庇護要件指令における難民の定義づけ
―国際難民法・国際人権法の交錯―佐 藤 以久子
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.は じ め に
EU の庇護法における国際的保護とは,主に「第三国国民又は無国籍者の国 際的保護の受益者としての要件,難民又は補完的保護の統一した地位,及び付 与される保護内容についての基準に関する2011年12月13日付の欧州議会・欧州 理事会指令1)」(以下,庇護要件指令)に従い保護を付与する者を認定し,欧州領 域内にて難民を庇護することを言う。庇護要件指令に示された庇護要件は,国 際難民法の柱である1951年難民の地位に関する条約及び1967年議定書(以下, 難民条約2))を基礎とし,難民条約上のノン・ルフールマン原則(追放及び送還の 禁止)を主軸にさらに主に欧州人権条約3)と EU 基本権憲章4)に基づく「生命・身 体への重大な危害」に対するノン・ルフールマン原則を法的根拠とする。そう した要件を満たす者に対し難民(refuɡees)と補完的保護(subsidiary protection5)) の地位が付与され,庇護要件指令は,それら2つの地位に対し異なる要件を課 すが国際的保護の基準として一括りとし,いずれも国際難民法を基礎に国際人 権法を採り入れて,難民には単に難民条約をまた補完的保護には欧州の人権基 準を適用するのみならず難民の要件にも国際人権法が採り入れられている。な お,EU の補完的保護は,条約難民以外のノン・ルフールマン原則に従い送還 できない「事実上の難民」への保護であるが,慈悲や人道的理由他各国の裁量に基づく場合を対象外とし主に欧州人権条約3条上のノン・ルフールマン原則 に従い法的保護を付与するものであり,広義の意味で一般的に称する補完的保 護(coⅿpˡiⅿentary protection)と同一ではない6)。 こうした国際難民法と国際人権法と言う2つの法体系の組入れは,これまで に難民の定義の解釈を中心に1980年代の Goodwin-Gill による国際人権法を基 にした迫害の研究,続く国際難民法と国際人権法との関係をより体系化した Hathaway,近年は,Hathaway と Foster による人権保障に失敗した国家(難 民流出国) によって引き起こされた保護の代理形態を構成する難民法,McAd-am の国際人権法の一部としての難民法の再構築,迫害理由の射程に社会的経 済的権利も含むとする Foster 等学術上の解釈が進んでいる7)。他方,国際社会 における2つの法体系の組入れは,冷戦後1990年代以降に主要庇護国のみ徐々 に進みまた国際人権条約上の個人通報等の事例も徐々に増えているものの,国 際人権法の積極的な採入れは欧米以外の庇護国には未だ多くは見られない8)。そ うしたなかで EU では,2004年の最初の庇護要件指令において国際難民法を基 礎に国際人権法が組入れられ,特に,国際法上初めて主に人権条約に基づく補 完的保護の地位を設け,2000年代には庇護申請に関する欧州人権裁判所判例の 大幅増と2009年以降は欧州司法裁判所の先決裁定による庇護要件指令の解釈も 加わり,EU の国際的保護において国際人権法の実質的解釈及び適用が見られ る。 そこで,本稿では,国際難民法と国際人権法と言う2つの法体系を組入れた EU の国際的保護とは何かについて,まず,庇護要件指令と難民条約及び人権 条約等との関係と,次に,具体例として2つの法体系の組入れが顕著でありか つ難民の要件の要である「迫害の恐れ」のうち「迫害の行為」に焦点を絞り, 現行の庇護要件指令(Directive 2011/95/EU)9条 9) より考察する。また,いずれ も庇護要件指令の注釈10)を中心に難民条約の注釈11)と欧州人権裁判所及び EU 司法 裁判所の判例を便宜参照し読み解くこととする。 150
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.庇護要件指令と難民条約及び人権条約等との関係
庇護要件指令とその法的基礎である難民条約と欧州人権条約等の人権条約と の関係について,Dörig(ドイツ連邦行政(最高)裁判所判事兼ジェナ大学教授)の 注釈12)を基に概要し,国際難民法と国際人権法の2つの法体系の同指令への組入 れを考察する。 まず,庇護要件指令と国際難民法との関係について,庇護要件指令は難民へ の国際的保護制度の礎である難民条約を基礎とし,同指令の条文は概ね難民条 約と同じ文言を使い,条文解釈も難民条約に忠実に従うこととされている。こ れは,EU 法の運営条約13)78条1項及び2項より庇護分野における EU 立法の文 書は難民条約に従わなければならず,また,EU 基本権憲章18条より庇護権は 難民条約の諸規定を〔十分に〕尊重しなければならないこと,さらに,庇護要 件指令の前文(3段落,4段落,23段落)及び欧州司法裁判所の幾つもの先決裁 定14)により難民条約は難民の保護のための国際的な法制度を成すと明示されてい ることからも明らかである15)。 難民条約の遵守について,難民条約の締約国は EU ではなく EU 加盟国であ ることから難民条約締約国としての国際条約の履行義務があること,特別法で ある国際条約の優位性,そして,庇護要件指令は EU 庇護国の履行の実態を反 映した内容であることから難民条約に従いまた一致することが求められるのは 当然である。なお,庇護要件指令の適用はデンマークを除き,また,英国・ア イルランドは2004年庇護要件指令のみ適用されている。よって,難民条約を庇 護要件指令に組入れることは,国際条約の実質的な適用すなわち国内適用にお いて難民条約との矛盾や齟齬も回避し得ると考えられる。難民条約の優位性に ついて,実際に,例えば,欧州司法裁判所の ʙ and D 先決裁定16)において,他 の EU 法規定に具体化された類似の概念と抵触する場合であっても難民条約と 一致した解釈が求められるべきであるとして次のように判示された。同事例は,難民条約1条 F 項〔適用除外〕に関し,難民条約1条 F 項に匹敵する庇護要 件指令(2004/83)12条2項⒝及び⒞「重大な非政治犯罪」を構成するテロ組織 の一員か否かを評価するに辺り,国際的なテロ行為は国連の安全保障理事会 1373決議(2001年)及び1377決議(2001年)を含み国連の原則及び目的に反し, そうしたテロ行為に関わる人物・団体・組織をリストした EU 共通の見解 (Common Position)2001/931の附属書への参照は集団がテロリストの性質を有 するのか否かについて事実確認をするためには有効であり,また,テロリスト
集団の活動への参加については枠組決定(Framework Decision)2002/475/JHA
を参照することを必須とするとしながらも,単にリストにあるテロ集団の一員 であることのみによって自動的に庇護要件指令の難民の地位の適用除外条項の 根拠となるわけではなく,個々の審査において特定の事実評価及び当人に任さ れた行為が難民条約1条 F 項に言う重大な理由であるのかについて各事案の 全ての状況を十分に調査した上で判断する必要があるとした17)。これは,前述の テロリスト関連の文書は本質的に人道的な難民への国際的保護の文脈とは異な り又両者は無関係であることに鑑み18),難民条約上の難民への保護の主旨とは異 なる若しくは対立する EU 及び国際的合意文書が存在する場合であっても第一 義的に難民条約の遵守・適用が優先されると解された。 さらに,難民条約の優位性に関して,庇護要件指令の規定上国際的保護の対 象者が第三国出身者に限定されており(1条と2条⒟及び⒡),この点は,難民 条約42条1項に従い1条に制限となる留保は認められていないことから明らか に難民条約に抵触するとして批判されてきたが,EU 加盟国は安全な第三国で あると見做され起草時のスペインとベルギーの猛反対を背景に修正されておら ず19)問題である。ただし,EU 条約に附則する第24議定書のみに付された単独条 文20)に従い,同条文に列挙された5つの事例に該当する場合には EU 加盟国市民 による庇護申請であっても庇護審査する道を排除しないとし,例外ではあるが 抵触に対し一応調整措置が施されている。 また,庇護要件指令の条文解釈について,条約法に関するウイーン条約上そ 152
