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先進小売業の流通システム革新への戦略対応-香川大学学術情報リポジトリ

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香 川 大 学 経 済 論 叢 第70巻 第 3号 1997年 12月 187-198

研究ノート

先進小売業の流通システム

革新への戦略対応

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は じ め に

原 田

インターネットの急速な発展が,情報システムの発展のみならず,社会システム, ビジネスシステム,そして生活システムにまでグローパlレなパラダイム転換を誘発さ せている。そして,小売業を取り巻く競争関係も,従来の個別企業聞の競争からコラ ボレーションを志向した企業間連携に基づく大競争時代に突入することになった。こ のような過程で,規模の生産性に依拠したサプライチェーンが崩壊し,よりカスタマー レディの流通システムが現出しようとしている。 したがって,小売業が顧客の支持に裏付けられた流通システムのヘゲモニーを獲得 するには,従来とはまったく異なる戦略対応が要請されてくる。すなわち,第1はプ ロシューマ一時代に適合的なシステム,第2はナイキタウンに特徴的なエンターテイ メント化指向,第3は高付加価値による顧客満足の獲得,第 4はカタログデータベー (5) スによる企業間連携,第5はオ}プンソーシングによるグローパル対応なのである。 (1) この研究は,筆者と筆者の株式会社西武百貨庖の部下であった小中貴文(現情報システ ム部リーダー)との共同研究の一部である。

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部門間や企業の壁を取り払って,柔軟な組織構造や情報の共有化を実現させて個人や 企業の交流を活発化させるコラボレーティブな活動である。 ( 3 ) 消費者が自己実現を志向してより高い付加価値を求める消費者を起点として流通シス テムを捉える思想、である。 ( 4 ) プロデューサーとコンシューマーの合成語である。米国の未来学者であるアルピン・ト フラーが著書の『第3の波』の中で予言した,自ら生産し(プロデユース)消費する(コ ンシューム)近未来型の消費者の発展形態である。

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-188- 香川大学経済論議 548 2 プロシューマ一時代に適合的なシステム

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世紀の終震を控えている現在,生活者主導による消費社会の組み替が行われると いう画期的な時代の変化が現出している。すなわち, アノレビン・トフラーがいったプ ロシューマ一時代が本格的に到来して,小売システムにおけるこのような動向への根 本的な対応が強く要請されはじめている。このような状況下で,昨今における消費者 行動の主な潮流は, エンタイテーメント化とコンビニエンス化が両軸であり, これら を中心にしながら現在では新たなリテイルシステムが模索されている(図1)。たとえ ば,顧客自身が自ら参画して,商品企画の実践や電子ファッションショーの開催を行 うことなどもすでに可能になっている。また,顧客が積極的に評論ができるコミュニ ティスペースの設置や, その場ですぐに何でも注文できるコンビニエンス性の提供な ども容易に行われでもいる。そしてまさにこのような現象は生活者のプロシューマー ヲ"",",:-ト! ( 5) 図1 消費行動の二極化現象へのリテイノレシステムの対応

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時間、空間の消費

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、理的な消費

三三吾壬

プロシューマ一

対応システム

「パーソナルゎマーケテイングj 標準化された業務を戦略的にマルチな型態で外部に委託して運営することである。

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先進小売業の流通システム革新への戦略対応

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化への転換に順応できるリテイルシステムの誕生を意味するのである。 従来では,小売サイドが消費者を顧客として固い込んだものだが,昨今では,逆に 消費者サイドがかつて専門家であった小売などに外部化していた生活領域を,積極的 に内部化する傾向を強めている。このような現象は,また小売にとっても好都合であっ このように顧 て,いわば労働コストの外部化が可能になることでもある。もちろん, スーパー 客に小売の仕事の一部分を担ってもらうシステムは目新しいものではなく, マーケットなどがすでにセルフサービスなどで実践済みのシステムなのである。顧客 はこのシステムを活用することで自ら庖内においてカートを引きながら商品を探すこ より低価格な商品を購入することができる。このように,商品の提供者た とができ, るサプライサイドが担うべき機能の一部を次第にデマンドサイドの消費者が取って代 そしてサプライヤーは利 わっている。このことで生活者はコンビニエンスを入手し, l i b i -; 1 i l i -? を l ι f i トー 益を入手するのである。たとえば,数年前からブームになっている個人輸入なども, これなどはまさに流通における このような文脈に基づいた説明が可能になるわけで, ロジスティックス視点に立脚したプロセスカットの代表的な事例なのである。この個 人輸入は,我が国においては未だ規模は小さいが,米国においてはデジタル化の進展 にもよって,

