個人投資家向け会社説明会 ミーティングメモ
ヒューリック株式会社(3003)
開催日:2017 年 12 月 6 日場 所:ホテル阪神10階 ザ・ボールルーム(
大阪府大阪市)
説明者:代表取締役会長 西浦 三郎 氏1. 会社概要
・ 当社の本社は東京都中央区日本橋大伝馬町にあります。 ・ 私は富士銀行とみずほ銀行副頭取を経て、2006 年 3 月、当社の社長に就任、2016 年 3 月、会長になりました。 ・ 事業内容は不動産の所有・賃貸・売買ならびに仲介業務です。 ・ 2017 年 9 月末現在で資本金が 627 億円、従業員は単体で 154 人、子会社が 16 社あり、 連結で 859 人在籍しています。 日本銀行の統計では従業員 300 人以下は中小企業に分類 されますから、当社も中小企業です。他社がしていないことをして成長してきました。 ・ 当社は 1957 年、日本橋興業という名前で設立されました。みずほ銀行の前身行のひと つである富士銀行の不動産管理を主な業務としていました。 ・ 創立 50 周年を機に社名をヒューリックと変更。HUMAN、LIFE、CREATE という3つの 言葉から成る造語です。 ・ 2008 年 11 月、東京証券取引所市場第一部に上場しました。 ・ 2009 年、長期計画(2009-2018)「10 年後のヒューリック」、2014 年、新長期計画(2014-2023) 「10 年後のヒューリック」がスタートしました。リート上場、「3K ビジネス」でさらな る成長を目指しています。3K とは高齢者、観光、環境を指します。 ・ 2016 年、新中期計画をスタートさせ、2017 年、日経 300 銘柄に採用されました。 ・ 約 600 億円で始まった時価総額は約 8,000 億円に達し、上場来 8 年で 13~4 倍になりま した。実は 2013~2014 年に時価総額が 1 兆円を超えました。その後、不動産株の人気が 落ち、現在は約 8,000 億円です。 時価総額で比較すると、三菱地所、三井不動産、住友 不動産に次いで当社が 4 番目のポジションです。 ・ 2017 年 10 月末に決算修正をしました。売上高 2,800 億円、営業利益 625 億円、経常利 益 600 億円、当期純利益 400 億円、配当も 18 円から 20 円に増配しました。 ・ 不動産会社は、どうしても借り入れが多くなるので、金利などを除いた後の経常利益を 重視します。2018 年 12 月の 3 カ年計画の最終目標は経常利益 610~640 億円です。現在 600 億円ですので、目標を達成できるように取り組んでいます。当期純利益目標は 390 ~410 億円で、クリアしています。 ・ 1 年早めて来年から新しい中期計画をスタートさせる準備をしています。 ・ 経常利益の推移は上場来増益となっています。特に 4 年前から安定的に毎年 80~100 億 円の増益です。・ 長期計画「10 年後のヒューリック」で 2023 年に経常利益を 850 億円としましたが、2018 年から始まる次の 3 カ年計画で 3 年早めて達成することになると思います。
2. 株主還元
・ 配当は上場来増配を続けています。当初は 2 円でしたが、2017 年度は 20 円に増配しま すから、10 倍となります。当社は 30%の配当性向を、お約束しています。2016 年度は 32%でした。経常利益が 600 億円をオーバーすれば、2 回目の増配も考えています。配 当性向 32%は全上場の平均クラスですが、デベロッパーとしては最も高い数字です。 ・ 株主優待は 2017 年 12 月 26 日までに 300 株以上保有の方に、3,000 円相当のグルメカタ ログギフトを差し上げます。3 年以上継続してお持ちいただくと、2 冊になるという長期 保有優遇制度もあります。3. 成長戦略
・ 経営トップとして考えてきたことは銀行のグループ会社として出発しましたが、一刻も 早く普通の会社にしなければならないということでした。そのためにも小さいながらも 存在感のある会社にしようと考えました。 ・ 社員が会社に対して誇りを持てなければ良い決算ができません。例えば、本社の中には 保育所があります。女性が結婚・出産しても 1 人も辞めない会社です。最近は 2 人目の お子さんが増えてきました。 ・ さらに業界トップの項目を増やそうしています。経常利益の伸び率、1 人あたり経常利 益、経常利益 11 年連続増益、11 年連続増配などのほか、「日経環境経営度調査」の倉庫・ 不動産・その他部門で 7 年連続 1 位をいただきました。