の法源は指令の前文となるが,欧州司法裁判所の先決裁定 Abduˡˡa and Otʰ︲ ers の先例及び ʙoˡboˡ の先決裁定によれば庇護要件指令の場合には指令前文と EU 基本権憲章であることが示唆される21)。ただし,難民条約の解釈に対する欧 州司法裁判所の見解は,国連難民高等弁務官事務所(以下,UNHCR)による難 民条約の条文解釈は裁判所においては法的拘束力はないが,UNHCR の特別な 権能があると見做すべきであり,難民条約に直接関連のない EU 法の規定(例 えば,補完的保護の地位)の解釈においても考慮することを排除しないとする22)。 なお,UNHCR の特別な権能とは UNHCR が難民への国際的保護活動の主要 機関として難民条約35条〔締約国の機関と国際連合との協力〕により条約の履 行監視機能を有することであり,そうした機能の遂行において締約国に対し難 民条約の注釈書に値する解説及び指針を提示することを含む。それら注釈書と は, 主に UNHCR の難民認定基準ハンドブック(以下,UNHCR ハンドブック23)) とその他に UNHCR 執行委員会(Excom)の結論や勧告,国際的保護の指針に 関するガイドライン24)であり,これらは EU 諸国の国内裁判所において法的拘束 力を有しなくとも重要な手引きでありまた有益な法源として容認されている25)。 なお,庇護要件指令の条文解釈においては,さらに,EU の主要庇護国の国内 判例を引用する場合もある(ドイツ連邦行政裁判所判決,注36),注57)参照)。 そして,庇護要件指令の条文内容について26),難民条約よりも詳細であるが難 民条約の条文全てを網羅してはいない。実際に,(難民にとって重要な)難民条 約31条の避難国に不法にいる難民に対する刑罰禁止規定がなく,同31条に関す る解釈については難民条約の注釈に基づいて各国が判断することとなる27)。他方, 難民条約には規定がないが庇護要件指令には定められているものもある。難民 条約は難民の要件の要である「迫害のおそれ」について,(解釈に制限を課さな いと言う理由により28))十分にあることと言う基準を定めるのみであるが(1条A 項の2),庇護要件指令は迫害の恐れに関する迫害の行為,迫害の主体及び保 護の主体,そして国内保護についても定めている。また,難民に付与される権 利についても,庇護要件指令は難民条約よりもより詳細であり,例えば,居住
権について許可及び期間が規定されている(24条2項)。 さらに,難民の定義について,庇護要件指令は,難民条約と同じように難民 であるための要件として第3章に該当条項(incˡusion)と終止条項(cessation), 適用除外条項(excˡusion),そして,第7章に保護措置を定めている。終止条項 は,現行の庇護要件指令(Directive 2011/95/EU)より新たに定められた規定で ある(11条)。従来,主要庇護国における条約難民への庇護は慣行として保護 期間が永続するものと解されていたため出身国への帰還となる地位の終止は考 えも及ばずそうした規定は無かったが,現行では,保護期間は場合により一時 的でもあり得るとし,従来多い出入国管理法上3年定住許可の自動更新ではな く,地位認定後も国際的保護は迫害の危険又は危害が存在し保護が必要か否か について継続して審査する必要があり,規定上ではあるが保護が不要となった 場合には地位を終止することとなっている29)。 次に,国際人権法との関連について30),「迫害の行為」(後述の9条1項⒜)には, EU 法の特に欧州人権条約の規定に関する法律用語も定義されており,よって, 〔難民認定においては〕難民条約のみならず人権法(文書)の観点からも考慮 されなければならない。また,人権法による解釈がより求められるのは,補完 的保護の地位の方であり,補完的保護においては特に欧州人権条約の規定及び 判例を基礎とし難民条約は重要な役割を果たさないとも解されている。実際に, 補完的保護は,拷問や死刑又はその他身体を脅やかす危険がある国には送還で きないために国籍国以外の国との当該個人を結ぶ特別な保護の形態であり,欧 州人権条約によって全てではないが主に欧州人権条約3条を根拠に国際法上始 めて補完的保護を成文化及び制度化したものである。もっとも補完的保護は, 庇護要件指令の前文33段落より難民条約に記された難民への保護を補完しまた 追加したものであり,欧州人権条約に従う必要性から生じる保護は,条約難民 が提供する保護の枠組みを完結するための補助31)であって,難民条約が中心にあ ることは言うまでもない。つまり,庇護要件指令上の補完的保護は欧州人権条 約上のノン・ルフールマン原則を順守しかつ国際難民法上の保護が付与される 154
と言う構成である。この点は,一般的に称される補完的保護が「難民条約以 外」の事実上の難民等様々な難民への保護とは異なり(注⑸参照),対象者が人 権条約の一部に限定されている。 このように欧州人権条約は,難民条約とともに EU の国際的保護の法源とな っている。なお,欧州人権条約の EU 法上の位置づけについて,欧州連合条約 (リスボン条約)6条3項32)より,欧州人権条約上保障された基本的権利を欧州共 同体法の秩序に組入れ一般原則とし,この点は欧州司法裁判所においても同様 の見解である33)。その他,欧州人権条約以外に考慮する必要のある人権法文書は, 市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約34))と国連の拷問及び他の 残虐な,非人道的なまたは品位を傷つける取扱又は刑罰に関する条約(国連拷 問禁止条約35))である。なお,条約難民の除外条項に言う戦争犯罪又は人道に対 する罪の定義は,ドイツ行政裁判所の判決を踏まえ国際刑事裁判所規程(ロー マ条約,1998年7月17日)に依拠して決定されなければならないと解されている36)。 さらに,庇護要件指令の前文16段落において「指令は基本的権利を尊重しま た特に EU 基本権憲章が保障する原則を順守すること」とされ,よって,EU 基本権憲章が認める権利と一致する方法で解釈しなければならない37)。 とりわ け,EU 基本権憲章の人間の尊厳(1条),庇護権(18条)を筆頭に,申請者と 同伴の家族に対する人間の尊厳や私生活及び家族生活の尊重(7条)と,表現 及び情報の自由(11条),教育に対する権利(14条),職業選択の自由及び労働 の権利(15条), 事業を行う権利(16条), 差別の禁止(21条), 子どもの権利 (24条),社会保障及び社会扶助(24条),健康医療(35条)に沿うことが求めら れている38)。これらの権利のうち社会権については,付与される保護及び受益内 容に関するものであって,重大な人権侵害に値するような差別的措置である場 合を除き庇護要件ではない(本文後述)。 以上,庇護要件指令と人権条約との関係について,難民条約を基礎とするが 人権条約も国際的保護の法源とし,人権法は難民要件の解釈と補完的保護の地 位の根拠に用いられている。また,難民条約との関係について,庇護要件指令
の基礎であり構成や規定も難民条約に従い類似するが,全く同一ではなくより 詳細でありかつ難民条約を無効とし或いは矛盾するものではなく,又難民の要 件において難民条約そのものに新たな保護を追加したものではない39)。庇護要件 指令の内容は,欧州司法裁判所によれば40),真に又正当に国際的保護を必要とす る状況に追いやられた者を判断することを目的とし本質的に人道的なものであ り41),こうしたことを主旨とする難民条約に沿い又同条約の前文に言う人権アプ ローチを成文化したものである。
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.難民の要件
―迫害行為(9条)
