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不確実性下の耐久消費財の価格政策(梶田公教授退官記念論文集)

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不確実性下の耐久消費財の価格政策

D 昭 小 長 木 荒 I 序 耐久消費財 は長年にわた り多 くの研究者の関心 を呼んで きた対象である。特 に,マ ーケティングの分野においては重要 な研究対象の一つである。 この分野 に先鞭 をつけたのが Bass[1969]で ある。彼は消費者が新 しい耐久消費財 を購 入す るタイ ミングを予測す るモデルを提示す ることで,新 製品の売 り上げの時 系列 を推測す ることを試みた。 これ以降,こ の分野への多 くの貢献が存在す る。 一方,経 済学の分野では,製 品の質 と耐久性 との関係に関す るSwan[1970]の 貢献や,Coase[1972]に よって提示 された耐久財 を供給す る独 占企業の均衡価 格 に関す る推測に始 ま り,Bulow[1982]の 耐久財の市場均衡 に関 しての一種の ゲー ム論的 な議論,さ らに Stokey[1981]ら 多 くの文献が存在す る。現在 は, 産業組織論の観点か らの議論が盛んである。 本論文においては,マ ーケティングの視点か ら,耐 久消費財 を供給す る単一 企業の最適 な動的価格政策について論 じる。すでに述べ た Bass[1969]は 耐久 消費財の売上高に関す る予測 とい うことに重点 を置いている。彼のモデルはい わゆ る需要に拡散効果 (diffuslon effect)が存在す るモデルである。 その後, Rao and Bass[1985]や Narasimhan[1989]等 多 くの文献が これに続いてい る。一方,耐 久財の市場4面格 は一般的に徐々に下落す る (Bayus[1992])こ と が観測 されている。 このことは売上の時系列 グラフが上に凸 となる場合 で も一

1)梶 田 公 先生には学部の 4年 間御指導いただいた。進学 したい とい う私の無謀 な希望 に, 御研究の時間 を割 いて経済学 を手取 り足取 り御指導いただいた。今学生 を指導す る立場 と

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般 的 に観 測 され る事 実 で あ る (Horsky[1990])。 Bassら に よ る拡散効 果 を需要 が持つ場合や,逆 に需要 に飽和効 果 (saturatiOn effect)があ る場合 な ど, さ ま ざまな角度 か ら価格 の下落現象 とい う経験 的事実 を説明 しよ うとす るモデル分 析 が行 われ て い る。 Bayus[1992]に よる と,こ の耐 久消 費財 の価格 の下 落現 象 に対す る理論 的 な説明には次 の 4つ の タイプが あ る。 第一 に,供 給側 の要 因に その原 因 を求 め る ものであ る。具体 的には,い わゆ る経 験 効 果 (experience effect)を仮 定 す る もの (Robinson and Lakhani

[1975],Dolan and Jeuland[1981],Kalish[1983])で ある。第二に,需 要 側 の要因によるものである。 これにはい くつかの種類が存在す る。潜在的需要 量が価格の関数 である場合 (Kalish[1983],Horsky[1990]),需 要の拡散効 果 (diffusion effect)が時間の関数 である場合 (Bass and Bultez[1982])。 合理 的 な消 費者の通時的効用最大化 を考 えた場合 (BensankO and Winston

[1992])な どが あ る。第二 は,市 場参入 な どの競争的圧 力に よるとす る もの (Eliashberg and Jeuland[1986])。そ して最後に,新 製品 との代番 を考慮す るもα)(Bayus[1992]Levunthal and Purohit[1989])が ある。

これ らの文献はいずれ も確定的なモデルであ り,市 場の不確実性 を取 り込ん だモデル分析 はこれ まで行 われていない。そこで,以 下では,財 に対す る需要 に不確実性がある場合 を考察す る。 その際,考 慮す る需要側お よび供給側の環 境は次の とお りである。 1需 要に飽和効果がある 2新 製品投入の初期 の段階で拡散効果が存在す る 3費 用に経験効果が存在す る 需要 の飽和効果 は,耐 久消費財の特徴の一つ といえる(Kalish[1983])。した が って,こ の論文 を通 じて飽和効果が常に存在す る市場 を仮定す る。飽和効果 と平行 して拡散効果が存在す る場合 も考慮が,新 製品の導入 まもない適当な時 点 まで しか拡散効果 を想定す るに過 ぎない。現在のように新製品情報が瞬時に 消費者に行 き渡 る状況では,拡 散効果は短命に終 わると考 えられ るか らである。 もちろん情報の伝達速度の低 い耐久消費財 も存在す るだろ うが,こ こでは考察

