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温州ミカンの栄養生理に関する研究 VII. 窒素施用濃度と6年継続砂耕樹の生長および養分吸収-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第2号 95−102,1981

温州ミカンの栄養生理に関する研究

Ⅶ 窒素施用濃度と6年継続砂耕樹の生長および養分吸収

井上 宏,磯辺 淳ニ

STUDIES ON THE NUTRITION OF SATSUMA MANDARIN

Ⅶ Growthandminer・alabsorption dfyoungtreesasrelatedtotheconcentrationof

nitrogenin sand cultur−e forsix years

HiroshiINOU寧.andJunjiIsoBE

YoungsatsumaInandarintrecsontrifbliatcorangerootstockweregrowninsandculturefbrsixyears,With.di能r−

entialnitrogenfteding.Nitrogeninnutrientsolutions wasaqjusted6levelsfiOmO to160ppmwithammonium

Sulfatewhilephosphoricacidandpotassiumwelemaintainedin40ppm

lTwentyto40ppmofnitrogcnapplicationresultedinhighertreegrowthandfhlityieldasc?mp卑redwiththe

OthertIeatmentSNitrogencontentsofsprlngleavcsshowedayearlydecrease

2Theabsolbedamountsofnitrogenofleaf;shoot,trunk,1argerootand6nerootincreasedinpTOpOrtiontothe cocentrationinthenutrientsolution.TheamountsofP,K,CaandMgweremostin8uencedbyth9amOuntSOftree

growth,andthosewerethehighestattheconcentrationof200r40ppm

3.Fromtheresultsmentionedabove,thcoptimumlcafcontentsinAugust were about3”0%ofN,020%ofP andl‖7%ofKindryweightbasis 樹勢のそろ・つたカラタチ台杉山系温州ミカン7年生結実樹を窒素施用浪度をかえて6か年継続砂耕し,樹体の生長 と果実収盈の年次変化を観察するとともに,般終年度に掘り上げて,樹体各部に含まれる肥料成分含有曳から窒素の 施用が樹体の養分吸収に及ぼす影響を観察した. 1.窒素施用濃度が20∼40ppmの鞄囲で,栄養・生殖両生長ともに優れたが,それより高濃度でも低浪皮でも樹勢 は次第に襲え,結実は著しく悪くなった..樹令が進むにしたがい,毎年8月の薬内N含有率は次第に低下した. 2.窒素施用汲度の増加に伴い,Nの樹体内の含有盈は増すが,P,K,CaおよびMgはいずれも樹体の生長の旺盛 であった20∼40ppm区で含有意が多かった 3−以上の結果から,樹勢の維持と果実収鼠の両面から考えて蔵過の薬内含有率(対乾物)はN30%,PO.20%,K Iu7%であった 緒 口 著者の一\人井上(3・4)は,温州ミカンの栄餐生理の研究の手段として,川砂を用いた砂併載培の1年生苗木を供試し, 砂耕液の窒素汲度が栄養生長に及ぼす影響を瑚察したところ,リン酸およびカリ汲皮を40ppmに維持すると,窒素 濃度は40∼80ppmが最適であった。さらに,ようやく結実を始めた4年生樹を5年間0,80,160ppmの窒素池皮で 砂耕を行い,160ppmとOppm区で次第に樹勢が衰え,収盈も低下して,4年次には着果がほとんどみられなくなっ たことを報告した(1・2〉. 今回の突放は,7年生樹で施用汲皮の段階を多くして,栄養・生殖両作用に及ぼす窒素の影響を砂耕法で検討した. すをわち.,各施用没度区における樹体ゐ生育や結実盈の6年間の年次変化の観察とともに,最終年度の掘り上げ調査 により,累年の窒素の過不足が樹体各部の肥料要素吸収に及ぼす影響を観察した.

