ショートステイ利用前後の要介護者の神経精神症状の変化および神経精神症状の2日間評定の信頼性・妥当性の検証
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(2) 20. 理学療法学 第 44 巻第 1 号. がいることが報告されている 8)。介護者の介護負担に関 連する要因のひとつとして要介護者の NPS があり. 9) 10). ,. 要介護者の NPS が悪化すると介護者の介護負担が増加 することが報告されている. 11). 。そのため,もしショー. ける利用前後のそれぞれ 2 日間程度の NPS を把握する 手段が新たに必要であると考える。 NPI は Cummings ら. 16). によって開発され国際的に. 広く用いられている NPS の包括的な評価尺度で本邦で 23). 。. トステイの利用後に要介護者の NPS が悪化すれば,介. も有用性が確認されている. 護者の介護負担が増加し,在宅生活の継続が困難な状況. そこで本研究では,NPI について観察期間を 2 日間に. になる可能性がある。したがって,ショートステイ利用. 短縮して重症度得点で判定した NPI 重症度 2 日間評定. 前後における要介護者の NPS の変化を明らかにするこ. 版の尺度特性を検証すること,およびそれを用いて国内. とは,介護を担う介護者と要介護者の在宅生活を支援す. のショートステイ利用前後の要介護者の NPS の変化に. るために重要となり,理学療法士がショートステイで果. ついて検証することを目的とする。. たすべき適切な評価とマネージメントの意義の手がかり になると考える。 レスパイトケアに関する先行研究における評価尺度 4). は,行動障害(BA ,MACC. 12). ,DBDS. 14). ),行動障. 12). 1.NPI 重症度 2 日間評定版の信頼性・妥当性の検証 1)検者内信頼性. ),記憶と行. 検者内信頼性は,1 人の検者が測定を 2 度繰り返した. 3). 動障害(MBPC ),アルツハイマー病患者に関する看. ときの一貫性およびバラツキを調べるため,今回の調査. 12). )など多くの評価指標が用いられて. ではショートステイ利用前後で NPS に変化がなかった. いるが,各研究で異なる指標が使用されていたことか. と考えられる要介護者に対し,同一の評価者が利用前後. ら,短期入所に伴う症状変化の実態記述や入所の効果判. に行った NPI 重症度 2 日間評定版の値により検討した. 定に関する研究手段が未だ十分に確立されていないと考. (図 1;対象 2) 。NPS に変化がない対象者の選定には,. えられる。また,これらの先行研究では入所期間が平均. 要介護者の表情について無表情からとても楽しいもしく. 約 2 週間で,評価前 1 週間以上の状態を評定する指標が. は元気まで 5 段階で主介護者が評価する表情スケールの. 害と ADL(FABSAD 護尺度(BANS. ),記憶(IMC. 13). 対象と方法. 用いられている。. 「喜」と「元気」を用い,利用前と利用後の調査の際に. 認知症患者などにみられる NPS を観察する評価指標 に は,BEHAVE-AD. 15). ,NPI 16),CMAI 17) な ど が あ. るが,これらの指標においても 1 週間以上の観察期間を 設定している。. 評価した。表情スケールの「喜」と「元気」は良好な再 現性があることが報告されている. 24). 。また,ショート. ステイ利用後の要介護者の精神状態の変化に関して, 「おおいに調子がよくなった」から「おおいに調子が悪. しかし,国内ではショートステイの 1 回の利用日数は. くなった」 ,までの 7 段階尺度で利用後に主介護者が評. 3 日がもっとも多く,7 日以下が 8 割以上を占めてい. 価した。NPS に変化がない対象者の定義として,表情. る. 18). 。このような国内の短期間のショートステイの利. スケールにおいて利用前後の回答が同じだった者で,か. 用が,利用者に与える短期的な影響を調べるため,1 週. つ利用後の精神状態に変化がなかった者とした。. 間以上の観察期間が必要な指標を用いると,短期的な変. 2)併存的妥当性. 化を見逃してしまう可能性があり,より短い観察期間で. NPI 重症度 2 日間評定版の併存的妥当性の検討に関す. 利用者の NPS を評定する必要がある。. る対象者は,ショートステイを利用している要介護者. これまでにも施設や病院に入院中の患者の問題行動な. に,重症者も対象者に含める目的で介護老人保健施設の. どについて,3 ∼ 5 日の観察期間で評定されている報告. 