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年の段階ですでに

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億ドルの売上高にまで成長をとげている。 マスマーケティングによるプロダクト・アウト これまでの成長経済期においては, 型がマーケティング戦略の主流であって,生産者を中心としたサプライサイドがもっ ばら流行を提案しながら,かっ消費者のコントロールをも行ってきた。しかしながら, 昨今の大量生産や大量消費が現出させたもの余り現象に象徴されるサプライ発想、に立 脚した消費の捉え方は,現在では根本的な転換を余儀なくされている。すなわちこれ これからの消費者は,必要なものだけを必要な量だけ必要な時に消費するという は, いわば賢い消費の実践者に転換していることの証明なのでもある。このようなことは, たとえば海外旅行のツアーにおいても,団体行動一辺倒ではなくオプション企画など によるオリジナリティが要求されたり,選択肢の中から自分の趣向にあったエンター テイメントを追求したりするオリジナルツアーに人気が集中することに顕著に現れて いる。また昨今におけるたまごっち現象に見るように,欲しいものを入手するために はあらゆる手段を講じる消費に対する熱狂的な傾向が強まっている。さらに,高級スー

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-190- 香川大学経済論叢 550 ノfーマーケットであるシェ/レガーデン,明治屋,紀伊国屋,いかりスーパーなどの台 頭に見る食材の多様化や高品質化の傾向などについても,同様の文脈から捉えられる べき現象なのである。このように,顧客は,必要なものを入手するためには,決して 妥協することなく必要であるならば徹底的に情報を集めたうえで完全な形で初期の目 的を達成してしまうという,ナイキタウンに特徴的な強力なパワーをすでに獲得して いる。

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エンターテイメント化指向への対応 昨今の小売業の業態開発においてとりわけ顕著な戦略は,庖舗のエンターテイメン ト対応拠点へ向けての再構築である。そこで,このような観点から,現在では話題沸 騰の米国におけるナイキタウンのエンターテイメント化戦略の事例についての紹介を 行う。ニューヨークの5番街のトランプタワー内に, 1996年11月 l目撃々しくオープ ンしたナイキタウンの立地は, 1992年からフランスの老舗百貨庖のギャラリーラフア イエットが,それ以前には同じくアメリカの老舗百貨庄のボンウイットテーラーが入 居していた場所であり,実はそれらのどちらもが苦戦を強いられて撤退を余儀なくさ れた場所なのである。そこでナイキでは,その立地における小売機能の再建をプロ シューマー化した顧客に対する多様な施策の打ち出しで実現し,この結果ニューヨー クにおけるナイキの勢いが留まるところを知らないほどの成功を勝ち得ている。 ナイキタウンの具体策の特徴は,まず入庖口を増設しての庖内のエンターテイメン ト性の強力な打ち出しである。すなわち,入口は以前よりトランプタワー内の北側の ティファニー横

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丁目の通りに面して設置され,トランプタワー内から直接入れるよ うに改善が行われている。また,このナイキタウンはニューヨークの出庖では

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底目 (シカゴ,ポートランド,ロスアンジェルス,オレンジカウンティ,アトランタ,シ アトル)になるのだが,過去にオープンした届舗とはコンセプトを根本的に変えてい る。とりわけシカゴの庖舗などと大きく異なる点は,単にこけ威しのディスプレイを 行ったり面白い空間を構築するのではなく,あくまでもナイキの商品や商品に対する こだわりを,ナイキのフィロソフィーの伝達など見せるだけでなく結果として買上に 十分に結びつくようなオペレーション方式を採用していることである。

