薬の投与経路:非経口
初回通過効果および胃腸機能・食事の影響を受けない
舌下投与
口腔粘膜から吸収される薬のみ
直腸内投与
比較的速効性、日常的に使うには不適
注射投与
影響要因が少なく速効性、技能を要する
(点滴)静脈内注射・筋肉内注射・皮下注射
動脈内注射・脊髄腔内注射・組織内注射
皮膚
(経皮)
投与
簡便な方法、部位や状態で吸収に差がある
吸入・点鼻
習熟しないと効果が一定しない
局所投与
点眼・点耳や膣内投与など
(P26~30参照)
分布容積
=
⇒移行・蓄積の指標
全身クリアランス
=
⇒排泄の早さの指標
(P37参照)
安全性の指標
50%有効量(ED50) 投与した動物の50%に効果が現れる量
50%致死量(LD50) 投与した動物の50%が死亡する量
治療係数(安全係数)= この値が大きいほど安全性が高い
毒薬・劇薬はこの値が小さい (P50、55参照)
毒 薬:20mg/㎏以下の皮下注射で半数以上のマウスが死ぬ薬
劇 薬:200mg/kg以下の皮下注射で半数以上のマウスが死ぬ薬
体内総薬物量
薬物血中濃度
薬物消失速度
薬物血中濃度
LD50
ED50
点滴の場合:消失速度と同じ速さで注入すれば血中濃度は一定になる
点滴注入速度=全身クリアランス×目標血中濃度
経口の場合:全身クリアランス→
注入速度→ に置き換えて計算
= ×目標血中濃度
迅速に治療濃度にする場合の初回投与量
分布容積に達する(=全身に行きわたる)薬物量を一気に投与する
負荷投与量=目標血中濃度×分布容積
注意:緊急時のみ、通常はしない
脂溶性薬は最大耐用量を超える場合がある (P38~39参照)
全身クリアランス
生物学的利用率
全身クリアランス
生物学的利用率
投与量
投与間隔
投与量
投与間隔
(P39~40参照)
抗てんかん薬、ジギタリス製剤、キサンチン系薬、不整脈治療薬、
抗躁薬(炭酸リチウム)、免疫抑制剤、アミノグリコシド系抗生物質、
グリコペプチド系抗生物質・・・・・・
薬物血中濃度モニタリング(TDM)
副作用の強い薬や有効血中濃度幅の狭い薬に対して、
血中濃度を定期的に計測して治療の参考にする。
臓器障害などで個別の薬学管理する必要がある場合に
も活用。
分布に影響する要因
血液中
結合型
:血漿蛋白質と結合、移行せず薬効もない
代謝・排泄も受けず遊離型の供給源になる
遊離型
:組織への移行が可能で薬効を発揮する
親和性の高い薬がくると、入替えで遊離型が増加
→薬物相互作用
血漿蛋白質の欠乏 ⇒ 遊離型比率の増加 ⇒ 薬効の増大
組織移行
血流量の多い組織に分布量が多い傾向
組織親和性・関門通過性によっても偏在
脂溶性の高い薬は脂肪組織に移行 ⇒ 蓄積の問題
薬の代謝
主に肝臓で、毒性の低減や排泄の促進を目的に行う加工
酸化・還元・加水分解・抱合
⇒ 多くの場合、水溶性を高める変化
多種の酵素が関係し、量や活性に人種差・性差・個人差がある
小児では未発達、老人・肝機能障害者では機能低下に注意
薬物相互作用 (P42~43参照)
酵素誘導:代謝酵素を増やし、他薬の効果を減弱させる
酵素阻害:代謝酵素を阻害し、他薬の効果を増大させる
代謝拮抗:同じ代謝酵素の薬を併用すると、代謝が遅延する
(P34参照)
シトクローム
P450
(チトクロームP450・CYP)
代表的な酸化酵素、サブタイプによって薬選択性がある
酵素誘導・酵素阻害・代謝拮抗の影響を受けやすい
遺伝子多型による個人差にも関係する
薬の尿中排泄
尿中排泄
(腎→尿) 水溶性薬の主排泄経路
糸球体濾過:遊離型の大部分が移動
糸球体濾過値(GFR):水分濾過量で腎機能の指標
クレアチニンクリアランス(CCr):GFRの推定
この機能が低下すると、薬の排泄は著しく遅くなる
⇒ CCr値で使用量を調整する必要
尿細管分泌:結合型が近位尿細管でATPポンプにより移動
選択性が低いため、移動の競合がおこる ⇒相互作用
尿細管再吸収:遠位尿細管で水・栄養素・非解離型が再吸収
栄養素の再吸収にはトランスポーターが関与する
解離型は再吸収されない=尿のpHが影響する
(P35~36、43参照)
薬の胆汁中排泄ほか
胆汁中排泄
(肝臓→胆汁→糞便) 脂溶性薬の主排泄経路
代謝物が活性を有し、消化管障害を起こす場合もある
例:イリノテカン 活性代謝物で下痢誘発
腸肝循環:腸内で加水分解などを受けて再吸収される
未変化体やグルクロン酸抱合体で排泄される薬
薬効の持続や蓄積に注意 (P33~34参照)
乳汁中排泄
服用中の授乳に注意
汗中排泄
薬臭や汗の着色
唾液中排泄
睡眠導入剤服用による苦味など
涙液中排泄
コンタクトレンズ使用に支障
呼気排泄、毛髪排泄
(P36参照)
薬物相互作用
薬物動態学的相互作用
吸収・分布・代謝・排泄の過程で起こる相互作用
