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在宅介護をしている家族の家族関係のアセスメント指標の構築と家族関係が障害された家族への支援策の検討

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Academic year: 2021

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(1) 公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2014 年度(後期)一般公募 「在宅医療研究への助成」報告書 . . 在宅介護をしている家族の家族関係のアセスメント指標の構築と 家族関係が障害された家族への支援策の検討 研究代表者:島田 なつき 神戸大学大学院保健学研究科 家族看護学分野・家族支援 CNS コース 共同研究者:法橋 尚宏 神戸大学大学院保健学研究科 教授 本田 順子 神戸大学大学院保健学研究科 講師 連絡先:〒654-0142 神戸市須磨区友が丘 7-10-2 神戸大学大学院保健学研究科 家族看護学教室 TEL&FAX: 078-796-4519 2016 年 2 月 13 日提出 . 1 .

(2) 第一章 わが国における家族内の人間関係障害に関する文献検討 Ⅰ.緒言 わが国では,2015 年に団塊の世代が前期高齢者となり,65 歳以上の高齢者人口は 3,355 万 4 千人(日本人 口の 26.4%)1)となった.そして団塊の世代が後期高齢者となる 2025 年には,高齢者数の増加に伴う医療費 の増加や医療機関・介護施設の不足が予測され,在宅医療・介護の推進が行われている.しかし,要介護者の 主な介護者の割合をみると,同居の家族が 61.6%で最も多く,別居の家族等の 9.6%を合わせると,家族によ る介護の割合は 71.2%2)であり,依然として家族が介護の主たる役割を担っている.また,同居の主な介護者 の 69.4%が日常生活で悩みやストレスがあると回答しており 3),家族は介護に負担を感じながら介護を行って いるのが現状である.介護支え合い相談・研究事業 4)が行っている家族からの相談では例年, 「介護の悩み 心 身疲労」 「介護の悩み 介護方法」 「家族間のトラブル 人間関係」の順に多いが,家族内の人間関係を良好に保 つことで虐待やネグレクト,施設入所を防止することが見込まれる 5)ことから,住み慣れた地域で自分らしい 暮らしを人生の最後まで続けるという地域包括ケアシステムの構築 6)には,家族と日々関わる訪問看護師が, 家族内の人間関係を支援する役割を担うことが必要である.しかし,わが国の介護保険制度では,家族介護者 はサービスの対象とはなっていない 7)ため,家族システムユニット全体のアセスメントや支援は不十分である のが現状であろう. わが国の文化では,家族内の人間関係は強い絆で結ばれていることが理想とされているが 8),在宅介護にお ける家族内の人間関係は,家族介護者と被介護者間の関係が「親密すぎる関係」の場合, 「在宅介護の負担」 「バーンアウト」 「将来への不安」が問題として生じる可能性があり 9),家族介護者と被介護者間の関係が「共 依存関係」の場合,不適切な介護や虐待が生じる可能性がある 10)ことが報告されている.すなわち,家族と 被介護者との関係が在宅医療の質に大きく関わる 11)ことから, 家族内の人間関係は在宅介護の継続とケアの質 に影響を与えると考えられる.したがって,家族内の人間関係が障害されている状態を明らかにし,その家族 支援策を検討することは意義深い. 家族内の人間関係は,家族員だけでなく家族全体や家族を取り巻く文化や制度などの影響を受けるため,家 族外部環境にまで視野を拡大して捉える必要があり,本研究では,家族システムユニットのウェルビーイング に作用する家族環境に焦点化した家族看護中範囲理論である家族同心球環境理論(Concentric Sphere Family Environment Theory:CSFET)に立脚して開発された家族環境支援モデル(Family Environment Intervention Model:FEIM)を理論的基盤とする.なお,CSFET を図式化したのが家族同心球環境モデル(Concentric Sphere Family Environment Model:CSFEM)である(図 1)12).FEIM では家族内部環境システム,家族システムユニ ット,家族外部環境システム,家族時間環境システムの 4 つの視座で家族支援を行うため,本研究では家族内 の人間関係をこの 4 つの視座で捉えていく.CSFET を基盤として開発された家族アセスメントツールである家 族環境地図の日本語版(Family Environment Map:FEM-J)13)は,家族員間の相互作用を家族関係レベルとし て量的に評価できるツールである.本研究では,まずは,家族内の人間関係が障害されている状態を明らかに し,その結果を踏まえて FEM-J の家族関係レベルの評価方法を見直し,臨地での活用に向けて洗練することを. . 2 .

(3) 目指す.FEM-J を洗練することにより,臨地の看護師が家族関係をより詳細にアセスメントできるようになる と考える. そこで,本研究では,わが国の看護学・医学領域の研究を対象として,家族内の人間関係に着目した文献検 討を行い,家族内の人間関係が障害されている状態を明らかにし,FEM-J の家族関係レベルを洗練し,家族関 係のアセスメント指標案を作成することを目的とした. ࢡࣟࣀࢩࢫࢸ࣒. . ᫬㛫ⓗ㊥㞳. ᐙ᪘࢚ࢿࣝࢠ࣮ࡢ඘㟁. ࢫ࣮ࣉࣛࢩࢫࢸ࣒. ᐙ᪘ࣃ࣮࣡ࡢቑᙉ. ᐙ᪘࢖࣋ࣥࢺ࡬ࡢ㐺ᛂ . ᐀ᩍ. ᐙ᪘ࡢᕼᮃࡢᐇ⌧ ᅜẸᛶ࣭ᆅ᪉ᛶ. ࣐ࢡࣟࢩࢫࢸ࣒. . ࣞࢪ࣮ࣕ⎔ቃ. ᵓ㐀ⓗ㊥㞳. ᩍ⫱࣭ಖ⫱ᶵ㛵㸪⏕ᾭᏛ⩦᪋タ. . ಖ೺࣭་⒪࣭⚟♴᪋タ. ࣑ࢡࣟࢩࢫࢸ࣒ ᆅᇦ⏕άᅪ. . ᐙ᪘ෆ㒊⎔ቃ ࢩࢫࢸ࣒. ᐙ᪘ࡢ೺ᗣ ࢭࣝࣇࢣ࢔ຊ ᐙ᪘ࡢࢫࣆࣜ ࢳࣗ࢔ࣜࢸ࢕. ᐙ᪘ࡢ⏕ά᫬㛫 ᐙ᪘ࡢ࣮࣭ࣝࣝࣅ࣮ࣜࣇ. . ᐙ᪘ࡢᖾ⚟ ┦஫స⏝. ᐙ᪘ࡢࣛ࢖ࣇࢫ࢟ࣝ ᐙ᪘ࡢᙺ๭ᵓ㐀. . ᐙ᪘ࡢ㛵ಀຊື ᐙ᪘ࡢࢥ࣑ࣗࢽࢣ࣮ࢩࣙࣥຊ. ゝㄒ. ᆅᇦάື. ஺஫స⏝. ᐙ᪘ࡢᙉࡳ ᐙ᪘ࡢ㏱㐣ᛶ. ♫఍㈨※࣭ බඹࢧ࣮ࣅࢫ. ㏆ᡤࡢே. ⏕≀ᅪ. ᐙ᪘ᨭ᥼┳ㆤ ⫋⪅࡜༠ാ⪅. ᐙ᪘ࣆ࢔ ぶ㢮㸪཭ே. ⫋ሙ⎔ቃ ⏕ά᝟ሗ. ♫఍࣮ࣝࣝ. ࢝ࢵࣉࣝࡢᛶឡ ᨻ἞࣭⤒῭. ᐙᗞ⤒῭ຊ ᐙ᪘ࡢఫ⏕ά⎔ቃ. ᐙ᪘ࡢࢫࢺࣞࢫ⪏ᛶຊ. . ᐙ᪘ࡢၥ㢟ゎỴຊ. ᶵ⬟ⓗ㊥㞳. 図 1 家族同心球環境モデル(CSFEM) Ⅱ.対象と方法 1.用語の操作的定義 1) 家族 14)とは,家族であると相互に認知し合っているひと(生者)の小集団システムである. 2) 家族関係とは,家族員間の人間関係を統合的にアセスメントした家族システムユニットの関係のことで ある. 3) 家族症候 15)とは,家族システムユニットが主観的に認知している家族症状と看護職者が客観的に観察で きる家族兆候(家族徴候)を合わせたものである. 4) 構造的距離 16)とは,物理的(客観的)に離れている程度である. 5) 機能的距離 17)とは,心理的(主観的)に離れている程度である. 6) 時間的距離 18)とは,現在から未来に向かって流れる時間軸である. . . 3 .

