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パラグアイにおけるラパチョの開花時期: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

パラグアイにおけるラパチョの開花時期

Author(s)

外間, 数男; フアナ, カバゼーロ

Citation

沖縄農業, 45(1): 39-48

Issue Date

2011-08

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/17302

Rights

沖縄農業研究会

(2)

沖縄農業 (JOklnaWaagrlC.)45(1) 39148(2011)

外脚

告〕

パラグアイにおけるラパチョの開花時期

外 間 数 男 ・フアナ カバゼ一口 1)

(J-LJICAパ ラグアイ事務所, ‖パ ラグアイ戯牧省JB!業普及局)

KazuoHOKAMA andJuanaB CABALLERO:EpoCadenorecimlentOde lapachorosadoenParaguay.

要 約 Tabebuia impetiginosaの開花は5月中旬頃か ら始 ま り,6月中下旬に開花最盛期 となった. その後減少 し,7月か ら8月上旬 にかけては開 花が見 られな くなった. しか し8月中旬以降か ら再度開花 した.開花は年 2回の 2峰型を示 し た.T.heptaphylla の開花は6月30日から9月7 日まで長期 に及んだが,半数は 7月 7日か ら14 日に集中した.開花は9月上旬 に最盛期をむか え,9月中旬以降か ら減少 し,9月末 には終了 した. はじめに ラパチョは,別名イ ッぺー として知 られてい る.パラグアイではラパチョが一般名であるこ とか ら,本報で もそれを使用す ることにした. ラパチョは ノウゼ ンカズラ科(Bignoniaceas) Tabebula属 に属 し.ブラジル を原産 として, 数十種が知 られている.ピンクのラパチョはパ ラグアイの国木であ り.パ ラグアイ全域で見る ことができる.アス ンシオン市では街路樹 とし て冬季に街を彩る花木である. また沖縄でもピ ンク及び黄色のラパチョが街路樹 として植栽 さ れている. パ ラグアイでは4種のラパチョが知 られてい るが,ピンクの花弁 (図 1)を持つT.impetiginosa (MartexDC.)standl(T aveELane

d

a

eLoretz

2011年4月13日 受付

exCrlSeb) とTheptaphylla(Vell.)Toledo (T ゅe(MartexSchum)Standl)(図2)の2

種が代表的である. 白色のT yoseo-alba(Rldl) San d.は 厳 寒 期 , 黄 色 のT alba (Cham) Sand.は春先が満開期である (I,6pez, 1987; Juan,1931;Santos,2001) アスンシオン市 内の街路樹 としてはピンクのラパチョが多 く. 白色,黄色のラパチョは極めて少ない 図 l.ラパチョ (Theptaphy//a)の花序 Flgura1[nflorescencladelapacho(7lhepLaphyI/a) パ ラグアイでは.ピンクのラパチョが5月か ら9月に咲 くことは既知の事実である. しか し 開花回数や開花時期については調査研究が少な く,十分な情報が得 られていない Ⅰ,6pez(1987) の "パ ラグアイ樹木〟では,T mPetlgmOSaが 6月か ら9JL T JwPLaL)Jtylhzが5月か ら7月に 開花すると記 されている しか し実際 とは異な るものである. また同著2002年版でも修正され

(3)

40 沖縄農 業 第45巻 第1早 (2011) 図 2 ラバチョ (TheptaphyIJa)の開花 FlgUra2FloreclmlentOdelapacho(ThepLaphyl/a) てないことか ら.それを事実 として認識されて いる 街路樹は,都市の景観形成や暑熱緩和,精神 的.身体的なス トレスの軽減, 自然治癒力を高 めるな ど様々な機能を持つ ことが報告 されてい る (福岡ら,2007;市原 ら,2006,高札 2008, 多田 ・藤井.2005).また開花など生物季節は, 植付け時期や収穫.作況を占う情報 にもな り. 生物の動きを的確 に反映するともいわれる (倉 内,1952;松本,2005).街路樹は,その特性 把握 とともに多面的な機能 を検討することも重 要である. 今回.パ ラグアイにおけるピンクのラバチ ョ 2種Timpet癖nosa,T.hQtaPhylhzの開花調査 を行い,開花時期,生物季節,心理的評価な ど との関連で検討したので,その概要を報告する 調査方法 1)調査地 と調査樹 調査はアス ンシオン市 (南緯

