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「聴いて書く」という学習の深化を目指す実証的研究

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Academic year: 2021

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(1)109. 学校教育学研究,2007,第19巻,pp.109−l19. 「聴いて書く」という学習の深化を目指す実証的研究      小 竹 光 夫      (兵庫教育大学).      神 野 佳代子 (兵庫教育大学大学院・言語系コース)  何気なく「書く」という言い方がされるが,その内容を考えてみると場面や状況によって,形態は多様なものとなる。特 にその中での「聴いて書く」という記録の方法は,学力の内容自体が不明確なものとなりやすく,先行的な研究も限られて いるのが実状である。国語科では,主として「作文」が書く活動の中心のように考えられやすい。しかし,作文だけでなく,. 文字を覚えるために書いたり,話を聞いて書いたり,書かれてある内容をまとあて書くなども,当然のこととして注目すべ き書く活動であろう。国語科の「書写」で提案される「意識して文字を書く」や,r書くことによって文字を確かめる」も, 書く活動内容として見落とすことはできない。.  本論では,小学校6年生を対象とした実験,実践研究の中から導き出された「書く」ことの方向性について,新たな一つ の提起を行おうとしている。. キーワード 聴いて書く,書写,国語科 小竹 光夫:兵庫教育大学・社会言語学系・教授,〒673−1494兵庫県加東笹下久米942−1,E−mail:mitshino@hyogo−u.acjp. 神野佳代子:兵庫教育大学大学院・言語系コース・大学院生,〒673−1494兵庫県加東市下久米942−1. Practical Study regarding Deep Leaming of”Listening and Writing”  Mitsuo Shino and Kayoko Jinno (ψ090伽’Vθ疋吻・qプ7セOC乃θrEぬ0α”0η). Although we o負en use the word”Wdting”unconsciously, it has vadous鉛㎜s in any scenes and si加ations. Especially the method負)r record by「「Listening and Writing”is apt to be unclear and previous study is limited in fact. In the department of Japanese,「℃omposition”is considered to be the main point in generaL Not only composition but also writing ibr leaming characters. or summahzing the wrlせen contents are remarkab正e points of”Writing”. In penmanship of the department of Japanese we also insist on the impo震ance of,Wdting characters consciously”and℃hecking charactes by writing”,  In this thesis new suggestions fbr闘Writing‘’are made丘om the practical research fbr the sixth grade.. Key Words:Listening and Writing,pe㎜Imship,depar㎞ent of Japanese.  Mitsuo Shino:Profbssor, Social Science and Social Studies, and Language Education, Hyogo University of Teacher Education,942−l Shimokume, Kato−city, Hyogo 673−1494 Japan. E−ma重1:mitshino@hyogo−u.acjp.  Kayoko Ji㎜o:Graduate school student, Language Education, Hyogo University of Teacher Educatio11,942−l Shimokume, Kato−city,. Hyogo 673−1494 Japan.

(2) IIO. 学校教育学研究,2007,第19巻. 1 はじめに. 離れ」が生じ始めている。.  自分の思いを,自分の言葉や文・文章にする。それは,.  「書く」という行為,あるいは活動は,国語科の学習. 前述のように出力として捉えられやすいことではある。. の中だけでなく,他教科の学習や学校生活の様々な場面. しかし,「書く」ことは,単なる表現としての出力に止. でも頻繁に行われている事柄である。しかし,その多く. まるのではなく,自己確認や意識といった入力部分にま. は「視て書く」という形態で,板書や印刷物を見て内容. で及ぶのではないか。つまり,国語科書写で言われる. を写しとるといった,いわゆる「作業」のような形で扱. 「文字を書き確かめる」という内容を踏まえ,その発展. われる。当然,本論で扱う「聴いて書く」や,「ま乏め. 型として「書く」を位置づけることの必要性を感じ続け. て書く」という場面も日常では数多いが,「メモの取り. ている。本論では,主要には「聴いて書く」という行為. 方」といった理解事項どして提示されるのみで,方法を. 活動の重要性と,それを意図的,計画的に育成する道筋. 具体的な形で指導することは少ない。. を実践的,実証的に明らかにしょうとしている。国語科.  国語の学習の中核となる国語科では,「『書く』と言. で言う「書くこと」という領域からの提起ではなく,. えば『作文』」と理解されることも多く,「視て書く」や. 「文字を書くこと」を起点とする国語科書写からの試み. 「聴いて書く」を主題材として実践を展開することは稀. ということになろう。. なこととなっている。一方,「書くという行為」に関連 する国語科書写(国語科の言語事項)においては,「文. 2 「書く」という行為,活動の多様性について. 字を速く,正しく,整えて書く」に重点があり,「メモ.  平成10年版小学校学習指導要領解説国語編(以下,. をとる方法」ではなく,「メモをとるときの字形や配置・. 「解説」と略す。)「第一節〔第1学年及び第2学年〕」の. 配列」といったものに学習は焦点化される。「日常に生. 「ア 書写に関する事項」には,書くことについて次の. きて働く」ということが繰り返し言われるが,国語科の. ような記述がある。. みならず総ての学習活動の場面で,この最も基本的な.    文字は単一の孤立した形で使用されるのでなく,. 「書く」という行為,、あるいは活動というものは放置さ.   複合的に組み合わされる中で伝達手段としての機能. れ続けていると言えよう。.   を発揮する。例えば,書写においては「見て書く」,.  端的な例は,日常的に繰り返される学習記録の類であ ろう。多くの場合,学習崇め手元に残る学習記録は,指.   「聴いて書く」等の多様な場面が想定できる。.  平成10年版以前の解説での書写の内容は,「文字を書. 導者の行う板書を見て,書き写すことによって成立して. くこと」に限定されたものであった。しかし,本解説で. いる。それは文字習得期の小学校低学年でも,情報量が. は,. 加速度的に増大する高校生の場合も,「書く」という技.    「線→点画→部分・部首→文字」と展開した学習. 能差こそあれ取り入れられている方法である。しかし,.   は,さらに「語→文→文章」へと拡大しながら,文. 大学生になった段階で,この学習記録の方法は大きな転 機を迎えることになる。口述が主であり,板書事項が極.   字活用の幅を広げていく。 という,「文字を書くこと」に限定されない広範な内容. 端に減少する大学での講義や演習の学習記録を,どのよ. を包含するものとなっている。この視点は,これまで同. うに取り続けるかに混迷する大学生たちは数少なくない。. 一教科門中に存在しながらも遊離しがちであった,「作. 当然,「聴いて書く」や「まとめて書く」という,「視て. 文」と「書写」を繋ぐ一つの道筋として注目すべきもの. 書く」から発展した書く方法を習得していなければ,新. であろう。. たな情報を正確に入手することも,活用することもでき.  国語科書写の立場として捉えるならば,「書く」とい. まい。小学校から高等学校までの,いわゆる「書く方法. う行為,活動は,大きく二つの場面に区分されよう。区. の習得期」には浮上してこなかった問題点が,大学段階. 分の一つは「みて書く」であり,一方は「きいて書く」. に至って初めて顕在化してくる。. である。.  加えて,最近の児童・生徒に対して言われるのが, 「読書離れ」であり,「活字離れ」である。短絡的に考え. (1)「みて書く」学習への考察. れば,「読む」ことからの離脱であろうが,入力として.  「はじめに」では,「視て書く」という表記を用いて. の「読む」と出力としての「書く」が表裏一体の行為・. いるが,何らの意図や感情を挟まない場合,「みて書く」. 活動であることを考えれば,「読む」ことのみならず,. と記すのが適当であろう。つまり,「みる」と表記せず,. 「書く」ことへの影響も少なくはない。多少,抽象的な. 「見る」「視る」「観る」「看る」「診る」「覧る」等の漢字. 表現ではあるが,「文字に接することを忌避する傾向」. を用いれば,当然のこととして内容的な差異が表面化し,. が増大し続けているということになろう。携帯電話のメー. 客観的な表現から外れることになるからである。. ルに没頭する傾向性が指摘される反面で,奇妙な「文字.  漢字表記した場合の,意味的な差異は以下の通りであ.