(4) 2.分析対象文献 家族内の人間関係が障害されている状態を明らかにするために,医中誌Web(医学中央雑誌刊行会)を用い て,文献検索を行った.検索対象年は「全年」 ,論文種類は「原著論文」に設定した.そして, 「家族」 「人間 関係」の2語の論理和に対して, 「障害」 「困難」 「悪化」 「不良」の4語を掛け合わせた.介護における家族内の 人間関係は,社会や文化,制度の影響を受ける19)ため,本研究では国内文献のみを対象とした.この条件に より検索された文献は1,694本であった(2014年9月16日現在) .題名と抄録を確認し,家族員同士の人間関係 に関する文献を選択し,家族と友人,職場のひと,医療福祉関係者,学生との人間関係に関する文献,疾患や 症状の障害,困難,悪化,不良に関する文献を除外した87本を分析対象とした.また,家族内の人間関係が障 害されている状態を明らかにするためには,家族内の人間関係が障害されていない状態も同時に明らかにする 必要がある.そこで,87本の文献からの選択基準として,家族内の人間関係が障害されている状態については, である不良な関係. という悪化した関係. は関係がうまく保たれないことを意味している などの. 記述が文章中あるいは前後文脈にある部分を抽出し,家族内の人間関係が障害されていない状態については, である良好な関係. という適切な関係. 良い関係とは. などの記述が文章中あるいは前後文脈に. ある部分を抽出した. 3.分析方法 87 本の文献で家族内の人間関係が障害されている状態と人間関係が障害されていない状態がどのような状 態かを明らかにするために Graneheim and Lundman の手法 20)に基づいて内容分析を行った.Graneheim and Lundman の分析方法では,まず全体の文脈を捉えるために文献を繰り返し読み,研究目的である家族内の人間 関係が障害されている状態と障害されていない状態に沿った文章を抜き出し,要約して分析対象となる一つの 意味単位を作った.この意味単位を抽象化しラベリングしてコード化し,その際全体の文脈を考慮した.コー ドを類似点と相違点に基づきサブカテゴリー化,カテゴリー化し,最終的に 2 つのテーマを同定した.この分 析過程は,家族看護学を専門領域とする 9 名の研究者で合意が得られるまで検討を重ね,リガー(rigor,厳 密さ)を確保した. 4.アセスメント指標案の作成方法 家族環境地図(Family Environment Map:FEM-J)21)22)は,ターゲットファミリーの構成,家族内部環境の 相互作用,ターゲットファミリーと家族外部環境との交互作用,インターフェイス膜の所在とその機能状態な ど,家族システムユニットの基本情報を数値,線,記号を使って図式化し,明らかにするための家族アセスメ ントツールのひとつである.FEM-J は家族の主観的判断(印象評価,自覚など)によって,現在の個人間の相 互作用を 1 点から 5 点の範囲で得点化し,この得点を関係レベルとしている(表 1)23).内容分析により家族 内の人間関係が障害された状態と障害されていない状態を明らかにし,家族内の人間関係が障害された状態を レベル 1,障害されていない状態をレベル 5 とし,より詳細な関係レベルに修正し,さらにアセスメントしや すいようなアセスメント指標案を作成する. . . 4 .

(5) 表 1 家族環境地図(FEM-J)の家族関係の関係線の図示法 . Ⅲ.結果 1.分析対象 家族内の人間関係について記載のあった対象文献 87 本を表 2 に示した. 表 2 家族内の人間関係について書かれた文献 . 1 . 筆頭著者 . 論文名 . 論文掲載雑誌 . 宮城 哲哉. 統合失調症患者を抱える家族の心的外傷後ストレス障. 琉球医学会誌,32(1-2), . (2013) . 害(PTSD)と主観的困難・負担感および精神健康との関. 45-52. . 連 2 . 山下 亜紀子 発達障害児の母親が抱える生活困難についての研究 (2013) . 3 . 4 . 東京大学大学院教育学. 宅筋ジストロフィー患者を介護する母親が抱える困難. 研究科臨床心理学コー. とその対処に焦点をあてて . ス紀要,(34),83-90. . 春川 美土里 在宅介護における認知症介護困難および良好の評価と (2013) . . 誌,22(3),241-254. . 菅沼 慎一郎 筋ジストロフィー患者の家族の心理に関する研究 在 (2011) . 日本社会精神医学会雑. 介護者属性の関連 在宅介護支援を行う職員からみた. 5 . 日本認知症ケア学会誌, 12(2),387-396. .

(6) 評価の特徴 5 . 下鳥 晴香 . 中年期における男性喉頭摘出者の全人的苦痛の体験 . (2013) 6 . 要,7,1-10. . 大山 早紀子 家族会による精神障害のあるひきこもりがちな人への (2013) . 武蔵野大学看護学部紀. 支援活動(「窓の会」活動)の成果と課題 A 政令市家. 病院・地域精神医学,55 (3),292-302. . 族会全数調査に基づくニーズ分析から) 7 . 澤村 貫太 (2013) . 8 . 平原 優美 . 親子の愛着関係と青年期における気分状態・心身状態. 総合健診,40(2),. との関連性 . 253-258. . 外来化学療法中のがん患者の在宅療養生活と思い . 日本保健科学学会誌,15. (2013) 9 . 渡部 洋子 . 家族介護者の介護認知に影響をおよぼす要因 在宅療. 中京学院大学看護学部. 養者の医療処置・管理と肯定的認知における検討 . 紀要,2(1),19-32. . 鳥居 千恵 . 認知症の患者本人が主たる家族介護者との新たな関係. 老年看護学,16(1), . (2011) . 性を構築していくプロセス 新たな関係性を育む循環. 57-65. . (2012) 10 . (4), 187-196. . と関係性構築を困難にする循環 11 . 岡田 真弓 (2012) . 12 . 久能 由弥 (2011) . 13 . の変容 . 老年看護,42,43-46. . 重度 ALS 患者の地域生活を支える人と環境の要因 社. リハビリテーション連. 会生活力プログラム構成による分析を通じて . 携科学,12(2),113-122. 日本保健科学学会誌,14. adolescent mothers who have just started parenting (2),63-76. . 広瀬 由美子 若年女性生殖器がん術後患者の他者との関係における (2011) . 15 . 日本看護学会論文集: . 小川 久貴子 Distressing experiences of and changes in (2011) . 14 . 認知症高齢者とその家族介護者のコミュニケーション. 千葉看護学会会誌,17. 体験 . (1),43-50. . 高見 美保 . 認知症高齢者と家族介護者が関わり合う際に生じる困. 老年看護学,15(2),. (2011) . 難に対する看護介入の開発 介入プログラムの作成と. 36-43. . 実践 16 . 門間 晶子 (2010) . 17 . 久保 恭子 . Child-rearing Narratives and Social Realities of 日本看護医療学会雑誌, Japanese Single Mothers . 12(2),1-13. . 祖母性の因子構造 . 母性衛生,51(4),. (2011) 18 . 吉田 沙蘭 . 601-608. 難治性小児がん患児の家族が経験する困難の探索 . (2010) 19 . 野中 真澄 (2009) . 20 . . 生田 磨美 . 小児がん,47(1), 091-097. . 初発肺がん患者の家族のがん診断期から在宅期におけ. 高知医療センター医学. る困難 . 雑誌,3(1),1-10. . 高齢入院患者の在宅復帰を困難にしている要因 施設. 日本看護学会論文集: . 6 .

(7) (2008) 21 . 入所となった患者家族との面接を通して . 老年看護,39,165-167. . 浜崎 優子 . 高齢者虐待における家族の関係性から見た介入・支援. 家族看護,7(1),. (2009) . 方法の検討 地域包括支援センターで関わった対応困. 130-138. . 難事例の分析 22 . 田中 いずみ 精神科外来に通院する患者を抱える家族の思いの検討 富山大学看護学会誌,8 (2008) . 23 . 生活困難を有する状況で家族が話した内容 . 横田 美智子 在宅で終末期癌患者を介護した家族の体験 (2008) . 24 . 25 . 135-143. . ドメスティック・バイオレンス(DV)のある家庭に育っ. 西南女学院大学紀要,. た子どもの援助に関する一考察 . 12,141-148. . 高齢者の生活支援をめぐるケアマネジメントの援助方. 青森県立保健大学雑誌,. 法をめぐる課題 高齢者虐待問題を中心に . 7(1),87-104. . 幼児期の自閉症児をもつ家族の家族機能および支援に. 日本看護医療学会雑誌,. 関する検討 . 8(2),17-25. . Direct effects of short-term psychoeducational . Psychiatry and . Hajime . intervention for relatives of patients with . Clinical . (2006) . schizophrenia in Japan . Neurosciences, 60(5),. 三村 保子 . 大和田 猛 (2006) . 27 . 今井 礼子 (2006) . 28 . 家族看護,6(1),. と拡大家族を比較して . (2008) 26 . 日本がん看護学会誌 22 (1),98-107. . 藤田 小矢香 育児をする母親がストレスに感じていること 核家族 (2008) . (1),11-20. . Yamaguchi . 590-597. 29 . 難波 茂美 . 女子学生の月経周辺期症状に及ぼすソーシャル・サポ. 岡山県立大学保健福祉. ート効果の検討 . 学部紀要,10,11-20. . 若い統合失調症患者をもつ父母の生活困難度および家. 精神科看護,33(5),. 族機能 . 47-51. . 化学療法を続ける通院がん患者の家族員が体験する困. 自治医科大学看護学部. 難 . 紀要,3,33-40. . 統合失調症者における家族の協力度・困難度・理解度. 山梨大学看護学会誌,2. の認識の比較 . (2),45-50. . 3 ヵ月児をもつ母親の愛着と哺乳形態に関連する要因. 富山医科薬科大学看護. (2005) . の検討 . 学会誌,6(1),111-121. . 北野 綾 . ホスピス外来に通院するがん患者とともに生きる家族. 日本看護科学会誌,25. (2005) . の体験の意味 . (2), 12-19. . 障害児の問題行動と母親のストレス認知の関係 . 東京保健科学学会誌,7. (2003) 30 . 甘佐 京子 (2006) . 31 . 水野 照美 (2005) . 32 . 鈴木 美穂 (2004) . 33 . 34 . 35 . 笹野 京子 . 種子田 綾 (2004) . 36 . . 清水 嘉子 . (2),79-87. 育児ストレスの実態研究 ストレス情動反応を中心に. 7 . 母性衛生,44(4),.

