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顕微授精に関する承諾書

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Academic year: 2021

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顕微授精に関する説明書

乾マタニティクリニック TEL:024-925-0705 説明者( )

はじめに

1992年、パレルモらによって1個の精子細胞を直接卵子細胞質内に注入して受精させる卵細胞質内精子注入法(ICSI) が開発されました。日本産科婦人科学会では、顕微授精法の臨床実施に関する見解において、『顕微授精法を実施する医 療機関は、既に体外受精・胚移植などによる分娩成功例を有することを必要とする。』及び『顕微授精法を行うにあたっては、 所定の書式に従って日本産科婦人科学会に登録・報告しなければならない。』と記されています。当院では、これらの見解に 基づき、インフォームド・コンセントの得られたご夫婦において、卵細胞質内精子注入法を実施しています。

医学的適応

 精子数が1500万/ml以下、運動率が40%以下、正常形態率が15%以下、体外受精治療当日の精液検査データが不良 などの男性不妊症が疑われる場合、媒精の代替手段として顕微授精をお勧めしています。  以前の体外受精(C-IVF)において分割状況が不良、低受精率あるいは受精卵が得られなかった場合。  採卵数が少なく(3 個以下)、受精卵を得るのが難しいと判断された場合。  ご夫婦のスクリーニング検査で、異常が発見されないのに妊娠に至らない原因不明不妊症(機能性不妊)を疑う場合。  血液中の抗精子抗体検査陽性で、精子を不動化させる抗体を奥様が保有している場合。  反復して人工授精を実施したが、妊娠に至らず受精障害を疑う場合。  精巣または精巣上体より採取した精子を用いた体外受精。

方法

①卵子の周りに付着している顆粒膜細胞を酵素 (ヒアルロニダーゼ)で取り除きます。  第1極体が確認できれば成熟卵です。  第1極体が確認できない時は顕微授精ができ ません。  卵子の細胞質が萎縮、変性している場合は顕 微授精を行っても受精しないことがあります。 ②CytoScreen(精子を1000倍以上の倍率で観察できる装置)を用いて形態良好精子をピックアップしています。 ③ガラス製の針に精子を吸引します。(卵子の細胞質内で精子が動かないよう尾部の動きを抑える操作をしています。) ④卵子の細胞質にガラス針を刺して精子を送り込みます。

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2  卵子の状態により顕微授精後の細胞質にダメージを与えることがあります。(細胞膜に抵抗性がない場合)  形態が良好な精子をピックアップしているだけで、遺伝子操作や男女産み分け操作はおこなっていません。  顕微授精ができても必ず正常受精になる訳ではありま せん。平均正常受精率は約75%です。  受精確認時に前核が2個、極体が2個観察されるのが 正常受精です。  前核が1個だけの時は、卵子あるいは精子どちらかの 核が形成されていないことが考えられます。また、それ ぞれの前核形成時間がずれている可能性もあります。  前核が3個、極体が1個の時は卵子の活性が弱いと考 えられます。  顕微授精で卵子と精子が受精した後の胚発育は媒精 による胚と同様です。 *受精障害において卵活性化障害が疑われる症例には卵子活性化処理法「カルシウムイオノフォア」をご案内することがあり ます。 *精子無力症における精子運動性の賦活化や運動生存精子の選別・回収などに Pentoxifylline(ペントキシフィリン)使用をご 案内することがあります。 カルシウムイオノフォア、Pentoxifylline の詳細説明については当院スタッフにお声かけください。

胚(受精卵)培養

 受精が確認できない卵子は移植することができません。  異常受精卵は染色体数が正常でないため移植することはできません。  正常受精した前核期卵であってもその後分割しないこと(分割停止)があります。  正常受精した前核期卵であってもその後の分割がどのようになるか予測することはできません。  未熟な卵子、活性の弱い卵子または精子の場合は前核の形成が遅れることがあります。 順調に受精卵が発育すると採卵から2日後には2~4細胞に分割します。 また3日目であれば5~8細胞、4日目で桑実胚、5~6日目に胚盤胞にいたります。 5~6日目までの胚盤胞培養料金として20,000円(税込21,600円)が掛かります。  全ての胚(受精卵)が順調に発育するわけではありません。  卵子や精子の活性、染色体の異常等により分割が途中で停止することもあります。  分割が停止した胚(受精卵)は子宮に戻すことができません。また、凍結保存することもできません。  胚(受精卵)のグレードが良好でも妊娠にいたらないことがあります。(形態的評価と受精卵の質が一致するとは限りませ ん。)  分割卵の数とグレードにより、母体に早く戻す初期胚移植にするか5日目の胚盤胞移植にするかご相談いたします。 ※体外培養は母体の中を完全に再現できているわけではありません。 良好胚は割球の大きさが均一です。 小さな粒状の物質はフラグメントといいます。 フラグメントが多くなると低グレードと判断されます。 観察時間によりグレードは変化いたします。 高グレード 高グレード 低グレード

