環境教育科学 : 本論(その二)原子力時代の常識教育
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(2) . 北海道学芸大学紀要(第一部). 第8巻 第 2号. 昭和32年12月. 〔特 別 寄 稿〕 環. 境. 所. 田. 1etsutar6 TADOKORO:. 科. 育. 教. 太. 哲. 学. 郎. ion. f EnviromentaI Educat on Sc ience o. 本論 (その二) 原子力時代の常識教育 次. 目・. 韮 原子時代のマス ◎コ ミ とノイ ロ ー ゼ 治療 と. 1 原子時代の小中教育. 生命尊重への教育. 1 光と電波と放射線の宇宙. 1 マ ス o コミの社会教育環境. 2 原子力 (含放射能) の利用. 2 ノイ ロ ー ゼを 起 き しむ る も の. 3 原 子 力 エ ネ ルギー す な わち 核 エ ネ ル ギー. 3 生命尊重に霊的生命の認識. の平和利用 4 原子燃料. m 原子力の理解と利用に関する教育. 5 同位元素と放射能. 1 原子力とは鬼面で仏性もある. 6 ×線の人体への影響. 2 生活向上のための産業へのエネルギー源. 7 原子爆弾からの放射能による障害. 3 良薬は口に苦し ・ 、 食は身体を養うも暴飲. 8 医学上の治療用として利用. 暴食は病死を招く. 9 アイ ソト ー プの産 業 上 の 利用. 1 原子力時代の小中教育 1 光と電波と放射線の宇宙にわれわれは生活する。 畑中教授は天体電波に就いて述べて いる。 むかしから光で宇宙を見てきた、望遠鏡が発明された。 また光が電気にかえられ光電管ができて天文 学は進歩 した。 世界大戦後になって急に電波 の領域が 発達したのは 25 年前に地球外から来ていることを 発見した のによる。 すなわち天空のここかしこ に見えない星 のようなものから電波がでて数ミリから十数メー トルにわたる波長域のあることがわ ・ぅ かった。 超短波、 極超短波と呼ばれ るこの領域に無数といってもよい通信網がある。 通信網はし までもなく社会生活のうえで神経の役目をしている。 文明生活が進むほど通信網はふえテレビもこ の波長内にある。 ラジオも同様でわれわれの生活内容につぎつ ぎにふやされていっていることは喜 ば しい 事 で あ る。. 000 語の単語を 最近 の報告で米国 ベル電信研究所は現在のテ レタイ プの 16倍の速度 1分間に 1 , トメ←シ 送信できる装 置を電話回線を利用 して送信するような発明をした。 これはオ← ョ ンで電子 計算機に使用されているパ ンチ式紙テ← プ代 りに電磁 テ← プを使 って単語受信するのである。 これ もまた高能度の通信網 であ る。 宇宙線の研究は地球観測年で盛んに行われている。 宇宙線というのは宇宙の何 処からか絶えず地 -155-.
(3) . 田. 所. 哲. 太. 郎. 球に降 りそそいで いる、 電気を帯びた 粒子である。 それに水素の原子核すなわち陽子 が最も多く 、 それ につづいてヘリウムや炭素や窒素や鉄などの重い原子核からなっているものである。 そしてそ の エ ネルギトが非常に大きいのが特色であること原子 核エネルギ←と して利用されてい るウラ=ウ ムのものと似てい る。 宇宙線の一部は太陽 で発生することは明らかであるが大部分の宇宙線 の源泉 についてはまだわかつていないので あ る。 ま た ど う し て そ ん な に 大 き い エ ネ ル ギ ー を も つ て い る の か も また よ く わ か つ て い な い の で あ る。 そ し て 放 射 能 を も つ て い る な ど も 知 ら れ て い る。. 2 原子力 (含放射能) の利用は現代の社会環境を著しく変容もするであろ う。 元来原子は中心 に陽電荷を持つたかたまりを持ち廻りに陰電荷の粒子が陽電荷に相当 するだけあつて廻つてい ると 考 えられている。 中心のかたまりが原子核で廻っている粒子 が電子であ るが水素の場合原子は原子 核 の回りを一 つの 陰電子 が回つている。 水素原子核 (陽子) の質量 は陰電 子の質量の約 1 8 00倍と , されている。 陽子と電荷を持た ない中性子は質量が陽子と等 しく結合していると考えられている。 この電子o陽・子 中性子のよう な原子核 の組立材料を素粒子と呼んでい る。 原子 番号は核中の陽子 の数で1~92のいずれかにある。 原子が電気的に中性であるためには陽子と 核の回りの陰電子の数 とは等しい。 原子番号はすなわち原子のも つ陰電子の数でもある。 そして化学的性質は外側電子の はたらきできまるものだから原子番号で元素の化学性が決 る。 原子構を構成 する陽子 中性子との 、 数の和が質量数 といい原子核 の重さを示すことになる1 ) 原子番号が じで質量数の異 同 るものを同 。 位元素という。 原子核の結合状態が不安定 なために状態を変えようと している原子からな る同 位元 素 (アイ ソトー プ) を放射性同位元素 (ラジオ、 アイ ソトー プ) という 放射り性同位元素を構成す 。 る原子の核がよ り安全な状態に変化する時にそのエネルギ←の差が放射線の形で出 され る 放射り性 。 同 位 元 素 の 出 す 線 の 主 な も の は ア ル フ ァ 線 (の ベ ー タ 線 (β) と ガ ンマ 線 () と あ る γ , , 。. 3 原子エネルギーすなわち核エネルギーの平和 利用が産業革命を呼ばんと しているのは巨大な エネルギー発生源だからである。 わが国の産業 改革も国民常食の 米は数千万石 .味噌 醤油 豆腐 、 、 、 の原料大 貫とても数 百万石を国外輸入によらねばならぬ処に原因する すなわち農業をもって主体 。 生産業とした わが国は工業に切換え ることによつて は じめて国民所得を増大し不足する食糧も充 , 分に国民に供給されるのであろう。 工業に切換え る場 合最も必要 なものはエネルギー資源であ る 。 従来の工業エネルギー資源には石炭や石油や瓦 斯などが利用されて来た わが国のように土地狭い 。 国柄であ りながら, エネルギトを東洋では最大消費するが資源の石炭も石油も瓦斯も 生産に乏 し 、 いので原子力によらなければならない。 数年間に 百 万キロワッ トの原子炉を作 るというのも この , 3 エ ネ ル ギ ー 資 源 を 得 る た め で あ る。 原 子 核 連 鎖 反 応 と は 92U2 5(ウ ラ ニ ウ ム) の 原 子 核 に 天 然 の 中. 性子 が あた り原子核がいろいろな分れ方で ほとん ど 真 二ッになる核分裂 を呼び 平 均して2 5 個程 , 3 3 の高速 中性子を 出す。 も し92U2 5を多量に集 めておくとこの二次的に出来た中性子が別の 92 び2 5 にあって, 次から次と反応を起さ せ連鎖的に進むのである かか る核分裂が起れば爆発現象を起す 。 よう な連鎖反応と なる。 核分裂を連鎖的に起す核をもつた原子を原子燃料という 原子燃料の特徴 。 を 100 %活用 するならば石炭、 石油など在来燃料をもつては期待できない経済的高性能の発電でも 商船連行 でも行われ る。 4 原子燃料とは原子炉 中でエネルギーを出すた めに用意さるるものであるが ウラ ン鉱物は種 、 類と品位、 随伴鉱物やその他によつて処理方法も異つて来る。 一般に選鉱されたウランは抽出され 精製され逐次還元の工程をと つて出来上る。 ウラン含有量の低い鉱石では選鉱で品位を上 げるが方 法 にいろいろある。 比重選鉱、 重液選鉱、 磁力選鉱、 放射能選鉱、 浮遊選鉱などが適用される 次 。 1 ) 原子力産業新聞 1~41号 56- -1.
