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原子力プラント用高信頼化制御装置の開発

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Academic year: 2021

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特集・沸騰水型原子炉

∪・D・C・〔る21.311.25=る21.039.524.44.034.44〕‥占8L52/.53

原子力プラント用高信頼化制御装置の開発

Development

of

Controllers

with

H≡gh

ReliabilitY

for

BWR

Plant

 ̄最近のエネルギー事情や悦子ブJ発電量の増大による系統運用上の問題などは,J京 子力発電所に対しなおいっそうの高信頼化,高稼動率運転を強く要求している。日 立製圭作所では,これらのニーズにJ応ずるため,早くからBWRプラント制御装置の烏 信頼化に積極的に取I)組んできた。 本論文では,その中から3件の代表例について紹介する。 ディジタル式給水再循環流量制御装置"D-FRC':及びディジタル形電一子油圧式 タービン制御装置"D-EHC”は,原子力発電所にとって最も重要な制御系に,高信 析化を目的として,最近進歩の著しいディジタル制御技術と多重化技術を方む用し開 発したもので,従来の制御装置に比べて一桁以上の高信頼J空を実現している。また, 「アナログトリップモジュール+ほ,子「坊保全性を向.Lさせることにより,高信頼化 と被曝低減を可能にしたものである。 l】

言 近年のエネルギー情勢は,原-r・力に対する期待を急速に強 めており,総発電設備容量に占める墳- ̄f力の比率は,現在 (昭和55年3月)の12.6%から,今後更に増えていくと予想さ れている。このようなこ状況の下で,従来からの安全性確保に 加えて,高稼動率運転確保という観点からの高信頼化のニ【 ズがますます高まっている。

この安井に対し,ハードウェアだけでの1引三根化には限界

があり,システム的な高イ了て如i化が必要である。図1に,BWR

(Boiling Water Reactor)巧■1悦子プJ発電所の主要制御系をホ

す。これら制御系のi牧障は,出力変動やプラント停】Lにつな がる=r能性かあり,一般の制御装苗よりは1ランク高いイ諸相 性が望まれる。 非常用炉心冷却系 原子炉 制御棒制御系 安 全 保 護 系 浅見一夫* 飯田 宏* 浴百合雄* 広瀬正雄**

伊藤哲男***

〟〃之・〟りdざ〃mJ 〃/†・0ゴ/Iブ ナ/dα y〟γJo Eん∫ ルーα∫α0 〟Jr().ゞ(, r(ナナざ〟リノJ∂ 自

信頼度向上策

図2に,原J'一力発電所制御装置の信頼度向上の主要な着眼 ノ.t(と,主な具体策について示す。 2.1ハードウェアの高信頼化 まず第一・に,機器固有信頼度の向上対策が基本である。従 来よりも特に敲二選した高信頼度部品のj采用をはじめとして, 設計裕J空(式三倍低減率)の確保,スクリ【ニング部品の使用, エmジングによる初期不良の摘出など,設計及び製作の両面 から徹底した信頼度向_卜策を実二施している。 2.2 保守性の向上 定期自勺な予防保全を実施し,異常箇所の早期発見と迅速な 帽楷を行なうことにより,ノ新二高い信細度を確保することが できる。そのためには,運転中にも簡単に保守ができるよう タービン加減弁 原子炉 再循環 ポンプ M M-Gセット 原子炉再循鼠充量制御系 原子炉出力調整装置 l制御棒 タービン バイパス弁 給水ポンプ ▲T ll 一 ◆・

l l _+ l I ン ピ ー 々/ 器 水 復 フ ン ポ 水 復 L---「 原子炉給水流量制御系 電子油圧式タービン制御系 l ____.____..._.___...__.__.+ 磯 磁 励 ▲T---■--磯 電 発 自動電圧調整装置 図I BWR型原子力発電所の主要制御系 BWR型原子力発電所で,プラント制御を中心とする主要な制御系を示す。 注:略語説明 G(可変周波発電機) M(電動機) M-G(電動発電機) * 日立製作所大みか工場 ** 日立製作所電力事業本部 *** 日立黎望作所エネ′レキー研7E所 11

(2)

