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新世代環境改善ディーゼル燃料技術に関する研究開発

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新世代環境改善ディーゼル燃料技術に関する研究開発

新世代環境改善ディーゼル燃料技術に関する研究開発

新世代環境改善ディーゼル燃料技術に関する研究開発

新世代環境改善ディーゼル燃料技術に関する研究開発

(新世代軽油グループ) 〇玉之内光男 小谷 泰弘 辻本 幸一 仙北屋茂夫 銅屋 公一 池澤  広 高橋 信行 加賀見正行 保泉  明 三角 明裕 黒河 敦夫 高橋  勉 宮本 良徳 金子  弘 原  浩昭 山平 茂美 御園 勝博 及川 真史 鈴木  繁 佐藤 栄作 藤井 隆人 高田 智至 末冨 俊彦 三田 哲生        鈴木 昭吾 1. 試験研究の内容 1.1 概要  大気環境の改善のための自動車排出ガス規制は順次強化されつつあるものの、大都市部 での大気環境は依然として改善されていない。ちなみに、平成 12 年 1 月の尼崎公害訴訟判 決や東京都のディーゼル車ノー作戦等、ディーゼル車に対する排出ガス低減の要求は益々 厳しくなっている。そのため、平成 12 年 11 月の中央環境審議会の第四次答申において、 新長期規制の前倒し(2007 年から 2005 年へ)や 2004 年末までの 50ppm 硫黄軽油の供給等 が提言された。  このような社会状況の変化に対応し、ディーゼル車の排出ガス低減のための軽油品質改 善効果を見極めた上で、適正な品質設計につなげていくことが重要である。そこで、燃料 性状による新型車排出ガス低減効果検討、燃料性状の排出ガス後処理装置への影響検討及 び排出ガス成分の分析法検討等を実施した。  新型車排出ガス低減効果検討では、世界初の DPF 装着ディーゼル車(EuroⅢ規制適合) の排出ガス性能を評価した。また、排出ガスへの燃料噴射系及び燃料性状の影響検討のた め、定容容器を用いて燃料性状の噴射率、噴霧特性等への影響について検討した。  後処理装置の検討においては、既販車・既販エンジンに DPF を装着し、DPF 前後の燃料 性状(硫黄分、T90、芳香族分、多環芳香族分)の影響を検討した。また、大型車両を対象 に一部のエンジンで連続再生式 DPF の PM 低減効果とフリート試験による DPF の再生に関す る検討を合わせて実施した。さらに DPF の再生温度低下に効果があるとされる助燃剤の評 価検討も実施した。  排出ガス成分の分析法検討では、DPF 装着時における PM 組成の分析精度向上検討、PM 粒子径測定法検討等を行なった。  本報では、上記の検討項目について記述する。

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2.試験研究の結果と解析

2.1燃料性状による新型車排出ガス低減効果検討 2.1.1 最新 DPF 装着ディーゼル車の排出ガス性能  世界初の DPF 装着ディーゼル車(欧州 EuroⅢ規制適合)が平成 12 年 5 月に欧州で発売 された。同車の DPF 再生技術として、コモンレール高圧噴射ポンプ、酸化触媒、炭化珪素 材 DPF 及び助燃剤(セリウム系)を採用しており、これらの組合せにより DPF を再生する ことが可能である。図 2.1-1 に同車の再生システム図を示す。  ここでは、この DPF システムの捕集性能及び再生性能を評価するとともに、燃料性状の 影響を検討することとした。そのうち今回は初期排出ガス性能、排出ガス経時変化及び路 上走行データの蓄積を図った。 図 2.1-1 DPF 装着ディーゼル車の DPF 再生システム  (1)試験車諸元  試験に用いた DPF 装着ディーゼル車(EuroⅢ規制適合)の諸元を表 2.1-1 に示す。この 車両システムでは、コモンレール高圧噴射ポンプによるポストインジェクション及び酸化 触媒により排出ガス温度を上昇させ、また助燃剤により PM 燃焼温度を低下させることによ り DPF の連続再生を達成している。 表 2.1-1 DPF 装着ディーゼル車諸元   排気量 2.2L 圧縮比 18.0 最高出力 98kW/4000rpm 最大トルク 314Nm/2000rpm 燃料噴射方式 コモンレール高圧噴射 給気方式 ターボインタークーラ 酸化触媒 有 EGR 有 排出ガスレベル EuroⅢ規制適合

