Title
コンクリート表面の性能の改善と塗膜厚の測定方法の開発(
内容の要旨(Summary) )
Author(s)
浅野, 幸男
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 乙第061号
Issue Date
2008-09-10
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/33554
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氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委員 浅 野 幸 男(岐阜県) 博 士(工学) 乙第 61 号 平成 20 年 9 月10 日 生産開発システム工学専攻 コンクリート表面の性能の改善と塗膜厚の測定方法の開発 (Improvementsofperfo皿anCe Ofconcrete8urhceanddevelqpmentsof measuringmethodsofthicknessofcoatingmaterial8) (主査)教 授 六 郷 恵 哲 (副査)教 授 森 本 博 昭 教 授 内 田 裕 市 准教授 小 林 孝 一
論文内容の要旨
既設土木構造物の延命化と新設土木構造物の長寿命化のための技術の確立が急務となっている。この論 文においては,無機系材料でありながらひび割れが微細で変形性能に富むという特徴をもつ複数微細ひび 割れ型繊維補強セメント複合材料(HPFRCC)を,コンクリート構造物の表面の改質材(表面保護工)とし て捉え,HPFRCCを表面に用いることによるコンクリートの耐凍害性や止水性の改善効果を明らかにする とともに,撥水剤の塗布やひび割れへのゲル状物質の充填による止水性の改善方法を提案した。さらに, 有機系下地塗装材の保護を目的とした厚さ数ドm程度の半透明塗膜の膜厚測定方法を開発した。 第2章における引張性能の評価に関する研究では,供試体内部の場所や方向が異なる場合のHPFRCCの引 張性能を評価する方法を提案し,その有効性を実験により明らかにした。HPFRCCで作製したブロックあ るいは板状の母供試体から棒状の試験片を切り出し,ダンベル型供試体に加工し,一軸引張試験を行う方 法を提案した。繊維が配向しやすい型枠面や仕上げ面が多いほど,また母供試体の上部よりも下部の方が HPFRCCの変形性能が大きくなることを,提案した試験方法により明らかにした。 第3章における耐凍害性の評価に関する研究では,冬季における凍結防止剤散布地域のコンクリート構 造物を想定し,一般の凍害と凍結防止剤が散布される環境下における凍害とについて,HPFRCCよる表面 被覆が耐凍害性に及ぼす効果について検討した。耐凍害性に劣る母材コンクリートの表面をHFRCCで被覆 し,300サイクルの凍結融解試験を行った結果,相対動弾性係数と曲げ強度の低下はほとんど認められず, EPFRCCの表面被覆により,母材コンクリートの耐凍害性が改善されることを明らかにした。道路路面の 凍結防止剤である塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム溶液のいずれを用いた場合も,HPFRCCで被覆し た供試体には,表面の剥離(スケーリング)劣化は認められず,ⅢPFRCCの被服がスケーリング劣化への 抵抗性を高めることを明らかにした。 第4章の撥水材を用いた止水性(吸水性)の改善に関する研究では,HpFRCCはひび割れ幅が狭いため 通常のコンクリートに比べ止水性に優れているが,シラン系撥水材をひび割れが生じたHPFRCCの表面に 塗布すると,止水性がさらに高まることを明らかにした。厚さ40mmのコンクリート表面に,HPFRCCを 含む各種被覆材を10mm積層してひび割れを導入した場合,ひび割れ幅が0.10mm以上と大きくなると撥 水材を塗布しても止水性は改善されないが,HPFRCCに生じる0.02mm以下のひび割れの場合には,撥水 剤を塗布すると,ひび割れの無い健全部と同程度まで水密性能が高まることを明らかにした。 第5章の閉塞による止水性の改善に関する研究では,表面被覆材として用いたEPFRCCのひび割れ部の 止水性を改善するための方法として,アルギン酸ナトリウム(布やワカメが主原料)とHpFRCC中のカル シウム分との反応により生じる不溶性のゲル(海藻ゲル物質であるアルギン酸カルシウムゲル)をひび割 れ内部に生成させる方法を提案した。厚さ40Ⅱlmのコンクリート表面に,HPFRCCを10mm積層してひび 割れを導入した場合,Ⅰ廿FRCC側のひび割れ幅が0.10Ⅱunを超えると,海藻ゲル物質による止水性の効果 はほとんど認められないが,0.10mm以下の場合では止水性が顕著に改善されることを明らかにした。 第6章の超薄膜半透明塗装の光学的膜厚測定方法の開発に関する研究では,対象とするW吸収型塗料 が半透明塗膜であるという性質を利用し,この塗料を塗布する前後の輝度の変化に着目して,数四n程度の 膜厚を施工現場で精度良く測定する方法を開発した。UV吸収型塗料を塗布する下地が白色系の場合には, 明度差の大きい黒色の印を下地表面に描き,塗布前後の白色部分と黒色部分の輝度の差の合算値から膜厚 を求める(輝度差法)ことにより,高い精度で膜厚の測定ができることを明らかにした。この輝度差法を 用いて測定を行えば,0.丹m単位の膜厚の測定が可能であることを,試験施工現場において実証した。論文審査結果の要旨
