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マケドニア共和国国際私法の改正について 利用統計を見る

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(1)

マケドニア共和国国際私法の改正について

著者名(日)

笠原 俊宏

雑誌名

東洋法学

55

2

ページ

119-173

発行年

2011-12

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000835/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

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  目   次 一   緒言 二   立法の全体的特徴 三   総則規定の内容   ⑴   例外条項   ⑵   公序   ⑶   反致   ⑷   外国法の適用   ⑸   法律回避   ⑹   強行法 四   国際私法規定の内容   ⑴   自然人   ⑵   法人   ⑶   物権及び知的財産権   ⑷   契約債務   ⑸   契約外債務   ⑹   相続法   ⑺   家族法 五   国際民事訴訟法規定の内容   ⑴   裁判管轄権   ⑵   手続   ⑶   外国裁判の承認及び執行 六   結語 (参考資料)   マケドニア共和国国際私法 《 研究ノート 》

マケドニア共和国国際私法の改正について

 

  

 

(3)

 

緒言

  一九九〇年代における東欧諸国の政治的変動はかなり広範に亘っているが、一九九一年におけるユーゴスラヴィ ア社会主義連邦共和国の分裂は、それが局地的内戦状態に突入する結果となった点において、ソビエト連邦の崩壊 以上に衝撃的な経過を辿ったと言うことができるであろう。大多数の国民がキリスト教系住民で、早くから分離・ 独立を成し遂げたクロアチア共和国及びスロベニア共和国に遅れながらも、マケドニア共和国の場合は、セルビア 共和国、モンテネグロ共和国、ボスニア・ヘルツゴヴィナ共和国のような戦禍を体験することなく、一九九一年九 月八日の国民投票により、比較的順調に分離・独立している ( Christa Jessel-Holst, Zum Gesetzbuch über internation -ales Privatrecht der Republik Mazedonien, Praxis des internationalen Privat- und Verfahrensrecht (以 下 に お い て は、 IPRax と す る) 2008, S.154. ) 。 そ れ ら の 共 和 国 が 帰 属 し て い た ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア 社 会 主 義 連 邦 共 和 国 は、 一 九 八 二 年 七 月 二 三 日 に、 そ の 国 際 私 法 立 法 と し て、 「一 定 の 関 係 に お け る 外 国 と の 法 律 抵 触 の 解 決 に 関 す る 法 律」 (一 九 八 三 年 一 月 一 日 施 行、 以 下、 「旧 法」 と す る) を 制 定 し て お り、 同 法 律 は、 当 時、 大 陸 型 国 際 私 法 を 有 す る 諸 国 に お け る 国際私法立法の改革の中にあって、国際私法立法として、また、国際民事訴訟法立法として、最も進歩的な立法の 一つであると評され ( Toni Deskoski, The new Macedonian private international law act of 2007, Yearbook of private in -ternational law 2008, p.441 et seq. ) 、 そ の 内 容 に つ い て は 詳 細 に 紹 介 さ れ て い た と こ ろ で あ る (井 之 上 宜 信「ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の 国 際 私 法 典(一 九 八 三 年) に つ い て」 法 学 新 報 九 二 巻 三・ 四 号 二 一 一 頁 以 下 参 照。 ま た、 同 法 律 の 邦 訳 と し て、 笠 原 俊 宏 編 訳『国 際 私 法 立 法 総 覧』 (冨 山 房、 一 九 八 九 年) 三 八 四 頁 以 下 が あ る。 ま た、 セ ル ビ ア・ モ ン テ ネ グ ロ「一 定 関 係 の 範 囲 に お け る 外 国 規 定 と の 法 律 抵 触 の 解 決 に 関 す る 法 律」 と し て、 拙 著『国 際 家 族 法 要 説(新 訂 補 正 版) 』 (高 文 堂 出 版

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社、平成一六年)二九六頁以下) 。   同じくユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国に帰属していたスロベニア共和国においては、一早く、一九九九年 に、 新 し い 国 際 私 法 立 法 が 制 定 さ れ て い た が (拙 稿「ス ロ ベ ニ ア 国 際 私 法 の 法 典 化 に つ い て」 東 洋 法 学 四 八 巻 二 号 二 五 七 頁 以 下 参 照) 、 マ ケ ド ニ ア 共 和 国 は、 分 離・ 独 立 し た 後 も、 一 九 九 一 年 の「マ ケ ド ニ ア 共 和 国 憲 法 の 施 行 に 関 する組織法」第五条第一項に基づき、ユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国時代の法律を施行しており、国際私法 に つ い て も 同 様 で あ る ( Deskoski, op. cit., p.442. 参 照) 。 漸 く、 二 〇 〇 六 年 に 至 り、 法 務 省 が 旧 法 の 現 代 化 を 目 指 し て、 そ れ を 改 正 す る こ と を 決 定 し、 二 〇 〇 七 年 七 月 四 日、 「国 際 私 法 に 関 す る 法 律」 (以 下、 「新 法」 と す る) を 採 択 し、二〇〇八年七月一九日に発効している ( Deskoski, op. cit., p.442. ; Jessel-Holst, a. a. O., S.154f. 参照) 。その際におけ る現代化は、次の二点である。すなわち、一つは、旧法において規定されていなかった問題に関する規則を新たに 導入することであり、いま一つは、特に現在のEUにおける比較立法上の発展を反映した新しい規定をもって、幾 つかの現行規定を置き換えることである (

Deskoski, op. cit., p.442.; Jessel-Holst, a. a. O., S.155.

参照) 。   以下においては、右に述べられたような現代化の内容の如何の検討とともに、近時の諸国国際私法立法との若干 の比較を試みることが、この小稿の目的とするところである。その際に引用されるのは主として西欧諸国の立法で あ る が、 新 法 の 改 正 に 直 接 的 影 響 を 与 え た と 指 摘 さ れ て い る ブ ル ガ リ ア 国 際 私 法 (拙 稿「ブ ル ガ リ ア 国 際 私 法 の 法 典 化について」東洋法学五四巻一号一八七頁以下) をも参照することとしたい。

 

立法の全体的特徴

  新 法 に お け る 旧 法 の 改 正 の 出 発 点 は、 旧 法 の 名 称 (「一 定 の 関 係 に お け る 外 国 と の 法 律 抵 触 の 解 決 に 関 す る 法 律」 ) の

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変 更 に あ る。 新 法 は、 簡 明 に、 「国 際 私 法 に 関 す る 法 律」 と 称 し て お り、 こ れ は、 オ ー ス ト リ ア、 ス イ ス、 ベ ル ギ ー、 ハ ン ガ リ ー 等 の 最 近 の 諸 国 立 法 例 に 倣 っ て い る。 因 み に、 ス ロ ベ ニ ア の 改 正 に お い て も、 「国 際 私 法 及 び 手 続法」というように簡略化されている。   新 法 は 六 箇 章 一 二 四 箇 条 を も っ て 構 成 さ れ て い る。 第 一 章 (第 一 条 な い し 第 一 四 条) は 総 則、 第 二 章 (第 一 五 条 な い し 第 五 一 条) は 法 律 抵 触、 第 三 章 (第 五 二 条 な い し 第 九 八 条) は 国 際 的 裁 判 管 轄 権 及 び 手 続、 第 四 章 (第 九 九 条 な い し第一一六条) は外国裁判の承認及び執行、 第五章 (第一一七条ないし第一二一条) は特別規定、 そして、 第六章 (第 一二二条ないし第一二四条) は最終規定及び経過規定について規定しており、その章建ては旧法と同一である。この ような構成の面から、その特徴として指摘されるべきは、国際民事訴訟法関連の規定が極めて大きな割合を占めて いるという点であろう。すなわち、一二四箇条の中、六五箇条がそれのために充てられている。尤も、その点は、 旧法においてもほぼ同様であり、旧法一〇九箇条の中の五六箇条が国際民事訴訟法関連の規定であった。このよう な構造の点からしても、新法が旧法を基本的に踏襲していることが窺えるであろう。   また、抵触規定の形式について見れば、新法は、殆ど、双方的抵触規定をもって構成されている。旧法において も双方的抵触規定の形式は採用されており、また、指定される法律の内容が予め考慮されることがないことも旧法 と同様である (

Deskoski, op. cit., p.446.