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(2)供試燃料  供試車は EuroⅢの軽油性状(硫黄分 350ppm)を前提に設計されており、試験には表 2.1-2 に示す燃料を用いた。 表 2.1-2 供試燃料性状(DPF 装着ディーゼル車試験)  (3)試験法  排出ガス試験は、EU モード試験(ECE R83:ECE+EUDC)及び国内排出ガス試験法であ る 10・15 モード試験(TRIAS 24-4-1993)に準拠して行なった。  (4)結果  表 2.1-3 に EU モード試験測定値を表 2.1-4 に 10・15 モード試験測定値をそれぞれ示す。 供試車の排出ガスレベルは EuroⅢ規制値を満足するとともに、PM 排出量は EuroⅣ規制値 の 10 分の 1 程度と非常に低い値を示すことを確認した。日本の 10・15 モード試験結果で は、長期規制及び新短期規制値と比較し PM、CO 及び THC は満足しているものの、NOxは高 い値となっている。 表 2.1-3 EU モード試験測定値 表 2.1-4 10・15 モード試験測定値 燃料A 排出ガス試験 密度 @15℃,g/cm3 0.8312 動粘度 @30℃,mm2/s 3.922 硫黄分 ppm 298 蒸留性状,℃ 10% 218.0 50% 286.0 90% 327.0 セタン価 57 芳香族分,vol% 20.0 単環 18.4 2環 1.6 3環+ 0.0 項  目 (g/km) 走行距離 km 供試車 0.28 0.06 0.40 0.46 0.003 500 EuroⅢ規制 0.64 - 0.50 0.56 0.05 EuroⅣ規制 0.50 - 0.25 0.30 0.025 THC+NOx PM ECE+EUDCモード CO THC NOx (g/km) 走行距離 km 供試車 0.01 0.004 0.76 - 0.002 240 長期規制 2.10 0.40 0.40 - 0.08 新短期規制 0.63 0.12 0.28 - 0.05 PM CO THC NOx THC+NOx 10・15モード

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 各排出ガスの経時変化を図 2.1-2 に示す。約 500kmの時点で一時的に CO、THC 及び PM の増加が見られた。また、燃費は 10・15 モード試験での通常時の平均値 14.7km/l に対し 再生時は 13.1km/l と約 11%悪化した。これより、ポストインジェクションによる DPF の再 生モードに入ったと考えられる。ちなみに本車両の再生条件として 400 500km 毎にポスト インジェクションによる再生を行なうことがメーカ資料に示されており、これに沿った再 生が実施されている。なお、700∼1000km までは路上走行を実施し、排出ガスは実施して いない。 図 2.1-2 DPF 装着ディーゼル車の排出ガス経時変化(10・15 モード試験) 2.1.2 燃料性状の噴霧に及ぼす影響検討  PM 低減のための自動車対策の一つとして高圧噴射ポンプの採用があり、なかでも燃料噴 射が自在に行なえるコモンレール高圧燃料噴射ポンプが普及してきている。このような新 技術に対して燃料性状(密度、動粘度等)が噴射時期、噴射率、噴霧構造(貫通力、噴霧 角、ザウタ平均粒径)等に及ぼす影響についての検討を行なった。本年度は、動粘度の噴 霧に及ぼす影響を検討した。図 2.1-3 に噴霧計測装置を示す。 図 2.1-3 噴霧計測装置 Test Fuel Injection Pump Injection Nozzle Injection Rate Analyzer

High Pres. & High Temp. Constant Volume Vessel CCD Camera (H.S. Camera) Copper Laser LED Laser Beam Spray Timing Controller

Injection Rate Data

Spray Data Quartz Window プジョー 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 200 400 600 800 1000 1200 走行距離 (km) CO   (g / km) プジョー 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0 200 400 600 800 1000 1200 走行距離 (km) THC   (g /k m ) プジョー 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 200 400 600 800 1000 1200 走行距離 (km) NO x   (g /k m) プジョー 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0 200 400 600 800 1000 1200 走行距離 (km) PM   (g / km ) 再生 再生 再生 再生

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 (1)噴霧計測設備及び燃料噴射ポンプ  図 2.1-3 に示す噴霧計測システムを用いて噴霧観察を行なった。定容容器での噴霧観察 は、窒素雰囲気下で温度は常温、圧力は 1.0∼3.5MPa に設定して行なった。燃料噴射ポン プは機械式分配型及びコモンレール高圧噴射ポンプを用いた。 (2) 供試燃料 試験には粘度の影響を見るために、動粘度を 1.3∼5.6mm2/s の範囲で4種類供した。そ の性状を表 2.1-5 に示す。 表 2.1-5 供試燃料性状(噴霧試験) (3)結果 燃料性状の噴射率への影響を図 2.1-4 に示す。 機械式分配型噴射ポンプでは、燃料の動粘度の低下に伴い噴射時期が遅延し、噴射終了時 期も遅延している。一方、コモンレール高圧噴射ポンプでは、燃料の動粘度に関わらず噴 射率パターンは影響されなかった。動粘度の噴 霧構造への影響の一例を図 2.1-5 に示す。コモ ンレール高圧噴射ポンプは機械式分配型噴射ポ ンプに比較してザウタ平均粒径が小さかった。 また、動粘度の影響は見られない。以上のこと から、燃料性状の噴霧への影響は大きくないこ とが分かる。今後排出ガスへの影響を検討する。 2.2 排出ガス後処理装置への燃料性状の影響検討 2.2.1 既販車における DPF 前後の排出ガスに及ぼす燃料性状影響検討  既販車の黒煙、PM の大幅低減を図るため各種 DPF の装着が検討されている。ここでは、 燃料K 燃料L 燃料P 燃料HCG (市販灯油) 密度 @15℃,kg/m3 788 827 827 827 動粘度 @30℃,mm2/s 1.308 2.171 3.750 5.670 体積弾性率 ,×103MPa 1.318 1.432 1.466 1.471 表面張力 ,mN/m 25.4 27.1 27.8 28.4 項  目 2 3 4 5 6 7 - 2 0 2 4 6 8 1 0 1 2 1 4 1 6 コ モ ン レ ール 式 噴 射 ポ ン プ In je c ti on R a te m g /m s e c T im e m se c 7 8 9 1 0 1 1 1 2 - 2 0 2 4 6 8 1 0 1 2 1 4 1 6 機 械 式 分 配 型 噴 射 ポ ン プ H C G (5 .6 7 0 ) K e ro (1 .3 0 8 ) L (2 .1 7 1 ) P (3 .7 5 0 ) 0 2 4 6 8 0 10 20 30 40 50 60 Distributor Type Common Rail System