具体的に,国際難民法を基礎とする国際人権法を組入れた国際的保護の概念 はどこにまたどのように見られるのか,これより庇護要件指令上の2つの国際 的保護の地位のうち難民の地位に関する要件より考察する。まず,庇護要件指 令2条⒟項より難民とは,EU 全加盟国が締約国である難民条約1条A項に該 当する者(以下,条約難民)であり,同指令にはそうした難民でありかつ EU 加 盟国以外の第三国国民に対し迫害地に送り返さず自国に避難場所を与え本国に 代わり保護すること,つまり,第三国国民に対し条約難民への領域内庇護が付 与される要件が定められている。なお,庇護付与については,EU 基本権憲章 18条〔庇護権〕において条約難民には庇護を付与することと明確に定め,規定 上庇護付与は条約難民に限定されている。この点について国際法上,世界人権 宣言14条〔庇護権42)〕に庇護付与規定があり,庇護権は⑴庇護を付与するか否か を決定する権利は国家にあること(国家の権利),⑵個人は庇護を与えられる権 利を有するものではなく庇護を求め,また,⑶庇護を付与された場合には享受 する権利を有する(個人の権利)と言う3つの解釈が従来の有力説である43)。ま た,難民条約には庇護付与及び出入国管理に関する規定がなく(31条以外),難 民条約33条のノン・ルフールマン原則を遵守した結果そうした帰結として条約 難民には庇護が付与されること,つまり,難民条約締約国は,条約難民に対し 156同条約上の諸権利及び受益を付与することで事実上庇護されることとなってい る44)。難民への庇護は,従来の政治犯罪人不引渡の原則を中心により広い意味を 含意し国家が有する庇護権から発展したものであるが,今日においては難民条 約を礎とする国際難民法に依拠し,難民条約に集約されているものの国際社会 には未だ庇護権の統一した解釈及び適用は見られない。 他方,EU の庇護法においては, 上述の EU 基本権憲章上の庇護権(18条) と庇護要件指令による難民の地位付与(13条)によって在留許可(24条)とな ることを明確に定めている。なお,EU は国際的保護の地位付与及び保護内容 の統一を目指すが,現行上,付与された国際的保護の地位は EU 全土で有効な 地位ではなく各国毎の地位であり45)EU として統一した庇護権を付与するもので はない。つまり,EU 加盟国は其々に EU 共通の国際的保護の基準に従うが他 国の地位決定に拘束されることはなく審査を行った上で各国が庇護を付与する と言う庇護権(国家の権利)である。また,EU の庇護権は,上述⑵に当たる庇 護提出権を保障することを含意することは明らかであるが,上述の⑴の個人が 権利として庇護権を有すると言う意味を含意するのかについてゆらぎがある46)。 この点について,Bazo は47),「国際難民法や国際人権法を欧州共同体の立法措置 に編入することによって難民やその他国際的保護を必要とする者に保護を与え る加盟国の義務とは,これら個人に対し,庇護が付与されまた共同体法の法秩 序によって保護され,さらに,国内裁判所や欧州裁判所において執行可能であ るという主体的な権利を与えることではないか」として肯定的に捉え,こうし た見解は,人権を基盤とする国際的保護の解釈が進む欧州においては未だ有力 説とは言えないが個人の権利としての庇護権に進展する可能性は否定できない。 従って,今日の難民への庇護権の解釈には人権基盤の国際的保護がどの程度進 展しているのかが要である。 これより,難民の要件として必須の「迫害の恐れ」の存在について,庇護要 件指令の9条〔迫害行為〕の条文解釈に沿って人権基盤の国際的保護とは何か を考察する。まず,国際難民法上の難民の要件とは,UNHCR ハンドブックよ
り,⑴難民条約1条A項上の5つの迫害理由(人種,宗教,国籍,特定の社会的 集団の一員,政治的意見)のいずれかが存在することであり(66段),⑵そうした 迫害理由に基づいて迫害に当たる行為があったか否かである(51段)。庇護要 件指令においては,上述の2つの要件と「迫害理由と迫害行為」との間には因 果関係があること,さらに,現行の庇護要件指令より⑶そうした迫害の行為に 対する保護の欠如も要件となっている(9条3項)。では,どのような行為が迫 害にあたるのか,難民条約には規定がないところ,庇護要件指令9条は次の通 り定めている。 資格指令9条〔迫害行為〕 1.ジュネーブ条約48)第1条Aにいう迫害の行為とみなされるためには,行為 は,次のいずれかであることを要する。 ⒜ 基本的人権,特に,人権及び基本的自由の保護のためのヨーロッパ条 約第15条2項に基づきいかなる逸脱もできない権利の重大な違反を構成 するような,その性質又は反復によって十分に重大なもの,又は ⒝ 前⒜に言及するものと同様に,個人に悪影響を及ぼす上で十分に重大 な人権侵害を含む様々な措置の累積 2.1項において認定される迫害行為は,特に,次の形態をとり得る。 ⒜ 肉体的または精神的な暴力行為(性的暴力行為を含む) ⒝ それ自体が差別的であるか,差別的に実施される法的,行政的,警察 の及び・又は司法的な措置 ⒞ 不均衡な又は差別的な訴追又は処罰 ⒟ 不均衡な又は差別的な処罰の結果をもたらす司法的救済の否定 ⒠ 兵役の遂行が犯罪又は12条2項に規定する除外根拠の範囲内に該当す る行為を含むことになる場合に,紛争における兵役遂行の拒否に対する 訴追または処罰 ⒡ ジェンダーに特有な又は子どもに特有な性質の行為 3.2条⒟に従って,10条に言及されている理由と本条1項に該当する迫害 158
行為又は係る行為に対する保護の欠如の間には関連性がなければならない。 上述の9条1項⒜より,迫害の行為を構成するものは何かについての一般的 な定義は49),欧州人権条約上の「基本的人権の重大な侵害」であり,迫害の定義 を決定する基準となっている。また,9条1項は,難民条約の前文「…世界人 権宣言が,人間は基本的な権利及び自由を差別なく享受するとの原則を確認し ていることを考慮し,…難民に対して基本的な権利及び自由のできる限り広範 な行使を保障することに努力してきたことを考慮し,…」に示された難民の基 本的人権を保障すると言う人権アプローチに従い,基本的人権の重大な侵害を 構成しなければならない。さらに,続く9条1項⒝より,その他の様々な措置 の累積による差別的形態も排除せず,そうした措置の累積的効果は9条1項に 示された意味における人権侵害として類似の手法により個人に影響を及ぼさな ければならないとする。 なお,人権侵害が迫害の行為を定義づける基準であることについて,欧州司 法裁判所はこれまでに立場を明らかにしていないが,宗教に基づく迫害の事例 ʏ and Z の先決裁定50)と同性愛に基づく迫害の事例 X︐ ʏ and Z の先決裁定51)に おいて,特に,EU 基本権憲章より容認された権利と一致するように解釈しな ければならないことを強調し,従って,人権アプローチは9条を解釈する際の 欧州司法裁判所にとっての指針でもあるべきと解されている52)。 次に,具体的な迫害の行為の要件について53),9条1項⒜より,基本的人権の 重大な侵害を構成する性質又は反復のいずれかによって十分に重大(耐え難い) でなければならない。そのために,第一に,基本的人権が侵害されている又は 将来侵害されるか否か,第二に,(第一に示された)侵害が重大であるか否か, 第三に,(基本的人権の重大な侵害を成す)性質や反復によって十分に重大な行為 の結果であるのか否かについて立証されなければならないとされ,核となる要 件は基本的人権の重大な侵害が在ることである。 「基本的人権の重大な侵害」とは,EU 基本権憲章において容認された人権 と一致した欧州人権条約上の基本的権利及び自由に対する重大な侵害であるが,
具体的には何を指すのであろうか。9条⑴項⒜の条文により,基本的人権の重 大な侵害とは,欧州人権条約上の基本的人権の特に15条〔緊急時の適用除外〕 2項に言う逸脱できない権利(絶対条項)であり,具体的には次の通りである。 2条〔生命に対する権利〕1項:「すべての者の生命に対する権利は,法律に よって保護される。何人も,故意にその生命を奪われない。ただし,法律で死 刑を定める犯罪について有罪の判決の後に裁判所の刑の言い渡しを執行する場 合は,この限りでない」を原則とし,同2条の例外として「合法的な戦闘行為 から生ずる死亡の場合を除く」こと,さらに,3条〔拷問の禁止〕,4条〔奴 隷および強制労働の禁止〕1項より何人も,奴隷の状態または隷属状態に置か れないこと,そして,7条〔法に基づかない処罰の禁止〕である54)。 さらに,9条⑴項⒜の文言には「特に」欧州人権条約15条2項と記されてい るように同15条2項が全てではない。権利侵害が酷いが故に迫害を構成するこ とになることは明らかであり,逸脱できない権利以外の権利も9条の意味する 基本的権利として見做し得,そうした権利とは,自由権規約11条〔契約不履行 による拘禁の禁止〕,16条〔人として認められる権利〕,18条〔思想,良心及び 宗教の自由〕を含むと解されている55)。実際に,自由権規約18条について,欧州 司法裁判所は,ʏ and Z の先決裁定において,欧州人権裁判所の Metropoˡitan Cʰurcʰ of ʙessarabia and Otʰers v Moˡdova の判例56)及びドイツの連邦行政裁 判所判決(2010年12月10日57))で示された宗教の自由は民主的社会の基盤の1つで あり基本的人権であると言う見解を認めている58)。 なお,前述の自由権規約の条文は同規約上の絶対条項に含まれるが欧州人権 条約上の絶対条項とは重ならず,自由権規約の絶対条項の範囲はそれら条文以 外は欧州人権条約と同じである(自由権規約6条〔生命に対する権利〕,7条〔拷問 又は残虐な刑の禁止〕,8条〔奴隷及び強制労働の禁止〕1貢及び2貢,15条〔 及処 罰の禁止〕)。よって,自由権規約の絶対条項は欧州人権条約15条2項よりも広 く,9条は難民とって死活の生命・身体の自由権を定めた自由権規約を採り入 れ,そうした自由権規約は欧州人権条約を補完するように庇護要件指令9条の 160