長期入所を利用している要介護者を加えた(図 1;対象. が散見され. 19‒22). ,信頼性や妥当性が示されているが,. 日本語訳はされておらず,自宅での様子を観察する指標 として用いられていない。Hirsch ら. 14). は施設などに短. 3(a),3(b))。 長期入所の利用者は入所して 2 ヵ月以上経過している 要介護者とした。NPS が認められない要介護者は対象. 期間入所するレスパイトケアの利用者の動作能力や行動. から除外した。長期入所者の調査は,評価前の 1 ヵ月間,. を評価するために,入所前,入所直後,退所直前,退所. 継続して 1 週間に 5 日,1 日に 4 ∼ 5 時間以上同じフロ. 直後のそれぞれ 2 日間の様子を観察して調査を行ってい. ア内で入所者と接し,入所者の普段の様子を把握してい. 14). は,2 日間の ADL と認知症の行動に. る NPS の評定について教育を受けた担当作業療法士に. 関する評価指標を独自に開発し,入退所前後の 2 日間の. 面接して行った。勤務時間外の夜間の様子などについて. 評価を行っているが,内容の詳細は不明であり,数日程. は,カンファレンスや申し送り等で看護介護スタッフか. 度の短期間の NPS を評価できる広く知られた既存の指. ら情報を得ている。. 標は,我々が調べた限りではみられない。. ショートステイを利用している要介護者の調査は,普. 以上のことから,国内の短期間のショートステイにお. 段の様子を把握している主介護者にショートステイ利用. る。Hirsch ら.
(3) ショートステイ利用前後の要介護者の神経精神症状の変化. 21. 図 1 調査の流れ. 前に調査者が面接して行った。. した。ショートステイの利用期間中には,特別なケアは. 3)系統誤差(Bland-Altman 分析). 行っていない。. NPI 重症度 2 日間評定版に関して,NPI 重症度との関. 調査内容は要介護者の基本属性(年齢,性別,認知機. 係について,Bland-Altman 分析を用いて 2 種類の評定. 能,要介護度,要介護状態になったおもな原因疾患,. 期間の指標の測定値の間にある系統誤差の有無を調べ. ショートステイ利用日数・利用回数),NPS および介護. た。NPI. 16)23). は認知症でよく認められる妄想,幻覚,. 者 の 介 護 負 担 と し た。NPS は NPI. 16)23). を改変した. 興奮など 10 項目の症状から構成されており,各項目が. NPI 重症度 2 日間評定版を用いて調べた。今回用いた. 該当する場合,観察されたその頻度と重症度を判定し,. NPI 重症度 2 日間評定版は,NPI と同じ質問内容で,頻. 重症度と頻度の積の合計で得点を算出する。今回の調査. 度を尋ねる項目を省いた内容とした。得点は,調査前 2. では調査前 4 週間の症状を観察して評定した。. 日間に観察された各項目の重症度のみを判定して算出し. NPI 重症度は,調査で得られた NPI の回答から頻度. た。合計得点は 0 ∼ 30 点で,得点が高いほど症状が重. の項目を省き,重症度のみを判定して得点を算出した。. 症であることを示す。実施方法は,原則として調査者が. NPI 重症度 2 日間評定版と NPI のデータ収集は,それ. 要介護者の普段の様子を把握している主介護者に面接し. ぞれ調査の 2 日前から前日の状況と調査前の 4 週間の状. 評価した。NPI 重症度 2 日間評定版の内容に関して,理. 況について,同じ日に調査を行った。 (図 1;対象 3(a),. 学療法士 1 名,作業療法士 1 名,リハビリテーション科. 3(b))。調査を行う際,後に回答した指標が先に回答. 医師 1 名により,表面妥当性について検討した。質問表. した指標から受ける影響を考慮し,回答する順序を変え. 現については,評価を行う期間の記載があった頻度につ. た調査用紙を用意し,対象者を 2 日間評定を先に回答す. いての項目を省いており,その他に不適切な表現箇所は. る群と 4 週間評定を先に回答する群に分け調査を行っ. なかった。NPI 重症度 2 日間評定版を使用するにあたっ. た。実施方法は,原則として調査者が要介護者の普段の. て,NPI の原著者である Cummings 博士に NPI の観察. 様子を把握している主介護者に面接し評価した。. 期間を 2 日間に短縮した場合の尺度特性の検討を実施す ることについて承諾を得た。また,日本語版 NPI の邦. 2.ショートステイ利用前後の調査. 訳者および販売会社に,原著者に承諾を得たうえで検討. ショートステイ利用前後の調査対象者の登録期間は. を進めることについて確認をした。