(4) . 環. 境. 教. 育. 科. 学. いで製錬さるる鉱石は最初に抽出工程にかけられ粉砕 した鉱石を二酸化マ ンガンなどの酸化剤を加 えた硫酸で溶解するに六価のウラニール・イ オ ンとするので抽出ができる。 次いでこれを不溶性の ア ル カ リ 金属 の ウ ラ ン酸 及 び 重 ウ ラ ン酸 塩 また 燐 酸 塩 モ リ ブ デ ン塩 な ど と して も 沈 澱 さ せ る。 あ る. いはイ オン交換樹脂を用 いて取 り出したもの から 漆出し過酸化ウランを沈澱 させる。 また溶媒抽出 法もあるのは原子炉 燃料としてのウ ランは高純度のものが必要となるので、 酸化物などには 不純物 を 含 む の で こ れ を 除 く た め で あ る。 溶 媒 と して エー テ ル、 ヘ キ ソ ンや トリ ブ チ ル、 ホ ス フ ェ ト トな. どが用いられ不純物を水層に残 して分離される。 繰返して溶媒層のウランは純度高い重ウラン酸ア ンモニアまたは過酸化ウランとして沈澱分離され、 その後に還元工程にも入って純化されたも のが と れ る。. 5 同位元素と放射能であ るが天然ウラ ンは三種の 同位元素から なりたつというのは, 化学的性 3 8は 3 5は速さの遅い中 性子を吸収して核分裂を起す。 しかし U2 質に同 じだが質量が異って いる。U2 3 8 および U2 4である 水素の同位元素 3 3 5 は 07 % で 外 は U2 核分 裂 を 起 さ な い。 天 然 ウ ラ ン中 に U2 . 。 に 質量数の1のものと2のものあって安定性あるが質量数 3のものは放射線を出してヘリウム4 に かわ る。 不安定の同位元素が ラジオアイ ソトー プで放射性同位元素が放射線を出す性質を放射能と よ ぶ。 ウ ラ ンや トリ ウ ム や ラ ジ ウム な ど の 天 然 に 放 射 性 あ る 同 位 元 素 か ら 出 て く る 放 射 線 に ア ル フ ァ ー 線、 ベ ー タ 線、 ガ ンマ 線 の 3 種 が あ る。 ア ル フ ァ 線 は 2 個 の 陽 子 と 2 個 の 中 性 子 と か ら な る 粒. 子の流れでヘリウム 4の原子核と同じものである。 この放射線は物質中をいくらも進むことができ ない。 ベータ線は陰電子あるいは陽電子の流れ. アルファ線よりは透過力が大きい。 ガンマ線は X 朋素にア ルフ ァ線をあてると放射性の窒素に 線と同 じく電磁波 の一種で透過力が強い。 また安定な有 リ かわり人工放射性 同位元素ともよばれキユト ー夫妻によ り発見された。 6 X 線の人体への影響は古くから研究され医学上疾患の治療用にも使用された。 しか し多い照 射で細胞の変異を 起 し妊娠の場合, 胎児を死産とか不 具者にも する。 鼠で実証されたものには不具 t を 生 じ, 四 肢 異 常 を 呈 し. さ ら に 頭 部 の 小 さ い も の 仔 を 生み 、、 ま た 家 兎 で 仔 の 眼 に 口 セ ッ ト Roset. のが生まれた。 また仔の胎内着床前に X 線にかけると、 流産するほか無脳児や頭蓋崎形やヘルニ ャなども生 まれることが証明 された。 一方放射線によって発癌性を細胞に与えて細胞を崩壊的な増 殖にいたら しめる。 しかも かかる場 合癌と同様に核酸蛋白質が大 きい役割をなして細胞の増殖に関 係する。 すなわち榎顎粒が癌性 種癌の発生にあた り物質放出をやって大きく貢献 している。 榎酸か ら生じた蛋白質合成酵素がその役を果 してい る。 それだから核酸がこの時に著 しく増加すること植 物の発芽の場合にも卵の受精後娘細胞を作って増殖すると き、 すなわち核分裂で核物質が増殖 され ると き も 見 ら る る の で あ る。 古 く か ら シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ や 蚕 の 遺 伝 子 を 変 え る 突 然 変 異 が見 ら る る. ことが知られている。 人間の白子や 唖の悪質遺伝に多く突然変異の放射能によって起ることも知 ら 0レ ン ト れ て い る。 X 線を透視する医 者は寿命を十年短縮するともいわれている。 マラー博士は4 ゲ ン(X 線)を 1~5週間二十日鼠にかけて突然変異を起 したが、 少量なほど発現率の減少すること も 述 べ て い る。 二 十 日 鼠 で は シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ な ど よ り 2~4 倍の発現 率 が高いから人間や高等動 物は数十倍にもなる。 またラッセル博士は高等動物では機関の技能が複雑であるから許容量が低下 すべき だという。 遺伝研究所 (米国) の報告では1週 300ミリレントゲ ンが許容量であ るが、 遺伝 影 響 を 考 え る と そ の 10 分 の 1 に 低 下 す べ き だ と も い う。. ァ 原子爆弾からの放射能による障害 は微粒子すなわち放射塵が高空に打 ち撒かれ降下 して疾患 、 を起さ しめまた遺伝子にも障害を起す。 放射性疾患を起すには比較的大量の放射線が必要だ が、 遺 伝子の障害には少い放射線 量でも突然変異をも生ず るのである。 放射塵の微粒子を吸込むか或は食 -157-.
(5) . 田. 所. 哲. 太. 郎. 料と共に摂取することで、 何年も引きつ づいて体内に 持続的に放射能の作用にさら され る。 放射塵 微粒子の中には 放射~性アイ ソトー プ例えば放射性ス トロ ンチウムと し、 体内に幾年も放射 しつ づけ るものもある。 生物が長時日に貯蓄 した例を、 野鴨の卵の黄味の中に 所在地域で測定 さ れ た 量の 500 000 倍 に も あ た る 放射~性 ス トロ ンチ ウ ム の 凝 集 あ つ た の を 油 逸 で も 見 て い る。 アイ ソ トー プ 1 , , か ら の み で な い、 個 人 が レ ン トゲ ン診 察 に よ りテ レ ビ ジ ョ ン・ ス ク リ ー ンの 前に 立 つ こ と に よ り、 ま た そ の 他に よ っ て 受 け る も の も 蓄 積 さ れ て 行 く こ と を 考 え ね ば な ら な い と い え る。 しか も アイ ソ ト← プに よ っ て 体 内 深 く 貯 え ら れ る も の も あ る。 例 え ば コ バ ル ト 60 のガンマ線は深部の癌 病巣に あ っ め、 ス トロ ンチ ウ ム 90 は骨に貯蓄され巨人と か小人とかになり、 また貧血 症や白血病を増加 し骨 に 肉 腫 も で き る と い わ れ る。 ま た セ シウ ム 137 は 軟 組 織 に 集 ま り ガ ン マ 線 を 出 す の で 遺 伝 子 に. 対する障害が出 る。 米国原子力施設で放射能に さらされている労働者は 25年間に 5 ヶ年の寿命を 短縮するともいわれ る。 直接受けた原爆症では十数 年の今日 なお明ら かでないがケロイ ドや白内障貧血症の み でなく結核 にも影響するものだといわれている。 8 医学上の治療用と して利用は数多いとよく知られている。 古くから癌の治療に ラジウムや X 線 も利 用 さ れ た が、 コ バ ル ト 60 も ス トロ ン チ ウ ム 70 も 燐 32 と 共 に 皮 膚 ガ ンに 利 用 さ れ る。 コ バ ル トは ガ ンマ 線 で 癌 の 治 療 に、 ス トロ ンチ ウ ム 89 ま た 中 性 子 と 共 に 深 部 治 療 に 使 用 さ れ る。 ベ ト. タ線を出すもので皮膚疾患のみでなく肝臓疾患などに も利用 されようと している。 9 アイ ソ トー プの産業上の利用 も大きいもので今後多大な進展を見るといえよう。 それはマイ クロウェー ブで食品保存するのは 冷凍 したものを電波で氷を蒸発 し乾燥することによる。 またガ ン マ線で生細胞を 変化させることが出来るのと同様に微生物 の殺菌に用 いられる。 コ バル トのような 低廉なものは利 用が大きい。 またセ シウム 137は電波用光電管に不可欠のものである。 その電子 計 算機とか オー トメーショ ンに通 信機に利用 されるものが数多いことはいうまでもない。 植物生産面 でも突然変異を遺伝 子にアイ ソト← プに よ って起さ しめて効果を大きくあげてい る。 動物の生産面 にあってもまた同様 であり、 将 来大きく利用途が開かれるであろう。 われわれ日本の土地に あって は放射能衣の吹きだまりにある点を利用、 工夫によ って、 生産 面に効果をあげることを勉むべきで あろう。 すなわち プランクトンや海藻にあるものを魚類に与えて より生産上に効果を高め、 土壌に あるものを作物に利用 されて生産効果をたかめ、 さらに動物に飼料中のものを適度に与え ることで 生 産 効果 を 高 め る べ き で あ ろ う。 そ して 人 間 の 場合、に も 有 害 度 減 殺 す るに は ス トロ ンチ ウ ム 90 の. 解毒剤すなわち杓搬酸カルシウム。 ナ トリウムで処理するか、 有益なもので生活能率を高めるべき 工夫をなすべきであろう。 かか る放射能性物質の身体外に容易に排 世させることによって危害を防止する研究は、 今後大い に 進 展 す る で あ ろ う。 最 近 小 川 博 士 は セ シ ウ ム 137 を ハ ツ カ ネ ズ ミ に 1 マイ クロ ・ キ ュ リ ー 溶 液 を 5 ミ リ グ ラム 注 射 す る と 1 週 間 目に 7 注射 し、 次いで副腎皮質ホルモ ンの ドーカを1日 0 5%を排世 . す る こ と を 発 見 して い る。 またイ オ ン交 換 樹 脂 ア ン バ ← ライ トを 体 内 に 注 入 して 陽イ オ ン の セ シ ウ. ム 137を陰イ オ ンに かえて 排 世を更に増加させる方法も同時に発見 したと述べている。 亘 1. 原子時代 のマスo l iミとノイ ローゼ治療と生命尊重への教育. マス o i lミの社会教育環境は原子時代が生んだ一大産物であ るといえよう。 電波、 短超、 短. 波、 極 超短波と網の目のように宇宙にくまなく張られた通信網であ る。 世界の巣に起った事件も分 時に何億の世界の人々の 眼に耳に ラジオと してテレビと して伝えられ る。 映画に しても新聞雑誌に 58- -1.
