• 検索結果がありません。

小学校社会科における子どもの表現力の分析と評価 : 作文表現を手がかりに

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "小学校社会科における子どもの表現力の分析と評価 : 作文表現を手がかりに"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

社 会系 教 科 教 育 学 会『 社 会 系 教 科 教 育 学 研 究 』 第10 号 1998 (pp.109-116)

小 学 校 社 会 科 に お け る 子 ど も の 表 現 力 の 分 析 と 評 価

一作文表現を手がかりに −

The Analysis and E valuation on the Ability of

Eχpression

in Social Studies of Elementary School

丹  後  靖  史 ( 泉 大 津 市 立 上 條 小 学 校)

I 。はじ めに

社会 科 の新 し い学力 として, 匚

子 ど も一 人 一 人

が自 ら考え, 主 体的 に判 断し たり表現 し たり しな

が ら, 問題 を解決 して いく ことので きる資質 や能

力」1

)が求 められてい る。 また, そ う い っ た能 力

を育成 す る た め に従 来 の評 価 観 の転 換 も要 求 さ

れ,匚子 どもめ よさや可 能性 を 伸 ば す評 価を 重 視

する。」2

)こ とが挙げ ら れて い る。 そ こで, 指 導

と評 価を緊 密につ なぐ評 価法を 探究 する ため, そ

の対 象 として作 文を とり上げ る。

作 文を評 価 に組み込 む有効性 を否定 す る人 はい

ないで あろう が,とり入 れて い る人 は少 な い。そ

の大 き な理 由 は評 価 しにくい こと にある だろう。

授業 に は必ず ねらい があ る。 そ のねらい に合 致 し

て い るかを判断 して評 価す るので あるが,子 ど も

の考え はま ことに多 様 であ る。 作文 に表 すと, 一

人一 人記 述が異 な って い る。 そ こで, 目 標と合致

してい るかど うか判断 す る明 確な基 準が必 要に な

る。 よ って本稿 で は,子 ど もの作 文か らそ の認 識

の段階 を判断 す る基準 と して の認識 レ ベルの設定

を試 み,提示 す る。そ のた めに は, 適 切 な 分 析 視

点 を示 す ことも課題 とな る。

H。 社 会 科 に お け る 作 文 分 析 の 視 点 と 方 法 1. 社 会 認 識 の 観 点 か ら 見 た 作 文 の 条 件 作 文を 書 く に あ た って は,論 理 性 が要 求 さ れ る 。 論 理 性 を 満 たす に は,主 張 と 根 拠 が必 要 で あ る。 社 会科 の主 な 目的 は社会 認 識形 成 にあ る の で , 社 会 事 象を 解 明 す る こと が必 要 で あり ,そ れ に は推 論 が 用 い ら れる。つ まり, 社 会 科で は論 理 的 な 推 論 が 肝 要 とな る。 そ の 際,適 切 な 根拠 がな け れ ば論 理 的 に 推 論 で き ない。 こ こ で は, 推 論 の根 拠 と主 張 の 最 も適 切 な 組 み合 わ せを 最 適 性 とい う 概念 で 表 す 。 ま た , 根 拠 が説 得 力 を持 つ た め に は, 具 体 性 と 客 観 性 を 両 備 し て い る こと が望 まし い。 そし て, そ の 様 な 論 理 的 な 作 文 に も子 ど も の個 肚が表 れて い る。 こ の よ う に社 会 認識 に関 わ る作 文 に は,最 音 吐 ・ 具 体 性 ・ 客 観性 ・ 借 哇 の四つ の条 件 が必 要 で あ る。( 図 1) 社 会 認 識 に 深 ま り の あ る 作 文

匸 羅 司

侫 共

气 晉゛

⊇ 〕

図 1 社 会 認 識形 成 を 目 標に し た作 文 に必 要 な条 件 の関 係 2 . 作 文 分 析 の 視 点 の 設 定 分 析 視 点,の設 定 に あ た っ て , 先 行 研 究 か ら 学 力 観 と 関 わ り の あ る 評 価 の 視 点 や 子 ど も の認 識 を 読 み と る た め の 感 想 文 ・ 作 文 の 分 析 視 点 な ど を 抽 出 す る 。 参 照 し た の は , 大 野 連 太 郎 氏 の「 社 会 科 に お け る 評 価 の 一 礼 点」3), 柿 沼 幾 蔵 氏 の 厂学 習 ノ ー ト の 点 検 と 評 価 へ の 生 か し 方」4), 近 藤 国 一 氏 の 匚 ひ と り 学 び」 の 基 本 を 身 に つ け る ノ ー ト 指 導 の 方 法」5), 渡 部 明 氏 の「 文 章 に よ る 表 現」6) 高 山 芳 治 氏 の「 自 己 実 現 力 を 育 て る 社 会 科 授 業 の実 験 ・ 実 証 的 研 究(1)(2) ヱ)で あ る 。 次 に , そ れ ら を 疑 問 ・ 予 想 ・ 結 論 の 記 述 に 対 応 す る 形 で 整 理 し , そ こ に 先 述 し た 作 文 の 構 成 条 件 も 組 み 込 み , 八 つ の 分 析 視 点を 設 定 す る 。 表 1  作文 を 分 析 す る 八 つ の 視 点 視点 番号 視    点    内    容 視点 1 【 問 題 の 発 見】 「 な ぜ」 疑 問 がた て ら れ た か。 視点 2 【 予 想 ・ 仮 説 の立 案 】 解 決 へ の 筋道 とし て 明 確 な 根拠 に支 え ら れ た予 想 が 立 てられ たか。 ― 109 −

(2)

