第2学年
総合的な学習の時間学習指導案
1 単元 「働くということはどういうことかを探ろう」 2 指導観 ○ 2045年には人工知能が人間の知能を超えるという予測があり、人間の仕事を奪ってしまうので はないかと懸念されている。このような時代を生きていく生徒たちには、どのような職業を選択 するかに関わらず、社会の変化を前向きに受け止め、人間ならではの感性を働かせながら働くこ とのやり甲斐や幸せを感じることの大切さを理解させることが重要である。また、社会の変化が 著しい現代社会において、生徒たちが夢や希望をもって自らの将来を切り拓いていくためには、 自己の生き方を主体的に考えることが大切であると考える。このような状況を踏まえ、中学校卒 業後の進路を自分の問題として考え始めるこの時期に、具体的な体験を通して働くということに 対する見方・考え方を養うとともに、自己実現に向けて進んで行動しようとする態度を育むこと は大変意義がある。 本単元では、職場での仕事体験活動を通して、働くということはどういうことかを探究し、そ こから今あるべき自分の姿を考え、行動しようとする態度を養うことをねらいとする。そのため に、自分の考えと働く人の考えとの違いから働くということに対する追究課題を設定し、職場体 験活動や学校、家庭での役割実践を通して得た情報を整理・分析しながら、今後の自己の生き方 について考えていくようにする。これらの学習は、働くということについての見方を広げるとと もに、現在の生活を改善してよりよく生きていこうとする態度を育てる上で意義深いと考える。 ○ 本学年の生徒は、第1学年で、将来に対する夢や憧れを抱くことができるように、身近な職業 についてインタビュー活動を行い、働く人の仕事に対する思いや考えについて学習してきている。 働くということに関する事前調査によると、現在自分が働いていると認識している生徒は○% と少なく、将来社会に出て働くという実感があると答えた生徒も予想以上に少なかった。この理 由としては、お金を稼がないと働くとは言えないと捉えていることや、働くということを遠い将 来のこととして認識していることが挙げられる。さらに、学校や家庭で自分の役割を果たしてい る生徒は多いが、自ら役割を果たす必要性を感じている生徒が少ないことも分かった。よって、 働くということに対する見方・考え方を広げ、学校や家庭で進んで役割を果たそうとする態度を 育成していくことが大切であると考える。 総合的な学習の時間の学習における調査では、自ら調べたいことを見つけて課題を設定したり、 周囲の人に聞いたりして必要な情報を収集したりすることができると答えた生徒は約○%と少な かった。このことから、これまでの総合的な学習の時間が、自ら課題を見付け、自ら学び、より よく問題を解決する学習になっていなかったことが分かる。そこで、本単元では、職場体験活動 を行うことを主な目的にすることなく、生徒が働くということを自分事として考えていく課題追 究の取組にしていきたいと考える。 ○ 本単元の指導にあたっては、生徒が働くということに対して疑問をもち、探究していくことに よって、働くことの厳しさや喜び及び働く人の思いを感得し、働くことの意義を理解することを ねらいとする。また、働くことに対する自分なりの価値を見いだしながら、今やるべき自分の役 割を考えていくことをねらいとする。 まず、つかむ段階では、生徒に働くということに対する自分なりの考えをもたせ、働く大人の 考えとの違いから追究課題を設定させる。深める段階では、二日間の職場体験活動に取り組み、 それらの体験で得た情報と予想した考えを比較したり関連付けたりしながら、働くことに対する 既有の考えを再構成させる。また、再構成した考えを事業所の方に伝え、それに対するコメント をもらうようにする。その後、グループや学級全体での交流活動を通して、各事業所からの情報 を比較したり分類したり関連付けたりしながら、働くということに対する考えを「自分のため」 と「人のため」という視点から捉えさせ、それらのつながりに気付かせる。