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食品科学と食品化学

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Academic year: 2021

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TUMSAT-OACIS Repository - Tokyo University of Marine Science and Technology (東京海洋大学)

食品科学と食品化学

著者

鈴木 健

雑誌名

東京海洋大学研究報告

3

ページ

3-4

発行年

2007-03-30

URL

http://id.nii.ac.jp/1342/00000185/

(2)

Journal of the Tokyo University of Marine Science and Technology, Vol. 3, pp. 3-4, 2007

[ 最終講義 ]

「食品科学と食品化学」

東京海洋大学 名誉教授 鈴木 健

Food Science and Food Chemistry

Takeshi SUZUKI 2006 年 2 月 10 日(金)の 3 限目,品川キャンパス 3 号館 13 番教室にて「食品化学」の授業の最終講義を行った。小川学 科長から講義の題目を問われ「食品科学と食品化学」とすることとした。 食品科学の広範囲な領域の学問体系については,42 年前に卒論研究を河端俊治先生(国立予防衛生研究所食品衛生部,水 産講習所製造44 回卒)のもとで行っていた際にお聞きしたことを思い出す。黄桃は生で食べても硬く味も良くないので美 味しくないが,缶詰の原料として加工するには最適であり,このための品種改良はまさに食品科学の領域であると話された。 食品を製造加工する際に,既存の原料だけでなく新たな技術を用いて開発を行い,生産および消費に至る領域を見据えた技 術で作り,産業を牽引する必要があることをこの時に教えていただいた。食品科学の奥の深さを感じ,この分野の研究を行 いたいと考えるようになった。

“Principles of Food Science” (G. Borgstrom, Michigan State University, 1968, The Macmillan Company) には,食品科学の領域は 食品の生産 (production,関連する領域として農学,園芸学,水産学,動物・植物生理学,海洋学,魚類学など ) から消費 (consumption,関連する領域としては食品産業,食品流通,食品貯蔵,食品市場,食糧経済,農業経済など ) に至るまでと 書かれている。さて食品科学の根幹をなす学問領域としては Food Biochemistry, Food Microbiology, Food and Nutrition, Food Manufacture, Food Technology, Food Utilization, Food Engineering, Food History が掲載されており,この中で食品化学(主に分 析化学で1800 年代末期から 1900 年代初期)と微生物学(パスツール 1822-1895)が最も古い歴史を有する。また上記食品 科学の領域にはその基礎となる生物学,化学,物理学,工学,栄養学,医学,および各種の応用科学が示されている。この 基本形は本学の食品生産科学科の教育と同じである。

食品科学の専門教育は,1913 年に Massachusetts Institute of Technology(ただし MIT の Food Science は 20 年ほど前に廃止 となった)および Oregon State University に食品技術 Food Technology のコースが出来たことに始まると書かれている (“Educational Programs in Food Science: A Continuing Struggle for Legitimacy, Respect, and Recognition” O. Fennema, Food

Technol., 43(9), 170-182, 1989)。その後米国の州立大学に農業や酪農業から食品産業へと続く食品科学科の基礎ができ,

University of Massachusetts at Amherst(UMass, 1863 年に州立農学校として発足)の食品科学科も 1918 年に設立された。この 大学には15 年前に 10 か月ほど訪問研究員としてお世話になったが,上記の MIT の食品科学科廃止については関心事であっ たので,この理由についてUMass の Clydesdale 学科長に聞いたことがある。学科の存在については各学科の特徴を強調する 必要があり,当学科では食品の安全性,品質,加工と製品開発が主たる研究課題であることを述べられ,これらについての 成果は挙げており大学から評価されていると話されていた。国立大学の法人化に伴う将来において,米国と同様に学科の廃 止に対する対応を講じるため,学科の特徴を強調し社会の要望に応えていることを示す必要があると思われる。