-49-この論文は,コンクリート表面の耐凍害性や止水性を改善するとともに半透明薄膜の膜厚測定方法を開 発することを目的としている。複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(ⅡPFRCC)をコンクリー ト構造物の表面被覆材として用いた場合について,凍結融解抵抗性,剥離劣化抵抗性,ひび割れ発生後の 止水性などを評価し改善する方法を提案している。凍結融解作用は被覆材の界面の付着強度を低下させる こと,塩化ナトリウム水溶液を用いると凍結融解作用による表面剥離量が多くなること,HPFRCC表層は ひび割れのない基盤コンクリートへの塩分透過の抑制に効果が高いことを明らかにしている。幅0.02mm以 下のひび割れを有するHPFRCCの表面への撥水材の塗布や,幅0.1mn以下のひび割れを有するコンクリー トへの海藻ゲル物質の含浸は,止水性を向上させることを明らかにしている。有機系下地塗装材の保護を 目的とした半透明薄膜の膜厚測定方法として,半透明薄膜を塗布する前後で,白色部と黒色部において輝 度の差を測定し合算する方法(輝度差法)を提案し,施工実験でその有効性を確課している。 この論文は,以下に詳しく示すように有用な研究結果を多く含んでいる。したがって,審査の結果,こ の論文を学位論文に催するものと判定した。 (1)引張性能の評価 供試体内部の場所や方向が異なる場合のHPFRCCの引張性能を評価する方法を提案し,その有効性を実験 により明らかにしている。EPFRCCで作製したブロックあるいは板状の母供試体から棒状の試験片を切り出 し,ダンベル型供試体に加工し,一軸引張試験を行う方法を提案している。繊維が配向しやすい型枠面や 仕上げ面が多いほど,また母供試体の上部よりも下部の方がHPFRCCの変形性能が大きくなることを,提案 した試験方法により明らかにしている。 (2)耐凍害性の評価 冬季における凍結防止剤散布地域のコンクリート構造物を想定し,一般の凍害と凍結防止剤が散布され る環境下における凍害とをとりあげ,HPFRCCによる表面被覆が耐凍害性の改善に及ぼす効果について検 討している。耐凍害性に劣る母材コンクリートの表面をHFRCCで被覆し,300サイクルの凍結融解試験を 行った結果,相対動弾性係数と曲げ強度の低下はほとんど認められず,ⅠⅣFRCCの表面被覆により,母材 コンクリートの耐凍害性が改善されることを明らかにしている。道路路面の凍結防止剤である塩化ナトリ ウムおよび塩化カルシウム溶液のいずれを用いた場合も,ⅠⅣFRCCで被覆した供試体には,表面の剥離(ス ケーリング)劣化は認められず,ⅠⅣFRCCの被覆がスケーリング劣化への抵抗性を高めることを明らかに している。 (3)撥水材を用いた止水性(吸水性)の改善 ⅢPFRCCはひび割れ幅が狭いため通常のコンクリートに比べ止水性に優れているが,シラン系撥水材を ひび割れが生じたHPFRCCの表面に塗布すると,止水性がさらに高まることを明らかにしている。厚さ 40mmのコンクリート表面にⅠⅣFRCCを含む各種被覆材を10Ⅱ皿積層してひび割れを導入した供試体を用 いて実験を行った結果,HPFRCCに生じる0.02Ⅱ皿以下のひび割れの場合には,撥水剤を塗布すると,ひ び割れの無い健全部と同程度まで水密性能が高まることを明らかにしている。 (4)閉塞による止水性の改善 表面被覆材として用いたHPFRCCのひび割れ部の止水性を改善するための方法として,アルギン酸ナト リウム(布やワカメが主原料)とHPFRCC中のカルシウム分との反応により生じる不溶性のゲル(海藻ゲ ル物質であるアルギン酸カルシウムゲル)をひび割れ内部に生成させる方法を提案している。厚さ40Ⅱ1m のコンクリート表面にHPFRCCを10mm積層してひび割れを導入した供試体を用いて実験を行った結果, ひび割れ幅が0.10mm以下の場合,海藻ゲル物質により止水性が顕著に改善されることを明らかにしている。 (5)超薄膜半透明塗装の光学的膜厚測定方法の開発 対象とするW吸収型塗料が半透明塗膜であるという性質を利用し,この塗料を塗布する前後の輝度の 変化に着目して,数四n程度の膜厚を施工現場で精度良く測定する方法を開発している。UV吸収型塗料を 塗布する下地が白色系の場合には,明度差の大きい黒色の印を下地表面に措き,塗布前後の白色部分と黒 色部分の輝度の差の合算値から膜厚を求める(輝度差法)ことにより,高い精度で膜厚の測定ができるこ とを明らかにしている。