120 (47) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
タ ナカ ノリ コ田中典子(昭和3
博士(医学) 乙第1211号平成3年10月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
脳動静脈奇形に対するradiosurgeryの遠隔成績
(主査)教授 :丸山 勝一 (副査)教授 重田 帝子,田村 敦子論 文 内 容 の 要 旨
目的 stereotactic radiosurgery(RS)は特殊な放射線療 法で,脳内の病巣に対してγ線をcross・丘reさせて病 巣を破壊する方法である.この治療の効果判定には長 期のfollow・upを必要とするが,本邦では最近導入さ れたぼかりで,遠隔成績についてはまだ報告されてい ない.我々は治療後2年以上追跡しえた脳動静脈奇形 (cerebral arteriovenous malformation:AVM)の症 例について検討し,RSの有効性と問題点を考察した. 対象と方法1978年から主にStockholmのKarolinska病院で
治療を行った邦人24例のAVMの症例について検討
した.このうち2年以上追跡しえたのは20例であった. 追跡は治療後1年毎に脳血管撮影を行い,病巣の大き さを比較した.性別は男性13例,女性11例で,年齢は 9歳から54歳,平均25歳であった.初発症状は22例が 出血,2例がけいれん発作で発症している.病巣部位 はテント上18例,脳幹5例,小脳1例であった.病巣 の大きさを最大径でみると,10mm以下3例,10~20 mm 10例,20~30mm 9例,30mm以上2例で,最大は43mmであった. AVMの最大径が30mm以下の22
例では中心部最大線量24~60Gyで,50~90%isodose volumeに病巣をcoverすることができた.しかし,30 mmを越す2例では部分照射となった.追跡期間は24 ヵ月から149ヵ月,平均58ヵ月である. 結果および考察 照射後1~5年に亘って延べ40回の脳血管撮影が行われた.そのうち2年以上追跡しえた20例中13例
(65%)に治療後2年以内に病巣の完全閉塞を認めた. さらに,3・年,5年後に完全閉塞を来した例が各々1 例ずつあり,現時点では15例(75)に完全閉塞を認め た.24例中追跡期間中に再出血を起こした例は無く, また,この治療による死亡例は無い.副作用は,脳幹 部に病巣の存在した1例(中心部線量24Gy)で照射19 ヵ月後に核性顔面神経麻痺が発生した.なお,1例が 照射2年後の血管撮影後に肺動脈塞栓症で死亡した. 完全閉塞に至らない5例(25%)でも病巣の縮小が見られた.RSは最大径30mm以下のAVMに対しては,
安全で確実性の高い治療法と考えられた.しかし,脳 幹部病変を有する5例に限ってみると完全閉塞率は 60%と低く,照射量を低く抑えても放射線障害として 核性顔面神経麻痺が見られており(1例,4%),脳幹 部への照射に際しては慎重な実施が必要である. 結語①AVMに対するradiosurgeryの長期追跡結果か
ら,最大径30mm以下の病巣では照射後2年以内に
65%,5年以内に75%の症例で病巣の完全閉塞が認め られた.残りの症例でも病巣の縮小が確認された. ②照射後の放射線障害が1例(4%)に見られた. 脳幹部の病巣では完全閉塞率の低いことと放射線障害 発生の可能性から照射に際しては特に慎重な配慮を必 要とする. ③照射後の再出血例もしくは死亡例は無かった. 一724一12!