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空中超音波法を適用したコンクリートの内部探査に関する基礎的研究

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(1)

Cement Science and Concrete Technology, Vol.73

空中超

波法を適用

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クリートの内部探査に関する

基礎

的研究

金森戴司

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関俊力

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頼古繁喜

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山田和夫本3

*1株式会社フジタ 建築工事部(干151-8570東京都渋谷区千駄ヶ谷4-25-2修養団SYDピル) 勺 愛 知 工 業 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科(〒470-0392愛知県豊田市人草町八千草1247) キ3愛知工業大学 工学部建築学科(〒470-0392愛知県豊田市八草町八千草 1247) 要旨・ 本研究では、コンクリート造建築物の経年劣化を評価対象とした空中超音波法の適用性を確認する ための基礎的研究として、経年劣化の原因となるひび割れおよび鉄筋 .PC銅棒の腐食劣化に影響するコ ンクリート充填不良部の探査精度について実験的検討を行った。その結果、空中超音波法を適用すること によってコンクリート表面に投影されるひび割れの投影面積、鉄筋周りの幅 4.5mm 以上の充填不良部お よびシース管位置の評価は可能であるが、ひび割れの角度、鉄筋位置およびシース管内部のグラウト充填 不良部を評価することは、内部探査に用いる評価指標に関わらず困難であること、などが明らかとなった。 キーワード:コンクリート、非破壊試験、内部探査、空中超音波法、自動計測、平均伝搬速度、振幅値

1

は じ め に 筆者らは従来から既存コンクリート造建築物の検査・ 診断技術の確立を目的として、各種弾性波法を適用した 非破壊試験方法について検討を行っている!lが、これら の試験方法では何れも弾性波の入力 ・検出用変換子をコ ンクリート表面に密着させて測定するため、変換子とコ ンクリート表面との密着度の差異が測定結果に影響を及 ぼす問題を有している。これに対して本研究で対象とす る空中超音波法は、 ~i~性波の入力 ・ 検出を非接触で行う ことができるため、変換子とコンクリート表面との密着 度を向上させるための接触媒体を使用する必要もない有 用な試験方法と して期待できるが、コンクリート分野に 関しては研究成果正治も少なく不明な点が多い。 筆者らはこの点を踏まえて、これまでに空中超音波 法をコンクリートの内部探査方法として実用化するた めの基礎的研究として、空中超音波法による内部探査 結果に及ぼす試験体厚さ(l 5~95mm) 、骨材寸法(0.6 ~25mm)、埋設物の種類(空洞と鉄鋼)および存在位置 (内部と表層)、仕上げ材料(石膏 ボードと鋼板)の影響 について実験的検討ト7)を行った。その結果、骨材寸法 が 5mm以下のモルタル試験体で厚さが 95mmまでの 範囲では、何れも精度の良い内部探査結果が得られるこ と4.5)、骨材寸法が 5mm以上のコンクリートでは、骨材 寸法が大きいほど伝搬超音波の散乱が著しく、探査精度 が低下すること6)を示した。また、日iJ報7)ではコンクリー トの内部探査の対象として初期欠陥を取り上げ、探査結 果に及ほす初期欠陥の種類、大きさ、厚さおよび埋設深 さの影響についての検討、並びに探査結果の推定精度向 上方法について実験的検討を行い、コンクリートの内部 探査を目的とした空中超音波法の適用性を確認した。 本研究では、引き続きコンクリート造建築物の経年劣 化を評価対象とした空中超音波法の適用性を確認するた めの基礎的研究として、経年劣化の原因となるひび割れ および鉄筋・PC鋼棒の腐食劣化に影響するコンクリー ト充填不良部の探査精度について実験的検討を行った。 なお、本実験では、筆者らによる既往の研究ト7)で、現 有の空中超音波計測装置を用いて精度の良い内部探査結 果を得ることが確認できている骨材寸法が 5mm以下の モルタルで厚さが 75mmの試験体を用いることとした。

2

.

