66 例(血管合併切除3例〉豚全摘1例(血管合併切除1 例〉となっている.しかし予後についてみると,勝頭 部癌では4年以上の生存例2例,勝体尾部癌では6年 以上の生存例 1例をみるが,大半は 1年以内に再発死 しており,このような拡大手術を行なっても遠隔成績 の向上には結びつかず,メスの限界を感ぜざるを得な し、. 従って,遠隔成績の向上には集学的治療が必須で, 最近放射線科の大川らのグループと共同研究により, 切除例に対して術中2500radsの電子線の照射を行なっ ているが,大いに遠隔成績の向上に期待できるものと 確信している.一方,切除不能勝癌に対する対処も必 要であり,特に勝癌特有の頑固な終痛に対しての対応 が必要である.われわれは日本原子力高崎研,嘉悦, 本学医工研山田らと共同研究で局所化学療法としての 徐放性制癌剤の開発と臨床応用により, 88%に癌性廃 痛の軽減をみており,臨床上有用な方法である. 以上,勝癌治療の現況を報告するとともに,徐放性 制癌剤の一端を紹介し,豚癌治療の問題点についても 触れる. 4.卵巣癌 (産婦人科〉吉田茂子 卵巣には極めて多種多様の腫療が発生し,その多様 性は,他臓器に類をみない.そのため種々の分類法が 行なわれているが,良性群と悪性群の聞に,中間群が 存在し,臨床的に,良性と悪性の中間に位置する腫蕩 が存在することも卵巣腫療の特異的な面であろう.こ の中間群と悪性群を合せて,卵巣の悪性腫蕩とした場 合に,最も重要なことは,その予後が他臓器悪性腫蕩 に比較して,著しく不良であることである.卵巣癌の 種類の中には 2年生存率が10%以下のものがあり, 5年生存率は17-30%と極めて低い.その発生頻度は, 人種的にも,生活環境によっても,かなり異るが,再 発癌,転移癌を含めて,近年著しく増加の傾向にあり, 子宮癌の死亡率の減少および5年生存率の対照的増加 等,卵巣癌は,子宮癌に比較して,速かに発育し自覚 症状に乏しく,スクリーニングが容易にできないこと から,しばしば進行癌となっていることが稀ではない. 臨床的に20歳以前 お よ び45歳 以 降 の 充 実 性 卵 巣 腫 蕩 は,その約85%が悪性で、あると言われ,卵巣癌のハイ リスク因子として,初経,閉経の年齢,および妊娠回 数等があげられている.早期発見,早期治療が予後に 大きく影響する. 治療面においては,あまりに多種,多様であるため 632 に,腫蕩マーカーの確実なものがなく,主に手術療法, 化学療法,放射線療法,免疫療法が行なわれている. このうち手術療法が主役を占め 1期癌では根治手術 後,補助化学療法を併用,
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期癌では, 準根治療法,または腫蕩縮小手術を行ない,化学療法 を併用後再び,second look operationが組合せて行な われ,残存腫蕩の摘出,その成否が予後を左右する重 要な鍵とされている.腫蕩摘出が不能な進行癌,再発 癌に対する有効な治療法はなく,これらの予後が特に 悪い.殊に,放射線感受性の極めて低い腺癌において は,化学療法によらざるを得ない. 化学療法は近代とみに進歩し,従来の抗癌剤に加え て, CDDP (シスプラチン〉や, ACR (アクランピシ ン〉が使用され,腫蕩の縮少,限局化に奏効した報告 がみられている.これらの薬剤の選択,多剤併用の問 題,その量的関係,副作用,奏効率と生存率との関係 等多くの問題が存在する.これらを含めて,当科で取 扱った症例をあげ,考察する. < 指 定 発 言 > 1) 放射線科領域における癌治療の現況と問題点 (放射線科〉池田道雄 癌の放射線治療とは,局所的な癌を治癒させるには 必要な放射線をいかに合理的に病巣に集中させるかと いうことであり,この際どうしても照射される癌周囲 の正常組織にはし、かにしてヘ、たみ"を少くするかと いうことである.正常組織の照射に対する耐容線量は あたかも癌の化学療法における種々のdose limiting factorと似ており,放射線治療の成否を分ける要因と なっている.この問題の解決には,まず空間的(物理 的)線量分布を改善することが重要で,診断のより高 い精度が要求されるし,これに伴って治療計画用の computerは不可欠のものとなっている.一歩進んで 我が国でも陽子線治療の臨床検討が始められたのは, その優れた空間的線量分布の特長を癌治療に生かそう とするからにほかならない. 同ーの癌でも条件より照射効果に大きな差のあるこ とは周知の事実であり,その一因として癌組織中の低 酸素細胞の存在がある.