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キャンプの魅力・課題・環境づくり : 主に発達障がい児キャンプに注目して

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キャンプの魅力・課題・環境づくり

主に発達障がい児キャンプに注目して

1.はじめに 1. 1. 日本の障がい児キャンプ 近代キャンプの始まりは,1861年にアメリカ・コネチカット州でフレデリック・ガンが 行った 2 週間の野営生活とされている。このキャンプは急速な都市化に伴う環境の悪化が子 どもたちの健康や道徳を脅かしているという懸念から,青少年を健全に育成するために自 然・小集団・プログラムの 3 つの要素を活用し始められた。また100年を超える日本のキャ ンプの歴史1)の中では,セツルメント運動の一環として青少年キャンプや障がいのある子ど も達のキャンプ,認知症高齢者のキャンプなどその時々の社会的課題に対応したキャンプも 数多く行われてきた2) 日本の障がい児を対象とした初めてのキャンプは,1953年に朝日新聞厚生文化事業団と神 戸 YMCA が主催し,香川県余島で 1 週間行われた肢体不自由児のキャンプと言われている。 障がい児の社会参加が難しいという社会問題を乗り越え,後に参加した子どもたちや関係者 の人生を変えるキャンプが行われた3)。このキャンプがきっかけとなってその後様々な団体 が障がい児者を対象としたキャンプを実施している。 国際障害者交流センターの調査(2017年)によると全国の特別支援学校の399校中35校 (8.8%)が,臨海・林間学校・キャンプを実施している4)。障がいがあることによる「実際 体験」の減少は,活動そのものに「出会う」段階よりも「気づく・感じる」「働きかける・ 1)大阪府キャンプ協会(1993):キャンプブックレット②小西孝彦のキャンプの世界,大阪府キャン プ協会,22. 2)公益社団法人日本キャンプ協会指導者養成委員会(2017):キャンプディレクター必携,公益社団 法人日本キャンプ協会,74!80. 3)前掲書 1),49!52. 4)国際障害者交流センター(2017):ともにつくるともに楽しむ宿泊行事のために:特別支援学校等 の修学旅行など宿泊行事に関するアンケート調査報告書,15. キーワード:自然体験,発達障がい,環境づくり,インクルーシブキャンプ,野外レクリエーション

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チャレンジする」といった遊びを発展させる過程で,障がいが重度になるとより難しくなり やすい5)等,遊びを通した「自己意識の変容」や「対人・親子関係の改善」,「自尊心を形成 する」機会を減少させる可能性がある。その意味で「(組織)キャンプ」体験は,自然環境 における体験,グループ体験等の実体験を提供し,小集団での活動や,そこから生じる課題 に取り組みながら身体的,精神的,社会的な成長を支える6)有意義な活動である。 1. 2. 相互成長の場(共生教育)としての発達障がい児キャンプ 文部科学省が実施した調査によると公立小中学校の通常学級に,発達障がい,もしくは類 似の様態を示す子どもが6.5%程いることが示唆されており7),我が国においては,発達障が い児への対応が社会的な課題の一つとなっている。このような発達障がい児への関わりにつ いては,一人ひとりの課題が個別的であり対応が難しい。例えば,課題への支援方法に対す る周囲の理解不足等により,対人関係のトラブルや精神的な不調等が起こりやすく,集団生 活や社会生活の機会が閉ざされやすい傾向にある。したがって,障がいのある子どもたちを 充分に理解し,子ども達が安心して活動できる場を提供することが課題となる。キャンプは, 子どもそれぞれに合わせて組織やプログラムを設定しやすい為,子どもそれぞれの個性を発 揮でき,自分がそのままで価値のある存在であることが感じられる場8)9)として,学校や家 庭以外の居場所としても必要である。 さらに,共に参加する家族やスタッフにとっても意義がある。家族が学校や家庭以外の環 境で,いつもと違った子どもの様子や表情を知ることで親子関係の改善につながることもあ る。また,家族が周囲の支援に頼るなどレスパイトの場としても有効である。スタッフにお いては,例えば大学の学生スタッフなどは,障がいのある子どもたちとキャンプ生活を共に しながらキャンプカウンセリングを実践し,それぞれの子どもの特性を理解し,かけがえの ない存在として尊重することを学ぶ機会となる。学生の多くはキャンプを通して障がいのあ る子ども達と関わりながら自分自身についても理解を深めていくことになる。 このように障がいのある子どものキャンプにおいては,障がいのある子どもの成長の場と なるだけではなく,家族,サポートする学生においても意義深い学び(共生教育)の場とし て機能すると考えられる10)11)12)13) 5)野村寿子(1999):遊びを育てる:出会いと動きがひらく子どもの世界,共同医書出版社,26!39. 6)坂本昭裕(2008):悩みを抱える青少年を対象とした自然体験プログラムの心理臨床的効果に関す る研究,平成16年度~平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書,2. 7)文部科学省:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果につ

いて, Retrieved from http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/ 2012/12/10/1328729_01.pdf (2017年 9 月19日確認)

8)石田易司(2000):Camping For All―障害者キャンプマニュアル―,エルピス社,大阪,14!15.

