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(1)

http://dspace.bunka.ac.jp/dspace

Title

姿勢変化による腹部脂肪厚の変化

Author(s)

中原, 五十鈴

Citation

文化女子大学紀要. 服装学・生活造形学研究 25(1994-01)

pp.67-78

Issue Date

1994-01-31

URL

http://hdl.handle.net/10457/2218

Rights

(2)

姿勢変化による腹部脂肪厚の変化

中 原 五 十 鈴 *

V

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b

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W

omen

Isuzu Nakahara 要 旨 被服を製作する際に必要且つ適切な「ゆとり」を求めるために,日常生活上の基本的な動作 (自然、立位,椅座位,仰臥位の三動作)時のウエスト部位並びに腹部最大突出部位における周径固と横 径の変化と,両部位における前面と側面での皮下脂肪厚の変化を,健康な女子大生を被験者として,超 音波Bモード法を用いて測定したところ,次のような結果が得られた。即ち,周径囲・横径共にウエ スト部位に比較し,腹部最大突出部位では約10%程度大きい傾向にあった。腹部最大突出部位は周径囲 ・横径共に自然立位が最大値を示し,椅座位,仰臥位の順に小さくなっていた。皮下脂肪厚では,姿勢 変化による差は,各部位・各箇所共に同様な変化を示したが,ウエスト部位に比べ,腹部最大突出部位 で、は,前面において約 50% ,側面では約20~30%程度多い傾向にあった。この傾向は, BMI並びに肥 満傾向の高い者ほど強かった。椅座位での皮下脂肪厚がすべての姿勢において,最も大きい値を示し た。これらの結果,両部位の形態的特徴および皮下脂肪厚の程度が, Iゆとり」分量に大きく関与して いることが示唆された。

I

は じ め に 被服を構成するに当たっては,

I

ゆとり」を どの程度考慮するかによって,着心地の善し悪 しが決定されてくる。一般的にこの「ゆとり」 のとり方には,①動作時の関節の動きと筋肉の 収縮の仕方と,②体型の変化(特に,腹部・啓 部および下腿部周径囲等の動作時変化並びに加 令による体型の変化)等が大きく関与してくる と思われる。 従って著者は,今日までこの適切な「ゆとり」 の許容範囲を検討するために,下肢動作時の腰 部および下腿部関節の軌跡と長さの変化(中 原, 1970) や妊婦の体型変化(1980) 等に関し て研究をしてきた。 妊婦においては特殊な要素が加味されるが, 一般人の体型変化を起こさせる大きな要素は, *本学教授被服構成学 筋肉(骨格筋)の発達と皮下脂肪の付着状態で あると考えられる。 従来,生体内脂肪組織(皮下脂肪)量の計測 は,キャリパ一法により求めていたが,科学技 術の高度化に伴い,今日では超音波法,

CT

法,

NMR

法等があり,精密な計測が可能となって きた。しかし

CT

法や

NMR

法では測定時の 姿勢が仰臥位であり,姿勢変化による測定は不 可能であると同時に,測定場所を移動しての計 測も無理である。 多くの研究者によって用いられている超音波 法 (Bモード法)に関し,その妥当性と信頼性 について福永ら(1978),石田ら (1985),斉藤 (嘉)(1990),豊川ら (1984),湯浅ら(1987 A) が報告している。 また,スポーツ競技選手と一般人との差に関 し て も 多 く の 報 告 が な さ れ て い る ( 湯 浅 ら く1987B,1993>,石田らく 1987, 1992A>) し,身体各部の皮下脂肪の付着状態に関しでも 斉藤(秀) (1992),湯浅ら(1987B, 1993),石

(3)

回ら(1987,1992A),斉藤(嘉)(1990)が報 告している。これらの報告では被験者の違いに よる差異が認められるが,ほぼ同様な傾向であ ると言えよう。さらに,石田らは,日本人女性 とアメリカ人女性との差異に関して報告もして いる(1992B