(8) (2003) 37 . して . 372-378. . 天谷 真奈美 痴呆性高齢者を介護する娘介護者の危機 (2002) . 38 . 小林 清香 . 87-93. 「社会的ひきこもり」を抱える家族に関する実態調査 精神医学,45(7),. (2003) 39 . 40 . 野川 道子 (1999) . 41 . 川本 龍一 (1998) . 42 . 44 . 日本看護科学会誌,22. 過程と家族の耐久力の特徴 . (3),10-19. . 家族介護者の要介護者との良好な関係保持のための対. 日本看護学会論文集: . 処に関する研究 . 老人看護,30,12-14. . 在宅ケアにおける介護者の負担度と主観的幸福感に関. 日本老年医学会雑誌,36. する研究 . (1),35-39. . 櫻井 智穂子 終末期の緩和を目的とした療養への移行におけるがん (2013) . 43 . 749-756. . 薬師神 裕子 心身症に伴う行動障害を持つ子どもとその家族の再生 (2002) . 埼玉県立大学紀要,4,. 文化看護学会誌,5(1),. 患者の家族の決断の ゆれ に関する研究 . 20-27. . 矢吹 知之 . 養護者による高齢者虐待の未然防止に向けた予兆察知. 日本認知症ケア学会誌,. (2013) . に関する検討 在宅介護にかかわる職種間の特徴から . 11(4),817-830. . 榎本 雪絵 . 運動器の機能向上事業参加者の家族介護者における介. 自立支援介護学,4(1),. (2010) . 護負担感について 介護負担感軽減群と悪化群の比較. 54-63. . から 45 . 井上 まり子 (2007) . 46 . 河崎 雄司 . ひとりでいい と答える小学 2 年生の人間関係と関 連する要因 3 歳半 8 歳までの縦断的研究 . 3-13. . 肺癌患者の QOL に影響をおよぼす因子の検討 . 島根医学,27(3),. (2007) 47 . 難波 貴代 (2006) . 48 . 49 . 大野 佳枝 . 臨床発達心理学研究,6,. 205-211. 高齢者虐待における介入モデルの開発 主介護者と被. 日本保健福祉学会誌,13. 介護高齢者間の共依存関係に焦点をあてて . (1),7-18. . 断酒会既婚者の意識変容に関する実証的研究 . アディクションと家族,. (2003) . 20(1), 66-74. . 酒井 厚 . 児童・思春期で経験するネガティブ・ライフイベンツ 精神保健研究,15,. (2002) . 子どもの抑うつ傾向の悪化を防ぐ親・きょうだいへの. 71-83. . 対人的信頼感 50 . 51 . 森 恵美 . 日本において不妊治療中の夫婦の夫婦関係 妊婦とそ. 母性衛生,40(1),. (1999) . の夫の夫婦関係との比較から . 168-175. . 下妻 晃二郎 乳癌の告知に関する検討 . 癌と化学療法,18(12),. (1991) 52 . 2147-2153. . 飯田 澄美子 痴呆老人等の長期ケアの実態とその対策 (1987) . . 聖路加看護大学紀要, 13,22-36. . 8 .

(9) 53 . 川鍋 紗織 (2010) . 54 . 増田 彰則 (2004) . 55 . 安藤 満代 (2013) . 第 1 子出産前後における女性の家族関係の認識 私・. 母性衛生,51(2),. 夫・子の三者関係の視点から . 359-366. . 家族機能が学校適応と思春期の精神面に及ぼす影響に. 心身医学,44(12),. ついて . 903-909. . 精神障害者が地域で生活をするためのソーシャルキャ. インターナショナル. ピタルと支援 . Nursing Care Research, 12(1),33-44. . 56 . 黒崎 芳子 (2013) . 運動性失語症患者のQOL SAQOL-39 日本語版を用いた検. 日本赤十字リハビリテ. 討 . ーション協会誌,27, 39-49. . 57 . 宇枝 恵生 . 壮年期脳出血患者の発症後の心理 家族役割と家族へ. 日本看護学会論文集: . の思い . 成人看護 I,43,103-106. . 重症心身障害をもつ乳幼児の母親の体験 入退院を繰. 富山大学看護学会誌,12. り返す中で母親の支えとなったものを中心に . (2),67-79. . 精神科救急入院料病棟を退院した患者が地域生活を継. 日本看護学会論文集: . (2013) . 続できる要因 . 地域看護,43,3-6. . Morita . Mental Health and Emotional Relationships of Family 日本アルコール・薬物医. Nobuaki . Members Whose Relatives Have Drug Problems . (2013) 58 . 高橋 久子 (2012) . 59 . 60 . 宮武 郁夫 . (2011) 61 . 塩田 桃子 (2012) . 62 . 大瀧 玲子 (2012) . 63 . 川添 郁夫 (2011) . 64 . 春野 聡子 (2011) . 65 . 坂井 郁恵 . 525-541. 肥満児を養育している両親の「夫婦親密度尺度」から. 小児保健研究,71(4),. の検討 . 552-560. . 軽度発達障害児・者のきょうだいが体験する心理プロ. 家族心理学研究,26(1),. セス 気持ちを抑え込むメカニズムに注目して . 25-39. . 統合失調症の子供を持つ母親の適応に影響を与えた要. 青森県立中央病院医誌,. 因 . 56(3),91-101. . 障害者のきょうだいの思いの変容と将来に対する考え. 応用障害心理学研究,. 方 . 10,39-48. . 地域で生活する精神障害者の生きがいの特徴 . 日本看護科学会誌,31. (2011) 66 . 67 . (3),32-41. . 上田 伊佐子 再発・転移のある乳がん患者のコーピング方略と心理 (2011) . 的適応 . . 日本看護科学会誌,31 (2),42-51. . 牧山 布美 PAC 分析によるしょうがい者の家族の態度構造の検討 川崎医療福祉学会誌,20 (2011) . 68 . 学会雑誌,46(6),. (2),365-375. . 田中 真 . デイケアおよび入院作業療法を継続している精神障害. (2011) . 者の主観的 QOL の特徴 1 年後の主観的 QOL の変化と. 9 . 作業療法,30(1),29-41. .

