は障 いる時にほ反応時間ほ遅く,誤りが増大しているQ 害されなかった+と述べていることから,適度の刺激を脳に与えることほ脳波の改善,ひ いてほ知能の向上に役立つのでむ主なかろうかoいたずらに脳の安静を強いることは,とき に改善を遅滞させる結果になることもあろうo 8. 焦点の位置と知能障審 脳波上の焦点の位置と知能障害に関してほ,大田原ら5). 有する後部焦点群の38%に,. (1962)は,. 「後頭部に焦点を. Hemisphereの35%に,そしてcentralの32%菅こ知能障害を. 認めたが,頭頂部に焦点を有する者ほ全て正常の知能であったJとしている. (1969)は,. Fedio. 「6歳から14歳までの外来診療によるてんかん児15名を3集団に分軌. ら44) WISC. 知能検査で少なくとも知能指数80以上の者についてみた平均値では,右側頭葉群が最高で 全知鰻指数は102.8. (87-119の範餌),ついで脳中枢辞で97.5. 左側頭葉群で96.9. (81-119の範餌)であったeそして脳中枢群ほ両側頭菓群より0.OO1. (86-114の範箆),最低が. 潔,左側頭菓群は右側頭菓群より0.05%の有意差をもって発作があったという。左側頭.

(14) 小. 140. 村. 欣. 司. 菓患者ほ言語課題で学習と記憶の欠陥を示したが,非言語課題での能力ほ影響されなかっ. た.右側頚菓に異常のある刊削ことっても逆の陳述は事実であるo2つの側頭葉群と比較 して脳中枢患者は有意な記憶の欠陥はなかった。そのかわり,彼らは注意の持続テストで より低い得点であった+と述べている。これらのことから焦点の位置によって知能障害に内 容の相違がみられる。それは脳の役割分担との関係によるものと考えられるが, Cbaudbry ら40) (1961)のように,. 「脳損傷の場所及び広がりとてんかんの知能障害とは特に関係な. い+とする意見もある。 9. 性差と知能障害 性差による知能の相違については,. Collinsら6). (1947)の男児47名,女児53名に対す. る平均知能指数103・ 1と105・2及び成人男子84名,同女子116名の平均知能指数が110.8と 111・8で両集団とも有意差はみられなかった。しかし,その後のWISCの下位検査結果 でCollins18) (1951)は, 『算数』と『知識』の得点では男性に∴そして『符号』では女 性に有利なように有意偏差がみられたという。これは下位検査項目であり,全指数での性 差はなかった+としている。大田原5'も,. 「女児に高率に知能障害が認められたものの,. 有意差はない+と述べている.いわゆる知能としてではないが, 技術についてみた性差では,. Stores45'(1976)が読書. 「てんかん型の区別なく明らかに少女がよく,この性差は非. てんかん児にほみられなかった+のである。これまでの研究からほ,差差ついててんかん の影響を論じるまでに至ってない。 10. 社会経済集団と知的能力. 人ほときに社会的経済的な背景によっては個人の能力を充分発達させられないことがあ りうるが,同じ背景にあってもてんかんの有無が知的能力に影響するものかどうかについ てKaushikら23). (1982)ほ,. 「てんかん児200名(6歳-12歳で男性107名)を社会-経. 済状態から平均以上,平埼,平均以下,学校にいかないものの4集団に分けたとき,社会 -経済集団で上位集団に属するてんかん児と下位集団に属するてんかん児との学力ほ,そ れぞれのコントロール群と比較してより低かった+という。社会経済状態が同一でもてん かん群は低い能力を発揮するにとどまっていることから,てんかんの及ぼす影響の大きさ が理解できるのでほなかろうか。 11運動障書と知能障害 知能を言語性の知能と動作性の知能に分けて考えるとき,少なくとも運動障害が動作性 の知能指数にほ影響を及ぼすと考えられ,従って,全知能指数へも影響があると考えなけ ればならないo永谷29'(1969)紘, 「中枢神経系合併症を伴わないてんかん児128名のうち,正 常者ほ25名19・ 5%であったが,片麻痔等中枢神経系合併症を伴うもの40名中知能正常者は 3名7・5%にすぎなかったことから,中郎中経合併症の有無が知能発達に及ぼす影響は非 常に大きかy;た+という.また, Sillanp急畠43'(1975)ち,「16歳以下のてんかん児244名(男.