(6) . 環. 境. 教. 育. 科. 学. しても大衆を教育するに 懇切をきわめている。 現代青少年はいう社会罪をわれわれのまえに紹介し ている映画も細微に渉って悪の説明にやく立つようにでき、 一瞬間ふと目にふれたのみ で深刻の場 も知らされる。 新聞雑誌 の社会報道 もまたニ ユ←スバリユ←を高めるた めに 露骨なそして好奇心を そそる点で遺漏ないよ うな至り尽せ りの作文である。 かかる方面ほど巧妙な教育手段 でわれわれの 常識に社会悪を一茶事化した事件として 馴れる 時期 を与えている。 そ して楽しい事も争う事も大衆 的に行われている。 ひと りがみん なを、 みんながひ とりを指導するの である。 一方で義理人 情に し ばりつけられて自己を喪失し権威に 盲従するかと見れ ば、 他方では他人を蹴落して自分だ け幸福を 得ようと競争原理もは びこっている。 しかし社会を矯正 してゆくには集団の団結を固 く し、 指 導者 の廻りに班員が集結し協力 して行くこと であると、 考えているのが原子時代の青少年であろう。 し かし大衆の特 性は衝動的に動くところにあり、 集団大衆の効能に個 人現存を放棄させ万人 平等の構 よばをきかせている。 寛容のない暗示にかかりやすい大衆は 一切を牒鋼もする。 それで全人と 想がし して人間存在であり、 良心は集中せる自己が自 己に対 してなす無声の話 しかけである。 そこに自己 緊張あり自己統一であるべきものが原子時代の青少年には乏しい。 2 ノイ ローゼを 起きしむるもの精神分裂 症にかからせるものは、 原子時代の生んだ機械化文明 の生活様式であろ う。 自由生活の野獣が濫に入れられて肉体的、 精神的葛藤 でス トレスを起したよ うに、 近代人特に青少年が緊張 した騒音の中にノイ ロ← ゼ、 高血圧、 自殺の増 加をやっている。 精 神病の感情や情操面に もあらわれ現実逃避にもな り、 パチ ンコも競輪 もレクリェーシ ョ ンから血眼 でやる、 財産をかけて生命をかけて の仕事にもなる。 ヒロ ポ ンや麻薬の流行も同様 で、 酒も酒乱と なり喧嘩や殺 人にもなる。 イ ンテリ層 でも現実と基想とを混同したノイ ロ← ゼで軍備全廃、 原爆無 条件排斥を主唱 する。 ノーベル平和賞受賞の人 々は、 各国協力に始まらねばなら ぬと説いている。 そしてそのあとにくるものに軍備 全廃である。 心の平和と自由に枯渇 した原子時代人は、 人格、 霊 的生命の尊厳をわすれて、 人間中心の新興宗教に血道をあげているのもノイ ロー ゼの表情である。 自分の内部葛藤を精神 病で代償と して解決するような立場になる場を人々に就いてみよう。 葛藤に よって心的ェネルギーを浪費消耗 して心的水準 が低下され、 低い人格段階に陥るのであ る。 低い精 神的な愚に陥ら ず、 孤独の淋 しさに勘らず、 気分主義や神経質や反逆型の人にならず. 勇気あり強 固な意志で逆境に自己制御を強 行する事である。 3 生命の尊重は霊的生命の認識と人格の尊重とに由来する。 現実の社会で生長をつづけ生活を 繰返しているのは、 環境に対 してよく順応することによるのである。 食物を求めて移住することか ら順応は和まり、 病気になって免疫さるるのも順応 である。 環境が急に変化 し適応が行われなくな れば肉体は病気にな り、 社会生 活で自分の習慣が無力化すると、 安定感を失って逃避に もなる。 環 境は精神の足場である。 不安を抱 き危期がやってくれ ば、 安定感を失って病気を 精神的に招来して 逃避 しようとする。 神経衰弱もそれである。 理想的な人間は思考 しつつ身の処 し方を切 り開いて行 くが、 できない人は不安がつの り自殺にも行く であろう。 生命の内容は肉と血との 身体と衝動や要求を足場とする心との統一であってゞ 経験 が中軸をなし て現実を認識 している。 同時に経験が導かれた 理性 で道徳を追求する。 丁度快不快と同じように経 験から来る徳 の理念として伝わり、 精神飛躍が倫理とな り、 善悪とし経験を通して子孫に も伝える のである。 この徳の理念から飛躍 して倫理に 至る経験を青年時代にもてぬような人々は、 現実の肉 体的生活に満たされても自殺にま でも行くの であろう。 生きることに意識を超えた高次の存在であ り、 自己の自由と他者 の自由とを 超越 した理想社会を構成する要素と しての生命である。 この人間 の尊厳 と道徳性 とを生命の上に顕 わすことに よって生命の尊 さがわかる。 このとき霊的生命の認識 9- -15.
(7) . 所. * 暫. 太. 郎. カミあ る。. 肉体を尊重する人生を肯定 するから、 生殖を高貴なもの神聖な ものとする。 恋愛は悦楽でなく厳 粛に して神聖であるとする立場で、 次代の生命を生み社会の 平和 と幸福に貢献するのである。 だか ら嬰児の誕生は家族にも社会に も人類の将来にもこの上ない重要な事件である とする。 それだから 子供の栄養不良を 治癒 し、教育を与え、健全な精神と肉体とをもった完全な出世の権利をもっている 子供として取扱うのである。 ここに人類の生命を後代に伝えて行くため遺伝学 を通 じての教育が必 要に なって来るのである。 すなわち遺伝環境 をいかに与えて行くかを教育 することが生命尊重の所 以でもある。 母の精神は次代の生命尊重であり、 そのための奉仕である 自己の生 命を尊重しない 。 民族で、 自殺者を多く出 すようなものには他人の生命尊重の念もすくない であるから慈善をする 。 ものも少い。 慈善が生活社会に行わ れるような環境 を作って 心に人に奉仕する豊かな気持で余裕 、 をもつ人々が増加することが、 人格の尊重であるといえよう。 かかる場に教育を進むべきである 。 そのとき個人に 孤独に おいて他人を自分と同様に経験と価値の中心 として評価するようになり ま 、 た他人を自分と同じく究極的であり神聖として 尊敬 すべきであると認識するように なる そのとき 。 個人の孤独で営む最善のもの は、 宗教的であ りそれから性格の個人的価値が出るのである また 性 。 格は宗教によ り内面を清めることによって信仰に入 りて価 値づけられる。 それだから同胞感が普遍 的となり道徳原理と つながって親愛や同情 や誠実の態度は神に通ずる。 皿. 原子力 の理解と利用に関する教育. 1 原子力とば鬼面で仏性もある。 戦争が生んだ世紀の悪魔として知られた原子爆弾は原子力の 鬼面の部分である。 古来文明の利器とし社会人類の福祉に貢献しているものに戦争の 落児が多い 。 それらのものはみ な殺人の役を直接間接に手伝ったこと原子爆弾に変らない 例を引くならば飛行 。 機の発達は ジェッ ト輸送機まで進ん だのも戦争によ った必死の研究努力 で生まれた 安全航海の重 。 大な役をするレーダー装備も、 また電波利用の通 信でも、 さらに自動制御に 役立 つオー トメー シ ョ ン装置に利用 する真空管や光電管と電子工学装置な ど数えきれないものがあろう また原子力から 。 生まれる放射能の 弊害は人類に ケロイ ドを初め幾多の疾 患や不具者 を子孫に残すような残忍な果て な き もの が あ る。 しか し彼 の X 線のように取扱う技術者の寿 命でちぢめ局部に危害 を及ぼすが幾 百 千 万 人 の疾 患 を 治 療 す る 収 巣 を も っ て い る。 そ の よ う に ス トロ ンチ ウ ム 90 の恐 るべき直接の危. 害や遺伝上に及 ぼす不具者を生む影響も、 やがて杓瀞 酸カ ルシウム. ナ トリウム液の注射に よ って 早期に体外に 排世されて危害から免れることにもなろう。 そしてむしろ 皮膚病の 治療や眼の結膜 シ ワ よ る 老 人 症 の 治 療 のみ 、に 役 立 つ こ と に な る であ ろ う。 そ して コ バ ル ト 60 は癌の深 部治療に ま 、 た 肉 や 野 菜 の 耀 詰 の 殺 菌 用 に も 使 用 さ れ る で あ ろ う ス トロ ン チ ウ ム 90 もまた 骨の深部に 。 ある悪. 性種蕩を治療するに棚砂の注射あ とにあてて目的を達 することが出来るように なるであろう かく 。 て放射能物質の副産物であるアイ ソトー プは、 農業上に 鱗病に耐える品種を育成 した り また増収 、 に も役立 つであろう。 いま動力になるエネルギ←源として原子力に就いて 常識を述べ る 。 2 生活向上のための産業 へエネルギー源として原子力は偉大なものであ ることは周知のことで ある。 文明度の高 い産 業国で土地狭く資源に 乏 しく、 エ ネルギー 枯渇の心配をもっている英国と日 本は原子力 をたよ りに している。 ソ連やアメリカのように石炭か石 油かが無尽蔵である国はむ しろ 原子力エネルギーにたよらない。 しかし原子力の利用研究でその装置を世界の 市場へ売物とするた めに偉 大な研究が 日夜行われている。 米国では幾千万の自動 車に幾万の飛行機に消費する石油資源 もあまり長年月は続かない。 ガスの家庭で使用 する莫大な熱の資源も数 十年で尽きるであろう し 。 0- 一16.