(3) 111. 聴いて書く. る。「見る」とは,視覚によって対象をとらえることで. 以下のような階層性をもって考えることができよう。. あり,「視る」とは,見ようとして見ることである。ま.    (方法の上での深化). た,「観る」とは,物をながめみる,そばから物を観察.     視たものを視たままに書く. することである。「看る」とは,手をかざして見る,う.           ↓. かがい見る,見守るという意味がある。「診る」は,医.     視たものの中からキーワードを探し出し,. 者が患者の具合を調べるという意味である。「覧る」は,.     項目書きの形で書く. 一通り目を通す,広く見渡すという意味である。「看る」.           ↓. や「診る」,さらに「覧る」は特殊な用法であることか.     視たものの中から意味としてのまとまりを探し. ら,学習活動という枠組みからは切り離してよい。残る.     出し,まとめ書きの形で書く. 「見る」や「視る」,加えて「観る」は,「書く」上での.  かって,国語科書写の学習で国書における行書の有効. 対象物を見極める際の「意識化」という点から,次のよ. 性が言われたが,文字間の空筆時間等を考慮すれば,単. うな階層性をもって考えることができよう。本論で触れ. 一の文字の速書きが文や文章の下書に繋がるという保障. る「みて書く」とは,この中の「視る」に該当する。     (意識の上での深化). はない。結局,語句や文節を単位として読む力や,それ を文字に移す力を育成しない限り,「視写」を効率化す.     見る →観る →視る. ることはできない。ただし,「視たものを書く」という.  平成10年版解説の「ア 書写に関する事項」では,こ. 「視写」は,書写力との関連が深いことから,練習を重. の意識化の階層性については触れられていないが,「き. ねれば必ず上達するものであり,学習者にとっても理解. いて書く」が「聴いて書く」となっていることを考えれ. しやすい。今後,一視野の中に認知できる字数や語数の. ば,背後に存在するものを推察することは容易である。. 検証や,記憶力と視写力の相関を研究の視点として,深.  「視て書く」とは,書かれている文字等を視て書き写. めていくことが必要な分野であろう。. す活動で,「視写」という表現で示されることもある。. 漢字を指導者の例示通りに書いたり,文や文章,詩・短 歌・俳旬等の作品を書き写したりすることが多いが,文. (2) 「きいて書く」学習への考察.  「きく」という行為,活動も,漢字表記によって内容. 章の内容をよりょく理解するために活用されることもあ. の差異が明らかになる。漢字表記した場合の,意味的な. る。つまり,板書や教科書などの事例に注目し,意識化. 差異は以下の通りである。. しながら書き写すことは総て「視写」として括ることが.  「聞く」は,音や声を耳で感じることであり,聞こう. できるわけで,幅広く考えれば学級活動の中で用いられ. と思っていようといまいと,向こうから否応なしに聞こ. る「連絡帳」なども一例として含めることができよう。. えてくるという状況である。内容的に考えれば,多分に.  青木春季は,著書『第三の書く』の中で「視写」のメ. 受動的な響きをもっている。「聴く」とは,耳を傾け注. リットについて次のように述べている。. 意して聞き取る,聞き入れるという意味で,耳に入って.  ① 文章に書きなれ,速く書き写せるようになります。. くる音声を待ち受け,その意味をきき知り,自己を関わ.  ② 文字やことばの使い方,記号,改行など表記に関. らせて判断していく行動である。「聞く」と比べれば,.   する基礎を確かにすることができます。. 主体的,能動的なニュアンスを内含している。「訊く」.  ③ 文章を視写することが,音読や黙読ではとどかな. とは,相手に質問するという意味である。「訊く」は特.   い文章理解の道を開いてくれることは,多くの読書. 殊な用法であることから,学習活動という枠組みからは.   人の語るところです。. 切り離してよい。残る「聞く」と「聴く」は,「書く」.  ④さらには,視写による,表記についての慣れ,文. 上での対象への「意識化」という点から,次のような階.   章の理解,その理解に触発をうけて,表現への意欲. 層性をもって考えることができよう。本論で触れる「き.   をもっことができるというものです。. いて書く」とは,この中の「聴く」に該当する。.  「視写」は,、具体的な形象として提示される事例を書.    (意識の上での深化). き写すことになり,学習者の負担を軽減することにはな.     聞く → 聴く. る。しかし,文字習得期の小学校低学年では,文という.  「聴いて書く」とは,人の話,人の読声を聞いてそれ. まとまりで視て書き写すのでなく,一字一字目視て書き. を書き取る活動で,「聴写」という表現で示されること. 写すことになることから,時間の配分等に配慮が必要と. もある。一般社会で頻繁に行われることではあるが,文. なる。さらに,「視たもの・を視たままに書く」という初. 字などの具体的な形象が提示されない音声言語を対象と. 発の活動から,「視たものの中から要点を抜き出し,再. するので,前述の「視写」などとは比較にならないほど. 活用が容易なようにまとめて書く」となれば,かなりの. 難度が高い行為,活動である。. 訓練が必要となろう。「視て書く」という行為,活動も,.  安田恭子は,著書『視写・聴写・書き込み』の中で.