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551 先進小売業の流通システム革新への戦略対応 -191ー 商品の陳列については,本部で計画されたカセット単位での売場づくりを採用して, イメージの求心性を追求した型態になっている。また,売り場は基本的にはセルフ型 の環境であるが,必要が生じれば接客も可能になる方式を採用している。具体的には, セールススタップは,人への優しさを追求したマニュアルによる指導に基づき,必ず 自分の名前を最後に名乗ってから顧客に接触するなど,新しい庖に対する顧客の印象 をさりげなく窺うことまでも行っている。また,商品の問合せへの対応については他 のフロアにまで案内を行ったり,庖内での写真撮影についても自由に行わせるなど, テーマパークに見られるようにエンターテイメント性を大切にした対応が行われてい る。 庖の外装については, 1920年代のニューヨークの古い体育館をイメージしたもの で,レトロ風でかつシンプJレでありながら一方ではハイテクを駆使したサイバー的な 要素も多く採用しており,結果としては微妙な緊張感のある空間を構成している。こ の古さと新しさとのバランスはまことに絶妙なもので,オープン時の空間演出テーマ はシップインザボトノレということであった。また,このナイキタウンの中に入るには, スポーツ観戦の際の入口のように回転式のパーを通るようになっている。とりわけ1 階においては,シーズンやテーマ商品を中心にお土産的な商品が多いのだが,中央に はまるでチケット売場のような大きなカウンターがあって,とりわけ楽しさがふんだ んに演出されている。また,各フロアーとも共通して機能的な美の追求を原則にした 設計が行われており,同時に顧客の興味をそそる演出がいたるところに散見できるよ うなフロア構成になっている。 吹き抜け空間においては,スクリーンが20分毎に降りてきて,レーザーやビジュア ノレを効果的に使ったテーマに基づいた短いショーも行われており,底内の顧客は各フ ロアからこのショーを鑑賞することができるのである。また,このようなナイキのこ だわりは細部にまで表れており,たとえば手すりやドアの取っ手などでは,ナイキの マーク(スウォッシュ)がさりげなくデサ。インとして入っていたりキッズ用のチェア がサッカーやラグビーボールの形をしているのである。また,とりわけ足にソックス を履かせた演出などはきわめて面白いもので,これなどはたいへんインパクトの強い 販促効果をあげている。

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192ー 香川大学経済論叢 552 またさらには,Nゲージと呼ばれる足のサイズの自動測定器が各フロアにあったり, シューズの各パーツの機能や役割をビジュアノレに解説するため分解表示を行ったり と,商品の機能的な側面を強調した演出も多面的に展開されたりしている。とりわけ, 庖内の演出については,前述のように必ず商品に結び付き売上に貢献することを前提 にしているようである。このように, Nゲージや商品の機能紹介なども顧客が楽しみ ながら商品への良いイメージを自然に膨らませるような仕掛けであることに,ナイキ タウンにおける庖舗演出面の特徴があるわけである。また,従来型の!苫舗での展開よ りも,とりわけシューズを充実させており,そのため各フロアにはしっかりシューズ 単体のコーナーを設け同時に迅速なストック対応も行っている。また,シューズの搬 送についてもシースルーのリフトを導入して客にはお酒落に見えるような気配りまで も行っているのである。 商品構成や庖内環境については,全体としてスポーツからファッションへの転換を より強めており,従来よりも客層を広げるために,シューズのスタイルを全面に打ち 出した展開になっている。このように,これからの庖舗の演出は,ただ単に商品や内 装デザインのセンスが良いというだけでなく,明確な企業戦略やコンセプトが感じら れる展開が要請されている。

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高付加価値による顧客満足の獲得 顧客の満足度を高めるには,小売にとってはもともとデータベースの導入は不可欠 のものであった。しかしながら,従来は情報システムが未整備であったため,全社レ ベJレでの本格的なデータベースの構築は不可能であった。これからは,従来のように 販売サイドの結果情報に基づいて卸やメーカーが庖頭への品揃えを再提案する受動的 なシステムではなく,顧客の要求に確実に応えられる能動的なシステムが必要になっ てくる。すなわち,商品やサービスの提供だけでは,もはや自庖に顧客を繋ぎ止める ことは困難な時代になったのである。これからは,個人の満足を得るためにどれだけ の寄与ができるかがリテイラーの顧客に対する存立条件となる。 昨今における米国の小売業の経営戦略新しい潮流としては,完全な二極化現象の進 展をあげることができる。このことは言い換えれば,米国の