(8) . 環. 境. 教. 育. 科. 学. かし石炭が無尽蔵に あると称せらるるのでエネルギ←源に心配はないo ソ連と ても石炭や石油の未 開発資源は沢山あるといわれて いる。 そ してわが国のエネルギ←需給に就いて産業合理化審議会答 922 億 キ ロ ワ ッ ト時 に 昇 申に よ れ ば、 昭 和 30 年 度 533 億 キ ロ ワ ッ ト時 電 力 が 50 年 に は 約 4 倍 の 1 ,. ることが予想される。 そして石炭は 2倍、 石油は 4倍、 電力また 2倍を要することになる。 石炭に も石油にも乏しいわが国は火力発電用 の石 炭 25 万 ト ンを こ え 現 在 輸 入 に よ っ て い る。 そ れ だ か ら 0、 輸入20 が、50年 には国産が59%、 輸入 需給エネルギ←の国産、 輸入別構成比は30年度国産8 が41 %と変化して 輸入割合が2倍となることになる。 しかも日を追うて増加 して行く電力の消費 000 万 キ ロ ワ ッ トの 大 半 は 既 に 取 っ て い る。 す わ ち 1 300 万 キ であるが供給は 水力電気の包蔵力 2 , , ロ ワ ッ トは 既に 電 力 化 し他 の 700 キ ロ ワ ッ トを 残 した に 過 ぎ な い。 し か も そ れ 等 の 資 源 は. 山 獄 の. 峻険な場に工事を 進 めねば得ること困難であり、 創設費をいたずらに増大 して既に利用の 限界も窮 迫して来ている。 また火力発電用の石炭とても九州、 内地本州の資源は枯渇せんとしている。 唯余 すところは北海道であるが、 これとても採鉱に充分でなく毎年の需要に応 じがたく百万 トンにも近 く輸 入の場にあ り且つ資源とても充分でない。 さらに石油にあ っては 全く現在アメリカを主体と し て、 また東南ア ジア 或は南方から供給を仰いでいるに 過 ぎない。 将来幾倍ものェネルギー増加を産 業界に 必要と しているが火力、 水力、 石油に仰げぬわが国には原子力によることが最良であ る。 現 在の原子力エネルギーの生産コス トが必ずしも低廉でないとしても将来水力や火力よりも電力資源 として低廉であ り、 容積少くて強大エネルギ←を出し得る原子力は輸送費を要せずこの点 でも エネ ルギーの低廉に供給出来ることを示している。 産業に原料の包蔵する僻地に起り動力エネルギ←源 を簡単に 安価に運搬 して企業されるのである。 ただここには高度技術を用いるのでなくてはエネル ギーを発生せしめ、 安全に利用 することに 困難である。 現在東海村の原子研究所で組立てい る原子 炉の処理でもわかるであろう。 すなわち原子炉心部の組立で見てもわかる。 エネルギ←は中性子がウ ラン235の原子核に衝突 し て こ れ を 分裂 さ せ、 そ の さ い 2 , 3 個の中性子を放出し それが附近の原子核に ぶつか り……とい うネズミ算的分裂増加、 これが連鎖反応となってエネルギ←を出すのである。 中心部には 11. トン. ほどのアルミの反射材のタ ンク、 それは中性子がやたらに外に飛び出さぬように して連鎖反応を起 させ る た めに 石 墨 が つ め ら れ て い る。 タ ン ク に 18 本の筒があって炉心で発生した中 性子線 ガンマ ー線をとり出すための孔で、 その中の1本は炉心部を入れる大きな孔 でタ ンクの中心に上から下へ 通 っ た 直 径 80 セ ンチ の も の だ。 そ れ に 入 る 炉 心 部 は 40 セ ンチ 直 径 の ス テ ン レ ス o スチ←ル製球状 の炉心と附属品で出来ている。 これを石墨で包んで前の孔にぴった り入れるように なっている。 そ れの据付け が工事の大事な処だときれている点でもよくわかる。 この原子力 エネルギ←を利用 してわずかのものを積 み飛行機は燃料補給なしに長時日飛べる。 ま た潜水艦も長時日作業に従事きれる。 汽船でなく原子船は巨大容積を荷物運搬にあてて石炭庫をも たずに長月 日航海できるのである。 かくて産業上から生活上にまで利用きるる 原子力エネルギーの取 り入れは、 大工場から家 庭の中 に 入って来る時代がやって来る。 かの 1954 年に発明きれた原子 X 線機械の創製に よ り、 重量わ ず か に 10 ポ ン ドに み た ぬ が エ ネ ル ギ ト 放 出 力 に 10 万 ボ ル トの X 線機械にも相当 する。 かくてい. まは世界の原子力 平 和利用国際会議が数知れない原子力利用の問題に就いて討議するとともに、 新 エネルギト源の使用途を各部門にわたって指示するであろう。 かくて真に かつて人類を殺害するた めに もちいられた原子力も今後は人類の最も生産的な使用人として生 まれかわるであろう。 この新 しい型の平和の中では芸術家も教師も指導者も農夫も生産人も科学者も真に協同一致 して人類共通 -161-.
(9) . 田. 所. 哲. 太. 郎. の福祉に向って利用 することに 努力するであろうと想像される。 3 夏薬は口に苦し 、 、 食は身体を養うも暴飲暴食は病 死を招くことを知らねばならない。 昔から 剣は身を守るための武器だが良心が迷えば殺 人剣とな ることがいわれている。 そのようにわれわれ が毎日病気治療に利用 している薬でも適量ではその目的を達 して人間の福 祉に貢献するが、 過量に い たれば睡眠薬のように自殺 薬になるであろう。 何れの方途に使用 するのも人間の心次第であるこ とはいうまでもない。 人間の文化は自然の征服に由来することはい うまでもない。 環境をよく人間 の生活に適応するように 変え るところに 他の動物と異つた 人間ら しさがあることを 忘れてならな い。 原子爆発を恐 怖してただ逃避することのみ しか考えず、 征服 し人間生活に適応するようにかえ るところに科学研究が進 めらるることになる。 放射線ということもわれわれが今, 日恐怖なく征服利 用 して い る X 線 の よ う に、 ま た ラ ジ ウ ム 線 の よ う に ス トロ ンチ ウ ム 90 も セ シ ウ ム 137 も コ バ ル. ト80も利用 すべきであ る。 このために科学研究で 人間文化が更に 一層進めらるるであろう。 スカ レッ ト包み紙の厚さを製造中に測定する器械にも放射能をもつ物質を光波の代 りに し、 ガイ ガー計 算 計を光電管のか わりに使用 している。 震災のあとに古く見られなかった東京の文化都市を建設 し て行くところ に人間 らしさがあることを教えることである。 まず恐怖 している放射能 元 素をその特 性 を 利 用 して あ る も の に 集 め る こ と の 研 究 で あ る。 こ れ に よ っ て 人 体 に 直 接 み だ り に 入 る こ と を さ け る。 ス トロ ンチ ウ ム 90 を 骨 に あ つ め る よ う に セ シ ウ ム 137 を肉に集めるようにする。 集め られ. たものは他の方に 、みだりに散らないから危険はなくな る であろう。 次いでこれを小だ しして有害な らぬ も の と して 利 用 す る こ と で あ る。 す な わ ち ス トロ ンチ ウ ム 90 な‐ らば作物、 麦類や亜麻などの. 鎌病防止薬としてまた他の放射能元素は 作物の収穫を倍加するた めに現に米国で研究発見されてい る方面に利用 することである。 また人体に有毒度の少 いコ バ ル ト 80 は価格 も低廉であるから、 広 く食品すなわち肉 や魚や野菜や果実の防腐殺菌用にすることであろう。 また小だ しに放射能を利用 すれば癌治療の み でなくいろいろの疾 患の治療用に利用 さるることも不可能ではない。 また優生学 上から人 類改良も精子に対する放射能の利用 で、 断種法など殺伐な行為なしに容易に実行ができる であろう。 さらに電子工学上にも利用 され る。 次いで最も大きい問題核エネルギトの利用 であ るが、 文化の進むに従つてエネルギーの消費が増 大する。 すなわち電気洗濯器が入った、 電気冷蔵 庫 が、 電気扇風機が、 そ してス トーヴも浴場の熱 源も炊事の熱源も安 易にこのエネルギ← を家庭にも利用 できるように なる であろう。 科学革命の象 徴 は原子力とオー トメーショ ンの利用であろう。 そして世界の核エネルギーに対する熱狂は科学 時 代の象徴であ る。. - 162 一.