参照) 。 かように、 その概観から一見して、 新法が旧法に大きく依存している こ と は 明 ら か で あ り、 新 法 は 旧 法 を 基 本 と し て 部 分 的 な 修 正 を 施 し た 改 正 法 で あ る と 言 う こ と が で き る ( Deskoski, op. cit., p.442. 参照) 。以下においては、その内容の面において、新法の特徴及び旧法との相違を中心として言及する こととしたい。

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総則規定の内容

  第 一 章 の 総 則 が 規 定 し て い る の は、 新 法 の 適 用 範 囲 (第 一 条) 、 国 際 条 約 の 優 先 的 適 用 (第 二 条) 、 法 律 回 避 (第 三 条) 、 法 の 欠 缺 の 補 充 (第 四 条) 、 公 序 (第 五 条) 、 反 致 (第 六 条) 、 法 律 行 為 の 方 式 (第 七 条) 、 時 効 (第 八 条) 、 法 律 関 係 の 性 質 決 定 (第 九 条) 、 不 統 一 法 国 法 の 指 定 (第 一 〇 条) 、 重 国 籍 者 (第 一 一 条) 、 無 国 籍 者 (第 一 二 条) 、 外 国 法 の 調 査 (第 一 三 条) 、 強 行 規 定 (第 一 四 条) 等 で あ る。 こ れ ら の 中、 旧 法 と 比 較 し て、 新 た に 導 入 さ れ た 規 定 等、 特に注目されるべき規定を中心として言及することとしたい。 ⑴   例外条項   新 法 第 三 条 第 一 項 は、 新 た に 導 入 さ れ た 例 外 条 項 ( clause d'exception ) で あ る。 比 較 立 法 上、 同 様 の 規 定 は、 一 九 八 七 年 の ス イ ス 国 際 私 法 典 第 一 五 条 (拙 編 訳・ 前 掲 書 一 三 二 頁 以 下) 、 一 九 九 九 年 の 前 出 ス ロ ベ ニ ア 国 際 私 法 第 三条、二〇〇四年のベルギー国際私法典第一九条 (拙項「ベルギー国際私法(二〇〇四年)の邦訳と解説(上) 、(下) 」 戸 籍 時 報 五 九 三 号 二 〇 頁 以 下、 五 九 四 号 五 七 頁 以 下) に 見 ら れ る も の で あ り、 新 法 は そ れ ら に 倣 っ て い る ( Deskoski, op. cit., p.442. 参照) 。当面の法律関係の準拠法として、新法中の抵触規定によって指定された法が、明らかに、当該 法律関係と重要な関連性を有せず、その一方、他の国の法とより密接な関連性を有する場合には、右例外条項に基 づき、その法の適用を例外的に排除することとなる。しかし、新法第三条第二項は、当事者が準拠法を指定した場 合には、例外条項の適用を排除することを定めている。更に、特別例外条項として、契約債務に関する新法第二二 条第二項、及び、契約外債務に関する新法第三三条第二項がある ( Jessel-Holst, a. a. O., S.156. 参照) 。

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⑵   公序   新法第五条は、公序に関して説明的であった旧法の規定を一般的な規定に置き換えている。すなわち、旧法第四 条において、外国法はその効力がユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国の「憲法によって確立された社会秩序の基 本」に反するときは適用されないと定められていたが、新法においては、極く一般的な「公の秩序」に改められて いる。同条は外国実質法の抽象的評価を許容するものではなく、具体的な事案におけるその適用がマケドニア共和 国の公の秩序に反する結果へ導くことになるか否かが試されるべきであることが指示されている ( Deskoski, op. cit., p.442 et seq. 参照) 。 ⑶   反致   新法第六条第一項及び第二項はいわゆる狭義の反致を定める規定である。新法において新たに導入されたのは、 反致を制限する第三項である。同項は、当事者が準拠法の選択権を有するとき、反致が禁止されることを規定して いる。実際に、当事者が準拠法を選択したか否かは問題ではなく、新法中の抵触規定の他、他の法律中の抵触規定 が当事者に準拠法の選択権を認めていることをもって反致は禁止されることとなる (

Deskoski, op. cit., p.444.

参照) 。 従って、反致が契約に関してのみならず、当事者自治が認められている法律関係について排除されることとなる。 因みに、新法上において、契約の他に、当事者に準拠法の選択権が認められているのは、第三三条第三項が規定す る契約外債務についての準拠法である。 ⑷   外国法の適用   新法は、旧法と同様に、外国法の内容の確定及び適用における裁判所の職権主義の立場を維持しており、その立 場の下に、先ず、法務省からの情報の入手が認められ、また、当事者が外国の権限を有する官庁又は公共団体が発

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行した声明書を提出することも認められる。しかし、新法は、新たに、上記の方法をもって外国法の内容が確定で きない場合に、例外的に法廷地法へ回帰する選択肢も認めるに至っている。因みに、マケドニア共和国は、外国法 の 調 査 の た め の 有 効 な 手 段 を 提 供 す る 数 々 の 国 際 条 約 を 締 結 し て お り、 二 〇 〇 二 年 以 来、 一 九 六 八 年 六 月 七 日 の 「外 国 法 の 情 報 に 関 す る 欧 州 協 定」 (一 九 六 九 年 一 二 月 一 七 日 発 効) の 加 盟 国 で あ る 他、 外 国 法 に 関 す る 情 報 の 提 供 を 包括する司法共助のための二国間合意も多く締結されている (

Deskoski, op. cit., p.444.

参照) 。 ⑸   法律回避   旧法第五条は、明らかに法律回避論を支持しており、また、マケドニア学説においても、法律回避は権利乱用の 一形態であり、法律抵触の領域において法律回避条項を適用することができるとされていたが、かつて、マケドニ ア裁判所が法律回避条項を適用したことはないと言われている (

Deskoski, op. cit., p.445.

参照) 。 それに対して、 新法 においては、前出スイス国際私法典、前出オーストリア国際私法、前出スロベニア国際私法、一九九五年のイタリ ア国際私法と同様に、当事者が内国実質法を回避するために連結素を詐欺的に創出することを阻止する必要はない と考えられ、 「法律詐欺」という概念は放棄されている ( Jessel-Holst, a. a. O., S.156. 参照) 。 ⑹   強行法   新 法 第 一 四 条 は、 強 行 規 則 の 適 用 (直 接 的 適 用) を 認 め て い る。 同 条 の 規 定 は、 一 九 八 〇 年 の「契 約 債 務 の 準 拠 法に関するEC条約」 (ローマ条約) 第七条第二項と同一である。また、労働契約に関する新法第二四条第三項、及 び、消費者契約に関する新法第二五条第五項も、右条約中の諸規定と同一である。しかし、新法は、明らかに、本 来の契約準拠法に拘わらず、内国強行規則の直接的適用を規定しており、第三国の強行規則の適用可能性について は 何 ら 定 め て い な い。 ま た、 新 法 に お い て は、 強 行 規 則 の 定 義 も 欠 け て い る。 そ の た め、 新 法 第 一 四 条 に つ い て

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は、既に、二〇〇七年の「契約債務の準拠法に関する最終規則」第九条において採用されている規則に倣って、速

やかに修正することが提案されている

Deskoski, op. cit., p.446. ; Jessel-Holst, a. a. O., S.156.

参照) 。

 

国際私法規定の内容

⑴   自然人   新法第一五条第一項は、自然人の権利能力及び行為能力の準拠法について、国籍を連結点としている。それとと もに、同条第二項が、行為地法をもって、契約締結能力ないし法律行為能力を決定する本国法を補助している。属 人法における国籍主義の原則は、マケドニア国際私法の長い伝統に基づくものであり、新法においても変わりはな い (

Deskoski, op. cit., p.446.

参照) 。   重国籍者の本国法の決定に関する新法第一一条も旧法第一一条と同一であり、重国籍であるマケドニア国民は、 マケドニア共和国国民としか見做されず、また、重国籍の外国国民は、国籍及び住所の双方が帰属する国の国民と 見做され、更に、国籍が帰属する国の何れにも住所がない重国籍の外国国民については、その者が国籍を有する国 の中、最も密接な関係がある国の国籍が基準とされる ( Deskoski, op. cit., p.446 et seq. 参照) 。新法第一二条は、無国 籍者の属人法の決定基準について、住所をもって国籍に代えることを定めている。無国籍者が何れの国にも住所を 有しないときは、その者の当座の居所が基準とされる。そして、無国籍者の住所も当座の居所も確定できないとき は、マケドニア法が適用される (

Deskoski, op. cit., p.447.