実験の概要 2. 1 試験体 本研究では、内部探査の対象に応じて Table1および Fig 1に示すような3シリーズのモデル実験を実施した。 Table 1 Outlineof experiments (a) Experiment-1 (b) Experiment-2 (c) Experiment-3

(2)

Cement Scienceand ConcreteTechnology, Vo1.73 86 86

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(a) Experiment-1 (Evaluation: Crack) (c) Experiment-3 (Evaluation : Filling defect in sheath tube of φ30mm) 90 (b) Experiment-2 (Evaluation : Filling defect around steel bar) (d) Experiment-3 (Evaluation: Filling defect in sheath tube ofφ50mm)

Fig. 1 Shape and sizeofspecimen

(1)実験一1 本実験は杢中超音波法によるひび割れ探査の適用性に ついての検討を目的としたもので、長さ×幅×厚さが3

x おOx75mmの試験体内部に、長さ×幅×厚さが 50x50x 5mmのひび割れモデル(発泡スチロール。なお、閉口した ひび割れ境界面では、ひび割れ幅に関わらずコンクリート内 部を伝搬した超音波は全反射すると考えられるため、試験 体製作上の都合によりひび割れ厚さを 5mmとした)が角度 を 30、45、60および叩。に変化させて埋設しである試験 体を使用して、ひび割れの探査精度に及ぼすひび割れの寸 法と設置角度の影響について検討を行った(Fig.l(a)参照)。

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実験

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2

本実験は鉄筋腐食に影響する鉄筋周りのコンクリート 充填不良部を探査の対象とした空中超音波法の適用性に ついての検討を目的としたもので、長さx幅x厚さが 300 x 250 x 75mmの試験体内部に、直径 16mmの鉄筋 を挿入した後、鉄筋周りのコンクリート充填不良部をモ デル化した直径×長さがめ25x50、ゆ30x50、φ40x50 および φ50x50mmの発泡スチロールを設置した試験体 を使用して、鉄筋周りのコンクリート充填不良部の探査 精度について検討を行った (Fig.1 (b)参照)。 (3)実験-3 本実験は PC鋼棒の腐食に影響を及ぼすシース管内 156 部のグラウト充填不良部を探査の対象とした空中超音波 法の適用性についての検討を目的としたもので、長さ X Ip~X 厚さが 300x 250 x 75mmの試験体内部に、直径 16mmの鋼棒を挿入した内径が φ30およびゆ50mmの 亜鉛メッキ銅製の標準型スパイラル ・シース管内部にグ ラウト (PCグラウト材)の充填不良部をモデル化した長 さ 20、30、40および 50mmの発泡スチロール(発泡ス チロールの直径:シース管内径と同寸法)を設置した試 験体を使用して、空中超音波法によるシース管内部の グラウト充填不良部の探査精度について検討を行った (Fig.1 (c)および(d)参照。) 2.2 試験体の作製方法 本研究では、何れの実験も目標フロー値を 200:1:10に 設定したモルタルを使用し、普通ポルトランドセメント および最大寸法が 5mmになるようにふるい分けた豊田 産の山砂(表乾密度ー 2.54g/cm3)を用いて試し練りによ り調合を決定した。本実験で用いたモルタルの標準調合 表を Table2に示す。モルタルの打設は、測定面が側面 となるように発泡スチロール、鉄筋、鋼棒を挿入したシー ス管を所定位置に設置した木製型枠に 2層に分けて行い、 各層をテーブル・パイプレータで十分に締回めた。なお、 シース管内部のグラウト充填不良部は、グラウト充填不 良部をモデル化した発泡スチロールをシース管内部の所 定位置に挿入した後に PCグラウ ト材を注入して作製し た。試験体は材齢 l日で脱型し、試験体質量が一定とな るまで実験室内で放置した後に各種の計測を行った。 2.3 計測方法 計測に際しては別報7)と同様に、空中超音波浪1)定装置(超

(3)

Cement Science and Concret巴Technology,Vo1.73

Fig. 2 Location of input and sensing probe Boundary Surface ZI=ρl・Cl Z2=ρ2・C2 • Reflectance

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Inpu & Sensing Probe Fig. 3 Measuring area and scanning line

評価指標として用いた内部探査の適用性について検討し た。ただし、介在物埋設部で検出された透過超音波の相 対振幅自乗平均値は、介在物の種類(音響インピーダン の大小)に関わらずコンクリート部と比較して小さくな るため、介在物の種類を評価することが不可能である。 そのため、本研究では、更に介在物の種類を評価するこ とを目的と して、検出された透過超音波の伝搬時間(関 値法で求めた)と試験体厚さから算出される平均伝搬速 度を用いた評価方法について検討した。また、より汎用 性のある評価指標の提案を目的として、相対振幅自乗平 均値と平均伝搬速度の積を使用することの適用性につい ても検討を行った。なお、相対振

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自乗平均値と平均伝 搬速度の積を算出する際の前処理として、それらの値を 最大値で除して無次元化を行った後に積値を求め、更に 積値を自乗して数値l隔を拡大させる工夫をした。

3

.