630 日立評論 VO+,62 No.9(】980-9) 故障発生の防止 機器固有信頼度 の 向 上 確 実 な 予防保全実施 高信頼度ハードウェア 高信頼度部品の選択 設計裕度の確保 部品のスクリーニング エージング 高 信 板 化 高 稼 動 壷干化 機器故障時の 影 響 最 小 化 過渡変化に対 する安定性向上 迅 速 な 修 理 運転継続性の 確 呆 制御性の向上 容易な保守性 インライン保守点検 異常の早期発見 トラブルシューティング 高 信 頼 性 システム構成 電源構成の多重化 検出器などの多重化 演算部の多重化 高度な制御山慣能 協調制御 予測制御 適応制御,最適制御 図2 信頼度向上の着眼点と主要な具体策 プラントの信頼度を向 上させるためには,機器固有信頼度の向上を図るナごけでなく,予防保全性,保 守性,多重化,制御の高度化など,システマテイツクな対応が必要である。 設計に考慮を払っている。 2.3 高信頼性システム構成 万一一機器に故障が発生したとしても,その占那章機器を自動 的に除外したり,自動バックアップなどができるように,制 御システムを多重構成とすることにより,システムの信頼性 は飛躍的に向上する。最近進歩の著しいマイクロコンピュー タを中心とするディジタル技術の適用により,システム多重 化による高信綿化の実現に非常に有力な効果を得ている。 2.4 制御性能の向上 プラントの過渡二状態でも,常に安定した制御を糸売行できる 能力を実現することは,プラントの高信頼化にとって非′新二 重要な技術であり,過i度二状態のシミュレーションに一基づく安 定化対策を設計に採用している。 B

ディジタル式給水再循環…充量制御装置``D-FRC”

BWR型原子力発電所の主要制御系の中で,原子炉給水流 量制御系は原子炉水位の安定保持のために,原子炉再循環7充 量制御系は原子炉出力の連続的な調整のために,それぞれ設 けられた最も重要な自動制御システムである。今回,これら の制御系に対し,上述のような高信頼化の手法を駆使して, 従来のアナログ制御装置に対して一一桁以上高い信板度をもっ

たD-FRC(Digital Controller for Feedwater Flow

ControISystem and Recirculation Flow

ComtroISys-tem:ディジタル式給水再循環流量制御装置)を開発した1)∼3と 各種シミュレーションテストに加えて,実規模の機器との組 合せ試験も一部実施し,その性能を確認した。 12

ーー..虹

図3 D-FRCの外観 実規模の機器との組合せ試験中のD-FRC(Digltai

Co=trOl【er for Feedwater F■0VJContro■System a=d RecけC=lat-On F10W Cont「0′

Systenl:ディジタル式給水再循環流量制御装置)の外観を示す。 3.1 D-FRCの構成 図3に今回開発したD-FRCの外観を,区14に基本構成を 示すが,この装置は,オンラインで切授え可能な2台の日立 制御用マイクロコンピュータHIDIC-08と,これらの出力を 常時崇:こ祝するマイクロコンピュータ1台,計3台のマイクロ コンピュータを中核とした多重化システムとして構成した。 通′削まA系,B系とも常時作動していて,例えば,A系(制 御例)に異常が発生するとこれを検亡1=ノ,B系(待機側)に自 動的にスイッチングLて連続的に利子卸を続行する。なお,-一 般に冗長化構成をとる場合,切換え時の不連続性が問題とな るが,本装置では,各サンプIノング同期ごとに制御側の計算 履歴に関するデータを待機側に伝送することにより,常に制 御側に待機側を追従させ,バンプレスな切換えを可能にした。 図5に,A系,B系交互に模壬綻故障を起二した場合の試験結 果を示す。出力信号には全く影響を与えずに切り換わってお り,片系の故障はシステム的にはなんら問題なく運転が継続 されてし、ることが分かる。更に,片系運転中に待機側の保守 が制御例に全く影響を与えずにできる構成としている。 3.2 監視診断機能 HIDIC-08のもつRAS(Reliability,Availability,Service-ability)機能に加えて,ソフトウェア的な各種監視診断機能 (上下限チェ、ソク,変化率チェック,ドリフトチェック,合理 性チェックなど)も充実させ,吏に,異常検出用マイクロコン ピュータの採用により,著しく信栢惟を向上させている。な

(3)

原子力プラント用高信頼化制御装置の開発 631 プラント(根出器) 入力部(Pl)