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年代の後半のバブル

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553 先進小売業の流通システム革新への戦略対応 -193-後の回復基調の中における企業間格差の拡大の特徴でもある。当然ながら,大手の小 売業においても,例外なく本格的な淘汰の時代を迎えているわけである。とりわけ昨 今では,高付加価値で商売する庖舗なのか価格で勝負する庖舗なのかを,しっかりと 明確にした経営戦略を展開する企業の業績が好調に推移しているようである。 とりわげ,高付加価値で勝負する庖舗の代表としてはノードストローム,ニーマン マーカス,パーグドルフグッドマン,ナイキなどがあり,価格で勝負する庖舗の代表 はウォルマートに象徴されるデイスカウンターや,ガーニーミルズに代表される巨大 なアウトレツトモール,またギャップの新業態であるオールドネイビーなどがある。 このような状況下で,価格に頼らず,商品やサービスで差別化を図り,とりわけ顕著 な実績をあげている底が高名なノードストロームなのである。このノードストローム のノーと言わない明確なサービスの哲学は顧客に対してきわめて多大な付加価値を与 えており,これが他屈に対する競争優位を確立させたのである。また,ブルーミング デーlレにおいては,最近では親会社の買収絡みで出底ラッシュを行っているが,実は 実際に力点を置いているのは他庖との差別化視点からの独占販売や先行販売などなの である。すなわち,このことで他祉に対する売場の鮮度面の優位性を印象づけるとい う戦略なのである。また,ニーマンマーカス,パーグPドJレフグッドマン,サックスフイ フスアベニューなども,品揃え上で明確なテーストの絞り込みを行っており,このよ うな庖舗としてのスタイルの訴求が確立している庖舗のみが顧客の支持を獲得してい るのである。たとえば,前述のナイキのようなスポーテインググッズの庖舗でも,まっ たく同様なのである。当然ながら,値引き販売など行うことなしプロパー商品を独 自の庖装環境と販売方法によって付加価値志向の販売を行うことになる。一方では, 明確な差別化が達成できなかったボンウイットテーラーなどの多くの百貨庖について は,パフ、ルの崩壊後には倒産に追い込まれたことはすでに自明ではある。 一方では,価格で勝負する企業においても,新しい傾向が顕著になりつつある。た とえば,ウォルマートと

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マートは同じディスカウンターなのだが,昨今の業績の格 差はきわめて多大なものである。すなわち,好業績を続けるウォノレマートにおいては, 販売効率を上げるために多様な角度からの改善が行われているが,さりとて顧客接点 でのサービスについての削除はほとんど行われてはいない。とりわけ,入口のグリー

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-194 香川大学経済論叢 554 ターやカスタマーサービスなどヒューマンな温かさを大切にした差別化戦略などは, むしろ以前より重視した戦略展開を行っているようである。また,最近では流行であ る巨大なアウトレツトモールにおいても,商品はディスカウント価格での提供なのだ が, I古舗の構築についてはエンターテイメント性を重視して顧客に飽きることのない 楽しい環境を提供することに挑戦している。さらには, ギャップの新業態であるオー ノレドネイビーについては,低価格戦略による差別化によって成功を勝ち得たのだが, ここではいわゆる倉庫型の単なる商品の山積み方式のディスカウンターとはまったく 異なった庖舗環境を採用している。たとえば, エンターテイメント性志向ともいうべ く底内の遊び空間の導入や, フロアの滞留性を考慮したただ買って帰るだけの場所で はないというプラスアルファの要素を重視しており, これからのディスカウンター業 態の新しい方向性を示唆する展開になっている。 5.カタログデータベースによる企業関連携 小売業が, これからの大競争時代を乗り切るには,自社だけの孤立したクローズな 戦略では限界が見えている。そこで,昨今では,業種や業態の壁を超えたマルチなコ ラボレーションが注目されはじめている。現在では,圏内商品の多くには背番号とも いえる

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コードがすでに付番されており,これらは財団法人流通システム開発セン ターで管理運営されている。また同時に,同センターにおいては, コードの付番管理 の他にそれらの商品属性の情報を提供するという重要な役割も担っている。そしてこ のコード管理については,実際には