(10) 作業療法プログラムとの関連 69 . 70 . 71 . 72 . 渡邉 賢二 . 母親の養育スキルと子どもの心理的適応に関する縦断. 家族心理学研究, 24(2),. (2010) . 的検討 . 171-184. . 深谷 裕 . 触法精神障害者家族が体験する医療観察制度 つなが. 日本社会精神医学会雑. (2010) . りの再構築に向けて . 誌, 19(2-3),176-186. . 深谷 裕 . 触法精神障害者家族にとっての他害事件 つながりの. 精神障害とリハビリテ. (2010) . 転換期 . ーション,14(1),81-89. . 脇崎 裕子 (2009) . 73 . 池添 志乃 . 精神障害を有する長期入院高齢者の老いに関する研究 日本精神科看護学会誌, 語りのなかのラベリング . 52(1),14-23. . 生活の再構築に取り組む家族介護者の介護キャリア . 家族看護学研究,15(2),. (2009) 74 . 濱田 裕子 (2009) . 75 . 新名 理恵 (1991) . 76 . 107-116. 障害のある子どもと社会をつなぐ家族のプロセス 障. 日本看護科学会誌,29. 害児もいる家族として社会に踏み出す . (4),13-22. . 痴呆性老人の在宅介護者の負担感に対するソーシャ. 老年精神医学雑誌,2. ル・サポートの緩衝効果 . (5), 655-663. . 中山 香奈絵 失語症者と主介護者のコミュニケーションパターン再 (2008) . 構築のプロセス . 日本リハビリテーショ ン看護学会学術大会集 録 20 回,70-72. . 77 . 藤野 成美 . 精神科における長期入院患者の苦悩 . (2007) 78 . 藤野 成美 (2007) . 79 . 和田 一丸 (2006) . 80 . 岩崎 弥生 (2003) . 81 . 82 . 太田 節子 (2003) . 84 . . 臨床精神医学,36(6),. その関連要因 . 781-788. . 入院精神疾患患者における退院と患者-家族関係に関. 精神科治療学,21(9),. する調査 . 1005-1009. . 精神障害者の家族のケア提供を支える要因 聞き取り. 病院・地域精神医学,45. 調査の定性分析 . (4),460-467. . いの障害認識プロセス . 池添 志乃 . 日本看護科学会誌,25 (2),37-46. 日本糖尿病教育・看護学. 族機能及び家族システムについての検討 . 会誌,8(1),35-46. . 観血的治療を受けた高齢大腿骨頸部骨折患者の退院後. 千葉大学看護学部紀要,. 1 年の身体・精神・社会的特徴 . 26, 75-83. . 藤岡 耕太郎 自殺者における生前の社会的・心理的・身体的背景 福 (2004) . 85 . 精神障害者の家族介護者における介護の肯定的認識と. 生田 美智子 糖尿病患者の負担感に影響を及ぼす対処スタイル,家 (2004) . 83 . 30(2),87-95. . 山本 美智代 自分のシナリオを演じる 同胞に障害のあるきょうだ (2005) . 日本看護研究学会雑誌,. 精神神経学雑誌,106. 島県下における 1 年間の自殺者の全数調査から . (1),17-31. . 脳血管障害をもつ病者の家族の生活の再構築における. 高知女子大学紀要(看護. 10 .

(11) (2003) 86 . 学部編),53,11-21. . 木立 るり子 在宅介護の日常化に関する研究 娘・嫁介護者による相 (2003) . 87 . 状況の定義 . 手理解の仕方について . 134-143. . 住吉 亜矢子 精神障害者が家族から受けているサポートに関する認 (2000) . 家族看護,1(2),. 識の実態 . 兵庫県立看護大学紀要, 7,109-121. . 2.家族内の人間関係が障害されている状態と障害されていない状態 87 本の文献について,家族内の人間関係が障害されている状態を表 3,障害されていない状態を表 4 に示し た.以下では,テーマは【 】 ,カテゴリーは[ ] ,サブカテゴリーは〈 〉で記述した. 家族内の人間関係が障害されている状態は【ケア/ケアリングの提供が構築・維持できていない関係】であ った.ケア/ケアリングとは,法橋らが提唱した家族ケア/ケアリング理論 24)25)の家族ケア/ケアリング環 境を家族システムユニット内でのケア/ケアリング環境として捉えたものであり,家族システムユニット内で のケア/ケアリング環境では,時間的距離の中で,家族員が家族員をケアする,逆に家族員が家族員からケア されるという円環的な相互作用が展開され,この相互作用によって,家族員と家族員の間の構造的距離と機能 的距離が漸次接近し,相互信頼が深化することで適度な距離を保つ.この家族システムユニット内のケア/ケ アリング環境において,家族員が家族員に行う行為がケア,家族員を支援する態度がケアリングである.した がって, 【ケア/ケアリングの提供が構築・維持できていない関係】は,家族員が家族員をケアする,ケアさ れるという円環的な相互作用によって,構造的距離と機能的距離が接近または離隔し, [構造的距離/機能的 距離が近過ぎる関係] [構造的距離/機能的距離が遠過ぎる関係]となり,適度な関係を保てず, [ケア/ケア リングの提供が密着している関係][ケア/ケアリングの提供が希薄な関係]となっていた.一方,家族内の 人間関係が障害されていない状態は【ケア/ケアリングの提供が構築・維持できている関係】であり,家族員 が家族員をケアする,ケアされるという円環的な相互作用によって,構造的距離と機能的距離が適度となり, [構造的距離/機能的距離を適度に保っている関係]で[ケア/ケアリングの提供ができている関係]であっ た. . . . 11 .

(12) 表 3 家族内の人間関係が障害されている状態 テーマ . カテゴリー . サブカテゴリー . ケア/ケアリングの提. ケア/ケアリングの提供が密着. 過干渉な関係 . 供が構築・維持できてい. している関係 . 共依存関係 . ない関係 . 親密過ぎる関係 離れられない関係 密着した関係 ケア/ケアリングの提供が希薄. 希薄な関係 . な関係 . 疎遠な関係 助け合えない関係 . 構造的距離/機能的距離が近過. 物理的距離/心理的距離が近過ぎる関係 . ぎる関係 構造的距離/機能的距離が遠過. 物理的距離/心理的距離が遠過ぎる関係 . ぎる関係 表 4 家族内の人間関係が障害されていない状態 テーマ . カテゴリー . サブカテゴリー . ケア/ケアリングの提. ケア/ケアリングの提供がで. 親密な関係 . 供が構築・維持できて. きている関係 . お互いに助け合う関係 . いる関係 . サポートしてくれる関係 構造的距離/機能的距離を適. 心理的距離を適度に保っている関係 . 度に保っている関係 . 近過ぎないよう物理的距離を保つ関係 物理的距離/心理的距離を一定に保っている 関係 . Ⅳ.考察 1.家族内の人間関係が障害されている状態と障害されていない状態 本研究では,家族内の人間関係に着目し,家族内の人間関係が障害されている状態と障害されていない状態 を明らかにした.家族内の人間関係が障害されている状態は, 【ケア/ケアリングの提供が構築・維持できて いない関係】であり,家族内の人間関係が障害されていない状態は, 【ケア/ケアリングの提供が構築・維持 できている関係】であった. 法橋 26)は,家族環境における関係は,心理的距離だけではなく,物理的に離れている程度である構造的距離 にも注目し,物理的および心理的な視点から家族を支援する方略を考えることの必要性を述べている.本研究 結果においても,家族内の人間関係はケアを提供する構造的関係とケアリングを提供する機能的関係の二次元 で捉えられることが明らかとなった.また,宗像. . 27). は,家族を支援ネットワークという面からとらえ,家族. 12 .

(13) がお互い生活するうえで必要な手段や便宜を提供し合う手段的ネットワークとお互い気持ちが通じあう情緒 的ネットワークである本来の家族関係を回復できるように支援することの必要性を述べている.本研究の結果 においても,ケアを提供し合う構造的関係とケアリングを提供し合う機能的関係が適度である状態,すなわち [ケア/ケアリングの提供ができている関係]が家族内の人間関係が障害されていない状態であった.また, 宗像. 28). は,相手の気持ちや意思を尊重できない関係は人間関係が悪化した状態であり,家族内の人間関係が. 悪化すると家族でありながら,お互い離れようとすると述べており,本研究結果でも家族内の人間関係が障害 されている状態は[構造的距離/機能的距離が遠過ぎる関係]であった.また,わが国の文化では,家族員間 の一体感が家族の絆であるとする傾向があり,家族員にケアを提供する役割が期待される状況下においては, この文化規範が拘束的に働く 29)ため, 〈親密過ぎる関係〉や〈密着した関係〉は一見献身的にケアをする良い 関係であるように思われるが,本研究結果においても[構造的距離/機能的距離が近過ぎる関係]は,家族内 の人間関係が障害されている状態であった.さらに,わが国の文化では,家族員同士の自立や個としての欲求 は,反抗・反逆であるかのように捉えられ,抑圧されがちである. 30). が,本研究結果では[構造的距離/機能. 的距離を適度に保っている関係]は家族関係が障害されていない関係であることから,看護師が家族関係をア セスメントするときには,家族員同士がお互いに自立している関係を家族内の人間関係が障害されていない状 態として捉え,家族員間の絆が強くなり過ぎる〈共依存関係〉や〈離れられない関係〉とならないよう,家族 員同士が相互に独立を助け合うような人間関係 31)となるよう支援する視点が必要である. 2.家族関係アセスメント指標案の作成 そこで,家族内の人間関係が障害されている状態を【ケア/ケアリングの提供が構築・維持できていない関 係】で[構造的距離/機能的距離が遠過ぎる関係][構造的距離/機能的距離が近過ぎる関係],家族内の人 間関係が障害されていない状態を【ケア/ケアリングの提供が構築・維持できている関係】で[構造的距離/ 機能的距離が適度である関係]とし,FEM-J の関係レベルを看護師がアセスメントしやすいように洗練するこ とが必要であると考え,FEM-J の家族関係の関係レベルをもとに家族関係アセスメント指標案を作成し図 2 に 示した.家族関係アセスメント指標案では,両端を家族内の人間関係が障害された状態である[構造的距離/ 機能的距離が近過ぎる関係] [構造的距離/機能的距離が遠過ぎる関係]として【ケア/ケアリングの提供が 構築・維持できていない関係】をレベル 1 とした.そして,中央を家族内の人間関係が障害されていない状態 である[構造的距離/機能的距離が適度な関係]として【ケア/ケアリングの提供が構築・維持できている関 係】をレベル 5 となるよう原案を作成した.また,表現がわかりにくい時の言い換えには表 3 と表 4 のサブカ テゴリーを中心に使用できるようレパートリーを増やした. . . 13 .