視点 3 【 調 べ 活動 ・ 仮 説 の 根 拠 とな る情 報 の 収 集】 観 察 ・ 調査 ・ 聞 き取 り ・資 料 等 の読 み と り 等 か ら, で き る だ け多 く 具 体 的な 事 実 や 事 象 が 記述 で きた か 。 視弥-1 【 対 象 の分 析 】 対 象 を そ の性 質 や 価 値 , 条 件な ど と い っ た 複 数 の視 点 か ら 分 析 で き た か。        《 複 数 の視 点 によ る 分 析 》 視邨-2 対 象 の 内 部か ら 具 体 的 に探 る視 点 ( 対 象 の生 活 や 仕事 な ど の 詳 細 な 探求 ) と 外部 か ら 分 析 的 に と らえ る 視点 ( 他 の対 象と の 比 較 や 関 連 性 など ) と の両 視 点 に よ って 問 題 ( 対 象) に迫 れ たか 。 《 視点 の 移 動 》 視 点 5具 体 的 な 事実 ・ 事 象 を で き る だ け多 く収 集 し て 根拠 と し, 自 分 の 論 理 的 な推 理 を 導 く こと が で き たか 。 視邨-1 信 用 で き る 確 かな 資 料 で 調 べ ら れ た か。 視 点 6 【 価 値 観 ・ 態 度 の表 明 】 認 識 し た 具 体 的 な事 実 ・ 事 象 を 根拠 と して , 具 体 化 し た価 値 観 や 態 度 の表 明 が で き たか 。 ま た , 社 会 事 象 の 解 明 は 推 論 形 式 で し か 表 せ な い も の で あ り , そ の 推 論 が ど の よ う な 根 拠 を も と に な さ れ た の か を 明 ら か に す る こ と は非 常 に重 要 で あ る ので , 意 見 や 事 実 あ る い は 推 論 を 区 別 す る こ と な し に は 疑 問 や予 想 , 結 論 を 見 つ け る こ と はで き な いO そ こ で , 子 ど も の 書 い た 作 文 中 の 文 を 匚私 見 」 匚判 断 」 厂推 論 」 の 三 つ に 分 類 す る 。 そ れ ぞ れ の 定 義 は 次 の 通 り で あ る。8) 「 判 断 」・ ‥ 「 事実 , 事 象 を 見 た り 聞 い た り し た こ と か ら 簡 単 な こ とを 知 る こ と」9) 「 私 見 」 ‥・ 「 た だ そ う 思 わ れ る と い う だ け の , 確 信 を 伴 わ な い 個 人 的 な 考 え や 思 い ・ 感 じ 方 」10) 「 推 論 」 ‥・ 「 い ろ い ろ な 知 識 や 情 報 の 間 に ど ん な 関 係 が成 り 立 つ か を 根 拠 を 伴 っ た 形 で 論 じ た も の」11) 3. 社 会 科 授 業 の 基 本 類 型 と 作 文 分 析 の 方 法 こ こ で , 分 析 対 象 と す る の は, 長 岡 文 雄 氏 ・久 津 見 宣 子 氏 ・ 山 本 典 人 氏 の 社 会 科 授 業 に お け る 子 ど も の 作 文 で あ る。 三 氏 の 授 業 を そ の 内 容 形 態 の 違 い か ら, 長 岡 氏 と 久 津 見氏 の 授業 を 因 果 的 枠 組 み に, 山 本 氏 の授 業 を 物 語 的 枠 組 み に 区 分 し た。 因 果 的 枠 組 み の 授 業 の場 合 , 事 象 を 因 果 的 に 理 解 す る こ と を 学 習 の ね ら い と し て い る。 そ の理 解 の仕 方 は大 き く分 け て 二 つ あ る。 す な わ ち , 現 象 的 な 因 果 関 係 の理 解 と本 質 的 な そ れで あ る。 こ の 場 合 , 社 会 認 識 が 深 ま る と は理 解 が前 者 か ら 後 者 に 進 む こ と を 指 し て い る。 こ の 認 識 の 深 ま る 段 階 を 具 体 的 に示 す こ と が 目 的 の一 つ で あ る。 一 方 , 物 語 的 枠 組 み の授 業 で あ る山 本氏 の場 合, 物 語 形 式 で 歴 史 事 象 を 理 解 さ せ て お り , 子 ど も の 理 解 の 仕 方 を 自 由 に 認 め て い る の で , 結 果 と し て 子 ど も の表 現 方 法 も 様 々 で あ る。 物 語 的 作 文 や 意 見 文 的 作 文 , 感 想 文 的 作 文 で 表 現 し て い る。 物 語 的 作 文 に限 っ て 述 べ る と, 認 識 の 段 階 が 深 ま る に し た が って 子 ど も の 解 釈 は 論 理 的 で 具 体的 にな り, 読 み 手 に共 感 を 与 え る よ う に な って い る。 た だ , そ の 理 解 の 仕 方 は 冊 肬的 か つ 限 定 的 で あ り , 授 業 の あ る場 面 を 解 釈 し 直 し, 再 現 し て い る。 記 述 し た範 囲 内 で , 学 習 の ね ら い に迫 って い る か, 人 物 や そ の環 境 を 描 く こ と に よ り 共 感 を 持 た せ る 記 述 に な って い る か の 両 視 点か ら 認 識 の 深 まり を 判 断 す る こ と が で き る。 こ こで は紙 幅 の 関 係で 因 果 的枠 組 みの授 業 に 限 っ て 分 析 し て ゆ く。

