第4学年 道徳科学習指導案
1 主題名 正しいことは思い切って A善悪の判断 2 教材名 『ドッジボール』(東京書籍)一部改作 3 主題設定の理由 ◯ 本学級の児童は、正しいと判断したことはすすんで行動することは大切であることは知っている。日常場面でも間 違っていることをしている友達を見かけると注意したり教えたりする様子が見られることがある。しかし、時として、 クラスの友達が間違ったことをしていても注意できなかったり、見逃してしまったりする姿も見られる。特に、仲良 しの友達が間違ったことをしているとき、周りの友達の行動に左右され、正しい行動をとれない様子も見られる。こ れは、人間関係が崩れるかもしれないという恐怖心や「自分には関係ない」といった自己中心的な考えが要因である と考える。また、自分が正しいことを行動することが自分や他者の将来にどう影響するかを考える経験が不足してい ることも要因であると考える。そこで、正しいことや正しくないことについての判断力が高まってくるこの時期に本 主題を設定する。正しいことを実行することによる将来への影響を考えさせる学習を通して、多様な感じ方・考え方 に触れ、道徳的価値の実現の難しさや意義について自分との関わりで多様に捉えることができる子供を育てていく。 〇 本主題は、中学年における内容項目Bの〔善悪の判断〕「正しいと判断したことは、自信を持って行うこと」を深め ることを意図したものである。これは、低学年の内容項目「よいことと悪いことの区別をし、よいと思うことを進ん で行うこと。」を受け、さらに高学年の内容項目「自由を大切にし、自律的に判断し、責任のある行動をすること」へ と発展していく。 「正しい」とは、物事のあるべき姿であり、自分の利害や感情を越えた、誰が見ても正義や道理にかなっているこ とである。「判断」とは、社会規範やルール、様々な影響から物事を考察し、自らの考えや行動を決定することである。 「自信」とは、自分の考えや行動について、自分の信じることに従うことである。「正しいと判断する」過程は、次の 順序で行われると考える。①善悪の判断に関わる問題場面に遭遇する。②判断を迷う中で、知的な側面(正しい行為 を行うことや行わないことの影響)や情的な側面(正しいことを行えない不快感や正しい行動を行うことへの期待感 や希望感など)から、判断(正しいか間違っているか、自分は今どうすべきか)する。といった順序である。 人間は様々な場面で判断を行い、自らの行為を選択している。正義が貫かれ偏見や差別のない平等で幸せな社会を 形成するためには、一人一人が適切な判断を行い正しいことを実行することは、社会を形成する一員として大切な資 質である。しかし、人間は弱く、正しいと分かっていても利害や欲望に負けて理想とする判断とは別の行動をとって しまうなど、いつも正しい行動がとれるとは限らない。そこで、本時では、正しいことを実行するための原動力とな る実行できないときの不快感や将来への期待感や希望感に気付かせ、実感させたい。このことにより、正しいことを 実行しようとする自分とその行為を肯定的に捉えることができ、正しいことを実行しようとする実践意欲へつながる と考える。 ◯ 本教材は、主人公の明がクラスのみんなと昼休みにドッジボールをしている。友達のいく子が内野の一郎にボール を当てる。しかし一郎は、ボールはバウンドしたので当たっていないと言い張る。ボールが当たる場面を見ていた明 はアウトだと言うが、周りの友達のクラスメイトは、力が強く、勉強や運動ができる一郎に味方する。その日の反省 会で再び、明はみんなの前で正しいと思ったことを発言し、普段は大人しい登も正しいと思ったことを発言し、その 言葉がみんなの心に響いたという話である。主人公の明と明に関わる、いく子、一郎など、事象に関わる様々な対象 が描かれている。また、様々な登場人物の言動の中に、将来に関わる視点が含まれており、時間的視点から道徳的価 値について考えることのできる教材である。 本主題の指導にあたっては、①正しいと思ったことを実行しようとするとき、正しいことを実行できない不快感や 実行する将来への期待感や希望感が原動力になることに気付き、進んで正しいことを行動しようとする態度を育てる こと②深める場面において、時間的視点のカード(【このまま】、【これから】)を活用して考え話し合うことを通して、 新たな考えに共感し納得し、道徳的価値について多様に捉えることができるようになることをねらいとしている。 つかむ段階では、課題意識を持たせる。そのために、善悪の判断に関わるアンケート結果を提示し、理想の自分と 現実の自分のズレに気付かせる。 深める段階では、正しいことを実行しようとするとき、正しいことを実行できない不快感や実行する将来への期待 感や希望感が原動力になることに気付かせる。そのためにまず、だまっている明の気持ちに共感させ、正しいことを 実行できない弱さを表出させ、教師がゆさぶりを行いながら、時間的視点(将来について)を見出させる。次に、主 人公明は、なぜ帰りの反省会で再び発言をしたのかについて、見出した時間的視点を活用して理由を考え話し合わせ る。さらに、正しいことを実行できたときの気持ちを考えさせ、正しいことを実行できた気持ちよさに共感させる。 