(10) . 環. 境. 教. 育. 科. 学. 本編 (その三) 近代遺伝学ご教育 次. 目. 緒. 遺伝の人口構造変容は産業に影響する. 言. 遺伝子から生命力増強への教育. 1 遺伝子 (素質) を変容する放射線 I X線による遺伝子の変容. 1 生命力とは何か. 2 アイソトー プ放射線による遺伝子の変容. 2 遺伝による生命力の強化. 3 遺伝子は何故敏感に放射能に作用するか 4 放射線の産業上の利用. 3 生命力の強化 4 男女両性の対立が生命力の強化である. 5 遺伝子は酵素作用で裏付けられている. 5 生命力の蓄積は老化防止である. 6 酵素作用を変容する放射線. 6 生命力の増強を精神力で. 7 酵素の酸化還元作用が変容する突然変異. 7 鍛練による精神力増強も遺伝する. が遣伝子に起る. 言. 緒. 近代遺伝学は原子時代にいた り、 放射線のいろいろ の種類がいろいろ異つた強さの放射能をもっ て直接間接に人体 に作用を顕ぼ し、 生殖の面にあっても、 亦姫娠中にあって次代の遺伝子に突然変 異を起す場合をぅみ だ したことによって飛躍的発展をと げんとしている。 そして放射線の遺 伝子に 及ぼした影響が、 また遺伝 子と酵素作用との関係 を鮮明するに至ったのであり、 唯に素質を制約 す ) の驚く る遺伝子の変容が教育に重大な場を与えていることにと どまらない。 最近における遺伝学1 べき進歩によって進化に関する多くの議論に解決を与えた。 下等生物の バクテリアや ヴィ ー ルスを 材料として複雑な系の始原的なものを見出そうとして努めた。 そして遺伝の単位や突 然変異など従 来のような複雑にあることが判明した。 そして環境が遺伝の機構に影響を与えないと考えたことが 誤 りとわかった。 時として突然変異をし、 不死の自己増殖性の化合物 である一組の遺伝子が一つの 世代から他の世 代に何の変化もなく移り、 その宿主 (新 しい) から何の影響も受けずホ ルモ ンを作 り、それで総ての発達を制御する。 かくて生物と環境とは 一つの系を形成するのであって、生物だ け でそれを形成するものでないことが集団遺伝学の統計上 で示されている。 進化は環境の中の総 べて の利用 し得る場所に拡がって行く。 余 りに分化するとその種族は亡びるが、 勝手に造化 したように 見える特性がその時には、 有害なものであっても残存 して時として種族が新 しい環境に侵ったとき に極めて馴応性のある事がわかり、 ここにおいてこれらの特性は馴化 して仕上げられたの である。 遺伝機構の中にある生命は蛋白質と桜酸とよ りなる自己増殖性の分子の中を循環 してい る の で あ る。 そ して 環 境 を 形 成 す る も の の 一片 を と っ て 自 ら と 全 く 同 様 の も の を 作 り出 す の で あ るo し か も. 核酸が適当な媒体中で自らと全く同じものを形づくることのできる機構を論理的に説明されるから である。 核 酸が遺伝機構を左右するのは、 そのホルモ ンや酵素としての制御力を有することに由来 する。 しかも酵素は生細胞にあって新 しい外から来た事物に対して適応するものを生産 するo すな わち適応酵素としてこの新たに侵入したものに適応した制御力を出すことになるのであるo これが 環境と協 同して次代の生命を持続するに必要な形質を遺伝することになる。 それで環境 の遺伝子へ の影響を知 り、 これによって教育の拠点を探索するべ きである。 1 1 ) ヴ・ プ ッ シ ュ:- ニ ュ ーア メ リ カ ナ 1956 No,1/1. 一163-.
(11) . 田. 所. 哲. 太. 郎. 1 遺伝子 (素質) を変容する放射線 I X 線によ る遺伝子の変容すなわち突然変異は古くから 知られて いる 数例をあげて 説 明す 。 るならば X 線による放射線で生活細胞は変化すること、 赤血球の場 合でもまた細菌体で証明され た。 そして病的細胞 すなわち結 核 治療にも使用されたことでわかる。 酵母は繁殖が停止されるよう に、 筋肉や骨では鈍感だ が生殖器管である卵巣や墨丸では極めて敏感である。 そして X 線に敏感 であ る細胞はその代謝が 変容するた めであることなど既に 35 年前から知られた 次いでアイ ソト 。 8 2 7 2 l 9 8 0 6 な どは ベ ト タ 線 と ガ ンマ 線 で 1 0 9 ー プの放射線 も研究され Na24 あ り Pb2 , M g , Br , Au , Ag ,. 1 2 8 Br8 0 Co~a M 54 Cu4 5 P3 2 A1 9 S3 5 2 1 g , などは何れも べ←ター線 であ ることが知られたのは十数 , , , , ,. 年前である。 また皮膚や内臓へのいろいろ程度の異つた変化は X 線の強度 (γ ) に関係すること が 述べられ、 蛋白質の等電点 などに変容ないにしても変成することは明かで あるいは難溶になると 、 か可逆 性が減ずるとか変るのである。 染色体の酸度 pH 感度が X 線照射で変ることが知られてい る。 また人間の場合 X 線で赤血球の数も減 り赤色素の含量も低下し代謝は 低くなるなど十数年 前 に証明された。 遺伝 に関する方面では X 線の影響大きく妊娠中の家兎が X 線の放射で仔は眼にロ ゼッ ト. Roset t. を生ずるとか、 また四肢が異常を呈 するとか、 さらに小 頭脳のものが生 れると報告されている ま 。 た子宮内で着床する前に X 線に照射されて 流産 となった りあるいは無頭児やヘルニャをも生むと いわれ る。 勿論古くがらショウ ジョウバ エでも蚕でも遺伝子を変容で突 然変異を起すこと が多い 。 ラ ッセ ル博士に二十日鼠への影響はショウ ジョ ウバ エの発現 率よ り 2~4 倍も高いので 高等動物 、 特に人間になると遺伝子 (榎酸) 感 応度 が高いので変異受けやすいから X 線の許容量が低下され 、 ね ば ならぬと述べられた。 哨乳動物人間に近いもので、 X 線にあて直接受けた場合の 国際協定 許容 量 は 1 週 300 ミ リ ・ レ ン トゲ ンで あ る が、 遺 伝 的影 響 を 考 慮 す る と io の 30 ミ リ ・ レ ン トゲ ンに. も低下すべきであ るという。 人間の場合の 悪質遺伝とされる白子とか唖 (オシ) とは放射能による 突然 変異からく ること多いのである。 2 アイ ソ トー プ放射線による遺伝子の 変容は、 直接放射能の受けた影響と共に原子爆発によ っ て最近庵大 なる研究発表を見 るようになった。 宇宙線の自然に光線と共に 照射され 熱帯土人は皮膚 病を誘発 するが、 X 線においてもガンマ線とべ←タ線などの電離放射線で癌細胞が逆に破壊 される のであ る。 医学上 治療に利用されるものにあってもコ バ ル ト 60 がガンマ線で体内深部の癌病巣の 破壊 に 使 用 さ れ、 ス トロ ンチ ウ ム 99 は骨の悪性腫蕩にまた中性子を 深部にあてるため これを捕 、 えるものとして脳 腫蕩患者に棚砂の静脈 注射をうったあと 10 分間中性子をあて る。 また沃度 がよ く 癌 細 胞 に 集 ま る の で、 そ の あ と に 放 射 線 を あ て る。 ま た 血 球 と ク ロ ー ム 51 と が よ く 結 合 す る の. で血球の 寿命測定に用 いられる。 ス トロ ンチウム90や燐32が皮膚病の 治療に用いられ 特にス ト 、 ロ ン チ ウ ム 90 は ベトタ線でごく表面 しかとどかないので眼球の内部まで作用 しないの で黒目の方 に 結 膜 の シ ワよ る 老 人 症 の 治 療 に な る。 セ シ ウ ム 137 は 半 減 期 が 33 年 も か か る コ バ ル トの 6 倍に あ た る。 ス トロ ンチ ウ ム 9 0の方も約28年、 燐は僅かに 2週間、 沃度131は 8 日間と異 る また沈. 。 着する体内部分にも差 異があって沃度131は甲状腺に、 金198は肝臓 80% 牌臓に2 0 %集まる 、 。 また 中性子があてら れて目から放射能を もつようになる棚素アルファ線のよう なものもあ る ス ト 。 ロ ンチ ウ ム9 0は 70%骨髄に沈着し、 造血機能に変容して白血病たら しめる それは 05 ミ リ グ ラ . 。 ムの量でも毎秒数十億の ベトタ線として 電子を選り、 エネルギーが数 百万電 子ボル トにもの ぼる 。 セ シウ ム 137 も 人 体 内 で は 主 と して 筋 肉 に 集 中 し 17 日 目 に 小 便 に 排 世 さ れ る が そ の 間 に ベ タ ト 、 64『 -1.