(15) 141. てんかん児の知能障害 表12. (水谷郁子, 1969). 神経性合併症の有無と知能的予後 知能の発達. 軽度遅延. 正常. 高度遅延. 中等度遅延. 中枢神経系合併症 伴なわないもの. 計. 25. 21. 34. 48. 128. (19.5). (16.4). (18.7). (45.4). (100). 左側片麻・揮. 1. 1. 4. 3. 右側片麻揮. 1. 2. 1. 2. 右単麻樽. 1. 1. 0. 0. 四肢麻捧. 0. 0. 0. ll. 筋ト-ヌス低下. 0. 0. 0. 1. 1. 過勤性行動異常. 0. 4. 0. 3. 7.. 皮質性黒内障. 0. 1. 3. 4. 28.  ̄合. 併 症 を 秤 な ラ ち の. 3. 計. 9. (7.5). 総計. ・0. (22.5). 5. 23. 40. (12.5). (57.5). (100). 28. 30. 39. 71. (16.6). (17.8). (23.2). (42.4). 168. (100). ( )潔 表13. (Sillanpaa, 1975). 運動障害度別による子供の知能指数 知. 鰭. 拷. 敬. 障害の程度 85. >. 185 形. し. な. ぎ. こ. 脳. 性. ちない ま. ひ. %. 形. 形. 均. l. 形. 計. 形. 浴. 74. 15. 4. 5. 1. 1. 100. 14. 10. 21. 24. 10. 21. 100. 4. 8. 6. 17. 8. 57. 100. 9. 9. 82. 100. 重度筋低血圧症 平. 1総. 20. <. 67-52151-36J35-20I. 一-68. 48. ‡. 13. 1. 7. J. ll. 】. 2. ]. 19. 133名)の知能と運動障害の程度を調べた結果,運動障害を伴わないてんかん児の4分の 3は知能指数86以上であった.ある程度運動が不器用な患者の知能指数は分布上広範囲に 平均的に広がっていたが,脳性麻痔を伴った者と二次的な重度の筋低血圧症愚老とは知的 に低い能力であったことから,てんかんと運動障害を併せもつ患者は,てんかんがあって も運動障害がない患者より有意に知的に低永準にある+と述べ,両者はともに運動障害が 間接的にもせよ知能に及ぼす影響のあることを物語っている.運動が障害されれば行動に 様々な制約がつきまとい,その結果,素質がよくても学習行動そのものとともに学習意欲 を低下させ成績の低下をもたらすことが多い。.

(16) 142. 12. 小. 村. 欣. 司. 発達の相互関係 障害をもつ子供は発達途上で運動や言語,あるいは社会性などに不埼衡がみられること. があるが,てんかん児ではどうであろうか。義憤,言語及び運動槙能の発達についての相 互閑孫ほ,水谷29'(1969)によると,. 「知能正常群と知能高度遅延群では,これら三境能. の発達ほ平行し七いた。しかL,知能発達の軽度遅延群および中等度遅延群の多くは,運 動が最もよく発達し,次いで言語,知能の塀で発達遅延を呈する憶向が見られた。この際, 運動発達水準ほ知能発達水準より1-2段階上位にあった+と述べているが,軽度・中度 の精神遅滞児又は重度の精神遅滞児にも臨床的に同様の儀向がみられることが多い。 13. 情緒問題と知能 風条47) (1966)によると,. 「知能の良好なものほど情緒面での問題が多く,学級内の約. 4分の3に問題行動がみられた+という。その大部分は衝動行為,自己中心性,落着きの なき,易興奮性,怒りっぽさなど性格上の偏備によるという。発作の不安におびえる生宿 を余儀なくされることや長期間の治療に伴う意に反した行動制限などから生じる欲求不満 の結果と考えられ;'一面やむを得ない現象でもある. 14. 牒薬と知能障害. 抗てんかん剤の服用による副作用ほ,身体に様々な形で現われるものと考えられるが, 水谷29) (1969)紘,. 「服薬の有無と知能的予後の関係で,知的に普通の者が存在する割合. ほ,けいれんのない群が116名中27名23.2%,それに対してけいれんのある群が52名中1 名1・9%,けいれんが(-)となり服薬を中止した群で知能正常者が最も多く, 40名中32.5 %を占め,高度知能障害児の出現率は,けいれんがあるが服薬を中止した群で63.5%と最高 の比率であったことから,服薬が知能に悪影響を及ぼすとほいえない+としている。また, (1982)ほ, 「知能発達に関する抗てんかん剤の効果は,けいれんの再発がなく. Smitb41). 継続してpbenobarbitone,. sodium. valproate. を服用して発作の再発がないか,又ほ24. か月間錠剤の服用がなく発作の再発もなかった子供達73名中50名についての研究結果で, 抗てんかん剤の服用の有無に拘らず1年後にほわずかずつであるがどの集団も指数の増加 傾向がみられた。