(14)   中央が良い関係,両端が悪い関係を示しています.もっともよくあてはまる と思うところを,あなた自身がどう思うかで答えてください.  . あなたと           様との関係 . 回答にあたっての注意. . 回答にあたっての注意  これは,あなたとご家族の方の関係について,お尋ねするものです.あなた とご家族の方との関係を表出的(心理的)関係と手段的(物理的)関係に分け, 「距離」で表わしていただきます.  表出的(心理的)関係とは,敬意や愛情,感謝などをやりとりする気持ちの 関係です.  手段的(物理的)関係とは,収入や人手,時間,情報,知識などをやりとり する助け合いの関係です.. 【表出的(心理的)関係】  これは,あなたとご家族の方の関係について,お尋ねするものです.あなた とご家族の方との関係を表出的(心理的)関係と手段的(物理的)関係に分け, 多過ぎる           適度           少な過ぎる 「距離」で表わしていただきます. 123454321          表出的(心理的)関係とは,敬意や愛情,感謝などをやりとりする気持ちの 悪い            良い            悪い 関係です.  手段的(物理的)関係とは,収入や人手,時間,情報,知識などをやりとり. する助け合いの関係です. 【手段的(物理的)関係】 .   中央の適度な距離が良い関係,両端の極端な距離が悪い関係です.もっとも よくあてはまると思うところを,あなた自身がどう思うかで答えてください. . 中央の適度な距離が良い関係,両端の極端な距離が悪い関係です.もっとも  多過ぎる           適度           少な過ぎる 123454321 よくあてはまると思うところを,あなた自身がどう思うかで答えてください. . . . .  . . . .   悪い            良い            悪い. . あなたと           様との関係. あなたと           様との関係 .  . . 【表出的(心理的)関係】. 【表出的(心理的)関係】. . .  近過ぎる           適度           遠過ぎる. 離れられない          適度            疎遠. 123454321. 123454321. . . . . . . . . . . . . . . . .   悪い            良い            悪い.   悪い            良い            悪い. . . . . 【手段的(物理的)関係】. 【手段的(物理的)関係】. . .  近過ぎる           適度           遠過ぎる. 離れられない          適度            疎遠. 123454321. 123454321. . . . . . . . . .   悪い            良い            悪い. . . . . . . .   悪い            良い            悪い. 図 1 アセスメント指標案 3.研究の限界と今後の課題 本研究の対象は,医中誌 Web で検索できる論文に限定されている.今後は,国外の論文にも対象を広げ,文 化や制度の違いによる家族内の人間関係についても検討を進めていく必要がある.また,文献で使用されてい る家族という表現が特定の二者関係であるのか,家族全体の関係であるのか,距離という表現が心理的な距離 であるのか物理的な距離であるのか,両方の距離であるのかを捉えることに限界があった.今後は本研究の結 果をもとに作成した家族関係アセスメント指標案をもとに面接調査を行い,データを洗練する必要がある. Ⅴ.引用文献 1) 総務省.人口推計̶平成 27 年 10 月報̶,平成 27 年 10 月 20 日総務省統計局,2015. http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201510.pdf 2) 厚生労働省.平成 25 年国民生活基礎調査の概況,Ⅳ 介護の状況,2014 年. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/05.pdf 3) 前掲 2) . 4) 介護支え合い相談・研究事業の報告書 2007 年度,2008 年 3 月発行. 5) 三富杞敬.レスパイトケアと介護者の休息,欧米の介護保障と介護者支援̶家族政策と社会的包摂,福祉 国家類型論̶,ミネルヴァ書房,pp176-181,2010. . . 14 .

(15) 6) 厚生労働省.地域包括ケアシステム,2013. http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkat su/ 7) 三富杞敬.介護者支援の目的の明示と効果の検証作業,欧米の介護保障と介護者支援̶家族政策と社会的 包摂,福祉国家類型論̶,ミネルヴァ書房,pp321-324,2010. 8) 柏木惠子.親研究における 父親不在 と 母性偏重 ,柏木惠子,高橋惠子編,発達心理学とフェミニ ズム,ミネルヴァ書房,pp20-23,1997. 9) 菅沼慎一郎,吉田沙蘭,小堀彩子,砂川芽吹,下山晴彦. 筋ジストロフィー患者の家族の心理に関する 研究 在宅筋ジストロフィー患者を介護する母親が抱える困難とその対処に焦点をあてて,東京大学大学 院教育学研究科臨床心理学コース紀要 34:83-90,2011. 10) 難波貴代,北山秋雄,三縄久代,橋本えみ子.高齢者虐待における介入モデルの開発 主介護者と被介護 高齢者間の共依存関係に焦点をあてて, 日本保健福祉学会誌 13(1):7-18,2006. 11) 野川道子,今野多美子.家族介護者の要介護者との良好な関係保持のための対処に関する研究,日本看 護学会論文集: 老人看護 30:12-14,1999. 12) 法橋尚宏,本田順子.法橋の 家族同心球環境理論 と 家族ケア/ケアリング理論 の世界,保健の 科学 55(12) :808-813, 2013. 13) 法橋尚宏,本田順子.家族アセスメントツールとしての FEM,法橋尚宏編,FEM-J(家族環境地図)のア セスメントガイド,EDITEX,pp7-8, 2014. 14) 法橋尚宏,樋上絵美.ひとと家族アイデンティティ,法橋尚宏編,新しい家族看護学:理論・実践・研 究,メヂカルフレンド社,pp2-3,2010. 15) 法橋尚宏,樋上絵美.個人症候から家族症候,法橋尚宏編,新しい家族看護学:理論・実践・研究,メ ヂカルフレンド社,pp45-46,2010. 16) 法橋尚宏,本田順子.3 つの評価軸,法橋尚宏編,新しい家族看護学:理論・実践・研究,メヂカルフ レンド社,pp86,2010. 17) 前掲 16) . 18) 前掲 12) . 19) 袖井孝子.高齢者介護と家族関係,上野千鶴子,大熊由紀子,大沢真理,神野直彦,副田義也編,ケア その思想と実践 4 家族のケア 家族へのケア,岩波書店,pp140-149,2008. 20) Graneheim,U.H., Lundman, B.Qualitative content analysis in nursing research:concepts,procedures and measures to achieve trustworthiness.Nurse Education Today, 24:105-112, 2004. 21) 前掲 13) . 22) Hohashi, N., Honda, J.Development of the Concentric Sphere Family Environment Model and Companion Tools for Culterally Congruent Family Assessment.Journal of Transcultural Nursing,22(4) : 350-361,2011. 23) 法橋尚宏,本田順子.FEM のマッピング方法,法橋尚宏編,FEM-J(家族環境地図)のアセスメントガイ. . 15 .

(16) ド,EDITEX,pp12-22, 2014. 24) 前掲 12) . 25) Hohashi, N., Honda, J.Concept Development and Implementatiom of Family Care/Caring Theory in Concentric Sphere Family Environment Theory.Open Journal of Nursing,5:749-757,2015. 26) 法橋尚宏,本田順子.CSFEM の特徴,法橋尚宏編,新しい家族看護学:理論・実践・研究,メヂカルフ レンド社,pp87,2010. 27) 宗像恒次.葛藤する家族の動き,最新 行動科学からみた健康と病気,メヂカルフレンド社,pp155-159, 1996. 28) 宗像恒次.役割関係の葛藤と人間関係,最新 行動科学からみた健康と病気,メヂカルフレンド社, pp212-215,1996. 29) 柏木惠子.個人化の価値観をもつ人は,どのような感情で生活しているか,柏木恵子編,結婚・家族の 心理学̶家族の発達・個人の発達̶,ミネルヴァ書房,pp137-139,1999. 30) 柏木惠子. 「個人化」と親密さ,柏木惠子編,結婚・家族の心理学:家族の発達・個人の発達,ミネルヴ ァ書房,pp139-140,1999. 31) 守屋慶子.個人を犠牲にする「和」 「もたれ合い」ではなく「自立の助け合い」へ,柏木惠子,高橋惠子 編,発達心理学とフェミニズム,ミネルヴァ書房,pp111-113,1997. . . . 16 .