(12) . 環. 境. 教. 育. 科. 学. 線よ りもガンマ線が大きい透力をもつて特に生殖腺を冒すのである。 生殖腺の卵巣にしろ畢丸に し ろ放射線に 他器管より敏感で少量 によっても遺伝子に突 然変異を起させる。 ために精神病者、唖者、 0 歳まで若い人に影 盲者や崎型児を生む可能性を高める。 ス トロ ンチウム 90 は特に 7~8 歳 か ら 2 響 して骨格上に巨人や小人が現われ、 貧血 症や白血病ともなり骨に肉腫も出来る。 また劣性遺伝と なり体質虚弱で寿命を短くする。 その他原爆症として明らかなケロイ ド患者の外に結核も白内症も 貧血も、 また赤血球白血球栓球に異常を呈 し、 疲れ易いものも多いというのも放射線による疾患で あ る。 しか し 最 近 ス トロ ンチ ウ ム 90 やセ シウム 1 37が人体内に定着した場合、 直後ならば拘橡酸 カル シウ ム、 ナ トリ ウ ム 液 の 注 射 で 90 %まで放射能原子と結合して排撤し解毒されることも知ら れて. いる。 将来かかる新発見の数を増加するであろう。 しかし米国原子力施設にあって放射能にさらさ れている労働者は 25年間に3ヶ月 から5ヶ年も寿命を短かくするともいわれる。 また米国が原子 爆発で完全に攻撃された場合、 最初 の世代 (30 年間) に生れる子供 10 人につき1人の遺伝学上の 欠 陥 を も つ も の も で る と も 述 べ ら れ て い る。. 3 遺伝子は何故敏感に放射能に作用するかは許容量が人間のように高等動物 で機関の技能が複 雑になってくると低下されねばならぬことでわかる。 各機関すなわち肝臓も腎臓も精子も卵子も共 に核酸酵素の反応特異性の高いものを細胞核中に含むからである。 放射線に対して変容されやすい 0 00分子を含有する歴大複雑 な重合分子 敏感な核酸とは塩基・燐酸・糖分からなるが、燐酸のみでも3 , であ る。 蛋白質であるからペプチ ー ドすなわちア ミノ酸 連結の網状構造を有し、 且つ共範結合とか 活性 基とかをもっている特殊立体構造の塊である。 これが崩壊 して酵素となると き、 糸状端に活 性 基を持つ移動して作用上著しく高低を生ず る。 酵素は反応上特異性が高いの で非常に 限定された範 囲の反応 に も触媒として作用 する。 それほどに凡ての種類の作用、 すなわち放射能にも敏感である のだとする。それだから人間個性によって可なり反応性が異っていて、放射能に対する許容量も異る ものといえよう。 遺伝子に 対しても酵素としての裏付けきれている以上同様な敏感 性を発見する。 4 放射線の産業上の利 用はその細胞と細菌の殺菌力ある点からコバル ト 60 の放射線をあてて 肉や野菜の鎚詰の殺菌を行っている。 またガ ンマ線によ り生ずる殺菌力の問題も考えられ、 さらに ガンマ線が合成樹脂のような物質の構造をも変化 することが産業上の利用に役立つことになると考 え ら れ るo さら に セ シウ ム 137 は 電 波用 光 電 管 に 不 可 欠 で あ る よ う な も の で あ る。 ま た レー ダ ー 電 波 の マイ ク ロ 。 ウ ェー ブ す な わ ち 極 超 短 波 の 放 射 線 が 利 用 も して い る の であ る。 テ レ ビ・ ア ンテ ナ か ら テ レ. ビ・セ ッ トに入る極超短波もレー ダーと同様 であるので放射線物質の利用がこの面にもある。 また 原子力により自動車タイ ヤの厚さを一定した り、 金属の鋳物や プラスティックなどの内部の きずを 発見するに用いられる。 農業上 ではさび病につよい抗菌性のからす麦をアイ ソトト プに よって発育 させた。 冷凍によらず放射線で馬鈴薯を保存 したり、 また南京豆の収穫を増大することにも使用 さ れた。 その他工業、 農業などに利用されること多い。 ち 遺伝子に酵素作用て裏付けられていることの証明は、 受精と遺伝の化学機構で見られる。 卵 子に達した精子は巨大数だが、 一精子の侵入で受精されると他の精子は卵子周辺に崩壊 して酵素 を 生 成 する。 す な わ ち ヒ ア ウ ロ ニ ダー ゼ と して ま た ム チ ナ ー ゼ と し て、 卵 膜 組 成 分 を 溶 解 し精 子 を 侵. 入させる。 同時に リボ榎 酸である精子は蛋白質合成を脱 水素酵素としてやるので受精卵の分裂、 増 殖と成長に役立つ。 蚕の絹糸フィ ブロイ ンの合成さるるとき リボ桜酸とデオキシ桜酸とが混在 して 増加するときとよく一致するの であ る。 精子が卵子に達 し遺伝因子を渡すことであるが、 遺伝因 子 -165-.