1992 C)

しかし,

I

ゆとり」には動作に伴うからだの 変化を考慮しなくてはならないため,姿勢によ る皮下脂肪厚の変化も重要な検討課題となって くる。 Katch(1983)が,姿勢の異なる計測値 聞には差がないとしている他は,ほとんど姿勢 変化に関する報告は見当らなし、。 被服における「ゆとり」に関しては,特にウ エストライン部位と腹部最大突出部位における 皮下脂肪の付着状態が大きな要素であると考え られる。 そこで本研究では,この両部位での周径囲・ 横径並びに皮下脂肪厚が,日常生活の中での基 本的な姿勢変化(自然立位,椅座位,仰臥位) に伴って,どのような変化をするかを検討し, 適切な「ゆとり」分量を算出するための方策を 試みようとしたものである。

E

実 験 方 法

(1) 被 験 者 被 験 者 は 健 康 な 女 子 大 生44名 (某女子大生16名,本学学生28名)であり,被 験者の身体的特性に関しては表 lに示した通り である。文部省,厚生省の平成3年版統計資料 と 比 較 し で も , ま た ,

BMI (

B

o

d

y

M

a

s

s

I

n

d

e

x

)

や体脂肪量(%)をみても,ほぼ平均的 な女子大生である。 表1被験者の身体的特性 年令(歳) I身長 (cm) 体脂肪率(%) *実験1 女実験2 本学学生

¥ノ

A 22.l:tO.7 I 157.2:t5.4 20.4:tO.4 I 157.8:t5.4 22.4土5.1

I

d

組 * 姿 勢 自然立位 Standing position: STP 椅 座 位 Sitting position: SIP 仰臥位 Lying position: L YP *測定部位 ウエスト部位 Waist position: A 腹部最大突出部位 Maximal Abdominal Circumference Level Position: B *測定箇所(皮下脂肪厚):右側 前 面 Front position: F 側面 Side position: S *測定項目 周径囲 Circumference: Circ. or C 横径(幅) Width: W 皮下脂肪厚 Subcutaneus fat (超音波法によるBモード法) 図1 測定部位と姿勢

(4)

(2) 測定部位と姿勢測定部位と姿勢に関し ては,自然立位を基準とし(図 1) ,椅座位と 仰臥位における変化を測定した。測定部位とし ては,

r

ゆとり」と密接な関係を有し,かつ皮 下脂肪の付着しやすい場所として,ウエスト部 位(以下A部位とする)と腹部最大突出部位 (B部位とする)の二ケ所とした(図 1の左側)。 (3) 測定項目 図lに示したごとく,

A.

B 両部位での周径囲 (Circ.またはC),横径(幅) (W) と皮下脂肪厚(両部位での前面 Fと側面 S) である。 A.Bの部位を選択した理由は,腹部 CTス キャン画像(写真1,写真の上部が前部)で明 らかなように,皮下脂肪(皮下の白い部分)の 付着しやすい場所であり,特に前面・側面(脇) とに顕著に認められるためである。 (4) 測定器具および方法皮下脂肪厚の測定 は,超音波 Bモード法 (ALOKA社製, SSD一 500,写真 2)により計測し,測定時の超音波 発振周波数は5MHzとした(石田ら 1985, 1992 A, B,湯浅ら 1993)。なお,測定は身体の 右側について実施した。 写真3は,本装置により得られた腹部 (A 部位,前面)での画像である。画像中の表皮よ り皮下脂肪組織と筋組織との境界面を示す反射 波まで(図中+印)を皮下脂肪厚として計測し た(矢印)。なお,周径囲並びに横径(幅)の計 測は,マルチン計測器を用いて行なった。 各測定項目については,統計処理(平均値と 標準偏差等)し,平均値聞の差の有意性は, t 検定により,

5%

で有意と判断した。 なお,某女子大生16名の計測・測定結果の妥 当性を検討するために,ほぽ同様な計測・測定 を本学学生28名に対しても行なった。本学学生 の身体的特性は,某女子大学学生と大差はなか った(表1)。 ウエスト部位 (A部位) 腹部最大突出部位 (B部位) 写真2 皮下脂肪測定機 写真1 腹部 CTスキャンの例 立位

(

S

T

P

)