実 験 結 果 と そ の 考 察 3. 1 振幅値および伝搬速度に及ぼすひび割れの影響 Fig 5および Fig.6はそれぞれ実験一Iのひび割れモ デルとして、発泡スチロールを埋設した試験体の相対振 幅自乗平均値と平均伝搬速度(変換子問距離(120mm)/ 超音波伝搬時間)および A-A'測線(Fig.1 (a)参照)で計 測した検出超音波波形と測定位置との関係を示したもの である。なお、図中の赤色の点線で示した枠内がひび割 れ部を示している。これらの図によれば、試験体表面に 対して 30。と 450 の傾き(Fig5左図)で設置したひび割 れ(発泡スチロール)部では、超音波の透過率が小さ し かっ試験体表面へのひび割れの投影面積が大きいため、 Fig.6から明らかなように、ひび割れ部を迂回して伝搬 した検出超音波の距離減衰が著しく、相対振l幅自乗平均 値(図中の・印)および平均伝搬速度(図中の

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印)ともに モルタル部と比べて著しく小さな値を示しており、モル タル内部に存在するひび割れの正確な評価が可能である ことがわかる。これに対して、試験体表面に対して 60。 と 90。の傾き(Fig.5右図)で設置したひび割れ(発泡スチ ロール)部の相対振幅自乗平均値は、モルタル部と比べて 小さな値を示してはいるが、大差ない傾向を示している。 これは、 試験体表面に対してひび割れの角度が急である

(4)

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Fig. 5 Examples ofaverage relativewave amplitudeand average wave velocity(Experiment-1: CRACK-75 specimen)

(c) C-C' section with crack 0.4 0.3 ω -g0.2 a E 0.1 〈 ま0.0 r電 宝 山0.1 〉 “ 202 0.3

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RACK-7S Location:190mm卜 Timeμ(s) 寸 寸 寸 0 .4 (a) Location: 100mm (b) Location: 150mm (c) Location・190mm

(Cracked paはof300 angle) (Non-cracked part) (Cracked paはof450 angle)

Fig. 6 Examples of measuring wave (Experiment-1 : A-A' section of CRACK-75 specimen)

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Fig. 7 Examples of average relative wave amplitude and average wave velocity(Experiment-2: STL -AIR-75 specimen)

と試験体表面へのひび割れの投影面積が小さいため、モ ルタル部を伝搬した超音波とひび割れ部を迂回して伝播 した超音波との伝搬距離の差が小さく、検出超音波に及 ぼすひび割れの影響が低下するためと考えられる。 3.2 振幅値および伝搬速度に},zぼす鉄筋周りのコンク リー卜充填不良部の影響 Fig 7および Fig.8はそれぞれ実験 2の鉄筋周りの 充填不良部のモデルとして、鉄筋周りに発泡スチロール が設置されている試験体の相対振幅自乗平均値と平均伝 搬速度および B-B'測線 (Fig.1 (b)参照)で計測した検出 超音波波形と測定位置との関係を示したものである。な お、前掲の Fig.5と同様に、図中の赤色の点線で示した 枠内が鉄筋周りの充填不良部を示している。これらの図 によれば、音響インピーダンスの著しく小さい充填不良 領域(発泡スチロール設置部)以外に充填不良のない鉄筋 位置においても超音波の透過率が低下するため、検出超 音波は減衰して (Fig.8参照)、鉄筋位置および充填不良 158 領域の相対振幅自乗平均値(図中の・印)はモルタル部と 比べて著しく小さな値を示しており、鉄筋位置および鉄 筋周りの充填不良領域を容易に評価することが可能であ るといえる。これに対して、鉄筋位置および充填不良領 域の平均伝搬速度(図中の