広げる段階では、働 く場面を学校や家庭に広げ、学校や家庭で自分の役割を実践することと職場体験で学んだ働くと いうことを比較しながら共通点を見いだす。また、保護者や教師との対話を通して、働くという ことを将来の自分や実生活と結び付け、これからやるべき自分の役割を考えさせる。 このように、体験活動後に働く大人と対話をしたり友達との交流活動をしたりしながら多様な 他者と振り返る活動を行うことで、働くということを多面的に捉えることができるようになり、 その価値を今後の生活の中に生かしていこうとする生徒が育つと考える。3 単元目標 ○ 働くということはどういうことかについて多面的に捉え、働くことの意義を理解することがで きる。 【個別の知識・技能】 ○ 体験活動や交流活動で得た新たな情報を基に、働くということの捉えを付加したり、つながり を見いだしながら概念化したりすることができる。 【思考力・判断力・表現力】 ○ 体験活動や交流活動を通して積極的に課題解決に取り組み、そこから自分のやるべき役割につ いて考え、それを進んで果たしていこうとする。 【主体的に学習に取り組む態度】 4 本単元における評価規準 単元の評価規準 学習活動における評価規準と評価方法 つかむ・深める段階 広げる段階 個 働くということを ・働くということを多面的に捉え、 ・職場で働くことと学校や家庭で役 別 多面的に捉え、働く 働くことの意義を理解することが 割を果たすことを結び付け、働く の ことの意義やそれら できる。(ワ、振) ということの捉えを広げて理解す 知 のつながりを理解す ・働くということを「自分のために」 ることができる。(ワ、振) 識 ることができる。 「人のために」という視点で捉え、 ・働くということと将来の自分や現 ・ それらのつながりを理解すること 在の生活との関係、及び今の自分 技 ができる。(ワ、振) が取り組むべきことについて理解 能 することができる。(ワ、振) 思 体 験 活 動 を 通 し ・職場で働く人と対話をしたり、友 ・職場体験活動と学校や家庭での役 考 て、働くということ 達と学んだことを交流したりする 割実践を比較し、それらの共通点 力 に対する既有の考え ことを通して、自分の考えとそこ や相違点を見いだすことができる。 ・ を再構成し、それら で得た情報を比較したり関連付け (ワ、振) 判 を説明することがで たりしながら、働くということに ・学校や家庭での役割実践と、保護 断 きる。また、働くと 対する考えを付加・修正すること 者や教師の考えを基に働くという 力 いうことを複数の視 ができる。(ワ、振、ア) ことをさらに広げて捉えることが ・ 点で整理・分類する ・各事業所からの報告を基に、働く できる。(行、ワ、振) 表 ことができる。 ということを「自分のために」「人 ・働くということを将来の自分や実 現 のために」という視点で分類し、 生活と結び付け、今後自分が果た 力 働くということについて自分なり すべき役割について考えることが にまとめることができる。 できる。(ワ、振) (行、ワ、振) 主 「 働 く と い う こ ・自分の経験を振り返りながら、働 ・積極的に保護者や教師と対話をし 体 と は ど う い う こ と くということに対する自分の考え たり、友達と交流したりしながら 的 か 」 に つ い て 関 心 をもち、その考えとのDVDの内容 働くことに対する様々な見方や考 に をもち、積極的に課 を照らし合わせながら自分の追究 え方を受け止めるとともに、自分 学 題解決に取り組むこ 課題を設定することができる。 自身の課題を見つけようとする。 習 とができる。また、 (ワ、振) (ワ、振、ア) に その成果を日常生活 ・職場で働く人や友達と協働して学 ・これまで学んだことを基に、働く 取 と結び付け、今後の 習に取り組むことで、自分が調べ ということを将来の自分や実生活 り 生活に生かしていこ たこと以外の情報を収集すること と関連付けて、今から学校や家庭 組 うとしている。 ができ、働くということに対する で行う自分の役割を自己決定し、 む 見方や考え方の幅を広げて課題を それに対する実践意欲をもつこと 態 解決していくことができるよさに ができる。(ワ、振、ア) 度 気付くことができる。 (ワ、、振、ア) 評価方法 振:振り返りカード ワ:ワークシート 行:行動観察 ア:アンケート