Ⅲ。 因果 的枠 組みの 授業 と作 文分析

1.長 岡文雄 学級 の作文分 析

1工 3年 単元「 近 鉄 地 下 乗 り 入 れ工 事 」 に お け

る作文 の分析

この学習 は, 3年 生 の始 めか ら展 開 して きた大

単元「 奈良 の町」 の中 に位 置づ けら れた小単元 で

あ る。 長岡氏 は, 日記帳 など から子ど も達が 町の

変 化 に次第 に強い関 心を持 って きてい るこ とに気

づい てい る。 氏 は, 近鉄 の地下乗 り入 れ工事 完成

一月 前を選 んで学 習を始 めた。子 ど も達 は, こ の

工事 により最 寄り の駅 が廃止 になって家 族 が経営

す る店に大 きく影響 す ることを心 配し たり, 国鉄

はど うす るのだ ろうか と思慮 したり するな どいろ

いろ な思 いや経験 を持 って授業 に臨 むので ある。

1-2. 学 習 のね らい

この子 ど も達 の追究を 支援 して, 地 下乗 り入 れ

工事 が,思 い がけない ような, いろ いろ なこと に

支え られなが ら実 現し, ま た, 関連 す るいろい ろ

な こと がらに変化 を与 え, 動 的な から まり の中 に

進展 す ること に気づ かせ たい 譖

レ3.扇田君 の作文( ち かごろ かわ ったこと13

いま まで は, あ ぶらさ かの上 から見て も, バ ス

のてい り ゅうし ょまで 見え なか ったの に, バ スの

ていり ゅう しょが みえ るように なりま した。 その

わけ は, ち かを ほるので, いえ がたち のき になっ

た のだろ うと思い ます。

110

(3)

それ

だったら

,あぶ

らさかの

えきも

,きっとた

ちのきになるだ

ろう

。でも,どうして

,はや

くこ

さないのかなあ

。き

っと,あさでも

,あぶらさ

かからのる人が

いるか

,まだつぶ

さないのだろ

うな

。でも,も

うす

しした

ら,つぶ

すだ

うな

これか

,また

こまるなあと思います。

1-4.

分析

フレ

ーム

にかけた作文14)

出判断

:今までは

,油阪の上か

ら見ても

,バス

の停

留所まで見えなかったのに

,バスの

停留所が見

えるようにな

りま

した

推論

:そのわ

けは

,地下

を掘るので

,家が立

ち退きにな

ったのだろうと思います

(2)

2(

予想)

:それ

だった

,油阪の駅も,きっ

と立ち退きになるだ

ろう。

見3(

問)

:でも,どうして,早

く壊さない

のかなあ。

3(

想)

:きっと

,朝でも

ご油阪から乗る

人が

いるか

ら,まだ

っぶ

さないのだ

ろうな。

4(

想)

:でも,もう少ししたら,つぶす

だろうな。

見5   :

これ

また

困るな

と思

います

1-5.

扇田君の作文(船橋通

りの店15)

おかあさんの話だと

,船橋通

りの

人は

,地下に

することで

,はんたい

したそ

うです

。きっと油阪

の駅が

あるからこそ

,人がた

くさん通ってもうか

るのに

,な

くなると人が少な

くなって,あま

りも

うからな

くなるから,はんたい

したのだと思いま

。(

略)

また

,ほ

うれんの

方には

,学校がた

くさん

あるの

,油阪の駅から通

う学生の人たちがいたからよ

かったの

,油阪駅が

っぶれ

ると奈

良駅や大宮駅

から乗るの

,買いに

くる人が少な

くなって店の

ものが売れないか

ら,はんたい

したのだ

と思いま

。(

略)

おばあちゃんの話だと

,船橋通

りの店の

人と,

油阪通

りの店の

人とが

,市長さんに,油阪駅を地

下でつ

くってほ

しいとたのみに行ったそうです

けれ

,けっきょく,油阪駅はな

くなって新大宮

駅をつ

くるようにきま

ったそうです

Oぼ

くは

,ど

なわ

して地

けが

下の

あって

きまった

してつ

くらな

ことなのか

いのか

と思

,またどん

います

きっと

,うちのおか

あさんたちは

,ガクンと

ていると思います

1-6.

分析

フレ

ーム

にか

けた作文

(1)

1(

聞)

:お母さんの話だと

,船橋通

りの

人は

,地下にすることで

,反対

した

うです

推論

:きっと油阪の駅があるか

らこそ

,人が

たくさん通っても

うか

るのに

,な

くなる

と人が少なくなって

,あま

りも

うか

らな

くなるか

,反対

したのだと思

います

(2)

判断

:近

ごろも

,お母

さん達で話

し合ってい

ます

判断

:話は

,「

っと西の方に入

り口でもでき

,まだ

ええのに

O」

と言

っています

推論

:また

,ほ

うれ

んの方には

,学校がた

さんあるの

,油阪の駅か

ら通

う学生の

人たちが

いたか

らよか

ったの

,油阪駅が

つぶれ

と奈

良駅や大

宮駅か

ら乗るの

買いに来

る人が

くなっ

て店のものが売

いか

,反

したの

と思

います

(3)

私見

:反対する人は

,大体分か

ったけれ

ど,

賛成

した人は

,どんなか

なと思います

(4)

断4(

聞)

:おばあちゃんの話だと

,船橋通

りの

店の人と

,油阪通

りの

店の人と

,市

さんに

,油

阪駅

を地下で造

てほ

しいと頼み

にい

ったそうです

断5(

聞)

:けれ

,結局

,油阪駅はな

くなっ

て新大

宮駅を造るように決まったそ

うです

2(

問)

:ぼ

くは

,どうして地下の駅と

て造

らないのかな

,また

,どんなわ

けが

あって決まった

ことなのかなと

思います

(5)

私見

:きっと

,うちの

お母

さん

達は

,ガク

していると思います

1-7.

扇田君の作文についての因果関係的な理解

の認識

レベルの設定

「近ごろ変わったこと」の作文の分析に

ついて

説明

しよう

。ここでは

,推論

2「(

それ

だった

ら,)

油阪の駅も

,きっと立ち退きになるだろう。」

が扇

田君の

ら見ても

主張である

,バスの停留所ま

。判断

1「今までは

で見

えなか

,油阪の

ったの

一工

n−

(4)