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印)はモルタル部と比べて若 干小さな値は示しているものの、大差ないことがわかる。 なお、鉄筋の縦波速度が母材であるモルタルと比べて速 いにも関わらず充填不良のない鉄筋部の平均伝搬速度が モルタJレ部よ りも遅くなっている原因とーっとしては、 介在物周りの波動伝搬特性の考察を行った別報8)でも述 べているように、鉄筋と母材モルタルとの界面に弱層が 存在していると、その界面において超音波の透過率が極 端に低下するため、見掛け上、鉄筋を迂回して伝搬到達 した超音波が初動として検出されることが考えられる。 3.3 振幅値および伝搬速度に及ぼすシース管内部のグ ラウト充填不良部の影響 Fi

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9および Fig.10はそれぞれ実験-3のグラウト充

(5)

C巴mentSci巴nceand Concrete Techno1ogy, Vo1.73 H STL-AIR-75 Location:200mm卜 Time(μ'1 0.4 0.3

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Examples of measuring wave (Experiment-2 : B-B'section of STL -AIR-75 specimen)

ー0.4 (a) Location : 100mm (Steel paバofφ16mm) -0.4 Fig.8 ( ω ¥ 巨 一d b E G o - ω ﹀ ω ﹀ @ 主 ω 岡 崎 ﹂ ω ﹀ ︿ 0 0 0 5 3 4 2 1 0 0 m 7 ﹂ヨヰ111J 1 1 斗 寸 ﹂ │ 止 o

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(Experiment-3: GROUT50-75specimen) (b) B-B' section with filling of grout (a) A-A' section with filling defect of grout Fig.10 ル部と比べて小さくなってはいるが、大差ない値を示し ている。これは、シース管の内径が30mmと細いため、 グラウト充填不良部のシース管を迂回して伝搬する超音 波の到達時間とモルタル部を直線伝搬する超音波の到達 時間との差が小さいことに因るものと考えられる。一方、 シース管の内径が50mmの場合 (Fig.10参照)には、図 中の赤枠で示されているシース管部(グラウト充填部お よび不良部(発泡スチロール設置部))の平均伝搬速度は、 Fi

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9に示したシース管の内径が 30mmの場合と比較し て更に小さな値を示している。これは、Fig11に示すシー ス管内部のグラウトが充填されている箇所(Fig1 (d)の B-B・測線)で得られた超音波の検出波形と測定位置との 関係から明らかなように、グラウトが充填されている箇 所のシース管であっても、前述のように、母材モルタル 填不良部をモデル化した発泡スチロールがシース管内に 設置されている試験体の相対振幅自乗平均値および平 均伝搬速度と測定位置左の関係を示したものである。な お、前掲のFig.5と同様に、図中の赤色の点線で示した 枠内がシース管内のグラウト充填不良部(発泡スチロー ル設置部)を示している。これらの図によれば、シース 管径に関わらずグラウト充填部および充填不良部(発泡 スチロール設置部)の相対振幅自乗平均値(図中の・印) は、モルタル部と比べて著しく小さな値を示しており、 シース管の存在は容易に評価できるが、グラウト充填不 良部を評価することは困難であるといえる。これに対し て、図中の赤枠で示されているシース管部(グラウト充 填部および充填不良部)の平均伝搬速度(図中の

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印)は、 シ←ス管の内径が30mmの場合(Fig.9参照)にはモルタ

(6)

Cement ScienceandConcrete Technology, Vol.73 I--jGR口UT50-75 ~ -lo'cation:200mm卜 --z rTime(凶) 十ートー 1ートー 0.4 0.3 ~ -g0.2 H a E 0.1 《 ~ 0.0 o :;: QI-O.l

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Examples ofmeasuring wave (Experiment-3 : B-B' section of GROUT50-75 specimen)

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Examples of internal evaluations by using average relative wave amplitude and average wave velocity

