ボニー・ヒューレット 著 服部志帆,大石高典,戸田美佳子 訳『アフリカの森の女たち 文化・進化・発達の人類学』春風社 2020年3月刊 3100円(税別)(414ページ)
2
0
0
全文
(2) 79. がそのまま用いられてわかりにくい部分があり,解説 には難解な専門用語が多々見られるが,そのような語 句にはページ下部に詳細な訳注が加えられている。ま た,各章の最後にはいくつかの「考察のための問い」 が設けられている。「植民地支配や経済システムの変化 はアカとンガンドゥの関係をどのように変えたか?」 というような読者の理解を助けるための設問から,「子 ども期の遊びはなぜ重要か。あなたが遊びを通して学 んだことは何か?」という,読者自身の経験を思い起 こさせるものまで多岐にわたっており,読者の思考を 促す工夫がなされている。各所に挿入された著者自身 のフィールドノートの抜粋は,いわば著者による「語り」 である。フィールドワークを行う彼女の経験や思いか ら,読者は自らがアフリカの森を訪れているような気 分を味わうことができるだろう。さらに日本版には, 中央アフリカ共和国の隣国のカメルーンで活動する日 本人研究者たちのコラムも追加され,様々な視点から アフリカの森での生活を知ることができる。 本作で人生を語る 4 人は植民地支配による抑圧や伝 統的生活スタイルへの西洋思想の流入などの変化の時 代を生き抜いた女性である。しかし,アカとンガンドゥ の女性の生き方をまとめるという目的上,「女性として 典型的」な人生を送った女性が選ばれているようにも 思える。全体を通じて,彼女たちが女性としての考え 方や生き方を母親や祖母といった年上の女性に教えら れるシーンが多くみられ,彼女たちはそれを「よい教訓」 として受け入れて,実践していく。 (蛇足ながら,その「教 訓」の多くは,2020 年の日本で女性として生きる私に とっては反発を覚えてしまうものである。今までに同 様の「教訓」を一般論として提示する本や論文を読ん できて反発を覚えたことはなかったのだが,語りとい う記述の方法のメッセージ性の強さを実感した。)彼女 たちの娘や孫の世代は,さらなる「女性としての価値観」 の変化(あるいは既存の価値観への反発)を経験して いるだろう。私が調査をしているコンゴ民主共和国の 奥地の村でも,以前はほとんどいなかったズボンを履 く女性を見かけるようになり,大学への進学を希望す る女性も出てきた。本作の最後で述べられているよう に激変の時代にもかかわらず自らの信念のもとに生き てきた女性たちに勇気づけられる一方で,これからど んどん多様になってくるだろうアフリカの女性たちの 生き方の変化と,しかしその根底に維持されていくで あろうものという,柔軟性と不変性について知りたい という思いに駆られ,読み終えたそばから続編を期待 してしまった。 (京都大学霊長類研究所 徳山奈帆子: [email protected]).
(3)
関連したドキュメント
作品研究についてであるが、小林の死後の一時期、特に彼が文筆活動の主な拠点としていた雑誌『新
(( . entrenchment のであって、それ自体は質的な手段( )ではない。 カナダ憲法では憲法上の人権を といい、
それから 3
子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい
子どもたちが自由に遊ぶことのでき るエリア。UNOICHIを通して、大人 だけでなく子どもにも宇野港の魅力
高さについてお伺いしたいのですけれども、4 ページ、5 ページ、6 ページのあたりの記 述ですが、まず 4 ページ、5
本稿で取り上げる関西社会経済研究所の自治 体評価では、 以上のような観点を踏まえて評価 を試みている。 関西社会経済研究所は、 年
当法人は、40 年以上の任意団体での活動を経て 2019 年に NPO 法人となりました。島根県大田市大 森町に所在しており、この町は