「言妄

処理部(CPU) 自己診断 出力部(PO) l_..____.__ 操作信号 「■■-バンプレス切換え 合 データ伝送 「一一-■■一 異常検出 ユニット + L Pl CPU 自己診断 PO __+切換スイッチ プラント(操作器) ■■ ̄■■ 「 日系l 注:略語説明 Pl(プロセス入力装置),CPU(中央処理装置),PO(プロセス出力装置) 図4 D-FRCの基本構成 D-FRCは,2台の制御用計算機とl台の異常 検出用計算機,信号切換スイッチなどから成り,例えば,A系に異常が発生す るとB系に自動的にバンプレス切換えして制御を講読行する。 お,乃 ̄一異常が発生した場合には,正常な系に制往けがスイッ チングされるとともに,一枚障箇所をプリント板単イ立で表示し, 情理時間の短縮を図った。 3.3 制御の高度化 図6に,D-FRCの制御ブロック図を示す。従来の給水流 量制御方式,再循環流量制御方式と基本的には同一・であるが, プラントでの各種の大きな過i度変化に対するプラント運転継 続件の確保,あるいは将来の負荷調整運転,運転の自重み化な どに対するプラント安定性の確保を目的に,高度な制御機能 を追加した。図7に協調制御機能のシミュレーション試験結 果の一例を示す。その他,予測制御,適応制御機能などの導 入により,従来の制御系に比べて,はるかにきめ細かな,プラ ントの過渡変化にも強い制御牛副生をもたせることができた。 【l

ディジタル形電子油圧式タービン制御装置"D-EHC”

電十油圧式タービン制御装置は,タービン出力を制御する とともに,原子炉圧力を一定に保つもので,上述の原子炉給

聖堕塑堕型聖-→

1.給水ポンプ,再循環ポンプトリップ時の の炉水位安定化 2.負荷変動運転に対するプラント安定化

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%00 50 系稜定 槻電脳 再発速 力 山山 鳩那 ・刀 山山 綿酢

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偶00 50 ・刀 RC出 F作 い操 故障 復旧 ▼ ▽

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 ̄ ̄ ̄1′′` ̄

ヽ__ノ A側  ̄ ̄ ̄1 1 待機側信号 制御側信号

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LJ 切換え 切換え 復旧 ∇

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l 故障 LJ B側 A側 注:略語説明 D-FRC(囲3補足説明文参照) 図5 D-FRCの多重系切換え試験結果 D-FRCでZ台の制御用計算 機に交互に模擬故声量を発生した場合の試験結果を示す。故障を確実に検出し, 制御側がA系→B系一A系へと正しく,Lかもバンプレスに切り換えられている ことが分かる。 水流塁制御系,原子炉再循環流▲量制御系とともに,プラント 遁垂云信組性から極めて重要なシステムである。

D-EHC(DigitalController for Electro-Hydraulic

Con-troISystem:ディジタル形電子油圧式タービン制御装置)は, 既に順調に運転中の火力発電用D-EHC4)の技術を基礎に,前 記D-FRCと同様の手法により,原子力用として更に高信根化 を図ったものである。 図8に,D-EHCの外観を示す。 8 アナログトリップモジュール 原子力発電一昨で主に安全にかかわるシステムに対しては, 信頼性確保のために定期的なサーベイランステストが要求さ れている。従来,これらのシステムに使用されていた検出信 号は,現場設置の自力動作形のスイッチ信号であったが,設 給水流量制御 l 再循環流量 主 制 御 協調制御 (Aループ) 十(Bループ) 適応制御 1,回転数に応い: 制御定数の最適化 2.流体継手特性の 最適線形化と安定化

注=□遠雷笠慧冨毘,

部分を示す。 速 度 制 御 MGセット (回転数) 原 子 炉 水位設定 + 予測制御 (水位) 原子炉

原子炉再循環 ポンプ (主蒸気流量) (給水流量) 給水流量 制 御 適応制御 給水ポンプ 主タービン 発電機負荷Lや断 及び主タービント リップ時の炉水位 安定化 運転モード,プラ ント出力に応じた 制御定数の最適化 図6 D-FRCの制御ブロック図 D-FRCでは.従来の給水流量制御と再循環流量制御機能に,両者間の協調制不軌 予測制御,適応制御などの機能を追加 し,プラントのトランジェントに対Lても安定した制御を継未完できる。 13

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632 日立評論 VOL.62 No.9(19809) 給水 ポ ン プ:-1台トリッフ 補助給水ポンプ:起動失敗 再循環ポンプ:卜lトソプ