9)Sara Gage(2017): キャンプ・ロイヤルの歩みと可能性.シンポジウム「自閉症と豊かな暮らし~ キャンプ・ロイヤルから学ぶ~」報告書,エルピス社,兵庫,13.

10)石田易司,竹内靖子,野口和行(2014):自閉症と豊かな暮らし,晃洋書房,5 & 8.

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1. 3. 大阪近郊在住,発達障がいのある人対象「キャンプ」実態調査のねらい 大阪市とその周辺では,さまざまな団体がそれぞれの目的に沿って独自に,障がい当事者 同士のキャンプや障がいの有無に関わらずインクルーシブにキャンプを行なっている(石田 ら,2014)。2012年に調査した「大阪市とその近郊における障がいのある人のキャンプ実態 に関する調査」(以下,「2011年度実態調査」と呼ぶ)14)により,2011年 4 月~2012年 3 月の 期間に,70団体が,障がいのある人対象「キャンプ」を実施していることが分かった。さら に10年以上継続実施している団体が70団体中42団体あることがわかった(20年以上継続実施 団体はそのうちの26団体)。 さらに,よりよい支援方法を確立するためには,それぞれの団体が積み重ねてきたキャン プ実践の目的や実態,共通する課題の明確化が必要である。その第一歩として「大阪市とそ の近郊における障がいのある人のキャンプ実態に関する調査(2)」(以下,「2014年度実態 調査」と呼ぶ)15)により,2014年 4 月~2015年 3 月の期間に,37団体が主に野外活動体験の ために様々な課題もあるが工夫をしながらキャンプを実施していることがわかった。本研究 では,発達障がい児者を対象に行っている団体のデータを抽出し,この調査結果を基に考察 を深める。 2.研究の目的 本論文では,「2014年度実態調査」で発達障がい児・者を対象にキャンプを行っている30 団体のデータを抽出し,その結果を基に,実践研究者と共に,発達障がい児者キャンプの魅 力・課題を明確化し,環境づくりの在り方を探ることである。(本研究では,キャンプ活動 を「自然の中での共同生活を基本とする活動」と明記し調査を行っている。) 3.研究の方法 調査対象は,「2014年度実態調査」にて「発達障がい児・者を対象としたキャンプを実施 している」とご回答いただいた30団体である。積み重ねてきた実践のねらいと内容,工夫や 配慮,共通する課題を明確化するために主な質問項目の構成は,「キャンプ参加者の特徴 (年齢)」「キャンプの目的」「プログラム内容」「実施期間」「実施場所」「スタッフの特徴」 「参加(事業)費収入の内訳」「今後活動継続するための課題」とした。 て―,臨床心理身体運動学研究,日本臨床心理身体運動学会,10(1):25!40.

12)Hantson, J., Wang, P. P., Grizenko-Vida, M., Ter-Stepanian, M., Harvey, W., Joober, R., & Grizenko, N.(2012). Effectiveness of a therapeutic summer camp for children with ADHD : PhaseⅠClinical inter-vention trial. Journal of Attention Disorders 16(7). 610!617.

13)竹内靖子,坂本昭裕(2018):相互成長の場としての発達障害児キャンプ,野外教育研究,22!1,37! 49. 14)竹内靖子(2015):大阪市とその近郊における障がいのある人のキャンプ実態に関する調査,桃山 学院大学総合研究所研究紀要,第40巻第 3 号,105!118. 15)竹内靖子(2017):大阪市とその近郊における障がいのある人のキャンプ実態に関する調査(2), 桃山学院大学総合研究所研究紀要,第43巻第 1 号.73!88.

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調査対象期間は,2014年 4 月から2015年 3 月である。調査票は,各団体の代表者・施設長 に郵送し,郵送により回収された(郵送法)。調査期間は,2015年 2 月27日から 3 月25日で ある。そのため,2015年 3 月の予定も含めご回答頂いた。 調査対象者の選定は,無作為抽出によるものではなく,障がいのある人対象のキャンプを 行っている可能性のあるすべての団体を対象としたため,以下の分析では統計的検定は行っ ていない。 4.調査結果 4. 1. 実施団体の内訳 実施団体の種別は,「NPO 法人」(12団体),「社会福祉法人」(10団体),「財団法人」( 3 団体),「教育機関」( 2 団体),「無記入」( 1 団体),「その他」( 4 団体)であった(表 4!1)。 「その他」の自由記述には,「公益財団法人」( 2 団体)「民間学童保育」「青少年の健全育成 活動の振興を目的とする任意団体」。 4. 2. 参加者の年齢 キャンプに参加した発達障がいのある人の年齢は,「 6!12歳」が最も多く26団体(86.7%), 「13!15歳」が20団体(66.7%),「16!18歳」が16団体(53.3%),「30!49歳」が10団体(33.3 30 25 20 15 10 5 0 団体種別 実数 NPO 法人 12 社会福祉法人 10 財団法人 3 教育機関 2 その他 4 無記入 1 総数 32 表 4!1.実施団体の種別(複数回答有) ※複数選択した団体有 図 4!1.キャンプに参加した発達障がいのある人の年齢(複数回答可) 26 20 16 10 9 9 4 2 50歳以上 5 歳以 下 6!12歳13!15歳16!18歳19!22歳23!29歳30!49歳