Sa u te r' s mea n d iame te r ( μ m ) Viscosity (30℃)mm2 /sec 図 2.1-4 噴射率への影響 図 2.1-5 ザウタ平均粒径への影響

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既販車に DPF を装着した場合の DPF 前後の燃料性状影響の検討を行なった。対象として元 年規制、短期規制適合の既販車・エンジンにバッチ再生式 DPF 及び連続再生式 DPF を装着 し、PM 低減効果と燃料性状の影響を検討した。また、連続再生式 DPF についてはタンクロ ーリ2台によるフリート試験を実施し、路上走行時の排気温度、DPF 前後の差圧等データ を収集した。表 2.2-1 に既販車対応 DPF 試験マトリックスを示す。          表 2.2-1 既販車対応 DPF 試験マトリックス (1) 試験車及び供試 DPF   (ア)バッチ再生式 DPF(電気ヒータ再生法)評価では車両 A(元年規制適合)、車両 C(短  期規制適合)及びエンジン G(短期規制適合)を用いた。   (イ) 連続再生式 DPF 評価ではエンジンH(短期規制適合)を用いると共に、フリート  試験では2台のタンクローリを用いた。バッチ再生式 DPF は炭化珪素材 DPF を用いた。  連続再生式 DPF は上流に酸化触媒があり、DPF に触媒が担持されたタイプのものを用  いた。 (2) 供試燃料  燃料性状(硫黄分、T90、全芳香族分、多環芳香族分)の影響を把握するために、表 2.2-2 に示す9種類の燃料を調製した。 表 2.2-2 供試燃料性状(既販車 DPF 試験) (3) 試験法  車両試験は 10・15 モード試験(TRIAS 24-4-1993)、エンジン試験は 13 モード試験(TRIAS 24-5-1993)に準拠してそれぞれ実施した。フリート試験においては、実際に使用されてい バッチ式DPF 連続再生式DPF 車両A: TC,IDI 元年規制適合乗用車 車両B: NA,IDI 短期規制適合トラック 車両C: NA,IDI 短期規制適合小型トラック エンジンG: NA,IDI 短期規制適合トラック エンジンH: NA,IDI 平成6年規制適合トラック 車両I: NA,IDI 平成4年規制適合トラック 車両J: NA,IDI 平成8年規制適合トラック 車 両 試 験 エ ン ジ ン 試 験 試験車/エンジン フ リー ト 試 験 - 〇 〇 - 〇 - 〇 - 〇 - - 〇 - 〇 試験燃料 ・硫黄分 ・T90 ・芳香族分 ・多環芳香族分 下記に示す燃料性状の 影響を検討 市販軽油使用 (硫黄分500ppm以下)

SH SL T90H T90L TAH TAL PAH1 PAH2 PAH3

密度 @15℃, g/cm3 0.8314 0.8321 0.8314 0.8004 0.8352 0.8277 0.8339 0.8416 0.8421 硫黄分 mass ppm 430 46 430 461 472 425 517 504 528 蒸留 T90 ℃ 333.5 334.0 333.5 279.5 341.5 336.5 332.5 333.5 331.0 芳香族分 @HPLC vol% 全芳香族 17.4 17.4 17.4 17.1 23.8 10.4 21.5 22.7 23.5 1環芳香族 15.9 16.0 15.9 16.6 20.8 9.1 20.3 16.3 15.5 2環芳香族 1.5 1.4 1.5 0.5 2.5 1.3 1.2 6.4 5.3 3環芳香族+ 0 0 0 0 0.5 0 0 0 2.7 全芳香族分 多環芳香族分 燃料因子 燃料コード 硫黄分 T90

