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Japan Advanced Institute of Science and Technology

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Academic year: 2021

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(1)

Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

動的論理に関する研究

Author(s)

町田, 拓

Citation

Issue Date

2002‑03

Type

Thesis or Dissertation

Text version

author

URL

http://hdl.handle.net/10119/1575

Rights

Description

Supervisor:小野 寛晰, 情報科学研究科, 修士

(2)

修 士 論 文

動的論理に関する研究

指導教官

小野 寛晰 教授

北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科情報処理学専攻

町田 拓

修了年月平成

­

(3)

目 次

はじめに

背景

本論文の構成

動的論理およびその周辺の体系

動的論理

論理

の 計算の体系

体系の に関する完全性

のセマンティクス

の健全性定理

の に関する完全性定理

のモデル存在定理

の完全性定理

計算の体系の完全性、有限モデル性

健全性定理

完全性定理

有限モデル性

体系の 除去定理とその応用

除去定理の証明のための準備

の 除去定理の証明

(4)

補間定理

結論

(5)

章 はじめに

背景

様相論理は古典命題論理では十分に説明することができない日常的な推論を扱うため、

「必然」、「可能」といった様相概念を表す演算子を導入し、その表現力を増したものであ り、この様相演算子に対しての解釈を変えることにより、様々な論理体系が構築できる。

動的論理( )は、プログラム毎にその実行状態を表す様相演算子を導入し た体系で、手続き型プログラム言語の仕様の記述やプログラムの正当性の検証のために用 いられる。

計算機とプログラムに関する論理の研究は年代後半に !"により始 められた。動的論理は、#$%による !& による

等を経て、年に' により導入された比較的新しい研究分野である。

動的論理を基礎とするいくつかの体系では未だ解決されていない重要な問題が存在し、そ れと同時に動的論理のソフトウェア科学への応用可能性の観点から、論理学と計算機科学 の両面からの研究が盛んに行われている。

動的論理においては、繰り返し演算子の存在が論理体系を複雑にする。未解決問題の 多くはこの繰り返し演算子に関わるものである。そのため、年に命題動的論理の繰り 返し演算子の性質を少し弱め#¾ の性質を持つ演算子に置き換えた論理が導入さ れた()。本研究では、この論理を中心に考察を進めていく。また対応する 計算 の体系の導入し、あわせてこちらの体系についても考察を進める。

(6)

本論文の構成

本論文は次のような構成を持つ。第章で動的論理、繰り返し演算子を置き換えた論理

およびその 計算の体系の基本的な概念について述べる。第章では、()で 展開されている の完全性の証明の紹介をする。第章では、論理の完 全性のカノニカルモデルを用いた証明を与える。続いて第章で体系の証明論的考察 を行い、 除去定理、補間定理の証明を示す。最後に第章で本研究のまとめを行う。

(7)

動的論理およびその周辺の体系

本章では動的論理および本研究で中心となる論理についての基本的な概念の説明を 行う。

動的論理

動的論理は様相論理の一種である。様相論理は命題論理を拡張したもので「必然」、「可 能」といった様相概念を表す演算子を導入してその表現力を増したものである。この様相 演算子に対しての解釈により、時間論理、認識論理といった様々な論理体系がある。動的 論理では、この様相演算子に対してプログラムの解釈を与えたものである。例えば、次の ようなプログラムを考える。

*+ $!