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%),「19!22歳」と「23!29歳」が 9 団体(30.0%),「50歳以上」が 4 団体(13.3%),「 5 歳 以下」が 2 団体(6.7%)であった(図 4!1)。主に小中高生対象のキャンプを実施している 団体が多い。 4. 3. キャンプ日数 キャンプ日数は,「 1 泊 2 日」が最も多く25団体(83.3%),「 2 泊 3 日」が18団体(60.0 %),「日帰り」が 8 団体(26.7%),「 3 泊 4 日」と「 5 泊以上」が 3 団体(10.0%),「 4 泊 5 日」が 2 団体(6.7%)であった(図 4!2)。 4. 4. 実施地域 実施地域は,「近畿圏内」が最も多く27団体(90.0%),「大阪府内」が12団体(40.0%), 「日本国内」が 6 団体(20.0%),「海外」が 1 団体(3.3%)であった(図 4!3)。 4. 5. 実施目的 実施目的については,「野外活動体験」を目的に行っている団体が最も多く28団体(93.3 %),「レクリエーション」が20団体(66.7%),「あそび」が19団体(63.3%),「仲間づくり」 30 25 20 15 10 5 0 30 25 20 15 10 5 0 図 4!2.キャンプ日数 (複数回答可) 25 18 8 3 2 3 日帰り 1 泊 2 日 2 泊 3 日 3 泊 4 日 4 泊 5 日 5 泊以上 図 4!3.実施地域 (複数回答可) 27 12 6 1 大阪府内 近畿圏内 日本国内 海外

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が17団体(56.7%),「家族のレスパイト」が 9 団体(30.0%),「ストレス発散」が 7 団体 (23.3%),「野外教育」が 4 団体(13.3%),「リラクゼーション」が 3 団体(10.0%),「環境 教育」「療育」が 2 団体(6.7%),「リハビリ」が 1 団体(3.3%)であった(図 4!4)。「その 他」 8 団体(20.0%)の自由記述には「生きる力を身につける」「共生教育」「国際意識・就 労意識」「宿泊経験」「他者(主に障がいのある子どもの)理解」「保護者間の交流」と記さ れていた。 「野外活動体験」「レクリエーション」「遊び」「仲間づくり」がキャンプの主な目的であ り,同時に「レスパイト」や「リハビリ」「療育」「学習」など様々な目的で行われている。 4. 6. プログラム プログラムは,「キャンプファイアー」が最も多く25団体(83.3%),「ゲーム」が23団体 (76.7%),「自炊」が20団体(66.7%),「水辺のプログラム」が19団体(63.3%),「歌遊び」 が18団体(60.0%),「クラフト」が15団体(50.0%),「ハイキング」が12団体(40.0%), 「自然観察」「雪上プログラム」が11団体(36.7%),「アイスブレイク」が10団体(33.3%), 「オリエンテーリング」「冒険プログラム」「季節行事」が 8 団体(26.7%),「テント設営」 「ウォークラリー」が 7 団体(23.3%),「話し合い」「動物と触れ合う」「登山」が 6 団体 (20.0%),「ダンス」が 5 団体(16.7%),「スキー」「農業」が 3 団体(10.0%),「生活文化 学習」「環境教育」が 1 団体(3.3%),「その他」が 4 団体(13.3%)であった(図 4!5)。 「その他」の自由記述には「川遊び」「カヤック」「スキー」「就労トレーニング(アルバイト 体験)」「保護者の交流会(サポートグループのようなもの)」「花火」と記入されていた。 キャンプの目的に沿い,「野外活動」「集団生活」「学習プログラム」など様々な活動で構 成されている。 野外活動体験 レクリエーション あそび 仲間づくり 家族のレスパイト ストレス発散 野外教育 リラクゼーション 環境教育 療育 リハビリ その他 図 4!4.実施目的 (複数回答可) 28 20 19 17 9 7 4 3 2 2 1 6 0 5 10 15 20 25 30

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4. 7. キャンプスタッフ

キャンプスタッフについては,「ボランティア」で行っている団体が最も多く21団体 (70.0%),「学生」が17団体(56.7%),「福祉関係者」が16団体(53.3%),「NPO 職員」が10 団体(33.3%),「参加者の家族」と「教育関係者」と「医療関係者」が 5 団体(16.7%), 「その他」が 7 団体(23.3%)であった(図 4!6)。「その他」の自由記述には「カウンセ ラー」「A 市青少年活動振興会」「施設出身 OB & OG」「児童指導員」「職員」「当団体職員」 「職員の知人」と記されていた。 4. 8. 参加費 参加費については,「参加者がすべて自己負担」が最も多く19団体(63.3%),「参加者が 一部負担し,一部補助金」が13団体(43.3%),「すべて補助金」が 1 団体(3.3%),「その キャンプファイアー ゲーム 自炊 水辺のプログラム 歌あそび クラフト ハイキング 自然観察 雪上プログラム アイスブレイク オリエンテーリング 冒険プログラム 季節行事 テント設営 ウォークラリー 話し合い 動物と触れ合う 登山 ダンス スキー 農業 生活文化学習 環境教育 その他 図 4!5.プログラム (複数回答可) 25 23 20 19 18 15 12 11 11 10 8 8 8 7 7 6 6 6 5 3 3 1 1 4 0 5 10 15 20 25 30