(17) 第二章 家族内の人間関係障害の影響因子・家族支援策の検討と家族関係アセスメント指標の開発 Ⅰ.緒言 わが国の要介護や要支援認定者は年々増加し,2015 年 9 月には 616 万 4 千人 1)となっており,団塊の世代 が後期高齢者になる 2025 年に向け,重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生 の最期まで続けることができるよう,地域包括ケアシステムの構築 2)が行われている.しかし,現在のわが国 の介護保険制度は,無償の家族介護に依存したままであり 3),家族が果たしている役割の重要性にもかかわら ず,家族介護者を直接の対象とする支援は制度化されておらず 4),家族システムユニット全体をアセスメント し,支援することが不十分であるのが現状であろう. 法橋らは,家族ケア/ケアリング理論(Family Care/ Caring Theory:FCCT)5)6)において,看護職者には, 家族ケアを行うターゲットファミリーに対して関心をもち,最大限にその家族の希望を叶えたいという明確な 意思がなければならないと述べている.しかし,藤野 7)は, 「看護師がどう関わったらいいか分からない」な ど対応に難しさを感じる家族のことを対応困難とされる家族とし,そのアプローチを紹介しており,臨床では 看護職者がターゲットファミリーに関心をもつことができない状況が生じている.また,その対応困難とされ る家族の中には,患者との間に適切な距離が保てない(望ましいと思う以上に,患者と家族員の凝集性が高い) 家族があげられており,看護職者が家族内の人間関係障害を支援するためには,ターゲットファミリーへの対 応困難感を減らし,家族ケア/ケアリング関係を築けるよう導くことが必要である.したがって,家族関係の アセスメント指標によりアセスメントの視点を提示し,家族内の人間関係障害の影響因子と家族支援策を明ら かにすることは意義があると考える.さらに,看護職者がターゲットファミリーに関心をもって接することが, ターゲットファミリーとの関係構築の原動力と基盤になり,家族ケアリング関係を構築でき,ターゲットファ ミリーは成長・発達を遂げることが可能になる 8). 第一章では,家族内の人間関係障害に焦点を当て,文献検討を行い,家族内の人間関係が障害された状態を 明らかにし,家族関係アセスメント指標案を作成した.そこで,第二章ではこの家族関係アセスメント指標案 を用いた面接調査を実施し,家族関係アセスメント指標を開発する.さらに,看護師が家族内の人間関係障害 に支援できるよう,家族と看護師に面接調査を行い,家族内の人間関係障害の影響因子と家族支援策を明らか にすることを目的とした. Ⅱ.対象と方法 1.用語の操作的定義 1) 家族内の人間関係が障害された状態とは,家族員間でケア/ケアリングの提供が構築・維持できていない 状態であり,家族員間の構造的距離/機能的距離が近過ぎてケア/ケアリングの提供が密着している状態, 家族員間の構造的距離/機能的距離が遠過ぎてケア/ケアリングの提供が希薄になっている状態である. 2) 影響因子とは,危険/原因因子と予防/阻止因子をまとめたものである. 3) 危険/原因因子 9)とは,家族症候を出現させやすくする危険因子(risk factor)と家族症候の出現を引. . 17 .

(18) き起こす原因因子(causal factor)をまとめたものである. 4) 予防/阻止因子 10)とは,家族症候を出現させにくくする予防因子(preventive factor)と出現を阻害す る阻止因子(inhibitory factor)をまとめたものである. 2.対象 コンビニエンスサンプルとして,ある政令指定都市にある 4 箇所の訪問看護ステーションの施設責任者に, 依頼文と連絡票の配布を依頼し,同意の得られた家族と看護師を対象とした.対象の家族に関しては,対象者 のバリエーションが出るよう疾患や利用者との続柄は限定せず,インタビューに答えられる 18 歳以上のひと とした.また,本研究では家族員同士の関係を問うため躊躇なく話してもらえるよう,家族員一人ずつのイン タビューとした. 3.データ収集方法 データ収集期間は,2015 年 5 月から 10 月であった.データ収集方法は,半構造化面接法とした.インタビ ューガイドは,前述の第一章と FEM-J のアセスメントガイドの家族インタビュー/ミーティングの進行例 11) をもとに作成し,その一部を表 1,2 に示した.家族インタビューでは,FEM-J の家族関係レベルと家族関係 アセスメント指標案を使用し,家族関係を数値化し,さらに家族内の人間関係を障害する影響因子と家族支援 策を聞くことができるようインタビューガイドを作成した.看護師インタビューでは,看護師に家族内の人間 関係が障害されていると思う事例と障害されていないと思う事例をあげてもらい,FEM-J の家族関係レベルと 家族関係アセスメント指標案を使用しながら影響因子と家族支援策を聞き,さらに家族関係アセスメント指標 案で家族内の人間関係がアセスメント可能かどうかを確認できるようインタビューガイドを作成した.また, 第一章の表2の87本の文献で, 家族内の人間関係障害の影響因子と家族支援策についてGraneheim and Lundman の手法. 12). に基づいて内容分析を行い,インタビュー中に例としてあげられるようリストを作成した.家族内. の人間関係障害の危険/原因因子では,. により関係が悪化している. により関係がうまくいかない. が関係に悪い影響を及ぼしている などの記述が文章中あるいは前後文脈にある部分を選択した.家族内の人 間関係障害の予防/阻止因子では,. により関係が良好になる. により関係が適切に保たれる. によ. り関係が修復される などの記述が文章中あるいは前後文脈にある部分を選択した.家族内の人間関係障害の 家族支援策では, により良好な関係を保持できるように支援する. により関係が安定するよう支援する. 関係の再構築のために を支援する などの記述が文章中あるいは前後文脈にある部分を選択した.影響因 子と家族支援策については,インタビューデータを順次追加しながら内容分析を進めていくこととした. 面接場所は対象者に指定してもらい,自宅や職場,その他プライバシーの確保ができる環境で,対象者の希 望する時間に行った.面接時間は 60 分から 120 分とした.面接中の内容は,対象者の承諾を得た上で IC レコ ーダに録音し,後日,研究者自身が逐語録におこした. . . . 18 .

(19) 表 1 家族へのインタビューガイドの一部 具体的な内容 . 留意点 . □ 家族員同士の関係についてお伺いします.ここにあるように 大変うまくいっ. FEM-J の関係レベ. ている の 5 から まったくうまくいっていない の 1 まであるのですが,こ. ルを聞く. . の評価ですとご夫婦/親子の関係はどうしょうか? □ ご夫婦/親子の関係が○ということですが,なぜそのように評価されたのかを お聞かせいただけますでしょうか? . 関係レベルの理 由を聞く. . □ 私は,家族内の人間関係を気持ちをやりとりする関係(機能的関係)と助け合. 家族関係アセス. う関係(構造的関係)に分けて考えております.そこで,ご夫婦/親子の関係. メント指標案を. が○ということですが,この関係を気持ちをやりとりする関係と助け合う関係. 使用する.伝わり. として考えていただきます.まず,気持ちをやりとりする関係(敬意や愛情, にくいときはサ 感謝などのやりとり)は,ここにあるように 適度 の 5 から 近過ぎる/. ブカテゴリーを. 遠過ぎる の 1 まであるのですが,この評価ですと関係はどうでしょうか? . 参考にして言い 換える. . 表 2 看護師へのインタビューガイドの一部 具体的な内容 . 留意点 . □ これまでの訪問看護のご経験の中で,家族関係が障害されていると感じたのは. FEM-J を描きなが. どのようなご家族ですか?具体的に家族の人数や疾患名,どの関係が障害され. ら関係レベルを. ているか教えていただけますか? . 聞く. . □ そのような家族関係が障害されている状態であるのは,なぜだと思われます か? . 危険/原因因子 を聞く. . □ そのような家族関係が障害されているご家族への支援として,どのようなこと をされていますか? . 家族支援策を聞 く. . 4.データ分析方法 録音データから逐語録を作成し,Graneheim and Lundman の手法に基づいて内容分析を行った.この分析方 法では,まず全体の文脈を捉えるために逐語録を繰り返し読み,研究目的に沿った家族内の人間関係障害の危 険/原因因子,予防/阻止因子,家族支援策について書いてある文章を抜き出し,要約して分析対象となる一 つの意味単位を作った.危険/原因因子,予防/阻止因子,家族支援策としては,インタビューガイドの質問 に対する回答箇所を選択した.この意味単位を抽象化しラベリングしてコード化するが,このときに全体の文 脈を考慮した.そして,第一章の文献のデータと合わせ,コードを類似点と相違点に基づきサブカテゴリー化, カテゴリー化した.また,本研究の理論的基盤である家族環境支援モデル(Family Environment Intervention Model:FEIM)では,家族を家族内部環境システム,家族システムユニット,家族外部環境システム,家族時 間環境システムの 4 つの視座から捉えて家族看護過程を展開する.そのため,影響因子と家族支援策は 4 つの. . 19 .