椅座位

(

S

I

P

)

写真3 超音波Bモード法による腹部脂肪厚(前面A) (ALOKA汎用超音波診断 装 置SSD-500) 仰 臥 位

(

L

Y

P

)

(5)

本報告においては,前半を某女子大学生に関 する結果,後半を本学学生に関する結果として 分けて提示した。

E

結 果 と 考 察

測定結果の概要は,表

2

(某女子大生)に示 したごとくである。 自然立位におけるA部位での周径囲は, 63.69土5.10cm,B部位では69.95:!:5. 89 cm で約 6cmの差を示した。横径では22.96土1.25 cm, 25.99:!:1. 48 cmであり,約 3cmの差で あった(図2)

また,皮下脂肪厚

(

U

S

F

)

では,

A

部位の 前 面 (F)において 13.78:!:4. 97mm,側面 (S)では 12.83:!:3. 37 m mを示した。一方, B 表2 浪IJ定結果一覧表 N MEAN S.D. MIN. AGE 16 22.1 0.7 21 Height (cm) 16 157.19 5.36 150.0 Weight (kg) 16 49.69 6.30 41.5 BMI 16 20.04 1.51 18.4 B. Fat% 16 22.39 5.08 14.80 Circ. STP-A (cm) 16 63.69 5.10 56.8 I! B (cm) 16 69.95 5.89 62.1 Width STP-A (cm) 16 22.96 1.25 21.2 I! B (cm) 16 25.99 1.48 24.2 USF STP-F-A (mm) 16 13.78 4.97 8.5 I! B (mm) 16 20.33 6.00 11.7 USF STP-S-A (mm) 16 12.83 3.37 8.2 I! B (mm) 16 15.06 5.42 7.8 Circ. SIP-A (cm) 16 65.72 5.92 59.6 I! B (cm) 16 69.31 5.66 61.2 Width SIP-A (cm) 16 22.74 1.52 21.0 I! B (cm) 16 25.33 1.65 22.7 USF SIP-F-A (mm) 16 14.76 5.82 8.2 I! B (mm) 16 24.46 6.85 14.9 USF SIP-S-A (mm) 16 13.17 3.43 9.1 H B (mm) 16 16.16 5.57 8.2 Circ. LYP-A (cm) 16 64.01 5.30 59.1 I! B (cm) 16 66.29 5.48 60.0 Width LYP-A (cm) 16 23.01 1.58 21.6 I! B (cm) 16 25.13 1.68 23.0 USF LYP-F-A (mm) 16 12.31 3.79 6.8 I! B (mm) 16 19.31 6.32 10.0 USF L YP-S-A (mm) 16 11.75 3.50 8.0 I! B (mm) 16 15.00 6.12 6.2 DC STP-SIP A (cm) 16 -2.04 2.36 0.4 11 B (cm) 16 0.64 3.34 -4.2 DC STP-LYP A (cm) 16 -0.32 1.91 2.4 I! B (cm) 16 3.66 2.74 -1.9 D W STP-SIP A (cm) 16 0.21 1.04 2.0 I! B (cm) 16 0.66 0.88 0.9 D W STP-L YP A (cm) 16 0.06 0.84 1.4 I! B (cm) 16 0.86 0.52 0.1 Circ., C: Circumference W: Width F: Front position S: Side position STP: Standing position SIP: Sitting position L YP: Lying position USF: Body Fat Thickness by Ultra Sound Methode A: Waist Line position B: Maximal Abdominal Circumference Level position MAX. 24 167.5 68.0 24.2 35.36 77.0 84.5 26.3 29.1 24.5 32.3 20.4 24.7 78.8 79.8 26.9 28.9 29.5 37.9 21.2 27.7 79.5 80.5 26.6 28.5 20.0 31.1 19.4 27.3 -9.3 6.4 -4.4 8.7 2.2 2.7 -1.7 1.7