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しない。経験 的効 果 は周知 の供 給側 の要 因で あ る。 この論文 では 多 くの文 献 が 仮 定 してい る よ うに限界費用 が累積 的生産 量 の減 少 関数 であ る と仮定 す る。 市場の不確実性 を考慮す るこ ととな らんで,こ の論文には もう一の 目的があ る。例 えばパー ソナル コンピュー タの特定の機種の小売店の店頭価格 を例 に取 ると。それ らの価格水準は新製品の発売時点か ら時間に対 して非増加的である。 製品の ライフサ イ クルが短 い ものは短期的な価格政策が要求 され る。 したが っ て,中 古市場の影響 も受けに くく,前 述の飽和効果 とあいまって,価 格の時系 列の減少傾 向が よ り鮮 明になるか らである。本論文 はこの ようなライフサ イ ク ルの比較的短 い耐久消費財 を対象 として想定 し,価 格が時間に対 して確率的に 非増加 的である見本過程 を描 き出す ことも目的 としている。 H 基 本 モデル 単一 の企 業 を考 え る。 明示 的 な競 争 関係 は考 察 しない。 あ る耐久消 費財 を供 給 す るこの企 業 は, な ん らか の単位 で測定 され た総 計 で N > 1 単 位 の製 品 を生 産 し供 給 す る計画 を立 る もの とす る。そ して, N 単 位 以上 は生産せ ず, 供 給計 カ 画は終了す るもの とす る。限界費用 σは一定で,簡 単化のためゼロとする。経 営者 は財 の価格 夕を設定す る。供給量 を設定す るモデル も考 えられ るがここで は考察 しない。 企業の経験量すなわち累積的生産量 を整数 Cで あらわす。したが って,こ の 変数 は 0≦9≦ Nを 満足す る。当該企業の製品に対す る需要に不確実性が存在 す ると仮定す る。そこで,ご く小 さい時間の間隔 ル の間の供給量 冴Qは 次の よ うな確率分布 に従 うもの とす る。 ただ し,え (夕,9)冴 ∈ [0,1]で ある。

(D幻

={:!IIliま

1」

したが って,瞬 時的 な期待供 給率 は 2)た だ し,経 験効果 を考察す るときはこのか ぎりではない。

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撃 = 耽 0 となる。 このモデルは独 占企業 であるので,こ の期待供給率 は期待需要率 ない しは期待需要関数 と呼ぶ ことがで きる。ここで,関 数 え(夕,C)は 経営者が設定 す る価格 夕 とそれ までの経験量 Cと の関数 で,次 の性質 を満足す るもの と仮 定す る。 0 響 < 伍 響 < 0 (3)の 第 1式 は高い価格 を設定すればそれだけ需要量の減少が予想 され, し たが って期待供給率が下が ることを意味 している。第 2式 は累積的な販売量が 増加す るに したが って,販 売 しに くくなることを意味 している。 これは需要に 飽和効果が存在す るこ とを意味 している。つ ま り,耐 久性がある財 はすでに販 売 された 自社 の財 と競争 しなければならない。財 に耐久性があるので,販 売 し た分 だけ市場か ら需要が消 えて しまうのがその理由である。Kalish[1983]は確 定性の もとで同様 の仮定 を置いている。 企業は計画販売量 を完売す るまでの期待利潤の現在価値 を最大化すべ く価格 を設定す るもの と仮定す る。割 引率 を ″>0と すれば,当 該企業が決定すべ き制 約付 き最大化問題 は次の ように定式化す ることがで きる。

野xEョ

fr夕

_″

?グ

s . t . ? 冴= 冴9 ω 響 = 耽 0 0≦え(夕,(め渉≦1 τ ttinf(サ≧01C≧ハけ Tapiro[1988]をベースにして,DPを 用いてこの問題を解 くことにする。以 下でみるように,一 般にこの問題は非線形の定差方程式を解 く問題に帰着され