射程内である。 次に,EU 基本権憲章上の人権と一致する基本的人権の重大な侵害につい て59),EU 基本権憲章は,欧州人権条約を含み網羅していない人権を含む人権の 総合カタログであり人権の序列を明示する規定はなく,よって「基本的人権」 として特化した人権規定はない。しかし,EU 基本権憲章1章1条〔人間の尊 厳〕は,同憲章の注釈によれば60),それ自体唯一の(不可侵かつ尊重され保護され なければならない)基本権であるばかりか基本的権利の真の基礎を構成すること から,EU 基本権憲章第1章に保障され人権は本質において人間の尊厳を表現 したものと見做し得,欧州人権条約15条2項の絶対条項と一致する。なお, EU 基本権憲章第1章の権利とは61),人間の尊厳の不可侵性(1条),生命に対す る権利(死刑の禁止を含む)(2条),人としての完全性(健全性)(3条),拷問の 禁止(4条),奴隷及び強制労働の禁止(5条)であり,2条∼5条は欧州人権 条約と重なる。また,EU 基本権憲章1条は,庇護要件指令16条(規則案11条) において,特に,人間の尊厳は庇護申請者及びその家族の庇護権を十分に尊重 することが求められており,人間の尊厳は基本的権利として不可欠な権利とし て位置づけられている。よって,EU 基本権憲章1章は9条1項⒜の意味にお ける基本的人権と見做されなければならないと解されている。 その他に,世界人権宣言15条〔国籍の権利〕も国際判例を参照し基本的権利 と見做されている62)。これは,ドイツ連邦行政裁判所の見解より,国籍国が市民 に対し市民としての基本的地位を剥奪し居住の保護を否定するならば,そうし た市民は無国籍者又は保護されない者とされてしまうためであり,別の言い方 をすれば,そうした無国籍者は国家の保護及び安全保障制度から除外されてし まうためである。こうした無国籍であること=国家による保護の欠如の証であ るとする解釈は,国籍を持つ権利は人として生きる上で不可欠な権利や保障を 得るための基本的権利であること,又国籍を理由とした迫害は難民条約上の難 民の定義上の5つの迫害理由の1つであることに一致し,重要な基本的人権と 見做すことは妥当である。
ここに改めて基本的権利として容認された権利を列挙すると以下の通りであ る。 人間の尊厳を維持すること 生命及び身体の自由 欧州人権条約3条に反する不当な扱いからの自由 奴隷又は強制労働からの自由 刑事責務の 及からの自由 契約不履行の理由のみによる拘禁の禁止 法の前に人として認められる権利 思想,良心及び宗教の自由 国籍の権利 上述の権利及び自由以外について63),庇護要件指令には言及されておらず広義 又は狭義の解釈も可能ではあるが,同指令の要件を用いて比較し評価すること, つまり,(個々の事例毎に)特別な人権の重要性と個々の状況下での生活環境を 剥奪することへの影響に鑑み当該庇護申請者にとって逃避以外に合理的な代替 えがない場合には,それら権利及び自由は基本的な人権の剥奪と見做されなけ ればならない。例えば,同性愛者を特定の社会的集団と見做した欧州司法裁判 所の X︐ ʏ and Z の先決裁定64)において,同性愛の行為を犯罪とすること自体 は迫害の行為を構成しないが,同性愛行為の制裁としてまた実際にそうした法 によって処罰されるものと見做されて不均衡又は差別的な処罰として投獄され たことは迫害の行為を成すと解された65)。また,同裁定の基本的権利は,特に欧 州人権条約8条の性的指向に関連し逸脱できない権利ではないが,性的指向の ための拘禁は9条1項の言う迫害行為に当たると解された66)。 さらに,迫害の行為の評価について,欧州司法裁判所の A︐ ʙ and C の先決 裁定67)においては申請者が宣言した性的指向(同性愛)に関する事実と状況評価 により迫害の存在をどのように測るのかが争点であり, 前庇護要件指令 (2004/83/EC)4条と EU 基本権憲章3条及び7条により当該信憑性の審査方 162
法について制限を課すと判示された。制限について当局はそれら規定に従い証 拠を評価する方法を修正する必要があるとし68),従来の方法―当局の申請者の性 的指向についての事実の詳細に関する質問は EU 基本権憲章7条の私生活及び 家族生活の尊重に反し,同性愛であることを示すテスト又は証拠の提出は証明 力がなく EU 基本憲章1条〔人間の尊厳〕違反であることも指摘された69)。この ように具体的な迫害の存在についての評価指標として,人権侵害の解釈に人権 基準が用いられている。 その他,社会的経済的権利について,経済的社会的文化的権利に関する国際 人権規約(社会権規約)上一定の人権を逸脱できない権利として認めておらず70), よって,自由権規約の絶対条項のように自動的に適用できない。例えば,労働 権及び社会給付を受ける権利は,通常,人間の尊厳をもって生きる権利に影響 を及ぼさない限りは基本的人権として見做されない。しかし,影響を及ぼす場 合には,基本的(権利)とは見做すことができなくとも9条1項⒝に従い差別 行為の累積的評価には含まれなければならない71)。ここで問題となるのは,累積 的評価の判断基準とは何か,つまり,人間の尊厳を著しく侵害するような「重 大な人権侵害」の判断基準である。この点は,9条1項⒜より,重症性は関連 行為の性質又は反復のいずれかに基づいて決定され,「性質」は質的基準であ るが「反復」は量定を含み,重大な人権侵害の発端となる目立たない類似行為 の繰り返し,例えば,短期間の繰り返しの逮捕と,9条1項⒝の言う異なる行 為の蓄積,例えば,教育や職業における差別とは区別する必要があるとする72)。 他方,国際難民法の解釈について,若干肯定的な見解として米国の裁判所に は特定のモデルを参照せず経済的危害を含み広範囲な人権を難民申請の根拠と なり得るとして社会的経済的権利を容認する判例が見られるが73),そうした権利 の侵害は政治的又は市民的権利の侵害と結びつく場合に限り容認されているこ とから,社会的経済的権利の位置づけは幾ばくか評価が低い74)。そうした評価は, 社会権規約の締約国が規約上の権利は締約国に対し即時実施義務ではなく又義 務を生じないと解し,経済的生活水準の向上を唯一の移住目的とする者は条約