(6)

cm 30 cm 80 28 26 24 20 70 60 50 40 22 ( 塑 ) 刷 出 挺 困 出 記 E 図2 部位別周径四,横径(幅)の測定結果 上段:横径(幡),下段:周径囲 左側:ウエスト部位,右側:腹部最大突出部位 (A部位) (B部位) , , , ・'〆 " /' " /' '〆 ,'/' , . 〆 。 , , 〆 , 4 ..;' /'.' 〆, 〆, 〆 " /' , 〆 , /'・' /' /' ク ノ , , , , , STPY=0.846x+16.04 r=0.733 SIP Y=O目690x+23.95r=0.723 LYPY=0.865x十10.91r=0.836 即 日 目 80cm 60 70 A部位周f呈囲 姿勢による周径囲の変化 cm 90 80 70 50 図3 直 山 知 町 山 U 何 日 話 回 60 部位ではFが20.33士6.00mm,Sで15.06土 5.42mmとなり,

F. S

共に

B

部位の方が皮 下脂肪が厚い結果となった。この傾向は,腹部 位CTスキャン(写真1)でも明らかなように, A.B両部位共に側面(脇)より前面の方に脂 肪の付着が多い傾向があると言える。さらに両 計測箇所とも,ウエスト部位 (A部位)に比 較して腹部最大突出部位 (B部位)の方が, 20 ~40%程度脂肪厚が厚く,かつ個人差も 50%程 度大きい結果となった。 斉藤(秀)ら(1992)は,成人女子の躯幹部215 箇所の皮下脂肪厚を計測し,平均劇縛は約lO

mm

であり,厚い箇所は啓部,乳房部,腹部(場所 は限定していない)であるとし,斉藤(嘉) (1990) は脂肪が付着しやすい場所として,男 女共に,腸骨稜上部,腸壁側面と肢富後面であ るとし特に女性の場合,これ以外に胸部と腸 壁前面が加わるとしている。これらの報告は, 今回の結果を支持しているものと考えられる。 周径四・横径(幅)の個人差SDは,それぞ れの平均値の 5~7%程度の値lを示したが,皮 下脂肪厚の個人差 SD は 25~30% と大きな値で あり,特に,腹部前面部位での差が顕著であっ た。斉藤(秀)(1992),湯浅ら (1987

B

, 1993), 石田ら (1992

B

, 1992

C

)

も同様な報告をして いる。 今回の被験者の中で,体脂肪量が25~35%を 示した者が2名いたが,この被験者達は,仰臥 位での

A

部位(ウエスト部位)での横径(幅) が約1cm (2%) 程,自然立位時に比較して増 大していた。即ち,多少肥満傾向にある人や脂 肪厚の多い人に認められる傾向と思われる。石 田ら(1992B, 1992 C) が日本人女性とアメリ カ人女性との差異に関する報告の中で,同様な 傾向を指摘している。 (1) 姿勢による周径囲の変化 自然立位時のA部位周径囲とB部位周径固 との聞においては,かなり高い相関を示した (r=0.733,図 3)。しかし姿勢変化別にみる と,仰臥位 (LYP,点線)が最も高い相関 (r =0.836) であった。

(7)

A部位

一一一 B部位

s

h

CIA Y=2.894x+ 5.68 r=O目859 .t,.

CIB Y=2.739x+14.66 r=O.710?

4 ι ι / , / ,

J

J cm 80 70 困 民間 四 ' d J 4 0 7 7 〆 づ n u p O 噌 i ' 〆 ' 円 d a u Q U ' 〆 , A 仏 仏 〆 / 〆 ==='〆' r r r ' 〆 , 6 0 0 ー ' / 〆 6 1 5 , シ 〆 n u n m u k υ 3 ・ 1 i J ,

