268 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(73) アリ タケ スミ エ有竹澄江(昭和24
博士(医学) 乙第1320号平成4年11月20日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
悪性褐色細胞腫の1311・MIBG治療一SPECTによる吸収線量評価一
(主査)教授 重田 面子 (副査)教授 出村 博,二瓶 宏論 文 内 容 の 要 旨
目的 ラジオアイソトープ(RI)治療の客観的判定のため には腫瘍吸収線量の測定が不可欠であるが現在確立さ れた測定法がなく,従って吸収線量と治療効果につい て言及した報告は少ない.このため当教室で開発した single photon emission computed tomography (SPECT)による吸収線量の定量測定法を用い,悪性 褐色細胞腫に対する1311・metaiodobenzylguanidine (1311-MIBG)治療時の腫瘍吸収線量と治療効果との関 連について検討した, 対象および方法 1.1987年5月から1991年2月までに本学倫理委員 会の許可の基に転移巣制御を目的として1311・MIBG治 療が施行された悪性褐色細胞腫の患者4名(男性2名, 女性2名)を対象とした. 2.3.7GBq(100mCi)の131LMIBGを静脈内に緩速投与し,投与後1日から10日の間に数回SPECT撮像
を施行し,腫瘍重量と累積放射能を求めた. 3.Medical internal radiation dose(MIRD)委員 会の提唱した定義により,単位重量当たりの累積放射 能に各放出放射線の平衡吸収線量定数と吸収分数の積 の合計値を乗じて腫瘍吸収線量を計算した. 結果 1.悪性褐色細胞腫の患者4名に対し計8回のエ311・ MIGB治療が施行され,治療中吸収線:量測定が計7 回,5ヵ所に施行された. 2.腫瘍重量は17~100g(平均40g),有効半減期は 1.3~5.9日(平均3.6日),腫瘍吸収線量は5.5~68Gy (平均40Gy)であった. 3.2回以上1311-MIBG治療が施行された患者では 治療回数を重ねるごとに吸収線:量の低下が認められ た. 4.初回治療時に吸収線量測定が施行された3名の うち,60Gyが得られた1名では腫瘍の縮小が認めら れ,40Gyが得られた1名は症状の軽減が認められた. 5Gyしか得られなかった1名は無効であった. 考察 SPECTによる吸収線量測定でエ311-MIBG治療の回 数を重ねるごとに吸収線量の低下が認められた.治療 回数を重ねると腫瘍の1311-MIBG摂取率が低くなると 推測され,初回治療の重要性が示唆された。SPECTを 用いて測定された腫瘍吸収線量は治療効果をよく反映 し臨床的に妥当と考えられたが,4例とも全身に広範 な転移が認められ,治癒するには腫瘍総重:量が大きす ぎたと思われる.今後腫瘍重量の小さいうちの,より 早期の1311-MIBG治療が望まれる. 結語1.SPECTによって測定された腫瘍吸収線量は臨
床効果をよく反映し,RI治療時の腫瘍吸収線量測定の 重要性が確認された. 2.悪性褐色細胞腫症例に対する1311・MIBG治療は 適切な腫瘍吸収線量が得られるよう早期の治療が望ま れる. 一902一269