認知機能は Mini-. 2013 年 7 月 1 日∼ 2014 年 6 月 30 日までの 1 年間とし,. Mental State Examination(以下,MMSE). 25). と Clinical. 26). を用いて調べた。調. その期間に入所を開始した要介護者とその主介護者を調. Dementia Rating(以下,CDR). 査対象とした(図 1;対象 1) 。利用前後の調査対象者の. 査は利用中に調査者が実施した。介護者の介護負担は. 包含基準は,①自宅から入所し自宅へ退所する者,②研. Zarit 介護負担尺度短縮版(以下,J-ZBI_8). 究参加の同意が得られた者とした。除外基準は,①調査. いて調べた。J-ZBI_8 は介護を必要とする状況に対する. 期間中に急な体調の変化が生じた者,②要介護者の普段. 否定的な感情の程度や介護によって社会生活に支障をき. の生活の様子を観察できる介護者がいない者,③利用開. たしている程度に関する 8 項目から構成され,各項目に. 始の申し込み手続きがひとりで行えなかったなど,介護. ついて 0 ∼ 4 点の 5 段階で評価される。合計得点は 0 ∼. 者の認知機能の低下などが疑われ正確な情報を得ること. 32 点で,得点が高いほど介護負担感が高いことを示す。. が困難であると施設の相談員らと協議して判断した者と. 評価は主介護者に依頼した。. 27)28). を用.
(4) 22. 理学療法学 第 44 巻第 1 号. データ収集は,NPI 重症度 2 日間評定版,J-ZBI_8 に. 表 1 ショートステイ利用前後の調査対象者の基本属性. 関して,利用前の状況は入所 2 日前から前日の状況につ. 要介護者(n = 50). いて,利用後の状況は退所翌日から 2 日目の状況につい. 年齢(歳). て,要介護者の主介護者から回答を得た。. 性別(男/女)(人). 84.5(80.5,91.3) 23 / 27. MMSE(点). 13.0(5.0,19.3). 3.データ分析. CDR(点). 1.0(0.88,2.0). すべてのデータについて正規性の確認を行い,正規性. 要介護度(人). が確認されなかった変数についてノンパラメトリック検. 要介護 1. 定を行った。. 要介護 2. 6. 検者内信頼性に関しては,NPI 重症度 2 日間評定版の. 要介護 3. 13. 要介護 4. 13. 要介護 5. 7. 合計得点および下位項目について,重み付けをしたカッ パ係数を求めた。 併存的妥当性に関しては,NPI 重症度 2 日間評定版と. 主たる疾患(複数回答)(人). NPI,MMSE,CDR との関係について Spearman の順. 脳血管疾患. 位相関係数を用いて検討した。. 関節疾患. 系統誤差については先行研究. 29)30). を 参 考 に し,. 11. 25 6. 骨折. 15. Bland-Altman 分析を用いて検討した。加算誤差の有無. 心疾患. 11. の判定は,2 つの指標の差の平均値の 95% 信頼区間が 0. 糖尿病. 10. を含まない場合に加算誤差が存在すると判定した。比例. 認知症. 16. 誤差の判定は,散布図から回帰式を算出し,回帰式の有. その他. 23. 意性が確認された場合に比例誤差が存在すると判定. ショートステイ利用日数(日). した。. 利用開始からのショートステイ利用回数(人). NPI 重症度 2 日間評定版,J_ZBI-8 のショートステイ. 1 回. 利用前後の値については Wilcoxon 検定を用いて比較し. 2 ∼ 5 回. 15. た。また,NPS の利用前後の変化と介護者の介護負担. 6 ∼ 10 回. 7. の変化との関連を調べるため,NPI 重症度 2 日間評定版. 11 回以上. 27. の利用前後の変化値と J_ZBI-8 の利用前後の変化値の相 関を Spearman の順位相関係数を用いて調べた。 統計解析は IBM SPSS Statistics version 22 を使用し, 重み付けカッパ係数についてはエクセル統計 2012 を使 用した。統計学的有意水準は 5%とした。. 年齢(歳) 性別(男/女)(人). 14. 娘. 14. 息子の配偶者. る同意を得た。. 4 / 46. 配偶者. 息子. 意義・方法・不利益等を文書と口頭で説明し,文書によ. 63.2 ± 9.3. 要介護者との関係(人). 本研究計画は兵庫医科大学の倫理審査委員会の承認 員会の承認(13-08)を得た。調査対象者には本研究の. 1. 介護者(n = 50). 4.