(13) . 田. 所. 哲 r太. 郎. に染色体の上に一列にならび、 本質であるデオキシ核酸は螺線 状蛋白 質と結合し巨大な重合体と し て存在する。 すなわち五炭糖が一方に燐酸他方に塩 基と結合し、 燐酸鎖により他分子と連結し網状 000個も含むものとなる。 かく複雑重合であ るが、 分子は細微で電 となり、 巨大分子中に燐酸の 3 , 子顕微鏡 で初 めて見られるウィ ト ルスがそれである。 燐酸連鎖はピロ燐酸であるので正燐酸に比較 し熱力学 的に不安定であ り、 水と反応 して正燐酸と なるときエネ ルギーを出す。 すなわち水素の供 与と変容とが行 われ、 酸化還元酵素の電子状態からエネルギーの移動サイ クルが生まれる。 これが ″ ′に◎の附加でなるように燐酸添加で行われる 水素供与体の還元力強大 2 価の Fe″ か 3 価 の Fe 。 なものがあって、 水素受容体との間に立って酵素か水素の贈与の媒介をやる。 すなわち現班酸が供. 与体とせば琉硝酸脱水素酵素が水素の運搬者で、 電子◎の添加が酸化還元電圧で行われる。 榎酸の 場合の水素移動で起る酸化還元電圧は約 0.1 エ レーク ト ロ ン ・ ボ ル ト o オ←ダ←反応速度が早いが勿 論電位差による。 細胞核をつくる榎酸から出る酵素作用は或る異物質が生細胞 で徐々に働 かれるよ うになり、 すなわち適応酵素が形成されその能力の強弱は細胞毎に異つてしかも遺伝されるように なる。 それだからこれが環境の遺伝を変容する原因とな り、 しかも遺伝を制御 する化学物質が デオ キシ核酸、 リボ板酸の表裏一体の酵素であ る。 蚕が飼育環境で栄養体が大きくなり 1~4 回と眠を 重ね寿命も延びるのが遺伝もする。 環境で細胞代謝が変ればやがて長年月 で遺伝性も変容する。 ま た二種以上の父親からの細胞が (混精受精で) 母親からの細胞と相互の同化で新しい変 容 した遺伝 性を も獲得する。 すなわち受精した卵子を他の母体胎内で育てた仔兎は変容した遺伝性を受けるこ と も あ る。. 酵素と遺伝子とのつながりは人 間のアルカ プ トン尿疾患が遺伝するのでわかる。 この病気は尿を アルカリにすると黒変するが、 代謝産物ホモゲ ンチ ン酸分解酵素を欠くことに原因する。 またフェ コー ルア ラニ ン代謝酵素やキサ ンチ ン酵素と フラビ ン欠乏が精神病として遺伝する。 チロシナー ゼ 酵素作用 も遺伝することが証明 された。 さらに蚕のカタラーゼ酵 素作用 は卵黄色遺伝子の支配を受 けるという。 また蚕の消化液のアミラーゼ(澱粉糖化)酵素とは 体液アミラーゼとは別の単一遺伝 子 に より支配され、 二つの遺伝子が同じ染色体の近い位置に相接 して存在することも証明されたので わ か る。. 6 酵素作用を変容 する放射線に ついては古くから報告されている事実からも推定され る。 すな わち今から 30 年前に既に、 ラジウム 放射線によって植物の同化や呼吸 作用が変り逆 に細胞の死滅 す る こ と が 記 載 さ れ て い る。 ま た 20 年前には酵素ペ プシン (蛋白質消化酵素) がラジウムのべ←. タ線及びガンマ線の照射に よって蛋白質が変ると同時に、 ペ プシンの活 力も失われること が知られ た。 さらに ルシフェリン酸化酵素の作用がラ ジウム照射で変るのは、 水素イ オ ンの転位によ るもの であるとされた。 また蛙の皮膚の電荷に対して重水素が影響することが述べられた。 さらに ラジウ ムが貧血患者に対 しても造血機関に有害であることが述 べられ、 触媒ヘモグロ ビ ンの作用も変容す 告されている。 放射線により水素イ オンの転位に◎の 移動といえるのであるから、 酵素 ることが報. 生同位元素を構成 している原子の核がよ り安全 な の活性化に も影響 することになる。 すなわち放射1 状態に変化する時に、 そのエネルギ←の差 が放射線の形で出される。 アルフ ァ←線は高速度ヘリウ + ) 叉は陽電子 ( eー ム原子核は 2H で、 ベータ線は高速度 陰電子 ( e ) で、 ガ ンマ線は光線や X 線 X 線 よりず っと大きい光波 して波長が非常に短く したがってエネルギ←が 同様電磁波 の一種と 、 (光量子を有 する) である。 エネルギーと電子の移動を見るに、 光化学反応である が色素に 吸収さ れた光 量子は蛍光と して再幅射されるが、 その色素に化学変化あるとき、 なくと も蛋白 質があると 蜜光がなくなる。 それだから肉食の多い欧米人には放射線が許容量が多く、 肉食少い植物 性食の多 -166-.
(14) . 環. 境. 教. 育. 科. 学. も障害の少いこともこの理由によるといえる。 日本人や体質的に似た循環 性蛋 い日本人よ り多くと, 白質の体 内に 少い人々には許容量が低くとも障害となるのである。 そのことは遺伝子が裸な蛋白質 の衣服を脱いだ酵素であるために、 許容量が低いのであると同様の理由である。 すなわち直接 身体 に対 しては許容量が30 レ ン トゲ ンと さ れ て い て も 遺 伝 に は 20 レントゲ ン以上で障害 が出る。 最近 は こ れ 以 下 で も障 害 あ る 影 響 を 与 え る と も い わ れ て い る の も こ の た め で あ る。 そ れ で ス トロ ン チ ウ. 0の恐ろしいのは 0 5 ミリグラムの僅 少量で実に 1 秒間毎に数 十億の電子を ベータ線のエネルギ ム9 , ト と して 放 つ の で あ る。 そ して そ の ベ ー タ 線 の エ ネ ル ギ ー は 数 百 万 電 子 ボ ル トに あ る か ら で あ る。. このガンマ線は量は少いが大きい貫通力 をもつもので、 最も身体の内部にあたる生殖腺に 対 して、 37も同様に ガンマ線による恐ろしい突 放射線の少量でも冒して障害を遺伝子に与える。 セシウム1 然変異作用を与えるのである。 7 酵素の酸化還元作用で変容 する突然変異が遺伝子に起るのであることは、 遺伝子と表裏一体 である脱水素酵素によっても明らかである。 最近ホウ レン草の葉緑素が酵素として作用 するとき磁 気能率ある電子を持つ遊離根 (活性 基) があり、 光 合成はそれによる連鎖反応だこと証明された。 それで心臓筋肉の酵素を抽 出して 基質 (作用物 質) と共に硝子 管に 封じて置くと、 数分後に遊離根 を現出し .て作用を行うことが電子の出現で証明された。 放射性質から出るものではない中性子線も ガ ンマ 線 の よ うに 大 き な 透 貫 力 を 持 っ て い る。 こ れ を 防 護 す る に パ ラ フ ィ ンや 水 の よ う に、 水 素 を. たくさん持っている物質が良い防 壁となる。 勿論中性子線は原子爆発の 瞬間だけ出て、 降灰中には ないが作用に 対して水素との関係に 他放射ガンマ 線と同様である。 それでウラン原子核 爆発から来 る放射能の脅威も、 水素の融合反応が代用 されてエネルギ←源になるようになると、 危険な放射り性 廃棄物も出さなくなるのである。 電子を運ぶ水素がこのような作用 あることを知るべきである。 =. 遺伝の人口構造変容は産業 に影響する. 遺伝の優生学上から重要性を考えてわれわれ結婚に入らねばならぬことは、 血族間の夫婦間に 出 生児に死 亡率高く、 また劣性遺伝が多いことからで考えられる。 かくして健康の勝れ た優生学上立 派な体質の遠縁の人々の間に結婚が行 われる場合、出生児は繁栄と共に 生命力の強大なものになる。 ) を 与 え る も の で あ る。 す な わ ち 世 界 で もイ ン ド、 エ ジ この 点 か ら 遺 伝は 人 口 構 成 上 に 大 き い 影 響1. プ ト、 イ ン ドネシャのように出生率も死亡率も高いことは、 出生児 を成人まで育 てる期間と死亡率 高く働く年限の短縮とで低い国民所得にあらねばならない。 さらに育てる期間は消費国民層の増大 であるから間接の所得の低下ともなろう。 またわが国のように結核の死亡率 が下ったが、 療 養期間 にある人口層が多い場合、生産面に働 かぬから国民所得は低下され、出生高い国民で成人まで育て る 期間の人口層が多いことと相似である。 イ ン ドでは男女の幼児は5歳になる前に約 32 %が死亡 し、 0%、 4 5歳に 57%死亡する。 そして人口のかなりの割合が不生産 的な低年齢層に 15歳ま でに 約 4 ある。 それのみでない、 かかる死亡者のために失った物質とエネルギーとは残存の人々への生活に 大きい損失を与えている。 高い死亡率のために総人口に占める子供の割 合がきわめて大きく、 これ らの子供た ちは生産年齢層まで生 き残るものが少いに拘 らず、 国民所得の相当な部分を吸収してい る。 す な わ ちイ ン ドで は 15 歳 な る ま で に 死 亡 して し ま う 子 供 た ち に 国 民 所 得 の 20 % が あ て ら れ て. いる。 それだけに産業に投資 さるる富は低下され、 生活水準 は上らず、 食事衣類や住居の 不充分と 0 %を失 う 子供を育て る 両親は 3~4 人を 育てるた め 栄養不良 で 死亡率を高める。15 歳までで 4 に 5~6 人を生まねばならない。 かくて悪循環が生活に随伴 している。 鼓で人口構成のかかる状態 1 ) ステーブン・エンケ:. 71 1 1 7 / -人ロ増加と経済発展- アメリカ 195 - 167 -.