社員平均年収は 2016 年で 1,418 万円となり、約 3,600 社の全上場企業の中で 10 位、ホールディングカンパニーを除くと 5~6 位となりました。老人ホームの保有件数は約 3,400 室で No.1 です。 ・ 当社のような中小不動産会社が生き延びる道は 4 つです。第 1 に中長期計画です。不動 産事業は息の長い事業で、ひとつのプロジェクトを完了させるのに約 5 年はかかります。 人口動向、環境問題などを考え、長期計画「10 年後のヒューリック」をつくり、先を見 た経営をしています。 ・ 第 2 は成長戦略です。成長していかなければ、株主にとって良い会社になることができ ません。当社は選択と集中を進め、手を出さない分野を先に決めました。そのひとつが マンションです。人口が減少しているわけですから、マンションの売れ行きは間違いな く下がります。 ・ 海外物件も為替変動によって大きな損失を被る可能性があるので扱いません。 ・ 東京一極集中という現状を見据え、地方にも手を出しません。 ・ 今後 15 年間で 1,000 万人の労働人口が減りますから、S ビル(1 フロア 1,000~1,500 坪) も扱いません。A ビル(200~500 坪)を中心にしています。日本の場合、98%以上が中小企業・中堅企業ですので、1 フロア 200 坪、2 フロア 400 坪で十分まかなえます。 ・ 第 3 は資金調達力です。不動産業は、どうしても資金が必要です。そのために上場しま した。無担保化のために格付け(A 格)も取得しました。 ・ 第 4 は生産性です。労働人口が減少していますから、少数精鋭で生産性を高めています。 ・ 当社の成長戦略には 4 つのコアがあります。1 つは賃貸事業で、当社の経常利益の約 3 分の 2 を占めています。3 分の 1 が売却益や手数料収入です。東日本大震災やリーマン ショックでマンション関係の上場会社 25 社が倒産しました。そうした状況をかんがみ、 当社は賃貸事業に重きを置いています。 2 つは資金を余り必要とせずに床面積の拡大が 可能な建て替えです。3 つは新規投資、4 つは M&A です。M&A は成長スピードを速く する手段として採用しました。いろいろな問題を 2 年間で解消できるのであれば、M&A の対象となります。これまで 4 社を手がけました。 ・ さらに開発、CRE/PPP、リート(公募・私募)、バリューアッドへと事業領域を拡大。 高齢者、観光、環境の「3K」ビジネスにも力を入れています。 ・ 選択と集中に取り組み、リスク回避型のビジネスモデルをつくりあげました。賃貸収入 中心、東京・駅近の中型ビル中心、海外不動産なし、マンション分譲をしない、借り入 れの長期固定化シフトなどです。 ・ 借り入れの長期固定化としては低金利政策のもと、大半の資金を 10 年フィックスの金 利で調達しています。当社の格付けで銀行からの借り入れ金利は 10 年間で 0.5~0.6%程 度。大変有利な条件なので固定化しました。 ・ 現在、保有物件 234 件のうちオフィスなどは 180 件です。公募・私募リートを合わせる と、300 件弱の物件を管理しています。 ・ オフィス物件は東京都 23 区が 73%、23 区以外の首都圏が 14%で、全体の 87%が首都 圏に集中しています。駅から徒歩 1 分以内が 38%、徒歩 2~3 分が 30%、徒歩 4~5 分が 15%と、徒歩 5 分以内の物件が 83%を占めており、駅から近い物件が中心です。 ・ その結果、この 6 年間の空室率は 1%以下で推移しています。2017 年 11 月は 0.2%で、 ほとんど空室がない状況でした。 ・ 不動産事業の特徴としては賃貸が 3 分の 2 で、みずほ銀行など安定テナントが中心です。 みずほ銀行は 1 万 9,000 人を減らすということなので、これ以上伸びることはなく、ウ エイトは下がっていくと思います。 ・ 12 年前、私が当社に来たときにはオフィスが 85%のシェアを占めていましたが、現在 は 65%まで減りました。できるだけ早いうちに 50%ぐらいまで落とし、商業施設、老人 ホーム、ホテル、旅館などに力を入れていきます。 ・ 東京都には、いくつかの重点エリアを設けました。銀座・有楽町エリアでは 16 物件を 保有。デベロッパーの中では最も賃貸面積が広いと思います。 ・ 渋谷・青山エリアでは NHK ホール、渋谷公会堂、渋谷区役所などの建て替えが行われ、 街が変わりつつあります。パルコも建て替えていますが、10 階以上のオフィス部分を当