難民から除外すると言う解釈によるものであり75),こうした解釈は,例えば,特 定民族に対する強制立退きの庇護申請(Kaɡeⅿa v. UK76))においても却下理由と して庇護国に支持されている。また,従来の通説は,UNHCR ハンドブックに 沿い,難民を経済移民と区別し社会的経済的権利の侵害は概して難民の要件に はならないが,経済的措置と政治的措置の区別が不明慮である場合,特定の集 団に向けた人種的,宗教的又は政治的目的のために又は意図的に経済的に破壊 に至らしめる行為である場合には難民となり得るとし,個々の事例毎の迫害の 様態により判断が分かれると解されている。この点について,庇護要件指令9 条より,UNHCR ハンドックに沿い,前述の通り,迫害の様態として人権条約 上の人権侵害の判断手法を用いた累積的評価を採り入れて判断される。 次に,9条1項の意味における迫害の行為の要件を満たす具体的な行為につ いて,続く9条2項には全てではないが一般的な行為の形態(肉体的又は精神的 暴力,差別)から特別な行為(除外条項に当たる刑罰や行為を含む行為,兵役拒否に よる訴追又は処罰,ジェンダー・子どもの特有な行為)まで列挙されている(前述9 条の条文参照)。なお,それら行為は,前述の欧州司法裁判所の X︐ ʏ and Z の 先決裁定77)の通り(注 の本文),行為そのものは迫害の行為の要件を満たさず, いずれも9条1項の言う重大な人権侵害の閾に達していなければならない。9 条2項には9条1項に言う迫害となり得る全ての行為について適正な審査を支 える役割が託されており,よって,難民の地位認定において考慮するべき関係 する行為全てについて審査しなければならないとされている。 また,同じ文脈で宗教の自由について78),欧州人権条約15条2項における場合 と同じ方法で扱われた場合には重大な侵害に値する可能性があるが,EU 基本 権憲章10条1項の宗教の自由の如何なる干渉も9条1項の迫害行為を成すとし て適用されるわけではない。侵害が重大であることが要件であり,侵害の重大 性とは,第一に,保護される権利の違反行為であること,第二に,権利が現実 に侵害されていること,権利が法において単に制限されているのみではないこ と,例えば,平和理に生きる公共の福祉(利益)のために公共の場においてヴ 164
ェールで顔を覆うことを禁止すること又は大学では簡易なヴェールの着用に留 めることについて宗教を実践する権利違反であるとして正当化することはでき ない。第三に,侵害は逸脱できないとした基本的人権違反に相当する程度に重 大でなればならない。さらに,重大性は客観的又主観的基準に合致しなければ ならない。客観的基準は,当該個人に負わせる抑圧の質及び当人への影響を踏 まえ,例えば,拘禁が脅威となる場合や欧州人権条約3条違反に相当する程度 の処遇であるのか,また,主観的基準は,例えば,禁じられた宗教の実践が宗 教的自己同一性維持のために特にその者にとって重要であるのかを明らかにす ることである。こうした基準は前述の欧州司法裁判所の ʏ and Z の先決裁定 (注)において示され,宗教的自己同一性の維持については,庇護請求者に 対し帰国後に身体の危険を避けるために信仰の公示を隠し改宗又は放棄するよ う要求することは EU 基本権憲章1条(人間の尊厳)にも反するとされ,重要 な基準となっている79)。 その他,9条2項に列挙された具体的な行為について,⒠兵役遂行の訴追又 は処罰行為は,UNHCR の解釈にも含まれており条約難民の要件として新たに 追加されたものではないが,同行為は,庇護要件指令12条2項に記された除外 理由の範疇にある犯罪や行為を含むとし UNHCR ハンドブックの基準よりも より制限的である。なお,具体的な基準の指針については欧州司法裁判所の Sʰepʰerd 判決80)に示されている。続く⒡ジェンダーに特有な又は子どもに特有 な性質の行為について,難民条約には規定はないが UNHCR のガイドライン81) に沿い主に児童の権利条約82)に基づく解釈が採り入れられている。具体的な行為 は,ジェンダーと言う社会的文化的に作られた差別形態,とりわけ性暴力はジ ェンダーに基づく暴力の形態,例えば,強制わいせつ又は性的搾取のための女 性又は未成年者の強制的又は虚偽の募集であり,こうした募集は迫害行為を構 成するジェンダー関連暴力又は濫用行為に当たる。また,子どもに特有な性質 の行為は,子どもがその年齢や未熟さ又は脆弱性により左右されて迫害の特別 な形態―苦悩や恐怖を被り易いことを考慮し,所定年齢以下の新兵募集,子ど
もの人身取引,厳格な家族計画法以外で生まれた子どもへの著しい差別である。 さらに,児童の権利条約上,子どもに特化した権利やその他に両親からの分離 防止(9条),あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力,障害若しくは虐 待,放置若しくは怠慢な取扱い,不当な取扱い又は搾取からの保護(19条), 健康を享受する権利(24条),生活水準に関する権利(27条),拷問及び死刑等 の禁止・自由を奪われた児童の取扱い(37条),そして,武力紛争における保 護(38条)を含み児童の権利条約上の権利の享受において適切な保護が得られ ず,又難民児童の保護(22条)上の人道支援も得られないこと,さらに,児童 の権利条約の2つの議定書より18歳未満の子供を武力紛争中に戦力としての強 制徴集禁止(第1議定書)と子どもの売買・搾取・ポルノグラフィーの禁止(第 2議定書)に反する行為である。 最後に,庇護要件指令9条3項について,現行の指令より新たに1951年難民 条約上の迫害理由に基づく保護の欠如が追加され,国家以外の行為主体による 迫害の危険がある場合,例えば,女性に対する性暴力の場合(私人間暴力)に おいて個人に対する保護を強化するものと解されている83)。
お わ り に
EU の国際的保護とは国際難民法を基盤とし国際人権法を組入れたものであ るが,その内容について本稿で考察した2点より総括し意義を考えたい。まず, 国際的保護の庇護要件指令と難民条約及び人権条約等との関係より,EU の国 際的保護は,大枠は国際難民法にあるが,その内容は難民条約の前文に言う難 民保護の人権アプローチに従い主に欧州人権条約と EU 基本権憲章も法源とす る。具体的に,欧州人権条約上の逸脱できない権利と EU 基本権憲章第1章の 人間の尊厳は難民への保護において特に順守する必要があるとし,それら基本 的人権は難民及び補完的保護の要件の根拠付け又は根拠として,さらに付与さ れる権利及び受益において採り入れられている。これは,難民とはそうした基 166本的人権が自国又は常居所地国にて剥奪され自由権の重大な侵害を被った状態 にあり,他国は難民出身国に代わりに自国でそれら難民の人権を保障する必要 があると言う見地から人権条約との連結は不可欠であると言う見解に立つもの と捉えられる。この点は,Hathaway が提唱し今日支持されている「保護の代 理形態を構成する難民法」と言う論に立脚していると言える。 次に,具体的な2つの法体系の組入れについて,庇護要件指令9条より迫害 の行為は「重大な人権侵害」が存在することが主たる要件であり,重大な人権 侵害とは主に欧州人権条約15条2項若しくは同絶対条項に匹敵する EU 基本権 憲章第1章又は自由権規約及び国連拷問禁止条約に依拠する。また,そうした 人権条約規定以外であっても,基本的人権の様々な措置の累積によって侵害が 個人対し自己の本質に悪影響を及ぼす程十分に耐え難い場合には重大な人権侵 害であると見做し得るとし,その評価方法として迫害行為の形態が具体的に列 挙され,結果,そうしたリストを用いて迫害の行為とは何かを定義づけている。 さらに,迫害の行為は難民条約上の迫害理由に起因すると言う相互に関連する ことを条件とする。従って,難民条約の枠内において人権条約の人権指標を用 いて難民を定義づけており,この点は,McAdam の説く国際人権法の一部と しての難民法の再構築を具現化したものと解する。 最後に,国際難民法の枠組みに国際人権法を組入れることの意義について, 難民の定義づけにおいて人権法の指標を用いたことで国際難民法の要となる難 民の要件を統一し又偏見のない客観的な解釈を促したことである。とりわけ, ジェンダー(特に女性)と子どもに対する従来の社会的文化的背景に根付いた 偏見に基づく主観的判断を避け其々が有する基本的権利の侵害として評価する ように是正され,この点は係る指令の条文が意図した所であり,公正な評価基 準となるよう導いたことである。 また, EU 共通の庇護制度 (Common European Asylum System)の現段階の目標である EU 共通の庇護基準の解釈と適用に向 け「だれが難民か」についてより客観的かつ透明な指標が必要とされ84),結果と して解釈の統一を促し,よって目的に適った手法である。他方,難民条約にお
いて,迫害の恐れはその対象を広範囲とするために意図的に不明慮な規定とし たことに鑑みると,EU の国際的保護においては一定の制限を課すものとも捉 えられる。この点は,難民の人権保障と言う視点から基本的人権の重大な侵害 の射程が拡げられるのか,人権条約の取込み範囲次第である。既に見られる欧 州人権条約等人権条約上のノン・ルフールマン原則に基づく保護の拡大が争点 となっているように85),難民においても人権条約の取込みが益々争点となり,又 その帰結として人権法上の個人の庇護権へと進展する可能性が見出されるので はないだろうか。