2

5.10)で行 っ た.都心に近いブラジル通 りを交点 として,束 に延びるエ レナ通 りとアサ- ラ通 りに植栽 され た街路樹 ラバチ ョを対象に調査を行った.調査 地点のエ レナ通 りとアサ-ラ通 りは,いずれ も 車道6m,片側 2mの歩道が住宅地域 に起伏 を 伴いなが ら直線 に走っている 都心への幹線道 路であることか ら,車道,歩道は舗装 され,追 路両端は家屋が建ち並び.平屋か ら3階建住宅 が密集 して いた.車道 に近 い歩道 には十数 m 間隔でラバチ ョや ジャカランダな ど街路樹が植 克 られ,調査樹のラバチ ョは住宅及び車道まで 枝葉が伸びていた.調査樹は植栽後20-30年以 上経過 したものであったが.倒木 によ り再植 さ れた若木が 1本含 まれていた. 2)調査方法 調査は,ピンクのラバチ ョTimPehgmosa, T hQ血砂hylhzの2種 を対象 に2010年5月26日 から10月13日の間に週 1回の継続で行った.調査 樹数は T.mPeL好mOSaが23.T hebLaL・fLyLLLが17 個体であった.調査は樹体の目視 とし,着花, 若菜程度 を調査個体 ごとに下記の指数を指標 に して調べた 着花,若菜度は指数を基 にして算 出した.樹高及び樹冠幅は目測値 とし,樹幹周 は地上高1mの実測値 とした.樹冠幅は最大, 最小の平均値 とした 着花 ・着集塵 :

(Proporc16ndeho]asonoresenplanta)

(an+bn+cn+dn+en)100

5

×調査樹欺

(4)

外聞・カバゼ-ロ パラグアイにおけるラバチ ョの開花時期 4I

a 着菓 または着花枝割 合が全体 の90%以上

(H oJaS 0 Flores m As de 90% en arbol)

b :若葉 または若花枝割合 が全体 の約70%

(HoJasoFloresm asde70% om emosen arbol)

。 :若菜 または著花枝割 合が全体 の約50%

(Ho]asoFloresm Åsde50% om emosen Arbol)

a :若葉 または着花枝割合 が全体 の約30%

(HoJasoFloresmAsde30% om emosen Arbol)

e・若葉 また は着花枝割合 が全体 の10%未満

(H oJaS 0 Flores m emos de 10% en arbol)

n :調査樹数

(Ndm eros de arboles lnVeStlgados)

結 果 1)調査樹 調 査 した

T

7mbehgtnOSa と T hebtabhy

L

l

a

概 要 は表

1

,2

に示 した. T.lmL)etlgl'nosaの平 均樹 商 は7.9m, 幹周 は1.08m, 樹幹 幅 は6.3m で , 樹 幹 幅 /樹 高 は0.83で あ っ た ま たT hebta9秒LLaは, 平均 樹 高 が11.5m. 幹周 は1.29 m,樹幹幅 は5.8m.樹幹幅 /樹 高は0.52であっ た T.hゆkzPflylLZは, T.impeLl'glnOSaに比 べ て樹 高が高か った. しか し植 付 け時期や 生育条 件が異な る ことで直接比較す る ことはで きない 樹 幹 幅 /樹 高 の値 で み る と

,T

heptaphyLlaは 表l 調査ラバチ ョ(T Impel/a/nOSa)の開花時期

Tablel Epoca de floreclmlentO dellapacho(T ImPetlglnOSa)en lnVeStlgaCldn

一周壬樹 NL]

n

l

e

r

O

depl(Nd )J)ntjE) Aldeldr樹 7turLFrlalbOl) Ci樹 幹 周reunfer- Anehode樹 冠 幅 開花 開始Ⅰniciode 開花長 盛 開花頚Finde冬期

trlaDlonCO de(∩)anta d○larLn「ーbOl

1

2 3 4567 89 10 ll12 1314 15 1617 1819 20 21 22

(5)

42 沖縄農 業 第45巻 第 1早 (2011)