(15) . 田. 所. 哲. 太. 郎. を改善するた めに は、 遺伝と共に産業を改良して行くことが最良の方法 である。 すなわち農業主体 の産 業を工業に切り換え るなどに よりて国民所得を増加することであ るが、 そのために は投資の切 換でなくては. ならぬ。 農業資本の年次に よ る増加率よりも 工業資本を増加する大きいことで、 た め に国民所得そして 1人当 りの所得も亦次の表のように 50年間また100年間に変つてくる。 工 業 資 本. 4 05 . 00 16 .. 4 66 . 16 00 .. 4 98 . 20 29 .. 5 00 . 28 72 .. 5 00 . 36 56 .. 1 人当 所得比. 145. 152. 162. 165. 172. 住 宅 投 資 比. 46. 48. 58. 67. 76. 農 業 資 本. かくて住 宅への投資も増加するのは自然の勢であろう。 m. 1 生命力とは何か. 遺伝 学 から生 命力 増 強への教育. 最近遺伝学は非常な進歩に よって一代雑種の親の何よ りも体質強く繁殖. 力 大 で、 しか も 能 力 が す ぐ れ て い る。 こ れ を 雑 種 強 勢 (ヘ テ ロ ← シス) と よ ん で い る。 トウ モ ロ コ. シの一代雑種で増産され、 スイ カ、 トマ ト、 ハクサイ など凡て農作物が改良された。 鶏にあっても 片 親 に 白色 レ グ ホ ン(父)、 黄 は ん プ リマ ス ロ ッ ク を (母) と した 逆 交 配 の 場 合 で あ る。 白 色 レグ ホ. ンに比 べて羽 毛着生おそく、 育スウ平均温度高く、 湿度も高いのに耐える。 また生長が早 く多食 で 育スウ率が 95 %で比較的低蛋白飼料に耐 える。 すなわち生活力 (肉体的にも精神的に も) 強大と なり繁埴力も増 大する。 繁埴力増大で死産も少く、精神薄弱児も少く、生活力大で環境の定まった条 件の同化 する必然性が大となる。 生活への適応性を高める から栄養物の異物を同化し自体の体力を 作る能 力を増大する。 精神力 すなわち心的ェネルギ-の増進されるのは心の数個の意 識への分裂、 たとえば睡眠、 失神、 昏睡な どあって、 統一調整を欠くこと全くなく、 ヒステリ←的神経の弱さも なく、 或瞬間心から脱落することもなく、 経験及び知識全体が統合されるのが生命力の強大さであ る。 神経衰弱に至らぬとも林博 士のエソセフ ァロ バチ ァ (脳髄変質症) の慢性化で、 現実逃避の現 代日本人の多数にあるのも心 的エネルギーの低下したものといえる。 すなわち パチ ンコ、 競輪、 競 馬など レクリェ←ショ ンの範囲を越しての血眼で、 破産や自殺も他殺もやる。 ヒロポ ンや麻薬が流 行し酒乱、 喧嘩、 殺人にもいた る。 それだから唯一のたよ りの新興宗教に熱中もするのだ。 それで 低精神的な愚に陥らず 孤独に勘 らず、 気分主義や神経質や反逆型の人にもならず、 精神病者 など拒 否 し得る人であることが生命力の強い人である。 リビ ドも自我と外部との間にある内部葛藤 (ス ト レス) 精神病をもって代償として解決するような立場に陥らぬのである。 葛藤で心的エネルギトを 浪費し消耗すれば心 的水準を低下しより低い人格段階に陥る。 自我を超克 し得ぬ人は道徳心に乏 し い。 生命要求の感情の悪化無いことが生命力の強化である。 近親結婚からくる生 命力の弱体化は死産多いの みでない。 わが 2 遺伝による生命力の強化 国現 在の精神病者や精神薄弱児の 多いのは、 封建主義の長い間の同一階級間の結婚や家族主義の弊 6 % (仏)、0 2% 害でもあろう。 近親結婚は欧米文化国家の十倍にも達 し て い る。 1924年欧州0 . . 8%の近親結婚である。 それで精神薄弱や精 7~4 2% (英) であるのに 1936年東京では4 (独)、0 . . . 8%にあ り、 山村に入ると薄 7~0 9%、 後者が0 7~1 神分裂症が愛知及び香川県 で前者が人口の 1 . . . . 2 %に も達 したと述べられている。 秋田二 ツ井村の 山村では精薄 7% で、 精神分裂症が3 弱児が0 . . 00戸中に 同姓多く、 僅かに 5 つの姓の異つた家族の集 りである。 そして精 0%にも近く 1 6 児が 4 . , 薄児の程度は小学三年で僅かに 4歳に もあたる程 の知能の発育だと述べられてい る。 精薄児の知能は注意力、 記憶力、 推理力などに ひ どい欠陥があり、 感情面は同情、 しゅう恥心、 68- -1.
(16) . 環. 境. 教. 育. 科. 学. 名誉心に乏しく、 情意の表現は普通でない。 意志は常に環境次第でひどく動揺しやすく あるいは 、 わけもなく突如変 化して非行をする。 従って我慢したり他人と調和した り仲間入りする などの社会 性に 欠けて いて、 身体面に も発育過程で欠けている。 精薄児は先 天性すなわち遺伝関係のものの み でなく、 後天性の妊娠中の障害や乳幼児中の脳の内外支障から来るものも多いのであ る 社会に 出 。 ても集団就職、 たとえば5人でカワラ焼き職人ごとき単純作業しかないの である 精薄児にはまず 。 読書ができることでなく生活指導で身廻り感情表現や意志を並みにすることで学習はその次 ぎであ る。. 心の意識への分裂 が弱さ薄弱となる原因であ るから、 意識を総格することにより生命力増強とな る。 すなわち或瞬間に心 から脱落すること があっても、 直ちに帰り来て経験 や知識全体が統合され ることで生命力強化となるのであ る。 精神力とは心的緊張力であり、 心的エネルギ←を充分に発揮 使用する場 合は生命力の増強である。 そして意志 が強固だとか勇気 とか不抜とか忍耐 力とか それ 、 が逆境 (苦しい環境) にあって自己制御の下に冷静に事件を処理す ることである 。 3 生命力 の 強化は受精に際して酵素作用に依存せねばならない 酵素生産を欠く とき受精は行 。 われないこと、 男性の生 殖不能症である。 不草は精子から出る酵素ヒアルロ ンダトを欠くことによ り卵膜を溶かし得 ないためである。 精子の酵素資源である桜酸 (リボ桜酸) の蛋白 質合成酵素力が 弱ければ、 受精後分裂 増殖生長 が行われないか行われても貧弱であるから生命力ははなはだ弱い 。 それで精子を受精時に多量に 放出する必要があり、 旺盛な精子蓄積力を有 する場において受精され ねばならない。 それで若い体力旺盛な時 代に受精の機会を少くして、 一時に多量を射精するときに 生命力の強い次代を生むことになる。 次 いで精子の生産する酵素に欠陥のないことが生命力強化の 一条件である。 すなわちアルカ プ トン尿症に 遺伝するが ホモゲ ンチ ン酸分 解酵素が精子から生 産 、 さ れ な い こ とに よ る。 ま た ア ミ ノ 酸 の フ エ = - ル ァ ラニ ン代 謝 酵 素 を 欠 く の で 精 神 病 と な っ て 遺 伝. する。 同様にキサ ンチン酸化酵 素とフラビ ン助酵素が欠乏しても精神分裂症となる 。 また代謝系の別の酵素が失われれば白化症とも なる。 かく単一遺伝子の遺伝子の遺伝的欠陥 がと もなっている。 青壮年にある人ほど酵素力総じて高く、 異物同化力が強 い。 すなわち環境の定 つた 条件を同化する必然性 が大であるから、 この時期の受精は生命力強大な次代を生む 老 衰はただ生 。 殖機能のみでなく、 筋肉弱脈薄数体温など基礎代 謝も下る。 ために 肉体欲求が減少 するときに脳下 垂体も萎縮 して適応能力が低下するから、 生命力は弱化しこの時機の受精は生 命力の弱い次代を生 む。 また飽食で栄養を取る日が長く続くことは、 生命力を弱化 するので質に劣る ことなき僅少食 す なわち節食で生命力を増強する。 4 男女両性の対立が生命力の強化であることは、 氏族保存のた めにある両性であることからも わかる。 両者の結合の愛によ って高次の感情となり、 理想高 き世界観も出る そして芸術も文学も 。 法律も政治も生まれるように社会も生まれ、 生命力の発生 となる。 両性は質よ りも量的に異ること は一生ホ ル モ ンの 女 性 で は エ ス トラ デ オ ル (卵 胞}、 エ ス テ ロ ン (櫨 胞) エス トリ オ ー ル な ど 男 性 よ 、 り多 量 に あ る。 し か し男 性 ホ ル モ ンの テ ス トス チ ロ ンま た ア ン ドロ ス テ ロ ンは 1 日の分泌量で男 は 65 単 位 であ れ ば、 女 は 49 で 75 %、 女 性 は エ ス トロ ジ ンが 24 単 位 で あ る が 、 男 で は 10 で 女 性 の 40 % に 過 ぎ ぬ。 両 性 ホ ル モ ンは 何 れ も フ ェ ナ ン ト レ ンに 類 す る、 複 雑 なア ル コ ホ ル で あ る 点 で. も質的の根本差異で ない。 生命力の消長は性ホルモ ンの分泌の盛衰で決定され、 そ の供給で若 返 り 分泌の遅延が生 命力を延長 する。 両性ホルモンの対立の量的に高いときに生 命力の強大な次代を生 む。 男らしい男性 と女らしい女性との結婚によって、 次代の肉体的また心的エネルギ←の強大 なも の を 生 む。 9- -16.
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