参照) 。   更に、新しい規定として、新法第一九条は、前出スロベニア国際私法第一四条の例に倣い、自然人の氏の準拠法 に関する抵触規定を導入し、それとして、本国法に依るべきことを定めている (

Deskoski, op. cit., p.447.

参照)

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⑵   法人   旧法には、法人の属人法事項に関する抵触規定はなく、法人設立地を主たる基準として法人の国籍を決定する規 定 の み が 置 か れ て い た (旧 法 第 一 六 条 第 一 項) 。 そ の た め、 学 説 上、 法 人 設 立 地 法 が 法 人 の 属 人 法 事 項 を 決 定 す る と 説が有力であった ( Deskoski, op. cit., p.447 et seq. ; Jessel-Holst, a. a. O., S.156. 参照) 。新法第一六条第一項は、法人が 国籍を有する国の法に依って法人の属人法事項を決定するとする抵触規則を新たに規定している。同条第二項は、 法人の国籍決定の基準について、主として法人設立地に依って決定することを定めているが、それが唯一の基準で はない。同条第三項は、法人がその設立地以外の国にその主たる営業所を有し、かつ、当該国法の下に、法人が当 該国の国籍を有するときは、法人は当該国に国籍を有するものと見做されることを規定している。従って、法人の 国籍の決定においては、法人設立地を主たる基準として、その主たる営業所所在地をもって副次的基準としている こととなる (

Deskoski, op. cit., p.447 et seq. ; Jessel-Holst, a. a. O., S.1

56. 参照) 。 ⑶   物権及び知的財産権   物権に関する新法の諸規定は、旧法のそれらと同一である。物権の一般規定として、新法第二〇条第一項は、物 の所在地法に依るべきことを規定しており、運送中の物の物権に関する同条第二項、及び、輸送手段に関する同条 第三項にも変更はない (

Deskoski, op. cit., p.448.

参照) 。 学説及び司法実務の双方は、 次に掲げる事項について、 所在 地法に依るべきことにおいて一致している。すなわち、物権としての権利の分類、不動産ないし動産としての物の 分類、物権の対象となりうるもの、物権の取得、移転、消滅の方法、占有者に与えられる必要な官庁による公示方 法、 範 囲、 内 容、 物 権 の 保 護 及 び 体 系、 占 有、 第 三 者 と の 関 係 に お け る 物 権 の 効 力 等 が そ れ で あ る ( Deskoski, op. cit., p.448. 参照) 。

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⑷   契約債務   新 法 は 契 約 債 務 を 規 律 す る た め の 広 汎 な 抵 触 規 則 を 規 定 し て い る が、 そ れ ら は 前 出 E C 条 約 (ロ ー マ 条 約) を 手 本としている。従って、同条約を現代化するための「ローマⅠ規則」の発効後、それに合わせた修正は、新法につ いても必要とされることとなる (

Deskoski, op. cit., p.448. ; Jessel-Holst, a. a. O., S.156.

参照) 。   当事者自治は、伝統的に、マケドニア国際私法上の基本原則の一つであり、新法第六条第三項もそれを明らかに し て い る ( Jessel-Holst, a. a. O., S.156. 参 照) 。 新 法 第 二 一 条 第 一 項 は、 他 の 法 律 又 は 国 際 的 合 意 に よ っ て 定 め ら れ て いない限り、契約が当事者によって選択された法律によって支配されることを規定して、当事者意思を契約準拠法 の決定のための主たる連結素とすることを維持している ( Deskoski, op. cit., p.448 et seq. 参照) 。同条第二項ないし第 四項は新しく導入された諸規定である。同条第二項は、当事者による準拠法の選択が、契約条項によるか、又は、 他の諸般の状況から、明示的又は黙示的に行なわれることが可能であるが、相当の確実性をもって表明されるか、 又は、 表示されなければならないことを規定している (

Deskoski, op. cit., p.449.

参照) 。 また、 当事者は契約を分割し て規律することも新たに認められることとなった。すなわち、同条第三項は、当事者が契約の全体又はその一部に ついて、準拠法を選択することができることを規定している。そして、同条第四項においては、準拠法選択に関す る合意の存在及び有効性について、選択された法に服することが規定されている (

Deskoski, op. cit., p.449.

参照) 。   当事者による準拠法の選択が行なわれなかった場合について、新法第二二条第一項は、最も密接な関連性を副次 的連結素として規定している。学説上、契約が最も密接な関係を有する法制度又は国に関する考慮が、裁判所の恣 意に委ねられることとなるという懸念は、同条が、前出ローマ条約第四条第二項の立法例に従い、契約の特徴的給 付を行なう当事者が、自然人についてはその住所、また、法人についてはその主たる営業所が所在する国と最も密

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接な関連性を有するものと推定することを規定することによって払拭されている。しかし、その推定は、事案の何 らかの特別な状況から、契約が別の国とより密接な関連性を有することが呈示されるときは、それをもって反証さ れ る こ と が で き る ( Deskoski, op. cit., p.449. ; Jessel-Holst, a. a. O., S.156. 参 照) 。 同 条 第 三 項 は、 物 品 運 送 契 約 に つ い て、 運 送 人 が 自 然 人 で あ る か、 そ れ と も、 法 人 で あ る か に よ り、 そ の 住 所 な い し そ の 主 た る 営 業 所 が 所 在 す る 国 が、荷積地若しくは発送地又は荷送人の住所が当該国に所在する限り、当該国と最も密接な関連性があるものと推 定される (

Deskoski, op. cit., p.449.

参照) 。 因みに、 旧法第二〇条は、 例えば、 前出スイス国際私法典第一一七条第三 項におけるように、契約の特徴的給付地に関する広汎な一覧を規定していた。それに対して、新法は特徴的給付の 決定を裁判所に委ねているが、その判断基準に関して、反対給付としての支払が義務付けられている給付をもって 特徴的給付とすることは、 「ローマ条約に関する報告」 ( M. Giuliano/P. Lagarde, Report on the Convention on the law applicable to contractual obligations, in: OJC 1980, p.20. ) に 規 定 さ れ て い る 通 り で あ る と 説 明 し て い る ( Deskoski, op. cit., p.449. 参 照) 。 前 述 の よ う に、 ロ ー マ 条 約 に 倣 っ て い る 点 と し て、 更 に、 消 費 者 契 約 及 び 労 働 契 約 に つ い て、 そ れぞれ、新法第二四条及び第二五条に特別規定が置かれて、ローマ条約第五条及び第六条の規定が完全に取り入れ られた ( Deskoski, op. cit., p.449 et seq. 参照) 。その一方、不動産に関する契約については、ローマ条約第四条第三項 が不動産所在地と最も密接な関連性があるものと推定することを規定しているのに対して、新法第二三条は、その 所在地法の排他的適用性を規定しており、両者の立場は異なっている (

Deskoski, op. cit., p.450.

参照) 。   尚、契約準拠法の適用範囲、物の引渡し方法、債権譲渡及び債務引受、従たる法律行為、一方的法律行為に関す る新法第二六条ないし第三〇条の諸規定は、 旧法第二二条ないし第二六条の諸規定と一致する ( Jessel-Holst, a. a. O., S.156. 参照) 。

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⑸   契約外債務   不当利得、事務管理及び他の契約外債務については、それぞれ、新法第三一条及び第三二条が旧法第二七条の規 定を受け継いで、例外なく、債務の原因となる事実が発生した地を連結素としている。それに対して、不法行為に 関する新法第三三条は、基本的には、原因事実発生地法をもってその準拠法とすることを規定しているが、それ以 外 は、 全 く 新 し い 規 則 を 採 用 し て い る ( Jessel-Holst, a. a. O., S.156f. 参 照) 。 先 ず、 被 害 者 は、 加 害 者 が 結 果 を 予 測 で き た か、 又 は、 予 測 す べ き で あ っ た と き、 原 因 発 生 地 (加 害 行 為 地) の 法 の 適 用 に 替 え て、 結 果 発 生 地 (被 害 発 生 地) の 法 の 適 用 を 要 求 す る こ と が で き る (同 条 第 一 項) 。 次 に、 原 因 発 生 地 に せ よ、 結 果 発 生 地 に せ よ、 事 実 関 係 が 第一項に定められた法と密接に関連しておらず、明らかに、他の何れかの法とより密接に関連しているとき、明ら かに、不法行為のプロパー・ローの理論 ( R. J. Weintraub, Commentary on the conflict of laws, 2001, p.368 et seq. 参照) に影響されて、当該の他の法が適用されることとなる (同条第二項) 。そして、前出スイス国際私法典第一三二条と 同様に、当事者自治の規則が定められている (同条第三項) 。かように、当事者は、契約外債務関係につき、自由に 準拠法を決定することができる。尚、当該準拠法の決定が実質法の選択を意味するものであることは、新法第六条 第三項が、当事者が準拠法選択の権利を有する場合に、反致を排除していることから明らかであると論じられてい る (

Deskoski, op. cit., p.450.