(20) 視座に分けカテゴリー化した.この分析過程は,家族看護学を専門領域とする 9 名の研究者で合意が得られる まで検討を重ねて行い,リガー(rigor,厳密さ)を確保した. 5.倫理的配慮 本研究は,神戸大学大学院保健学研究科保健学倫理委員会の審査を受け,保健学研究科長の承認(承認番号: 第 374 号)を得て実施した.対象となる家族と看護師へは,インタビュー実施前に,インタビューの説明文を 使用し,文章及び口頭で対象者の理解しやすい言葉を用い本研究に関して十分に説明し,同意書の署名をもっ て,自由意思による研究参加の同意を得た. Ⅲ.結果 1.調査対象者の概要 1)家族インタビュー 家族インタビューの対象者の属性を表 3 に示す.インタビュー対象者の年齢は,60 歳代 4 名,70 歳代 5 名, 80 歳代 2 名であった.訪問看護ステーション利用者からみたインタビュー対象者の続柄は,妻 6 名,夫 2 名, 息子 1 名,娘 1 名,本人 1 名であった.インタビュー対象者の生活形態は,訪問看護ステーション利用者との 同居が 10 名,別居が 1 名であった.訪問看護ステーション利用者の性別は,男性 8 名,女性 3 名であった. 年齢は,60 歳代 1 名,70 歳代 4 名,80 歳代 5 名,90 歳代 1 名であった.訪問看護ステーション利用者の主な 疾患は,脳神経系疾患 5 名,整形外科系疾患 4 名,腎臓内科系疾患 2 名,消化器外科系疾患 1 名であった.イ ンタビュー時間の平均は 65 分(範囲は 36 分から 105 分)であった. 表 3 家族インタビューの対象者の属性 インタビュー対象者 . 訪問看護ステーション利用者 . 家族. 年齢 . 利用者との . 生活. 家族. 同居. No. . 区分 . 続柄 . 形態 . 員数 . 人数 . 1 . 80 歳代 . 妻 . 同居 . 4 . 2 . 60 歳代 . 妻 . 同居 . 3 . 80 歳代 . 妻 . 4 . 70 歳代 . 5 . 性別 . 年齢区分 . 主な疾患 . 2 . 男 . 80 歳代 . 整形外科系 . 11 . 2 . 男 . 70 歳代 . 脳神経系 . 同居 . 4 . 2 . 男 . 90 歳代 . 整形外科系 . 妻 . 同居 . 6 . 2 . 男 . 80 歳代 . 腎臓内科系 . 60 歳代 . 娘 . 別居 . 3 . 3 . 男 . 80 歳代 . 消化器系 . 6 . 60 歳代 . 息子 . 同居 . 2 . 2 . 女 . 80 歳代 . 整形外科系 . 7 . 70 歳代 . 夫 . 同居 . 2 . 2 . 女 . 60 歳代 . 脳神経系 . 8 . 70 歳代 . 妻 . 同居 . 7 . 2 . 男 . 70 歳代 . 脳神経系 . 9 . 60 歳代 . 夫 . 同居 . 2 . 2 . 女 . 80 歳代 . 整形外科系 . 10 . 70 歳代 . 妻 . 同居 . 4 . 2 . 男 . 70 歳代 . 脳神経系 . 11 . 70 歳代 . 本人 . 同居 . 4 . 2 . 男 . 70 歳代 . 腎臓内科系 . . . 20 .

(21) 2)看護師インタビュー 看護師インタビューの対象者の属性を表 4 に示す.インタビュー対象者の年齢は,30 歳代 3 名,40 歳代 6 名,50 歳代 3 名,70 歳代 1 名であった.看護師経験年数は,5 年から 9 年 2 名,10 年から 14 年 2 名,15 年 から 19 年 3 名,20 年から 24 年 2 名,25 年から 29 年 3 名,30 年から 34 年 1 名であった.訪問看護経験年数 は,5 年未満 8 名,5 年から 9 年 2 名,10 年から 14 年 1 名,20 年から 24 年 2 名であった.性別は全員女性で あった.インタビュー時間の平均は 50 分(範囲は 43 分から 56 分)であった. 表 4 看護師インタビューの対象者の属性 看護師 No. . 年齢区分 . 看護師経験年数 . 訪問看護経験年数 . 看護教育歴 . 性別 . 1 . 50 歳代 . 30 35 年 . 20 25 年 . 専門学校 . 女 . 2 . 40 歳代 . 25 30 年 . 1 5 年 . 専門学校 . 女 . 3 . 50 歳代 . 25 30 年 . 5 10 年 . 専門学校 . 女 . 4 . 40 歳代 . 20 25 年 . 20 25 年 . 大学院 . 女 . 5 . 30 歳代 . 15 20 年 . 1 5 年 . 専門学校 . 女 . 6 . 30 歳代 . 10 15 年 . 1 5 年 . 専門学校 . 女 . 7 . 40 歳代 . 25 30 年 . 1 5 年 . 短期大学 . 女 . 8 . 40 歳代 . 20 25 年 . 1 5 年 . 短期大学 . 女 . 9 . 50 歳代 . 15 20 年 . 5 10 年 . 専門学校 . 女 . 10 . 30 歳代 . 5 10 年 . 1 5 年 . 短期大学 . 女 . 11 . 40 歳代 . 5 10 年 . 1 5 年 . 大学院 . 女 . 12 . 70 歳代 . 10 15 年 . 10 15 年 . 高等看護学校 . 女 . 13 . 40 歳代 . 15 20 年 . 1 5 年 . 短期大学 . 女 . 2.家族内の人間関係を障害する影響因子と家族支援策 1)危険/原因因子 このカテゴリーは,家族内の人間関係障害を出現させやすくしたり,引き起こす因子であり,26 のカテゴ リーと 70 のサブカテゴリーで構成された.その一部を表 5 に示した. 表 5 危険/原因因子のカテゴリーとサブカテゴリーの一例 家族内部環境システム カテゴリー . サブカテゴリー . 家族員が一人だけで家族. 家族員が公共サービスを利用しないで,一人で家族員のケアを行うこと . 員のケアをしたいと思う. 家族員が家族の協力を得ようとしないで一人で家族員のケアを行うこと . こと 家族員が関わりにくい性. 家族員が自分の意思を曲げないこと . 格であること . 家族員が家族員に対し高圧的な態度であること 家族員が家族員の悪口を言うこと . . 21 .

(22) 家族員が家族員にケアしてもらうのは当然と思っていること 家族員が家族員に意見できないこと 家族システムユニット カテゴリー . サブカテゴリー . 家族全員で協力して家族. ケアをしていない家族全員が家族員の状況を理解していないこと . 員のケアができないこと . 家族員間に物理的距離がありケアができないこと 家族全員が高齢であり,協力できないこと . 家族員間で気持ちを尊重. 家族員同士で言いたいことが言えないこと . し合えないこと . 家族員同士の性格が合わないこと 家族員同士の考え方が合わないこと 家族関係を調整する家族員がいないこと . 家族外部環境システム カテゴリー . サブカテゴリー . 家族が公共サービスを利. 家族が介護サービスの利用を拒否する家族員を説得できないこと . 用できないこと . 家族が制度を知らないため介護サービスを利用できていないこと 家族が利用できる介護サービスに制限があること 同居している家族が家族員をケアする制度であること 介護サービス利用者以外の家族員への直接的なサービスがないこと . 家族員の話を聞いてくれ. 家族員が気分転換に話をする家族以外のひとがいないこと . る家族以外のひとがいな. 家族員の不満を聞いてくれる家族以外のひとがいないこと . いこと 家族時間環境システム カテゴリー . サブカテゴリー . 家族員同士が 1 日中一緒. 家族員が仕事をやめて 24 時間家族員のケアをすること . にいること . 家族員同士が 24 時間一緒にいること . 以前から家族関係が障害. 以前から家族関係が疎遠であったこと . されていること . 以前から家族関係が密であったこと 以前から家族員同士の過去の関係に不満があること . 2)予防/阻止因子 このカテゴリーは,家族内の人間関係障害を出現させにくくしたり,阻害する因子であり,33 のカテゴリ ーと 100 のサブカテゴリーで構成された.その一部を表 6 に示した. . . 22 .