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第2号(19飢) 96 実験材料および方法 本実験は香川大学農学部構内の研究ほ場において花こう岩の川砂を満した円筒形コンクリートポット(内径50cm, 探さ50cm)に栽植したカラタチ台杉山系温州ミカン7年生樹を用いて1971年から窒素処理を行った1本供試樹は 1969年春に定植し,2年間窒素,リン酸, カリのそれぞれ40ppmの砂耕液で一・様に栽培した。窒素処理を開始し た1971年から1976年までの間は3月上旬に幹周,12月上旬に果実収盈の測定を行った.毎年8月1E=こは無着果枝の 容薬を採ってN,P,Kを分析・定盈した.1976年の果実については,果皮と果肉に分けて無機成分を分析した・1977 年3月中旬から下旬にかけて,樹冠容横や幹周(接木部より5cm上)などを測定した後,掘り上げて,解体した・ 地上部は主幹,大枝(直径2cm以上),中級(1∼2cm),小枝(1cm未満),2年盤枝,1年敏枝,旧恭,新薬に, 地下部は根幹,大根(1cm以上),中根(0.5∼1cm),小根(0.2∼0小5cm),細根(0・2cm未満)に分けて,それぞれ の生体重を測定した後,一・部をとって直ちに乾燥し,乾物%を求めた.乾物試料は粉砕して,鯉機成分の分析・定盤 に供した.樹体各部の乾物重と無機成分含有率から,各部の各成分の含有盈を許出した. 処理区は第1表のとおりで,1区4樹を供試したが,掘 り上げ調査は各区2樹について行った.砂耕液は第1表に 示す濃度に各肥料を水道水に溶して作成し,毎年4月1日 から11月30日まで週3回,隔日に1鉢10Jづごっ施用した. 窒素池度の6段階(0∼160ppm)の外に,水道水のみの無 肥料区も設定したいリン酸およびカリの施用池皮はいずれ も40ppmとしたい 要素源は窒素には硫酸アン・モニア,リ ン酸には過リン酸石灰,カリには硫酸カリを用いた.なお, マグネシウムは硫酸マグネシウムで,ほう素はホウ酸で適 宜施用し,それぞれの欠乏症発生を防止したい 砂耕液の pHは6.5∼6.6の飽田にあった・− なお,12月から3月の期 間は各区とも水道水のみを施用した. 第1表 砂耕液の組成 処理区 N P205 K20 ppm ppm 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 m pp 60釦402010 1 1 60銅402010 m pp 0 0 無肥料 無機成分の定盤法は次のとおりである N:セミ・ミクロケ、−ルダール法 P:リン・モリブデン背試薬を用いる分光光度計法(塩酸系) K:炎光光度計法 Ca,Mg:原子吸光分光分析法 供試樹の栽培管理は−・般の慣行に従ったが,せん定は疲少限に止め,枯枝を除く程度とした.また,摘果は行わな かった. 結 果 第2真 樹冠容概と幹周 樹冠容積 幹 周 1.樹冠容積および幹周 実験終了時の樹冠容積および幹周は第2表のとおりであ る.すをわち,樹冠容培は20ppm区で放大で,10ppm 区および40ppm区が続き,160ppm区,Oppm区では劣 ったが,無肥料区はさらに劣った.幹周でも20ppm区が 浸大で,40ppm区がこれに次ぎ,160ppm区が最も劣っ た.をお,窒素処理開始の1971年からの幹周増加曲線は第 1周のとおりで,処理3年目から20ppm区が最も優り, 40ppm区がそれに続いた・ cm3 cm 7,292.3 13い2 7,6752 13,4 9,4570 14.0 11,156.6 14..6 10,340..4 13.4 7,136..4 13.4 ppm 160 80 40 20 10 0 無 肥 料 6,251‖0 13.5 注)1977年3月測定