参照) 。   因みに、マケドニア共和国は、一九七一年五月四日のハーグ「自動車事故の準拠法に関する条約」及び一九七三 年一〇月二日のハーグ「生産物責任の準拠法に関する条約」の締結国であるため、それらの問題については、新法 第 三 三 条 の 規 定 の 適 用 は な い。 ま た、 二 〇 〇 七 年 七 月 一 一 日 に、 E C「契 約 外 債 務 の 準 拠 法 に 関 す る 規 則」 (二 〇 〇 七 年 第 八 六 四 号) が 採 択 さ れ て い る た め、 ロ ー マ Ⅱ 規 則 を 施 行 す る た め に 新 法 の 改 正 が 必 要 で あ る ( Desko

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-ski, op. cit., p.450 .; Jessel-Holst, a. a. O., S.156. 参照) 。 ⑹   相続法   相 続 に 関 す る 新 法 の 規 則 は、 旧 法 に お け る そ れ と 同 一 で あ り、 無 条 件 に、 国 籍 主 義 が 採 用 さ れ て い る ( Jessel-Holst, a. a. O., S.157. 参照) 。すなわち、新法第三五条は、遺言相続か、それとも、無遺言相続かに拘わらず、相続に 関 す る 事 項 を 包 括 的 に 被 相 続 人 の 本 国 法 に 依 ら し め て い る。 但 し、 二 つ の 事 項 に つ い て は、 特 別 規 定 を 置 い て い る。その一つとして、遺言能力につき、新法第三六条が、遺言者の遺言作成当時の本国法に依ることを規定してお り、また、同第三七条第一項が、遺言の方式について規定している。後者は、基本的に、マケドニア共和国も批准 している一九六一年のハーグ「遺言条項の方式に関する法律の抵触についての条約」と同様の規則を定めるもので あ る が、 遺 言 の 形 式 的 有 効 性 に つ い て、 法 廷 地 法 も 選 択 肢 に 含 め て い る こ と、 及 び、 条 約 第 一 条 第 一 項 に お け る 「常 居 所」 に 替 え て、 「居 所」 と い う 語 句 を 使 用 し て い る こ と の 二 つ の 点 に お い て、 条 約 を 修 正 し て い る ( Deskoski, op. cit., p.451. 参照) 。同条第二項は、遺言の撤回の方式について、当該遺言の作成が依拠することができた何れの法 に依っても有効であることを規定している。 ⑺   家族法   新法中における家族法事項に関する抵触規定は、殆ど変更されていない。   先 ず、 婚 姻 に つ い て は、 そ の 実 質 的 成 立 要 件 は、 そ れ ぞ れ の 婚 姻 当 事 者 の 本 国 法 に 依 る (新 法 第 三 八 条 第 一 項) 。 但し、婚姻がマケドニアにおいて締結される場合には、マケドニア家族法上における一定の婚姻障碍が適用される ことが明言されている。それらとして、前婚の存在、血族、精神上の欠陥である。一六歳以下の婚姻、及び、同性 間 の 婚 姻 の 禁 止 は、 新 法 第 三 八 条 第 二 項 に 含 ま れ な い 公 序 則 に よ る 規 制 の 対 象 と な る ( Deskoski, op. cit., p.451. 参

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照) 。 婚 姻 の 方 式 は 婚 姻 挙 行 地 法 に よ っ て 規 律 さ れ る (新 法 第 三 九 条) 。 婚 姻 無 効 に つ い て は、 婚 姻 の 締 結 に 際 し、 新法第三八条に従って適用された法によって規律される。   次に、離婚についてであるが、新法においては若干の改正が施されている。離婚の準拠法について、新法第四一 条第一項は、夫婦の離婚訴訟提起当時の共通本国法をなおも本則として規定しているが、夫婦の国籍が離婚訴訟提 起 当 時 に 異 な る と き の そ れ に つ い て、 旧 法 が 夫 婦 の 本 国 法 の 累 積 的 適 用 の 立 場 を と っ て い た の に 対 し て、 新 法 第 四一条第二項は、夫婦の最後の共通住所地法、又は、共通住所がなかったときは、最後の拠り所として法廷地法を 適用するという新たな規則を導入するに至っている。但し、同条第三項は、夫婦の一方がマケドニア国民であると きは、マケドニア法によって規律されることを規定している。尚、離婚保護のため、夫婦双方の本国法の累積的適 用 に よ っ て 離 婚 で き な い と き は、 マ ケ ド ニ ア 法 を 適 用 す る と 定 め て い た 旧 法 の 規 定 は 廃 止 さ れ て い る ( Deskoski,

op. cit., p.451 et seq.

; Jessel-Holst, a. a. O., S.157. 参照) 。   婚姻の身分的及び財産的関係については、新法第四二条が、夫婦の共通本国法の適用を本則として、共通国籍が ないときは、共通住所地法に依り、それもないときは、最後の共通住所地法に依り、それもないときは、マケドニ ア 法 に 依 る と す る 段 階 的 連 結 の 規 則 を 規 定 し て い る。 但 し、 夫 婦 の 約 定 財 産 関 係 に 関 す る 新 法 第 四 三 条 に お い て は、夫婦は、夫婦の一方の国籍国法、夫婦の一方の住所地法、及び、不動産との関連においては、不動産所在地法 の 中 か ら、 そ の 契 約 関 係 (婚 姻 契 約、 及 び、 夫 婦 間 の 他 の 契 約) の 準 拠 法 を 選 択 す る こ と が で き る と い う 制 限 的 当 事 者自治が認められている。この規則はドイツ民法施行法第一五条第二項と一致する ( Deskoski, op. cit., p.452. ; Jessel-Holst, a. a. O., S.157. 参照) 。   旧法第四五条において、婚姻類似の法律関係として、婚姻外の結合の形態において共同生活する者の関係につい

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て置かれていた特別の抵触規則は、比較立法的に見て珍しい規定である。新法第四五条第一項及び第二項は、旧法 の規定を受け継いで、同居者の共通国籍を主たる連結素とし、同居者に共通国籍がないときは、共通住所を基準と し て い る。 同 条 第 三 項 は、 同 一 の 抵 触 規 則 が 同 居 の 合 意 に つ い て も 適 用 さ れ る こ と を 規 定 し て い る ( Deskoski, op. cit., p.451. 参照) 。   一方、親子間の法律関係については、新法第四六条が、やはり、幾つかの連結素を駆使して、扶養義務をも含め て規定している。同条第一項は、親子の共通本国法の適用を本則として、共通国籍がないときは、共通住所地法を 補則として規定している。それもないときは、子の本国法の適用が規定されている。この規則は子の利益保護を顧 慮したものであるが、 旧法上の規則と異なるものである (

Deskoski, op. cit., p.451.

参照) 。 新法第四七条は、 裁判によ る父子関係及び母子関係の創設及び確認について、関連する父母のいずれか一方の国籍を基準としていた旧法上の 立 場 を 改 め て、 本 国 法 主 義 が 家 族 法 関 係 に 関 す る 基 本 的 な 基 準 で あ る こ と を 確 認 し て い る ( Jessel-Holst, a. a. O., S.157. 参 照) 。 そ の 他、 親 族 間 の 扶 養 義 務 に 関 す る 新 法 第 四 八 条、 及 び、 準 正 に 関 す る 第 四 九 条 は、 旧 法 と 同 様 の 規 則 を 定 め た 規 定 で あ る ( Jessel-Holst, a. a. O., S.157. 参 照) 。 因 み に、 マ ケ ド ニ ア 共 和 国 は、 一 九 八 〇 年 の ハ ー グ「子 の奪取の民事面に関する条約」を批准しており、新法上の規定を不要としている (

Deskoski, op. cit., p.451.