表2 調査ラバチョ(Theptaphy//a)の開花時期

Table 2 Epoca defloreclmlentO deHapacho(T heptaphyIJa)en lnVeSt[gaCldn

調 査 樹

Numer○ Al樹 高tl,Jr8 Ci8nGi樹 幹 周rcunfad8eI- Anchode樹 冠 幅 開 花 開 始]nici○de 開 花 七 盛 開 花 終 期

deplLN. )ant8 de貞r(∩)bOl tlraploncodetnant1)il IdelBCOr(

rT

r

lOn8

b

)

O

l Finde

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10ll12 131154

1617 1416ll10ll13131ll141015698997 0_2_0_2r1.0.1_1.2_0.0.1_1_1_1.1_1_34058925313186O8290820642239887832 35448948478648845 30/Jn_25/Ag-25/Ag,18/St4/J7/Jl7/Jl7/Jl7/Jl1/St1/SL17/J7/Jl/Stl_...rl._._. 25/AE_18/St8/St8/St8/St8/St/St1/St11111/St1/St/St/St/St/St_._.__._.___. 22/St22/St.22/St22/St22/St.22/St22/St.22/St22/St22/St22/St22/St15/St8/St_...

T m LletlgmOSaに比べて′トさい ことか ら,T J砂 丘砂hylhZは縦長

,T.

lmPe晦 mosaは横広が り の樹姿 を示 した. 2)開花時期 (1)T./mpetlglnOSaの開花時期 T lmPetigtnDSaは調査 した全樹が開花 したが, 開花時期は個体によって異なった.調査を開始 した5月26日には調査樹7, 12がすでに開花 し, 6月16日までには大部分が咲き始めたが,調査 樹18, 1gは8月中下旬 に開花がずれ込んだ. 開花の最盛期は個体間に差があったが.大部 分は6月中下旬 にあった. ここでいう最盛期は 各個体の最大開花期 をいい.満開を示す もので はない 調査樹1, 2, 3.ll, 18, 19. 20は10 %以下の開花 にすぎなかったが,そのピークを 最盛期 にした.これに対 し調査樹の7, 10, 16, 17は90%以上の開花を示 し満開であった. 調査 した23樹中14樹は6月30日, 2樹が7月 7日までに開花 を終えたが, 7樹は8月下旬 に なった.8月下旬に開花を終えた7樹のなかで, 5樹は6月中下旬 に開花 し,7月に開花を一時 休止 したが,8月に再度 開花 した (図3). こ の 5樹が調査期間中に 2度咲いた個体である. 調査樹18, 19は, 8月に開花 し始めた個体で, 2 度咲 くことはなかった.

調査 した T lmPetlgmOSa全て0)調査 日ご と の着花度は図4に示 した.開花は5月下旬頃か

(6)

外聞・カバゼ一口 パラグアイにおけるラバチョの開花時期 43

国 3 2度日のラバチョ(T 'mpet/gJnOSa)の開花

FIgUra 3 DosyesesfloreclmlentO de lapacho enaFIO(T Impel/glnOSa) 20 00 帥 60 40 訓 EJ u L'一d u e s 2 0 u O S d o LJ O P u qJ2 l且 O, d 軸 だ 柵

株 柵 ら始ま り,その後徐 々に増加 し, 6月16日には 開花のピークに適 した.その後開花は減少 し,

7

月か ら8月上旬にかけて開花が皆無 となった しかし8月中旬から再度開花し始め,すぐにピー クをむかえ,9月1日に開花を終えた.着花度 は6月16日の 開花 ピー クよ り低 か った T lmj・ehgmosaの開花は年 2回の 2峰型であった. また若葉度の推移 をみると (図4),調査開 始時にはすでに落葉が始 まっていた 落葉はそ の後徐々に多 くな り,8月25Elに着集塵が最 も 低 くなった この時点 までに菜をすべて落 とし た個体 もあったが,わずかに落 としただけで終 ; ‥ ∴ I ; : - ' 二 一 一 : 一 着葉度 prtd rl(k rt'声 enPlarlta + 着花度 prqm 始n d Bfh ts e n planb

調 査 時 期 FechadelnVeStlga⊃lbn(2010)

図 4 ラバチョ(TlmPetlglnOSa)の着禁 ・着真皮の推移

FIgura4 Curvade proporcldnde hoJaS0 floresen planta(TImpel/g/nosa)

わる個体 もあった その後9月1日か ら出菓 し はじめ

,9

2

9

日には 1個体 を除いて全ての個 体で

9

0%

以上の着集塵を示 した.出集はほぼ一 斉 に急増する傾向にあった. (2)T.heptaphy/laの開花時期

T.