バスの停留所が見えるようにな

りま

した

から推

「地下

を掘るの

,家が立ち退きになったの

ろう

」を導き出

し,これ

を根拠と

している

。つ

,地下に

電車を走

らせるため

,地下の通る地

域の

家は立ち退きになったのだか

,油阪の

駅も

っぶ

され

るだ

ろうと理由づけているの

である。こ

を主張一根拠の

形として図2に表

した

。16

因果

関係

的に言

えば

,主張が結果

(未来予測)で事実

が原

因に当だる

。この

作文では

,問題点が指摘で

きる

。そもそも,主張に対す

る根拠は適切である

かどうか

。つま

り,家の立ち退きと同様に駅を考

えてよいか

ということ

。実は

,根拠の理由づけ自

体は不明である

。だか

ら,厂

油阪の駅もさっと立

ち退きになるだろう

と考えた理由や原因となる

確たる事実も作文には

説明されていない

。全

く彼

自身の予想である

。したがって,駅の取

り壊

しを

直接的に根拠づける事実に基づく推論がほ

しいの

である

F………"根拠…

………

…-

…………--F

|事実(

原因)     

主張(

結果(

原因)) 

道を通すために

下を掘

ってい

理由

づけ

下を掘

る周

辺の民家

は立ち退

きになったの

ろう。

地下工事の妨害に

なれ

,立ち退き

を迫られ

とい

う推測

による

(筆者

椎測)

−−φW−−4y−φφ¥j 1・ 1 1 1

主張(

結果)

バスの停留所

まで見渡せる

ようになった

(見晴らしが

よくなった。)

ち退きに

なる

だろ

う。

L一

主張…

…j

2 

「近

ごろ変わ

った

こと」をもとに作成

した主張

一根拠のモ

デル

次に

「船橋

りの店」の作文の根拠を吟味

てみ

よう

。先ほ

どの

「近ごろ変わった

こと」の作

文は

,まだ

2年生の時の

もの

であって学習に入っ

いなかった

。この

作文は

おそ

く学習の

中盤で書

いた作

文で淞

Oだか

当然

「近鉄地下乗

り入

工事

」に

対する

認識も高ま

って

いるはず

である。

先ほ

どと同

じよ

うに

図3に表

して考察

を進め

これ

らの推論の根拠は

,事実であるか

どうか疑

しい部分が残され

ているものの

,大筋では適切

な判断

をしているとうなずけるだけの分析を

して

いる

。主張を支える根拠は二つの

推論に依拠

して

いる

。推論1

「きっと油阪の駅があるか

らこそ

人がた

くさ_

ん通ってもうかるのに

,なくなる

と人

│作

文には書かれ

ト・・

竺 上……… |

Φ 1 1 1 1 1 1 1.......

3 

一根

「船橋

デル

りの

とに作

した

が少な

くなって

,あま

りもうか

らなくなるか

ら,

反対

したのだと思います

では

,油阪駅の乗降客

は船橋商店街を利用すると

して

一度大まかにとら

えている

。この

とらえ方は

,現象的な因果関係の

とらえ方である

。観察

した

ことをその

まま因果関

係的に説明

している

。だか

ら,この油阪駅

を利用

する理

由にまで言及

していない

。それに対

して,

推論

「 ̄

また

,ほ

うれんの方には

,学校がた

くさ

んあるので

,油阪の駅か

ら通

う学生の

人たちが

たか

らよか

ったのに

,油阪駅が

っぶれる

と奈

良駅

や大

宮駅か

ら乗るの

買いに来る

人が

なくなっ

て店のものが売れないか

,反対したのだと思

ます

では

,も

う一歩踏み

込ん

で客腦の分析

を試

ている

。学生が油阪駅を利用するという焦

点化

した視

点か

らとらえた推論となっている

。確かに

学生に言及

したことについても観察

したことをそ

のま

ま現象的因果関係

して説明

しているが

,客

が油阪駅を利用する理由

(学校がほ

うれんにた

さん

あるので

,学生が駅

を利用す

る)にまで触れ

ていることは評価できる

本質的な因果関係の理解には社会諸科学の研究

成果が必要であるが

,駅の

近くに商店街ができ

その商業圈

として学校までの地域をとらえ始め

いる

。つま

り,駅と学校

,学校と商店街

,商店街

と駅の商

業的なつなが

りが理解でき始め

ているの

である

。この

ように目に見えに

くい対象をとらえ

ようと

した

してお

り,工事が

,学校までの地域を商業圈と

多方面に影響を与えるという

して

― 112

(5)