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他」が 4 団体(13.3%)であった(図 4!7)。「その他」の自由記述には「施設負担」「助成金 と法人負担」「参加者が一部負担し一部は主催者負担」と記されていた。 4. 9. スタッフ・ボランティアの参加費 キャンプスタッフ・ボランティアの参加費については,「スタッフ・ボランティアが一部 負担し,一部補助金」が 6 団体(20.0%),「スタッフ・ボランティアが全て自己負担」が 4 団体(13.3%),「すべて補助金」が 2 団体(6.7%)であった(図 4!8)。 最も多かった「その他」20団体(66.7%)の自由記述は,団体の記述を分類後整理した (表 4!2)。一番多かったのは,「すべて主催者負担」の 7 団体であり,「すべて参加者の自己 負担」が 3 団体,その他はそれぞれの折半型等であった(表 4!2)。 4. 10. 継続するための課題について 発達障がいのある人のキャンプを継続するための課題については,「スタッフ不足」と回 答した団体が最も多く19団体(63.3%),次いで「キャンプ経験者不足」は11団体(36.7%), 「障がいへの理解」「プログラム内容」は10団体(33.3%),「キャンプ施設への不安」は 8 団 参加者がすべて自己負担 参加者が一部負担し,一部補助金 すべて補助金 その他 25 20 15 10 5 0 図 4!6.キャンプスタッフ (複数回答可) 21 17 16 10 7 5 5 5 ボランティア 医療関係者 学生 福祉関係者 NPO 職員 参加者の家族 教育関係者 その他 図 4!7.参加費 (複数回答可) 19 13 1 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

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その他(自由記述) 実数 すべて主催者負担 7 すべて参加者の参加費で運営 3 交通費以外は主催者負担 1 主催者負担+一部補助金 1 主催者負担+スタッフ・ボランティアの一部負担 1 主催者負担+参加者の参加費 1 保護者から 1 内容の詳細不明 1 図 4!8.スタッフ・ボランティアの参加費 (複数回答可) スタッフ・ボランティアが一部負担し, 一部補助金 6 スタッフ・ボランティアがすべて自己負担 4 すべて補助金 2 その他 20 0 5 10 15 20 25 表 4!2.スタッフ・ボランティアの参加費についての自由記述 図 4!9.継続するための課題 (複数回答可) スタッフ不足 キャンプ経験者不足 障がいへの理解 プログラム内容 キャンプ施設への不安 医療的ケアへの不安 参加者と親の高齢化 親子分離への不安 その他 19 11 10 10 8 7 4 3 5 0 5 10 15 20

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体(26.7%),「医療的ケアへの不安」に 7 団体(23.3%),「参加者と親の高齢化」は 4 団体 (13.3%),「親子分離への不安」は 3 団体(10.0%)であった(図 4!9)。 「その他」(16.7%)の自由記述で一番多かったのは,「金銭的な不安」の 3 団体であり, 具体的には「バス代の値上がり」「補助金・助成金がほしい」と記されていた。さらに「宿 泊への抵抗」と記されていた。 5.考 察 3 つの発達障がい児キャンプを行う団体(団体 A. 団体 B. 団体 C)のキャンプ専門家と共 に,アンケート結果を基に「キャンプの魅力」「キャンプの課題」「これからの環境づくり」 について実践事例を踏まえ,考察していきたい(団体 A は,発達障がい児と家族を対象に したキャンプを行う NPO 団体であり,団体Bは,発達障がい児者を対象にした冒険キャン プを行う任意の団体であり,団体 C は,発達障がい児とその家族を対象に冒険キャンプを 行う国立の施設である)。 5. 1. キャンプの魅力 2014年度実態調査結果の実施目的(図 4!4)で記されているように,「野外活動体験」を 目的に行っている団体が最も多く28団体(93.3%),次に「レクリエーション」が20団体 (66.7%),「あそび」が19団体(63.3%),「仲間づくり」が17団体(56.7%)と続いているこ とから,野外活動体験を仲間と共に楽しく行ってほしいという願いが込められた活動と考え られる。 団体 A は,楽しいキャンプ経験を通した,発達の気になる子どもの社会性等の成長や保 護者の情報交換を目的に活動している。2016年から保護者対象にアンケートを行っており, 「キャンプ後,子ども達に変化があったかどうか」変化の有無を尋ねる質問がある。 結果としては,2016年から2019年の間に累計45人から回答があり,変化有りが34人(75.6 %),変化無しが11人(24.4%)であった。さらに変化有りの参加者の変化は,(表 5!1)の 通りである。表情では,「笑顔(ニコニコ)」「発散」「リフレッシュ」「満足感」という言葉 が挙げられており,考えについても「どんどんキャンプが好きになる」「お手伝いしようと してくれる」が挙げられていた。さらに行動の変化では,「また行きたい」「また会いたい」 「あたらしい仲間や小集団で活動できた」「同世代と活動できた」「体力がついた」「自分の足 で歩けた」「一人で就寝・お泊りできた」「修学旅行も抵抗なく参加できそうと先生に言って もらえた」「お手伝いできた」などそれぞれの子どもにとって有意義な行動が挙げられてい た。その表情・考え・行動の変化はキャンプ中と直後に起こることが多く,その後は元の生 活に戻ることもあるが,キャンプは楽しいものと実感すれば,それを楽しみに日々過ごす子 どもたちの姿も見受けられた。 このように,「いつも(学校や家庭)の人と違う仲間と自然の中で過ごすことによる子ど

