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友松 夕香 著『サバンナのジェンダー ――西アフリカ農村経済の民族誌――』(資料紹介)

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Academic year: 2021

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友松 夕香 著『サバンナのジェンダー ――西アフ

リカ農村経済の民族誌――』(資料紹介)

著者

武内 進一

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アフリカレポート

59

ページ

18-18

発行年

2021-03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00052041

(2)

18 アフリカレポート 2021 年 No.59 Ⓒ IDE-JETRO 2021

サバンナのジェンダー

――西アフリカ農村経済の民族誌――

友松 夕香 著 東京 明石書店 2019 年 494p. 現地社会をよくしようと外部者が行う取り組みが、現地社会の側から見ると、どこかずれてい る。本書は、筆者の素朴な問題意識を出発点として、西アフリカのサバンナ地域におけるジェン ダー平等を目指す開発政策を再検討する。ジェンダー平等という開発目標は、人々の生活改善を 前提としており、単に男女の役割を同じにすることではないはずだ。であれば、日常的な生計活 動の営みと、そこでの男女の役割を明らかにしたうえで、何をなすべきかを考えなければならな い。この常識的な発想に基づいて、本書はガーナ北部の西ダゴンバ地域で暮らす人々の生計活動 とその変容を描き出す。 本書の真骨頂は、その「厚い記述」にある。人々が何を植え、何を食べているか、どのように住 んでいるか、仕事をどう分担しているか、樹木は誰のものか、その実を誰が拾うのか、作物は誰 が収穫し、誰が手伝うのか、などなど、日常生活の一つひとつが具体的に把握できるよう記述さ れている。長期のフィールドワークに加えて、歴史史料がふんだんに利用され、日常生活の歴史 的変容がクリアに描出されていることに舌を巻く。 エビデンスが豊富であるだけでなく、それらが議論の流れに沿って整理して提示されるため、 本書の主張はすんなり頭に入ってくる。過去一世紀のあいだに女性たちが「周縁化したのではな く、反対に、生産者として経済活動を拡大させてきた」こと(p.412)、男性は「個人の『経済的な 利点』のためというよりは、他者との社会関係を築き、再編し、維持するために、土地、樹木、労 働力を配分し、利用してきたこと」(p.416)という結論の主張は、きわめて説得的である。また、 研究から導かれる政策提言——女性支援のために、彼女らの労働量の軽減に焦点を置くこと、そ して男性の耕作を支援すること(p.423)——も示唆に富む。 素朴な問題意識を見失うことなく深く掘り下げた本書は、開発政策や既存のジェンダー研究の 批判という水準を超えて、質の高い民族誌として成立している。それは川田順造氏の研究をはじ めとする西アフリカ、サバンナ地域を対象とした一連の研究をふまえ、それを一歩前に進めたも のとして高く評価できる。2019 年度国際開発研究大来賞、2020 年度地域研究コンソーシアム登龍 賞のダブル授賞も当然のことに思う。 武内 進一(たけうち・しんいち/アジア経済研究所・東京外国語大学)

参照

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