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タイムラプスインキュベーター(受精卵培養観察システム)を導入しています。

胚(受精卵)をインキュベーター(培養器)から出すこと無く最善の環境下で培養を続けたまま、 受精・分割の過程を自動的に撮影し(15 分毎に 24 時間連続)タイムラプス動画にて詳細に 観察できます。 胚への負担が軽減されるため良好胚(適切な時期に規則的な分割をしている胚)の生産率向上と 良好胚選別をより確実に行えるようになり妊娠率の向上が期待できます。 また、希望する患者様には実際の胚の発育過程をタイムラプス動画で確認いただくことができます。 仮に、成長が途中で止まってしまった場合でも、どの時点で問題が生じたのか確認でき、次回以降の 治療に生かすことができます。 *機器のメンテナンスや、採卵件数の状況によりタイムラプスの撮影が行えないことがあります。

胚(受精卵)移植

顕微授精により得られた胚(受精卵)を子宮に移植することを『胚(受精卵)移植』といいます。 通常は、採卵から2~3日目の2~8細胞期に分割した胚(受精卵)を、麻酔は使わずに経頸管的に子宮腔内へ移植します。 この方法が困難な場合は、軽麻酔下で子宮壁穿刺により受精卵を子宮内腔へ移植します。 また5日間培養した後、胚盤胞の状態で移植することもあります。  胚移植にいたらなかった胚(受精卵)は、最長7日目まで継続して培養します。良好胚盤胞に到達した場合、凍結して保存 することができます。分割が停止してしまった胚(受精卵)は凍結保存できません。  胚移植後はしばらくベッドで安静にしていただいた後に帰宅していただきます。  入院を希望されるときは、あらかじめスタッフへお知らせください。  胚移植をお受けいただく際、採卵日に注意事項と黄体補充の日程等を別紙にて説明しております。  移植に用いるカテーテルの種類によって差額料金が発生いたします。  胚移植時間は外来診療の状態、緊急手術などにより変更されることがあります。  胚移植反復不成功例・35 歳以上の症例・患者様希望などにより、ヒアルロン酸添加培養液(UTM)を用いた移植をご案内す ることがあります。 ※詳しくは『胚(受精卵)移植をお受けの方へ』を参照ください。

黄体補充

子宮へ移植した胚(受精卵)が着床しやすくなるようホルモン剤であるプロゲステロンやエストロゲン製剤を使用して黄体補充 いたします。血中ホルモン値や卵巣径により黄体補充の量は加減されます。胚移植後から約2週間続けられます。

妊娠反応検査と経過報告

 胚移植後14日目に尿による妊娠反応検査をおこないます。陽性の時は血液中のホルモン値も測定しています。  妊娠反応が陽性になった場合、ひき続き黄体補充をおこなうことがあります。  当院は日本産科婦人科学会による生殖補助医療実施医療機関の登録施設です。登録施設は、体外受精‐胚移植の治療 結果を日本産科婦人科学会へ報告する義務があります。また学会などで当院の治療成績を発表することがあります。 成績の発表や学会への報告の際、御夫婦および出生児の個人情報は保護されます。  他施設または市販薬等で妊娠判定をされた場合、必ずその結果をご報告ください。他施設で分娩される場合は、後日当院 まで、分娩時の週数、男女、体重、分娩様式、その後の経過について必ずご報告ください。

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顕微授精の成績とリスク

日本における2014年度の射出精子を用いた顕微授精(ICSI)の治療成績(2016 年日本産科婦人科学会報告)  治療周期数は120,462回  移植総回数33,940回(採卵周期に胚移植せず受精卵を凍結保存されることもあります。)  妊娠数6,402件(移植あたり妊娠率18.9%) 胎嚢数多胎率3.1%  流産数1,830件(妊娠あたりの流産率28.6%)  体外受精同様、顕微授精の治療後に胚移植が行われ、妊娠された方の中で異所性妊娠が発生することがあります。  日本産科婦人科学会の2014年度の統計結果では、新鮮胚移植の先天異常率(先天異常/生産+死産+人工流産)は全 体で2.4%です。