倫理的配慮 (第 1484 号)(第 2266 号)と吉備国際大学の倫理審査委. 4.0(3.0,5.0). その他. 4 17 1. 正規分布データ:平均値±標準偏差 非正規分布データ・順序尺度データ:中央値(25%,75%四分 位点) MMSE:Mini-Mental State Examination,CDR:Clinical Dementia Rating. 結 果 1.対象者の特徴 ショートステイ利用前後の調査対象者は,要介護者. 後の精神状態に変化がなかった 13 名であった。. 50 名とその主介護者 50 名であった。要介護者は男性 23. Bland-Altman 分析と併存的妥当性の検討に関する対. 名(46 %) , 女 性 27 名(54 %), 主 介 護 者 は 男 性 4 名. 象者は,ショートステイを利用している要介護者 15 名. (8%),女性 46 名(92%)であった(表 1) 。 検者内信頼性の検討の対象者は,利用前後の調査を実 施した 50 名のうちショートステイ利用前後において表 情スケールの「喜」と「元気」に変化がなく,かつ利用. および長期入所を利用している要介護者 12 名であった (表 2)。.
(5) ショートステイ利用前後の要介護者の神経精神症状の変化. 23. 表 2 NPI 重症度 2 日間評定版の信頼性・妥当性の調査対象者の基本属性 ショートステイ利用者(n=15) 年齢(歳). 長期入所利用者(n=12). 77.9 ± 8.9. 性別(男/女)(人). 84.5 ± 5.8. 9/6. 1 / 11. 15.0(10.5, 23). 5.4 ± 5.2. 1.0(0.5, 2). 3.0(2, 3). 脳血管疾患. 12. 4. 関節疾患. 2. 2. 骨折. 2. 2. 心疾患. 3. 1. 糖尿病. 3. 2. 認知症. 3. 9. その他. 5. 5. NPI. 5.0(2, 8.5). 27.3 ± 18.7. NPI4w. 2.0(1, 4.5). 7.8 ± 4.9. NPI2d. 1.0(0, 3). 7.3 ± 4.5. MMSE(点) CDR(点) 主たる疾患(複数回答)(人). 正規分布データ:平均値±標準偏差 非正規分布データ・順序尺度データ:中央値(25%,75% 四分位点) MMSE: Mini-Mental State Examination, CDR: Clinical Dementia Rating NPI: Neuropsychiatric Inventory, NPI4w: Neuropsychiatric Inventory 重症度 NPI2d: Neuropsychiatric Inventory 重症度 2 日間評定版. 表 3 検者内信頼性. 2.NPI 重症度 2 日間評定版の信頼性・妥当性 検者内信頼性に関して,NPI 重症度 2 日間評定版の重 み 付 け カ ッ パ 係 数 は 0.971(95 % 信 頼 区 間:0.947 ∼ 0.994)であった(表 3)。NPI 重症度 2 日間評定版の項 目ごとの重み付けカッパ係数の結果を表 4 に示す。下位. NPI2d. 95%信頼区間. 係数. 0.947 ‒ 0.994. 0.971a). a)重み付けカッパ係数(weighted kappa) NPI2d: Neuropsychiatric Inventory 重症度 2 日間評定版. 項目のカッパ係数は幻覚が 0.639,興奮が 0.629,その他 の項目は 0.876 以上であった(表 4) 。. 表 4 NPI 重症度 2 日間評定版の下位項目の検者内信頼性. NPI 重症度 2 日間評定版と NPI の Spearman の順位 相関係数は,r = 0.937(p < 0.001)で有意な正の相関 が 認 め ら れ た。NPI 重 症 度 2 日 間 評 定 版 と CDR の. カッパ係数. 95% 信頼区間. 1 妄想. 1.000. 1.000 ‒ 1.000. 2 幻覚. 0.639. 0.331 ‒ 0.947. Spearman の順位相関係数は r = 0.618(p = 0.001)で. 3 興奮. 0.629. ‒ 0.021 ‒ 1.278. 有意な正の相関が認められた。MMSE との Spearman. 4 うつ. 1.000. 1.000 ‒ 1.000. の順位相関係数は r = ‒ 0.546(p = 0.003)で有意な負の. 5 不安. 0.876. 0.582 ‒ 1.171. 相関が認められた。. 6 多幸. 1.000. 1.000 ‒ 1.000. Bland-Altman 分析の結果,NPI 重症度 2 日間評定版. 7 アパシー. 0.922. 