その際,最初の指数は皆100をわずか超えていた。そして錠剤を服用し ない集団で前回との差が6.8と最大の増加を示したが有意差がなかったことから,本研究 ほ,最初の熱性けいれんのあとのより大きな発作が. pbenobarbitone. 又ほsodium. val-. proateを続けて服用しているよりも,全体の知能発達に害を及ぼしやすく,子供が傷害 を受けやすい期間を過ぎるまで,この危険が有意に増大すれば続けて抗てんかん剤の服用 をすることを支持する。さらに子供が大きな熱性発作を起こす危険が少ない時には,知能 の発達ほ錠剤が避けられればよくなろう+といって,薬剤の副作用より発作による知能へ の影響を力説している。水谷やSmitb の論文からは,服薬による副作用の1つとして論 議を呼んでいる知能障害を配慮する必要ほない。しかし,坂本ら42) (1976)紘, 「69名の 患者について初診時の平均年齢5歳8か月,投薬中止時の平均年齢8歳8か月,投薬期間.

(17) 143. てんかん児の知能障害. 4年2か月,観察期間平均5年9か月,そして82%が大発作型であった老に年齢に応じて WAIS又はBinet知能検査を施行した結果,服薬中止後上昇率が増し,その値. WISC,. と服薬期間との相関係数ほrニー0.82であったことを考慮して,放薬期間が増すと,服薬 中止後の知能指数評価値の上昇率ほ次第に減少する+というo. この結論や過剰服薬による 不可逆性の知能障害をもたらすこともあるという説などから,長期間の服薬が知能に悪影 響を及ばすといわないまでも,現在単剤か複合・使用か,あるいは使用期間によってもど のような影響があるか不明のことが多く,可能な限り版薬を避けるにこしたことほない. 15. 知能障書の原因 N.. Sofijanov, てんかん児にみられる知能障害発生原因の追求は極めて重要であるが, ら50) (1983)は, 「てんかん児846名中敷陸けいれん経験児は172名おり,そのうちの27名. 13名には穿 15.7%に精神遅滞がみられた。この27名のうち16名には神経学的欠陥があり, 孔脳症,血管腫,両側半球の欠損,皮質性萎縮,水頭症など脳内部の異常がCT-scanに よって認められた+という。. Sofijanovは神経学的欠陥の原因を病理学的に検討し,脳内. 疾患の多さを指摘している。これらの知能障害は脳疾患に起原するものとみてよい。また, 水谷29)紘, 「5年以上追跡できた点頭てんかん195例について,知能の発達に影響を及ぼす. 諸要因を検討した結果,けいれんの持続または再発が発達障害の大きな要因であり,発作 再発の予防が予後を改善させるために最も重要である+という。点頭てんかんや大発作型 のような病塾は発作によって脳に回復不能の傷害をもたらすことがあるから,特に強調さ (1983)では, 「明らかな腿損傷がなく,正常又 ところがLoiseauら49) れたのであろうo ほ正常に近い社会適応をしている15歳以上のてんかん患者200名を対象に,. 4項目の記憶. テストを行なって発作の頻度,発作の型,障害の期間,及び抗てんかん剤服用の4変数に ついて,対照群と比較した結果,明らかに成績は劣るもののその理由は明らかでない.し 4要因の複合によ かも,これら4変数は単独で考えるならば障害を説明するものでなく, Tarter15)ほ,知能に関する先行研究をつぶさに調査して,発 るものとみている。しかし, 作の頻度についてほ. Loiseau. と同意見であったが,発作塾や障害の期間についてほ相関. があるとみており,つぎの6項目を知能悪化の決定要田としている.. 「(丑発病前のてんか. ん児の知能指数が高いはど悪化の程度は大きい。 ②大発作は小発作より破壊的である。小 発作は知的横能にとって最も被壊が少ないが混合発作と精神運動発作とは最も有害である。 ④最初のけいれん ③小発作てんかんを除いて知能指数ほ全発作数とほ否定的相関にある0 が早いほど成人の知能指数は低い。. ⑤疾病期間が長いほど知能指数は低い。. それ自体は知能指数に顕著には貢献しない+0. ⑥発作の頻度. Tarterが臨床的な症状によって悪化の要因. を規定しているのに対して大田原30)はあらゆる角度から大局的見地にたって次の5原因を 列挙している。即ち, ①遺伝的因子, ②発作発現以前に存在する脳障害, ③てんかん自体, ④社会・経済的・心理的因子,. ⑤過量の抗てんかん剤による影響である。これら5原因が. 単独に知能に作用して知能が決定されるより絡みあって大きく知能に影響を及ばしている と思われる。.