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るタンクローリでの試験のため、運転方法は規定していない。 (4) 結果 (ア) バッチ再生式 DPF の結果  車両 A、車両 C 及びエンジン G における DPF 前後の燃料性状による PM への影響結 果を図 2.2-1 に示す。PM は T90 の低下により最大で 30%近く減少すると共に、全芳香族分 を 10%程度減少させることで 20%近く減少している。ただし、車両・エンジンによりその程 度は異なり、必ずしも一定の効果を生じない結果となっている。  燃料性状の影響が大きい車両 A の DPF 装着後の PM 低減効果と燃料性状の影響を図 2.2-2 に示す。DPF 前後の PM は 90%以上低減し、燃料性状の影響を殆ど受けない結果となってい る。他の車両・エンジンにおいても同様の結果となっている。PM 低減には DPF 図 2.2-2 DPF 装着による PM 低減効果(車両 A の結果) 装着が効果的で、燃料性状の改善に比べ高い効果を示すことが確認できた。 (イ) 連続再生式 DPF の結果  連続再生式 DPF 装着による PM 低減効果の結果を図 2.2-3 に示す。  低硫黄軽油(50ppm)と連続再生式 DPF の組合せにより、PM は大幅に減少するものの、 図 2.2-1 燃料性状の PM への影響 車両 A:元年規制適合乗用車 車両 C:短期規制適合トラック エンジン G:短期規制適合トラック用エンジン -30 -20 -10 0 10 430→46 S 334→280 T90 20.3→9.1 1R 6.4→1.2 2R 2.7→0.0 3R PM変化率、% -30 -20 -10 0 10 430→46 S 334→280 T90 20.3→9.1 1R 6.4→1.2 2R 2.7→0.0 3R PM 変化率、% -30 -20 -10 0 10 430→46 S 334→280 T90 20.3→9.1 1R 6.4→1.2 2R 2.7→0.0 3R PM 変化率、% 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 S500 SH S50 SL T335 T90H T280 T90L Base TAH A10 TAL 1R PAH1 2R PAH2 3R PAH3 PM ,g/km W/O DPF W/ DPF

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硫黄分 500ppm の軽油では他の燃料性状に関わりなく PM が増加した。すなわち、500ppm 軽 油の場合はスート分は減少するものの、サルフェートや SOF 分の増加により PM は逆に増加 してしまう。従って、触媒を用いた連続再生式 DPF で PM を低減するためには軽油の硫黄分 を減少させることが必要である。   (ウ)連続再生式 DPF のフリート試験結果  タンクローリに連続再生式 DPF を装着し、市販軽油でフリート試験を行なった。タンク ローリの運転パターンは、高速道路 10%、一般路 90%、平均車速 30km/h、車両稼動時間 は約7時間/日であった。なお、試験は2台の車両とも約 8500km走行した時点で DPF と しての機能を失い、試験を中止した。  排気温度の分布を図 2.2-4 に示す。 再生に必要な 350℃以上の出現頻度は 約 10%であり、高速道路走行割合と一 致している。  差圧の変化を図 2.2-5 に示す。最高 差圧及び最低差圧が走行距離が増加す るにつれ少しづつ上昇している。  以上のことから、本フリート試験の 走行下では DPF を再生させるための排 気温度及びその温度を維持する時間 が不足していたと推測される。また、約 8,500km走行時点で DPF より黒煙排出が観察さ れ、DPF の機能が失われたと推定されたため、分解調査したところ DPF の一部が溶損して いた。これは徐々に堆積した PM が急激に燃焼し、DPF 材の耐熱温度を越えてしまったこと から溶損したものと推定される。既販車への DPF の後付装着にはさらに検討が必要である ことが示唆された。 図 2.2-3 連続再生式 DPF 装着による PM 低減効果     (エンジン H の結果) 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 0 10 20 30 350℃以上頻度合計 11.7% 8.6% 300℃以上頻度合計 24.8% 19.8% 頻 度  % 排気温度 ℃ 9951 号車 9257 号車 0.000 0.100 0.200 0.300 0.400 0.500 S50  w/ DPF S500  w/ DPF T333  w/ DPF T280  w/ DPF Test Fuels PM,g/kW-h

Soot SOF SO4

50ppmS← →500ppmS

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2.2.2 連続再生式 DPF の担持触媒による再生効果の検討  前項で明かなように触媒担持の連続再生式 DPF においては、軽油の硫黄分を低下させる 必要がある。これに対し、担持触媒の種類によっては軽油の硫黄分により SO2が触媒的に 作用し、低温での DPF 再生ができるとの報告がされている。そこで、この効果を有すると 思われる触媒を担持した DPF の効果を検討した。  (1)供試エンジン及び供試 DPF   試験に供したエンジンの仕様を表 2.2-3 に示す。平成 10 年度規制適合で EGR、酸化  触媒等が装着されているが、試験では酸化触媒を取外して行った。      表 2.2-3 エンジン諸元   試験に供した DPF は、表 2.2-4 に示すように基材が炭化珪素(SiC)、担体は SiO2及び  TiO2、担持貴金属が Pt のものである。  (2)供試燃料   供試燃料の性状を表 2.2-5 に示す。今回の検討では燃料中の硫黄分が PM 再生に及ぼす影  響を確認することが目的のため、500ppm 相当の燃料 A(市販軽油)と 50ppm 相当の燃料 B を用いた。 図 2.2-5 DPF 前後の差圧の変化 0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 背  圧    kP a 7/11走行分 装着後3000km 背  圧    kP a 6/27走行分 装着後200km 背  圧    kP a 7/6走行分 装着後1900km エンジン型式 L 規制対応年度 平成10年度 ボア×ストローク,mm 86.0×94.0 排気量、cc 2,184 気筒数・配置 L4 燃焼室形式 渦流室式 圧縮比 22.6 最高出力、kW/rpm 69/4,000 最大トルク、Nm/rpm 206/2,200 過給機 有 EGR 有 燃料噴射ポンプ 分配型 燃料噴射開始圧力、MPa 14.7 後処理触媒 酸化触媒(外して実験) 基材 担体 担持金属 SiC なし なし SiC SiO2 Pt SiC TiO2 Pt 表 2.2-4 供試 DPF 概要