の寸法の違いをかなりの精度で評価できているが、試験 体表面に対するひび割れの角度が急になるに従って、ひ び割れの検出精度が徐今に低下する傾向を示しているの がわかる。これに対して、内部探査の評価指標として平 均伝搬速度を用いた場合(Fig12(a)右側)には、相対振 l陪自乗平均値を用いた場合と比較して、ひび割れの寸法 の検出精度がかなり劣る傾向を示しており、特に試験体 表面に対するひび割れ角度が急で、投影面積の小さいひ び割れの場合は、モルタル部を伝搬した超音波とひび割 れを迂回伝搬した超音波との伝搬距離の差が殆ど無いた め、 平均伝搬速度の差も小さく、ひび割れの検出が極め て困難になっているのがわかる。 次 に 鉄 筋 周 り の 充 填 不 良 部 を モ デJレ化した試験体 (Fig. 12(b)参照)については、内部探査の指標として相 対振幅自乗平均値を用いた場合(Fi

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12(b)左側)には、 鉄筋と充填不良部(発泡スチロール部)との寸法の違いを とシース管との界面またはグラウトと PC鋼棒との界面 に弱層が存在していると、超音波がシース管または PC 鋼棒に到達した時点で著しく減衰するため、シース管径 が 30mmの場合に比べて伝搬距離が長くなるシ←ス管 迂回超音波が初動として検出されるためと考えられる。 3.4 内部探査結果に及ぼす評価指標の影響 (1)評価指標に振幅値と伝搬速度を単独で用いた場合 Fig.12は検出超音波波形の相対振1幅自乗平均値およ び平均伝搬速度に着目した内部探査結果をコンター図に よって示した例である。なお、図中の黒色の破線は、ひ び割れ、鉄筋、鉄筋周りの充填不良部、PC銅棒およびシー ス管内部の充填不良部の位置を示している。これらの図 によれば、まずひび割れをモデル化した試験体(Fig.12 (a)参照)に注目すると、内部探査の評価指標として相対 振幅自乗平均値を用いた場合(Fig.12 (a)左側)では、モ ルタル内部に設置したひび割れモデル(発泡スチロール) Fig.12 160

(7)

CementScienceand Concr巴teTechno1ogy, Vo1.73

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(a) CRACK-75 specimen (b) STL-AIR-75 specimen (c) GROUT30-75 specimen (d) GROUT50-75 specimen

Fig. 13 Examples ofinternal evaluations by usingsquared product of

average relative wave amplitude and average wave velocity

評価することは可能であるといえる。なお、鉄筋周りに 充填不良部が存在しない位置において、鉄筋の存在を認 識できていない領域が存在しているが、これは、鉄筋の 直径が 16mmと細く鉄筋を迂回して伝搬した超音波の 減衰も小さいため、超音波の伝搬経路に存在する鉄筋 の影響を顕著には受けないことに因るものと考えられ る。これに対して、内部探査の評価指標として平均伝搬 速度を用いた場合 (Fig.12(b)右側)には、充填不良部(発 泡スチロール部)の評価は可能ではあるものの、その検 出精度は相対振l隔!当乗平均値を用いた場合と比較して悪 く、鉄筋周りの充填不良部においてもモルタル部の赤色 に近づく傾向を示している。また、評価指標として平均 伝搬速度を用いた場合は、鉄筋の存在を評価できていな いが、これは前述のように鉄筋の直径が 16mmと細く 、 モルタル部を伝搬した超音波と鉄筋を迂回伝搬した超音 波との伝搬距離の差が殆ど無いためと考えられる。 Fig 12(c)および (d)はシース管内部のグラウ ト充填 不良部をモデル化した試験体に関する内部探査結果をコ ンター図によって示したものである。これらの図によれ ば、内部探査の評価指標として相対振幅自乗平均値を用 い た 場 合 (Fig.12(c)および (d)の左側)には、シース管 の内径に関わらず、シース管の寸法は良く評価できてい るのがわかる。ただし、前述したように、グラウトが充 填されている箇所のシース管であっても、超音波がシー ス管に到達した時点で著しく減衰してしまうため、シー ス管内部のグラウト充填部と充填不良部(発泡スチロー ル部)とを区別して評価することは困難で、あるといえる。 また、内部探査の評価指標として平均伝搬速度を用いた 場 合(Fig.12 (c)および(d)の右側)も、シース管の存在 の評価は可能ではあるが、シース管内部のグラウト充填 不良部(発泡スチロール部)の探査は困難であることがわ かる。特にシース管の内径が 30mm(Fig.12(c)参照)の 内部探査結果は、内径が 50mm(Fig.12(d)参照)の場合 と比べて、推定精度が更に低下する傾向を示している。 (2)評価指標に振幅値と伝搬速度の積を用いた場合 Fig 13は無次元化した検出波形の相対振幅自乗平均 値と平均伝搬速度の自乗積に着目した場合の内部探査結 果をコンター図によって示した例である。別報7)で示し た初期欠陥として表面欠陥と内部欠陥を対象とした内部 探査結果では、内部探査の評価指標として上述の相対振 幅自乗平均値と平均伝搬速度を単独で用いた場合のそれ ぞれの欠点をそれらの自乗積を用いることで相互に相殺 し、内部探査結果の精度向上することを報告したが、こ れらの図によると、相対振幅自乗平均値と平均伝搬速度 を単独で用いた場合の平均的な内部探査結果となってい ることがわかる。これは、 前掲の Fig.12からも明らか なように、本実験で対象とした内部探査結果では、何れ も平均伝搬速度を評価指標として用いた場合よりも相対 振幅自乗平均値を用いた場合の方が優れた内部探査結果 となっているためと考えられる。