:従来制御

I l l 協調制御 再循環流量変更 給水流量変更 l従来制御 l l l

給水涜量Q

主蒸気流量q

給水流量q

主蒸気流量q

炉水位q

原子炉スクラム (望州横瀬鋸 (彗叶伽蔓延 (璧岬棋収職叫 (∈ヱ単東生 成略津粧 00 0 00 0 00 0 ■h)

位⊂>

運 転 継 続 革100 0 咄糊単辟杜 哺酷寒堆 表100 口い l巧手土l盟 う阜斐ヒ 意繋 0 京100 ゆ胡 蝶 うヰ 恕 50 喜150 モ! う弓 塾 75 協調制御

ゝ_+空±埜

給水ポンプトリッブ 炉 水

位くク

タービントリップ

タービントリップ水位 時間

l

再循環ポンプトlトノブ 時間 図7 D-FRCの協調制御機能シミュレーション試!挨結果 給水ポ ンプ,再循環ポンプトリップというプラントのトランジェントに対L,従来の 制御装置では原子炉スクラム,タービントリップなどに至る可能性があったが, 協調制御機能により運転継続が可能となる。 定値のドリフト,サーベイランステストの閃難さなど,柿々 改善点があった。アナログトリップシステムは,これらの信 号をアナログ伝送器と校正器付アナログトり、ソプモジュール により,オンラインでの動作確認試験と校正ができるように したものである。これにより,サーベイランステストが中央 制御室で容易にできるばかりか,伝送器の異常検出も可能に なり,予防保全性の向上による信束副生向上と被曝低減を可能 にした。図9に校jEモジュール,トリップモジュールの外観 を,表1に各モジュールの主要仕様を示す。 表l アナログトリップモジュールの主な仕様 標準信号レベルで 取り合えるように一舟劉生をもたせてあり,かつ高い演算精度と安定性を実現している。 名 称 トリップモジュール 校正モジュール 一 般 用 サーモカッブル用

ATMOOOA ATMO10A ACMOOA

イ言号レ/ヾル 入力 4∼20mA†忙 0∼20mV 出力 トリップ接点 トリップ接点 校正出力 故障出力接点 アナログ出力 (l∼5V.,〔) (2点) (0∼10Vり。) ヒステリシス幅 (%フルスケール) 0.5∼7.5 任意設定可能 精 度 (%フルスケール) ±0.Z ±l.0 アナログ±0.15 表 示 ±0.2 温度影響 (%フルスケール/Oc) ±0,02 士0.02 ±0.OZ 電源電圧影響

(完了三笠㍍ごご%)

±0.3 士Tl.0 上0.5 14

軸…一触知 -■■坤軸 卜鸞 漂ミ

㌣ごl

図8 D-EHC(DigitalContro‖er for Electro-Hydraulic Contro】

System:ディジタル形電子油圧式タービン制御装置)の外観 多重構成により信頼性,保守性を飛躍的に高めた電子式タービン制御装置の外 観を示す。 トリップモジュール(一般用) 代}●

川孟門別凹叫Y㊦■卜川

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r・00 ・・】 校正モジュール

準.、螢

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トリップモジュール(サーモカップル用) 図9 アナログトリップモジュールの外観 アナログトリップモジ ュールは,伝送器あるいはサーモカップルなどからの信号から,トリップ信号 を出力するもので,校正モジュールにより,オンラインでの動作確認と校正が 中央制御室から簡単にできる。 l司

言 以_卜,接近の高イ言相化プラント制御装置の代表例について 述べたが,これらの開発により,重要な制御系の高イ言椒化を 実現することができた。 原j㌧力発電所に対しては,社会情勢及びエネルギー情勢の 変化により,ますます高イ言頼化,高禄動率化が要求されてい る。日立製作所は,今後とも更にプラント利子卸装置の高信頼 化に不断の努力を傾注Lていく考えである。 参考文献 1)伊藤,外:BWRプラント用給水・再循環系ディジタル制御 装荷の開発, 2) T.Ito et al. RecircuIation 25th Annua1 3)T.Ito et al, Recirculation 日本原十力学会年会子帖集,B15,(昭55-3)

:Development of a DigitalFeedwater and

flow Controller,Transactions of the ANS

Meeti叩,622∼623,Atlanta(Jun.1979)

:Co-Ordinated Controlof Feedwater and Syste皿S for BWR plamt,J.Nucl.Sci.

Technol,17,80∼82(Jun.1980)

4)東,外:蒸乞くタービン絹ディジタル式竜一 ̄r一油圧三ガ、バナ,「 ̄!立

参照

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