*,+

これは、

を代入する

の値がの値よりも小さいかを判定する

が成立する限りを加える

というプログラムである。動的論理において、上の例にある*および*,等の ようなコンピュータに仕事をさせる命令をプログラムと呼び、 のようなプログラム 中における変数の値などの状態を表すものを論理式と呼ぶ。ここで、*というプログ ラムを*,というプログラムを という論理式をとおく。すると、上

(8)

のプログラムは(連続的合成)、+ (繰り返し)、 -(テスト)の演算子を用いることによ り、動的論理において

+.-+/

+-

と表すことができる。上のつの演算子に更に(非決定的選択)を加えることにより、動 的論理においてどのような決定手続き型プログラムも作ることができる。

以下で基本的な動的論理である命題動的論理について紹介する。

定義 動的論理において使用される演算子は、以下のものである。

論理式に関する演算子

./ 論理結合子

プログラムに関する演算子

./ + 合成演算子

./ 選択演算子

./

繰り返し演算子

論理式、プログラム双方に関する演算子

./ ( ) 必然演算子

.0/ - テスト演算子

以下では、論理式すべての集合を1、命題変数すべての集合を1、プログラムすべての 集合を2、基本プログラムすべての集合を2とする。

定義 動的論理の論理式およびプログラム 動的論理において、論理式とプログラム は以下のように帰納的に定義される。

1

1

2

2

1ならば、 1

2ならば、 + 2

(9)

2 1ならば、( ) 1

1ならば、- 2

論理式の定義は( ) 1という条件によりプログラムに依存し、プログラムの定義は

- 2という条件により論理式に依存する。したがって論理式とプログラムの定義は別々 にすることができない。

1 2としたとき、主な合成プログラムおよび論理式の直観的な意味は以下の ようになる。

( ):をどのように実行してもそのあとが真

+:の実行に続きを実行

のどちらか一方を非決定的に選択し実行

を有限回(0回以上)実行

-:が真か偽かをテスト

可能性演算子 は、 ( )と定義される。また、主なプログラムは動的論 理の枠組みのなかで以下のように定義できる。

%

* -

0

* -

0

3

*

-+

-+

* .

-+

-+

/

+.

/-

0 !

* 0 3

* -+-+

$!

*

* .-+ /

+-

* +$!

* +.-+ /

+-

動的論理の公理としては、以下のものをとる。

(10)

定義 動的論理の公理系 動的論理の公理は次のものからなる。

古典論理において恒真であるすべての論理式

( ). /.( )( ) /

( ). /( )( )

()( )()

( +)( )()

(-) . /

( )(

)(

)

(

).( )/(

)

また動的論理の推論規則は次のものからなる。

./

./

( )

例 動的論理において以下は証明可能である。

(

)(

)(

)

(

)

(

)( )

証明

定義の公理より()().() ( )()/ ()()。また公理より

(

).(

)( )(

)/。よって./より()()()

定義の公理より明らか。

より( )() ( )。したがって定義 の公理より() ( )()。ゆえに

(

)( )。

(11)

論理

命題動的論理において、繰り返し演算子の存在は論理体系を複雑なものにする。例えば、

ある論理式中に( )というかたちのものが現れたとする。定義()( )() という公理より、()( )()に置き換えられるが、( )()()は、同 公理より再び( )()に置き換えられ、以下同じ事が続く。

このような繰り返し演算子が引き起こす複雑さを取り除き、しかも動的論理の持つ性質 の多くを保持した体系として、文献()において繰り返し演算子を様相論理#の必然演算 子¾に置き換えた論理が導入されている。この論理は命題動的論理より弱い体系であ るが、十分に強い表現力を持つ。¾は各基本プログラム毎にあるが、以下では議論を簡単 にするため基本プログラムを1つに固定する。本節では論理の基本的な説明を行う。

におけるプログラムおよび論理式の定義は、のそれに、

1ならば¾ 1 を加えたものである。

定義 論理の公理系 論理の公理は次のようなものからなる。

:古典論理のすべてのトートロジー

. /:( ). /.( )( ) /

.¾/:¾. /¾ /

.¾/:¾

.¾/:¾ ¾¾

.¾ /:¾ ( )

また論理の推論規則は次のようなものからなる。

./

.