これに対して所謂高LET放 射線の利用と,化学的増感剤との併用が考えられてい る.この方面の研究は一層盛んになるにちがし、ない. Hyperthermiaと放射線の併用,術中照射法,密封小線 源治療の再開発,放射線と抗癌剤あるいは免疫賦活剤 などBRMとの併用などの問題が広く検討されつつある.これらの放射線領域での研究はすべていかにして 癌の治療成績をあげるかとL、う努力の表われである, 臨床腫蕩学(clinicaloncology)からみると, surgical oncologyが 臓 器 別 に 縦 割 り に 各 専 門 のoncologyを 追究しているのと異なり,放射線治療は殆どあらゆる 臓器癌と対応させられる特殊な立場にたたされてい る.つまり今や世界的にRadiationoncology(放射線 腫蕩学〉と呼ばれる領域は,課題のような"放射線科 領域における癌治療"ではなく,自らはRadiationを 主たる手段としつつも各科に亘る癌の治療に対して臨 床麗蕩学の観点から対処しなければならない分野と なってきている.このことを改めて各領域の方々に広 く知っていただき,共に力を併せて最も有効で効率の よい癌の治療を進めてゆかなければならないと考え る 2) 癌化学療法の現況と問題点 (内科1)溝口秀昭 ここでは主に成人における血液系の悪性腫蕩,つま り白血病と悪性リンパ腫における化学療法について述 べることにする. いずれの疾患においても多剤併用療法が行なわれて いる.単剤より多剤併用の方がよい理由としては,① 作用の増強,②副作用の分散,③耐性出現の抑制な どが考えられている. 急性白血病のうち急性非リンパ性白血病の治療には ダウノノレピシン, シタラビン, メノレカプトプリンとプ レドニソロンによる多剤併用療法(DCMP療法〕がよ く用いられ, 60-80%の例で完全寛解となる.しかし, ダウノルピシン,あるいはシタラビンなどの単剤では 約20%しか完全寛解とならない.一方急性リンパ性白 血病ではピンクリスチンとプレドニソロンによるVP 療法が有効で,約60%の例で完全寛解となる.このよ うに近年の抗白血病剤の進歩および支持療法の進歩 で,高率に完全寛解になるようになった.現在の大き な問題点は長期の予後が悪く 3年生存率は10-30% であることである.この点、を改善するために骨髄移植 などが試みられている. 慢性骨髄性白血病は約3.5年でほとんどの例が急性 転化をおこし死亡する.最近の進歩は,急性転化にリ ンパ性急性転化がありそれに対しVP療法が有効であ ることが判明したことである. 悪性リンパ腫はホジキン病と非ホジキンリンパ腫に 分けられている.ホジキン病に対してはMOPPまた はCOPP療法が有効で, 60-80%の例で完全寛解とな 67 るようになった.最近は難治例に対しABVP療法(ド キソルピシン,ブレオマイシン, ビンプラスチン,ダ カルパジン〉が有効であることが知られ,さらに成績 が改善すると考えられる.非ホジキンリンパ撞の治療 はアドリアシンの出現によって大きく改善された.そ れを用いたCHOP療法(シグロホスフアミド, ドキソ ノレピシン, ピンクリスチン, プレドニソロン〉が代表 的治療法である.組織型および病期によって予後は大 きく異るが,病期も進み,予後不良とされる組織型の 例でも 5年 生 存 率20%,予後の良い組織型の場合は 50%である. 以上述べたように,ここ10年のうちに血液系悪性腫 療の化学療法は大きく改善された.しかし,長期の生 存をはかること,また治療抵抗例の治療が今後の問題 である. 3)温熱化学療法の現況と問題点 (第一外科〉長柄英男 癌治療は外科療法・化学療法・放射線療法を3本の 柱として着実な進歩を遂げつつある.最近では免疫療 法が普及し,臨床の場でもルーチンとして行なわれる ようになってきた.またM Eによる癌治療の発達も著 しく,レーザーや超音波による治療も報告されている. そのような新しい技術の中に温熱療法がある.温熱 療法は42-45'Cにおける正常組織と悪性腫蕩組織の反 応の違い,すなわち温熱感受性の違いを利用して癌細 胞の壊死を計るものである.温熱療法は大きく分けて 局所療法と全身療法に分類されている.抗癌剤の中に は温熱によって効果の増強するものが報告されてい る . 代 表 的 な 薬 剤 と し て はACNU,cis.DDP, bleomycin, adriamycin等がある.これらの薬剤と温 熱療法の併用が温熱化学療法と呼ばれるものである. 胸部外科においては1981年11月より体外循環による 全身温熱療法 (ESH)を行なってきた.また最近では