(23) 表 6 予防/阻止因子のカテゴリーとサブカテゴリーの一例 家族内部環境システム カテゴリー . サブカテゴリー . 家族員が家族員のケアを. 家族員がケアを家族員と関わる機会と肯定的に捉えること . 前向きに捉えること . 家族員が家族員のケアをする人生を楽しもうと思うこと 家族員が家族員のケアを継続できるよう健康を維持していること . 家族員が気持ちにゆとり. 家族員が家族員のできないところを補う気持ちで関わること . をもって家族員に関わる. 家族員が家族員を見守る気持ちでいること . こと . 家族員が家族員のケアを出来る範囲でしようと思うこと . 家族システムユニット カテゴリー . サブカテゴリー . 家族員同士で優しく関わ. 家族員同士で傷つく発言をしないこと . ること . 家族員同士で気遣いがあること 家族員が家族員に丁寧な言葉を使って優しく対応すること . 家族員同士で言いたいこ. 家族内で言いたいことを言い合って解消できること . とが言えること . 家族内で隠し事をせず,話ができること . 家族外部環境システム カテゴリー . サブカテゴリー . 家族員が公共サービスを. 家族員が介護サービスを進んで利用すること . 利用していること . 家族員が介護サービスに不満はあっても利用すること . 家族が家族以外のひとと. 家族で外出して家族以外のひとと交流をもつこと . 交流すること . 家族員に家族から離れて気分転換できる場所があること . 家族時間環境システム カテゴリー . サブカテゴリー . 家族員にお互いの自由な. 家族員がお互いに好きなことをする時間があること . 時間があること . 家族が別々に過ごす時間があること . 家族が家族員のことを理. 家族が家族員の疾患や思いを理解するために,考える時間をもつこと . 解する時間をもつこと . 家族員が家族員の状況を理解し,関係を見直す機会をもつこと . 3)家族支援策 このカテゴリーは,家族内の人間関係障害に対する家族支援策であり,24 のカテゴリーと 63 のサブカテゴ リーで構成された.その一部を表 7 に示した. . . 23 .

(24) 表 7 家族支援策のカテゴリーとサブカテゴリーの一例 家族内部環境システム カテゴリー . サブカテゴリー . 家族員の自立を促す . 家族員に自分のことは自分でするよう促す 家族員のできているところを認める 家族員に家族員を介助し過ぎないよう促す . 家族員の頑張りを認める . 家族員をケアしている家族員の負担を労う 家族員をケアしている家族員の努力や成長を認める . 家族システムユニット カテゴリー . サブカテゴリー . 家族員同士がもめないよ. 家族員同士で言いにくいことを代弁する . うに取りもつ . 家族内でもめないように家族員それぞれに役割を伝える . 家族員同士の思いのずれ. 家族員の話を別々に傾聴し,家族全員の本音を聞く . を調整する . 家族員の話を別々に傾聴し,家族員同士の希望を調整する 家族員の話を別々に傾聴し,家族員同士の不満を調整する . 家族外部環境システム カテゴリー . サブカテゴリー . 家族に合わせて公共サー. 家族全体の状況に応じて介護サービスを調整する . ビスを調整する . 家族全員の希望を聞きサービスを調整する . 家族時間環境システム カテゴリー . サブカテゴリー . 家族員が自分の時間をも. 家族員に気持ちを整理する時間を作る . つ . 家族員同士が離れて過ごす時間を作る 家族員が家族員のケアをしない時間を作る . 4)家族関係アセスメント指標案の改定 看護師インタビューでは看護師が話す事例ごとに FEM-J と家族関係アセスメント指標案を使用し, 39 事例 すべてにおいて,家族関係が適度か,適度より近いか,適度より遠いかというアセスメントが可能であった. 改定された家族関係アセスメント指標の一部を図 1 に示した.改定は家族看護学を専門領域とする 9 名の研究 者で合意が得られるまで検討を重ねた. . . 24 .

(25)   中央の適度な距離は,やりとりに満足している良い関係です.両端の適度よ り近いまたは適度より遠い距離は,やりとりに満足せず近づいたり,遠のいた りしている関係です.もっともよくあてはまると思うところを,あなた自身が どう思うかで答えてください. . あなたと           様との関係   【機能(心理)的関係】   適度より近い       適度      適度より遠い            123454321 . . . . . . . .         【構造(物理)的関係】  適度より近い       適度       適度より遠い 123454321 . . . . . . . . . 図 1 家族関係アセスメント指標の一部 Ⅳ.考察 危険/原因因子は,家族症候を出現させやすくする/家族症候の出現を引き起こす因子であり,家族のもつ 危険/原因因子を減弱することが家族支援となる.予防/阻止因子は,家族症候を出現させにくくする/出現 を阻害する因子であり,家族のもつ予防/阻止因子を増強することが家族支援となる.先行研究では,家族介 護者はケアへの従事とケアからの解放のバランスをとることが重要であり,家族介護者がそのバランスを学ぶ ことの必要性が報告されている 13).本研究で明らかになった家族支援策を用いることで,家族が家族内の人間 関係を適度に保つことができるよう支援することが期待できる. 家族関係アセスメント指標案として,構造的距離と機能的距離が極端である状態は「近過ぎる⇔遠過ぎる」 「多過ぎる⇔少な過ぎる」 「離れられない⇔疎遠」の 3 パターンを作成した.しかし,実際にインタビューで 使用すると否定的な表現や回答しにくい表現,不適切な表現があり,最終的に「適度より近い⇔適度より遠い」 という表現に改定した.また,教示文を改定し「適度」を説明したことで,家族は回答しやすくなり,看護師 はアセスメントしやすくなった.また,実際に家族関係アセスメント指標案を使用してインタビューを行うと, 「良い」 「悪い」という表現に違和感があることがわかった.先行研究では距離を置いて近づき過ぎない関係 がストレスを回避し再発の可能性を低め,地域生活が継続できる要因となる. 14). ことが報告されており,本研. 究結果でも構造的距離や機能的距離が近過ぎるまたは遠過ぎる状態であることが適度な関係の家族がいるこ と,家族関係が障害されている状態は家族の状況により異なることが明らかになったため, 「良い」 「悪い」と いう表記は削除した.しかし,先行研究では,家族関係が近過ぎると介護心中や介護殺人 陥る可能性が高い. 15). ,社会的孤立に. 16). ことが報告されており,看護師は家族関係が「良い」か「悪い」かをアセスメントする 17). 必要がある.また,ケアをしている家族の支援ニーズは顕在化しないこと. や家族員が自分だけが介護をし. ている現状に疑問を抱いていても, 家族に言い出しにくくバーンアウトに陥ってしまう可能性 18)があること, 家族と本人との関係の見直しには第三者の介入が重要な役割を果たす. 19). ことが報告されており,看護師が. FEM-J と家族関係アセスメント指標を用いて積極的に家族関係をアセスメントすることは,家族が家族関係に. . 25 .

(26) ついて話し,見直す機会になり,看護師が家族関係の支援の必要性をとらえる機会になる. 本研究のインタビューにおいて,家族が FEM の関係レベルに機能的関係を重視して回答することや,看護師 が構造的関係を重視して家族関係をアセスメントするがことがあるとわかったが,家族環境をホリスティック にとらえるためには,情緒的関係だけでなく,構造的関係と機能的関係の二次元でとらえ,物理的および心理 的な視点から家族を支援する方略を考えること. 20). が必要であり,家族内の人間関係障害の支援には,構造的. 関係と機能的関係の両方のアセスメントが必要である.FEM-J のマッピングは,家族インタビュー/ミーティ ングの導入部分に位置づけられており,現在のターゲットファミリーの全体像,家族員などの情報収集に加え て,会話を始める糸口にもなる 21).そこで,FEM-J をマッピングするインテークの段階で,看護師が家族関係 アセスメント指標を用いて家族内の人間関係をアセスメントし,影響因子と家族支援策のリストを用いて家族 に必要な支援を考えることは,家族支援に慣れていない看護師でも取り組みやすいと考える.家族看護学の分 野では,家族が感情的融合体として情緒的なつながりを重視する存在であることを認識した関係性の強化,調 整. 22). が行われているが,家族内の人間関係は,構造的関係と機能的関係の両方をアセスメントする必要があ. るということは,この研究による新たな発見であり,家族内の人間関係障害への具体的なアセスメント/支援 方法として有用性の高い示唆が得られた. 5.研究の限界と今後の課題 本研究の対象者である看護師は特定の 4 施設からの 13 名であったことから地域性や施設の特徴が反映され ている可能性がある.また,訪問看護ステーション利用者の状態が比較的安定していたこと,小児の利用者や 精神疾患をもつ利用者がいなかったこと,主家族介護者以外の家族介護者にインタビューをしていないことか ら,結果に偏りがあったと考える.今後も継続した面接調査を行い,データの洗練化を行う必要があり,さら なる一般化,適応可能性を拡大していきたい.また,改定した家族関係アセスメント指標を使用したインタビ ューは行っていないため,臨床で活用できる指標になるよう引き続き検証していく必要がある. 本研究は,公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成を受けて実施した.成果について神戸大学大学 院保健学研究科の修士論文としてまとめ, その一部をこの報告書に記載した. 第一章はThe 12th International Family Nursing Conference と日本家族看護学会第 22 回学術集会で発表した.第二章の結果である危険/原 因因子の一覧,予防/阻止因子の一覧,家族支援策の一覧と考察の一部はこの報告書に記載していない.今後, 雑誌への投稿と学会発表で公表していく予定である. 引用文献 1) 厚生労働省.介護保険事業状況報告の概要(平成 27 年 9 月暫定版) ,2015. http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m15/dl/1509a.pdf 2) 厚生労働省.地域包括ケアシステム,2013. http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkats u/ . . 26 .

参照

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