学 習 の ね ら い に も迫 って い る こ と か ら, 本 質 的 な 因 果 関 係 の 理 解 がで き始 め て い る と 判 断 で き る。 推 論 1 の記 述 で 他 の 一 般 客 に対 し て も 駅 が 利 用 さ れ る 理 由 が 述 べ ら れて い れば , も っ と 事 実 の 裏 づ け が 高 ま っ た と言 え る し, 本 質 的 な 因 果 関 係 の理 解 に も近 づ い た はず で あ る。 こ の二 つ の作 文 の因 果 関 係 の 把 握 の 仕 方 に つ い て も, 認 識 の レ ベ ル の 違 い を 指 摘 で き る 。「 ̄船 橋 通 り の 店」 の 作 文 に は 主 張 に 対 す る 根 拠 ( こ こ で は事 実 に あ た る ) が 的 確 な形 で 明 示 さ れ て い る。 こ れ は, 原 因 と 結 果 の 最 適 性 に お い て , 根 拠 が想 像 を 基 盤 に し た 連 想 と して し か示 せ て い な い 匚近 ごろ 変 わ っ た こ と」 の 作 文 と 比 べ て , 大 き な 成 長 が 見 ら れ る。 文 末 を 厂思 い ま す。」と 表 現 し て い る も の の, 事 実 に基 づ い た推 論 を 展 開 す る こ と で, 「 ̄近 ご ろ 変 わ っ た こ と 」 の 作 文 と 比 べ て 客 観 性 と い う 点 で も 大 き な 成 長 か お る。 具 体 的 に述 べ る と, 最 適 院 や 客 観 性 も高 ま っ て い く。 こ こ で の作 文 は 本 質 的 な理 解 に迫 る も の で あ る か ら, レ ベ ル 2 の 補足 事 項 と し て 厂対 象 の 本 質 的 な 因 果 関 係 を と ら え 始 め て い る 根 拠」 を 設 定 す る。 以 上 の 分 析 か ら, 長 岡 学 級 の 子 ど も の作 文 に 見 ら れ る 社 会 認 識 に は, 次 の よ う な 二 つ の レ ベ ル が 見 出 せ る こ と が 明 ら か と な っ た。 レ ベ ル 1 :「 対 象 の 現 象 的 な 因果 関 係 を と ら えて お り , 主 張 と の最 適 性 客観 性 , 具 体 性 が 低 い根 拠」 1 − 1: 提 示 し た 原 因 が適 切 で な い 根 拠( 最 適 性) 1 − 2 :1 つ の 視 点 か ら述 べら れ た 根 拠( 客 観 性) 1 − 3 :伝 聞 や 思 い つ きな ど で 構 成 さ れ て い る 根拠( 客観 性) 1 − 4 :詳 し い 説 明 に な って い な い 根 拠( 具 体 性) レ ベ ル 2 :「 対 象 の現 象 的 な 因果 関 係 の理 解 に留 ま っ てい る もの の , 主 張 と の最 適 性 , 客 観 性, 具 体 性 が 高 い 根 拠」 2 − 1 :提 示 し た 原 因 が適 切 な 根 拠( 最 適 性) 2 − 2 :焦 点 化 さ れ た 視点 か ら述 べら れ た 根拠( 客 観 性) 2 − 3 :事 実 に基 づ い て 展 開 さ れ た根 拠( 客 観 性) 2 − 4 :詳 しい 説 明 が で き て い る 根拠( 具 体 性) 2 − 5:対 象 の本 質 的 な 因果 関 係を と ら え 始 め て い る根 拠 し か し な が ら, レ ベ ル 2 ま で 明 ら か に し た成 果 を 次 の久 津 見 学 級 で 検 証 し, レ ベ ル 3 に あ た る記 述 を 発 見 し た い 。 表 2 長岡氏 の授業 にお ける 作文分析の二 つの視点 視点 1 :学 習 のね らい に沿 った 因果 関係 の解 明に 関 する疑 問 を発 見し た か。 視点2,: 学 習 のね らい に沿 った 具体 的 な事実 ・事 象 を で き る だ け 多 く収 集 して 根拠 と し, 自分 の 解釈 によ る論 理 的な推 論を 導 く ことができたか。 八 つ の分 析 視 点 を 考 察 し た 結 果, 最 終 的 に必 要 と判 断 さ れ た 分 析 視 点 は 先 述 の 二 つ で あ る。 2. 久 津 見 宣 子 学 級 の 作 文 分 析 久 津 見 学 級 の 作 文 を 分 析 す る に あ た っ て は , 二 つ の 分 析 視 点 う ち の一 つ し か 活 用 さ れ な いo な ぜ な ら長 岡 学 級 で は学 習 問 題 づ く り か ら 子 ど も に 任 せ る の に 対 し て, 久 津 見 学 級 で は学 習 の方 向 性 は 教 師 が 明 確 に示 し , 学 習 問 題 の作 成 か ら 出 発 し て い な い か ら だ。 し た が っ て 視 点 2の みで 分 析 す る。 2-1. 江 幡 健 の 作 文 ( レ ポ ー ト) ( 国家17)】 a. 単 元 「 国 家 成 立 」 の 授業 計 画 表 及 び 各 授 業 の ね ら い 時 授  業  名 学   習   の   ね   ら   い 1 社 会 的 分業 宋己元前4000年から300睥 にかけて の発見発 明を基 盤と する生産 力 の増大は,余剰生産を可能 に社会的分業を引き起こしたo 2 交 換 ① 専門家の出現によって牛産力 は一層高まり,規則的な交換 が行 わ れるようになった。 3 交 換 ② 交換は次第に枚雑になり,交換の仲立ちが考えられるようにな っ たo 4 戦 争 ① 余剰生産物ができるようになってからの戦 争は捕虜をとるよう に なった。 5 戦 争 ② 戦争に勝った側は捕虜のつくりだす余剰生産物を取り上げ, 部族 間には不平等が生じた。戦争は利益をもたらす重要なものとな っ た。 6 個 人 的 所 有 の 発 生 生産手段の私有化によって共同体内部に所有の不平等力哇 じた。 7 余 剰 生 産 物 余剰生産物とは何か。 8 戦 争 指 導 者 か ら国 王 へ 綬争が社会の重要な仕事になり,戦争指導者の権威は大きくな っ た。戦争指導者 は全生活 の指導者になっていったo 9 魔 術 か ら 神 へ 農業生 活を支配する人間を超えた自然の力に人々は神の存在を考 えるようになった。魔術に代わって神を信じ神の話を作るよう に なったo 10 神 へ の莫 大 な 供え 物 自然の力を神としてあがめた人々広 神の意志を畏れ莫大な貢 ぎ 物を捧げた。 11 神官 の役 割 り 神の意志を取り次ぐ神扣 扎 神の財産で人々に共同労働をさせた。 農笂 戦争の指導者として特別な権威を持つ存在となったo 12 集められた余剰 余剰牛産物は少数の階級の手に集められたo 13 14 新 し い社 会 , 国家 余剰生産物を取り上げ支配する側と支配される側とに分かれ, 公 的権力を持つ新しい一国家−が誕生 した。 15 世界の古代国家 奴隷が生産の担い手である古代国家が世界各地に誕生したo 16 作 文

b。 作文

(前 略) こ のように せんそ うのか ちまけで ドレ

イにな るか, とちや たか らやド レ イとして とら れ

るかと いうさ ができて きた ので, せ んそ うのしど

うし ゃなどを, みんな とく べつ の人 だとお もい だ

した。 ぼく は, むか しか ら人 は, ちえ や けんり ょ

くのあ る人 が いばって い たんだな とお もった。

はな し はか わるが, みん な神 の力 だとお もう よ

うにな ったか らだ。 だか らいのりを したり,お そ

なえ を したりす るよう にな った。 神官 はせ んそう

のしど うし ゃや, け んり ょく のあ る人 がな った。

神官 は,お そなえ ものの, ド レイ, たか らものな

−n3 −

(6)