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結論 本研究の結果はおよそ以下のように纏められる。 1) コンクリート内部に発生したひび割れの探査を目的 とする場合には、内部探査の評価指標として相対振 幅自乗平均値を用いることによって、コンクリート 表面に投影されるひび割れの投影菌積を評価するこ とは可能であるが、ひび割れの角度は評価できない。 2) RC構造物の鉄筋周りの充填不良部の探査を目的とす る場合には、内部探査の評価指標として相対振幅自 乗平均値を用いることで、鉄筋位置および鉄筋周り のl隔4.5mm以上の充填不良部の評価が可能である。 3) ポストテンション PC構造物のシース管内部のグラ ウト充填不良部の探査を目的とする場合には、内部 探査の評価指標として相対振幅自乗平均値を用いる ことによって、シース管の位置と寸法を評価するこ とは可能であるが、グラウト充填不良部を評価する ことは内部探査の評価指標に関わらず困難である。 本実験および空中超音波に関する筆者らによる既往の 実験4-7)では、何れも表面が平滑な試験体を用いている が、内部探査の評価指標として平均伝搬速度を用いると、 厚さが 5mm程度の表面欠陥の存在を精度良く評価でき る結果が得られている6)ため、試験体表面の凹凸程度の 差異によって探査結果が影響を受けることも考えられ

(8)

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る。この点については今後詳細に検討する必要がある。 謝辞・ 本実験の実施および実験結果のデータ整理に際して多 大なるご助力を得た愛知工業大学山田研究室学部生の安 藤亮雅君および大野剛史君、並びに 2次元自動走査型 測定装置の試作に際してご協力を得たジャパンプロープ (株)の菊池和幸氏、 三和機器製作所の鳴浮博之氏および (株)モデストの佐藤一平氏に対して謝意を表します。ま た、本研究費の一部は愛知工業大学教育・研究特別助成 (研究)費を使用したことを付記し、謝意を表する。 参 考 文 献 : 1) 関俊力、小野晃、山田和夫 弾性波トモグラフィ法 によるコンクリートの内部探査の推定精度、コン クリート工学年次論文集、

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市橋清吾、河辺伸二.空気伝搬超音波による

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パネルタイル張りの浮きの検知に関する研究、日本 建築学会東海支部研究報告集、第

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関俊力、瀬古繁喜、山田和夫:空中超音波法を適 用したセメント系複合材料の内部探査の適用性、 コ ン ク リ ー 卜工学年次 論 文 集、

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5) 関俊力、瀬古繁喜、山田和夫 コンクリートの内部 探査を目的とした空中超音波法の適用性、第

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6) 金森裁司ほか 空中超音波法を適用性したコンク リートの内部探査結果に及ぼす粗骨材および仕上げ 材の影響に関する基礎的研究、 第

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7) 金 森 毅 司 ほ か 空中超音波法を適用したコンク リ ー 卜 の 内 部 探 査 の 精 度 向 上 に 関 す る 基 礎 的 研 究、コンクリート工学年次論文集、

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8) 山田和夫ほか 弾性波トモグラフィ法によるコンク リートの内部探査に関する研究(波動伝搬特性に及 ぼす介在物の影響)、第

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参照

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