¾ /

¾

(12)

以下では文献()に従って について説明する。まず、 で使わ れる記号を定義する。

定義 付値付き論理式 1であるとき、

4

を付値付き論理式という。ただし、 はが真であることを、4 が偽であること を表す。

1であるとき、

¾は ¾または4¿を意味する

( )または4 を意味する

¾は ¿またはを意味する

または4( )を意味する

上記の¾¾から様相演算子を除いたものを、添字を付けることにより表す。例 えば、¾ * ¾ならば、¾

* である。また、を論理式の集合としたとき、

¾

*

¾

¾

*

とする。以下に 規則をあげる。

論理結合子に関する規則 規則

. /

4規則

4. /

4 4

(13)

規則

. /

4規則

4. /

4

4

規則

./

4

4規則

4./

規則

. /

4

4規則

4. /

4

これら論理結合子に関する 規則を適用したときの結果は、 、4のような枝 分かれしないものと、4、 のような枝分かれをするものに分けられる。前者の形をし たものを論理式、後者を論理式とすると、それぞれに 規則を適用した結果は、

の形に一般化できる。論理式には . /4. /4. /4つがあり、

それぞれに 規則を適用した結果のは以下の表のようになる。

. /

4. / 4 4

4. / 4

4

同様に、論理式は . /4. / . /、 であり、それぞれに 規則を適用した結果の は以下の表のようになる。

. /

4. / 4 4

. / 4

4 4

(14)

以上は古典命題論理の 体系の規則である。これに次の規則を加えたものが 体系である。

¾規則

¾

¾

¾規則

¾

¾

¾

規則

¾

¾および規則の**は、これらの規則を適用することにより世界が変わることを意 味している。実際の の証明においてはによって世界が変わったことを示す。

定義 を以下のように定義する。論理式によ り証明するとき、

による証明は4から始まり、4である。

論理式が現れたとき、つまり

のとき、これに規則を適用して得られた

である。ただし、はこのにおいてより上に現れるすべての集合 とする。

(15)

論理式が現れた場合、つまり

のとき、これに規則を適用して得られた

である。ただし、はこのにおいてより上に現れるすべての集合 とする。

¾が現れた場合、つまり

¾

のとき、これに¾規則を適用して得られた

¾

¾

である。ただし、はこのにおいて¾より上に現れるすべての集 合とする。

¾が現れた場合、つまり

¾

のとき、これに¾規則を適用して得られた

¾

¾

¾

である。ただし、はこのにおいて¾より上に現れるすべての集 合とする。

(16)

が現れた場合、つまり

のとき、これに規則を適用して得られた

¾

である。ただし、はこのにおいてより上に現れるすべての集 合とする。

これらの手順で得られたもののみを論理式という。また、の一番上 にある4から一番下にある論理式までの一連の論理式の集まりを枝という。

定義 以下の条件を満たすとき、の枝は閉じているという。

枝上に任意の論理式に対し、 および4が存在する

枝上に が存在する

枝上に4が存在する

定義 ある論理式に対して、4から証明が始まるにおいてすべての枝が閉 じているとき、そのは閉じているといい、は証明可能であるという。

(17)

¾¾.( )/は で証明可能である。

4¾¾.( )/ ./

¾ ./

4¾. ( )/ ./

./

4./ 4¾.( )/ ./

¾ ./

4( ) ./

./

4( ) ./

¾ ./

4 ./

./

この例の場合、./は証明すべき論理式であり、これに4規則を適用した結果が./お よび./である。./¾を適用すると./が導け、./4を適用すると././が導 ける。./¾規則を適用すると././が導ける(この場合、././¾./

であり、./¾./¾ である)。./4規則を適用すると././が、./

規則を適用すると././が、./¾ を適用すると./がそれぞれ導ける。す ると、これ以上の規則の適用はできない。ここで、各枝についてみてみると、左側の枝に は 54././)があるので、この枝は閉じた枝となる。また右側の枝上にも 54

././)があるので、閉じた枝となる。ゆえにこの の枝はすべて閉じている ので、論理式¾ ¾.( )/は で証明可能である。

計算の体系

前節で論理の について説明した。本節では、このに対するゲンツェン流の 計算の体系 を導入する。その前に基本となる命題論理の体系について説 明する。

(18)