+

+

+

x x x a ﹁ ' q o n o a 性 宅 , , n U 0 4 n d ' ' 4 i n 6 n A , , A 仏 仏 〆 〆 -一 一 一 = ' ' YYY 戸 市 r p ? J ' S 釘 ロ / cm 30 25 ( 埋 ) 山 知 挺 組 給 ︿ 60 一一一一 STP -一一 SIP 守 ー 同 ー LYP 20 50 15 30 25 BMI BMIと周径囲(立位) 20 15 80cm 60 70 A部位周径四 50 / 〆 〆 〆 〆 〆 〆 〆 〆 〆 / 〆 〆 〆 〆 〆 〆 〆 / 〆 / 図6 cm ウ工ス卜部位における周径固と横径との関係 図4 WAPY=0.584x+11.26 r=0.709 WBPY=0.515x+ 15.67 r=0.525 30 cm 35 25 ( 嘩 ) 刷 出 饗 STPY=0.217x十10.83r=0.895 SIP Y=0.226x+ 9.64 r=0.776 LYPY=0.279x+ 6目61r=0.913 , r ' d v ' d E ' J P , , j ' d r , , , J y

:

,一〆

:

,一〆

:

〆づ 〆 一 / 〆 / / ノ / / , ' / 〆 ,// ,Y/ 〆 〆 ノ 〆 , L γ , v , d v / / 30 ( 四 号 ) 山 知 標 記 憶 凶 20 即 日 目 25 一一一A部位 一一一B部位 15 20 30 25 BMI BMIと横径(立位) 20 図7 15 90cm 図5 腹部最大突出部位における周径四と横径との 関係 80 70 B部位周径囲 60 (3) BMIとの関係 体型別による差異を検討するために, BMI (Body Mass Index;体重(g)-;-身長 (cm)2x 10, 肥満指数)との関係(図6,7) をみると,横 径との相関関係に比較して,周径囲の方が高い 相闘を示していた。 B部位(腹部最大突出部位) の方が

A

部位(ウエスト部位)に比べ相関係 数が低い値を示したのは,前述のごとく,皮下 指肪の付着しやすい部分であることが関与して いると思われる。 (2) 部位別にみた変化

A

部位(ウエスト部位,図

4

)と

B

部位(腹 部最大突出部位,図5) における周径聞と横径 (幅)との関係をみると,両部位共ほぽ同様な 傾向を示した。 椅座位において,両部位共最も相闘が低い傾 向が認められたが,これは「椅子に座る」とい う姿勢により,腹腔内臓器の変移による腹部前 面への突出によるものと考えられる。

(8)

m m 30 20 10 30

~26歳)のスポーツ実施者の測定結果として, 皮下脂肪の付着しやすい場所として,上胃部

2

2

.

7

:t

9

.

3

4

mm

,下腹部(前面)

2

1.

9

:t

9

.

7

3

mm

,側腹部

1

7

.

3

6.09mm

,臓部(前面)

1

9

.

5

8.28mm

であったとしている。石田ら (1 992A~C) もほぼ同様な結果を示している。 今回の測定部位並びに測定箇所の結果は,ほ ぽ従来の諸報告と同様な結果であった。 しかし,本報告の特徴は,他の報告が自然立 位時の測定だけであるのに比べ,椅座位・仰臥 位の3姿勢変化時の影響を検討しているところ にある。 前面と側面共に, A部位 .B部位において, 自然立位 (STP) と仰臥位 (LYP) による差 異はほとんど認められなかったが, A. B両部 位共に側面よりは前面における皮下脂肪厚が厚 い傾向にあった。 また, A部位とB部位での比較をすると, 側面での皮下脂肪厚の差は僅かであるのに比 し,前面ではB部位(腹部最大突出部位)で 5~10mm( 約 55~66%) 程 A 部位(ウエス ト部位)より多い結果であった。 しかし,椅座位では他の二つの姿勢に比べ, 皮下脂肪厚が厚くなる傾向を示した。特に,

B

部位の前面においては著しく厚く,他の姿勢時 の値に比較し約20~25%程度厚い結果であっ た。これは腹部の上下からの圧迫,腹直筋の弛 緩などによる影響と考えられる。 これらの傾向は,今回の被験者の中でも僅か ながらでも「肥満」傾向の見られる者ほど著し くみられた。 今回の結果の中で,姿勢変化が皮下脂肪厚に も影響していることを考慮するならば,