(4) l12. 学校教育学研究,2007,第19巻. 「二三」のメリットについて次のように述べている。. 「読み」を「音読」として位置づけ,欠落を補完しよう.  (1)文字化された教材が不要であること. としている。) 国語科の学習においても,「話す・聞く」.  (2)肉声を聞くことによって,親近感,臨場感をもつ. という領域の中で,話すことに重点をおいたコミュニケー.   て学習に取り組めること. ション能力が重視され,評価の難しさとあいまって「聞.  (3)手軽に実施でき,練習学習に向いていること. く」という部分への細やかな指導は行われていない場合.  音声による強弱やリズム,抑揚といったものが,微妙. が多い。. なニュアンスの違いを相手に伝えることは確かである。.  聴いたことによる理解の深まりを,どう評価するかは. その意味では,安田の言う(2)の指摘は正しい。しか. 難しい。ある意味,どれだけのことを聴き取ったかは,. し,「聴いて書く」という立場からすれば,具体的な音. 続く学習活動で確かめる以外にないのかも知れない。し. 声言語として提示されないニュアンスを書き取ることは,. かし,聴くことを抜きにして,新たな知の再生産はあり. メリットというよりデメリットに近いのではないか。さ. 得ないし,話すことも高められない。俗に言う「話し上. らに,(1)や(3)の指摘は,明らかに指導者側の利点. 手は聞き上手」は抽象的であるとしても,話す相手が何. であり,学習者の立場に立つものではない。. を言いたいのかをしっかりと聴き取り,相手の思いを受.  青木幹勇は,前掲の『第三の書く』の中で,「聴写」. け止めることがなければ,話すことの深化も望みようが. の利点は認めながらも,難しさについて次のように述べ. あるまい。. ている。.  ①注意を集中し,相手のことばを理解して,聞きと. (2)「まとめて書く」学習への考察.   る。.  「まとめて書く」とは,書かれてある内容を要約した.  ② その理解にもとづき仮名,漢字その他どんな文字. り,自分の思いや考えを文章に書き表したりするという.   を使うか即時の判断が要求される。. ことである。要約文や意見文等もこれに含まれる。書き.  ③ 相手の話や,読声に遅れないために,暫時ことば. 方の差であるから,前述の「視て書く」や「聴いて書く」.   を意識に停留させ,それを書きとめる筆速が求めら. とは括り方が違う概念である。「視て書く」と「聴いて.   れる。. 書く」の中で階層性として掲げる「視たものの中から意.  「聴写」の対象は視覚化されたものでない。時間の経. 味としてのまとまりを探し出し,まとめ書きの形で書く」. 過とともに消失と変動を繰り返す,極めて難易度の高い. や,「聴いたものの中から意味としてのまとまりを探し. 音声というものが対象である。話を聞くことが苦手,言. 出し,まとめ書きの形で書く」がこれに当たる。. 葉の意味を知らない,語彙が乏しい,相手を思いやる気.  「まとめて書く」ためには,視たり聴いたりした中の. 持ちが不足がちと言われる児童・生徒にとって,困難が. 重要な点を発見すること,発見をつなぎ合わせてまとめ. 生じるのは必然であろう。「聴いたものを聴いたままに. ることが必要となる。意見を述べようとすれば,対象に. 書く」という初発の活動から,「聴いたものの中から要. 対しての自分の考えを明らかにし,その根拠を述べなけ. 点を抜き出し,再活用が容易なようにまとめて書く」と. ればならない。どちらの場合も,読み手を納得させるた. なれば,かなりの訓練が必要となろう。「聴いて書く」. めにはかなり高度な文章力が必要となる。. という行為,活動も,以下のような階層性をもって考え.  青木豪勇は,このような「まとめ書き」を「書きまと. ることができよう。. あ」と称し,『第三の書く 一読むために書く 書くた.    (方法の上での深化). あに読む一』の中で次のように述べているQ1.    聴いたものを聴いたままに書く.   一編の教材文全体を視野に入れて,まとめるという.         ↓.  前に,まず,一つの段落をまとめる。次に二つ三つと.    聴いたものの中からキーワードを探し出し,.  関連のある段落相互に視野を広げ,それをまとめるよ.    項目書きの形で書く.  うにしていきます。.         ↓.   仮りにある段落をまとめるとしますと,.    聴いたものの中から意味としてのまとまりを探し.   ①各センテンスの重要語句を押さえる。.    出し,まとめ書きの形で書く.   ②いくつかのセンテンスの中のメインになってい.  昨今,話題性をもって姐上に上る「読み・書き・計算」.    る文をとらえる。. が,かつての日本の基礎教育であった「読み・書き・算.   ③メインセンテンスと他のそれとの関係を考える。. 盤」を模していることは明らかである。極論するならば,.   このようにしてとりあげたものを,考え合わせ,主. この「読み・書き・算盤」は無声化した学習活動となり.  軸になる文をこしらえ,副次的なものを添えたり,捨. やすく,その反省から音声言語指導の強化が指摘されて.  乱して,「書きまとめ」をしてみます。一見わずらわ. もいる。(現在の「読み・書き・計算」重視の風潮では,.  しく見えますが,何度かくり返していると,要領がわ.