どをじぶんの

ものに

した

。神

官の

あとをつ

ぐのは

どもだが

,あ

くどい子

どもだった

りすると,の

うみんか

らおそな

えもの

をいっぱい

とるよ

うに

なっ

。これはいまでい

うぜ

いきんだ

。こうやってで

きたのが

国家だ

。これ

をくわ

しくいうと,国家と

,少

しのと

りあげる人と,多くの

とられる人と

さべ

っが

できて,そ

してむか

しは,血の

つなが

あるひ

とた

ちで

,できていたが,血の

つなが

がな

くても

,あるば

しょで

,ちゃん

ときま

りがあ

るところで,だんたいですん

でいる

しゅ

うだん

国家という。

.分析

フレーム

にか

けた作文

出判断

:農業を始めた頃は

,戦争も

しようがな

しでや

って,共同体の中で差別もなかっ

判断

:だが

,余剰食糧が

できるよ

うに

なる

と,

(結

果)

土地がほ

しいとか

,宝がほ

しいとか言

だけだったのが

,戦争で奴隷までとるよ

うに

なった

判断3

:わ

けは

,昔

,奴隷

を養

う食糧

もなか

(原

因)

たか

ら奴隷

をとらなか

ったが

,奴隷を養

える

くらい余剰ができるように

なって

奴隷

をつかまえて食糧

をつくらせ

,奴隷

っくった余剰をみん

な取

り上げて

しま

えば

,得すると思い出

したか

らだ

判断

:だから余剰が

できることに

よって奴隷

できた

と言える

私見

:僕は

なんだか

,余剰ができた

ことは

いい

ことか悪いことか分からな

い。

(2)

推論

:この

ように戦争の勝ち負けで奴隷にな

るか

,土地や

宝や奴隷

としてとられるか

という差が出てきたので

,戦争の指導者

などをみ

んな特別の

人だと思い出

した

私見

:僕は

,昔か

ら人は

,知恵や権

力の

ある

人が威張

っていたんだなと思った

(3)

判断5

:話はかわ

るが

,みんな神の

力だと思

ようになったか

らだ

。だか

ら祈

りをした

,お供えを

した

りす

るようになった

判断6

:神官は戦争の指導者や

,権

力の

ある人

なった

判断

:神官は

お供え物の

,奴隷

,宝物などを

自分の

ものに

した

判断8

:神

官の跡を継

ぐのは子どもだが

,悪ど

い子どもだった

りすると

,農

民か

らお供

え物をいっぱ

いとるようになった

判断

:これ

は今で

いう税金だ。

判断10:

こうやってできたのが国家だ

判断11 :

これ

を詳

しくいうと

,国家とは

,少

の取

り上げる大と

,多くの取られる大と

差別ができて

,そ

して

,昔は

,血のつな

りの

ある大たちで

,できていたが

,血

のつなが

りが

くても

ある場所で

,ちゃ

んと決ま

りが

あるところで

,団体で住ん

でいる集団を,国家という。

(4

私見

:僕は大と人の差別がない昔の

方がいい

かなと思った

私見

:余剰はなくても,戦争をあま

りしない

でみんな協力

して

,同じような暮ら

しを

していた昔の方が本

当にいいと思

うが

だけど余剰ができなければ

,今の世界は

ないから

しょうがな

いか

なあ

と思

った

2-2.

学習のね

らいと比較

した作文の分析

徴税制度の成立についての因果関係

を明らかに

ることもこの作

文の

主な目的の

一つであるが

神の

力に頼るようになったいきさつが述べ

られ

いないことには

,貢ぎ物の起源が読み

手には伝わ

らない

。この作

文では

,第

3段落でいきな

り匚

な神の

力だと思うようになった

と記述

してい

るが

,何に対

して神の

力が働

いているのか具体的

に明らかにせず

して

,人々が祈った

り,お供

えを

した

りす

るという行動を読み

手は納得することが

できない

。神官の出現も唐突で

ある

Oこの

ことか

,神や神官の出現に関す

る因果関係的な解釈が

具体的になされて

いないことが分かる

。国家の成

立のとらえ方についても同様である

O判断10

にあ

るように

「こうやって

」で簡単に片づけられ

てい

。第

・2

・3段落

を受けて

,国家の成立を説

く意図が

あるのだろうが

,税の起源が具体的に

連づけられた記述でないために

,国家の成立も理

しがたい記述となっている

次に本題

である国家成立についての記述である

判断11

「これ

を詳

しくいうと

,国家とは

,少

しの

り上げ

る大と

,多くの取

られる大と差別ができ

て,そ

して,昔は

,血の

つなが

りの

ある大たちで

一打4

(7)