0.808 ‒ 1.036. と 4 週間評定である NPI 重症度の間には,比例誤差(回. 8 脱抑制. 1.000. 1.000 ‒ 1.000. 帰直線の傾き 0.222,p = 0.267)は認められなかった。4. 9 易刺激性. 0.876. 0.582 ‒ 1.171. 週間評定の得点から 2 日間評定の得点を減算した値の平. 10 異常行動. 1.000. 1.000 ‒ 1.000. 均値は 0.704,平均値の 95%信頼区間は 0.328 ∼ 1.08 で. カッパ係数:重み付けカッパ係数(weighted kappa). 0 を含まず,2 日間評定と 4 週間評定の間には加算誤差 が認められた(図 2)。 は認められなかった(表 5)。 3.ショートステイ利用前後の変化. NPI 重症度 2 日間評定版と J_ZBI-8 の利用前後の変化. 全対象者では,ショートステイ利用前後の要介護者の. 値の Spearman の順位相関係数は r = ‒ 0.093(p = 0.522). NPI 重症度 2 日間評定版は,利用前と比べ利用後では有. で有意な相関は認められなかった。. 意に低い値が示された。J_ZBI-8 は利用前後で有意な差.
(6) 24. 理学療法学 第 44 巻第 1 号 4. difference䠄4w-2d䠅. 3. Mean+2SD. 2 Mean. 1 0 0. 2. 4. 6. 8. 10. 12. 14. 16. 18. 20. Mean-2SD. -1 -2. 䠄4w+2d䠅/2. 図 2 NPI 重症度 2 日間評定版と NPI 重症度(4 週間評定)の Bland-Altman plot 4w:Neuropsychiatric Inventory 重症度(4 週間評定) 2d :Neuropsychiatric Inventory 重症度 2 日間評定版. 表 5 ショートステイ利用前後の NPS,介護負担の変化 利用前. 利用後. NPI2d. 2.1 (1.0) (0, 3.0). 1.5 (1.0) (0, 2.8). 0.015*. p値. J-ZBI_8. 10.5(9.0) (5.8, 15.3). 10.3 (8.5) (5.0, 15.3). 0.534. *:p<0.05 平均値(中央値)(25%,75% 四分位点) NPI2d:Neuropsychiatric Inventory 重症度 2 日間評定版 J-ZBI_8:Zarit 介護負担尺度短縮版. これらのことから,今回の調査で用いた NPI 重症度 2. 考 察. 日間評定版は,2 日間の症状を観察することができる信. 1.NPI 重症度 2 日間評定版の信頼性・妥当性. 頼性・妥当性のある実用的な指標であると考えられる。. NPI の検者内信頼性は,原版で検証された重症度の相 16). 関係数は 0.86(p = 0.0001). で高い信頼性があること. 2.ショートステイ利用前後の変化. が示されているが,日本語版では合計得点での検証はさ. 今回の結果では,NPS について悪化は認められずむ. れておらず,各下位項目の重症度得点のみで検証されて. しろ改善の傾向が示された。今回の対象者は要介護者で. おり,相関係数は 0.57(p < 0.01)から 1.00(p < 0.001). あり,認知症の診断がある者とない者が混在していた。. であった. 23). 。今回の結果では,NPI 重症度 2 日間評定. Burdz ら. 3). は認知症者と非認知症者を対象とし,記憶. 版の合計得点は,カッパ係数で 0.971 と良好な検者内信. と徘徊・問題行動などで改善の傾向があったと報告して. 頼性を有することが示された。また,項目ごとのカッパ. おり,今回の結果を支持するものとなっている。Hirsch. 係数の検討では,各項目で NPI に関する先行研究と同. らの報告. レベルの信頼性を有していることが示された。. 者を対象として,問題行動などで悪化が認められている. Bland-Altman 分析の結果では,NPI 重症度 2 日間評. が,複数回利用者を対象としている報告や利用回数の記. 定版は 4 週間評定と比べ,NPS が軽症に評定されるこ. 述がない報告のなかでは,全体として問題行動などで悪. とが示唆された。そのため,2 日間評定を用いる場合は,. 化を示したものはみられない。複数回利用者が多い今回. このことを考慮する必要があると考えられた。. の対象者は,施設の環境に比較的慣れていたことに加. NPI 重症度 2 日間評定版は,NPI と強い正の相関があ. え,介護スタッフや多くの利用者がいる施設において,. り,CDR とは先行研究. 23). とほぼ同程度の正の相関が. 認められた。また,先行研究. 16)23). も有意な負の相関が認められ,NPI NPI. 23). れた。. 14). では,レスパイトケアをはじめて利用した. 自宅と比べ刺激を受ける機会が増加したことで,ショー. と同様に MMSE と. トステイ利用後に NPS が悪化せずむしろ改善の傾向が. 16). 認められた可能性が考えられる。. および日本語版. とほぼ同等の妥当性を有していることが示唆さ. 介護者の介護負担については,要介護者の NPS と関 連があり,NPS が重症の者を介護している介護者は介.