I

ゆと り」を考える際には,皮下脂肪厚の程度を十分 に把握しておくことが重要であることを示唆し ていると考えられた。 以上は,某大学生を被験者として測定した結 果である。 そこでこれらの結果の妥当性を検討するため に,本学学生を被験者として測定した結果に関 して記載することとする。 A 部 位

i

B 部 位 図8 皮下脂肪厚の測定部位別変化 横径(幅)に関しては,相関係数が周径囲に 比べ多少低い値であるが,ほぼ同様な傾向が認 められた。 (4) 超音波法 (Bモード法)による各部位の 皮下脂肪厚の変化 図8にA部位(上部), B部位(下部)別の 皮下脂肪厚の結果を示した。測定部位としての 前面・側面共に,

A

部位(ウエスト部位)に 比し, B部位(腹部最大突出部位)の方が皮下 脂肪厚が厚い結果であった。特に,

B

部位での 前面においては, A部位に比べ,姿勢変化に 関係なく約

50%

程度厚い様相を示した。 斉藤(秀)

(

1

9

9

2

)

は,躯幹部での平均皮脂厚 は

9

.

8

士1.

5mm

であり,部位的に厚い所とし て啓部,乳房部と腹部(腹部としての部位は限 定していなし、)であるとしている。 斉藤(嘉) (1

9

9

0

)

は,女性の場合,皮下脂肪 の付着しやすい箇所として,腸骨稜上部,腹壁 側面と胸部・腹壁前面であるとしてしる。 さらに,湯浅ら(1

9

9

3

)

は,日本人女性(1

6

(9)

表3 周径囲と皮下脂肪厚の結果 ウエスト部位 (cm) 腹部最大突出部位 (cm) 皮下脂肪厚 (mm) 立位 椅座位 仰臥位 立位 椅座位 平均 63.29 65.68 64.07 78.29 77.56 偏 差 4.20 4.47 4.34 5.86 5.85 く

A

グループ,十0.5SD以上>(N=7) 平 均 69.37 71.84 69.91 85.96 85.37 偏 差 3.15 4.10 3.49 5.87 5.06 くBグループ, -0.5SD~+0.5SD> (N=12) 平均 62.82 65.33 64.04 76.88 76.39 偏差 1.98 2.26 2.29 3.86 3.52 くCグループ, -0.5 SD以下>(N=9) 平均 59.19 61. 35 59.57 74.20 73.04 偏差 1. 07 1. 36 1.2迫 1.72 2.55 被験者の身体的特性は,表lに示しであるご とし某女子大学生と大差のない体型であっ た。 表3には, 28名の部位別周径固と皮下脂肪厚 の結果(上段)を示した。 某女子大学生の体格とは大差ないが,皮下脂 肪厚においては,本学学生の方がやや多い傾向 が認められた。 そこで,体型別の特徴を検討するために, 28 名の被験者をA部位(ウエスト部位)の周径 囲(自然立位)の平均値より0.5SD以上およ び以下の3グループ (Aグ、ループは0.5SD以 上,

C

グループは0.5SD以下,

B

クゃループは 士0.5SD)に分けた(表3)。 なお,各部位での周径囲・横径に関する結果 も某女子大学学生の値と同様の傾向であった。 しかし,皮下脂肪厚においては,

A

部位では 約3mm程度,

B

部位,特に前面では約5mm 程本大学学生の方が厚い結果であった。 これらのことは本大学学生は,筋肉(骨格筋) が少ないことを示唆していると考えられた。 A部位(ウエスト部位)における周径囲(図 9の左側)の姿勢変化による差異をみると,先 に述べた某女子大学生の結果とほぼ同様な傾向 仰臥位