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不確実性下の耐久消費財の価格政策 37 る。ところが周知のように,非 線形の定差方程式の解析的解法は,例 えば,Ric‐ cati型のような特殊な形の方程式について発見されているに過 ぎない。 さて,DPに よって,次 式を得 る。 7 0 , S = m a x E が 作 / 1 r S l 夕? み ノ 四 9 は 十劾 , s 十劾 時間 渉 は極めて小 さいか ら次の関係が近似的に成立する。 (5)7(C,s)=(1-γ 渉)max E(夕?渉 +7(0(s十 力),s十冴)) ここで 7C(サ 十渉),サ十冴)の 確率分布は (1)よ り次のようになる。

0印 +劾

初試杉

!il坊

F〓被

この関係か らわかるように価値関数 7(・。)は 時間か ら独立のケースだけを 考 えればよい。したがって,こ のことを考慮にいれて (5)式の右辺の期待値 を 計算すると次式を得 る。 7(9(s))=(1-γ 冴)max E(夕?冴 +7(C(s十 冴))) =(1-″ 力)max(夕え(夕,C)渉+7(C(s)+1)え (夕,C)冴サ十 7(C(s))(1-え (ク,こめ冴)) 渉2=0ょ り,結 局,制 約付 き最大化問題は ( 7 ) H , x ( 夕 え( 夕' 9 ) 十Z 7 ( C ) え ( 夕, C ) 一 γ7 ( C ) ) = 0

s . t . 0 ≦

え( 夕

, こ

か≦1

Z 7 ( 9 ) = 7 ( 9 + 1 ) - 7 ( C )

7 ( N ) = 0 のように変形される。不等式制約に対 して内″点解 を仮定すれば,最 適な価格は 次式を満足 しなければならない。

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た灼先0 + 夕 響 十Z 7 0 響 = 0 よって,最 適 な価格 は一般 に 夕=夕 (イ7,C)と な り,解 くべ き (7)の 定差方 程 式 は一般 に非線形 とな り,解 析 的 に解 くこ とはで きな くな る。 そ こで,以 下 では数値解 を求 め るこ とに よって,限 られ た範囲 ではあ るが最適政策の性質 を 考察する。そのためには,ま ず期待供給率関数 え(夕,0を 特定化 しなければな らない。 IH 基 本モデルの数値解 期待供給率関数 え(夕,0と して次の二つの関数 を考えることにする。

0 えし, 0 = ←

b ♀

) ノ

, あ

< 1

( 1 0 ) え( 夕, 9 ) = 夕 りあC ただ しいずれの場合 も,パ ラメー タ α,あの値は正 とす る。

(9)式 はいわば対照実験用の関数 で,Robinson and Lakhani[1975]やDolan and Jeuland[1981]のモデルで も採用 されている確実性下の供給率関数か ら需 要 の拡散項 を取 り除いた ものである。彼 らは特殊 な場合 について価格が時間の 非増加関数 になることを導いている。一方,Kalish[1983]は彼 らのモデルを一 般化 して議論 しているが,そ こでは供給率関数が累積生産量について減少関数, つ ま り拡散項 を取 り除いた ものを仮定 している。この とき (9)式 のように価格 の項が分離 した場合 には,割 引率がゼロの ときに限って価格が下落す ることを 導 きだ している。最適価格の下落 を説明す ることを目的 としている本論では, Kalish[1983]に ならい拡散項 を取 り除いた関数 を採用することとした。 二つの関数 (9)(10)の顕著な違いは累積的生産量 と,価格がそれぞれ期待供 給率 に与 える影響の程度の違 いにある。例 えば,両 関数の累積生産量に関する 3 ) 拡 散項 を含んだ場合 について, 以 下 で採用す る方法で計算 した結果,価 格 は減少 しない こ とがわか る。

(7)

期待 供 給率 の弾力性 を計算す る と,C<Nに お いて必ず (10)式 の方が よ り弾 4 ) 力 的 で あ るこ とが わか る。 さ らに ( 1 0 ) 式 の弾力性 は累積生産 量 の線形関数 で あ り, 一 定 の C の 対 してパ ラ メー タ うの値 に よって その大 きさが一 意 的 に決 定 され る。