参照) 。   更に、養子縁組の創設及び解消のための要件については、新法第五〇条第一項が養親及び養子の共通本国法の適 用を本則とすることを規定しており、共通国籍がない場合については、同条第二項がそれらの国の法の累積的適用 の規則を規定しており、夫婦が共同して養子縁組をする場合については、同条第三項が夫婦のそれぞれの本国法に 依って規律されることを規定しており、そして、養子縁組の方式については、同条第四項がその締結地法に服すこ とを規定している。いずれの規定も旧法上のそれと変わりはない (

Deskoski, op. cit., p.452 et seq.

参照)

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国際民事訴訟法規定の内容

⑴   裁判管轄権   新法においては、旧法上のマケドニア共和国裁判所の裁判管轄規定の殆どを踏襲している。若干の変更がなされ た規定の殆どは、過剰管轄規則の排除に関わるものである。   先ず、マケドニア共和国裁判所の国際的裁判管轄権については、訴訟開始当時に存在する事実を基準として割り 当 て ら れ る (新 法 第 九 四 条) 。 新 法 は、 マ ケ ド ニ ア 裁 判 所 の 国 際 的 裁 判 管 轄 権 の 決 定 基 準 と し て、 「住 所」 を そ れ と する立場を維持している。新法第五二条及び第五三条は、被告が自然人であれば、その住所を一般管轄の基準とし て、訴訟事件であるか、それとも、非訟事件であるかに拘わらず、マケドニア裁判所の裁判管轄権の有無が判断さ れる。被告が法人であるときは、その主たる事業所の所在地が一般管轄を決定する基準とされる ( Deskoski, op. cit., p.453. 参照) 。   上 記 裁 判 籍 を 人 的 裁 判 籍 と す る な ら ば、 物 的 裁 判 籍 ( forum patrimonii ) と し て、 旧 法 第 五 四 条 は、 被 告 が 内 国 領 域 に 何 ら か の 財 産 を 所 有 し て い る こ と の み を も っ て、 当 該 財 産 と 請 求 又 は そ の 価 値 と の 関 連 性 を 考 慮 す る こ と な く、 内 国 裁 判 所 の 国 際 的 裁 判 管 轄 権 を 基 礎 付 け る 規 定 で あ っ た。 新 法 は 物 的 裁 判 籍 に 関 す る 規 定 を 維 持 し て い る が、その裁判籍は、原告たる自然人についてはその住所、また、原告たる法人についてはその主たる営業所がマケ ドニア共和国に所在し、判決が当該財産に対して執行されることができる蓋然性が原告によって証明される場合の みに制限されている (

Deskoski, op. cit., p.453.

参照)

 

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有しないときを含めて、新法第五八条ないし第九一条が規定している。これらの規定は、その全てにおいて、争訟 がマケドニアとの何らかの実質的な関連性を有する場合におけるものである。それらの規則は、何れも、原告の国 籍 の み を 基 礎 と す る 一 定 の 種 類 の 争 訟 に つ い て、 マ ケ ド ニ ア 裁 判 所 の 裁 判 管 轄 権 へ 拡 大 す る も の で は な い ( Desko

-ski, op. cit., p.453.

参照) 。   マ ケ ド ニ ア 裁 判 所 の 専 属 的 裁 判 管 轄 権 は、 法 律 に よ っ て 明 白 に 規 定 さ れ た と き に の み 認 め ら れ る (新 法 第 五 四 条) 。 マ ケ ド ニ ア に 所 在 す る 物 に 対 す る 権 利、 及 び、 不 動 産 の リ ー ス 若 し く は 貸 借 に 関 す る 争 訟 に つ い て、 旧 法 か ら 一 般 的 に 認 め ら れ て き た マ ケ ド ニ ア 裁 判 所 の 専 属 的 裁 判 管 轄 権 の 規 則 は、 新 法 に お い て も 維 持 さ れ て い る (新 法 第 六 九 条) 。 し か し、 新 法 は、 マ ケ ド ニ ア 裁 判 所 に 対 し て、 新 た に、 幾 つ か の 争 訟 に つ い て 専 属 的 裁 判 管 轄 権 を 与 え る 規 則 を 導 入 し て い る。 そ の 一 つ は、 会 社、 そ の 他 の 法 人、 又 は、 自 然 人 若 し く は 法 人 の 団 体 の 法 的 地 位 の 創 設、解消又は変更に関する争訟、並びに、かような会社、法人若しくは団体がマケドニア共和国にその主たる営業 所 を 有 す る と き、 そ れ ら の 団 体 に よ っ て 行 な わ れ た 解 決 の 有 効 性 に 関 す る 争 訟 (新 法 第 六 五 条) 、 い ま 一 つ は、 マ ケ ド ニ ア に お け る 公 的 登 録 簿 へ の 記 載 に 関 す る 争 訟 (新 法 第 六 六 条) 、 更 に、 一 つ は、 工 業 所 有 権 の 適 用 が マ ケ ド ニ ア に お い て 開 始 さ れ る と き、 そ の 適 用 及 び 有 効 性 に 関 す る 争 訟 (新 法 第 六 七 条) が そ れ ら で あ る。 そ し て、 執 行 が マ ケドニアの領域において実行されるとき、その執行の許可及び遂行についてのマケドニア裁判所の専属的裁判管轄 権についても規定されている (新法第六八条) 。   当事者による外国裁判所の裁判管轄権の停止は、当事者の少なくとも一方が外国市民、又は、外国に主たる営業 所 を 有 す る 法 人 で あ り、 か つ、 争 訟 が マ ケ ド ニ ア 裁 判 所 の 専 属 的 裁 判 管 轄 権 に 服 さ な い と き に 認 め ら れ る (新 法 第 五六条第一項) 。しかし、当事者は、消費者関係又は保険関係から生じた争訟について、自然人たる消費者又は被保

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険 者 が マ ケ ド ニ ア 共 和 国 に そ の 常 居 所 を 有 す る と き、 外 国 裁 判 所 裁 判 管 轄 権 を 合 意 す る こ と が で き な い (同 条 第 二 項) 。 ま た、 当 事 者 は 家 族 法 上 の 争 訟 に お け る 外 国 裁 判 所 の 裁 判 管 轄 権 を 合 意 す る こ と も で き な い (同 条 第 四 項) 。 しかし、当事者の少なくとも一方がマケドニア国民であるか、又は、マケドニアにその主たる営業所を有する法人 であるときは、マケドニア共和国裁判所の裁判管轄権を合意することが認められる (同条第三項) 。   準拠法選択の合意の方式を規律する規定は、新法においても、また、旧法においても規定されていない。その点 について、学説は、特に、書面を要求する地域的管轄権の合意に関する規則の類推により、民事訴訟法が準拠法選 択 の 合 意 へ 適 用 さ れ る こ と を 想 定 し て い る。 新 法 第 五 六 条 に つ い て は、 近 い 将 来、 「民 事 及 び 商 事 に 関 す る 裁 判 管 轄 並 び に 判 決 の 承 認 執 行 に 関 す る E U 理 事 会 規 則 二 〇 〇 一 年 第 四 四 号」 (ブ ラ ッ セ ル Ⅰ 規 則) 第 二 三 条 に 倣 う よ う に 修正することが提案されている (

Deskoski, op. cit., p.454.

参照) 。   応訴管轄に関する規定として、新法第五七条は、マケドニア裁判所への黙示的合意の可能性について規定してい る。但し、被告が公式に応答したか、又は、裁判所の管轄権を争うことなく事件の理非の論争を開始したときに限 られる (

Deskoski, op. cit., p.454.

参照) 。 ⑵   手続   マケドニアにおける渉外的要素を有する民事手続は、民事手続に関する国内規則に従って進められる。争訟の準 拠法が外国法であっても、法廷地法が適用される。新法には、渉外的要素を有する事件のみに出現する情況を規律 するための幾つかの規定が置かれている。それらの規則は、純粋に国内手続を渉外的要素を有する手続から区別す るものであり、以下に掲げるような規定がある。   先ず、新法第九二条第一項は、自然人のマケドニア裁判所における当事者能力及び独立的訴訟能力が、本国法に

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依って規律されることを規定している。しかし、同条第二項は、外国国民がその本国法の下に独立の訴訟遂行能力 を有しないときであっても、その者がマケドニア法の下にその能力を有するときは、独立して行為することができ ることを規定している。そして、同条第三項は、かような場合には、外国人の法定代理人が自ら手続を引き継ぐこ とを表明するまで、本人のために行為することができることを規定している。法人のマケドニア裁判所における事 件の当事者能力については、新法第九二条第四項が、その法人が帰属する国の法律によって規律されるが、新法第 一七条に従うべきことを規定している。   外国の訴訟継続を認める実質的要件については、新法第九三条において自由化されている。同一の当事者間にお いて、同一の原因に基づき、マケドニア裁判所において開始された後の訴訟については、新法は、マケドニア裁判 所の専属的裁判管轄権について規定する情況に関しないとき、判決が延期されることを規定している。旧法第九二 条上の相互性の要件は廃止されている (

Deskoski, op. cit., p.455. ; Jessel-Holst, a. a. O., S.157.