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もたちのポジティブな表情・考え・行動の変化」がキャンプの魅力と考えられる。 団体 B で,保護者を対象に行なったアンケートの中で,キャンプに期待することとして, 「日常生活から離れた場面で,親や慣れ親しんだ環境から離れるチャレンジの場」,「日常と 違うスケジュールを落ち着いて過ごし,楽しめる機会」,「いつもと違う集団の中でも自分の ことを表現してほしい」,「いろいろなことに挑戦し,やり抜いた体験を自信につなげてほし い」などの記述が見られた。 また,キャンプ後の様子として,「キャンプが楽しかったこと,また同じスタッフで参加 表情の 変化 ・笑顔が戻った リフレッシュできた 満足感たっぷり (2016年 6 月,保護者 D) ・意見などは言わないが,帰ってきてからの顔が満足そうで驚いた (2016年 6 月,保護者 E) ・発散できたようなすっきりした表情 (2016年10月,保護者 D) ・キャンプに行く前本当に楽しみにしていてニコニコしている (2019年10月,保護者 E) 考えの 変化 ・どんどんキャンプが好きになる(2016年 6 月,無記名) ・料理のお手伝いをしようとしてくれる(2019年 6 月,保護者 I) 行動の 変化 ・「次も必ず行きたい」と言っていた(2016年11月,保護者 F) ・「また行きたい」といっていた(2016年11月,保護者 E) ・キャンプ後「スタッフに会えなくて悲しい,また会いたい」と泣いていた (2017年11月,保護者 I) ・大人だけではなく,同世代の子どもたちの輪に自分から入るようになった (2017年11月,保護者 F) ・キャンプ後から集中して勉強できていた (2018年 6 月,保護者 E) ・ 2!3 人のお友達と一緒に行動していたと引継ぎの時に聞いてびっくりした (2018年11月,保護者 E) ・キャンプ場と駅の往復を自分の足で歩き切った 一人で初めての場所で就寝で きた(2019年 6 月,保護者 G) ・人の集まる輪に入れるようになった お買い物のお手伝いができた (2019年 6 月,保護者 H) ・ダンスをスタッフに褒めてもらって自信がついて家でも見せてくれたり,「私 はお姉ちゃんだからキャンプに行ったけど,あなた(妹)も行きたいなら私が 一緒だから大丈夫!」と妹思いの成長ぶりを見せてくれた (2019年10月,保護者 J) ・料理のお手伝いをしてくれるようになった(2019年11月,保護者 I) ・学校でキャンプについて話したら,先生から「修学旅行も抵抗なく過ごせそう でとてもいいね」と言ってもらった(2019年11月,保護者 E) ・今までとは違うグループのお友達と仲良さそうな雰囲気だった (2019年11月,保護者 H) ・体力がついた 他の同年代の子との関わりが見違えるほど増えた (2019年11月,保護者 G) ・前回まで大学生マンツーマンスタッフの名前と一緒に参加したお友達の名前し か話に出ませんでしたが,今回は他のスタッフさんやお友達の名前が出たり, キャンプ中の様子を見ていても,関わったり一緒にする人が増えたと思います (2019年11月,保護者 J) 表 5!1.キャンプ後の変化について自由記述(2016~2019)