(5) 113. 聴いて書く. かってきます。.   5 ぼくは,おとこです。.  以上,3視点から,「書く」という行為,活動の多.   6 わたしは,おんなです。. 様性について概要を示した。.   7 にわは,ひろい。  「わ」と「は」が近接する7には,「にわわ,ひろい。」. 3 「きいて書く」に関わる幾つかの実践. や「にはわ,ひろい。」という誤答例が見られた。板書 を見て書き写すという形態では生じない誤答であるが,.  板書,あるいはプリント等の資料を参照しながら視写. 間違いを轡めるのではなく意識化の一助と考え,簡単な. するという学習に対し,音声言語を文字化して書き留め. 例文の聴罪を数多く行うことが効果的であると考える。. るという「聴いて書く」ことの負担の大きさは,前段で も述べた。具体的な文字や文・文章を見ず,音声を文字. (2)実践B. という形体に変換するという行為は,小学校低学年にお.  多くの公立学校同様,授業終了後に家庭等への連絡の. いては必須でありながら,展開することが難しい学習の. ための時間が設定されている。主として担任が連絡事項. 一つであると言えよう。放置すれば以降の学習に阻害が. を黒板に書き,それを児童が書き写すことになる。その. 生じる,先行実践も少ない中で取り組もうとすれば指導. ような活動の中,聴くことにも,書くことにも集中力が. 者側に戸惑いが生じる。このような状況の中,力量の不. なく,突出して書くことが遅い児童がいた。多くの児童. 足を実感しながらも取り組んだのが以下の実践である。. は,10分もかからないが,当該児童は45分もかかる場合.  対象は,論者の勤務する兵庫県相生市立相生小学校の. があった。そのような児童への取り組みを中心とした,. 第1学年21名である。. 「終わりの会」での実践である。.  いわゆる通常の対話に問題はないが,「終わりの会」 (1)実践A. での担任の話は学級全体に対して行われるため,当該の.  助詞「は・を・へ」は,発音上も「わ・お・え」と差. 児童の場合,「自分への話として捉えていない」ように. 異が生じないため,混同が生じやすい言語事項の一つで. 見えた。つまり,聴く力の欠如は,自分を主体化できな. あると言われている。指導時期が遅れた場合は,「学校. いことによって生じているのではないかと判断した。. え行く」や「こんにちわ」との表記事例に対して対症療.  当該の児童に対し,. 法的に個別に訂正を求める形になり,言語全体を見通し.   ①昼休みに連絡帳を持って担任のところに来る。. た系統的な指導が欠落することにもなる。言語習得期で.   ②連絡事項を聴いて,自分の連絡帳に書く。. ある小学校1年生に対し本実践を行ったのも,以上のよ.   ③ 「終わりの会」では,当該児童が前に立ち,他. うな理由からである。.    の児童に今日の連絡事項を伝える。.  本実践については,新潟市立新潟小学校の渋谷徹によ. という課題を与えた。他の児童には,. る「聴いて書く」という授業実践を参考にしたが,いわ.   ④聴いたことを連絡帳に書き写していく。. ゆる「謄写」に関する先行実践は少なく,比較対照する.   ⑤書き終わったら,必ず自分で声に出して読み返. 事例も少ないのが現状である。.    し確認する。.  渋谷は,学習を「これから,先生がお話するのをよく. という課題を与えた。. 聴いて,ノートに書いていきましょう。では,始めます.  実践初日(平成18年2月8日),当該児童の「今から. よ。書く準備はいいですか」という言葉で始めている。. 今日の連絡を言います。言ってもいいですか?」の言葉. さらに,ワープロの音声入力同様に「みずは てん つ. で,「終わりの会士は始まった。しかし,「2月ここのか」. めたい まる」という読み上げが行われ,児童のノート. との日にちを誤った発言で,他の児童から指摘されるこ. への書写は「みずは,つめたい。」(ノートへの書写)と. とになる。昼休みの話す練習の際にも,「ようか」を. なる。板書事項を見たままに読み上げるのと同様である. 「ここのか」と誤読していた。そのため,正しく読む練. が,指導者の読み上げといった音声に依存するため,児. 習を繰り返しはしたが,緊張感からか誤読となった。孤. 童の集中力は高まったとしている。. 立感を体感させることは悪影響と考えたため,担任が.  この「読み上げ」という方法について,渋谷が用いた. 「分からなかったら,みんなに教えてもらったら?」と. 例文を参考にしながら追検証を行うこととした。提示し. 助言し,他の児童の支援を受けながらやり直しを始めた。. た例文は以下の通り・である。.  「2月ようか,しゅくだい,本読み,どうぶつの赤ちゃ. 1. みずは,つめたい。. ん。」との発言に対し,他の児童からは「え∼待ってよ. 2. とりは, とぶ。. ∼」とか,「もう一回言ってください!」との声が上がっ. 3. いぬは,なく。. た。書く速さを意識していなかったことに気づいた当該. 4. ねこは,ひっかく。. 児童は,以降,意識してゆっくり伝えるようになった。.