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表 2.2-5 供試燃料性状 試験項目 A B 密 度 (g/cm3 @15℃) 0.8271 0.8357 引火点 (℃) 63.0 69.0 T10 (vol%) 196.5 219.0 T50 (vol%) 274.0 288.0 T90 (vol%) 331.5 350.0 動粘度 (mm2/s @30℃) 3.222 4.245 セタン価 54.5 54.0 Total (vol%) 23.7 22.7 HPLC 1環  (vol%) 19.8 19.6 芳香環分布 2環  (vol%) 3.1 2.9 3環+ (vol%) 0.8 0.2 硫黄分 (mass ppm) 362 41 流動点 (℃) -10.0 -2.5 目詰点 (℃) -9.0 0.0 HFRR (μm @60℃) 431 409 (3) 試験方法   エンジン運転条件は、供試エンジンの最大回転数に対し 60%の 2100rpm 一定で、負荷 を 40%、60%、80%の3水準とした。試験順序は 40%、60%、80%、60%、40%の順に各ステップ が条件設定変更後にエンジンが安定するまでの時間も含め 30 分ずつ運転した。 (4) 結果 触媒なし DPF と触媒(Pt/TiO2)担持 DPF の結果を図 2.2-6、図 2.2-7 に示す。 ここで上段には温度、差圧、下段には排出ガスを示す。  図 2.2-6 触媒なし DPF(50ppm)   図 2.2-7  触媒(Pt/TiO2)担持 DPF(50ppm)   触媒なしの場合は DPF 差圧が低下していないが、Pt/TiO2担持 DPF の場合はステッ  プ3で差圧の低下が認められ、担持物の効果を確認した。また、硫黄分の影響について  は図 2.2-8 に示すが、60%負荷条件で 500ppm 硫黄分の方が 50ppm 硫黄分よりも差圧  低下が認められたが、硫黄分の効果として確認するまでには至らなかった。 0 10 20 DIF Press. D IF Pr e ss. (k Pa ) 0 2000 4000 6000 8000 10000 0 200 400 600 800 EX InDPF OutDPF Te m p .( ℃ ) 0 2000 4000 6000 8000 10000 8 10 12 CO 2 (% ) CO2 CO T H C ( p p m ) Time(sec) 0 250 500 750 1000 NO NOx NO NOx (p p m ) 0 100 200 S:50ppm / P5F6-03 CO THC 0 10 20 DIF Press. D IF Pr e ss. (kPa ) 0 2000 4000 6000 8000 10000 0 200 400 600 800 EX InDPF OutDPF Tem p .(℃ ) 0 2000 4000 6000 8000 10000 8 10 12 CO 2 (% ) CO2 CO T H C ( p pm ) Time(sec) 0 250 500 750 1000 S:50 / P5F6-01 NO NOx NO NOx ( p p m ) 0 100 200 CO THC

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図 2.2-8 触媒(Pt/TiO2)担持 DPF(500ppm) 2.2.3 助燃剤の検討  助燃剤は燃料に添加することにより、スートの燃焼温度を低下させることができ、DPF の再生を補助する方法として検討されている。PSA プジョーシトロエンが DPF システムの 中で助燃剤を使用しているのは既に述べた通りである。この助燃剤の効果を明らかにする ため、本年度は平成元年規制エンジンに炭化珪素(SiC)材の DPF を装着し、鉄/ストロン チウム系助燃剤の検討を行なった。  (1)供試助燃剤及び燃料   試験に供した助燃剤の鉄/ストロンチウムは、市販軽油に添加剤をメーカ推奨濃度の  20wtppm 添加した。供試燃料の主要性状を表 2.2-6 に示す。 表 2.2-6 助燃剤の再生温度と添加量  (2)供試 DPF 及び実験条件  試験は炭化珪素(SiC)材で電気ヒータ再生式のウォールフロータイプの DPF を平成元 年規制適合小型ディーゼルエンジン(IDI/過給)に装着して行なった。   試験は一定速度で行ない、排気温度の変更には負荷を変えて行なった。DPF 前後の差  圧、排気ガス温度、各排出ガス等を計測し、DPF 再生状態を評価した。 (3) 結果   助燃剤なしと比較した鉄/ストロンチウム助燃剤の評価結果の例を図 2.2-9 及び図  2.2-10 に示す。 密度@15℃、g/cm3 0.8271 蒸留性状 IBP/10% 162.5/196.5 ℃ 50%/90% 274.0/331.5 EP 360.0 動粘度@30℃、mm2/s 3.222 全芳香族分、vol% 23.7 硫黄分、mass ppm 362 0 10 20 DIF Press. D IF Pr e ss.(k Pa ) 0 2000 4000 6000 8000 10000 0 200 400 600 800 EX InDPF OutDPF Te m p.( ℃ ) 0 2000 4000 6000 8000 10000 8 10 12 CO 2 (% ) CO2 CO T H C (p pm ) Time(sec) 0 250 500 750 1000 NO NOx NO NO x (p p m ) 0 100 200 S:500ppm / P5F6-06 CO THC