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97 井上 宏・磯辺浄ニ‥温州ミカンの栄養生理 Ⅶ 2.新婦伸長盈 砂耕最終年皮の新相生長盛は第3表のとおり である。新梢の発生本数は40ppm区で汲も多 く,次いで80ppm区で多かったが,Oppm区 と無肥料区では著しく少なかった。1樹あたり の新棉の全伸長盈は20ppm区が最大で,次い 周 で40ppm区,10ppm区で,Oppm区と鮭肥 料区が著しく小さかった。新棺重も伸長盈とほ ほ同じ傾向を示したが,10ppm区と20ppm区 で澱も重く,Oppm区と鰍肥料区は著しく劣っ た。新棺1本あたりの長さおよび桑盛からみて 13 も,20ppm区と10ppm区が優った。ただし, 新梢の単位長さあたりの蛮盈では果実の着生がみられなかった10ppm区で最大であった。 第3表 新棺の生長塩 新 棺 新梢1本あた り 新栴1cm あたり重畳 処理区 新梢数 新柄壷 仝伸長患 長 さ g Cm 1348 4 61 790 3.18 147.3 3 50 2020 6 15 2050 5.14 660 4 72 Cm l,894.2 1,3707 2,1946 2,446て 2,1529 8258 m p pO O O O O O 6 8 4 2 1 1 7 6 7 8 0 8 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 3 00 3 1 9 00 3 ﹁⊥ 2 5 4 3 0 0 0 0 0 0 l 1 7 8 9 5 1 3 2 9 1 7 4 4 6 3 4 1 無肥料 5962 368 411 3.果実収畳の年次変化 窒素処理を開始した1971年より6年間にわたる収穫果実数および果実重畳の年次変化は第2,3図のとおりである○ 摘果をまったく行わなかったために隔年結果の現象を強く呈したが,平均して20ppm区と40ppm区が果英数,重 盈ともに多かった。1976年度は10ppm区とOppm区で果実収監が皆無であった。6年間の累積収盈では20ppm区 1971 1972 1973 1974 19‘75 19、76年 第2図 収穆果実数の年次変化

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第2号(1981) 98 kg 8 7 6 莱 実 5 収 4 鼠 3 2 1 0 19ノ7(う年 1971 1972 1973 1974 19J75 第3図 収穫果実重の年次変化

29.3kg,40ppm区23.8kg,10ppm区176kg,80ppm区13.,6kg,別巴料区6・3kg,Oppm区5・4kg,160ppm区3・4kg

とをった. 4.葉内N,P,K含有率の年次変化 毎年8月1日に採乗し,分析・定蕊した案内N,P,K含有率の年次変化は第4図のとおりである.窒素の施用濃 % 7 6 5 4 3 2 1 % 08 06 04 02 0 % 4 3 2 1 0

__・・一一一 ̄ 、 \−−

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ニ==

t− ̄ ̄1・・・− Oppm区 ・/・′●\・ / \.−仙ハ,「 ▼●、 無肥料区 ★。甲h 胃函覇 1971 1972 1973 19‘74 1975 1976年 第4図 薬内N,P,K含有率の年次変化

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井上 宏・磯辺浄二∴温州ミカンの栄養生理 Ⅶ 99 度が高くなるほど薬内N含有率は高く,低池度区では低く推移したが,同じ区でみると砂耕3年日までは次第に含 有率が高くをり,以後は次第に低くなった全体を通してNの含有率の変化曲線に1973年と1975年の二つの山が認 められたが,これは前項の果実収盈の山と類似し,収盈の多い年には糞内N含有率が若干8月の時点で高くをる傾 向を示した P含有率の年次変化を見ると,初年度ほほとんど区間の差はなかったが,2年度から次第に無窒素の2区で含有率 が高くなり,とくにOppm区では4年日に0.8%以上と著しいPの吸収を示した20ppm区と40ppm区ではほと んど年次で変らず,020∼025%の織田にあ・らた K含有率の年次変化は初年度から区間に差がみられ,年次が進むにしたがってその差が大きくなる傾向がみられた. すなわ■ち,160ppm区と80ppm区でK含有率は著しく少をく,Oppm区で著しく高かったが,その他の区では2 %前後の数値を示した.全体からみて,1972年と1975年に曲線の山がみられた. 5.掘り上げ時の樹体各部の生体重 掘り上げ時の樹体各部の生体窓は第4表のとおりである.各部の生体蛮の政大倍はほとんど40ppm区であり,次 いで20ppm区であった,最小値は無肥料区でみられ,次いで劣ったのはOppm区であった 砂排尿終年度にはO ppm区と10ppm区で着果がみられなかったが,地上部の合計重量はOppm区で著しく劣った果実収盟は80ppm 区で最大であったが,果実を含めた地上部玉虫では40ppm区が最大で,80ppm区と20ppm区が優った,地下部 の合計東急でも40ppm区が最大であり,とくに細根盈が多かった全生体重でも40ppm区が最大であり,20ppm 区も優った無肥料区は壕も劣ったが,Oppm区も劣った..この傾向は果実重を除いても変らをかった 第4表 掘り上げ時の樹体各部の生体重(g) 無肥料 0 10 20 40 80 160ppm 1,0203 6069 789.4 147。3 790 134,8 3045 183 5 144‖3 3368 2923 199“3 985 3 6470 538‖0 4268 5603 539.3 5200 4215 479 3 2,7158 3,0706 241 2 薬 1年生枝 2年生枝 小 枝 中 枝 大 枚 主 幹 果 実 6963 778 5 205 0 202 0 1440 240 8 274 0 243,8 8263 911.5 5065 931 8 598,3 707,5 0 1,8132 193り4 202.0 368 66.0 358 37 O 1688 115 8 4118 519。5 302.5 330.3 6190 440 O 194.4 0 6,456.8 5,8611 3,062.6 地上部計 1,9625 1,7106 3,2504 5,8291 5165 564,8 791.5 3675 577.8 幹根根根根 根大中小細 3143 319 5 490 208 5 1115 159 3 1493 224 3 5015 8398 4500 3245 295.3 4245 2763 2503 6380 4843 459 3 1,9700 1,1043 1,248,5 300。0 493。8 265,8 3680 385“0 540。8 1,4710 1,8215 1,1256 1,7514 2,9383 3,7889 4,2740 2,5569 2,831・2 地下部計 全体体重 3,0881 3,4620 6,1887 9,6180 10,7308 8,4180 5,8938 6.振り上げ時の樹体各部の無機成分含有率 掘り上げ時の地上部,地下部および果実のN,P,K,CaおよびMgの含有率は第5∼7図のとおりである‖ すべて の部位において窒素施用濃度が増すほどN含有率が増大したが,この傾向は組織が若いほど若しかった= すなわち, 地上部においては菓や1年生枝で,地下部では細根や小根において著しかったP含有率はOppm区で高く,10ppm 区,20ppm区と低くなるが,窒素の施用汲度がさらに高くなると地上部,地下部とも含有率が増大する傾向がみら れた.K含有率は窒素施用汲度の増加に伴い,すべての部位において著しく減少したCa含有率もKのそれとほ ぼ同じ傾向を示したぃMgではほとんどの部位で40∼80ppm区が含有率の高い傾向を示したが,細根では窒素の施