A

E

t. 立位 Bー椅ιo座si位tion 仰臥位 73.71 20.82 25.49 29.59 24.05 6.30 5.11 6.09 6.85 5.51 81. 59 24. 14 : 28.89 32.86 27.21 6.03 7.14 : 9.01 11.90 7.35 72.37 19.39 24.58 27.88 23.96 4.04 3.31 4.37 4.28 5.16 69.39 19.67 24.06 29.33 21. 72 2.54 4.35 5.01 4.60 1. 98 であった。全体での変化としては,自然立位に 比べ,椅座位では約4%程増大している以外 は, 2~3% の範囲であった。 個人別の変化をみる(図9の上段)と,椅座 位のみにおいて, 20%も増加する者がし、た。こ の被験者は比較的皮下脂肪厚の多い者であり, 「ゆとり」分量を考慮する際には,個人のウエ スト部位の様相(皮下脂肪厚の量など)を十分 に考慮することが必要であることを示唆してい ると考えられる。 周径囲別のク。ループによる変化の特徴をみる (図9の右側)と,各グループともほぼ同様な 変化を示した(図9の下段および中段)。しか し,自然立位に対する変化量をみる(図9の上 段),椅座位では周径囲の大きいAグループで は他のグ、ループと比較し, 4cm前後(他のグ ループは2cm前後)と有意 (p<0.05)に増 加を示した。 すなわち,ウエスト部位の大きい人は,

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ゆ とり」の分量として4cm前後,それ以外の人 は2cm前後の量が必要で、はなかろうかと思わ れた。 B部位(最大腹部突出部位)での変化を同様 に,図10に示した。

(10)

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(11)

(cm) y=1.019x+ 1.163,ず=.919 (cm) y= .987x+ 1.6, r'=目914 78 76 組 t 閣E

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立 位 立 位 58 56~ 56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 (cm) 図11 ウエス卜部位での姿勢変化と周径囲 (cm) y= .935x+4.331, r'= .877 92.5 90 ~ l足 87.51-1到 85 ~寝 82.5 80 77.5 75

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85 80 75 70 65目 立 位 67.5 60 y=1.007x-5.093, r'= .875

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立 位 70 72.5 75 77.5 80 82.5 85 87.5 90 92.5 95 70 72.5 75 77.5 80 82.5 85 87.5 90 92.5 95 (cm) (cm) 図12腹部最大突出部位での姿勢変化と周径囲 (mm) 37.5 35 32.5 4己 30

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22.5 世 20~自 主 回17.5 ~ ロ 15 y= .417x-7目125,r'= .161 百 口 口 ロ ロ 口 ロロ ロ ロ ロ ロ ロ (mm) y= .471x-6.951, r'= .162 45 4

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(12)

A部位における周径囲の姿勢変化による相 関関係,

B

部位における周径囲の姿勢変化によ る相関関係並びにB部位(腹部最大突出部位) における皮下脂肪厚との相関関係を,図1,1 12, 13に示した。 図で明らかなように,周径囲の姿勢変化との 関係はかなり相闘が高い結果を示し,特に

A

部位(ウエスト部位)で高かった。皮下脂肪厚 との関係では,周径囲の大きい者ほど脂肪厚が 多い傾向にはあるが,相関係数は高くはなかっ た。これは,皮下脂肪厚よりも,内臓脂肪との 関係が高いと考えられる。