Jゆ EaPkyLklは,調査 した17個体 中 3個体 で開花が見 られなかった (表

2

). 開花開始は 個体 によって異な り,6月30日か ら9月7日ま で長期 に及んだが.半数は7月7日か ら14日に 集中した. また

6

個体は

8

月25日か ら

9

8

日 にかけて開花 した. 開花の最盛期は個体間で異なったが,殆 どが 8月25日か ら9月8日にあった 開花終了期は, 殆 どが 9月22日にあったが,9月 8日,15日に も各 1個体があった.開花終了期の個体間差は

(7)

44 沖縄農業 第45巻 第1早 (2011) 大きくなかった. 調査 した T.hebtabkylLa全ての調査 日ごとの 着花度は図5に示 した.開花は6月下旬頃か ら 始 まったが,8月中旬 までの開花は極めて少な く,着花度は低水準で推移 した その後8月下 旬か ら急増 し,9月1日には開花のピークに達 00 80 60 10 2 ∽ T3 t Ll。 ld u a s a J〇 一-O S d o LI O P u q ICN 3J d o Jd 雌 だ 梱 ・ 株 柵 した その後,開花は再び急減 し,9月下旬 に 開花が皆無 となった.開花の最盛期は年1回の l嘩型であった また若葉度の推移 をみると (図5),落葉は 7月頃か ら始 ま り.徐 々に多 くな り,8月25日 か ら急激 に落葉 し,9月 1日には着集塵が最 も :: I I I = _ _ ._'=r _ - ∴ ∴ ∴ - 寄 集 度 PrDl》rtlbndehoJ8SenPIJarlta l- 若 花 度 ProEDrC16ndoflor続ienPlantB 調 査 時 期FoGhade■nvest■g8C■bn(2010) 図5.ラバチョ (Theptaphy/la)の着莞 ・着花度の推移.

FlgUra5CurvadeproporcldndehoJaS 0floresenplanta(Theptaphy//a)

低 くなった この時点 までに薬 をすべて落 とす 個体 もあったが,わずかに落 としただけで終る 個体 もあった その後9月8日か ら出葉 し始め, 9月29日には全ての個体で100%の若菜度 を'Tl した.落葉は漸減的であったが,出葉は急速で あった. 考 察 ラバチ ョは,沖縄でイッペ-と称される.イッ ぺ-は黄色花弁 を持つTabebula属の花木を指 す ことが多い しか し紫や桃色のTabebula属 にも使われていることか ら.総称的にイ ッペ-と呼ばれているようである 池原 (1979)は, 黄 色 をコガ ネ ノウゼ ン (Tecoma ChTySOtru:ha MarL.). 紫 紅 色 をイ ッベ イ (T.avelbnedae Gnseb.), 淡 いピ ンク色 をモモイ ロノウゼ ン (T.yoseaDC)と記 している また白井 (1980) はTabebula属

3

種 を記載 し, T bentaPhyLhz Hemsleyをモモ イ ロ ノウゼ ン と した . 平 良 (1987) はイ ッペイ T.avelhznedaeI,orenzの乗 が5- 8枚の全線又は鋸歯状で1- 3月に開花 するとし,モモイ ロノウゼ ン T yoseaDCは4

(8)

外聞・カバゼ一口 パラグアイにおけるラバチョの開花時期 45

∼ 5月に開花すると記 している.

浦添市な ど街路樹 として植栽 されているピン ク系の Tabebula属の花木は T.7mbef柳nOSaに

近似する. しか し葉形や樹相が幾分異なる. ま た黄色系も種類が多 く.種の決定には詳細な調 査が必要である. Tabebula属 は100種以上知 られているが,同種異名な ど混乱するところも あ り.今後の検討を待ちたい.