し,0=(1-う

)夕

のケ

ース

この場合 の最適4面格 は次 の方程 式 に よって得 られ る。

(11)夕

=号

Z7

( 1 1 ) 式を ( 7 ) 式に代入すれば よい。 したが って, 0 4 論 を得 る。 (12)を 満 たす関数 7が 企業利潤 の期待現在価値 を表す。得 られ た 値,及 び (11)式 か ら最適 な価格戦略の経路 を得 ることがで きる。 そこで,四 つのパ ラメー タ α,あ,γ,Nを 適当に決め ることに しよう。そ うすれば,例えばニ ュー トン法 で (12)の解 を求め,そ の後,境 界条件 7(N)=0を 用 いて再帰的 に解 を求め ることがで きる。 正確性には欠け るが直感的に理解 できるので,結 果はグラフによって提示す るこ とに しよう。計画生産量 Nは 100とした。 これ以上の数 を計算 して も結果 の性質にあま り変化がなか ったのがその理 由である。図3-lαおよび図3-1うは 4 ) ( 1 0 ) 式 の弾力性か ら ( 9 ) 式 の もの を引 き算す ると, 論 佃 一b 。一D となる。 これに,9=N-1を 代 入す る と, 佃 D 位 一の > 0 とな る。

(8)

パ ラ メー タの値 が α= 0 . 0 2 , あ= 0 . 0 1 , ″= 0 , 0 1 の と きの価 値 関数 お よび価 格 の 累積生産量に対するグラフである。

3 - l α

ψ, 0 = ( 1 - う

) タ

び α=0.02,あ =0.01,γ =0.01 を仮定 した ときの累積 生産量に 対 す る価値 関数 のプ ロ ッ ト。

3 - 1 う

0 , 0 = ( 1 - あ

) 夕

び ク=0.02,あ =0.01,γ =0.01 を仮定 した ときの累積生産量 に 対す る最適価格 のプ ロ ッ ト。 この場合,生 産量が確率的に増加す るにつれて,価 格 も確率的に一定の水準 に留 まるか増加す るかす る。 これは明 らかに経験的な事実 と整合的でない。実 験 をした他 のパ ラメー タの値の広い範囲でイ面格 は同 じような性質 をもつ ことが わか った。他 の条件 を一定に して,パ ラメー タ うの値 を 1に 近づ けるに したが って,価 格のグラフは水平状態に近 くはなるが,負 の傾 きを持つ ことはない。 ・え(夕,9)=夕 のう。 の ケース この場合 も最適価格 は (11)式 と同 じ形の関数 となる。 これ を用 いて DP方 程式 を計算す ると, ( 1 3 ) 夕αZ y 1 = αγア プ° となる。 これ も同様 に数値計算で再帰的に解 を求め ることができる。パ ラメー タの値 として,α =0.02,γ=0.01で 固定 し,あ を 0か ら少 しずつ変化 させ てみ る。そ うして得 られた結果の うち代表的な ものを三つ選んだ ものが図3-22,図 3 2 う である。 それぞれ価値関数 と価格のグラフである。 累積的生産量は時間に対 して非減少であるとい うことと考 えあわせれば,最

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図3 - 2 α え (夕, 0 = 夕 り的を仮定 した ケースの価値関数のプロット。グ ラフには弾 力性 パ ラ メー タ うを 徐 々 に増加 させ た もの を描 いて い る。上か ら α=0.02,う=0,0,γ =0.01の もの,次が α=0.02,あ= 0 . 0 2 , グ= 0 , 0 1 , 一 番小 さい値 を 取 る もの が α= 0 . 0 2 , あ= 0 . 1 , γ = 0 . 0 1 の プ ロッ トであ る。 図3 - 2 う え ( 夕, C ) = 夕 の うQ を 仮定 した ケー スの最適価格 のプ ロッ ト。右 下 が りの プ ロ ッ トが α= 0 . 0 2 , あ = 0 . 1 , γ= 0 . 0 1 , 右 上 りの ものが α= 0 . 0 2 , う= 0 . 0 , γ= 0 . 0 1 , 下に 凸 の 形 の もの が α= 0 . 0 2 , b = 0 . 0 2 , γ= 0 . 0 1 である。 適価格の グラフが負の傾 きを持つのは,(11)よ り明 らかなように 刀27(c)> 0の 場合 で, グラフでは図32う の α=0.02,あ=0.1,γ=0.01の ケースにあたる。 このケー スはパ ラメー タ うの値が比較的大 きい値,つ ま り期待供給率の累積供 給量に対す る弾力性が大 きい場合 であ る。 さらに,数 値実験に よって,こ のケ ー スでは割引率 γの変化に対 して も価格のこの性質は安定的であることも確 かめ られ る。 結局,基 本 モデルを特定化 した二種類のモデルの うち後者のモデルで, しか も需要の飽和効果の大 きい,つ ま り期待供給率 の弾力性が大 きい場合 だけが, 価格の時系列が非増加的であるという経験的事実 と整合的であることがわかっ た。特定化 した二つのモデルのうち,前 者は弾力性が極めて低い。後者のモデ ルにおいても,数 値実験のパラメータに関 して,α=0,02,γ=0.01と お くと,あ がおおむね 0∼0.08という比較的弾力的でない範囲において価格は累積的生産 量に対 して常に負の傾 きを持つ とは限らないことがわかる。つまり,累 積的生 産量に対 して期待供給率が十分弾力的でなければ,価 格は常に負の傾 きは持た ないということが数値実験から類推できる。