参照) 。   訴訟費用の保証、及び、外国人に対する無料の法的扶助に関する規則が、新法第九五条ないし第九八条に置かれ ている。訴訟費用の保証は、マケドニアに住所を有しない外国国民及び無国籍者である自然人に関してのみ規定さ れている。旧法第八二条については、マケドニア裁判所は、法人をも含むと解釈されていたが、マケドニアにおけ る外国人原告の費用保証の適用の範囲は、実際には狭く運用されてきた。蓋し、マケドニアは、一九五四年のハー グ「民事訴訟手続に関する条約」 、一九八〇年のハーグ「裁判の国際的な利用に関する条約」 、及び、この制度を廃 止したその他の多国間・二国間条約の締約国であるからである (

Deskoski, op. cit., p.455.

参照) 。 新法第九四条は、 外 国 国 民 及 び 無 国 籍 者 が マ ケ ド ニ ア に 住 所 を 有 し な い と き、 相 互 主 義 の 原 則 に 従 い、 法 定 費 用 の 支 払 義 務 を 免 除 さ れ、 相 互 性 の 尊 重 が 疑 わ れ る 場 合 に は、 法 定 費 用 の 支 払 免 除 に 関 す る 説 明 は、 法 務 に つ い て 権 限 を 有 す る 省 庁 に

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よって与えられることが規定されている

Deskoski, op. cit., p.455.

参照) 。 ⑶   外国裁判の承認及び執行   旧法は、外国裁判の承認及び執行について、極めて進歩的な態度をとっていた。その点が、旧法が一九八二年に 採択されたとき、それが非常に注目された理由の一つになっており、また、それが、当時、最も進歩的な立法の一 つであると考えられた理由となっていると言われている (

Deskoski, op. cit., p.456.

参照) 。 新法第四章は、 外国裁判の 承 認 及 び 執 行 に 関 す る 諸 規 定 を 置 い て い る が、 旧 法 上 の 外 国 仲 裁 判 断 の 承 認 及 び 執 行 に 関 す る 諸 規 定 (旧 法 第 九 七 条 な い し 第 一 〇 〇 条) は、 マ ケ ド ニ ア 共 和 国 の「国 際 商 事 仲 裁 に 関 す る 法 律」 (マ ケ ド ニ ア 共 和 国 官 報 二 〇 〇 六 年 第 三 九 号) に よ っ て 既 に 廃 止 さ れ て い る。 同 法 律 第 三 七 条 第 三 項 が、 一 九 五 八 年 の「外 国 仲 裁 判 断 の 承 認 及 び 執 行 に 関 す る 条 約」 (い わ ゆ る ニ ュ ー ヨ ー ク 条 約) の 直 接 的 適 用 を 規 定 し て い る か ら で あ る ( Deskoski, op. cit., p.456. ; Jessel-Holst, a. a. O., S.157. 参照) 。   新法は、外国裁判の承認及び執行に関し、二つの大きな変更を加えている。その一つは、実質的な承認要件が更 に自由化されていることであり、もう一つは、完全な非訟の承認手続が排除されていることである。先ず、前者に ついて言えば、最も重要な新規性は、相互性の要件が廃止されたことである。旧法第九二条は事実上の相互性を要 求していたが、擁護者のためにその存在の推定が行なわれていた。マケドニア共和国と裁判が下された国との間の 相互性が存在しないことの証明責任を負っていたのは裁判の承認に反対する者であった。しかし、マケドニア最高 裁 判 所 は、 最 近、 実 際 に は 承 認 を 不 可 能 に す る 方 法 を も っ て、 そ の 要 件 を 解 釈 し て、 「条 約 に 依 っ て 確 立 さ れ た 相 互 性 が な い と き は、 い つ で も、 事 実 上 の 相 互 性 の 存 在 の 推 定 が 存 在 す る。 」 と 判 示 し て い る。 裁 判 上 の 実 務 か ら 生 じるこの困難を克服するために、二〇〇六年九月の新法の第一次草案において、相互性に関する規定は、この要件

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の適用に関する説明的規則をもって修正された。しかし、後に、起草委員会は、一九九八年のベネズエラ国際私法

や二〇〇五年のブルガリア国際私法典等の幾つかの新しい国際私法立法において採用された解決に倣い、この実質

的要件を完全に廃止する提案の採用を合意したというのがその経緯である

Deskoski, op. cit., p.456 et seq.

参照) 。   他の承認要件は殆ど手続的性質のものである。幾つかの要件は、職権をもって再審理されている。例えば、外国 裁判の最終性 (新法第一〇一条及び第一〇二条) 、マケドニア裁判所の専属的裁判管轄権の不存在 (新法第一〇四条) 、 内 国 の 既 決 の 事 件 又 は 係 属 中 の 訴 訟 の 不 存 在 (新 法 第 一 〇 六 条) 、 公 序 違 反 の 不 存 在 (新 法 第 一 〇 七 条) で あ る。 他 の 実 質 的 要 件 は、 反 対 当 事 者 に よ る 反 論 に 対 し て の み 審 査 さ れ る。 例 え ば、 聴 聞 さ れ る 権 利 の 侵 害 の 不 存 在 (新 法 第 一 〇 三 条) 、 専 ら 原 告 の 国 籍 に 基 づ い た 外 国 裁 判 所 の 裁 判 管 轄 権 の 欠 如 (新 法 第 一 〇 五 条 第 一 項) 、 マ ケ ド ニ ア 裁 判 所 の 裁 判 管 轄 権 の 停 止 に 関 す る 当 事 者 の 合 意 の 侵 害 の 欠 如 (新 法 第 一 〇 五 条 第 二 項) で あ る ( Deskoski, op. cit., p.457. 参 照) 。 裁 判 所 は、 新 法 の 規 定 に 定 め ら れ た 実 質 的 要 件 が 充 足 さ れ て い る か 否 か に つ い て の み 審 査 す る こ と が で き る が、 外 国 裁 判 の 理 非 に つ い て は 審 理 し て は な ら な い (新 法 第 一 一 三 条 第 一 項) 。 承 認 に 関 す る 決 定 は 宣 言 的 性 質 を 有しており、対世的効力を有している (

Deskoski, op. cit., p.457.

参照) 。   新 法 第 一 一 一 条 な い し 第 一 一 六 条 は、 外 国 裁 判 の 承 認 及 び 執 行 の た め の 非 訟 手 続 に つ い て 徹 底 し て 規 定 し て い る。この同じ手続は、外国仲裁裁定の承認及び執行へ適用される (第一一六条) 。手続は、ブラッセルⅠ規則によっ て規定された手続と同一ではないが、近似している。第一審裁判所は、矛盾しない手続において、承認の要求を決 定する。この段階において、裁判所は、職権をもって審査されるべき実質的要件のみを審査する。承認に関する決 定が下された後、被告はその決定に対する抗弁を同一裁判所へ提出する権利を認められる。不成功の当事者が控訴 裁判所へ控訴を提出するのは、そのときのみである。新法とブラッセルⅠ規則との最も重要な相違は、新法には第

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一審における自動的承認がないことである。すなわち、裁判所は、反対する当事者が承認に関する決定に反対する か、 控 訴 す る 前 で あ っ て も、 職 権 を も っ て、 こ の 段 階 に お け る 幾 つ か の 実 質 的 要 件 を 審 査 す る の み で あ る ( Desko

-ski, op. cit., p.457.