米国食品科学会の”Institute of Food Technologist”(IFT)は食品科学教育について検討を加え,教育の基準 IFT - Education Standards for Food Science を 2001 年に示している(Education Standards for Degrees in Food Science, www.ift.org/cms/ ?pid=1000427)。この中においても第一の項目に挙げられているのが Food Chemistry and Analysis で,Food Safety and Microbiology, Food Processing and Engineering, Applied Food Science, Success Skills (Critical Thinking/Problem Solving Skills, Professionalism Skills 倫理 ) が続く。なお IFT minimum standard 1992 年版の説明(Food Technol., 46(10), 156, 1992)は分かり やすく,本学科のカリキュラムおよびシラバスにもこの内容は反映されている。(IFT の初版の Minimum Standard は 1966 年 に作成)。ただし上記の項目にあるCritical Thinking Skill については本学では通常の専門授業において,あまり語られていな いようである。食品化学の項目は図1 に示すとおりで,食品化学・食品分析学は実験も含めこの内容は充実している。

食品化学は「食品の化学」から始まったことをHultin 教授(UMass Food Science, Marine Station)は IFT 総会で講演をされ た(”Chemistry of Foods to Food Chemistry”,図 2)。ここに書かれているように,長年にわたり食品についての化学はあっ たが,生化学の発展に伴い,食品化学が必要となり1969 年に IFT が認めるようになった。米国の大学の多くの食品科学科 で,教科書として“Food Chemistry,” (ed by O.R. Fennema, University of Wisconsin, Madison, Marcel Deckker, Inc.) が使用されて いるが,この第1 章にも”Introduction to Food Chemistry”が掲載されている。8 年ほど前 Dr. Fennema にお会いしたが,食品

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鈴木 健 4 化学は広範囲な内容で炭水化物,タンパク質,脂質,ビタミンなどそれぞれの分野の専門家の出筆のため,この調整が大変 であったと話されていた。 さて本学における食品科学および食品化学の教育の歴史をたどってみると,1897(明治 30)年の水産講習所の授業項目に 食用品製造実習,1900(明治 33)年には食品論という授業科目が掲載されており,初めて食品の名が見られた。1923(大正 12)年には化学(食品),1929(昭和 4)年には食品化学との授業科目が載っており,食品科学および食品化学については早 くから実務に役立つ教育を行ってきたことが分かる。上記の米国における食品科学教育と対比して水産講習所の教育の歴史 をたどると興味深いものがあると考えられる。 さて宇宙食の開発がはじまっていた学生の時代に,Composed Food(組立食品)のことを授業で聞いたことを思い出す。 食品もその構成成分を解明し,化学工学の手法を使えば各種の食品を自由に製造することができるというもので,新しい産 業の発展を期待した。重量等を最も配慮した初期の宇宙食では,必要な栄養素が含まれていれば食品の開発が達成したこと になったが,長期の宇宙滞在ではヒトに必須な栄養素の補充だけでは目的達成ができないことが明らかとなった。栄養シス テムの見解からするとヒトは雑食性であるため,各種の食物を摂取することが必要で,これに基づき食品科学があることを 知る必要がある。コアラはユーカリの葉を食べ,パンダは笹の葉を食べて生きていくことができるが,ヒトはこれと異なる 進化を行い,雑食のため地球上の熱帯から寒帯まで居住を広げた。食品のもつ各種機能に関心がもたれているが,食べ物の 味や香り,テクスチャーなどが,食の美味しさを作るとともに,食事をすることが心を豊かにすることを忘れてはならない であろう。「食」の漢字は,おいしい粟飯を盛ってこの香りに三方から人が集まることで(漢字語源辞典,藤堂明保,1965, 大盛印刷),食と人の集まりが心を和ませこれが食の基本となることを示している。心の持つ精神的な役割については医学 分野でも難しい領域だが,食品科学においても食の役割を考える必要があると思われる。食べ物と人との関係には難しい問 題点もあるが,また大変興味深い領域である。

•Structure and properties of

food components, including water, carbohydrates, protein, lipids, other nutrients and food additives

•Chemistry of changes

occurring during processing, storage and utilization

•Principles, methods, and

techniques of qualitative and quantitative physical, chemical, and biological analyses of food and food ingredients.

Understand the chemistry underlying the properties and reactions of various food components

•Have sufficient knowledge of food

chemistry to control reactions in foods.

•Understand the major chemical

reactions that limit shelf life of foods.

•Be able to use the laboratory

techniques common to basic and applied food chemistry.

•Understand the principles behind

analytical techniques associated with food.

•Be able to select the appropriate

analytical technique when presented with a practical problem.

•Demonstrate practical proficiency in a

food analysis laboratory.

࿑䋱䋮 Food chemistry and analysis

Content By the completion of food science program, the student should:

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