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 低速条件における DPF 入口排気温度は 300℃弱であり、助燃剤なしの場合に比べ助燃剤 有りの燃料は緩やかに差圧上昇している。一方、高速条件では DPF 入口排気温度が約 480℃ に達し、助燃剤有りの燃料は明かな差圧の低下が見られる。高速条件において、助燃剤に よりスートの燃焼温度が低下し、その分差圧が低下したものと考えられ、補助的な効果の あることが推定できた。今後 DPF の重量計測等により、その効果を確認していく予定であ る。 2.3 未規制物質分析法検討  ディーゼル排出ガス中の未規制物質については、健康の影響の観点から将来規制に結び つくことも考えられるため、分析法の検討及びデータ蓄積を図る必要がある。本年度は低 濃度 PM の測定精度向上検討、多環芳香族分析精度向上、ニトロ多環芳香族分析精度向上検 討及び PM 粒子径測定法検討等を行なった。本報では、低濃度 PM の測定精度向上検討とし て、DPF 装着時において PM 組成の分析精度に影響する要因を調べた結果を述べる。 2.3.1 低濃度 PM の測定精度向上検討  DPF 装着時に PM 組成分析を行なった。表 2.3-1 の交互再生式 DPF と表 2.3-2 に連続再生 式 DPF の結果を示す。SOF+サルフェート+水分が PM 量を超え、計算上 SOOT が負の値にな る現象が生じた。そこで、その原因解明を行った。 表 2.3-1 交互再生式 DPF の評価結果 0 5000 10000 15000 20000 25000 0 10 20 30 40 50 1400 rpm, 80 % Load 助燃剤なし 助燃剤あり 差圧( kPa ) 経過時間(sec) 0 5000 10000 15000 20000 25000 0 100 200 300 400 500 600 1400 rpm, 80 % Load 助燃剤なし 助燃料剤あり DPF 入口温度(℃) 経過 時間(sec) 0 5000 10000 15000 20000 25000 0 10 20 30 40 50 2800 rpm, 80 % Load 助燃剤なし 助燃剤あり 差圧( kPa ) 経過時間(sec) 0 5000 10000 15000 20000 25000 0 100 200 300 400 500 600 2800 rpm, 80 % Load 助燃剤なし 助燃剤あり DPF 入口温度(℃) 経過時間(sec) 図 2.2-9 助燃剤評価結果 (低速条件:1400rpm,80%負荷) 図 2.2-10 助燃剤評価結果 (高速条件:2800rpm,80%負荷) 長 期 規 制 エンジン,D-13モード,硫 黄 分 500ppm燃 料     PM 組 成 比 率 (% )        各 計 測 値 (μ g)

SOF SO4 H20 SOOT PM SOF SO4 H20 SOOT

あり 94.6 3.2 4.2 -2.0 557 527 18 23 -11 あり 96.4 3.4 4.4 -4.2 590 569 20 26 -25 な し 46.5 1.1 1.4 51.0 3500 1627 38 49 1786 DPF

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表 2.3-2 連続再生式 DPF の評価結果       注)SOOT=PM−(SOF+サルフェート+水分)  検討は、SOF 量の見積り法および水分量の計算法に着目して行った。その結果、SOF 抽出 時にろ紙自身が平均で約 90μg(ろ紙基準で 0.047wt%)減量するため、SOF 量を過分に見 積もってしまうこと(表 2.3-3)、さらに連続再生式 DPF 装着時では、従来の計算法(サル フェート量の 1.3 倍)では実際の水分量よりも過分に見積もってしまうことがわかった(図 2.3-1)。 表 2.3-3 SOF 抽出時のろ紙重量変化 図 2.3-1 サルフェート量と水分量の相関  これらの知見に基づいて、下記のように PM 組成を補正・再計算した。        <SOF 量の補正方法>