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I V 拡 散 効果 この節 では,新 製 品投 入の初期 の段 階 で需要 の拡散効 果が飽和効果 と併 存す る場合 を考 え る。用 い るモデルは前節 の特定化 モデルの後者,つ ま り期待供 給 率 が え( 夕, 0 = 夕 の あQ に 従 うに従 うモデルである。この関数 に,累 積生産量が 比較的小 さい ときには需要に拡散効果が存在す るように,次 のようにある項 を 付 けカロえる。 ( 1 4 ) え( 夕, ( め= 夕 のあ( 。か (14)式 で新 たなパ ラメー タ びが存在す るこ とで,累 積生産量が びの水準に 達す るまでは,販 売確率 に対 して累積生産量は正の効果 を持つ。 これは部分的 な需要の拡散効果 ともい うべ きものである。 ここで注意 を要す るのが,期 待供 給率 (14)に 冴 をかけた ものは生産物が 1単 位販売 され る確率 で もあるとい うこ とである。つ ま り (14)式 は確率の公理 も考慮す る必要があるとい うこと である。つ ま りこの問題は数値実験の際のパ ラメー タの選び方に対 して制限を 加 えるこ とになる。 さて,上 記のことに注意 して,パ ラメー タを例 えば次のように選んで,部 分 斎登塁臣乳伊_ 猛 戸― ■而Q え( 夕, C ) = 夕 の う( C 一つでパ ラ メー タ を α= 0 , 0 2 , う= 0 . 1 , び= 2 0 , γ= 0 . 0 1 に した価値関数 (大 きいほ う) と , α= 0 . 0 2 , あ= 0 。1 , σ= 1 0 , ″= 0 , 0 1 のときの価値 関 数 ( 小さいほ う) の プロッ ト。 図42 え (夕,C)=夕 ″ b(。一かでパ ラ メー タ を α=0.02,う=0.1,σ= 20,γ=0.01に した最適価検 (大 きいほ う) と , α= 0 . 0 2 , う= 0 。1 , σ= 1 0 , / = 0 . 0 1 のときの最 適価 格 ( 小さいほ う) の プロッ ト。

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的な拡散効果の大小 をグラフに よって比較 してみ よう。 パ ラメー タの値が α=0.02,あ=0。1,び=10,″=0.01の 場合 と,パ ラメー タの 値 が α=0.02,あ=0.1,c=20,γ =0.01の 場合 を取 り上げた。パ ラメー タの許容 範囲は最適 な価格 の初期値 が どの くらいの水準であるか とい うことに も依存す る。したが って,パ ラメー タの選 び方は試行錯誤 となるが,(14)は 指数関数 で あるのでパ ラメー タの範囲は広い。 これ らの グラフ と前節の拡散効果の存在 しない計算結果 とを比較す ると,拡 散効果が大 きいほ ど最適価格の初期値が大 きいことがわか る。拡散効果が存在 す るこ とで,高 い値付 け をして も販売確率が下が らないことが この理由である。 V 経 験効果 累積生産量は経験量 とも呼ばれる。周知のように,費 用が経験量の減少関数 5 ) で あ るこ とを費用 関数 が経験効 果 を もつ とい う。 多 くの例 にな らって,限 界費 用 が経験 量 の減少 関数 であ る と仮定 す る。 同様 に数値 計算 のため に特定化 され た期待供 給率 は 九(夕,0=夕 ゆ 的 を仮定す る。これ までは限界費用は一定 で簡 単 化 の ため にゼ ロ と仮 定 して い たが,こ の節 では限界費用 を 9の 減少 関数 と し,次 の関数 に特定化 す る。 ( 1 5 ) 冴夕Q , 冴> 0 同様 に して最適政 策 を導 きだす と。