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香川大学應学部学術報告 第32巻 第2号(1981) 100 第5図 地上部各部の無機成分含有率 N,K,P,Mg 第7図 果皮と果肉の無機成分含有率 第6園 地下部各部の無機成分含有率 用濃度の増加とともに高くなった.ただし,斐では果実収盈の多かった80ppm区で最も低かった・果皮および果肉 では,Oppmと10ppm区の分析借は欠除するが,窒素の施用濃度の増加に伴い,NとPは高くをり・K,Ca・Mg は低くをる傾向を示した。 7.振り上げ時の樹体の無機成分含有生 前項の樹体各部の無機成分の含有率と乾物重畳から欝出した樹体の無機成分含有盈を地上部と地下部にまとめて図

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101 井上 宏・磯辺浄ニ:温州ミカンの栄養生理 Ⅶ 無 0 10 20 40 80 160 ppm 第8図 樹体の無機成分含有盈 注:棒グラフの上下の数字は全樹体含有盈の地上部および地下部の百分率 示すると,第8図のとおりである N含有盈は窒素施用濃度の増加に伴い,地上部・地下部とも増加したのに対し,P含有盈は生体重の最大であった 40ppm区で,K,Ca,Mg含有盟は20ppm区で最大値を 示した.それより,窒素湛度が増減するほど,含有盈は減 少した.Kを除く4要素の含有盈は,いずれの施用汲皮区 でも,別巴料区よりも多かったが,160ppm区のK含有 蚤昼無肥料区よりも少をかったル それぞれの要素について, 地上部と地下部の含有盈の百分率をみると,Nでは施用濃 度の増大に伴い地上部の割合が高くをったのに対し,他の 要素では一・定の傾向は認められをかった さらに,N含有盈を10としたときの各要素含有盈の比 数を算出すると,第5表のとおりであるい 生体重の最大で あった40ppm区でN:P:K:Ca:Mg=10:1一・2:6l0: 第5表 各要素含有盈の比数 処理区 N P K Ca 3 4 6 0 0 2 0 0 0 1 1 1 3 ︵1.〇 2 0 4 4 2 3 6 1 3 00 1 1 1 1 9 0 0 ウ︼ 6 1 1 6 1 2 6 ﹁⊥ l 1 7 9 2 8 9 1 0 0 1 1 1 3 0 0 0 0 0 0 111111▲ 60804020 1 pl