         [[[[SOFSOFSOFSOF 量]=量]=量]=[量]=[PM[[PMPMPM 捕集ろ紙の抽出減量]−捕集ろ紙の抽出減量]−捕集ろ紙の抽出減量]−捕集ろ紙の抽出減量]−[ろ紙の減量分][ろ紙の減量分][ろ紙の減量分][ろ紙の減量分]        [ろ紙の減量分]=[用いたろ紙の重量]×0.047/100        *0.047;SOF 抽出時のろ紙自体の重量減少率(%)        注)交互再生式、連続再生式双方の DPF で実施         <水分量の計算方法>          [水分量]= [水分量]= [水分量]= [水分量]= 0.3560.3560.3560.356××××[サルフェート量][サルフェート量][サルフェート量][サルフェート量]      注)連続再生式 DPF のみで実施 ろ 紙 S O F 抽 出 処 理 前 S O F 抽 出 処 理 後 重 量 変 化 量 減 少 率 ( m g ) ( m g ) ( m g ) ( % ) A 1 8 6 . 6 9 7 1 8 6 . 5 9 9 0 . 0 9 8 0 . 0 5 2 B 1 8 6 . 4 4 0 1 8 6 . 3 3 3 0 . 1 0 7 0 . 0 5 7 C 1 8 6 . 8 5 5 1 8 6 . 7 7 6 0 . 0 7 9 0 . 0 4 2 D 1 8 7 . 4 0 6 1 8 7 . 3 4 0 0 . 0 6 6 0 . 0 3 5 平 均 0 . 0 8 7 0 . 0 4 70 . 0 4 70 . 0 4 70 . 0 4 7 y ≒ 1 . 3 x y ≒ 1 . 3 x y ≒ 1 . 3 x y ≒ 1 . 3 x y = 0 . 3 5 6 x y = 0 . 3 5 6 x y = 0 . 3 5 6 x y = 0 . 3 5 6 x R RR R2222 = 0 . 9 3 = 0 . 9 3 = 0 . 9 3 = 0 . 9 3 0 5 0 0 1 0 0 0 1 5 0 0 2 0 0 0 2 5 0 0 3 0 0 0 3 5 0 0 4 0 0 0 0 1 0 0 0 2 0 0 0 3 0 0 0 4 0 0 0 5 0 0 0 6 0 0 0 サ ル フ ェ ー ト 量 ( μ g ) 水分量(μg) DPF DPF DPF DPF なしなしなしなし 連続再生式 連続再生式連続再生式 連続再生式 DPFDPFDPFDPF 装着時装着時装着時装着時 長期規制エンジン,D-13モード,硫黄分500ppm燃料     PM組成比率(%)        各計測値(μg)

SOF SO4 H20 SOOT PM SOF SO4 H20 SOOT

あり 47.1 41.5 54.0 -37.5 4801 2013 1994 2592 -1798

あり 47.6 41.0 53.2 -36.6 4927 2091 2018 2623 -1805

なし 40.4 3.5 4.6 51.6 1823 736 64 83 940

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 その結果、交互再生式 DPF、連続再生式 DPF 共にすべての組成が正数で表現できるよう になった(表 2.3-4,5)。このことより、SOOT が負の値になった主原因が、交互再生式 DPF では SOF 抽出時のろ紙減量による SOF 量の過分な見積りであること、連続再生式 DPF では 従来の計算法よる水分量の過分な見積りであることがわかった。 表 2.3-4 補正・再計算結果(交互再生式 DPF) 表 2.3-5 補正・再計算結果(連続再生式 DPF)        3.試験研究の成果 3.1 燃料性状による新型車排出ガス低減効果検討 3.1.1 最新 DPF 装着ディーゼル車の排出ガス性能  欧州で発売された DPF 装着の新型ディーゼル車の排出ガス性能は欧州 EuroⅢ規制を十分 満足し、PM については EuroⅣ規制値 0.025g/km に対し 0.003g/km と約 1/10 程度低い値を 示した。また、走行距離約 500km 毎に数分の DPF 再生運転モードに入ることを確認した。 再生時に一時的に CO、HC、PM が悪化するが、直ぐに通常の排出ガスレベルに復帰した。こ れは DPF 再生のために一時的にポストインジェクションされたと推察される。 3.1.2 燃料性状の噴霧に及ぼす影響検討  機械式分配型噴射ポンプ及びコモンレール高圧噴射ポンプへの燃料性状(動粘度)の影 響を検討した。前者では燃料の動粘度の低下に伴い噴射時期が遅延し、噴射終了時期も遅 延している。一方、後者では燃料の動粘度に関らず噴射率パターンは影響されなかった。  燃料の動粘度の噴霧構造への影響を検討した。コモンレール高圧噴射ポンプは機械式分 配型噴射ポンプに比較して噴霧の微粒化を示すザウタ平均粒径が小さかった。動  粘度の両燃料噴射ポンプのザウタ平均粒径への影響は見られなかった。 3.2 排出ガス後処理装置への燃料性状の影響検討 3.2.1 既販車における DPF 前後の排出ガスに及ぼす燃料性状影響検討  燃料性状(硫黄分、T90、芳香族、多環芳香族分)の既販車・エンジン及び DPF を装着し た時の排出ガスへの影響を検討した。T90 の低下により最大で 30%程度の PM 低減が見られ るが、車両・エンジンによりその程度が異なることが示された。  DPF 装着の場合、PM は燃料性状に関らず 90%以上の低減が示され、PM 低減には DPF 装着 長 期 規 制 エ ン ジ ン ,D - 1 3 モ ー ド ,硫 黄 分 5 0 0 p p m 燃 料         P M 組 成 比 率 ( % )       各 計 測 値 ( μ g ) S O F S O4 H20 S O O T P M S O F S O4 H20 S O O T 補 正 前 4 7 .1 4 1 .5 5 4 .0 - 4 2 .7 4 8 0 1 2 2 6 3 1 9 9 4 2 5 9 2 - 2 0 4 8 4 7 .6 4 1 .0 5 3 .2 - 4 1 .8 4 9 2 7 2 3 4 4 2 0 1 8 2 6 2 3 - 2 0 5 8 補 正 後 4 7 .1 4 1 .5 1 4 .8 1 .8 4 8 0 1 2 0 1 32 0 1 32 0 1 32 0 1 3 1 9 9 4 7 1 07 1 07 1 07 1 0 8 4 4 7 .6 4 1 .0 1 4 .6 2 .0 4 9 2 7 2 0 9 12 0 9 12 0 9 12 0 9 1 2 0 1 8 7 1 87 1 87 1 87 1 8 1 0 0 注 1 ) 太 字 ; 補 正 S O F 量太 字 ; 補 正 S O F 量太 字 ; 補 正 S O F 量太 字 ; 補 正 S O F 量 注 2 )斜 字 太 字 ; 再 計 算 し た 水 分 量斜 字 太 字 ; 再 計 算 し た 水 分 量斜 字 太 字 ; 再 計 算 し た 水 分 量斜 字 太 字 ; 再 計 算 し た 水 分 量 長 期 規 制 エ ン ジ ン ,D - 1 3 モ ー ド ,硫 黄 分 5 0 0 p p m 燃 料         P M 組 成 比 率 ( % )       各 計 測 値 ( μ g) S O F S O4 H20 S O O T P M S O F S O4 H20 S O O T 補 正 前 9 4 .6 3 .2 4 .2 - 2 .0 5 5 7 5 2 7 1 8 2 3 - 1 1 9 6 .4 3 .4 4 .4 - 4 .2 5 9 0 5 6 9 2 0 2 6 - 2 5 補 正 後 6 1 .2 3 .2 4 .2 3 1 .3 5 5 7 3 4 13 4 13 4 13 4 1 1 8 2 3 1 7 5 6 4 .7 3 .4 4 .4 2 7 .5 5 9 0 3 8 23 8 23 8 23 8 2 2 0 2 6 1 6 2 注 ) 太 字 ; 補 正 S O F 量太 字 ; 補 正 S O F 量太 字 ; 補 正 S O F 量太 字 ; 補 正 S O F 量