(6) 114. 学校教育学研究,2007,第19巻. また,次の言葉を伝える前に,「書けましたか? 次の. 児童もいれば,「書くことがない」として取り組み自体. 言葉を言ってもいいですか?」と,聞き手のことを考え. を拒否する場合もある。「書く」という行為,活動の原. た:話し方もできるようになった。「初あは速かったけど,. 点は運動であるから,技能的な高まりがない場合,問題. だんだん書きやすくなりました。初めてなのに上手でし. が生じるのは当然であろう。技能差は所要時間の差とな. た。」という他の児童の評価もあり,当該児童は「明日. り,学習活動自体の進行を阻害し始める。しかし,要約. もがんばります!」とうれしそうな表情を見せた。他の. 文であろうが,意見文であろうが,この技能の部分で止. 児童からは励ましの拍手が起こった。. まっていては内容に立ち入ることはできない。「何とし.  書くことが遅いのは,書写技能上に問題点があること. ても書きたい」という強い欲求がある場合を除き,この. である。鉛筆の持ち方が悪い,姿勢が悪い等々,具体的. 技能習得は丹念,かっ継続的に行われなければ,「書く」. な項目に合わせた個別指導が必要となろう。しかし,そ. という行為,活動は第一歩を踏み出すことができない。. の書写技能上の問題以前に,書く文字が想起できず書く.  本論の中核となる「聴いて書く」について,メモをと. のが遅いという場合がある。これは,文字習得上の阻害. りながら話を聞くという活動を,これまで児童は殆ど経. として扱うことが必要となる。今回の児童の場合は,こ. 験したことがない。メモは大事なことを落とさずに書く. れらとは異なり,自分を話を聴く主体として位置づける. ということは分かっているが,具体的に大事なこととは. ことができない事例であった。. 何なのかを説明することができない。したがって,適切.  「話す」という行為,活動においては,質的な異なり. なメモのとり方についての理解も十分でなく,聞き取り. はあるものの話者としての主体意識は確立しやすい。し. テストのためのメモ程度でも,内容的な個人差は大きい。. かし,「聞く」という行為,活動で,1対1の対話でな. そこで,メモのとり方を理解するための授業と,作成し. いときには,主体意識が希薄になる場合がある。多数に. たメモを資料としながら文章として再現する授業を特別. 対する話であったとしても,それを自分への言葉として. に設定し,「聴いて書く」という行為,活動を深めてい. 読み替えさせる,意識させることの必要性を感じた実践. くこととした。. となった。. (1)興味・関心を高める中での「聴いて書く」ことへ. 4 「聴いて書く」学習への試行実践.   の取り組みについて.  試行実践の対象学年を兵庫県相生市立相生小学校第6  主体性や個性が尊ばれる時代,いわゆる「手本」を見. 学年24名とし,朝の会で日番が話す「モーニングニュー. て真似るという国語科書写の学習形態は,特異なものと. ス」をメモするという場を設定することから始めた。聴. して指摘や非難も多い。文字の規則性を学ぶという文字. きながらメモをとり,それを資料としながら話し手に対. 習得の上で必要な学習法ではあるが,方法や在り方につ. してコメントを書くという活動である。. いては,さらなる実践研究が必要となろう。.  「手本を見て真似る」という国語科書写への非難や指.  また,社会や理科の学習番組を視聴しながらメモをと り,理解したことや感想を文章化するという活動に取わ. 摘をするにも拘わらず,我々は身の回りに近似した学習. 組んだ。さらに,児童朝会での校長訓話をメモし,自分. 形態が存在していることに気がついていない。近似した. の考えや感想をまとめて校長先生と交流するという活動. 学習形態の最たるものは,冒頭で述べた学習記録(学習. も行った。このような聴いて書く活動と合わせて,速書. ノート)等である。「聴いて書く」という行為,活動が. きにも慣れさせるため,国語の授業の初めに5分間視写. 重要であるとしながらも,その学習記録の多くは板書さ. を行った。いずれもが児童には初めて行う活動であった. れた事項のコピーに過ぎない。当然,補足的な指導者側. ため,興味をもって取り組むことはできたように思う。. の説明もあるが,記録として残され,活用されることは. ただし,相変わらずメモのとり方については個人差が大. 少ない。指導者側も学習記録が板書のコピーとなってい. きく,何をメモすればいいのか,どのようにメモすれば. ることに気付いているのか,要点の漏れがない板書を心. いいのかを理解できていない児童もいる状態のままであっ. 掛け,綿密な板書計画のもとに学習指導が展開される。. た。. 本来は,口述される内容を聴き取り,必要な事項・要点.  以上のような幾つかの実践を平成18年4・5月に行っ. を抽出して記録化するのは学習者側の活動であろう。そ. た後,メモのとり方を理解するための授業と,作成した. れらの手続きが省略された学習記録が,知識の定着とい. メモを資料としながら文章として再現する授業を特別に. う点において機能を発揮しにくいと危惧することは,あ. 設定することとした。単元構成は後述の通りであるが,. ながち杞憂であると言うことはできまい。. メモをとるための1時間と合わせ,計10時間のまとまり.  学年の高低を問わず,児童は書くことが苦手である。. として取り組んだ。. 単に・「書くことが面倒くさい」という言い方で忌避する.

(7) 115. 聴いて書く. ①メモのとり方を理解するための実験授業.  を理解する。.  平成18年6月28日,兵庫県相生市立相生小学校第6学. ②学習の中で聞き取り,学び取っ. 年24名として行った。授業実践者は,兵庫教育大学の小.  た内容について適切な記録をとる. 竹光夫である。小竹は,事前に提示した「小学校第六学.  ことができるようになる。. 年国語科学習指導略案」の中で,学習の概略を次のよ うに述べている。. 【小学校第6学年 国語科学習指導略案】.  半時の学習展開について          一時間の中に,大きくは三つの流れ.  題材・・・…  日本で使われる文字について「木は.          (話)が登場する。.          働きもの」.          1)日本で使う文字に(漢字・平.  設定の理由…  日本語の日常表記に使用される文字.           仮名・片仮名)種類があること.          種は,大きく漢字と平仮名・片仮名.          2)「木」が変化することによって,.          の三種に区分される。小学校におい.           種々の文化が生じたこと.          ては,「平仮名→(片仮名)→漢字」.          3)「木」の成り立ちと発展を考え.          の順で学習が進行するのが通常であ.           ること.          るが,成り立ちや機能については重.          余りにも簡単な「木」という字を扱.          点的に扱われることが少ない。教育.          うわけで,現場で教育に当たる方々.          現場で言われる「扱わない理由」は,.          にとっては「何を今さら∼」という.          主として「内容的に難しく,発達段.          感もあろう。確かに学習指導におい.          階に適合しない」「扱えばいいのだ.          て,特殊な字を扱えば教師が「語る.          ろうが,とても時間的な余裕がない」.          内容」は増加する。しかし,それで.          等々であろう。極端な場合は,「文.          は作為的で,特殊な学習が展開され.          字のことを考えさせる以前に,使う.          るだけである。.          ことが優先される」との意見もある。.          「木」という字の成立と活用につい.          しかし,習得という場面で興味や関.          て,指導者がどのように語るのか。.          心が大きく作用すること,そのこと.          どれだけのことを興味と共に理解さ.          が十分に行われない状態では活用に.          せるのかが観察の視点となろう。.          も阻害が起こることを考えれば,悪.          因みに,小学校学年配当漢字1006字.          循環としか言いようがないのが現状.          中,「木」の形を内含する漢字の総.          であろう。現在,大学生を対象とし.          数は71字である。この意味において.          て書写教育(言語習得を含あ)を論.          も,「木は働きもの」なのである。.          じているが,大学生が口を揃えて.  学習の発展として.          「小学校時代等に,このことを学ん.          国語科学習として考えるならば,.          でいれば自分の言語生活は変わった.          「漢字仮名交じり文の伝達上の有効.          だろう」と言う。つまり,精選した.          性」について考えることができよう。.          学習指導が実現するならば,それほ.          国語科書写学習として考えるならば,.          どに興味深いのが当該の題材であろ.          「『木』の形を内含する文字の習得.          う。.          と活用」が直近の内容となる。.          本時は,いわば投げ込みの特設授で.   注…  「『木』の形を内含する漢字」とは,「林」.          ある。僅か一時間の中で,どれだけ.       や「案」のように具体的に「木」の形が見.          「日本で使われる文字」について扱.       えるものだけでなく,「乗」や「末」のよ.          うことができるか。授業者にとって.       うなものも含んでいる。それゆえに,ここ.          の挑戦の授業である。当然,学習者.       では「内含」という表現をとっている。.          である児童たちにとっても「聞き取.  小野にもある通り,「メモのとり方を理解するための.          り,学び取り,文章へと展開する記. 授業」である。単に口述するだけで,学習記録としての.          録とは何か」を考える挑戦の学習と. メモが完成するはずはない。「児童は聴いて書くことが.          なろう。. 苦手で,ポイントごとに注意を喚起しないとメモするこ.  午時の目標… ① 「木」を中心とした学習活動を. とができない」と多くの指導者が口にするが,実際には.           通じ,日本で使われる文字の概要. 「メモがとれるような話し方」をしていないのではない.