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と呼ばれるセンターで一括運営されてい る。ここの主な機能としては,ベンダーが提供する商品1点1点、について,通産省で 提示している商品分類や素材,商品の発注ロット,品質管理に関わる情報などを盛り 込んで, それらの情報を商品を販売する小売業に対してオープンに提供することなの である。 とりわけ,食品や雑貨商品については,すでに大規模でオープンなデータベースが 提供されている。また,一方の衣料を中心としたファッション商品については, すで に

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センターと呼ばれる繊維産業の構造改善事業の一環として同様の取組みが行わ れている。また, ζれらのデータベースの効果的な活用に向けたピジネス・ネットワー

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-195 先進小売業の流通システム革新への戦略対応 555 クとして,財団法人流通システム開発センターがNTTなどとの連携で開発した

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の採用が予定されている。 これまでは一方通行でしかなかった小売業からの販売動向も,いよいよ

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セン ターに集約化される計画も実体化しつつある。こうなると,従来では,各販売拠点に おいて専属の販売員が収集していた商品動向を一元的に把握することが可能になっ て,この結果メーカーからの派遣社員も不要となり,ベンダーの効率的な商品オベレー ションが実現することにもなる。このように,オープンに流通する商品情報には,電 子カタログ的な要素も加わって行政レベルの大規模なカタログデータベースが構築さ その内容から あくまで文字ベースであって, これらの情報は, しカ〉しなカまら, れる。

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商品を想像できるわけでなく, また現時点においては,企業聞の情報共有に限定した 範囲のみに有効なのである。 マルチメディア化に向けた情報技術の発展は著ししすでに商品イメージを 方 これまでの通販カタログ的なものがグローパル リアノレに表現することは可能であり, オープンシステム な形で消費者に提供できる土壌も整備されている。そのためにも, この情報をインタラクティブに を基本とする標準化された爾像イメージを蓄積して, 伝達できるギガピットレベノレの大容量なネットワーク環境が必要となり,同時にセ キュリティ技術の進歩も多大な課題になっている。 これらのカタログを このような環境が,近い将来にはやがて整備され,消費者は, 見て欲しい商品をきめ細かく選別するようになる。しかしながら,現実的には,すぐ という問題が浮かび、上がってくる。現 にでも膨大な商品をどのように検索するのか, コンビニエンスストアでさえ約3,000アイテム,量販庖で約35万から 60万 在では, アイテム,百貨庄では正確に把握できないが,現状ではおよそ200万アイテムとも 300 万アイテムとも推定されている。そうなると,すべての商品のアイテム数は数千万ア とても消費者が個人として選択す これでは, イテムとなることが想像できるわけで, このような状況下においては,必要性や楽 ることが現実的ではなくなる。おそらく, これからは小売サイドにとっても消費者 にとってもエージェント機能が不可欠なものになってくる。 しみはまったく沸いてこなくなる。そこで,

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↓l t l g 196-- 香川大学経済論叢 556

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オープンソーシングによるグローパノレ対応 昨今の経営学においては,学習についての関心領域が組織内から組織間へと変化し つつある。この結果,組織戦略についても,マネージメント組織から企業間ネットワー クへと課題が変化しつつある。このような背景もあって,企業内における一部の組織 のみの外部化を下請け的な業務委託で行うアウトソーシングの形態が全国的なブーム になったのである。しかしながら,企業が個々に競争優位性を高めるにつれ,新たな 企業能力の獲得が不可欠であることが認識されはじめ,バウンダリーレス(脱境界) 化による組J織聞のコラボレーション志向のアウトソーシング形態が注目されてきた。 このように,ベストプラクティス視点からロジスティックスまでも含めた業界共通の 業務オペレーションの標準化を志向し,このことで高生産性と高品質性を同時に可能 にする組織間連携を実現させようとするアウトソーシングがオープンソーシングなの である。とりわけ,昨今では業態間競争に苦戦を強いられている百貨j吉などでは,従 来から商品の顔といわれた値札の業界共通化や機械による自動印字もすでに導入され ている。また,同時に

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コードによる単品レベルでの商品管理技術の発達は,流通 システムにおける企業間連携をよりオープンな形態で構築することをも可能にしてい る。具体的には,

