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薬剤疫学 Jpn J Pharmacoepidemiol, 25(2) July 2020:55 ●企画/自発報告データベース活用の可能性と留意点序
文
「自発報告データベース活用の可能性と留意点」の企画に当たって
我が国の有害事象の自発報告は,2004 年以降に薬機法に基づき製薬企業および医療従 事者から収取された症例と 2013 年以降に予防接種法に基づき医療機関から報告のあっ た症例が医薬品副作用データベース(JADER)として 2012 年 4 月より PMDA から公開 されている. 薬剤疫学会誌では 2014 年に「PMDA の自発報告データベースの新たな活用と今後の 課題」として特集企画を掲載した.この特集では,副作用自発報告は,実際に臨床現場 において副作用と認識された事象の一部しか報告されず,さらにその報告割合がさまざ まな要因で変動するといった報告バイアスが存在し,分母情報がないため発生頻度が求 められず一般的な副作用発現の評価手法が適応できないという問題を指摘したうえで, さまざまな活用方法を実際の解析事例を示して解説した. その後,既に JADER 公開から 8 年がたち,多くの研究者により JADER を活用した 研究が行われ,学会発表や論文が公表されている.その中には自発報告データベースの 性質を十分に考慮されていない研究も含まれていると指摘する声もある.このような状 況の中,今回,既に 10 年以上の自発報告の蓄積となっている JADER のより適切な活用 を願って,「自発報告データベース活用の可能性と留意点」という特集を企画した.特集では,久保田先生に自発報告データベースより得られる Reporting odds ratio (ROR)とケース・コントロール研究におけるオッズ比との理論的な関連性と,実データ を用いた実証研究結果を解説いただいた.次に日本医薬品情報学会 平成 29 年度課題研 究班で「JADER を用いたデータマイニング(主に不均衡分析によるシグナル検出)の研 究発表の際に留意すべきチェックリスト」を作成された酒井先生にチェクリスト作成の 経緯と,作成されたチェクリストの各項目の意図を解説いただいた. 本特集が,JADER を用いた適切な研究を促し,我が国におけるシグナル検出法のよ り良い改善の一助となることを願います. 2020 年 7 月 担当 公益財団法人 神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(TRI) 鍵村 達夫