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第2号(1981) 102 6..2:0い6であり,いずれの要素も窒素施用濃度が高くなるほど,Nに対する比数は小さくなった 考 察 著者の一人井上(8)は先に,本実験と同様にリン敵およびカリの施用温度をいずれも40ppmに維持して,窒素の浪 魔のみを種々にかえ,カラタチ合およびェ・ズ台の温州ミカン1年生苗木を砂排栽培したところ,台木の如何にかかわ らず40ppmの窒素汲皮が栄養生長に好適であった・このとき,カラタチ台の薬分析でN,P,K含有率はそれぞ れ3.20−・3.60,0.18−020,208−235%であった,温州ミカンに限らず,永年生作物である果樹類では一一・般に,生殖 生長の好適濃度を結実樹で観察する場合には果菜類などと異なり,栄養・生殖両作用のバランスを考慮してもなお, 1年のみの成紙では結論を得ることば難しいぃ とくに,果実数に支配される果実収盈を観察しようとする場合上薬果比の問題があり,砂耕試験で窒素の適正な施 用濃度を中心にして,その欠乏状態から過剰状態までを設定した時には乗果比を同一・にそろえることは不可儲である・ したがって,本実験では6年間の実験期間中,あえて無摘果としたが,生理的落果が多く,葉果比は17より少なくを ることばなかった. 本実験を6か年で打ち切ったのは,Oppm区と10ppm区で着果をまったくみなくなったからで,窒素不足の影響 が確実に結実面に現われ,果実収畳についての比較ができなくなった.また,隔年結果の現象も著しかったので,果 実収盈は6か年の累療収監で以下の考察をすすめたい..7年生樹を供試しての6か年の窒素処理後の掘り上げ樹の樹 体重は,せん定をほとんど実施しをかったので6か年の栄養生長面の累積効果とみることができるl・累噴収盈では 20ppm区が最も優り,樹体重(果実は含まない)は40ppm区で最も優った・この栄養生長面の好適温度は,前述 の1年生苗木でのそれ(る)と同じであった1.この関係を6か年間のNの案内含有率の年次変化でみると,両区とも実 験開始3年目に最高含有率(40ppm区:4.61%,20ppm区3,64%)を示したが,その後次第に含有率が低下し,最 終年次にはそれぞれ356,2‖36%とをった.窒素の葉内好適含有率(合盈)について佐藤らの砂耕試験(7)や生産者 の優良園での調査(6)からも知られるように,30%前後の値が根群の発達を制限した本ポット実験でも好適のように みられ,20ppm区では最終年次には少し窒素が不足気味_になったため収急減につながったと思われる・薬内含有率 が3%を切る段階で果実収盈が多く,樹体の充実は若干果実生産のからみで低下していくのではないかと考える.果 実を生産する時の好適浪度が苗木の栄泰生長のみを図る場合より低下したことは興味あることで,筆者(2・5)はすでに 窒素不足気味で結実歩合の高まることを指摘した… 本実験は,根群分布を約0,11nさのコンクリ、−トポット内に制限 しているため,多年砂耕を継続すると,結実により樹勢衰弱の傾向がみられたが,窒素施用濃度では20∼40ppmの 中間,Nの8月の薬分析偲では3%前後の栄養状態が栄養・生殖両作用の最もバランスのとれた状態ではをかろう かと推察するい なお,このときのPおよびK含盈はそれぞれ0.20%,1,70%であったu 文 (1)井.上 宏:農業および園芸,46(1),59−60 (1971). (2)井上 宏:虚業および園芸,46(3),525−526 (1971)巾 (3)井上 宏:香川大学農学部学術報告,22(2),83− 91(1971). (4)井上 宏,大沢季義,山下泉:香川大学農学部学 献 術報告,22(2),92−100(1971) (5)井上 宏,山本雅典:虚業および園芸,46(11), 1603−1604(1971) (6)佐藤公一・,石原正義,若林荘一・,原田良平:戯技 研報告,El,29−42,1952. (7)佐藤公一・,石原正教,原田良平:膿技研報告,E 3,187−205(1954) (1980年10月31日 受理)

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