(8) 116. 学校教育学研究,2007,第19巻. か。小竹は,その欠落への自戒を,指導話法の要点とし. 0 本単元は,「ガイドブックを作ろう」の学習の. て次のように記している。.  前段階として設定した。2学期に修学旅行で訪れ. ・最初からメモがとれるような話し方をするのではなく,.  る京都・奈良のガイドブックを作り,5年生に活.  意図的に不向きな話し方をして学習者の意識を喚起す.  用してもらう計画をたてている。ガイドブック作.  る。.  りに必要な情報を集める一つの方法として,話を. ・明瞭,かつ簡潔な説明を行う。重点事項については,.  聞いてメモをするという活動が考えられる。「日.  学習者が雰囲気として知覚できるよう繰り返し,筆記.  本で使われる文字」についての話を聞き取り,学.  する時間を保障しながら口述する。.  び取った内容についてメモをとり,それをもとに. ・羅列的に情報を提示するのではなく,線条的に口述し,.  文や文章を書き,記事に仕上げていく過程を学ぶ.  情報相互の関連付けの中から必要なものを取り出せる.  ことによって,相手や目的に合わせて書く素地作.  ようにする。.  りができると考える。. ・知識としての押し付けをせず,学習者が興味・関心の. ○ そこで,話の聞き方を理解させるために,メモ.  中で聴き取り,「書き止めたい」と感じるような情報.  を活用しながら話を聞く場を設定した。「文字の. 提示を行う。.  不思議」新聞を通じてこれまでに交流を持ってい. ・板書すべき内容を口述しているかのような,「今から.  た大学の先生に話をしていただき,自分が新たに. 言うことを書き取りなさい」という方法はとらず,内.  知った情報をメモしながら話を聞く。そして,自. 容を要約したり,図を付記するなどの効率的なメ.モの.  分のメモを見直したり,友だちのメモと比べて補.  とり方を提示し,実際に活用できるようにする。.  い合ったりして,・詳しいメモにしていく。次に,. ・学習内容が学習者の生活や生き方に繋がるよう,身近.  そのメモの中から,自分が心に強く残ったメモを.  な事例を提示しながら学習のまとあを行う。.  選び,書きたい順に並び替えて,メモから文章に  書き表していく。文章が書けたら,メモが文に活. ③メモをもとに新聞という形に再構成する授業.  かされているか,自分が心に強く残ったことが,.  平成18年7月5日,①の実験授業を引き継ぐ形で行っ.  順序よくつながりよく書けているか,話のまとま. た。授業実践者は,相生市立相生小学校の神野佳代子で.  りごとに改行されているか,誤字・脱字・漢字に. ある。単元は,前半の第1次(5時間)と,後半の第2.  直せる字はないかなどの観点から文章を見直す。. 次(5時間)で構成されている。前述の小竹が担当した.  また,友だちと読み合うことにより,お互いの文. 1時間は,第1次の第2時に該当する。.  章のよさを見つけたり,自分では気づかない間違. 【第6学年国語科学習指導案】. 1)単元 「木は働きもの」新聞をつくろう.  いを教えてもらったりしながら,さらによい文章  に仕上げていく。. 2)趣旨. 3)目標.   ○ 児童はこれまでに「自然学校新聞」や「歴史新.     しっかりと話を聞くためにメモを活用し,その.    聞」を作っている。記事にする情報の多くは,本.   メモをもとに自分が伝えたいことがよくわかる文.    やインターネットなどの活字から得ており,それ.   章を書き,「木は働きもの」新聞を作り他者と交.    をそのまま書き表すことはできるが,人に聞いて.   流を深める。.    メモしたことから文章を書くという活動はあまり. 4)単元構成(全10時間).    体験していない。.   第1次学習の見通しを持つ…・……1時間.     また,友だち同±でのおしゃべりは得意である.       メモをとりながら「木は働きもの」の話.    が,みんなの前で話すことに恥ずかしさを感じて    おり,自信を持って話せる児童が少ない。.       を聞く …・……・………・・1時間       メモを見直し,補い合う…・…・1時間.     朝の会での「モーニングニュース」では,話す.       心に強く残ったメモを選び,並び替える.    ことを書いてきてはいるが,文の数が少なく詳し.       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  1日寺問.    い内容になっていないことが多い。聞き手も,.       メモをもとに文章を書き表し,推敲する.     話し方に注目して聞いているので,「声が大き.       ……………・・…・………1時間.    かった。」とか,「みんなの方を見て話せていた。」.       第2次新聞の割り付けをする一1時間.    などというコメントはできるが,話の内容に関す    るコメントはあまりできていない。つまり,どん.       新聞を仕上げる・・…・……・…3時間       新聞を読み合い,感想を交流する.    な聞き方をすればいいのかということの理解が十.       …・…・・……一…・・…・…・1時間.    分ではないのが実態である。、.