(18) 144. 村. /ト. 司. 欣. 結. Ⅲ. 論. てんかん児の知的能力に影響する因子は多々るが,文献考察ののち,つぎの結論が引き 出された。. ①. 非てんかん児の知能障害では,精神薄弱を除き盲,聾,脳拐傷性肢体不自由などの障 害名をもつ者ほやや知能低下がみられる。. ② ③. てんかん児全体の知能債向は, 30%前後の範囲の者に知能低下があると思われる。 点頭てんかんなど特定障害塾てんかん児の知能は障害されている0. ④. てんかんに精神薄弱を合併する者ほ,より知能の低い者に多い。. @. 発作頻度と知能障害の関係ほ,発作多発老(年20回以上)の知能指数がやや低い壊向 にある。. @. 病型によっては経年に伴う知能低下がある。. ⑦. 発作初発年齢と知能とは年齢が小さいほど相関が肯定されるo. ⑧. 原因別知能障害では明らかに外国のない群が外国性疾患群より,知的に有利である。. ⑨. 発作型により知能障害を伴う僚向がある。. ⑬. 知能と脳波とは大枠でほ相関があり,脳波の改善率は軽度の精神薄弱になるほど高い。. ⑪. 運動障害を伴うてんかん児は,運動障害のないてんかん児より知的vL低水準にとどま りやすい。. ⑲. 運動,言語,知能の各棟能の発達ほ,軽度や中度の精神薄弱を合併するてんかん児で. ほ,運動機能が最もよく発達している。 ⑲ 薬剤使用による知能障害の有無については,未だ不明の点が多い. 引. 1)中川四郎 2) Lennox,. 98. Eeith,. 5. 419. G. 733. H., M.. Mental. defect. 献. 文. 児童精神医学とその近接額域17(1). てんかん児の治療と教育の問題 W.. Psychiat.. 3). 用. in epilepsy. the. and. inflロenCe. Of. ∫.. et al. Mentalstatus. of. children. with. disorders.. convulsive. Neurology.. 1955.. Nerv.. Ment.. 7)松本和雄他 42. 1976 Am.. 1942.. 幼小児療滴の集計的観察 東北医誌 51 66 1955. 4)鴇田尚彦他 5)大田原俊輔他 小児てんかんにおける知能障害 小児科診療 25(7) 6) Collins, A. L.,et al. The intelligence epileptic of 300 private Ass,. 2-20. heredity.. Dis.. 26. 586. 972-980.. 1962. Res.. patients.. Publ.. 1974.. 児童精神医学とその近接領域17(1). てんかん児の治療と生活環敷こついて. 35-. 1976.. 8)浅木昭文. てんかん児の教育的取り扱いについて. 昭和51年度国立特殊教育総合研究所. 長期研. 修報告書1977.. 9)山内和子飽 10) Ellenberg, Ne11rOl.. ll). 35. Waggoner,. 精神薄弱児施設収容児の実態 J・ H・,et 17 R.. al一 Febrile. seizures. 小児の精神と神経 and. late. 21(3). intellectual. 111-116. 1981.. performance・. Arch・. 1978. W.,et. al. Frequency. of. convulsive. disorders. in. feeblemirlded.. Am.. J..

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