5 単元指導計画(総時間25時間+課外) 過程 主な学習活動と生徒の意識の流れ 指導上の留意点 つ 1 現在の働くということに対する捉えを見つめ直 か し、個人課題を設定する。 〇 自分たちが考えた「働く」という む (1)アンケートの結果を基に、生徒が考えた「働く」 ことに対する考えを整理するために、 ① ということについての捉えを分類する。 思考ツールを使って可視化させる。 ・働く目的 ・厳しさ ・社会性 など 課 (2)職場体験を行う事業所で働く人の写真やDVDを視 〇 新たに働くことの喜びにも気付く 題 聴し、新たに考えた「働く」ということの捉えを ことができるように、写真やDVDを観 の 付箋に書いて付け加える。 る活動を行う。 設 ・やりがい ・喜び ・達成感 など 定 (3)「働く」ということについて分類したキーワード 〇 他のグループの考えを知ることが や、新たに付け加えた捉えについて発表する。 できるように、それぞれの発表を聴 (4)個人課題を設定し、理由と予想を書く。 く場を設定する。 ・働いていてやりがい感じるのはどんなときかを明らかにする。 ・お金を稼ぐこと以外に大切なことがあるのかを明らかにする。 ・どんな目的をもって働いているかを明らかにする。 ・どんな社会性を身に付ければよいかを明らかにする。 〇 追究可能な課題を設定させるため 共通課題:働くということはどういうことかを に、机間指導をして個別に助言を行 探ろう。 う。 (5)昨年度、職場体験活動をした三年生のからのメッ ○ 職場体験活動に対する見通しや意 セージを聴く。 欲をもたせるために、三年生の話を ビデオで視聴させる。 深 2 職場体験活動を行い、課題に対する考えを再構 め 成する。 る (1)課題解決の見通しをもつ。 ○ 生徒が見通しをもって課題解決に ㉓ ①課題を解決するための方法を考える。 取り組むことができるように、解決方 ・働いている人に質問し、話を聞く。 法を確認する。 情 ・働いている人を観察する。 報 ・実際に仕事を体験して実感する。 の ②職場体験活動を行うために、準備すべきことを出 ○ 生徒が主体的に職場体験活動に臨む 収 し合う。 ことができるように、事前に必要な準 集 ・事業所についての調べ学習 ・マナーの練習 備を自分たちで話合う活動を仕組む。 ・自己紹介カードの作成 ・アポイントメント取り ③事業所についての調べ学習を行い、課題に対す る質問内容を考える。 ④自己紹介カードを作成する ○ 社会のルールやマナーの大切さを ⑤GTの講話を聞き、礼儀・マナーの練習を行う。 実感することができるように、地域 ⑥電話の応対の仕方について学び、事前訪問のア で働いている人の話を聞く場を設定 ポイントメントを取る。 する。 ⑦事業所へ事前訪問を行う。 ○ 職場体験活動をスムーズに進めるた ・自己紹介を行い、追究課題について説明する。 めに、事前訪問をして課題について説 ・仕事内容や持参物等について確認し、職場の様 明したり、当日の連絡事項を聞いたり
子を見学する。 する活動を行う。 ⑧職場体験活動に向けて、最終確認を行う。 (2)一日目の職場体験活動を行う。 ①体験活動を行う。 【多様な他者との振り返り活動】 ②事業所の方に質問したり、働くということにつ ○ 学んだことを価値付けしてもらい、 いての考えを伝えたりしてコメントをもらう。 課題に対する考えを付加するために、 ③一日目の職場体験を振り返り、働くということ 事業所の方と対話を行う。 について自分の考えをまとめる。 ・働くということは、人を笑顔にすることだと思う。園児と一緒に遊んだら、園児がとて も喜んでくれたので、自分も嬉しくなった。園児が言うことを聞いてくれなかったり、 体力を使ったりすることはきついけど、その分園児は笑顔になってくれる。 ④二日目の体験活動に向けて課題解決の計画を再 ○ 働くということに対する考えを広 設定する。 げるために、明日の体験活動の見通 しを持たせる。 ・園児を笑顔にするために工夫していることを明らかにしていく。また、苦労しているこ とについても聞いてみる。 (3)二日目の職場体験活動を行う。 ①体験活動を行う。 【多様な他者との振り返り活動】 ②事業所の方に質問したり、働くということにつ ○ 働くということに対する考えを深 いての考えを伝えたりしてコメントをもらう。 めるために、事業所の方と対話を行 ③二日目の職場体験を振り返り、働くということ い、考えをさらに付加・修正する活 について自分の考えをまとめる。 動を設定する。 ・働くということは、相手のことを考えて行動することだと考える。その理由は、園児を 喜ばせるだけでなく、園児の安全面に気を配る大変さがあるからである。園児がどんな 行動をするのかを予測しないといけないので、相手のことを考えて行動することが大切 だと思った。 (4)事業所の方に、これまでの学習の成果を報告する。 ○ レポートやお礼状の書き方で戸惑 ①個人でレポートをまとめる。 うことがないように、様式やモデル ②事業所の方にお礼状を書く。 を提示する。 ※各事業所へ事後訪問を行う。 整 3 職場体験活動で得た情報をグループや学級全体 ○ 友達の体験の様子を知るとともに 理 で交流し、働くということについて、自分の考え 自分の頑張りを確認することができ ・ を明らかにする。 るように、生徒全員をスライドに映 分 (1)写真のスライドショーを視聴し、各事業所での職 すようにする。 析 場体験の様子を知る。 【多様な他者との振り返り活動】 (2)働くということについて考えたことを、異なる事 業所で構成したグループで発表する。 私は、働くということはやりがいをもって仕事をすることだと考えました。 その理由は、施設の方の話から、どんなにきつくても利用者の方が感謝の気持ちを返してく ださると、とてもやりがいを感じるということが分かったからです。また、私も実際に仕事 を体験して、利用者の方からたくさんの笑顔や感謝の言葉をもらったことで、やりがいを感 じたからです。 (3)学級全体で働くということについての考えを整理 ○ 働くということについての考えがそ
し、つながりを考える。 れぞれつながっていることに気付かせ 自分のため = 人のため るために、働くということをそのよう ・自分が学んでいくこと ・人を喜ばせること に考えた理由を発表させる。 ・自分のために仕事をすること ・社会に貢献すること ・やりがいを感じること ・相手のことを考えて行動すること ○ 働くということに対する捉えの変 ・達成感を味わうこと ・協力して仕事をやり遂げること 化を実感することができるように、予 ・人とつながりもつこと ・責任をもって仕事をすること 想した考えと現在の考えを比較しなが ・一生懸命頑張ること ・人のために行動すること ら自分の考えをまとめる活動を行う。 ま (4)働くということについて、自分の考えを再構成す と る。 め 私は、最初、働くということはお金を稼ぐことだと考えていました。しかし、友達との交 ・ 流を通して、働くということは、責任をもって仕事をすること(自分の役割を果たさないと 表 いけないから)、社会に貢献すること(働くことで人のためになっているから)、学ぶこと(自 現 分も勉強していかなければいけないから)、やりがいを感じること(人のためにすることが喜 びとなるから)だと考えました。 また、今日の学習を通して、働くということは、みんなを幸せにすることだと思いました。 そして、責任をもって仕事をすることや協力して仕事をやり遂げることは、学校生活の中で もやっていきたいと思いました。 課 4 働く場面を広げて考える。 ○ 働くということを実生活と結び付け 題 (1)職場以外にも「働くということ」がないか考える。 て考えることができるように、生徒が の 【学校】・係活動 ・委員会活動 ・清掃活動 発表した内容から、発問を切り出す。 