体系において、 の形をしたものを式. /と呼ぶ。

ただし、でもよい。この式の直観的な意味は、「までを仮定すると

が導かれる」ということである。の推論規則は一般に

または

の形をしており、この推論規則を6とすると、6の上式、6 の下式と呼ぶ。以 下では有限個(個を含む)の論理式を並べた列を78等のギリシャ大文字で表す。体系

の始式および推論規則を以下にあげる。

始式

という形の式、ただしは任意の論理式

構造に関する推論規則

$%規則)

78

78

./

78

78

./

規則)

8

78

./

78

78

./

9!規則)

7 28

7 28

./

78 :

78 :

./

( 規則)

78 2:

728:

./

規則の論理式を、 論理式という。

論理結合子に関する推論規則

(19)

7 8

./

78

./

78 78

78

./

78 78

78

./

78

78

./

78

78

./

78 2:

728:

./

78

78

./

78

7 8

./

78

78

./

定義 証明図と終式 証明図および終式を以下のように帰納的に定義する。

始式は証明図であり、その証明図の終式でもある。

を終式とする証明図であるとする。さらに

または

の推論規則の一つならば、

または

は証明図であり、その終式はである。

を終式とするような証明図が存在するとき、で証明可能であるといい、そ の証明図をの証明図という。

体系は、上記の¾( )に対する推論規則を付け加えることにより拡張した ものである。

定義 体系 体系は古典命題論理の計算の体系に、

¾¾の各規則に対応する以下の推論規則を付け加えたものである。

(20)

¾に対応

78

¾78 .

¾

/

¾に対応

¾7

¾7¾ .

¾

/

に対応

¾7:

¾7( ):( ) .

/

において¾ ¾.( )/は証明可能である。

¾ .

¾

/

¾ .

¾

/

¾ ( ) .

/

¾( )

. /

¾( )

./

¾ ¾. ( )/

.

¾

/

¾ ¾.( )/

./

(21)

体系

の に関する完全性

本章では()による論理の、 に関する健全性定理および完全性定理の証明を紹 介する。この定理の証明は多少複雑であるため、続く第章において別のアプローチによ る証明、すなわちフレームに関する完全性定理の証明を行う。

のセマンティクス

この節では、フレームという概念を用いて定められる のセマンティクスについて述 べる。

定義 フレーム を空でない集合とし、¾上の二項関係とする。この ときこれら3つの組.¾/フレームという。また、を可能世界の集合、そし ておよび¾を到達可能関係という。ただし、二項関係¾には

¾は反射的かつ推移的

¾

なる条件があるものとする。

定義 モデル .¾/フレームとし、 を各命題変数!に対して .!/

となるような写像とする。このとき を フレーム.¾/上の付値といい、

.

¾

/をモデルという。このモデルに対し、 の要素と論理式間の二項関 係*を以下のように帰納的に定義する。

*! .!/

(22)

*ではない

**ではない

* *かつ*

* *または*

* *ならば*

* *かつそのときに限り*

*( )

となる任意の に対し *

¾

となる任意の に対し *

関係*は付値 より一意に定まるので、以下では は*に置き換える。

定義 恒真な論理式 フレーム .¾/上の任意の付値*および任意の"

に対し" * となるとき、論理式.¾/で恒真であるという。モデル

.