(9) l17. 聴いて書く. 5)児童の「はぼたんメモ」.  ・自分の思ったことを付け加える。.    下段に「1はばたん」「2はばたん」「3はばた   ん」との欄があるのは,印象度に合わせて切り取.  ・文章を見直す。.   るためである。切り取りをしない「3はばたん」. C メモから文を作り,文をつないで文章を作.   のメモ用紙が,新聞を作成する際に中核の内容と.  る。.   なる。. D 文章を見直す。. )「. B メモから文を作る方法を知る。.   指導上の留意点     ・三時の学習の内容を絵で提示することにより,.     児童の興味を引きつけ,学習への意欲づけを.   σハ。〉の・ρいすら. 〕一 」葡、もが乏. 馳.     図る。     ・メモをもとに話の内容がよくわかる文を書き,.     自分の思ったことも付け加えて文章を作り上     げ,自分で見直したり友だちに見直してもら     うことが本学の学習であることを理解させる。.     ・児童が書いたメモを1枚「汗ぐしょりおたす     けボックス」に入れると,文になって出てく.     るという実演をし,視覚的にメモから文を作     るということをイメージ化する。     ・「汗ぐしょりおたすけボックス」の中にメモ.     こ人なクラス み!)ば毛. 弍よフで海。σ            軌小竹.     から文を作るヒントを書いておき,メモから     文を作るときに役立たせる。     ①メモの中の絵や言葉を使おう。     ②思ったことを書き加えよう。     ③文と文とのつなぎ方を考えよう。     ・自分が選んだメモの絵や言葉を使って,文を.     作ることを意識させる。また,文の順序やつ     ながりにも気をつけながら,文章を作らせる。.     ・N児は,書くことは好きだが,メモを活用し.     て文を作ることが理解しにくいので,メモを     見てどんな話だったかを話させてから書くよ     うに個別に指導にあたる。     ・「汗ぐしょりおたすけボックス」の文を作る.     ヒントの項目に沿って,自分の書いた文章を     見直し,訂正や付け加えは赤で書き込ませる。.     また,友だちと読み合い,アドバイスしあわ     せる。 評価. 6)第1次5時分の目標と展開   本時の目標.   メモを活かして文章を書き表し,見直すことがで.     メモをもとに文章を書き表し,観点に沿って.   きたか。.    自分で見直したり友だちに見直してもらったり. 7)メモから文章へ  E児は,「3はぼたん」の用紙に「人をかんさつし.    することができる。. て生きていく。いい事,悪い事を一生けんめいのりこ 学習活動. える。」と記している。「2はばたん」の用紙には「木.  A 小竹先生からのメッセージを解読し,本誌. は形を変える」と,「1はばたん」の用紙には木の古.   の学習をつかむ。. 字を図示している。そのメモをもとにして第1次第4.   ・メモをもとに文を書く。   ・文と文をつないで文章にする。. 時に作成した文章は,次のように書かれている。   昔,初めてできた時の,木の形を知っていますか?.

(10) 118. 学校教育学研究,2007,第19巻.     こんな形をしています。(木の古字を示)上の.    3点の要点を掲げたが,その一つ一つが児童の文.    形は,枝を表しています。そして,下の形は,木.   章作成にどのように機能し,どう効果があったのか.    の根を表しています。最後に間(ママ)ん中の1は,.   を明らかにすることが必要である。当然,要点は羅.    幹を表しています。次に,木のつく漢字をしょう.   列的なものではなく,それぞれに段階と構造を持つ.    かいします。これは(木の古字を図示),さっき.   ている。どの要点が効果的に機能したのか,いわゆ.    説明した木と言(ママ)う字ですね。木の上に鳥が.   る「効き方」(効果)を明らかにしていかない限り,.    3羽集まると,どんな漢字になるでしょう? ヒ.   要点を構造化して絞り込むことができなくなると感.    ント1! 鳥の骨組みは,こんな形をしています。.   じた。.    (佳の古字を図示)これを変えていくと,「佳」の.    例示と説明は段階を追って進められたが,児童が個々.    形になります。答えは,集まるという字です。そ.   に文章を作成し始めた途端,総括的な目標へと転じて.    の次の問題です。この漢字にも木という漢字が使.   しまい系統的な学習から外れてしまった。この点の処.    われています。木の回(ママ)りに,□のような.   理と展開の方法については,今後の課題となろう。.    わくをはると,どういう字になりますか? 木は,.  B)「記録をとらせるための教師自身の話法のトレー.    根がのびなくなるので,とても困っています。そ.   ニング」の必要性.    うです。困るという字になるのです。成り立ちを.    多くの教師は,「子どもたちはメモをとらない。」.    さぐるのは,おもしろいですよね!! 次に,木    は形を変えるというのを説明します。木は板にな.   と嘆きの声を上げる。しかし,「果たして,教師自.    り,紙になり,家になり,そして建て(ママ)物.   身が,メモをとれる話し方をしているのか」という   点検は怠りがちである。多少,抽象的な表現とはな.    にも姿を変えるのです。建て(ママ)物といえば,.   るが,「要点であることを感じ取らせるような話法」.    奈良のへいじょうきょうのすざく門の一部に使わ.   や「抑揚のある話法で察知させるという工夫」は,.    れています。それと,私たちのすんでいる,相生.   どこかの段階で習得しておかねばならぬことである.    の相は,木へんだと,みなさん言っていますが,.   と感じた。「はい! では,今から先生が言うこと.    本当は木へんではなく,目へん(ママ)なのです。.   を書き取りなさい!」では,板書と何が違うのかと.    相生の相には,こんな意味が,こめられています。.   の疑問が生じるのは当然である。.    1… 人を観察して,生きていく。それは,分.    指導者側の「メモがとりやすい話し方」「メモを.    からないことがあっても,はじめは,人をまねし.   とらせるための話法の習得プログラム」が確実に育つ.    て生きる。(ママ)という意味です。2…  い.   ていってこそ,初あて学習者の側の「聴いて書く」.    い事,悪い事を,一生けんめいのりこえる。意味.   という力が育成されるのではないか。それらのこと.    は,どんなにいやな事があっても,どんなにいい.   が実現されない中,「メモのとり方を理解するため.    事があっても,にげないで,まっすぐな道を進ん.   の授業」を,小学校教員でない指導者に依存したこ.    でいくということです。私たちは,小竹先生から,.   とが,自らの大きな自戒として残っている。.    メッセージをいただきました。私たちは,中学に.  C)「聴いて書く」という行為,活動を進める上で留.    なったら,クラスがえというのがあります。6年.   意すべき事項.    間クラスがいっしょで,支え合ってきましたが,.    漢字使用や表記上の規則等,いわゆる言語事項に.    もうすぐバラバラになります。だから,みんなと.   関することを日常的に押さえておくことが必要とな.    今,過ごしている時間を,大切にしたいと思いま.   る。簡略な形で記されるメモは仮名表記や図示でか.    した。.   まわないが,文章化の段階でも改善されないのでは.  「聴いて書く」という行為,活動の最も大きな欠落と.   問題となろう。漢字仮名交じり文の伝達上の機能と. なる仮名表記の増大を,この文章は如実に示している。.   いう点からも,課題が残った。. 聴き取った日常的でない「平城京」や「朱雀門」の語は. 9)「木は働きもの新聞」の作成事例. 仮名書きとなり,段落構成や句読点の配置にも混迷が見.   このような学習の場合,単に「新聞を作った」とい. られる。ただし,1時間(45分)に聴き取った内容を, 多少の誤解はあるものの,メモを中心にして効率よく再. 場を設定することが重要であると考えている。「新聞」. う体験に留めてしまうのではなく,発表し評価を受ける. 現してしていると言えよう。第4時,第5時に作成した 文章に関する限り,学級全体の粗密は少なく,「聴いて. 自体が情報を発信するという目的のもとに作られている. 書く」という試みは成果を上げたと評価してよいだろう。. 大切なことであろう。. 8)授業をふり返って.  A)メモから文を作る要点と評価の相関. ものであり,発信の結果としての効果を評価することは.   ここでは,以下のようなA4用紙一枚の「木は働き もの新聞」にまとめ,兵庫教育大学の学部演習科目「書.