設 ・勉強 ・部活動 ・学校行事 定 【家庭】・家事 ○ さらに働くということの捉えを広 【地域】・ボランティア活動 げて考えさせるために、職場で働くこ 本 (2)学校や家庭で、働くということを意識しながら実 とと学校や家庭で役割を果たすことに 時 践することを決定する。 共通点があるかを探っていくことを確 ① 【学校】清掃活動 【家庭】風呂掃除 認する。 情 【多様な他者との振り返り活動】 報 ※一週間、学校や家庭で実践する。(課外) ○ 働くということについての考えに の 意味付けや価値付けをしてもらうた 収 ※実践後、課題についての考えを教師や保護者に伝 めに、保護者や教師と対話をする活 集 えてコメントをもらい、感じたことをまとめる。 動を設定する。 広 5 学校や家庭での役割実践について振り返り、今 げ 後の生き方を考える。 【多様な他者との振り返り活動】 る (1)学校や家庭で役割を果たすことと職場で働くとい ○ 比較する際に類似する点が明らかに ① うことを比較して考えたことを学級全体で交流す なるように、前時で考えた「働くとい る。 うこと」の意義を黒板に掲示する。 整 ・家で風呂掃除をやってみて、職場で働くのと同じように、毎日家事をやっていくことも大 理 変なことが分かり、母は大変な思いをして家事を頑張っているんだなと思いました。また、 ・ 母が「ありがとう」と言って喜んでくれたので、とても嬉しかったです。だから、これか 分 らは母が少しでも楽になるように、積極的に家事を手伝っていきたいです。 析 (2)これまでの学習を振り返り、自分が考える「働く ○ 「働くということ」に対する捉えの
ということ」をまとめ、交流する。 拡がりを認識することができるよう ・「中学生は働いているか」について考える。 に、単元の学習以前のアンケート調査 の結果を提示する。 ・私は、最初、働くということをお金を稼ぐことだと考えていましたが、学習を通して、責 任をもって仕事を果たすこと、達成感を味わうこと、人を喜ばせることなどがあることが 分かりました。また、それらは別々のことではなく、つながりがあることも分かりました。 そして、中学生はお金を稼いでいないので、働いていないと思っていたけれど、職場で働 くということと、学校や家庭で自分の役割を果たすことは、人のためにも自分のためにな るので、似ていることが分かりました。だから、自分の将来に向けて、今から自分にでき ることは積極的にやっていきたいと思います。 ま (3)将来の自分を見据えて、これからどのように自分 ○ 職場体験や学校・家庭での実践を今 と のやるべき役割を果たしていくのかを考える。 後の生活に生かしていくことができる め ・事業所の方や保護者、教師からのコメントを読み、 ように、事業所の方や保護者、教師か ・ そこに込められた思いや願いを考える。 らの期待(励まし)のコメントを紹介 表 する。 現 ・私は、将来、園児を笑顔にする保育士になりたいと考えています。そのためには、免許を 取る必要があるので、学校でも家でも一生懸命勉強を頑張って、もっと学力をつけていき たいと思います。また、保育士になったら園児をまとめていかなければいけないので、体 本 育祭や合唱祭などの学校行事では、リーダーとなって積極的に企画や運営に携わっていき 時 たいと思います。それから、家庭では、家族を笑顔にするために風呂掃除だけでなく食器 ② 洗いもするようにして、少しでも家族の役に立つように頑張っていきたいです。 6 本時①の展開 「働くということはどういうことかを探ろう」(深める段階) 7 本時主眼 ○ 友達の発表を基に、働くということについての捉えを広げたり深めたりしながら、働くとい うことに対する考えを再構成することができる。 ○ 職場体験活動を通して明らかにした考えやその理由を説明することができる。 8 展開 過程 主な学習活動と子供の意識の流れ 指導上の留意点 1 職場体験活動を振り返り、本時のめあてを確認する。 ○ 友達の体験の様子を知るとと (1)写真のスライドショーを視聴し、各事業所での職場体験 もに、自分の頑張りを確認する つ の様子を知る。 