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ヒト血漿中に検出されたNa+,K+-ATPase活性化因子の精製および生化学的特性

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Academic year: 2021

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204 (78) 氏名(生年月日) 本 籍

学位の種類

学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目

論文審査委員

イ トウ エイ コ

伊東栄子(昭和2

医学博士 乙第1156号

平成3年2月15日

学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)

ヒト血漿中に見出されたNa+, K+・ATPase活性化因子の精製および生化学的 特性 (主査)教授 降矢 榮 (副査)教授 内山 竹彦,浜野 恭一

論 文 内 容 の 要 旨

目的

Na+, K+/transporting ATPase EC,3.6⊥37(以下 Na+, K+一ATPaseと略す)は細胞膜貫通蛋白であり,

細胞内に流入するNaイオンの汲み出しを行ってお

り,細胞の機能を維持するために必要不可欠な酵素で ある.アルコールを長期間採取した動物では,対照と 比較し,このNa+, K+一ATPase活性が,骨格筋,赤血 球,脳,肝臓で増加すること,アルコール性肝炎患者 の赤血球膜Na+, K+一ATPaseの活性が,正常人に比べ 有意に高いという報告がある.今回,著者は,アルコー ル性肝炎患老に見られる赤血球膜Na+, K+・ATPase 活性の充進が血漿中に含まれるタンパク質性活性化因 子に基づくと想定し,活性化因子を精製し,その生化 学的特性を検討した. 方法 本学消化器内科に入院したアルコール性肝炎患者か ら得たヘパリン血を遠心法により血漿と赤血球を分離 し,Hanahanらの方法を用い赤血球膜を調整した.対 照として,正常人ヘパリン血から調整した赤血球膜と 血漿を用いた.Na+, K+一ATPase活性測定は中尾らの 方法に準じた.Na+, K+・ATPase活性化因子の生化学 的性質を調べるために,血漿を1)透析,2)加熱処理, 3)アセトン処理,4)過塩素酸処理し,Na+, K+・ ATPase活性測定系に添加し,活性化効果を調べた. 加熱処理血漿:に含まれる活性化因子の精製にはBlue-

Sepharose CL-6B, DEAE-Toyopal 650s, Sephacryl

S-200カラムクロマトグラフィーを用いた.精製した活 性化因子を抗原としてウサギ背部皮下に注射し抗体を 作製した.プロテアーゼ活性の測定はSiegelmanらの 方法に準じた.Na+, K+一ATPase活性化に対するプロ テアーゼインヒビターの効果も調べた. 結果及び考察 1)正常人及びイヌ腎由来Na+, K+・ATPaseは,血 漿添加により活性化し,患者血漿のほうがその効果は 高く,Na+, K+一ATPase活性化因子が血漿中に存在す ることが示された.血漿を加熱処理,酸処理を行って も,活性化因子としての作用は失われなかった. 2)精製した活性化因子の分子量は,SDS-PAGE法

では28Kd, SDS非存在化でのPAGE分析により59

Kd,ゲル濾過法では58Kdと算出された,このタンパ ク質の抗体はNa+, K+一ATPaseの活性化を抑制した ことから,SDS-PAGE上28Kdタンパクが活性化因子 であることが明らかになった.活性化因子は,血漿中 で28Kdの単量体が水素結合などの弱い結合により, 二分子結合した二量体として存在していると考えられ る. 3)精製した活性化因子にプロテアーゼ活性が認め られ,精製度の上昇に伴い低分子量タンパクが出現し た.活性化因子を37℃に温置すると,次第にタンパク 帯は消え,同時にNa+, K+一ATPase活性化能が減少し た.このタンパク帯の消失は,DFPにより抑制され, 28Kdタンパクは混在しているプロテアーゼにより加 水分解される,あるいは28Kdタンパク自身がプロテ アーゼであると考えられた. 一814一

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205 4)プロテアーゼインヒビターは,」[匿漿添加による Na+, K+一ATPaseの活性化を抑糊した.この事は,活 性化因子そのものがプロテアーゼである可能性を示唆 する.従って,血漿中に存在するプロテアーゼにより, Na+, K+一ATPase分子の一部が切断され,この酵素の 活性化が起こると考えられる. 5)アルコール性肝炎患者の赤血球膜にみられる Na+, K+一ATPase活性の上昇は,血漿中に存在するプ ・テアーゼにより,部分的に説明され得るものと考え る.

論 文 審 査 の 要 旨

本論文は,ヒト血漿中にNa+, K+一ATPaseの活性化因子が存在することを証明し,この活性化因子を正常 人血漿から精製し,単量体の分子量が28Kdである耐熱性タンパク質であることを明らかにしたものである.こ の活性化因子の作用がプロテアーゼ阻害剤により抑制されることから,それ自身がプロテアーゼである可能性 を示唆するものであり,学術上価値あるものと認める, 主論文公表会誌 ヒト血漿中に見出されたNa+, K+一ATPase活性化 因子の精製および生化学的特性 東京女子医科大学雑誌 第60巻 第12号 1048-1058頁(平成2年12月25日発行) 副論文公表誌

1)Aspartate aminotransferase and lactate dehy- drogerase in human erythrocytes(ヒト赤血

球のアスパラギン酸アミノトランスフェラー ゼと乳酸脱水素酵素) 東女医大誌 50(1):73-83,1980 2)ヒト赤血球アスパラギン酸アミノトランスフェ ラーゼの部分的精製 東女医大誌 50(6):487-493,1980 3)In vivoにおけるヒト血漿アルブミンの非酵素 的糖付加反応と蛍光一健常者と糖尿病患者と の比較一 日栄・食糧会誌 43(1):17-22,1990 一815一

参照

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