今回調査 した2種のラバチ ョT.mbctqinosa, T hebtaPhyLlaは, L6pez (1987) の "Arboles

comunesdelParaguayA''を基本とし,Carnevale (1931),Torresら (1989) の著書 の詳図や関 係者か らの情報 によったものである. この

2

種 のラバチ ョは,いずれ も花弁がピンク色で,花 負,形態か ら種を判別することは難 しい. しか し葉形か ら容易に区別す ことができる.2種の ラバチ ョは, いずれ も小葉5枚の革状複葉であ る (図6). しか し7枚まで記録されているが, 率 ㊨ 」 図6.ラバチョの蕪

FIgUra6 HoJadelapacho

A Theptaphy//a

BITImPetlglnOSa

今回確認することができなかった.小乗の秦身 長及び菜幅はT hQta9秒L由 が 3-10c m,2-6cm,T /mPe晦mosaはそれぞれ5-llcm.3

- 8cmである T.i叫)eLなmosaの小葉がやや 大 きい. またT hd叫)hyLL2は集線が鋸歯状で あるが,T.mL)e晦inosaは全線か又は棄先が幾 分鋸歯になっている (LApez,1987;Carnevale, 1931;Torresら,1989). 今回の調査か ら,ピンクの 2種のラバチ ョは 開花時期が大きく異な-)た.T.mPeL脚nOSaは6 月が開花 の最盛期であったが,T hLQtabhylL2 は9月にあった.2種のラバチ ョは開花の開始 および最盛期 に大きな違いがあったが.開花の 開始時期は,いずれのラバチ ョも個体間で差が 大 きかった 特 にT mPelqmosaは個体間差 が大きく.年2回の開花ピークを招来すること になった.T.hゆ叫)hyllaのピー クは9月の1 回のみであった. 今回調査 した2種のラバチ ョは,いずれ も開 花 の早 晩 か ら2グル ー プ に分 け られ た.

T

mpetlglnOSaは5月下旬か ら6月下旬 と8月中 卜旬に開花する2グループに明瞭に区分された 大部分は5月下旬か ら6月下旬 に開花する早咲 きグループであった またT.hQtabhyLhzでも6 月下旬か ら7月中旬 と8月下旬か ら9月上旬に 開花する2グループに分けられたが,早咲き. 遅咲きで個体数 に大きな違 いはなかった.開花 の早晩について.上里 (1993)はヒカンザクラ の早咲き,遅咲きタイプが環境要因よ りも迫伝 的な違いを優先すべきと報告 している.今回調 査 した2種 ラバチ ョはそれぞれ個体間で開花開 始時期が大きく異なった 特 にT.tmPctかnosa はT h

e

PtaPkyELaに比べて差が大きかった. こ の2種のラバチ ョが遺伝的に雑駁 になっている かは不明であるが,開花開始の違いか らその可 能性 も示唆される. 調査期間における最高.最低気温の旬別平均 値の推移は図7に示 した.観測データは,調査 地点か ら約12km離れたサ ンロレンソ市 にある アスンシオン大学農学部の観測 によるものであ る 調査 を開始 した

5

月の月平均最高気温 は

(9)

沖縄農 業 第45巻 第1号 (2011)

Ma Jn JI Ag St

月 Meses(2010)

図7 サンロレンソ市の旬別最高 ・最低気温の推移

Flgura7 VarlaC10ndetemperatura maxlmaymlnlmaCadadleZdrasporun mes (Departamento lngenlerla RuralFacultad ClenClaSAgrarlaS UnIVerSldad Nacl0naldeAsuncl0∩)

22.7℃で,平年値よ り2.3℃低 く,平均最低気 温は13.2で,2.5℃低かった. また 6月も,そ れぞれ23.4℃で. +0.3℃,13.5℃,-0.3℃で あった 7月は,221℃, -O匂℃, 11ー8℃, -1.3℃,8月も,25.4℃で,+0.6℃,13.1℃, -12℃,9月も,276℃, +12℃,140℃, -1.9℃であった.今回の調査期間中における 平均点高気温はやや高めであったが.最低気温 は低 く推移 した. ラバチ ョの開花の早晩は,記 録 が な い こ とか ら論 議 で き な い が. abe COROL社 (2010)は,2010年のラバチ ョが遅 延気味であると報 じている.その理由としてチャ コ地域の野焼 きを挙げているが.平均最高気温 が高めに推移 したことも一因になると思われる, パ ラグアイの野菜栽培は秋か ら春先が最盛期 であ り.冬期の気象条件,特 に低温が生育 に大 きく影響する. ラバチ ョは秋冬期か ら春先に開 花す るが,T mPetlglnOSaは晩秋 か ら冬,T h申叫〉hylhzは冬春の気象条件 (気温)が開花 に 影響すると思われる.その開花の早晩を調べる ことで,冬春期野乗の作況 を示す指標 にな りえ ないか検討することも重要である. しか し研究 は緒 についた段階であ り.今後更なるの調査研 究が必要である パ ラグアイは亜熱帯気候である 冬期0℃ ま で下ることもあるが, 日較差が大きく,冬期で も温暖な 日々を過 ごす ことができる.沖縄 も避 寒地 として大きな経済効果を生んでいる.冬期 の街を彩るラバチ ョは貴重な資源 にな りうるも ので ある ピ ンクのT tmf・e晦mosaは晩秋 か ら冬,白色のTabebularO