ことができるように、生徒全員 か (2)本時のめあてを確認する。 をスライドに映すようにする。 む 友達の発表を聞いて、働くということについての考えを深めよう。 / 2 職場体験を通して考えた内容をグループや学級全体で ○ 発表の内容を把握しやすくす 交流する。 るために、職場体験活動の報告 (1)働くということについて考えたことを、異なる事業所で 書を事前に配布しておく。 構成したグループで発表する。 私は、働くということはやりがいをもって仕事をすることだと考えました。 その理由は、施設の方の話から、どんなにきつくても利用者の方が感謝の気持ちを返してく ださると、とてもやりがいを感じるということが分かったからです。また、私も実際に仕事 を体験して、利用者の方からたくさんの笑顔や感謝の言葉をもらったことで、やりがいを感
じたからです。 (2)グループで、働くということについての考えを整理する。○ 働くということに対する個別 ・共通する考えをまとめる。 の考えを概念化して捉えること ・短いキーワードでまとめる。 ができるように、まずはグルー (3)どのように整理したかを発表し、さらに学級全体で共通 プで整理する活動を行う。 する考えをまとめ、整理する。 追 働くということは、 究 ・自分が学んでいくこと ・自分のために仕事をすること ・人を喜ばせること す ・相手のことを考えて行動すること ・人のために行動すること ・社会に貢献すること る ・人とつながりをもつこと ・やりがいを感じること ・達成感を味わうこと ・協力して仕事をやり遂げること ・一生懸命頑張ること ・信頼関係を築くこと (4)出し合った考えを二つに分け、つながりを考える。 ○ 働くということについての考 自分のため = 人のため えがそれぞれつながっているこ ・自分が学んでいくこと ・人を喜ばせること とに気付かせるために、働くと ・自分のために仕事をすること ・社会に貢献すること いうことをそのように考えた理 ・やりがいを感じること ・相手のことを考えて行動すること 由を発表させる。 ・達成感を味わうこと ・協力して仕事をやり遂げること ・人とつながりもつこと ・責任をもって仕事をすること ○ 働くということに対する捉え ・一生懸命頑張ること ・人のために行動すること の変化を実感することができる ように、予想した考えと現在の / 3 働くということはどういうことかについてまとめる。 考えを比較しながら自分の考え (1)働くということについて、自分の考えを再構成する。 をまとめる活動を行う。 私は、最初、働くということはお金を稼ぐことだと考えていました。しかし、友達との交 流を通して、働くということは、責任をもって仕事をすること(自分の役割を果たさないと ま いけないから)、社会に貢献すること(働くことで人のためになっているから)、学ぶこと(自 と 分も勉強していかなければいけないから)、やりがいを感じること(人のためにすることが喜 め びとなるから)だと考えました。 る また、今日の学習を通して、働くということは、みんなを幸せにすることだと思いました。 そして、責任をもって仕事をすることや協力して仕事をやり遂げることは、学校生活の中で もやっていきたいと思いました。 (2)考えたことを発表する。 4 働く場面を広げて考える。 ○働くということを実生活と結び (1)職場以外にも「働くということ」がないか考える。 付けて考えることができるよう 【学校】・係活動 ・委員会活動 ・清掃活動 ・勉強 に、生徒が発表した内容から、 ・部活動 ・学校行事 発問を切り出す。 【家庭】・家事 【地域】・ボランティア活動 ○ さらに働くということの捉え (2)今後の学習の見通しをもつ。 を広げて考えさせるために、職 ・学校や家庭で自分の役割を実践し、職場で働くのと同じ 場で働くことと学校や家庭で役 ようなことが実感できるかを意識して取り組む。 割を果たすことに共通点がある ・実践を通して感じたことや考えたことを保護者や教師に かを探っていくことを確認する。 伝え、コメントをもらう。