¾

*/において、ある# に対し# となるとき、論理式.¾*/

において偽であるという。また、ある付値*に対して.¾*/ で偽であるな らば、フレームで偽であるという。

の健全性定理

この節と次の節では の健全性定理および完全性定理の証明を与える。

この証明は()に述べられている証明を部分的に改良したものである。これを示すために、

2つの補助定理を示す。

定義 .¾*/モデル、を付値付き論理式の集合とする。このとき、

に対して、任意の *となるとき、*と書く。

補助定理 .¾*/をクリプキモデル、を付値付き論理式の集合とする。この とき、となる任意の に対し、

*ならば *¾

¾

(23)

*ならば *¾

*

¾ならば*¾

証明

* ならば、定義より任意の に対して * のかたちがならば、

定義よりとなる任意の *。したがって *

、 つまり *。また、¾ ¾。よって、任意の¾ に対して、定義 より *¾。ゆえに *¾

¾

。したがって *¾

¾

¾

となる任意のをとる。¾および¾が推移的であることより、¾ である。したがって、任意の¾ で、*¾ならば *¾、すなわち¾ となる任意の *¾が得られるので *¾。ゆえに *¾

仮定より*¾なので、定義より となる任意の *¾¾は反射的 であるので 。よって*¾

定義 充足可能 論理式の集合に対し、あるモデルで*となる世界が 存在するとき、充足可能であるという。の一つの枝上のすべての論理式の集 合が充足可能であるとき、その枝は充足可能であるという。あるに対し、い くつかの枝が充足可能ならば、その充足可能であるという。

補助定理 充足可能なと仮定する。このとき、 にひとつの 規則を適用した結果得られる もまた 充足可能である。

証明

$を充足可能である枝とし、$に 規則を適用するとする。このとき、各 規則毎に考察する。

規則を適用する場合($*とし、これに規則を適用したものを$ * とする) $充足可能であるので、あるモデル%* .¾*/において

* かつ * となる が存在する。したがって定義より * かつ

*

。ゆえに$充足可能である。

(24)

規則を適用する場合($ *とし、これに 規則を適用したものを$ * および$ * とする) $充足可能であるので、あるモデル% *

.

¾

*/において * かつ * となる が存在する。したがっ て * または * である。ゆえに$または$のどちらかが 充足可能で ある。

¾ 規則を適用する場合($ * ¾ とし、これに¾ 規則を適用したものを$ *

¾

¾

とする) $ 充足可能であるので、あるモデル%*.¾*/

において * かつ * ¾となる が存在する。補助定理より

*

¾

。ゆえに$ 充足可能である。

¾規則を適用する場合($*¾とし、これに¾規則を適用したものを$ *¾¾ とする) $充足可能であるので、あるモデル%* .¾*/において

* かつ * ¾となる が存在する。ここで * ¾ならば定義より

¾

となるある が存在して、 *¾となる。また、補助定理よ り*ならば *¾。したがって$充足可能である。

規則を適用する場合($ * とし、これに 規則を適用したものを$ *

¾

とする) $充足可能であるので、あるモデル%*.¾*/

において*かつ*となる が存在する。ここで*ならば定義 よりとなるある %が存在して、 * となる。また、補助定理

および ¾より、 *ならば *¾かつ * 。ゆえに$ 充足可能である。

定理 の健全性定理 で証明できるならば、は任意のモデルで 恒真である。

証明

4より証明が始まる閉じた があると仮定する。4 充足可能であるとす ると、補助定理より、任意の規則を適用したものも充足可能ある。しかし、閉じた は充足可能ではないので、これは矛盾。したがって、4 充足可能ではな い。ゆえに任意の 、任意のモデルで*である。

(25)

の に関する完全性定理

この節では に関する完全性定理の証明を行う。これを示すために、まずは の を定義し、それを用いてのモデル存在定理を示す。

ここではの の定義をし、またそれに関する重要な補助定理の証 明を行う。

定義 を付値付き論理式の集合族とする。 が 任意の

において以下の条件を満たすとき、 という。

は と4を同時に含まない。また、4、 のどちらも含まない。

または &

¾

¾

¾

¾

¾

¾

定義 ' とし、' を付値付き論理式の集合 とする。このとき、任意の ( 'に対し( となるとき、' であるという。

補助定理 とし、 のすべての要素のすべての部分 集合を含んでいるものとする。このとき である。また、

'ならば'である。

証明

各定義毎に調べる。

が であることの証明

(26)