参照) 。

 

結語

  この二〇〇七年のマケドニア国際私法は、一九八二年のユーゴスラヴィア国際私法の原型を保持しながらも、そ れに対して、一般的例外条項や強行法規に関する一般規定を導入するなど、重要な改良が加えられている。更に、 新法は、消費者及び労働者等の弱者利益を保護する抵触規則を新設しており、関連するEU国際私法規則にも十分 に 対 応 し て い る。 そ の 改 正 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る と 見 ら れ る の は ス ロ ベ ニ ア 国 際 私 法 で あ る ( Jessel-Holst, a. a. O., S.157f. ) 。 国 際 的 裁 判 管 轄 権 に 関 す る 規 則 に 関 す る 限 り、 新 法 は マ ケ ド ニ ア 裁 判 所 の 過 大 な 裁 判 管 轄 権 の 機 会 を 制限している。加えて、外国裁判の承認及び執行の実質的要件は自由化されており、特に、相互性の要件の廃止は 注目される。しかしながら、新法は、マケドニアがEUの加盟国になる前に、更なる改訂を必要としているという 一致した指摘がなされている点も、新法の特色の一つであろう ( Deskoski, op. cit., p.458. ; Jessel-Holst, a. a. O., S. 158. 参照) 。   以 下 に お い て 掲 げ る の は、 二 〇 〇 七 年 の マ ケ ド ニ ア 共 和 国 国 際 私 法 の 試 訳 で あ る。 訳 出 に 際 し て は、 IPRax 2008, S.158ff. に掲載されている独語訳に依拠した。

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(参考資料)マケドニア共和国国際私法

国際私法に関する法律

(マケドニア共和国二〇〇七年七月四日法律) 第一章   基本規定 適用範囲 第一条   ⑴   本法は、人の身分、家族、労働、財産についての法律関係、及び、その他の国際的要素を有する実体法上の関 係の準拠法の決定のための規則を含む。 ⑵   本法は、本条第一項に掲げられた関係の審理のためのマケドニア共和国の裁判所及びその他の機関の管轄権に関する規 則、訴訟手続規則、並びに、外国裁判所の裁判及び外国のその他の機関の裁判の承認に関する規則をも含む。 第二条   本法の諸規定は、第一条の関係が他の法律又は国際条約によって規律されるとき、それには適用されない。 例外条項 第三条   ⑴   本法の諸規定が指定する法は、全ての事情を考慮して、関係がその法と何ら重要な関連性を示しておらず、寧 ろ、他の法と本質的により密接な関連性が存在することが明らかであるとき、例外的に適用されない。 ⑵   当事者が法選択を行なったとき、本条第一項の規定は適用されない。 法の欠缺の補充 第四条   本法が、本法第一条第一項の関係の準拠法に関する規定を有しないときは、本法の規定及び原則、マケドニア共和 国の法秩序の原則、及び、国際私法の原則が類推適用される。 公の秩序

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第五条   外国法は、その適用の結果がマケドニア共和国の公の秩序に反することとなるとき、適用されない。 反致及び送致 第六条   ⑴   本法の諸規定に従って外国法が適用されるべきときは、同法上の準拠法を決定するための規則が顧慮される。 ⑵   準拠法の決定に関する外国の規則がマケドニア共和国法へ反致するときは、マケドニア共和国法が、準拠法の決定に関 する規則を顧慮することなく適用される。 ⑶   本条第一項及び第二項の諸規定は、当事者が準拠法を選択するための法を有する場合において適用されない。 法律行為及び法的行為の方式 第七条   本法又はその他の法律が別段に定めていない限り、法律行為及び法的行為は、それが、法律行為が締結されたか、 若しくは、法的行為が行なわれた地の法、又は、法律行為若しくは法的行為の実質の準拠法によって有効であるとき、方 式に関して有効であると見做される。 時効 第八条   時効へは、法律行為又は法的行為の実質の準拠法が適用される。 外国法の適用 第九条   外国法は、その意味及びそれに含まれた概念に応じて適用される。 不統一法秩序 第一〇条   ⑴   法秩序が不統一である国の法が適用されるべきであり、かつ、本法の規定が当該国の一定の法域へ送致しな いときは、準拠法はその国の法秩序の規定によって決定される。 ⑵   法秩序が不統一である国の基準となる法が本条第一項に定められた方法に基づいて確定されることができないときは、 最も密接な関連性が存在する当該国の領域の法が適用される。 重国籍者

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第一一条   ⑴   マケドニア共和国の国民である者が他の国の国籍をも有するときは、本法の適用につき、その者はマケドニ ア共和国の国籍のみを有するものと見做される。 ⑵   マケドニア共和国の国民でない者が二つ又は多数の外国国籍を有するときは、本法の適用につき、その者は、その者が 国民であり、かつ、その住所を有する国の国籍を有するものと見做される。 ⑶   本条第二項に掲げられた者がその国民である国に住所を有しないときは、本法の適用につき、その者は、その者が国民 であり、かつ、最も密接な関係を有する国の国籍を有するものと見做される。 無国籍者 第一二条   ⑴   人が国籍を有しないか、又は、その国籍が確定されることができないときは、その住所に従い、準拠法が決 定される。 ⑵   本条第一項に掲げられた者が住所を有しないか、又は、それが確定されることができないときは、その居所に従い、準 拠法が決定される。 ⑶   本条第一項に掲げられた者の居所も確定されることができないときは、マケドニア共和国法が適用される。 外国法の調査 第一三条   ⑴   裁判所又は法律によって定められたその他の機関は、職権をもって準拠外国法の内容を調査しなければなら ない。 ⑵   本条第一項に掲げられた機関は、法務を所轄する国家行政機関に対し、準拠外国法の内容に関する情報を求めることが できる。 ⑶   当事者は手続において外国法の内容に関する公文書を提出することもできる。 ⑷   具体的な事件において、外国法の内容が本条第一項、第二項及び第三項に従った方法によって証明されないときは、マ ケドニア共和国の法が適用される。

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直接的適用規定 第一四条   本法第一条に従って法律関係について基準となる法の決定のための規定は、本法又は他の法律により、基準とな る 法 の 決 定 の た め の 法 規 に 拘 わ ら ず 適 用 さ れ る こ と が 、 定 め ら れ て い る マ ケ ド ニ ア 共 和 国 の 強 行 法 規 の 適 用 を 排 除 し な い 。 第二章   準拠法 自然人の権利能力及び行為能力 第一五条   ⑴   自然人の権利能力及び行為能力は、その者が国民である国の法が基準とされる。 ⑵   自然人が、国民である国の法によれば行為無能力であるが、債務発生地法によれば行為能力を有するときは、行為能力 を有するものとする。 ⑶   行為能力の剥奪及び制限については、本条第一項による法が基準とされる。 ⑷   本条第二項は、家族関係及び相続関係には適用されない。 法人の権利能力及び行為能力 第一六条   ⑴   法人の権利能力及び行為能力については、それが帰属する国の法が基準とされる。 ⑵   法人は、それが従って設立された法が所属する国の国籍を有する。 ⑶   法人が、それが設立された国とは別の国にその実際の本拠を有し、かつ、それがその別の国の法に従って同国の国籍を 有するときは、それは同国の法人と見做される。 後見及び暫定的保護措置 第一七条   ⑴   後見の開始、及び、後見の終了、並びに、後見人と後見に服する者との間の関係については、後見に服する 者が国民である国の法が基準とされる。 ⑵   マケドニア共和国に在る外国人及び無国籍者に対する暫定的保護措置は、権限を有する国が決定を下し、かつ、必要な

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措置を講じない限り、マケドニア共和国法によって命令され、かつ、継続される。 ⑶   本条第二項の規定は、マケドニア共和国の領域に所在する不在外国人又は不在無国籍者の財産の保護に関しても適用さ れる。 失踪者の死亡宣告 第一八条   失踪者の死亡宣告については、その者がその失踪の当時国民であった国の法が基準とされる。 自然人の名 第一九条   自然人の名の決定又は変更については、その者が国民である国の法が基準とされる。 物に対する所有権及び他の物権 第二〇条   ⑴   所有権関係、及び、物に対するその他の物権は、物が所在する地の法が基準とされる。 ⑵   運送中の物に関する本条第一項に掲げられた関係については、仕向地法が基準とされる。 ⑶   輸送手段に関する本条第一項に掲げられた関係については、マケドニア共和国法の規定によって別段に定められていな い限り、当該輸送手段が帰属する国の法が基準とされる。 契約―総則 第二一条   ⑴   契約は、本法又は国際条約によって別段の定めがない限り、契約当事者によって選択された法に服する。 ⑵   選択された法に関する当事者の意思は、明示的であるか、又は、契約条項若しくは他の状況から明らかでなければなら ない。 ⑶   当事者は、契約の全体についてか、又は、その一部のみについて、基準となる法を決定することができる。 ⑷   基準となる法の選択に関する契約の有効性は、選択された法に従って判断される。 契約準拠法の選択の欠乏 第二二条   ⑴   準拠法が選択されていないとき、契約は、当該契約が最も密接な関係を有する国の法に服する。