1) Council Directive 2011/95/EU of 13 December 2011 on standards for the qualification of third-country nationals or stateless persons as beneficiaries of international protection, for a uniform status for refugees or for persons eligible for subsidiary protection, and for the content of the protection granted (recast of Council Directive 2004/83/EC of 29April 2004), [2011] OJ L 337, commonly called Asyˡuⅿ Quaˡifi 護付与は同審査手続に関する指令(Directive 2013/32/EU of 26 June 2013 on common pro-cedures for granting and withdrawing international protection (recast), [2013] OJ. L180/60)と庇護申請者の受入指令(Directive 2013/33/EU of 26 June 2013 laying down stan-dards for the reception of applicants for international protection (recast), [2013] OJ L180/96)にも従う。
2) Convention Relating to the Status of Refugees, 28 July 1951, in force 22April 1954, UNTS No. 2545, Vol. 189 and Protocol Relating to the Status of Refugees, 30 January 1967, in force 4 October 1967, UNTS No. 8791, Vol. 606.
3) Convention for the Protection of Human Rights and Fundamental Freedom, CETS No. 005, in force 3 September 1953.
4) Charter of Fundamental Rights of the European Union, adopted 7 December 2007 (2007/C303/01), in force 1 December 2009 and updated version 2010/C83/02, [2010] OJ
C83/389. 5) 具体的に,事実上の難民,B ステイタス,戦争難民,UNHCR 委任難民,一時保護,国内避 難民等を対象外とする。なお,EU 法上 coⅿpˡiⅿentary と subsidiary の用語は種分けされ,筆 者も,従来,両者の違いを示すために補助的又は補充的保護と訳していたが,本稿では但し書 きを添えて敢えて一般的和訳である EU の補完的保護と称す。 6) 広義の意味の補完的保護(coⅿpˡiⅿentary protection) とは, 国連難民高等弁務官事務所 168
(UNHCR)の執行委員会による「補完的保護の形態」(EC/50/SC/CRP. 18, 9 June 2000)で あり,Excom 結論第103号(2005年)を柱に英米圏及び日本で一般的に称されている用語であ る。国際難民法における補完的保護について以下参照。J. McAdam, Coⅿpˡeⅿentary Protec︲ tion in ɪnternationaˡ ʀefuɡee ʟaʷ (OUP 2006), pp. 1―5.
7) G. S. Goodwin-Gill, Tʰe ʀefuɡee in ɪnternationaˡ ʟaʷ (Clarendon Press 1983). 1990年代 は冷戦後の難民条約改正等難民への国際的保護制度の立直しとして積極的に議論され始めた (J. C. Hathaway, Reconceiving Refugee Law as Human Rights Protection , ɪnternationaˡ
ʀefuɡee Studies Vol. 4 No. 2 (1991), pp. 120―121, Hathaway, The Relationship between Human Rights and Refugee Law : What Refugee Judges can Contribute, in Tʰe ʀeaˡities of ʀefuɡee Deterⅿination on tʰe Eve of a ɴeʷ Miˡˡenniuⅿ : Tʰe ʀoˡe of tʰe Judiciary (1999), pp. 80―84)。 今日の論として,Hathaway and M. Foster, Tʰe ʟaʷ of ʀefuɡee Sta︲
tus︐ 2nd ed. (CUP 2014), McAdam, supra note ⑹,M. Foster, ɪnternationaˡ ʀefuɡee ʟaʷ and Socio︲Econoⅿic ʀiɡʰts (CUP 2007)と学説と実態について,B. Burson and D. J. Cantor eds., ʜuⅿan ʀiɡʰts and tʰe ʀefuɡee Defi―Coⅿparative ʟeɡaˡ Practice and Tʰeory (Brill/Nijhoff 2016), pp. 2―10 参照。 8) 国際難民法と国際人権法の相関関係に関する事例研究(英米圏,ドイツ,ブラジル)として, 前掲書 ʜuⅿan ʀiɡʰts and tʰe ʀefuɡee Defi 遵守として国連の拷問禁止条約3条も引用するようになったが,実質的な適用は見られない (一例として,東京地裁平成25年2月21日判決(平成24年(行ウ)第66号難民不認定処分取消 等請求事件参照(判例評釈:佐藤以久子「滞在国で生じる難民該当性(改宗,再申請)」『新・ 判例解説 Watch』2014年10月号,331―332頁)。
9) Council Directive 2011/95/EU, supra note ⑴ . なお,改正庇護要件指令案(以下,規則 案) においても9条は修正されていない(COM(2016) 466 final/2016/0223 (COD), 13.7. 2016, p. 34)。
10) H. Dörig Part D III Art. 1 to Part D III Art. 10 in K. Hailbronner and D. Thym (eds.), EU ɪⅿⅿiɡration and Asyˡuⅿ ʟaʷ―A Second Coⅿⅿentary edition (C. H. BECK / Hart/ Nomos 2016), pp. 1114―1191. 11) 本稿では次の2つを参照する。⑴ UɴʜCʀ ʜandbook on Procedures and Criteria for De︲ terⅿininɡ ʀefuɡee Status under tʰe ₁₉₅₁ Convention and tʰe ₁₉₆₇ Protocoˡ reˡatinɡ to tʰe Status of ʀefuɡees (UNHCR 1992), hereinafter UɴʜCʀ ʜandbook(日本語版『難民認 定基準ハンドブック―難民の地位の認定基準及び手続に関する手引き―(改訂版)』国際連合 難民高等弁務官事務所・財団法人法律扶助協会,2000年)。⑵ Zimmermann A.(ed.) , and J. Dorschner and F. Machts (assistant eds.), Tʰe ₁₉₅₁ Convention ʀeˡatinɡ to tʰe Status of ʀefuɡees and ɪts Protocoˡ―A Coⅿⅿentary (OUP 2011), hereinafter Tʰe ₁₉₅₁ Convention Coⅿⅿentary.