社が買うことになっています。IT 企業が集まるエリアでもあり、オフィスが足りません。 世界一乗降客数が多い新宿エリア、浅草寺・東京スカイツリー・隅田川などがある浅草 エリアも重点エリアとしました。 ・ 新宿・渋谷・青山といった商業中心地の山手線の大きな駅前にビルを持っています。渋 谷では東急ハンズも当社が保有しています。 ・ 大阪エリアでの保有物件にはヒューリック大阪ビルがあります。2017 年は心斎橋プラザ ビルを含めた 4 つのビルをまとめて買いました。ルイ・ヴィトンなどのブランド店が入 っています。何年かかけてテナントに一時出ていただき、総合開発します。ただ、大阪 エリアは得意ではないので、いくつかの企業とパートナーシップを組んで大きなビルを 建てる計画です。 ・ 関西エリアでの PPP(公民連携)案件としては京都市の元立誠小学校跡地活用事業があ ります。ここにホテルをつくる準備をしています。奈良県の高畑町裁判所跡地保存管理・ 活用事業では国賓級が宿泊できる旅館をつくるという命題があります。1 部屋約 90 平方 メートルの非常に大きな旅館です。 ・ 銀行店舗や古いオフィスビル、寮跡地などを地域に合わせてオフィスビル、老人ホーム、 クリニックなどに建て替えています。 ・ 「3K」高齢者ビジネスでは約 3,400 室の高齢者施設を保有、アジアではトップレベルで す。数年前までは老人ホームが満室になるのに約 1 年半かかっていましたが、最近は 9 カ月で埋まります。団塊の世代が 70 歳を超えてきたので、老人ホームのニーズが高まっ てきています。 ・ さらに病院や納骨堂も手がけています。 ・ 健康や生きがいに関わる事業として、アクティブシニア向けビジネスを展開、リタイヤ した 60 歳以上の方が利用する会員制サロンなどを建設します。 ・ スウェーデンの老人ホームは静かな環境ではなく、ショッピングセンターの隣にありま す。要は自分でできる間は自分で買い物に行くということです。日本でも試してみよう と、東京・調布駅前のビルを老人ホームに建て替えたところ、大変な人気になりました。 ・ 高級温泉旅館「河口湖ふふ」は全室 10~20 万円で、2 人での利用が原則。全室に露天風 呂があり、大変おいしい食事を出します。今後は、こうしたアクティブシニアに向けた 施策を打っていきます。 ・ 「3K」観光ビジネスで現在、動いているのはゲートホテル雷門です。来秋にはザ・ゲー トホテル東京が有楽町にオープンします。1 室約 3 万円で、少し高級感のあるホテルで す。そのほか、ザ・ゲートホテル立誠京都、ザ・ゲートホテル両国を計画中です。 ・ ホテル投資では東京ベイ舞浜ホテル、グランドニッコー台場があります。 ・ 高級温泉旅館は 10 件程度の展開を目指します。 ・ 近畿日本ツーリストの顧客層はゲートホテルとは異なるので、日本ビューホテルで対応 していただくため、約 26%の筆頭株主になっています。
・ 「3K」環境ビジネスでは CO2削減に向け、長寿命化(100 年オフィス)やマサチューセ ッツ工科大学とともに、まったくエネルギーを使わない自然換気・自然採光システムの 開発に取り組んでいます。メガソーラー事業やアグリビジネスも展開しています。
4. 持続的成長のために
・ 成長しても安全性が損なわれては意味がありません。当社の外部格付けは A+です。三 菱地所と三井不動産が AA で、住友不動産と当社は 2 番目に高い格付けです。 ・ 2016 年、ROE は 10.7%に落ちましたが、2017 年は 12%近くになると思います。自己資 本比率も毎年上がっています。 ・ 当社は良い物件があったらすぐに買えるように、当座貸越枠、CP 枠、社債発行枠を合 わせて約 3,600 億円の枠があります。キャッシュで 2,000 億円であれば、いつでも買える よう、銀行から枠を頂きました。 ・ 成長性、財務健全性・安全性、効率性・労働生産性、株主還元のバランス経営を意識し ています。三菱地所、三井不動産、住友不動産などと指標を比べても、当社が上あるい は同等のものが目につきます。 ・ CSR(企業の社会的責任)への取り組みとして、ESG、すなわち環境(E)社会(S)ガ バナンス(G)を意識しています。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用対 象とする 3 つの株価指数すべてに採用された銘柄は不動産業では当社 1 社だけです。 ・ 環境(E)については日本経済新聞社「環境経営度調査」で 7 年連続部門第 1 位です。 ・ 社会(S)の社会貢献では日本障がい者バドミントン連盟のスポンサーを務めており、 当社保有の体育館を改修し、10 年間貸しています。また、介護福祉士を目指す学生を対 象に奨学金を出しています。 ・ 社会(S)の従業員では「ダイバーシティ経営企業 100 選」「なでしこ銘柄」「イクメン 企業グランプリ」などの表彰・指定を受けました。 ・ ガバナンス(G)では社外役員と社外監査役が 7 人、常勤が 8 人とバランスをとってい ます。社外取締役のうち 1 人は元 NHK キャスターの福島敦子さんです。役員の株式報 酬制度は導入済みです。 ・ 上場企業としては成長、安全、生産性のどれが欠けてもいけません。これらのバランス を高いレベルでとっていくことを経営で最も大切しています。 ・ 大企業と同じことをしていては資本力の差で負けてしまいますから、大企業とは違うこ とに挑戦しようと考えています。 ・ 企業は良い人材が集まるかどうかで成長・発展が決まります。社員には、できるだけの ことをして報いていきたい。人口が減少しても女性が男性と同じ比率で働ければ労働力 不足がしばらくは解消されます。当社は社内に保育所も設けました。 ・ 「変革とスピード」が当社の合言葉です。スピード感をもって対処していかないと企業 として生き残っていけません。5. 質疑応答
Q1. どのような基準でリートを決めていますか。 A1. 基本的には金額が大きい物件は半分ずつ保有します。当社が 50%、公募リートが 50% です。公募リートが要らないという場合、私募リートに回します。土地代・建築費な どで 50 億円以下の場合、当社は保有せず、そのままリートに入れる例が多いですね。 利回りが条件にあわなかったり、当社の公募リートはオフィス中心なので、そのほか の物件だったりするとリートに入れることができません。 Q2. 『ヒューリックドリーム』を読みました。変革の途中で崩れそうになったことはあり ますか。その場合、どのように克服しましたか。 A2. その本は私が会長になるとき、10 年間を振り返って書いたものです。毎年いろいろな 問題が起きましたが、トップが行うことは 3 つだけだと思っています。1 つ目は大きな 方向感を決めること、2 つ目は情報が 10%しかなくても判断すべきときには判断する ことです。数百億円の物件を買うときなどは大変怖いのですが、状況によって素早く 判断します。3 つ目は判断が失敗したら責任を取ることです。毎年 80~100 億円伸ばす ことは簡単ではありません。イライラすることもありますが、トップが、それを見せ たら終わりです。最後は自分がやるという気概があれば、何とかクリアできます。 Q3. 保有物件の 8 割が都心ということですが、地震対策には取り組んでいますか。 A3. 一番のリスクは東京直下型地震です。すべての物件で震度 8 まで耐えられるようにして あります。建築基準法の 1.25~1.5 倍の強度にしました。ただ、あくまでの机上の計算 なので、実際に地震が起きたらどうなるのかわかりません。阪神大震災の際、神戸市 にあった当社のビルはガラス窓が割れましたが、その他の被害はなく、業務を継続す ることができました。東日本大震災でも仙台市のビルは制震構造なのでエンピツ 1 本 倒れませんでした。地震対策には最も力を入れて取り組んでいます。 Q4. 大阪府で、さらにビルを建設する予定はありませんか。 A4. 紹介した 4 つのビル以外に京都府、奈良県で旅館やホテル、神戸市でも老人ホームを購 入しました。さらに大阪府で物件の話が 3 つ進んでいます。たぶん PPP になると思い ますが、病院が古くなり、建て替えをするニーズがたくさんあります。オフィスビル、 商業施設、ホテル、旅館、高齢者施設、病院など場所が良ければ今後も投資して、古 いビルの建て替えなどにも取り組みたいと考えています。 Q5. 日本の不動産マーケットについて、どのように考えていますか。 A5. 当社は東京都の物件が多いので、それにしぼると、良いか悪いかということは正直にいうと勝負になります。例えば、銀座通りに面しているから、すべてが良いわけでは ありません。四つ角であればショーウインドーを 2 面とれますから、地価や賃料は上 がります。当社は利回りが多少低くても、駅から徒歩 1~3 分のところを中心に購入し ています。新しい事業としては今後ニーズが強くなる老人ホームや、2016 年より、さ らに 480 万人増えたインバウンド向け施設などターゲットをはっきりさせて取り組み ます。ただし、総体的な不動産市場は厳しくなると見ています。 Q6.ホテル事業に自社ブランドで取り組む理由を教えてください。 A6. 他社に貸すことも考えています。ただ。当社が運営することで、いろいろなことを学 ぶことできます。貸してはいけない相手や貸す条件などが、わかるようになります。 PPP は土地を買わないことで利回りは良くなりますから、そうしたメリットを生かして ホテルに取り組もうと考えています。 以上