(7) ショートステイ利用前後の要介護者の神経精神症状の変化 ‒11). 護負担が高いことが報告されている 9. 。 し か し,. ショートステイ利用前後の介護者の介護負担の変化につ いては,介護者の仕事の有無や要介護者の要介護度 介護者の健康状態. 31). 8). ,. などが関連要因として報告されて. いるものの,ショートステイ利用前後の NPS の変化と 介護負担の変化の関連については,これまでほとんど議 論されていない。今回の調査では,NPS の変化と介護 負担の変化には相関が認められず,要介護者の NPS の 改善に伴い,介護負担が減少していなかった。この理由 としては,NPS の変化とは関係なく,ショートステイ 利用後に家族関係が悪化する場合があることや介護者に 再び介護がはじまったことへの負担感が生じること. 3). ,. また短期間の入所では利用後にみられる変化は永続的で はなく数週間後には利用前の状態に戻ること. 13)32). など. が可能性として考えられる。 今回,全体では介護負担に変化がみられなかったが, ショートステイ中には休養ができた介護者が多く. 33). ,. たとえ利用後に介護負担が減少しなくても介護者にとっ て,ショートステイは在宅介護継続のために重要な役割 を果たしていると考えられる。 1 回のショートステイの利用では,NPS の変化と介護 者の介護負担の変化には相関が認められなかったもの の,ショートステイの利用を続けることで,長期的には NPS や介護負担になんらかの影響や関連が生じる可能 性が考えられる。今後,長期間の調査を行うとともに症 例を増やし検討していく必要がある。 3.研究限界 ショートステイ利用前後の NPS の変化に関しては, 対照群を設定しておらず,今回認められた変化が,転居 (relocation),介護職員等の専門家の介入,生活スタイ ルの変化への適応といった影響の具体性は指摘できない と考えられる。また,対象者が一介護老人保健施設の ショートステイを利用する要介護者であり,特別養護老 人ホームのショートステイなどを利用する者や要支援者 の場合にも,今回の知見を用い一般化するには慎重に適 応しなければならない。 結 論 NPI の観察期間を 2 日間に短縮し重症度得点にした場 合の尺度特性について検討した結果,NPI 重症度 2 日間 評定版は 4 週間の評定期間と比べ症状が軽症に評定され るものの,2 日間の症状を観察することができる信頼 性・妥当性のある実用的な指標であることが示唆され た。また,NPI 重症度 2 日間評定版を用いてショートス テ イ 利 用 前 後 の NPS の 変 化 に つ い て 検 討 し た 結 果, ショートステイ利用後には,要介護者の NPS は悪化よ りむしろ改善する可能性が示唆された。. 25. 謝辞:本研究を実施するにあたり,ご協力いただきまし た皆様に心より感謝いたします。なお,本研究の一部は, 日本理学療法士協会の平成 26 年度理学療法にかかわる 研究助成を受けて実施した。 文 献 1)立松麻衣子,齋藤功子,他:在宅介護者の介護負担感と ショートステイ利用効果.日本家政学会誌.2001; 52(7): 617‒626. 2)田中治和:老人短期入所運営事業に関する批判的考察― 特別養護老人ホーム A 荘に併設するショートステイ事業 の利用実態等から―.東北福祉大学研究紀要.1998; 23: 51‒62. 3)Burdz MP, Eaton WO, et al.: Effect of respite care on dementia and nondementia patients and their caregivers. Psychol Aging. 1988; 3(1): 38‒42. 4)Adler G, Ott L, et al.: Institutional respite care: Benefits and risk for dementia patients and caregivers. Int Psychogeriatr. 