12) Dörig, supra note ⑽ , paras. 13―17 at 1118―1119.
13) Article 78 of the Treaty on Functioning of the European Union, OJ C83 of 30 March 2010.
14) ECJ, Aydin Saˡaʰadin Abduˡˡa and Otʰers v ʙundesrepubˡik Deutscʰˡand︐ judgment of the Court (Grand Chamber) of 2 March 2010, C―175/08 (EU : C :2010 : 105), para. 52 ; ʙundesrepubˡik Deutscʰˡand v ʙ and D︐ judgment of the Court (Grand Chamber) of 9 November 2010, C―57/09 and C―101/09 (EU : C :2010 : 661), para. 77 ; Minister voor ɪⅿⅿi︲ ɡratie︐ en Asieˡ v X︐ ʏ︐ and Z︐ judgment of the Court (Fourth Chamber) of 7 November 2013, C―199/12, C―200/12, and C―201/12, (EU : C : 2013 : 720), para. 39 ; A︐ ʙ and C v Sta︲ atssecretaris van Veiˡiɡʰeid en Justitie︐ judgment of the Court (Grand Chamber) of 2 De-cember 2014, C―148/13 to C―150/13 (EU : C : 2014 : 2406), para. 45 ; Andre ʟaʷrence Sʰep︲ ʰerd v ʙundesrepubˡik Deutscʰˡand︐ C―472/13, judgment of the Court (Second Chamber) of 26 February 2015 (EU : C : 2015 : 117), para. 22 (cited in Dörig, supra note ⑽ , footnote 19 at 1118); ɴaʷras ʙoˡboˡ v ʙevándorˡási és Áˡˡaⅿpoˡɡársáɡi ʜivataˡ︐ judgement of the Court (Grand Chamber) of 17 June 2010, C―31/09 (EU : C : 2010 : 351), para. 37.
15) Dörig, supra note ⑽ , para. 13 at 1118.
16) ECJ, ʙ and D︐ C―57/09 and C―101/09, supra note ⒁ . 17) ɪbid.︐ paras. 86―93 and 99.
18) ɪbid.︐ para. 89 and 93.
19) 佐藤以久子「EU 基本権憲章上の庇護権」坂元茂樹・薬師寺公夫編『普遍的国際社会への法 の挑戦―芹田健太郎先生古稀記念』(信山社,2013年)184―185頁。
20) Soˡe Articˡe in the Protocol (No. 24) on Asylum for Nationals of Member States of the European Union (OJ 2010 C83/305, 30.3.2010) and its original document (OJ 2004 C310/362―363).
21) ECJ, Abduˡˡa︐ C―175/08, supra note ⒁ , paras. 53―54, and ʙoˡboˡ︐ C―31/09, supra note ⒁ , para. 38.
22) Dörig, supra note ⑽ , para. 13 at 1118. 23) UɴʜCʀ ʜandbook︐ supra note ⑾ .
24) E g. UNHCR, Interpreting Article 1 of the 1951 Convention relating to the Status of Refugees, Geneva, April 2001 ; UNHCR Compilation of Case Law on Refugee Protection in International Law , Geneva, March 2008.
25) 一例として,UNHCR ハンドックの有益かつ重要な法源として引用した判例 T. v. Secretary of State for tʰe ʜoⅿe Departⅿent︐ U. K ʜouse of ʟords︐ 22 May 1996 [1996] 2 ALL ER865, [1996] 2 WLR 766 と UNHCR の難民条約35条に基づく役割を基に難民への保護関連 方針説明を容認するとした判例 Osⅿan Eɡaˡ v. State Secretary for Justice︐ Tʰe ʜaɡue Dis︲ trict Court︐ 27 August 1998 (AWB 98/3068 VRWET (available in partial translation on Refworld) (both cited Kalin W. Supervising the 1951 Convention Relating to the Status of Refugees : Article 35 and beyond , in Feller E. Türk V. and Nicholson F. (eds.), ʀefu︲ ɡee Protection in ɪnternationaˡ ʟaʷ (UNHCR 2003), pp. 626―267)参照。
26) Dörig, supra note ⑽ , para. 14. at 1118.
27) 例えば,アフガニスタン出身の庇護申請者(Qurbani)の先決裁定において,人身取引によ 170
ってイラン・トルコ経由でギリシャに入りさらにパキスタン人の偽造パスポートを持ってドイ ツに不法入国し庇護申請をした(偽造渡航書類,不法入国,不法滞在,人身取引の手段利用, 迫害地から他国経由で入国し庇護申請)場合に難民条約31条の処罰禁止に当たるのかについて 解釈を求めたが,庇護要件指令には難民条約31条に相当する規定がないことから裁判管轄権が ないと判示された(ECJ, Moʰaⅿⅿand Ferzoo Qurbani v judgment of the Court (Fourth Chamber) on 17 July 2014, C―481/13 (EU : C : 2014 : 2101), paras. 6―15, 16, 28 and 29)。 28) Tʰe ₁₉₅₁ Convention Coⅿⅿentary︐ supra note ⑾ , para. 237 at 350―351.
29) Council Directive 2011/95/EU, supra note ⑴ , Art. 11. さらに, 規則案(COM(2016) 466(注9))にも11条に定められた。3年間定住許可の自動更新について,一例として,筆者 のスウェーデンの現地調査(1997年2月,2012年7月)により,現行においても同定住権許可 の規定内容自体に変更はない。
30) Dörig, supra note ⑽ , para. 14 at 1118.
31) F. Cherubini, Asyˡuⅿ ʟaʷ in tʰe European Union (Routledge 2015) p. 185
32) リスボン条約6条3項「欧州人権条約により保障された基本的権利と構成国に共通の憲法上 の伝統から生ずる基本的権利を共同体法の一般原則と成る」(Consolidated Version of the Treaty on European Union, OJ 326/19, 26.10.2012)。
33) ECJ, Parˡiaⅿent v Counciˡ︐ judgment of the Court (Grand Chamber) of 27 June 2006, C―540/03 (EU : C : 2006), para. 35.
34) International Covenant on Civil and Political Rights, GA Resolution 2200A (XXI) of 16 December 1966, in force 23 March 1979, UNTS Vol. 999, 171 and Vol. 1957, 407.
35) The Convention against Torture and Other Cruel, Inhuman or Degrading Treatment or Punishment, GA resolution 39/46 of 10 December 1984, in force 26 June 1987, UNTS Vol. 1465, 85.