6 本時②の展開 「働くということはどういうことかを探ろう」(広げる段階) 7 本時主眼 ○ 学校や家庭での体験を友達同士で交流することを通して、「働くということ」は、将来、職場で 仕事をすることだけでなく、現在、学校や家庭で役割を果たしていることも含まれることを理解 することができるようにする。 ○ 事業所の方や教師、保護者からの評価を基に、将来の自分を考え、交流することを通して、「働 くということ」を実生活での自分の役割と結び付けて考えることができるようにする。 8 展開 過程 主な学習活動と子供の意識の流れ 指導上の留意点 1 学校や家庭での役割実践を振り返り、本時のめあてを ○ 「働くということ」を意識し 確認する。 ながら清掃活動や家事に取り組 つ (1)スライドを視聴し、学校や家庭で「働くということ」を んだことを確認することができ か 意識しながら自分の役割を実践したことを振り返る。 るように、スライドを視聴する む (2)本時のめあてを確認する。 活動を設定する。 職場体験や学校、家庭での実践をもとに、「働くということ」について考えをまとめよう。 / 2 学校や家庭で役割を果たすことと職場で働くというこ ○ 比較する際に類似する点が明 とを比較して考えたことを学級全体で交流する。 らかになるように、前時で考え (1)学校や家庭で自分の役割を実践して考えたことを交流す た「働くということ」の意義を る。 黒板に掲示する。 ・学校で清掃活動を行うことは、みんなで協力して行うところや自分のためにも人のために もなるところが職場で働くことと似ていると思いました。これからは、もっとみんなが気 持ちよくなるように、隅々まできれいにしていきたいです。 ・家で風呂掃除をやってみて、職場で働くのと同じように、毎日家事をやっていくことも大 変なことが分かり、母は大変な思いをして家事を頑張っているんだなと思いました。また、 追 母が「ありがとう」と言って喜んでくれたので、とても嬉しかったです。だから、これか 究 らは母が少しでも楽になるように、積極的に家事を手伝っていきたいです。 す (2)これまでの学習を振り返り、自分が考える「働くという ○ 「働くということ」に対する る こと」をまとめ、交流する。 捉えの拡がりを認識することが ・「中学生は働いているか」について、本単元の学習以前の できるように、単元の学習以前 考えと現在の考えを比較する。 のアンケート調査の結果を提示 する。 ・私は、最初、働くということをお金を稼ぐことだと考えていましたが、学習を通して、責 任をもって仕事を果たすこと、達成感を味わうこと、人を喜ばせることなどがあることが 分かりました。また、それらは別々のことではなく、つながりがあることも分かりました。 そして、中学生はお金を稼いでいないので、働いていないと思っていたけれど、職場で働 くということと、学校や家庭で自分の役割を果たすことは、人のためにも自分のためにな るので、似ていることが分かりました。だから、自分の将来に向けて、今から自分にでき ることは積極的にやっていきたいと思います。 / 3 将来の自分を見据えて、これからどのように自分のや ○ 職場体験や学校・家庭での実 るべき役割を果たしていくのかを考え、交流する。 践を今後の生活に生かしていく ・事業所の方や保護者、教師からのコメントを読み、そこ ことができるように、事業所の に込められた思いや願いを考える。 方や保護者、教師からの期待(励 生 まし)のコメントを紹介する。 か ・私は、将来、園児を笑顔にする保育士になりたいと考えています。そのためには、免許を す 取る必要があるので、学校でも家でも一生懸命勉強を頑張って、もっと学力をつけていき たいと思います。また、保育士になったら園児をまとめていかなければいけないので、体 育祭や合唱祭などの学校行事では、リーダーとなって積極的に企画や運営に携わっていき たいと思います。それから、家庭では、家族を笑顔にするために、風呂掃除だけでなく食 器洗いもするようにして、少しでも家族の役に立つように頑張っていきたいです。