 小森らは『ICSI における新生児での染色体異常に関しては、Bonduelle et al.は常染色体異常の発生率は、ICSIにおける 新生児で0.83%、自然妊娠での新生児では、0.21~0.61%であると報告している。一方、性染色体の構造異常の発生率は、 ICSI における新生児で0.83%、自然妊娠での新生児では,0.19~0.23%と報告している。Peschka et al.もICSI において 常染色体及び性染色体の構造異常が、有意に高いと報告している。これらより、現在までのところICSI においては、常染色 体及び性染色体の構造異常の発生率がやや高いと考えられる。』と日産婦誌54巻9号において報告しています。  男性不妊症の非閉塞性無精子症及び重症乏精子症という造精機能障害がある場合、Y 染色体の長腕に微小欠失が存在 することが明らかとなっており、次世代に染色体異常が遺伝することが考えられます。  顕微授精操作の胚への遺伝学的影響は未だ解明されておらず、今後さらに検討・調査が必要であると思われます。  顕微授精の出生児の長期予後に関してもまだ不明な点があります。今後も顕微授精で出生した児の長期フォローアップが 必要と思われます。

料金

顕微授精は、卵子の個数により料金が異なります。 酵素処理だけをおこなった場合・・・・・・・・・20,000円(税込21,600円) 卵子の個数が1~5個の場合・・・・・・・・・・・40,000円(税込43,200円) 卵子の個数が6個以上の場合・・・・・・・・・・1個につき2,000円(税込2,160円)で加算されます。 ガラスピペットを追加使用した場合・・・・・・5,000円(税込5,400円) 卵子活性化処理法(カルシウムイオノフォア)・・16,400円(税込17,712円) ペントキシフィリン使用・・・・・・・・・・・・・・・・15,000円(税込16,200円)

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当院の「ヒト生殖補助医療のための研究」について

当院では研究所をもうけ、少子化と高齢化の問題解決のため、不妊治療の成功率向上のための研究に日夜取り組 んでおります。そこで、今後の不妊治療の発展のため、貴殿の廃棄処分となる受精しなかった卵子、異常受精卵、 胚移植や胚凍結に適さない不良胚を研究に使用させていただきたく、お願い申し上げます。 なお、個人情報については固く守らせていただきますのでご心配いりません。 つきましては、「顕微授精に関する同意書」の≪研究使用の選択事項≫にあります □研究使用に同意します また は □研究使用に同意しません の欄のどちらかに☑を必ず入れてください。 研究使用に同意しなくても、何ら不利益を受けることはございません。 *研究使用に同意した後でも、自由に取りやめることが可能です。 *プライバシ-の保護、秘密保持 ・研究に使用した胚(受精卵)の母親・父親を特定できるような情報は、院長乾裕昭と当該研究に関わる研究者の みが知りえるものとし、それ以外の外部には公表致しません。 ・研究成果の公表時(学会や論文)にも、母親・父親を特定できる情報は公表致しません。 *研究使用に同意いただきました「受精しなかった卵子、異常受精卵、胚移植や胚凍結に適さない不良胚」に対し、 遺伝子操作等の人為的操作は加えません。 *研究使用後はただちに責任をもって廃棄処分し、他者への胚移植などには使用致しません。

顕微授精実施中のトラブルについて

顕微授精実施中・胚(受精卵)培養中に不慮の事故(天災、火事、事故など)で卵子、胚(受精卵)を損壊もしくは損 失した場合の補償はいたしかねます。

説明会

 生殖補助医療に関する疑問、ご要望等がありましたら医師へご相談ください。  毎月第 2 土曜日と第 4 土曜日、午後2時から当院4階多目的室にて一般不妊治療~体外受精の説明会を開催しておりま す。参加される際は事前にご予約ください。 ※カウンセリングを希望される場合は、遠慮なくスタッフへお申し出ください。 医師およびスタッフより治療についての説明及びご夫婦のご同意をいただいた後、顕微授精を施行させていただきます。 「顕微授精に関する同意書」をご記入の上、採卵当日までにスタッフに提出していただきます。 ※採卵個数、精子の状態を当日お知らせしています。その後治療方法を改めてご確認させていただきます。 今後、規定・料金が変更されることがあります。2017.01.01

参照

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