36) German Federal Administrative Court, Judgment of 24 November 2009, No. 10 C24.08, paras. 31 to 35 (in English version available at 〈http://www.bverwg.de/entscheidungen/ pdf/en/241109U10C24.08.0.pdf〉 cited in Dörig, supra note ⑽ , footnote 25 at 1119. 37) ɪbid.︐ para. 17. 38) 社会権に関する保障は,規則案においては現行の庇護要件指令よりも範囲が若干増えている (現行指令,前掲注⑴前文⒃ と規則案,前掲注⑼前文⑾参照)。 39) 庇護要件指令,前掲注⑴前文⑶及び⑷と規則案,前掲注⑼前文⑵参照。 40) ECJ, Sʰepʰerd︐ C―472/13, supra note ⒁ , para. 32. 同先決裁定は,前庇護要件指令(2004/83) の前文⑴∼⑹の文言及び欧州司法裁判所の ʙ and D の先決裁定(supra note ⒁ , para. 93) を引用している。
41) Dörig, supra note ⑽ , para. 16. at 1119.
42) Universal Declaration of Human Rights, adopted 10 December 1948, UNGA Resolution 217A Ⅲ .
43) 芹田健太郎『亡命・難民保護の諸問題Ⅰ―庇護法の展開』(北樹出版,2000年)232―233頁。 44) 島田征夫『庇護権の研究』(成文堂,1983年)315―318頁。
45) Dörig, supra note ⑽ , para. 2 at 1115.
46) 佐藤「前掲論文「EU 基本権憲章上の庇護権」」(注19)175―186頁。
47) MT Gil-Bazo, Refugee Status and Subsidiary Protection under EC Law : The Qualifica-tion Directive and the Right to Be Granted Asylum , in A Baldaccini, E. Guild and H. Toner (eds.), Wʰose Freedoⅿ︐ Security and Justice ⁇ EU ɪⅿⅿiɡration and Asyˡuⅿ ʟaʷ and Poˡicy Essays in European ˡaʷ (Hart publishing 2007), p. 231 and pp. 235―240. 48) 庇護要件指令2条 C 項より,ジュネーブ条約とは1967年1月31日のニューヨーク議定書に
よって改正された1951年7月28日にジュネーブで作成された難民の地位に関する条約を言う。 49) Dörig, supra note ⑽ , paras. 11 and 12 at 1169.
50) ECJ, ʙundesrepubˡik Deutscʰˡand v ʏ and Z︐ judgment of the Court (Grand Chamber) of 5 September 2012, C―71/11 and C―99/11 (EU : C : 2012 : 518), para. 6.
51) ECJ, X︐ ʏ︐ and Z︐ C―199/12, C―200/12, and C―201/12, supra note ⒁ , para. 22. 52) Dörig, supra note ⑽ , para. 12 at 1169.
53) ɪbid.︐ para. 13.
54) 条文和訳は,松井芳郎・薬師寺公夫・坂本茂樹・小畑郁・徳川信治編『国際条約・宣言集 【第3版】』(有信堂,2005年)参照。
55) Dörig, supra note ⑽ , pp. 1169―1170.
56) ECtHR, Metropoˡitan Cʰurcʰ of ʙessarabia and Otʰers v Moˡdova︐ judgment of 13 De-cember 2001, ECHR Reports 2001―XII, para. 114.
57) German Bundersverwaltungsgerich (Federal Administrative Court), decision of 10 De-cember 2010, No. 10 C 19.09, para 20, availalbe in English at www.bverwgde (Dörig, supra note ⑽ , footnote 315 at 1170).
58) ECJ, ʏ and Z︐ C―71/11 and C―99/11, supra note ㊿ . 事案は,ドイツで庇護申請が却下さ れたパキスタン国籍の Y と Z の宗教を理由とした迫害について, 庇護要件指令(2004/83/ EC)2条⒞項及び9条1項⒜の解釈(宗教を制限する行為の範囲)と10条1項との結びつき が争点である。
59) Dörig, supra note ⑽ , para. 17 at 1179.
60) Explanations relating to the Charter of Fundamental Rights (2007/C 303/02), OJ 2004 C303/17 (14.12.2007).
61) 和訳:山口和人「欧州連合基本権憲章」『外国の立法』211号(国立国会図書館調査及び立法 考査局,2002年2月)6―11頁参照。
62) Dörig, supra note ⑽ para. 23 at 1172. 63) Dörig, supra note ⑽ paras. 19 and 20 at 1171.
64) ECJ, X︐ ʏ and Z︐ C―199/12 to C―201/12, supra note ⒁ , paras. 54 to 56. シエラ・レオ ネ人 X と Y 及びセネガル人 Z はオランダに庇護申請(6ヶ月期限の居住許可)をした事案で ある。
65) Dörig, supra note ⑽ , para. 20 at 1171. 66) ɪbid.
67) ECJ, A︐ ʙ and C︐ C―148/13 to C―150/13, supra note ⒁ . 68) ɪbid.︐ para. 54.
69) ɪbid.︐ paras. 64―65.
70) Dörig, supra note ⑽ , para. 15 at 1170. 71) ɪbid.︐ para. 20 at 1171. 72) ɪbid.︐ para. 22 at 1171―1172. 73) Korabˡina v. ɪⅿⅿiɡration and ɴaturaˡization Service︐ 158 F. 3d 1038 (US), 1044 ; ɴa︲ ɡouˡko v. ɪⅿⅿiɡration and ɴaturaˡization Service 333 F. 3d 1012 (US), 1015 (cited Tʰe ₁₉₅₁ Convention Coⅿⅿentary︐ supra note ⑾ , footnote 472 at 353. 74) Foster, supra note ⑺ , p. 136. 75) ɪbid.︐ p. 137. 76) Kaɡeⅿa v. Secretary of State for tʰe ʜoⅿe Departⅿent [1997] Imm AR 137 at 138―139 (cited., Foster, supra note ⑺ , pp. 239―240.
77) ECJ, X︐ ʏ and Z︐ C―199/12 to C―201/12, supra note ⒁ . 78) Dörig, supra note ⑽ , para. 24 at 1172.
79) ECJ, ʏ and Z︐ C―71/11, C―99/11, supra note ㊿ , paras. 84, 99―100, and 107 ⑵ . 80) ECJ, Sʰepʰerd︐ C―472/13, supra note ⒁ .
81) UNHCR, ɢuideˡines on ɪnternationaˡ Protection ɴo. ₁ : ɢender︲ʀeˡated Persecution ʷitʰ︲ in tʰe context of Articˡe ₁A ⑵ of tʰe ₁₉₅₁ Convention and╱or its ₁₉₆₇ Protocoˡ reˡatinɡ to tʰe Status of ʀefuɡees︐ (HCR/GIP/02/01, 7 May 2002); ɢuideˡines on ɪnternationaˡ Pro︲ tection ɴo. ₉ : Cˡaiⅿs to ʀefuɡee Status based on Sexuaˡ Orientation and╱or ɢender ɪdentity︐ 23 October 2012, para. 8, EXCOM Conclusion on Children at Risk, 5 October 2007 and ɢuideˡines on ɪnternationaˡ Protection ɴo. ₈ : Cʰiˡd Asyˡuⅿ Cˡaiⅿs (HCR/GIP/09/08, 22 September 2009).
82) Convention on the Rights of the Child, GA resolution 44/25 of 20 November 1989, in force 2 September 1990.
83) European Council on Refugees and Exiles (ECRE), ɪnforⅿation ɴote on tʰe Directive ₂₀₁₁╱₉₅╱EU of tʰe European Parˡiaⅿent and of tʰe Counciˡ of ₁₃ Deceⅿber ₂₀₁₁ (Octo-ber 2013), p. 8 (available at https://www.ecre.org/wp-content/uploads/2016/07/ECRE-Information-Note-on-the-Qualification-Directive-recast_October-2013.pdf).
84) COM (2016) 466, supra note ⑼ , preamble ⑴ , ⑹ and ⑺ .
85) 一例として参照:C. Costello, Tʰe ʜuⅿan ʀiɡʰts of Miɡrants and ʀefuɡees in European ʟaʷ (OUP 2016), pp. 171―172.