で きて い た が, 血 の つ な が り が な く て も, あ る 場 所 で , ち ゃ ん と 決 ま り か お る と こ ろ で , 団 体 で 住 ん で い る 集 団 を , 国 家 と い う 。」を 分 析し て みよ う。 判 断11 は, 彼 な り の 国 家 に つ い て の 解釈 で あ る が, 国 家 を 成 立 さ せ る た め の 要 素 で あ る社 会 科 学 的 概 念 が 十 分 に 解 釈 さ れ た 上 で 活 用 さ れて い る と は 言 え な い。 例 え ば , 解 釈 の 前 半 に あ る 匚国 家 と は , 少 し の 取 り上 げ る人 と , 多 く の取 ら れ る 人 と差 別 が で き て 」 と い う記 述 は, 第13 ・ 14時 の 授 業 「 ̄新 し い 社 会 , 国 家 」 の ね ら い で あ る 匚余 剰 生 産物 を 取 り上 げ , 支 配 す る 階 級 と 支 配 さ れ る 階 級 」 が 生 じ た こ とを 指 し て い る が, 後 半 の 記 述 に 匚公 的 権 力 の 使 用 」, つ ま り 強 制 的 な 共 同 労 働 な ど を 機 能 と し て 所 有 す る こ と や 匚神 の財 産 」, つ ま り 共 同 労 働 の た め の 財 源 の 確 保 と そ の 使 用 と い っ た 学 習 の ね ら い に 対 す る 認 識 が 不 十 分 で あ る 。 こ れ も社 会 科学 的 概 念 を 具 体 的 に と らえ 切 れ て い な い こ と か ら 起 こ っ て い る。 こ の 作 文 に は , 授 業 計 画 表 で 言 え ば , 第 9 時 厂魔術 か ら 神 へ 」 と 第n 時 匚神 官 の 役 割 」 の 学 習 内 容 が 解 釈 さ れ た 記 述 と な っ て 表 れ て い な い。 こ の 時 間 の 解 釈 を 記 述 し て い れ ば, 国 家 成 立 に必 要 な 社 会 科 学 的 概 念 の 理 解 が で き た と言え ただ ろ う。 ( 原 因) 白 力 を克 服し たい。  H ( 結 果 )  ( 原因 ) ( 結 果) 廠 訪 `^"" … … ……^'^1'^`^^`ミ`^`と卮 篩^'^"" `'… … 匹  匹 丕 農業生 活を 支配 す る 人間を 超え た自 然 の 力 を克 服し たいo 神 宮 は そ の 神 へ の 財 産 で 人 々 に 共 同 労 働 さ せ た。 | ダ 税 へ ( 結 果 ) 各 ( 結 果) 呑 神の力 にすが り , 莫 大な貢 ぎ物を 捧げ た 農業 , 戦 争 の 指導 者 とし て 特 別 の 権 威を もつ 存在と なった。 9   y 糂A  柚φM丶山畑A 税へ 神官 の出現 へ 図 4 −yW   11       4 11       4 11       1 ㎜㎜㎜皿皿㎜皿㎜皿皿皿㎜㎜㎜皿皿㎜皿㎜皿㎜呷皿㎜皿 数 の階級 の 手 に 集められたO i (結 果 ) 巳 支 配 す る 側 と さ れ る 側 に 分 か れ , 公 的 権 力 を も つ 国 家 が 誕 生 し た 。 学 習 の ね ら い に お け る 因 果 関 係 的 な 理 解 の 構 造 ( 原因) みん な神 の力 だと 匹 ≒ (結果) 巳 阿 廠 瓦 司 1 寮 神官の出現へ ( 原 因) ( 結 果 ) 凸

爵 ブ

( 原 因) ︱− ︱ − ︱ − ︱− − ︱ ︱ ︱ ︱ ﹂ 不 明 ---( 結 果 ) 各 ﹁ 1 − − ︱− ︱ ︱ ︱ − ︱− ︱ 一 一

∩ 匹 ⊃

税へ 図・5  江 幡 君 の作 文 に お け る 因 果 関 係 的 な 理 解 の 構 造 的 な因 果 関 係 の理 解 に達 し て い な い 段 階 を 現 象 的 な 理 解 の段 階 と し て い た。 久 津 見 学 級 の 作 文 で も 長 岡 学 級 と 同 様 な 扱 い が で き る の か ど う か 検 討 し て み よ う。 図 4 に あ る 学 習 の ね ら い にお け る構 造 で は, 因 果 関 係 的 な 関 連 を も っ て 段 階 的 に 国 家 の 成 立 に つ な い で い る。 一 方 , 図 5 の 江 幡 君 の モ デ ルで は, 因 果 関 係 の と らえ 方 さえ 適 切 で な く, ま し て や 前 段 階 が 次 の 段 階 へ と 因 果 関 係 的 な つ な が り を も っ て 関 連 づ い て い な い 。 こ れ が論 理 的 な 飛 躍 と 思 わ せ る 原 因 で あ る。 こ れ ま で の分 析 か ら, 江 幡 君 の 理 解 の特 徴 と し て は次 の こ と が 言 え る だ ろ う。 比 較 的 「 見 え や す い も の」 につ い て は と らえ て い る が,「 見 え に く い も の」 につ い て は そ の 因 果 関 係 や 目 的 な ど が と らえ ら れ て い な い 。 例 え ば, こ の 作 文 で 「 見 え や す い も の 」 に 該 当 す る の は, 戦争 , 奴 隷, 神官 で あ る。「 見 え に く い も の 」 に 該 当 す る の は, 余 剰 , 税 , 国 家 で あ る 。 こ の 匚見 え や す い」「 見 え に く い」 の 区 別 の基 準 は , 子 ど も達 に と って イ メ ー ジ し や す い も の と そ う で な い も ので あ る。 こ れ ら の 概 念 を 二 つ に分 け る と, 抽 象 性 の 低 い 概 念 と 高 い 概 念 と も言 え る。 以 上 説 明 し て き た よ う に,「 見 え に ぐ い も の 」 に つ い て は理 解 が 低 く, 匚見 え や す い も の」 に 対 し て は理 解 が 高 い。 こ こ で ,「 見 え に く い も の 」 に 対 し て は本 質 的 な 事 象 を ,「 見 え や す い も の 」 に 対 し て は現 象 的 な そ れ を 対 概 念 と し て そ れぞ れ 対 応 さ せ る こ と に し た い 。 2-3.認 識 レ ベ ル の 設 定 さ て , 江 幡君 に と っ て は, 国 家 成 立 を 因 果 関 係 的 な 解 釈 で 記 述 す る こ と が こ の作文 の目 的 で あ る。 し た が っ て , 認 識 の レ ベ ル と し て は, 長 岡 学 級 で の レ ベ ル 2 に該 当 す る 。 作 文 は そ の 一 部 だ け を 評 価 す る も ので はな く て , 全 体 と し て 評 価 す る も の で あ る か ら, 国 家 を 説 明 す る に 到 る まで の「余 剰 」 「 戦 争 」「 奴 隷 」 を 具 体 的 に 解 釈 し て い る こ と と も 併 せて 評 価 し た い。 つ ま り, 本 質 的 な 理 解 に は 不 十 分 で あ っ た が , 現 象 的 な 理 解 に は十 分 達 して い た と評 価 で き る の で あ る。 こ こ で, 新 た に レ ベ ル 2 につ い て 補足 事 項 を 加 え る。「 本 質 的 な 事 象 を 理 解 す る た め の 根 拠 は 適 切 で な く て も , 本 質 的 な