(10夕

=孝

Zy十

滋。

とな る。価値 関数 は,次 の方程 式の解 として得 られ る。 (17)夕αダ l α姥 Q=α γァ タ的 5)こ の仮定 は多 くの関連す る論文 で用 い られている。た とえば, もっとも著名 なものでは, Spence[1981]で あろ う。 また,不 確実性下 では Majd and Pindyck[1989]など,そ の 他 多 くの文献 で採用 されてい る。

(12)

パ ラ メー タの値 は α=0.02,あ=0。1,冴=90,γ =0.01と して,1面値 関数 とイ面格 の 累積 生 産 量 に対 す る グ ラ フ を図5-1と図52と して掲 げ る。 V ﹁ 研 図5-1 経 験効 果 を考 慮 した場合 の 価値 関数 のプ ロ ッ ト。パ ラメー タ の 値 は α=0.02,う=0。1,ガ =90,/=0.01。 図5 - 2 経 験効 果 を考 慮 した場合 の 最適価格 のプ ロ ッ ト。パ ラメー タ の 値 は α= 0 . 0 2 , あ= 0 。1 , 冴 = 9 0 , γ= 0 . 0 1 。 経 験効 果 が存在 しない場合 と顕著 な相違 ″点は,価 値 関数 が一度増加 してその 後減 少 に転 じる点 であ る。 また,パ ラ メー タ 冴の値 が大 きいほ ど一 時的なこの 増加 幅 が大 き くな る傾 向が あ るこ とも実験 か ら確 かめ られ る。 これは,限 界費 用 の急激 な減少 に よって企業 の将来利潤 の期待 現在価値 が一 時増加す るためで あ る と考 え られ る。一方,価 格 は経験効 果 の ない場合 の グラフ と比べ る とわか る よ うに,費 用 が大 きい分 高 い初期価格 で始 まる。 しか し,経 験量 とともに限 界 費用 がゼ ロに近づ くので,両 者 は同一 の価格水 準,歩 に収 束 してい く。 VI お わ りに

期 待 販 売率 関数 として二つ の もの を考 えた。つ ま り,Robinson and Lakhani [1975]や Dolan and Jeuland[1981]の 研 究 で用 い られ た販売率 関数 か ら拡

散項 を取 り除いた (9)と (10)式 がそれ らである。この うち,期 待供給率 の累 積生産量に関す る弾力性が常に小 さい (9)式 を仮定 した ときには,価格が時間

とともに下落す るとは限 らないことがわか った。

一方 (10)を仮定 した場合において も,弾 力性が相対的に低いときには価格 は非減少的であって,弾 力性が高い ときに限って,価 格が非増加 であることが

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明 らか に な っ た。 ま た,部 分 的 な需 要 の拡 散 効 果 や 生 産 の 経 験効 果 は価 格 の初 期 値 を押 し上 げ る効 果 が あ る こ と も数 値 実 験 で確 か め られ た。 図 6 最 適価格の見本過程の一例。用いたモデルは基本モデルで, 期待供給率 は (10)式 を用いている。パ ラメー タは α=0.02,う =0.1,γ=0.01で ある。 最 後 に,基 本 モデル を用 いて最 適価 格 の一 つの見本過程 を示す。横軸 に時間 を縦軸 に最適価格 を とってプ ロ ッ トした ものが図 6で あ る。パ ラメー タの値 は α=0,02,あ =0。1,γ=0.01で ,期 待 供 給率 関数 は これ まで同様 (10)式 を用 い てい る。 また,刻 み幅は 冴サ=1と した。イ面格のすべての範囲にわたってプロッ トす ると最適価格の時間経路の特徴がつかみに くいので,初 期価格か ら全体 の 約10%の 結果 をプ ロッ トした。 この グラフか らわか るように,最 適価格が時間 に関す る非増加 の階段関数 とな り, しか も価格が現在の水準か ら減少す る時刻 は確率的に決定 され る。 参 考 文 献

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DynaHlic Pricing Policy of the Consumers

Durable Goods under Uncertainty

Nagateru Araki

This paper analyzes a sirnple dynanlic monopoly model 、 vith saturation effect. The firn■supplies durable products to consumers under the demand uncertainty. The sale probability depends on both the price、vhich the firln sets and the cumulative sales to the firm. The saturation effect means the negative effect of cumula‐ tive sales on the sale probability. The optirnal pricing policy is derived numerically from the DP equation. Under the condition which the cumulative sales elasticity of the expected supply rate is sufficiently large,the optilnal price of durable goods is non一increas‐ ing in tirne.:

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