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 連続再生式 DPF 装着の場合、低硫黄軽油(50ppm)との組合せにより、PM は大幅に減少 した。これに対し硫黄分 500ppm(現行レベル)の軽油では他の燃料性状に関わりなく PM が増加した。これはサルフェートの増加によるもので、今回検討した連続再生式 DPF で PM を低減するためには 50ppm 低硫黄軽油が必要であることが示唆された。  また、同 DPF のフリート試験を実施したが、約 8,500km 走行時点で DPF に不具合が発生 した。分解調査したところ DPF の一部が溶損しており、排気温度、差圧等データから再生 が十分に行なわれず徐々に堆積した PM が急激に燃焼し、DPF 材の耐熱性温度を越えてしま ったことにから溶損したものと推定される。 3.2.2 連続再生式 DPF の担持触媒による再生効果の検討  DPF の担持触媒の種類によっては軽油の硫黄分による SO2が触媒的に作用し PM 燃焼に効 果があることが報告された。そこで、その効果が期待される Pt/SiO2及び Pt/TiO2触媒担持 DPF の再生効果を検討た。その結果、Pt/SiO2より Pt/TiO2触媒担持 DPF の方が再生効果が 高いことが分かった。また、硫黄分の再生効果への影響については一部の運転条件で差圧 低下が認められたものの、硫黄分の効果として確認するまでには至らなかった。 3.2.3 助燃剤の検討  PM の燃焼温度を約 100℃程度下げる効果を持つ助燃剤の評価を実施した。今回は鉄/スト ロンチウム助燃剤の評価を実施し、排気温度の低い低速条件では助燃剤の効果は小さかっ た。一方、高速条件では DPF 入口排気温度が約 480℃に達し、DPF 有りの燃料は差圧の低下 が見られた。これにより、助燃剤の補助的効果が実証された。 3.3 未規制物質分析法検討  連続再生式 DPF 使用時に問題が見られた PM 組成分析の精度向上策を検討した。SOOT 分 が負の値になる原因として、SOF 抽出時にろ紙自身が平均で約 90μg 減量し、SOF 量を過分 に見積る原因になること、さらに連続再生型 DPF 装着時で従来の計算法(サルフェート量 の 1.3 倍)では実際の水分量よりも過分に見積ってしまうことが分かった。そこで、ろ紙 の減量を考慮した SOF 量の補正式及び水分量の計算方法の見直しにより SOOT 量が正数で表 現できるように改善された。 4.まとめ  平成 12 年 11 月の中央環境審議会第四次答申で、第三次答申で示されたディーゼル新長 期排出ガス規制の 2007 年実施予定に対し 2005 年への前倒しが提案された。また、新長期 排出ガス規制に対応した自動車技術開発では後処理装置の導入が不可欠であり、その技術 導入促進のために 50ppm 低硫黄軽油の供給を 2005 年から開始することになった。  排出ガス規制の強化及び達成時期の見直しにより、ディーゼル排出ガス低減技術開発は 緊急を要している。また、その技術開発の方向は混沌としているが、後処理装置を含む新 エンジン技術及び低硫黄軽油を早急に入手してこれらの性能評価と燃料性状の影響度合い を検討していく必要がある。

参照

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