さて, 長岡学 級 にお け る認 識 レベ ルで は, 本 質   理解 に到る まで の現 象的な 事象を理 解す るた めに

― 115

(8)

適切に記述され

ている根拠

この

ように分析を重ねた結果

,他の

児童の

作文

において高度な社会科学的概念である

「ファシズ

」匚

資本家」

「政府

」などを

「戦争

」の本質的な

原因と

して論理的に具体性

を持って書かれ

た作文

つけることができた。

ここで

,修正

した

因果関係的な理解の認識

レベ

を提示する

レベル

:厂

対象の現

象的な因果関係

をとら

えてお

,主張

との

最適性

客観性

,具体性

が低い根拠」

:提示

した

原因が適切でな

い根

拠(

最適

性)

1−

:1つめ視

点か

ら述べ

られた根

拠(

客観性)

:伝聞や思

いつきなどで構

成され

ている根拠(

客観性)

1−4

:詳

しい説

明になっていな

い根

拠(

具体性)

レベル

:「対象の現象

的な因果関係の理解

に留まっているものの

,主

張との最適性

,客観

性,具体性が

高い根

拠」

2−

:提示

した

原因が

適切な根拠(

最適性)

−2

:焦点化

された

視点から述べ

られた根

拠(

客観性)

:事実に基

づいて展開

された根拠(

客観性)

2−4

:詳

しい説

明が

できている根拠(

具体性)

−5

:本質的な事

象を理解するための根

拠は適切

でなくても

質的な理解に

到るまでの現象

的な事

象を理解するために

切に記述

され

ている根

−6

:対象の本質

的な因果関係

をとらえ始め

ている根拠

レベル

:「対象の本

質的

な因果

関係

をと

らえている根

拠」

IV.総括

と課題

紙面の都合上

,わずか三例の作文を提示

したの

であったが

,分析結果では次の

ことを確認でき

。因果関係

を解明する授業の枠組み

であるなら

,本質的理解に到達する要

因の違

いは認め

られ

るものの

,教授法や指導の

内容の違

いにかかわ

「見

えるもの」か

「見

えないもの」へと記

述す

る対象が

変容

していることを共通

して認め

ことが

できる

。そ

して,後者

を表

した記述こそが

“認識の深ま

り”と

して

,授

業者は評価できる

その際に

,子

どもの作文において認識

レベルの

階を見

つけることが表現力及び思考

力を育成す

ための手がか

りとなるの

である

今後の課題としては

,提示

した認識

レベルの

用性を実際の授

業を通

して高めてゆきたい。

[註

及び

引用文

1)文

省 

「小

学校 

会 

指導

料 

しい

力観

つ社会

科の

業の

夫」 

大阪

書籍

1995 p.7

2)

同上

書p.13

3)

『考える子

ども』 

8号 1959 pp.13-18

4)

『教育科学 

社会科教育J

NO.90 

明治図書

1972 pp.119-124

5』

(授業研究J

No. 174 

明治図書 1977

pp.

17-24

6)朝倉隆太郎編 

「新社会科指導法辞典

」明

図書 1979 pp.507-511

7)高山論文については

「自己実現力を育てる

社会科授

業の実験

・実証的研究

(1)

」を

『岡山

大学教育学部研究集録』第97

号 1994 pp・

145

∼158

「自己実現

力を育てる社会科授

の実験

実証的研究

(2)

」を

『岡山大学教育学

部 

研究集録』 

第98

号 1995 pp.71

∼90

それ

ぞれ

集録

している。

8)森康彦『小学校社会科における批判的思考

の育成に関する事象的研究』平成8年度鳴門

教育大学修士論文を参考に分類

した

9)伊東亮三 

『達成

目標

を明確に

した社会科授

業改造入門』 

明治

図書 1982 pp.35-36

10)新村出編 

1991

及び

『哲学辞典』平凡社1982

『広辞苑 

四版』 

を参考に

岩波書店

11

)同上書 p.36

12)長岡文雄『考えあう授

業』黎

明書房

1978 p.98

13)同上書 p.101

14)子どもの作文を評価するために文

を区別

読みやす

くするために漢字も使用

した

。これ

後も

「分析

フレーム

にか

けた作文

」では全文を

掲載する0

15)同上書 pp.115-116

紙幅の関係

上全文を載せる

ことは

できなか

った

16)中村敦雄 

『日常言語の論理とレ

トリック』

教育出版センタ

ー 1993 pp.74-92 

を参考

本来の

トゥル

ミンモデルの要素か

ら事実

(根

・理

由づけ

・主張の

三つを取

りだ

し,簡略化

て活用する

。子どもの

作文には

「理由づけ」が

ないことが

多いの

トゥル

ミンモデル

を活用

すれ

,隠れ

「理由づけ」を比較的推測

しや

くなると

いう利点が

ある

17)久津見宣子 

る』1-9

号 1982 p.16

「古代国家の授業」

『授業を創

一員6

参照

関連したドキュメント

関係委員会のお力で次第に盛り上がりを見せ ているが,その時だけのお祭りで終わらせて

作品研究についてであるが、小林の死後の一時期、特に彼が文筆活動の主な拠点としていた雑誌『新

児童について一緒に考えることが解決への糸口 になるのではないか。④保護者への対応も難し

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

本論文での分析は、叙述関係の Subject であれば、 Predicate に対して分配される ことが可能というものである。そして o

析の視角について付言しておくことが必要であろう︒各国の状況に対する比較法的視点からの分析は︑直ちに国際法

□ ゼミに関することですが、ゼ ミシンポの説明ではプレゼ ンの練習を主にするとのこ とで、教授もプレゼンの練習

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.