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⑵   最も密接な関係は、事件の特別な状況から、契約が他の国とより密接な関係があることが明らかでない限り、給付の受 領の当時、契約のその種類についてもたらすべき特徴的な履行を有する当事者の住所又は本拠が所在する国とに存在する ものとする。 ⑶   本条第二項に拘わらず、貨物運送契約については、それは、運送人が、契約締結の当時、―自然人に関するときは―住 所、又は、―法人に関するときは―本拠を有した国に、荷送地、仕向地又は自然人たる運送受益者の住所若しくは法人た る運送受益者の本拠が所在するときに限り、同国と最も密接な関係を有するものと推定される。 不動産に関連する契約 第二三条   不動産に関する契約については、不動産が所在する領域が属する国の法のみが基準とされる。 労働契約 第二四条   ⑴   労働契約について、当事者が法選択を行なわなかったときは、労働者が一時的に他の国においてその労務を 遂行するときであっても、契約に従い、その者が常時その労務を遂行する国の法が基準とされる。 ⑵   契約に従い、労働者が一国のみにおいてその労務を遂行するのでないときは、使用者がその本拠又は住所を有する国の 法が基準とされる。 ⑶   法選択に関する契約において、当事者は、法人たる使用者が本拠を有するか、又は、自然人に関するときは、住所を有 する国の法に含まれている労働者の権利の保護に関する命令法規の適用を排除してはならない。 消費者契約 第二五条   ⑴   本法の適用については、消費者への動産又は権利の引渡しに関する契約、及び、消費者へのサービスの提供 に関する契約は、消費者契約と見做される。 ⑵   本法の適用について、その職務の遂行又は他の営業活動のためでないことが明らかな目的で、直接的な個人的使用のた めに製品を購入するか、若しくは、サービスを利用する自然人は消費者と見做される。

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⑶   本法に従い、次に掲げる契約は、それらが、全体として、消費者がその住所を有する国の外において提供されるとき、 消費者契約と見做される。   一   運送契約、及び、   二   消費者へのサービスの提供に関する契約 ⑷   本法のその他の規定に拘わらず、消費者契約については、次に掲げるとき、消費者がその住所を有する国の法が適用さ れる。   一   契約締結が同国における申込み又は募集の効果を定めており、かつ、消費者が同国において契約の締結に必要な行為 を行なったとき   二   消費者の契約相手又はその代理人が、同国において消費者の注文を受け取ったとき、及び、   三   売買契約が他の国において締結されているか、又は、消費者が他の国において注文を出したときであって、売主の旅 行が消費者にかような契約の締結を勧誘する目的をもって準備されたとき ⑸   第四項に従う場合において、当事者によって行なわれた基準となる法の選択は、消費者の住所が所在する国の法に含ま れている消費者の権利の保護のための強行法規の適用を排除してはならない。 契約準拠法の適用範囲 第二六条   契約当事者間の関係については、契約当事者が別段に合意しない限り、本法第二一条、第二二条及び第二三条に よる法が、次に掲げる決定についても基準とされる。   一   不動産の取得者又は譲受人がその物からの産出物及び果実に対する権利を有するに至る時期の決定、及び、   二   取得者又は譲受人がその物に関する危険負担の義務を負うに至る時期の決定 物の引渡し方法 第二七条   物が引き渡されるべき地の法が、契約当事者の別段の合意がない限り、物の引渡し方法、及び、物の受領が拒否

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される場合にとられるべき措置について基準とされる。 債権譲渡及び債務引受 第二八条   債権譲渡又は債務引受のその譲渡又は引受の当事者でなかった債務者又は債権者に対する効果へは、債権又は債 務について基準となる法が適用される。 従たる法律行為 第二九条   従たる法律行為へは、法律行為又は法律若しくは国際条約が別段に定めていないとき、主たる法律行為の準拠法 が適用される。 一方的法律行為 第三〇条   一方的法律行為は、自然人たる債務者の住所、又は、法人たる債務者の本拠が在る国の法が基準とされる。 不当利得 第三一条   不当利得は、既に生じているか、又は、見込まれるか、若しくは、推定された法律関係であって、利得が生じて いる原因となるものについて基準とされる法によって規律される。 事務管理及び他の契約外義務 第三二条   ⑴   事務管理については、管理行為が行なわれた地の法が基準とされる。 ⑵   事務管理の委任のない物の利用から生じた債務、及び、損害に対する責任によらないその他の契約外債務については、 債務の原因である事実が発生した地の法が基準とされる。 契約外の損害賠償責任 第三三条   ⑴   契約外責任については、行為が行なわれた地の法が基準とされる。例外的に、加害者が予見可能で、かつ、 予見すべきであったとき、被害者の申立てにより、結果が発生している地の法が適用される。 ⑵   本条第一項によって決定された法が、法律関係と密接な関連性を呈示せず、その他の法との明らかな関連性が存在する

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とき、同法が適用される。 ⑶   本条第一項及び第二項の諸規定に拘わらず、当事者は、加害の結果が発生した後、準拠法を選択することができる。 公海上の船舶又は航空機における事故に因る損害の賠償 第三四条   損害賠償債務を生じる結果が、公海における船舶内又は航空機内において発生したときは、船舶が帰属する国の 法、又は、航空機が登録されている国の法が、損害賠償債務の原因である事実が発生した地の法と見做される。 相続 第三五条   相続については、被相続人がその死亡の当時国民であった国の法が基準とされる。 遺言能力 第三六条   遺言能力については、遺言者が遺言作成の当時国籍を有していた国の法が基準とされる。 遺言の方式 第三七条   ⑴   遺言は、その方式に関し、それが次に掲げる法の何れかによれば有効であるときは、有効である。   一   遺言が作成された地の法   二   遺言者が遺言処分の当時又はその死亡の当時国民であった国の法   三   遺言者が遺言処分の当時又はその死亡の当時住所を有していた地の法   四   遺言者が遺言処分の当時又はその死亡の当時居所を有していた地の法   五   マケドニア共和国法、及び、   六   不動産については、不動産が所在する地の法 ⑵   遺言の撤回は、その方式に関し、当該方式が本条第一項の規定に従って遺言が有効に作成されることができた法の何れ かによれば有効であるときは、有効である。 婚姻締結の要件

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第三八条   ⑴   婚姻締結の要件に関しては、それぞれの者につき、その者が婚姻締結の当時国民である国の法が基準とされ る。 ⑵   婚姻締結のための要件が、マケドニア共和国の所轄機関において婚姻を締結しようとする者が国民である国の法に依れ ば存在するときであっても、マケドニア共和国法に依れば、その者に関し、前婚、血族関係又は責任無能力の存在に関わ る障碍が存在するときは、婚姻締結は形成されない。 婚姻の方式 第三九条   婚姻の方式については、婚姻が締結される地の法が基準とされる。 婚姻の無効 第四〇条   婚姻の無効については、本法第三二条に従い、婚姻が締結されている法が基準とされる。 離婚 第四一条   ⑴   離婚については、夫婦双方が訴訟開始の当時国民である国の法が基準とされる。 ⑵   夫婦が訴訟開始の当時異なる国に帰属するときは、離婚につき、それらの者がその最後の共通住所を有した国の法が基 準とされ、そして、それらの者がそもそも共通住所を有しなかった場合には、離婚が審理される裁判所所在地国法が基準 とされる。 ⑶   夫婦の一方がマケドニア共和国の国民である場合には、本条第二項の規定に拘わらず、離婚については、マケドニア共 和国法が基準とされる。 夫婦の身分関係及び法定財産関係 第四二条   ⑴   夫婦の身分関係及び財産関係については、夫婦が国民である国の法が基準とされる。 ⑵   夫婦が異なる国に帰属するときは、夫婦がその住所を有する国の法が基準とされる。 ⑶   夫 婦 が 共 通 国 籍 も 同 一 国 に お け る 住 所 も 有 し な い 場 合 に は、 夫 婦 が そ の 最 後 の 共 通 住 所 を 有 し た 国 の 法 が 基 準 と さ れ

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