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したいことを話してくれた」,「キャンプ後,自分より小さい子のお世話をするようになっ た」,「以前よりも頑張ればできることがある,という気持ちが増し,自信をつけた様子がみ られた」,「帰宅した次の日,麦わら帽子をかぶり,リュックに着替えを入れ,キャンプ行き ます,と叫んでいました」等の記述が見られた。 このことから,団体 A と同様に,「慣れ親しんだ日常を離れ,自然の中で,新しい人たち と関わりながら,活動や仲間との交流を通して自信をつける」ことが保護者の考えるキャン プの魅力であると考えられる。 団体Cでは,参加者に対するプログラム実施だけでなく,保護者へのプログラム提供も 行っている。発達障がいに関するレクチャー,子どもの理解のための様々な情報提供が主だ が,保護者どうしで悩みを語り合ったりする時間も併せて設けている。これは,事業終了後 も参加者同士がつながっていけるように,自主的に「親の会」を立ち上げてもらえることを 狙っている。団体Cは公共施設であるので,多くの対象にプログラムを提供する必要がある。 そのため,継続して参加者を受け入れにくい。そこで,事業参加後も参加者や保護者をフォ ローできるように配慮している。 5. 2. キャンプを継続するための課題 2014年度実態調査結果によると,発達障がいのある人のキャンプを継続するための課題に ついて(図 4!9)は,「スタッフ不足」と回答した団体が最も多く19団体(63.3%),次いで 「キャンプ経験者不足」は11団体(36.7%),「障がいへの理解」「プログラム内容」は10団体 (33.3%)であった。さらに,スタッフについて(図 4!6)は,「ボランティア」で行ってい る団体が最も多く21団体(70.0%),「学生」が17団体(56.7%),「福祉関係者」が16団体 (53.3%),「NPO 職員」が10団体(33.3%),したがって,アンケート上位の結果から,それ ぞれの団体の活動目的の達成に必要な「スタッフの数と質」をどのように維持していくのか が主な課題といえる。 3 団体でもスタッフの数と質を維持することは,主な課題である。スタッフは主にボラン ティアであるため,年度ごとにボランティア登録数等の変化がある。 次に,個別ニーズ,例えば「障がい」「アレルギー(食事,ほこり等)」「ユニバーサルデ ザイン」「宗教」への対応が,団体だけではなく,施設にも必要となる。例えば,発達障が いのある人が施設を利用する場合,ニーズが人それぞれなので事前に参加者が施設で困って しまいそうなことを施設スタッフと話し合う必要がある。参加者に重度の食物アレルギーが ある(施設で食事の提供が難しい)場合には,本来は食料品の持ち込みを認めていないが, 特別な配慮としてカセットコンロを使ってレトルト食品で食事をしたいという参加者の希望 に対応する施設もある。また,重度のほこりアレルギーがある(施設での布団が利用できな い)場合は,布団の持参を認めている施設もある。「宗教」についても,イスラム教の子に お祈りの部屋を貸してほしいというニーズがあった場合,特別な事情に応えている。このよ

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うに施設側の想像力が必要になってくる。今後多文化共生を考えるにあたり,アレルギーや 宗教に対応したメニューが選べるような配慮が必要になる。部屋の名前も,ユニバーサルデ ザインを考えると,鳥や虫の名前より,番号の方がわかりやすく,言葉よりも数字・絵・写 真の掲示がわかりやすい人もいるため掲示の工夫が必要になる。発達障がいに加え医療的な ケアが必要な参加者がいる場合,医師や看護スタッフを雇うとなるとたくさんの経費が必要 になる。さらに,このような活動は,親の「わが子に良い経験をさせたい」という願いから 行われることが多く,子どもの成長と共に,親の高齢化が進み,活動の継続が難しくなると いった課題もある。 5. 3. キャンプを継続するための環境づくり 5. 3. 1. すべての人のスポーツ・レクリエーションの機会の保障を 2006年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」の第30条(文化的な生活, レクリエーション,余暇及びスポーツへの参加)では,「締約国は,障害者が他の者との平 等を基礎として文化的な生活に参加する権利を認め」とりわけ,「障害者が,自己の利益の ためのみではなく,社会を豊かにするためにも,自己の創造的,芸術的及び知的な潜在能力 を開発し,及び活用する機会を有することを可能とするための適切な措置をとる」ことを求 めている16) 我が国においては,障害者基本法の一部を改正する法律(平成23年法律第90号)や障害を 理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)の成立などの法整備が行 われるなど,共生社会の実現に向けた新たな取組が進められている。こうした状況に鑑み, 発達障害者の支援の一層の充実を図るため,発達障害者支援法も一部改正する法律が,平成 28年 5 月11日に衆議院厚生労働委員会において起草され,同月12日に衆議院において,同月 25日に参議院において,それぞれ全会一致で可決され成立に至っている。 さらに,「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律(平 成29年法律第52号)」の附則では包括的な支援体制を全国に整備するための方策として「地 域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」が行われてお り17),このような制度政策の充実により,キャンプを含む様々なレクリエーション,スポー ツ等を通した社会参加や地域活動の機会が増えることが期待される。日本において実際に機 会を増やすためには,1982年にオーストラリアのビクトリア州 Department of Youth, Sport and Recriationで制定されたキャンプ場やスキー場での障がい者のためのガイドライン (OUT-DOOR ACCESS FOR ALL)18)や諸外国の障がい者スポーツ制度や環境づくり等19)を参考に,

16)藤井克徳(2014):JD ブックレット・1 私たち抜きに私たちのことを決めないで障害者権利条約の

軌跡と本質,やどかり出版,31 & 91!93.