の要素はの部分集合であるが、は命題変数!及び!を持つような#は含 まない。したがっても同様にそのような#を含まない。4、 に関しても 同様である。

を仮定する。このとき、 となる が存在する。 であるので、 の構成及び

より、

を仮定する。このとき、 となる が存在する。 が であるので、 または の 構成及び より、 または

¾

を仮定する。このとき、 となる が存在する。¾の 定義より¾ ¾が であるので、¾¾

の構成及び¾¾

¾

¾

より、¾¾

を仮定する。このとき、 となる が存在する。 が であるので¾

。いま であるので、

定義より ¾ ¾の構成及び¾

¾

より、¾

¾

を仮定する。このとき、 となる が存在する。

であるので、 ¾

の構成及び¾

¾

より、¾

以上より、は である。

' であることの証明

( 'とする。このとき となる が存在。' であ るので( 。したがって、(( 。ゆえに' である。

補助定理 を部分集合で閉じたとし、 はすべての有限部分 集合がに含まれる集合から成り立つとする。このとき、

(27)

である。また、'ならば' である。

証明

であることの証明

ある命題変数!および!を含む が存在すると仮定する。このときこ の2つの論理式からなる有限集合はに含まれるはずである。しかし

なのでこれは矛盾。4 に関しても同様。

とし、さらに を仮定する。このとき、)

となる有限集合) が存在する。 よりのすべての有限 部分集合は に含まれる。よって、)自身の部分集合ではない、つまり、

の少なくともどちらか一方が)に含まれるはずである。いま) )))))

とする。このとき、

)

の部分集合であるが、)

)

の部分集合であるが、)

)

の部分集合であるが、)

のうちのいずれか、またはすべてが成り立つ。ここで) *) )

)

とすると、)の有限部分集合であり より)

) より) ) ) は部 分集合に関して閉じているので) 。これは上の三つのどれかがなりたつこ とと矛盾。したがって

とし、さらに かつ を仮定する。こ のとき、 より) となる有限集合) が存在。

よりのすべての有限部分集合は に含まれる。よって、)自 身の部分集合でない、つまり、 )。いま) )とする。このと き、)

)

。同様に) となる) が存在し、

)

)とすると、)

)

。ここで) *) )

と すると、)の有限部分集合であり より)

) なので) または) は部分集合に関 して閉じているので)

または)

、これは矛盾。した がって または

(28)

¾

とし、さらに¾ ¾

を仮定する。このとき、)

¾

¾

となる有限集合) が存在。¾ より)¾自 身の有限部分集合でない、つまり¾

)

。いま)¾

)とする。この とき、)

¾

)

¾

。ここで) * )

¾

とすると、)の 有限部分集合であり より) が なので

)

¾

¾

) の構成より)¾ *)¾。また)のすべての要素が¾に属す るので)

*)

¾

。したがって)¾ *)、これは矛盾。ゆえに¾¾

とし、さらに¾

を仮定する。このとき、

)

¾

となる有限集合) が存在。このとき

) に入る か否かの2つの場合に関して

./

) の場合。このとき) ¾。ここで ) *( ) .)

/.)

¾

/とすると、) より) ) は有限なの で) より) 、したがって )

が なので)

は部分集合に関して 閉じているので) 、これは矛盾。ゆえに¾

./

) の場合。)

)とする。このとき、) は有限で)

¾

/の場合と同様に)

が得られる。これは矛盾。

¾

とし、さらに¾

を仮定する。このとき、) ¾

となる有限集合 ) が存在。 より、) 自身の有限部分集合 であり得ない。つまり¾

)

。いま) ¾

) とする。このとき、

)

)