主に、薬物濃度に変化をあたえる
薬力学的相互作用
作用部位の薬物濃度に変化がない状態で
効果の増強や減弱が起こる相互作用
同作用、類似作用、逆作用、作用機序への影響など
相乗作用
:A+B以上の作用
相加作用
:A+Bの作用
拮抗作用
:A+B以下の作用 (ほぼ無効になる場合=
阻害
)
主作用を相乗・有害作用を拮抗とする組み合わせも可能
恒常性
(
ホメオスタシス
)
生体が生命維持のために保っている体内環境
神経性調節
と
液性調節
の機構が存在
どちらの機構も受容体
(レセプター)
を介して調節
受容体
生理活性物質と特異的に結合
結合による刺激は、細胞内の別物質(セカンドメッセンジャー)
の増減を誘導し、機能性蛋白質の活性や量の調節で生体
応対が変化する 核内受容体のみは別物質を介さない
イオンチャンネル内臓型 (リガンド依存性イオンチャンネル)
Gタンパク質共役型 (GTP結合蛋白質共役型・代謝型)
キ ナ ー ゼ 連 結 型 (酵素活性型)
核 内 型 (細胞内型)
受容体と薬
薬の大部分は細胞膜を通過できず受容体を介して作用する
親和性:受容体との結合しやすさ
効 力 :細胞内へ情報伝達する力
受容体
作動薬
(アゴニスト)
親和性○・効力○
受容体と特異的に結合し、細胞へ生理活性物質と同じ刺激を与える
受容体
遮断薬
(アンタゴニスト)
親和性○・効力×
受容体と結合するが細胞を刺激せず、生理活性物質の作用を阻害する
結合の様式によって競合的遮断と非競合的遮断に分けられる
受容体
部分作動薬
親和性○・効力△
低刺激時にはアゴニスト・高刺激時にはアンタゴニストとして作用する
(P18~19参照)
神経性調節機構
神経線維
内の情報伝達は電気的
シナプス
では神経伝達物質による受容体刺激
アセチルコリン・ノルアドレナリン・セロトニン・ドパミン
グルタミン酸・ɤアミノ酪酸(GABA)など
作用亢進
神経終末での伝達物質の合成・貯蔵を促進
神経終末からの伝達物質遊離を促進
伝達物質のシナプス貯留時間を延長
伝達物質受容体の直接刺激
作用抑制
神経終末からの伝達物質遊離を阻害
伝達物質の分解や取り込みを促進
伝達物質受容体の直接遮断
液性調節機構
ホルモン
内分泌腺から血中に分泌され、標的臓器で作用
オータコイド
生体内に出現する微量で短寿命の活性物質
局所で産生され、局所で作用(血中に入らない)
ヒスタミン H1受容体:肥満細胞から分泌、アレルギーに関与
H2受容体:胃壁クロム親和性細胞から分泌、胃酸分泌に関与
セロトニン 5HT1受容体:脳血管収縮・ヒスタミン遊離抑制に関与
5HT2受容体:神経興奮・平滑筋収縮・血小板凝集に関与
5HT3受容体:催吐に関与
レニン・アンギオテンシン系
レニン アンギオテンシン変換酵素(ACE)
アンギオテンシノーゲン → アンギオテンシンⅠ → アンギオテンシンⅡ
AT1受容体:アンギオテンシンⅡが結合
細胞内Caイオンを増加させ、血管平滑筋を収縮
遺伝子転写を促進し、心・血管細胞の増殖肥大
アルドステロンの合成・分泌を促進し、腎のNa再吸収を促進
キニン・カリクレイン系
カリクレイン キニナーゼ
キニノーゲン → ブラジキニン → 不活性蛋白
B2受容体:ブラジキニンが結合
発痛・平滑筋収縮・血管透過性亢進などに関与
キニナーゼにはⅠとⅡがあり、キニナーゼⅡはACEと同一物質
よって、ACE阻害剤でブラジキニンが増加し、空咳などの副作用発現
エイコサノイド
ホスホリパーゼA2
細胞膜リン脂質 = エイコサエン酸 → アラキドン酸 →
シクロオキシゲナーゼ(COX)
→ アラキドン酸 → プロスタグランジン・トロンボキサン
→ アラキドン酸 → ロイコトリエン
リポキシゲナーゼ
PGE1受容体:胃粘液分泌促進・胃酸分泌抑制・血管拡張に関与
PGE2受容体:血管拡張・胃粘膜保護・発痛・発熱・子宮収縮に関与
PGF2受容体:子宮収縮・眼圧低下に関与
PGI2受容体:血小板凝集抑制・血管拡張・発痛・気管支拡張に関与
TXA2受容体:血小板凝集促進・血管収縮・気管支収縮に関与
LTB4受容体:白血球遊走に関与
LTD4受容体:血管透過性亢進・血管収縮・気管支収縮に関与
サイトカイン
インターロイキン(IL):主に白血球から分泌され、免疫担当細胞間の情報伝達
T細胞・B細胞の分化・増殖に関与
インターフェロン(INF):ウイルス感染時に白血球や繊維芽細胞から分泌
抗ウイルス作用や免疫反応調節に関与
腫瘍壊死因子(TNFα):主にマクロファージから分泌され、腫瘍細胞を障害
炎症疾患の発症や進展にも関与
細胞増殖因子:特定細胞の分化・増殖を促進
神経成長因子・血管内皮細胞増殖因子・造血因子など
他にも候補物質が10種以上ある