(11) l19. 聴いて書く. 写・書道演習」の履修学生に届けることとした。当該履. 魂鶏ll諜. 困琴 嘗て  続く門、パろ蝋ま     γ、のイ乍。.   .L次今毬ら木. い 、. 修学生からは,平成18年度に数回の「書写通信」が対象 学級に届けられており,既に交流の基盤は形成されていた。.   端脳輸.   総はの着承は. 5 おわりに.   すこ木のマ枝.    .σ)て掌9 ’.    本いでま根 手   ・之誉うこす つ.  聞いたことが,本当に聴いたことになっているのか。. 饗. …⇔・え確立れ.こ. あるいは,正しく内容として理解され,定着しているの.     つ1ミをよ:’. か。「きく」という行為,活動が学習者の内面に向かっ. 1影響驚 陰鶉変特.   函響を峰焦⊥. 無識幕、.  穿 紹dる5ず. 蛮. 集馨集、上.     . の木田. 熊誉マi. 1  笥智 漁享%三瀬. 発行…. て働くものであるだけに,評価することは困難を極める。. しかし,本実践のような聴いて書いたメモによって,聞 き取った内容を再現するという方法をとれば,学習者の. 理解度を測定することは可能となる。指導者側がメモを. 1童聯 鍵. 見て評価することも可能であるが,学習活動を発展させ. 萎ll. る形で取り組みを続ければ,より確かな「聴いて書く」. のにと集はお. 、をll. ことに関する能力を把握できるのではないかと思う。聴. 亨鳥わ・ま捌本. 秀臨i       昏こ      剛4裂. 呼. かが6るの「芒. いて書いたメモは,単なる個々人の覚書ではなく,次の.      更 ゼつ、      つ. 学びを生むための重要な資料として位置付けられなけれ ばならない。指導者側が価値ある情報を提示することは. 当然であるが,学習者の側が主体的,かっ積極的な態度. なないい上の穿. で情報を選り分け,自分との関連の中で聴き取っていく ことが必要であることは言うまでもない。.  今回は,独自に設定し単元構成で,「聴いて書く」と いう学習に取り組んだ。内容が「文字の成り立ち」等々 F’ @へ   ’. 1儲駄雛1咳繕で1鳩繰 ウ翻要脚篇喪潔射・. h蘇蜜諺穎ノ謝騨皐。・讃. 窮一r’、ビぼ陸、1:勲。. L. 困とぐ\にな塞秘趣西嶺賦ね 口  \累  \ つま のと ま/曾  の. 1蕪舖搬馨i誓 ・a穏 霧. という興味深いものであったこともあるが,これまでメ モをとることを漠然ととらえていた子どもたちが,大切 なことを落とさずに書こうとし,理解しながらメモをと ろうとしていた。情緒的な表現にはなるが,改めて次の ようなことを確認した次第である。しっかり書くために は,しっかり聴かなければならない。しっかり聴き,しっ. 驚}:霧. かり書かなければ,しっかり話すことはできない。.  言い古された表現であるが,書くことは自らの考えを 齢凶. ある。論理的に考えることが苦手といわれる現代の子ど. k柑いん ㍗啄のま改とありゃラ先口. もたちに,身につけさせたい活動として位置づけ,今後. 生進意な丁賑し蟹レ直し重ん言 璽うまと嫌ずト不測たマうをな葉マに話. とも試行実践を続けていきたい。. 禰・硫に’唯. れいマllぱピ1うい. 客観視することであり,論理的に組み立てなおすことで. ヱう海ら ’なう橿かとな蝋慰楽でノ」\. ォ町ゐレこか意生ソ魯締国字ぢ竹. 二1診薦灘凝:農携舗 . 【参考・引用文献】 桑原正夫「視写・野竹の新しい指導」.    一小学校国語科授業技術全書7一 明治図書 1981年 青木幹勇『第三の書く一読むために書く 書くために読む一』 1エ斐.乱庶。∴駄.. こ芦。い犬ノ圃。勉し}諭. 、.FL ・. @   ※ @   ・餐.    蚕. o ρ. ヘ/∼繰1 へ_ヒ.                    国土社 1986年. しく/気書ただF二郷。 なけじ. D、自. 愚. 石田佐久馬「視写・聴写・書き込み』  東洋館出版 1992年.  側転. 青木幹勇「「第三の書く」の授業展開』   国土社 1993年. @ノ〃し , ,  ,. 喬ろ1’ふ. ニ力. 青木幹勇『授業が変わる 第三の書く』   国土社 蓋994年. 、. キ承い毎望. まね勇. 墜. 出門欣一・柳瀬眞子『国語力を高める視写・聴写・暗写の指導」.                   明治図書 2004年            (2006.9.1受稿,2006.10.17受理).

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