¾

。ここで) * ) ¾とすると、) は有限かつ

) 。また より) ¾

は部分集合に関して閉じているの で)¾

、これは矛盾。したがって¾

' であることの証明

( ' を仮定する。 より のすべての有限部分集合は に属する。

ここで)) であるような有限集合とすると) かつ' で あることより)( 。ゆえに(のすべての有限部分集合はに属する。

定義 集合族は、 となる任意のに対し、の任意の有限部分集合がに属す るときかつそのときに限り、 であるという。

命題 任意の')は

')に拡張できる。

(29)

証明

補助定理およびから導ける。

上の結果から、ツォルンの補題を用いて次のことが証明できる。

命題 とする。このとき、 に属する任意の集合に対し

となるような極大集合が存在する。

のモデル存在定理

ここではのモデル存在定理の証明を行う。この定理はの完全性定理を証明すると きに使われる。いま を とする。命題より、 となる

かつ3 ! であるようなが存在する。

定義 の固有モデル.

¾ *

/ を以下のように定義する。

の極大集合全体の集まり

*

に対し、* *

*

に対し、*¾ *

¾

、命題変数!に対し、* ! ! 補助定理 以下が成り立つ。

任意の* *¾

*

任意の* ¾

*かつ*¾

ならば¾

任意の* *

ならば*¾

証明

定義より*¾*、したがって*¾

*。

¾

*かつ*¾

であると仮定する。すなわち、¾ **¾ *。定義より" #

"

¾

#

¾であるので、¾¾ *¾。また、"¾¾ *"¾であるので、¾ *¾ 。した がって、¾ 。ゆえに¾

(30)

*

を仮定し、さらに任意の¾ *とする。このとき、 /より( ) *

*

より 。したがって*¾ 。

定理 のモデル存在定理 であるとする。

ならば充足可能である。

証明

を とし、さらに 、つまり を仮定する。こ のとき 充足可能であることを示す。ここで、定義で定めたモデルを考える。

このモデルは補助定理よりモデルである。以下では

任意の 、付値付き論理式(に対し、( ならば*(

が成り立つことを示す。この付値付き論理式(のサイズによる帰納法により証明する。

基底段階

(のサイズがのとき、( !または4!である。ただし、!は命題変数。このとき、

! *

!、よって*!

4! ! 、つまり* !、よって*!

帰納法の仮定

任意の 以下のサイズの各付値付き論理式において、( ならば

*( とする。

(のサイズ+とする。(の形により以下のように場合分けする。

( * のとき が であることより ならば

。よってが極大であることより 。ゆえに帰納法の仮定 より*かつ*。したがって*

( *のとき が であることより ならば または 。よってが極大であることより または 。ゆえ に帰納法の仮定より*または*。したがって*

( *

¾ のとき が であることより¾ ならば¾

¾

。ここでにおいて¾¾

を極大に拡張したものをとする。この とき ¾

および¾のサイズが¾より小さいので帰納法の仮定より

*

¾

。また¾より¾。ゆえに*¾

(31)

( *

のとき であることより ならば

¾

。ここでにおいて¾

を極大に拡張したものをとす る。このとき

および のサイズがより小さいので帰納法の仮 定より *。また より。ゆえに*

( *

¾のとき ¾(つまり¾ )となる任意の をとを考える。

¾

ならば¾ ¾¾ より¾ 。ゆえに が であることより ¾

において極大であるので¾

。帰納法 の仮定より * ¾。よって¾となる任意の * ¾。以上より

* 。

( *

のとき (つまり )となる任意の を考える。

ならばの定義より

より。帰納法の仮定より *。した がってとなる任意の *。ゆえに*

の完全性定理

定義 付値付き論理式の集合は、の閉じたが存在しないとき無矛盾 であるという。

補助定理 をすべての無矛盾集合からなるクラスとする。このとき

である。

証明

とする。がある命題変数!!を同時に含むと仮定すると、の閉じた が存在する。よって 無矛盾ではない、つまり 。これは矛盾。し たがってはある命題変数!!を同時に含まない。4 に関しても同様。

を仮定し、 とする。このとき

$

参照

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