あたためる段階では、実践意欲を高めさせる。そのために、正しいことを実行できた経験やそのときの気持ちなど を発表させ、価値の実現のよさにひたらせる。3 ねらい ◯ 正しいと思ったことを実行するとき、正しいと思ったことを実行できない不快感や実行する将来への期待感や希望 感が原動力になることに気付き、進んで正しいことを行動しようとする態度を育てる。 〇 深める場面において、時間的視点のカード(【このまま】、【これから】)を活用して考え話し合うことを通して、構 想に合わせて、自分以外の考えに共感し納得し、道徳的価値の理由を多様に捉える(例:規則の尊重→思いやり、公 正公平→集団生活の充実など)ことができるようになる。 4 学習指導計画(本時) 段階 学習活動 主な発問と予想される 生徒の反応 指導上の留意点 つ か む 1. 正しいことを実行することについての アンケート結果について話し合う。 ・正しいことを実行できる方の自分になりたいけ ど、実際は実行できていないことがあるな。 ◯正しいことを実行することについてのア ンケート結果を提示する。 深 め る 2.資料をもとに、本当の思いやりについ て考え話し合う。 ・知らないふりしていよ う。ぼくは関係ない。 ・一郎がこわい ・正しいことを言いたい な。 ・いく子の真実を晴らし たい。 【このまま自分が正しいことを実行しなかったら】 ・(自分について)おかしいと思っていたことも言 えず嫌な気持ちが残る。 ・(いく子について)いく子の真実がはらせない ・(一郎について)うそをつく悪い大人になる。 ・(クラスについて)言いたいことをきちんと言え ない。 【これから自分が正しいことを実行したら】 ・(自分について)正しいことを言える自分で在り たい。 ・(いく子について)堂々と過ごしてほしい。 ・(一郎について)ルールを守って。互いに対等 な、よりよい友達関係を作ってほしい。 ・(クラスについて)正しいことを言い合える気持 ちのよいクラスにしたい。 ・正しいと思ったことを行動してよかった。同じよ うに思ってくれた人がいて嬉しい。 〇 資料の前半のみ読ませておく。 〇 2つの気持ちで迷っていることに共感さ せる。 〇 時間的視点を見出すために、次のような 工夫を行う。 〇 時間的視点を活用できるように、次のよう な工夫をする。 〇 周りの多くが一郎の味方をしている中、 それでもなお、明が再び発言したことを押 さえる。 〇 多様な考えに触れさせるため、カードを 活用しながらにグループで考えを出し合 わせる。 〇 グループで、【このまま】【これから】のそ れぞれの視点に関わる考えの共通する表 情を考えさせ、グループの考えを書いた グループシートをホワイトボードに貼らせ る。 〇 全体交流の後、自分の考えに付加する 時間を設ける。 ○ グループごとに考えた共通点を確認し、 まとめにつなげる。 〇 正しいと思ったことを実行した後の快の 感情に共感させる。 あ た た め る 4.正しいことを実行できた経験やそのときの気 持ちについて話し合う。 ・友達がよくないことをしていたとき、勇気を出し て教えてあげて、すっきりしたことが私もある な。 〇 正しいことを実行する場面絵をいくつか提 示する。 〇 経験や気持ちについて話し合わせ、価値の 実現のよさにひたらせる。 めあて 正しいと思ったことを実行できる自分になるために 大切な心について考えよう。 【話合い活動①個人→全体】 ① 発問1に対する考えをワーク シートに書く。 ② 書いたワークシートの考えを 全体で出し合い、比較しなが ら話し合う。 ③ 教師によるゆさぶり発問をも とに善悪の判断に関わる時間 的視点を見出す。 【話合い活動②個人→グループ→ 全体】 ① 時間的視点(【このまま】(正し いことを実行できない未来)、【こ れから】(正しいことを実行する 未来))を活用して、カードに自 分の考えを書く。 ② グループシートを活用し、グ ループで考えを出し合った後、 2つの視点それぞれの共通する 気持ちについて考える。 ③ 全体で考えを出し合い、考え を収束する。 発問2明が反省会で再び発言したの は、明のどんな思いからなのだろう。 発問1 だまっていた明は、どんなこ とを考えていただろう。 発問3登の言葉を聞いたとき、明はど んなことを思ったか。 まとめ 正しいと思ったことを実行できる自分になるには、 このままではよくないと感じる心、これからよくなると信じる心 が大切。 ・ゆさぶり発問を行い、明の心にある「将 来」を考える気持ちを表出させ、時間 的視点を見出させる。 ・時間的視点を意識させるため、「将来 のことを考えなければ」と板書する。 ・ この後明はどうしたのかを予想させ、その理 由を発言させる中で、補助発問(「どうしてそ う思ったの?))を行い、この場面においても (【このまま】【これから】)の将来への気持ち があることを押さえる。 ・「このままカード」と「これからカード」の活用 ・グループシートの活用 よくないと感じる心やもや よくなると信じる心やもや 【正しいことを実 行できない自分】 「このままカード」と「これからカード」 【正しいことを実 行する自分】