S

C

OJlba(Rldl.)sand. は厳寒期,淡 いピンクのTheP叫〉hyLLZと黄色

のT.aLba(ChatIl) SaLldは春先 に開花最盛 期を迎える. これ らのラバチ ョを組み合わせて 街路樹や公園樹 として栽植することで冬期の街 を彩 り.避寒地 として集客 に役立てることがで きる. 森林の多面的機能 については詳細 に評価 され ているが (日本学術会議,2001),街路樹 につ いては少ない.街路樹は景観,緑陰形成,快適

(10)

外聞・カバゼ一口 パラグアイにおけるラバチョの開花時期 47 環境 の提供,ス トレスの治癒 力を高め,心理的 効果 も報告 されている.花木類は1980年代以降 街路樹 として多用 されてお り.その開花が街 を 彩 り,心 身の機能 を高めるな ど様 々な癒 し効果 を持つ ものである. また開花な ど生物季節は. 植付 け時期や収穫.作況 を占う情報 にな り.気 象観測 よ り生物 の動きを的確 に反映す る ともい われる.花水類 の開花が四季 の移 り変わ りの指 標 とな り,ス トレス解消な ど多面的な機能 を持 つ ものである.その的確な評価 を踏 まえて街路 樹花木 を見直 し,積榛的な利用 を図る ことも必 要である. 謝 辞 本研究はJICAボ ランテ ィア活動でパ ラグア イ滞在 中に行 った ものである.関係者 に対 し厚 く感謝 の意 を表す また沖縄県 内のラバチ ョの 情報 を提供 していただいた前八重 山農政良美改 良普及セ ンター所長 の石垣盛康氏 に謝意 を申し 上げ る Resumen

Lanorac16nde

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se inlC16a medladosde mayoy continu6 el f

loreclmlentOhstafinesde]un10Poster10rmente elnoreclmlentOnOrueobservado,sin em -bargo a medlados de agosto comenz6 de nuevoanorecer,observAndoseunaumento etlLretゴ118ye125deagosLo,paraluego volveradecrecer,PorCanto,lanoraLC16nde estaespecleeSdedosvecespora丘o

La norac16n de

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L2Se registr6e130deJun10,POTunlargoperiodo per° e150% de la norac16n 8e COnCentr6 entre 7 y 14 de JullO.La temporada de mayor norecimiento fue en la prlmera qulnCena delmes de setlembre con una dlSminuc16n en la segunda qulnCena del mlSmOme且. 引用文高夫 abcCOROL社2010.abcCOROL8月27日号 Carneva

l

e

,

∫ 1931.ArbolesfbrestalesBuenoa AlreS. 福 岡忠彦 ・高橋晃 ・布施静香 2007 兵庫県三 田町の街路樹調査.人 と自然 17:35-4

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Tabl el Epoca de f l or ecl ml ent O dell apacho ( T I mPe t l gl nO S a ) en l nVeSt l gaCl dn
表 2 調査ラバチョ ( T hep t a phy/ / a) の開花時 期
図 7 サンロレンソ市の旬別最高 ・最低気温の推 移

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そこで生物季節観測のうち,植物季節について,冬から春への移行に関係するウメ開花,ソメ

ニホンイサザアミ 汽水域に生息するアミの仲間(エビの仲間

巣造りから雛が生まれるころの大事な時 期は、深い雪に被われて人が入っていけ

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を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に