1993; 5(1): 67‒77. 5)Scharlach A, Frenzel C: An evaluation of institutionbased respite care. Gerontologist. 1986; 26(1): 77‒82. 6)Watkins M, Redfern SJ: Evaluation of a new night nursing service for elderly people suffering from dementia. J Clin Nurs. 1997; 6: 485‒494. 7)立松麻衣子,齋藤功子,他:在宅要援護高齢者のショート ステイ利用効果.日本家政学会誌.2002; 53(4): 369‒379. 8)岡前暁生,原田和宏,他:ショートステイ利用前後におけ る要介護者の ADL と介護者の介護負担の変化.理学療法 学.2016; 43(4): 323‒332. 9)Sink KM, Covinsky KE, et al.: Caregiver characteristics are associated with neuropsychiatric symptoms of dementia. J Am Geriatr Soc. 2006; 54: 796‒803. 10)Matsumoto N, Ikeda M, et al.: Caregiver burden associated with behavioral and psychological symptoms of dementia in elderly people in the local community. Dement Geriatr Cogn Disord. 2007; 23(4): 219‒224. 11)Brodaty H, Woodward M, et al.: Prevalence and predictors of burden in caregivers of people with dementia. Am J Geriatr Psychiatry. 2013; 5: 1‒10. 12)Seltzer B, Rheaume Y, et al.: The short-term effects of inhospital respite on the patient with Alzheimer’s disease. Gerontologist. 1988; 28(1): 121‒124. 13)Neville CC, Byrne GJA: The impact of residential respite care on the behavior of older people. Int Psychogeriatr. 2006; 18(1): 163‒170. 14)Hirsch CH, Davies HD, et al.: Effects of a Nursing-home respite admission on veterans with advanced dementia. Gerontologist. 1993; 33(4): 523‒528. 15)Reisberg B, Borenstein J, et al.: Behavioral symptoms in Alzheimer’s disease: phenomenology and treatment. J Clin Psychiatry. 1987; 48: 9‒15. 16)Cummings JL, Mega M, et al.: The Neuropsychiatric Inventory: comprehensive assessment of psychopathology in dementia. Neurology. 1994; 44: 2308‒2314. 17)Cohen-Mansfield J: Agitated behaviors in the elderly II. Preliminary results in the cognitively deteriorated. J Am Geriatr Soc. 1986; 34: 722‒727. 18)瀧澤雄三,鈴木 誠:老人短期入所施設の利用者の属性と 地域分布状況.小山工業高等専門学校研究紀要.2008; 40: 105‒112. 19)Patel V, Hope RA: A rating scale for aggressive behavior in the elderly ̶ the RAGE. Psychol Med. 1992; 22: 211‒ 221..