17)厚生労働省:地域共生社会に向けた包括的支援と協働の推進に関する検討会最終とりまとめ公表 Retrieved from https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000213332_00020.html

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ハード・ソフト両面の整備強化が必要である。 5. 3. 2. 共生社会につながる活動のサポートを ① ボランティア研修と組織づくり 世界的に見ても,キャンプスタッフの大半がボランティアであり,専門知識のあるスタッ フもいるが大半が学生ボランティアで行うことが可能性の広がりに重要である。社会そのも のが様々な価値観の人と共生することをあたりまえと考えるようになっている。決まりきっ た価値観,ノウハウ,能力のある人だけが社会で生きていくというより,一人ひとりを尊重 しながら自分らしく生きることを学ぶ場とするためには,研修(トレーニング)や組織づく りに工夫が必要となる。 団体 A においては,大学の学外授業として,または団体主催でスタッフ研修を行ってい る。キャンプ組織としては,大学教員や団体社会人スタッフがキャンプディレクター(CD) アシスタントキャンプディレクター(ACD)や看護スタッフ(NS)・ソーシャルワーカー (SW)・プログラム講師を行い,大学上回生がプログラムディレクター(PD)・マネジメン トディレクター(MD)を行っている。学生スタッフは,マンツーマンスタッフとして障が い児者の特性やニーズを学びながら共生キャンプを行う事で,お互いに尊重し合い学び合う 場を設定している。まずは共生生活の知識や技術を実体験からできるだけ楽しく修得するこ とを目指している。 団体Bでは,専門家が CD, PD, MD を担当し,トレーニングを積んだ大学生スタッフが パートナーとして1対1で関わりながら参加者の活動と生活を支援する。また,子ども 4 人, 大学生 4 人で構成するグループに支援学校教員や障がい者支援の仕事に従事する 2 名がグ ループカウンセラーとしてグループの支援を行う。従って,参加者16名に対し,30名程度の スタッフが関わる体制で行っている。スタッフトレーニングは 2 日間実施している。 1 日目 は大学生を対象に,リスクマネジメント,対象理解の講義とワークを行い,障がい者キャン プに対する理解を深める。 2 日目は参加者と保護者が参加するキャンプの説明会を行い。午 前中にパートナーとなる大学生が保護者に聞き取りをし,参加者に対する理解を深める機会 を作る。午後は大学のキャンパス内を参加者とパートナーがハイキングやクラフトなどの活 動を通して関係づくりを行ってから本番に臨んでいる。 団体Cでは,臨床心理士,職員 OB,教育関係者がキャンプのアドバイザーとしてサポー トすることで,大学生スタッフのトレーニングの機会になっている。 安全に関する考え方も,危険なことや失敗はさせないという考えよりも,障がいのある参 加者が自然や社会で活動するときどんなリスクがあるのか,みんなでどう乗り越えていくか 19)笹川スポーツ財団(2017)「パラリンピックレガシー研究:諸外国における障害者のスポーツ環境 に関する調査[イギリス,カナダ,オーストラリア]報告書

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が学べる研修や組織作りが必要である。 このように, 3 団体共に,独自に障がいのある参加者の自然体験をサポートするために必 要な研修を行いながら,社会人スタッフと学生スタッフで構成された組織づくりを行ってい るため,スペシャルニーズキャンプネットワーク20)等団体間での情報交換や相談の場が必要 となるだろう。 ② テクノロジーを活用した支援 日常生活の中にテクノロジーを活用することがあたりまえの社会になっている。発達障が いとされる子どもたちは,読み書きや計算,会話などを苦手とすることが多く,社会生活で の不適応につながり,徐々に自信を失い意欲が低下する前に,一人ひとりにあったコミュニ ケーション方法やテクノロジーを活用する環境を整え,個々の才能が発揮できるようにする 必要がある21)。これについても各団体によって,情報のバリアフリーに関しても考え方はそ れぞれである。 団体 A では, 5 歳から小学生の発達の気になる子ども達を対象にしているため,キャン プのしおりや連絡は,絵と文字とルビを使い作成し,紙の冊子と PDF ファイルと両方の資 料を届けている。キャンプ中は,自然体験に集中するため子どもたちのテクノロジー利用は まだ行っていない。スタッフは,キャンプ全体の様子を Facebook で報告し,遠隔地にいる 親も子どもの様子がわかるため安心してレスパイト頂きたいと考えている。キャンプ後は, テクノロジーを活用し,初めての宿泊体験や自然体験時の子どもの変化を保護者と共有する ために,子どもの振り返りアンケート,絵日記,写真の共有フォルダを個別に作成している。 保護者のアンケートは,Google Form を活用し,スタッフ間の準備やプロジェクトは,Line やドライブ共有を活用している。特に社会人スタッフはミーティングが難しい為,zoom ミーティングやビジネスチャットを活用しながらプロジェクトを進めている。個々のニーズ に合わせたテクノロジーの活用方法については,専門家に相談しながら適切に行いたいと考 えている。 団体Bでは,各プログラムのしおりを PDF 形式で事前に保護者に送っている。保護者は, プログラムごとにページを分ける,写真や絵のみを使用するなど,それぞれが使用しやすい 形に加工して使用している。プログラム中はタイマーアプリを使用し,プログラムの切り替 えなどの補助として活用している。また,プログラムの様子を撮影した写真や動画をクロー ズの SNS で保護者に共有している。さらに,プログラムの様子を編集した動画を作成し, 20)スペシャルニーズキャンプネットワーク(SNCN)は,様々な障がいや疾患,または経済的な問題 や家庭の問題などにより,特別な配慮や支援を必要とする人たちを対象としたキャンプ(スペシャル ニーズ・キャンプ:SNC)を推進することを目的としたネットワーク団体である。SNC に関する情 報発信,調査研究,交流事業,プログラム開発等を通し,SNC の普及・振興を図り,SNC の社会的 な価値を高める取り組みを行い,キャンプ関係者の想いである Camp for All の理念を実現するとと もに,Special を Special と考えない社会になることを目指している。