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被服構成に必要な適切な「ゆとり」分量を求 めるために,日常生活での基本的な動作(自然 立位,椅座位および仰臥位の三姿勢)時のウエ スト部位 (A部位)並びに腹部最大突出部位 (B部位)における周径囲・横径(幅)の変化と, 両部位での前面と側面における皮下脂肪厚の変 化を超音波Bモード法を用いて検討した。被 験者として健康な女子大生44名を対象とした。 その結果,以下のような事柄が示唆された。 ① 周 径 囲 ・ 横 径 共 に ウ エ ス ト 部 位 (A部 位 ) に 比 較 し 腹 部 最 大 突 出 部 位 (B部位)の 方が約10%程度大きい傾向にあった。 ② ウエスト部位では自然立位に比し,周径 囲が椅鹿位で4%程度増大しているが,仰臥位 では,自然立位同程度か僅かに減少する傾向に あった。 ①腹部最大突出部位では,自然立位時に周 囲・横径(幅)共に最大であり,椅座位,仰臥 位の順に小さくなっていた。 ④皮下脂肪厚は,姿勢変化による差異は, 各部位・各箇所共に同様な変化を示した。 ⑤椅座位姿勢での皮下脂肪厚が,他の姿勢 でのものに比較し最も大きい値を示した。 ⑥ ウエスト部位と比較し,腹部最大突出部 位での皮下脂肪厚が前面,側面共に厚く,特に 前面においては約 50~60% も多い結果であっ た。 ⑦ 周径囲の大きい人,または皮下脂肪厚の 多い人は,自然立位で4cm前後の周径囲の増 加を示し,それ以外の人でも 2cm前後の増加 であった。この変化量が適切な「ゆとり」を考 える上での一つの目安になるのではなし、かと考 えられた。 今後更に例数を増やし,体型別の法則性を探 るための検討を加えたし、と考えている。 最後に本研究を遂行するにあたり,御指導・ 御助言をいただいた聖マリアンナ医科大学第二 生理学教室吉岡利忠教授並びに測定に御協力い ただいた同教室の先生方,超音波測定の御指導 .御協力をくださいました女子美術大学石田良 恵教授と実践女子大学鈴木志保子氏に感謝申し 上げます。 参 考 文 献 福永哲夫 (1978):ヒトの絶対筋力一超音波法によ る体肢組成・筋力の分析一,杏林書院,東京, 34 -36, 47-69 福永哲夫,角田直也 (1982):組織断面積計測にお ける超音波法とCT法との比較,日超医論文集, 41 ; 433-434 石田良恵,角田直也,金久博昭,福永哲夫(1985): 超音波皮脂厚計の検討,体力科学, 34; 91-97 石田良恵,金久博昭,福永哲夫,西山一行(1987): 女子長距離ランナーにおける身体組成,体肢組成 および皮下脂肪厚の特徴,体力科学, 36; 18-24 石田良恵,金久博昭,福永哲夫,中村栄太郎 (1992 A) :日本人一流競技選手の皮下脂肪厚と 筋厚, Jap.]. of Sports Scie., 11; 587-596 石田良恵,金久博昭,福永哲夫, POLLOCK, M. L. (1992 B):皮下脂肪および筋の厚みからみた日本 人女性とアメリカ人女性との比較研究, Ann. PhysioL Anthrop., 11; 29-35

ISHIDA, Y., ].F. CARROLL, M. L. POLLOCK, J. E. GRA VES and S. H. LEGGETT (1992C): Reliability of B-Mode U1trasound for the Mea-surement of Body Fat and Muscle Thickness,

Am. J. of Human Bio,.l4; 511-520

KA TCH, F. I. (1983): lndividual differences of ultrasound assessment of subcutaneous fat:

(13)

Effects of body position. Hum. Biol. 55; 789-795 中原五十鈴(1970) :衣服と下肢動作に関する研 究, (1)基本動作について,文化女子大学研究紀 要,第2集 ;44-50 斉藤秀子,田村照子 (1992):成人女子の皮下脂肪 分布について,第一報躯幹部の皮下脂肪厚, Ann. Physiol. Anthrop., 11; 495-505 斉藤嘉代(1990):超音波断層法および直接法によ る皮下脂肪厚計測についてー第一報 日本人成人 屍体について ,文化女子大学研究紀要,第21 集 ;111-123 田村照子,中原五十鈴,岸本やよい,菊川幸子 (1980) :妊婦の体型変化に関する縦断的研究(第 一報),家政学雑誌, 31; 94-100 豊川裕之,木村信子,丸井英二 (1984): A-mode 式超音波皮脂厚計の実用化のための基礎的研究 (第一報),大腿部における標的波の同定の妥当 性, 日本公衛誌, 31; 14-19 湯浅景元,福永哲夫 (1987A) : Bモード超音波法 による皮下脂肪厚測定の正確度,体力科学, 36 31-35 湯浅景元,福永哲夫 (1987B) :超音波法による皮 下脂肪厚分布パターン,体力科学, 36; 36-41 湯浅景元,後藤佐都美(1993):日本人女子の体幹 と体肢における皮下脂肪の分布と総量,体力科 学, 42; 46-52

表 3 周径囲と皮下脂肪厚の結果 ウエスト部位 ( c m ) 腹部最大突出部位 ( c m ) 皮下脂肪厚 (mm) 立位 椅座位 仰臥位 立位 椅座位 平均 6 3

参照

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