(8) 26. 理学療法学 第 44 巻第 1 号. 20)Ray WA, Taylor JA, et al.: The nursing home behavior problem scale. J Gerontol. 1992; 47(1): 9‒16. 21)Parlet SB, Knopman D, et al.: Withdrawal of neuroleptic medications from institutionalized dementia patients: results of a double-blind, baseline-treatment-controlled pilot study. J Geriatr Psychiatry Neurol. 1997; 10: 119‒126. 22)Wilkinson IM, White JG: Psychogeriatric Dependency Rating Scales (PGDRS), A Method of Assessment for Use by Nurses. Brit J Psychiat. 1980; 137: 558‒565. 23)博 野 信 次, 森 悦 朗, 他: 日 本 語 版 Neuropsychiatric Inventory ―痴呆の精神症状評価法の有用性の検討―.脳 と神経.1997; 49(3): 266‒271. 24)社団法人 日本理学療法士協会:通所系サービスでのリハ ビリテーション介入指針に関する調査研究,平成 21 年度 在宅における認知症高齢者の生活活動実態把握のための調 査研究事業報告書.2010. 25)Folstein MF, Folstein SE, et al.: “Mini-mental state”. A practical method for grading the cognitive state of patients for the clinician. J Psychiatr Res. 1975; 12(3): 189‒198. 26)Gelb DJ, St Laurent RT: Alternative calculation of the global clinical dementia rating. Alzheimer Dis Assoc Disord. 1993; 7(4): 202‒211.. 27)荒井由美子,田宮菜奈子,他:Zarit 介護負担尺度日本語 版の短縮版(J-ZBI_8)の作成:その信頼性と妥当性に関 する検討.日老医誌.2003; 40: 497‒503. 28)熊本圭吾,荒井由美子,他:日本語版 Zarit 介護負担尺度 短縮版(J-ZBI_8)の交差妥当性の検討.日老医誌.2004; 41: 204‒210. 29)Bland JM, Altman DG: Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement. Lancet. 1986; 8: 307‒310. 30)下井俊典,谷 浩明:Bland-Altman 分析を用いた継ぎ足 歩行テストの検者内・検者間信頼性の検討.理学療法科 学.2008; 23(5): 625‒631. 31)山田紀代美,鈴木みずえ,他:ショートステイ利用による 介護者の疲労徴候の変化とその関連要因についての調査研 究.日本看護科学会誌.1994; 14(1): 39‒47. 32)Neville CC, Byrne GJA: Prevalence of disruptive behavior displayed by older people in community and residential respite care settings. Int J Ment Health Nurs. 2007; 16: 81‒85. 33)東京都社会福祉協議会センター部会 ショートステイのあ り方検討委員会:ショートステイから見える在宅福祉・介 護保険の今―ショートステイに関する現状調査 報告書―. 社会福祉法人 東京都社会福祉協議会,東京,2008..
(9) ショートステイ利用前後の要介護者の神経精神症状の変化. 〈Abstract〉. Neuropsychiatric Symptoms among Frail Elderly Persons Change after a Short-term Stay in a Geriatric Health Care Facility: Two-day Reliability and Validity of Neuropsychiatric Symptom Scales. Akio OKAMAE, PT, MSc, Makoto OKADA, PT, Tomohiro WADA, PT Department of Rehabilitation, Hyogo College of Medicine Sasayama Medical Center Kazuhiro HARADA, PT, PhD Department of Physical Therapy, Graduate School of Health Science, Kibi International University Yuki UCHIYAMA, MD, Yosuke WADA, MD Community Health Science, Hyogo College of Medicine Yasuyoshi ASAKAWA, PT, PhD Graduate School of Human Health Science, Tokyo Metropolitan University Kazuhisa DOMEN, MD, PhD Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Hyogo College of Medicine. Purpose: This study aimed to determine changes in neuropsychiatric symptoms (NPS) among frail elderly persons after short-term stays in a geriatric health care facility and the characteristics of modified Neuropsychiatric Inventory (NPI) scales using the NPI within observational periods of two days. Methods: Recipients of short-term residential respite care at a single geriatric health care facility in southeast Hyogo Prefecture and their primary caregivers participated in the present study. Primary caregivers compared NPS among frail elderly persons using a modified NPI scale before and after a short-term stay in the facility. The reliability and validity of modified NPI scales for two-day observational periods was assessed. Results: The test-retest reliability and concurrent validity of the modified NPI were excellent. The NPS among frail elderly persons significantly improved after a short-term stay in the facility. Conclusion: Modified versions of the NPI appear reliable and valid for two-day observational periods of frail elderly persons. NPS improved after a short-term stay in a geriatric health care facility. Key Words: Short-term stay, Frail elderly, Neuropsychiatric symptoms, Reliability and validity. 27.
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