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参加者に配布している。スタッフ間の情報共有には積極的にビジネスチャットや SNS,ド ライブ共有を活用している。 団体Cでは,現在,保護者をキャンプ地に呼んで,障がい者理解や保護者どうしの関係づ くりのプログラムを実施しているが,Facebook などで,キャンプ中の子どもの様子を遠隔 地で随時見ることができれば,レスパイトケアとして少し子どもから離れて過ごすことも可 能になる。またこの団体は施設(キャンプ場)でもある。今後,「ココヘリ」22)などの IC タ グを使ったサービスも検討している。これは,2019年に山梨県のキャンプ場で起きた女児行 方不明事件のように,居なくなる可能性が高い参加者にタグをつけ,万が一の時に捜索でき るように備えるものである。こういったものも,今後,キャンプに取り入れられる可能性の 高いテクノロジーであろう。 このように,子ども達,保護者,スタッフにおいても,それぞれに合ったテクノロジーを 活用しながら,様々なことに挑戦することも可能である。 共生社会の実現のために,この相互に学び合う組織キャンプ活動の継続が必要になると考 えている。それぞれの団体の活動を発信していくことと魅力・課題・課題解決方法を共有し 相談できる場がまず求められるだろう。 5. 4. 調査の限界について 「2014年度実態調査」については,大阪市内のすべての教育・医療関係施設や,福祉施設 の中の「地域活動支援センター」「高齢者福祉施設」等全てのキャンプ実施団体を対象とし た調査はできていない。また回答者による「キャンプ観の違い」により,「キャンプ」実施 の有無についても判断が変わる可能性があることも考慮する必要がある。 6.まとめ 本稿では,大阪市とその近郊における発達障がいのある人の「キャンプ」を実施する30団 体の実態調査結果を基に, 3 つの発達障がいのある人を対象にしたキャンプを行う団体(団 体 A. 団体 B. 団体 C)のキャンプ専門家と共に「キャンプの魅力」「キャンプの課題」「これ からの環境づくり」について実践事例を踏まえ検討した。「キャンプの魅力」は,いつも (学校や家庭)と違う仲間と自然(非日常)体験を行う居場所となることと,そのような体 験を通した子どもたちのポジティブな表情・考え・行動の変化であり,結果として子どもた ちの自信につながることである。「課題」は,主に,参加者個々のニーズに対応するための スタッフの数と質の確保であった。「これからの環境づくり」としては,個々のニーズに対 応したキャンプ活動の機会の保障と,活動を支えるボランティア研修や組織づくりへの支援 や情報共有の工夫が必要であり,お互いを理解する共生社会づくりに通じる活動として期待

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される。 謝 辞 本研究は,桃山学院大学特定個人研究費(2018年度)および JSPS 科学研究費 JP16K01897 による助 成を受けたものである。さらに2014年度調査結果を基に魅力・課題を検討したため,調査にご協力頂い た皆様,実践関係者の皆様に感謝する。 ※本文では,基本として「障がい」という言葉を使用しているが,法律や固有名詞などは「障害」とい う言葉を使用した。 (2020年 2 月18日受理)

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Camping for Everyone :

Assessment of Benefits for Children

with Developmental Disorders and

Challenges facing Camping Organizations

TAKEUCHI Yasuko

ISHIDA Yasunori

NOGUCHI Kazuyuki

TAKASE Hiroki

The purpose of this study is to understand the benefits for children with developmental dis-orders while recognizing organizational challenges.

The methods of this study are(1)mailed survey and(2)interviews.(1)mailed survey ; a survey was sent to 70 social welfare settings and camping organizations that offer camping opportunities for persons with developmental disorders around the Osaka city area of Japan. 45 organizations responded to the full survey(a response rate of 64%), 30 of which provided camping opportunities for persons with developmental disorders during the period surveyed, April 2014 to March 2015.(2)interviews ; based on the results of the survey, specialists of three camping organizations were interviewed about their experiences and the challenges of continu-ing to provide campcontinu-ing opportunities.

The results support the hypothesis that camping provides a safe and friendly space outside the home and school where children can relax and play in a natural environment. Following their camping experiences, each child exhibits positive behaviors and expresses a sense of achievement and positive attitudes toward social interaction. However, in order to continue to provide these opportunities, camping organizations face challenges in finding sufficient qualified staff and appropriate facilities to meet campers’ specific needs.

In conclusion, supportive public policies and increased funding for staff training and recruit-ment are essential for the future of inclusive camping. Furthermore, the use of assistive tech-nologies can help organizations to achieve their goals.

This research is supported by “Tokutei Kojin Kenkyuhi” at St. Andrew’s(Momoyama Gakuin)University and the Japan Society for Promotion of Science(JSPS)KAKENHI Grant Number JP16K01897.

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Keywords : Outdoor Experience, Developmental Disorders, Camping Environment, Inclusive Education, Outdoor Recreation

参照

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