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のオペレーションに必要な商品発注,在庫引当,納品検査, 売上高に関する企業内情報が,企業聞で共有されるのである。 こうなると,商品の共 通言語となる単品商品の背番号である

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コードは,従来の企業対企業が

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で連 携する次元から第

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者的な企業が標準ノレールによって広範にサービスを提供する次元 に進化する。当然ながら,このような基盤整備には,行政の理解や業界の一丸となっ た取り組みが前提になるのだが,独自の発想を武器にして企業固有の仕組みの構築を 志向してきた我が固においては,従来から不向きとされてきた領域なのでもある。し かしながら,メーカーのみならず、小売においでさえ,プライベートブランドの展開の ためには積極的なグローパリゼーションが不可欠であり,そのためのインフラとして ( 6 ) 圏内のみならず世界的視野で調達活動を行うことで,グローパルに標準化された電子 商取引が基本になる。

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557 先進小売業の流通システム革新への戦略対応 197-は共通言語が必要であることが強く認識されてきた。 とりわけグローパリゼーションの意識が高い米国では,すでに基本となるビジネス ルーノレについては標準化が確立されており,また業務オペレーションについてもビジ ネスルールに基づいた標準化が確立する段階に到達している。このような方向性の中 で,とりわけ注目されている組織間連携の方法がオープンソーシングなのである。こ のオープンソーシングにおいては,ベストプラクティス思想、によって各業態の固有業 務の領域にまでデファクト・スタンダードが貫徹されている。こうして,ローコスト 化はもとより,企業の生産性全般の飛躍的な改善が実現するわけである。この結果, 機能別にクラスターという単位で分類された企業のネットワークがコソーシングの概 念に基づいて形成され,コアコンピタンスを持ったベンチャー企業に発展するわけで ある。また,これらのぺンチャー企業はオープンソーサーとも呼ばれており,これま での日本的な企業の系列化には束縛されることないグローパルな社会に適用する企業 問組織が構築されるのである。 また,これらのベンチャー企業の持っている共通点はシームレスな企業聞の情報連 携なのである。したがって,同業他社との聞の企業間連携のみならず,業界聞の連携 も不可欠なものになってくる。だからこそ,オープンシステムを前提に構築された企 業情報システムを武器にしたネットワークの形成が急務になるのである。こうして, 大量に,かつ短時間に,情報連携を実現するための情報共有化が推進されることにな る。このような状況下で,他社との差別化を高付加価値と低コストとの同時獲得がで きることが,情報ネットワーク時代に相応しいアウトソーサーの課題になるわけであ る。言い換えれば,アウトソーサーの存在価値とは,信頼関係を結んだ企業に対する 補完的な役割に甘んじることのないベストプラクティスの観点からの競争優位の獲得 ということなのである。 (7) 事実上の標準である。法律で擁護された標準ではなく,だれもが使用することで標準に なる市場から支持されることで設定された標準である。 (8 ) コラボレーション思想、に基づくイコール・パートナー志向のアウトソーシングの考え 方を言う。 (9 ) 他社には真似のできない自社ならではの価値を持った中核的な企業の能力,あるいは 自社が事業を行っていく上で社外に委託することが不可能な能力のことである。

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-198ー 香川大学経済論叢 558

参 考 文 献

アルビン・トアラー『第3の波』中央公論社, 1982年

J un Sakamoto rニ ュ ー ヨ ー ク 最 新 事 情JW W W bekkoame O L jp/jsik 1999/new

arrivaL html 日本経済新聞社編「マルチメディア社会の全て」日本経済新聞社, 1995年 花田光世「マルチプル・コ・ソーシングによる未来組織の創造J Iアウトソーシングの実践 と組織変化』夕、イヤモンド社, 1996年 原因 保,寺本義也「インターネット時代の電子取引革命」東洋経済新報社, 1996年 原田 保「総合データベースシステムによる経営戦略の革新J I流通とシステム』財団法人 流通システム開発センター, 1997年秋季特大号 園領二郎「オープン・ネットワーク経営」日本経済新聞社, 1995年 岩島嗣吉,山本庸幸「コンシューマーレスポンス革命」夕、イヤモンド社, 1996年

参照

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